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『And Just Like That...』 (2021)
TV Mini Series/米/カラー
/約42 - 44分・全10話/
制作:Michael Patrick King, Darren Star』
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米のサブスクのサービス
HBO Max でリリースされているドラマ。12月9日公開スタート。うちはHBO Maxに入っていないので見る事が出来ないのだけれど、
ドラマのプロモーション用に第1話 と2話 がテレビのHBOチャンネルでフリー放送 されているのを発見。録画して視聴。
このドラマ、かの有名な
『Sex and the City』 のその後の話。
女性達は50代半ば。 元々の『Sex and the City』は、1998年から2004年までの6シーズン 。当時のニューヨークの30代半ばの裕福な女性達の日々を描いて大人気だったドラマ。主演のサラ・ジェシカ・パーカーが1965年生まれなので、メインの4人の女性達もだいたいそれぐらいの年齢…2000年頃の時点で皆35歳前後だろうか。 彼女達は皆それぞれ仕事もしっかりと…恋も盛んなニューヨーカーの裕福な女性達。スタイリッシュでハイソな生活を謳歌する自立したニューヨークの女性達のドラマは世界中で大ヒット。私もシーズン3か4ぐらいから見ていた。
このドラマは、最初は30代の女性達の自由なセックスライフが主題だったらしいが(私は見ていない)、シーズンが進むにつれて30代の女性のリアリティを描くようになった 。 派手な生活をする美しいニューヨークの女性達も、30代後半には己の年齢を気にするようになる。独身女性の孤独と老いへの恐れ。母になる者もいれば、大病を患うものもいる…そんなリアルな30代後半の女性達のストーリーは、描かれたキャラクター達が私と同世代だったこともあって実に面白かった。毎週真剣に見た。このドラマの女性達と共に笑い、心配し、恐れ、時には涙した。心震えた。 2000年頃のニューヨークの成功した女性達。
(1980年代ヤッピーの時代の男達に15年ほど遅れて)2000年当時30代半ばの彼女達は、物欲と性欲を満たし人生を自由に楽しんでいるように見えた。派手なニューヨーカーの女性達のドラマは見て楽しかった。 そんな彼女達が2021年、50代の中年になった。 さて、どうしよう。HBO Maxをサブスクするつもりはないし(Netflixで十分だ)、いつかHBOのテレビチャンネルに降りてくる事を希望するしかないが、私はいつこのドラマを全10話見ることができるのだろう? 今は私はプロモ用に公開された1話と2話しか見ていない 。だからあまり一方的に批評を決定してしまうわけにもいかないのだろう。 しかし…これは…、結構イタい ね。イタタタタタタ…。結構キツイ 。 …と思ったのは第1話 。オリジナルのメインの4人のうち、一人欠けた3人でストーリーは始まる。一番明るくて派手で面白いサマンサはロンドン にいるそうだ。 さてこの3人、どうやら全く変わっていません。ノリが以前と同じ。 ミランダは30年間勤めた仕事を辞めて大学院に通う学生。シャーロットはティーンの女の子2人のお母さん。キャリーは子無しの既婚(夫は‘BIG’)で、時々若者向けの性情報ポッドキャストに参加。それぞれ活き活きとやっているように見えるけれど…、 (…最初からとってつけたような薄っぺらい台詞の脚本…不自然すぎて耳を疑う 。そんな会話をする中年夫婦はいねぇよ…気持ち悪いわ…はとりあえずおいといて…)
現在50代半ばの彼女達、実はどうやら年をとり過ぎて、今の時代や若い世代の人々の常識やスタンダードについていけず、度々違和感を感じたり、居心地悪くなったりしている様子。 そうなのだ。時代は変わったのですよ。 今はもうマノロの靴やエルメスのバッグを集めてニヤニヤする時代ではないのかもしれません。ニューヨークでさえそうなのかもしれないのだな…。 シャーロットの娘は綺麗なブランド物のドレスを着たがらないし、街の人々の服装も以前よりカジュアルでクリエイティブ。それに彼女達の周りには以前よりももっと様々な人種や多様な性的指向の人々も存在している。 たぶんそれらの描写は、今のBLM運動 やsustainability志向 、LGBTQの一般化 (知識上では)や、#MeToo などなどを反映し、今の50代の彼女達の違和感や戸惑いを通して、今の時代は変わったのだ…2000年頃とは違うのだと強調 しているのだろうと思う。 しかしそれにしても私と同世代の50代の彼女達が、それらの「今のスタンダード」に対して妙なリアクションをするのも不自然 に思える。 ミランダはなぜ、ブレイドの髪の女性を見てバリバリに(反)偏見的な反応をするのか?…BLMの時代に「正しい白人」であろうとして過剰反応をする姿が大変見苦しく不自然。 なぜキャリーはポッドキャストで露骨な性テーマの会話に戸惑うのか?…自分が出る番組の傾向ぐらい事前にわかっているだろうに(ノリに付き合えないのなら参加しなくてもよい)。 なぜ彼女達は今の2021年の時代に、いかにも20年前からそのまま抜け出してきたようなぎこちない反応をしているのだろう? おかしくないか? 特にミランダの人種に対するリアクションはかなり不快で驚く。
50代半ばの彼女達は今の世の中に馴染んでいないのだろうか? それはおかしい。彼女達はあのニューヨークに長年住み続けている女性達 なのだ。それに今は『RuPaul's Drag Race』が人気番組の時代じゃないか。なぜだ。なぜ彼女達はそんなに時代遅れに見えるのだろう?…なぜ彼女達は今の時代に必死に追いつこうとしている…無理をしている ように見えてしまっているだろう?人間は、20年間全く変わらないものではない と思うぞ。好みも意識も変わる。
それに人間50代半ばにもなったら少しは落ち着くものではないか。
例えば(自分語りで申し訳ないが)…私にとって、人種とは…LGBTQとは…なんだろう。もう今は全く違和感のない当たり前のこと。みんな違ってあたりまえ。
それからなによりもモノに対する意識が変わった。 2000年ぐらいまでは私の中にも確かに存在したConsumerism/コンシューマリズム/消費主義的な志向も、今はほぼなくなった。そのほうが意識が高くてお洒落だからとか…そういうことではなくて、 ただ私は年を取った それだけの話。 バッグ、ドレス、靴…嫌いじゃないけれどもう必要を感じない。物欲が極端に減った。 特にこのコロナでモノに対する意識は180度ぐらい変わった気がする。 必要の無い物はいらない そうなのだ。いやミニマリズムとか…そういうつもりではないけれど、物欲が減ったのはまず私が年を取ったから だろうと思う。
それは私だけではない。おそらく世の中もそちらの方向に向かっている。「sustainable云々…志向」などなど…無駄な消費を止めてモノを大切にする生き方 は、今の若い人達にはもっとあたりまえのことになっている。若い人達は私達の世代に比べてもっと環境に対する意識も高いと思う。 あらためてこのドラマを見て、『Sex and the City』の女性達の世代…1965年前後生まれの世代が謳歌した1980年代1990年代の消費主義と、都会ならではの「見栄の文化」がいかに古臭く見えるのか にも驚いた。
無駄はいらない。 今の若い世代の人達はもっと現実的に自分達の将来を考え、思慮深く彼らの未来をもっといいものに…気持ちよく暮らせる時代しようと皆が健全な意識を持っているのではないか。時代は変わってきている。
あ~そうか…インスタの「映え…文化」「インフルエンサー文化」あれは今も「見栄の文化」だな。若者も人それぞれか…。
(考え始めたらわからなくなってきた。私の勘違いかもしれぬ)
ともかく、そんなわけで
20年前とちっとも変わらない50代後半の白人のリッチな有閑おばさんたち3人を見て、なんだか正直ゲンナリした のはしょうがない。それは時代が…私が変わったからなのだろう。
しかしこれは制作側が意図したもの かもしれません。とりあえず、第1話で…お洒落で相変わらず浮き足立ったおばちゃん達を見せて「彼女達はまだ同じ事をやってるのか」 と視聴者たちを呆れさせ、その後でどっかーんと爆弾を落とす。第1話の最後。びっくりですよ。こわいわ。マジ。
というわけで、第2話 から急にトーンが変わった (もちろんキャリーはキャリーだからスタイルを諦めるはずは無いけれど)。 しかしドラマとしては掴みが上手い。これは続きが見たいですもん。しかしこれからどうなるんですかね。私はいつこのドラマの続きが見れるようになるのだろう。 いろいろ書きましたけど、年を取ると、以前は「良」と思っていたものに全く魅力を感じなくなるというのもあるのだな …と思わされた。この同世代の女性達のその後、見たいかな。彼女達は変わるのか?どうだろう。 きっとキャリーはまた新しい恋人を見つけるんだろうな。そういうドラマですよね。しかし女55歳。どうなのよ。人間のエネルギーにも限りがあるだろう。元気じゃなきゃ恋もできないだろう。恋愛が肉体ばかりのものだとも思わないが、しかしキャリーさんは男性に知性や落ち着きを求める人でもないだろう し。だからどうなるのだろう。そのあたりを、できるなら事細かにリアルに描いてほしい と思った。 年と取るって、人間みんなに平等に訪れて、みんなそれぞれ初めての経験 。だからみんな戸惑ったり苦しんだり、諦めたり、かえって自由になったり、ふっきれたり…いろんな形の老い方 があると思う。55歳ぐらいなら、もう一度花を咲かせるもよし。達観して仙人になるもよし。 みんなそれぞれの女性の老い方を見せてほしい と思う。いつか第3話以降が見れる日まで楽しみに。 彼女達の派手なカラフルなドレスはちょっといいな。 私も派手な色が着たいね。