能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2013年9月11日水曜日

Perfume:あ~様を眺める幸せ



これも同じようにちょっと色を調整。(画像はお借りしてます)
 
お目目キラキラ…




綺麗ですね。
 
このお方も本当に大人になった。
 
 
 

2013年9月10日火曜日

Perfume:ゆか三昧



徒然なるままに…(画像はお借りしてます)色だけ調整
 

 
 
もう大人よ
 
 

わけゆかもいいぞ。



この瞬きがポイント
綺麗ですね
 
 
 

2013年9月9日月曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第36回「同士の誓い」



今週ちょっと面白かったです。やっとなんか…動き始めたかな…という感じ。

もう会津は過去の話で、明治の同志社誕生物語みたいなものになってるんで、頭を切り替えなくては。とりあえず物事が進み始めたんで歴史ドラマっぽくなってきた。もーJoe君が八重ちゃんにベタベタハグハグする話なんてどーでもいーんだもの…つまらんわ…。


そんなわけで大変大雑把なあらすじ。

187510月頃。八重ちゃん(綾瀬はるか)が女紅場で教えていると、突然解雇されそうになる。耶蘇教のJoe(オダギリ・ジョー)と婚約したのが問題らしい。槙村さん(高嶋政宏)は、もし八重ちゃんが「絶対耶蘇にはならん」と生徒の前で宣言するならば止めなくてもいいと言う。八重ちゃん「旦那様の信じるものをないがしろにすることは出来ない。」すると槙村さん「口先だけでいい…。」結局、曲がった事が大嫌いな八重ちゃんは生徒に向かって「この結婚は自分で決めた。嘘はつけん!」と宣言して女紅場を止めてしまう。Joeは嬉しい。
 
その頃、巷でも耶蘇教に対する町人達の抵抗は激しい。そこを大垣屋さん(松方弘樹)が取り繕ってくれる。元公家の屋敷で18751129、同志社開校。生徒数8人。
 
187613日、Joeと八重ちゃん結婚。八重ちゃんはキリスト教徒になった
 
その頃、鹿児島では西郷どん(吉川晃司)が学校を開いて生徒を教えている。大山さん(反町隆史)が西郷どんに政府に帰ってきてくれと頼む。学校には不満分子も多くて、このままでは戦争になるかも…と心配している。そこで西郷どん「枯葉が落ちにゃ次の花が咲けん…それでよか…」
 
 
なんだか…強い八重ちゃんが帰ってきました……というよりも、この時代の京都がどんな様子で、キリスト教や外国人がどれほど嫌われていたか…というのが興味深い。いやーちょっと前まで、キリスト教は禁止(タブー)であり、また尊皇攘夷なんて外国人を嫌う動きも多くあったわけですから…なるほどな…。そんなところに、(Joe君が日本人だとはいえ)外国人の先生がいて、おまけにタブーな耶蘇の匂いまでするといったら、そりゃー嫌がられて当然でしょう。このドラマでは、町の親分大垣屋さんがなんとなくまとめてましたけど、実際にどうやったら可能になったんですかね。そのあたりの歴史は面白いなと思った。
 
八重ちゃん個人の心境の変化というのはあまり見えませんでした。彼女も今まで仏教徒で仏様を信じていたでしょうから、Joe君の奥さんになる前に(タブーだった)耶蘇教徒になっていいものかどうか…の葛藤はあったんでしょうか。いや無いのかなー。
 
 
現代の日本人というのは一般的に「西洋はステキ…」みたいなノリがあるみたいで、誰でもウェディングを教会でやったりするんで(この八重ちゃんみたいに)機会さえあれば仏を捨ててキリスト教徒になれる日本人は結構多いんじゃないか…と思うんだけどどうでしょう。
 
実は、とある宗教の信者になるって、その宗教の中身を知れば知るほどなかなか簡単ではないと思う。私、メリケン人と結婚して西洋に住んで長いですけど、未だにキリスト教徒になろうなんて全く思わないです。無宗教でいろんな学説を自由に学べたほうがいいもんな…。西洋人でも現代は宗教にすがることは一般的ではないです。よほどでないと日常でも何かの宗教の信徒になる必要性はほとんどないと思う。(…ところでワタクシはメリケン人の旦那Aに和装をさせて、ワタクシも文金高島田+角隠しに白無垢で嫁にいったぞ。日本の神宮で天照大神の前で誓いの言葉…とかやったのだ。旦那Aは「刀は刺さなくていいのか…?チョンマゲのカツラは被らないのか…? サムライ、スゲー!」とノリノリだったぞ。)
 
 
しかし100年以上前の西洋人にとってのキリスト教は、そりゃーもー今では想像も出来ないぐらい大変大変真剣なものです。あまりにも真面目すぎて、よその国の文化を壊して侵略しても平気なぐらいのゴリ押しの宗教だったわけで…そのあたり、会津の女・八重ちゃんは平気だったのかどうか…知りたい。
 
最初はキリスト教云々というより、おそらく「一緒になる旦那様の信じることを共に信じたい…」とか、そういう日本の女性らしい古風な動機だったんじゃないかと思いますが、あれだけ戦争で人を殺した所謂罪深い人キリスト教徒になって自らの心を救おうとした…とか、そういう考えって彼女の中にあったんでしょうか。実に面白いお題だと思うんだけど、そんな尺はないな…。
 
 
最後にまたまたカメのダメ出し。

Joe君、もうやたら人前で人をハグハグしないでほし…。いったい誰があんな現代人みたいなJoe君の演出がいいと思ったんですかね…。時代考証全く間違ってますよ。いくらメリケン人だって100年前はハグハグなんてしません。あまりに気になったので現代のメリケン人の旦那Aに聞いてみたら、彼の祖父母だってそんなに人前でハグハグしなかったそうです…たった40年ぐらい前でも。

八重ちゃんの時代の英国はガチガチのヴィクトリア朝で、男女は信じられないぐらいガチガチに分けられてたような時代なんで、同時代のメリケンもそれぐらいかなりお堅い状況だったろうと思います。特に宗教関係の人なんてガチガチだったと思う。
 
…よって、Joe君が誰彼かまわずハグハグするのを見るとモ~我慢できん!(怒)チョー違和感…イヤデス。ハグハグアメリカ男への妄想を、明治のアメリカかぶれの日本人にさせる必要もなかろう…ほんとあきれる。どーでもいいけど。
 
 
 

2013年9月7日土曜日

Perfume;ゆか様パッツンとPerfumeブランドの関係



以前このブログの「Magic of Love」のMVの感想Perfume:「Magic of Love」MV解禁! で、彼女達が「視覚的なPerfumeのブランドを確立した」と書いた。要は、三人のルックスがあまりにも固定されているんで、3人とも生身の女の子なんだけど、それ以上に3人の姿が「Perfumeブランドのキャラ=Perfumeブランドの記号」になっていて面白いと思ったのですが…。

今回の「1mm」のMVをチラッとみて「おお」と思ったのは、Perfumeブランドのキャラ壊しとも言えるゆか様のワンレン=わけゆか。これが面白い。ちょっとそのことについて書きたい。

 
視覚上のPerfumeブランドのキャラというのは、例えば絵にするとこんな感じ。
それをもっと記号化すれはこんな感じ…。
…とりあえず、目鼻がなくてもPerfumeです。

さて今回、キャラ壊しに挑戦か…と思ったのは、例えば絵にすると…

それをさらに記号化すると…

さてどうだろう…。このワンレンゆか様入りのPerfumePerfumeのブランドになっているのだろうか…。

これって例えば、あの世界的に有名なキティさんの目を、もっと有名な大スターミニーちゃんの目に変えてみると…これと同じではないか。



Perfumeというグループが、なぜあれほどPerfumeらしさを確立できたのか…。Perfumeがなぜあんなに人形っぽく見えるのか…。なぜあれほどの安心感、安定感があるのか…。

Perfumeブランドの安定感は、音楽やダンスももちろんそうなんだけど、彼女達の外見が安定していることも非常に大きい3人のキャラが被っていない。1人がリーダーではなくバラバラなキャラが平等に存在する。3人がバラバラな外見でもそれぞれが同等に魅力的。そうやってPerfumeブランドは確立された。

Magic of Love」のMVの感想で、彼女達が「生身の人間にさえ見えない…」と書いたのも、彼女達それぞれが「Perfumeのキャラ」をしっかり確立したと思ったから。生身の人間というよりPerfumeブランドの記号に見える。そんな安定感・安心感こそがまたPerfumeの魅力。

海外から見ると特にそう。人種の違う人達から見れば、アジア人の顔なんて(大雑把に言って)みんな同じように見えるもの。だから常に髪型が変わったり髪の色が変わったりすると、メンバーの名前さえ覚えてもらえない可能性もあっただろうと思う。最初から意図していたのかどうかわからないけど、結果的にPerfumeの徹底したキャラ作りは、海外進出でも非常に大きな力になったと思う。


さて、そんな安定感を壊すように現れたゆか様のワンレン姿。とにかくビックリした。そしてね…不思議なのは、今回このMVでのゆか様は「ものすごぉ~く生身の女」なんです。ふぇ~…  (*´ェ`*)

ユカハ イイオンナ デアル…

いつものように、今回のMVでもかしゆかさんは相変わらずスタイルが良くてかっこいいんだけど、おでこを出すと何故かすごーく人間人間してきて人形っぽくない。遠くから見ても顔のアップでも、Perfumeのかしゆかというより、樫野有香さん24…という感じ。これは不思議。

要するに、今までがあまりにもPerfumeのパッツンキャラとして確立されていたので、そのキャラ設定が無くなると、急に「どこかにいそうな綺麗な樫野さん」になってしまう。

それに加えて「かしゆか」が「樫野さん」になると、本来24歳の彼女が持っている色気とかリアルで生身な感じが急に強調されて、突然大人のいい女風になってしまうという…。ちょっとドキッとする。びっくりする。

そんな色気を見ているのかどうなのか…動画のコメント欄を見ると、海外のファンが大変喜んでます。いつもはお人形みたいなかしゆかキャラを好きなファンが、今回初めて生身の女・樫野有香さんの魅力に気づいて「おおおおお…」という感じなんでしょうか。なんか分かる気がする……面白いな。実はうちの旦那Aわけゆかがなかなかいいと言っている…。キャラ壊しは時々やるととても効果的ですね。ほんとにおおっと思う…。

相変わらず分かりにくい説明で申し訳ない…  (*´ェ`*)


  

2013年9月5日木曜日

映画『ブルージャスミン/Blue Jasmine』:ウディさんキッツイナー…






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Blue Jasmine2013年)/米/カラー
98分/監督:Woody Allen
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主人公はジャスミン。たぶん40代。ちょっと前までニューヨークでリッチなハズバンドとセレブな生活をしていたが、わけあって離婚。同時に一文無しになったので、サンフランシスコに住む妹ジンジャーの家に居候することになる…というお話。
 
こういう女、実在するんです。
 
いやーお見事。おそれいりました。ウディ・アレンさんはまだまだいけるな…。ほんとにリアルです。こういう人、私よく知ってる。特にニューヨークやロンドンにはよくいる。私が知っていたのは小金持ちの奥さん。いや…状況次第で、もしかしたらこういう風になりそうな小金持ちの奥さん…と言ったほうがいいのかな…。
 
彼女達はまず白人。スコアは平均以上。人並み以上の顔。大抵青い目にブロンド(に染めている)。身長は大体170cm前後。綺麗な小金持ちの奥さん。出身はどこかの小都市。たぶん子供の頃から「美人だね」と言われて育った。大学もそこそこの成績で卒業。たぶんクラス一番の美人。そんな彼女の学生時代の夢は、大都市でキャリアを積んで自立したカッコイイ女になることだった…。
 
 
ちょっと映画の感想の前に、(多少長くなるけれど)そういう女性のその後のストーリーの一例を書いてみたい…。ちなみに映画の内容とは全く関係ない話なので興味の無い方は飛ばして感想へどうぞ…。
 
 
-------------------------★小話開始★-------------------------
 
美人で優等生の彼女の夢は…キャリアを積んで自立したカッコイイ女になることだった…。それなのに、卒業してキャリアの道に進もうとした途端、エリートの(卵の)男に見初められてしまう。紳士で高学歴、医者や弁護士の卵、大企業、金融関係…。そんな優秀な男に見初められて、あまりの条件の良さについついキャリアを諦めてセレブな奥さん(の卵)になってしまう。もちろん結婚前にはいろいろと悩んだ。このまま単に奥さんになっていいのか…?自分のキャリアはどうするんだ…? キャリアとセレブな奥さん…その二つを天秤にかけて悩んでいたら恋人のロンドンへの転勤が決まった…。
 
ロンドン…?…ステキ…そう思った彼女は、小金持ちのダーリンとのかっこいいロンドンライフを夢見てさっさと結婚してしまう。結局学歴もキャリアも捨ててしまった…。
 
ダーリンは小金持ち。ハロッズに行ってこんな靴…あんな靴…こんなバッグ、あんなバッグ、このドレス、あのドレス…。最初は罪悪感のあった高額のお買い物も、そのうち麻痺して全く気にならなくなってしまう。だってダーリンは小金持ちだもの。
 
時々ダーリンの会社の、奥さん同伴のビジネスディナーにも呼ばれる。スーツを着たステキなエリート達に囲まれていい気分。予約3ヶ月待ちの人気のレストランも会社のコネで通してもらえる。もちろん費用は会社持ち。同じく会社持ちで高級住宅地に23ベッドルームのフラットを借りてもらえる。飛行機はビジネスクラスが当たり前。もしかしたらファーストクラスも夢じゃない。小金持ちはいろんな面でイイキモチ…それが当たり前になってしまう。
 
 
…ところがそんな生活をしていれば、いろんな違う世界も見えてくる。ロンドンやニューヨークには元々上流階級と呼ばれる人達がいる。小金持ちどころか大金持ちもいる。モデルもゴロゴロいる。ダーリンの会社のボスなんて、たぶんダーリンの5倍のお給料をもらっている。ボスの奥さんともよくビジネスディナーで顔を合わせるけど、彼女のあのバッグ幾らだっけ…? 
 
ビジネスディナーにはデキル女もやってくる。ダーリンの会社の女だ。彼女達はいい大学を出て、もう5年以上もダーリンと同じ会社で机を並べ責任のある仕事をしている。サラリーもダーリンと同じぐらいだと聞いている。女性なのにすごい…。
 
 
ちょっと不安になったので、早速なにか学ぼうと思い立つ。あ…そうだ、フラワーアレンジメントなんてどうかしら…。高い月謝を払って有名なアーティストのクラスに通う。ビジネスディナーの席でも知人に話す話題が出来た。…でも1年後、なんとなくつまんなくなったのでやめてしまう。
 
…あ…そうだ、インテリアデザインなんていいかも…。さっそくまたクラスを始める。もちろん趣味レベル。決して大学に行こうなんて思わない。友人達には「インテリアデザイナーになるの…」と嘯いて回ったけど結局物にならないまま止めてしまう。
 
…次に目をつけたのは「風水」。海外駐在員奥様グループの友人が始めたので、自分も風水のクラスを受講してみる。将来インテリア・デザイナーになる時に役に立つかも…。ビジネスディナーの席でもダーリンの同僚に中国3000年の神秘がいかに素晴らしいのかを語って聞かせ…。
 
…と思ったら「風水」のブームが終わってしまった……うーん…あ、そうだ…、以前から映画が好きだったし、ちょっと映画製作関係のクラスを受けてみようかな…。そして当然のことながら2ヵ月後にはもう友人達に「今度映画のプロデューサーになる予定なの…」
 
そして…いろんなことをやって家を空けすぎたためダーリンからダメ出し。そういえば…いろんなクラスを取ったけど、フラワー・アレンジメントもインテリア・デザインも、風水も映画のプロデューサーの夢も何一つ物にならなかった…。
 
その間に、ダーリンの同僚の女性はヘッドハンティングされてもっと大きな会社に転職してますます輝いてるし、もう一人の友人は3人の可愛い子供のママになってもう5年。みんな幸せそう…。
 
…結局何も残らなかった…。ムシャクシャして頭にきたので衝動的に離婚。2年後ダーリンは若い女を見つけて再婚した…。結局彼女の元には何も残らなかった…。
 
これ、ほぼ実話です。
 
-------------------------★小話終了★-------------------------

 
こういう実際にいる女性をあまりにもリアルに、超絶イジワルな目線で再現した映画。こういう女性、きっと監督の周りには一杯いたんだろうと思う。そんな女性達をもっと極端に恵まれた環境に置いて、もっと極端に墜落させてみたら…。ウディ・アレンさんはとてもイジワルですね。

小金持ち~大金持ちのワイフ。何も不自由しない生活。しかしながらそれが一生平穏に続くとは限らない。彼女達がもし全てを無くしてしまったらどうするのか…。

こういう女性が幸せになるための答えは一つ。心を決めること。何になりたいか…どういう生き方をしたいのか…を自分でハッキリさせること。そしてそれを実現するために努力をすること。心を決めること。

例えば彼女みたいな生活をしていたのなら、いざという時に助けてくれる人脈を育てること。自分から外に出て行って社会の中で夫に頼らない自分の立ち位置を築くこと。友人を持つこと。学位をとって学問を究めてもいいし、キャリアに未練があるのなら、もう一度それに挑戦してもいいのだ。実際に私の知り合いにも、小金持ちと結婚して生活に余裕のある間にMBAをとり、キャリアアップした女性がいた。

しかしながら、上記のような女性達にはこのような努力ができない。


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以下感想…というより論文です。

★ネタバレ注意
 
 
こういう女性が全てを無くした時に、どうしてあそこまで苦しむことになるのか…。それは彼女の中に、自分がどんな人になりたいのか、どうすれば自分が幸せになれるのか…のアイデアが一切無いことによる。今目の前にある現実を見てこれからどうすればいいかが全く分からない。なぜなら彼女の中に幸せになるための具体的な目標や基準が無いからなのだ。
 
だから、幸せそうなよその女性を見ると焦ってしまう。幸せそうな若いママを見ると羨ましくなり、高学歴の女性を見ると不安になる。ボスの奥さんを見ると羨ましくなり…。友人が風水をやっていると聞けば自分も負けじとクラスを始める…。だけど全ての物事の動機を「人にどう見られるか……他人にどう評価されるのか…」の基準だけで決めている彼女の選択が、実質を伴った結果になることはめったにない。なぜなら、何かを始めるにあたり結果を出そうと思うのなら、何よりも本人が本気にならなければ結果は出ないからだ。
 
この映画の彼女も、自分が本当にどうしたいのか…が分かっていない。地に足が着いていないのだ。大金持ちの旦那からすーっと持ち上げられて、自らも人の上にいるつもりだった彼女も、旦那の威光が無くなった途端に自分をどうしていいのか分からない。自分の足元を見ることさえ出来なくなっているのだ。
 
おそらくもう40半ばも過ぎているだろうに、彼女の口にする夢や希望には何の現実味も無い。周りにいる「普通の人々」を徹底的に見下しているのに、ある日(彼女のレベルにふさわしい)素晴らしい男性に出会っても、自分自身に対する根本的な自信の無さからつい嘘をついてしまい、結局全てをダメにしてしまう。現実を把握して自分の足元を見つめ、地道に努力して正直に生きると心を決めればあのような間違いを起すことは無いはずだ。どうして彼女ほどの人物があそこまで自分を追い詰めてしまったのだろう…。
 
 
彼女の妹ジンジャーとの比較も面白い。ジンジャーの生活が、一般の目から見て成功しているかどうかは疑問だ。彼女にもいろいろと問題はある。だけど自分の足で立つことも出来ない姉ジャスミンに比べれば、ジンジャーはずーっと幸せだ。なぜなら、彼女は自分が何をしたいのか、どうありたいのかをある程度分かっていて(たとえその方法が時に間違っているとしても)それが自分の幸せだと信じているからだ。分相応の現実を自覚してしっかりと地に足を着けているからなのだ。他人から見てそれがいいのかどうかなんて一切気にしない。ジンジャーの幸せの基準は彼女の心の中にある。
 
 
最初は(ウディ・アレン印の)おかしなコメディだと思っていたのに、主人公ジャスミンを通して、この話がいかにリアルに現代人の真実を捉えているのかに驚かされた。映画の最初は、おかしな行動ばかりするジャスミンを見てゲラゲラ笑い、いつしかその笑いも、彼女がいかに愚かで浅はかで悲しい存在なのかを見るうちに次第に消えていき、最後にはそのあまりのリアルさにうならされる。
 
…おっとちょっとまって…こんな話、実はどこにでも存在しますよね。なにもロンドンやニューヨークのイケテル白人女性ばかりではない…。こういうタイプの人、きっと東京にもたくさんいる。
 
どんな女性でもある程度の年齢を過ぎていればジャスミンの愚かさが理解できると思う。多かれ少なかれ、どんな女性の中にも愚かなジャスミンは存在する。若い頃を振り返れば誰にでも多少の心当たりがあるはずだ。だからそんなジャスミンをただただ馬鹿な女だと笑うことはできない。映画の最後には心から可哀想になってしまう。
 
幸せって何だっけ…? そんなことをちょっと考えたくなるような映画。心が痛むほど非常にリアルに愚かな現代女性の姿を描き出し、観客がいろいろと考えさせられる映画。劇中、主人公のジャスミンの学生時代の専門が「人類学」とあるのだが、この映画のテーマが「いかにも都会によくいる浮き足立った愚かな女を人類学的な目線で観察しましょう…」というのも大変な皮肉。ウディさんはイジワルだけどすごいです。彼の知性は健在。ケイト・ブランシェットの変貌振りも見事です。他の配役も素晴らしい。