能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年4月7日日曜日

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第7話 A Stick of Time :日本人の日本人による日本人のためのドラマ



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FXにて。オリジナルの放送は2024年4月2日。


というわけでうちのDVRの録画が全部消えてしまったので、ドラマを再度チェックすることが出来なくなった。しかし第7話は楽しんで見たので忘れないように印象を書いておこうと思う。


この第7話は今までで一番面白かった。基本的に日本人しか出てこない日本のドラマ。そして皆が男らしくてオトコオトコしていて素晴らしい。なぜハリウッドが作ると戦国ドラマもリアルに人を殺しそうなむさ苦しい男ばかりになるのか。大変素晴らしい素晴らしい素晴らしい。



★ネタバレ注意




一番の驚きは今回初登場、吉井虎永の弟・佐伯信辰を演じる奥野瑛太さん。まぁなんとカリスマに溢れた俳優さんだろうか。

奥野瑛太さんのことは今まで見たドラマの中で記憶に残っていた。一番最近は『仮想儀礼』の秘書。それから『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』の宅配便のお兄さん、それから2021年の『最愛』の主人公の兄。

上記のキャラクター達は決して派手な役ではなかったのに奥野さんのことは記憶に残っていた。この俳優さんに元々あるカリスマなのだろうと思う。

そして今回の第7話での佐伯信辰は今までで一番騒がしく豪快で男臭い派手なキャラクター。「あっ、あの役者さんだ…」と気付いた時には驚いた。なんと豪快な役者さんだろうかと感心した。

大変オトコオトコしている。あの『仮想儀礼』の時のお堅い秘書の様子と正反対。『家族だから愛した…』の気さくな宅配のお兄さんとも全く印象が違う。いや~びっくりした。大きな拍手です。

このドラマでの彼の芝居は芝居がかっている。舞台の芝居のよう。しかしそれが佐伯信辰の豪快で超実利主義の人となりに合っている。派手な芝居がすごくいい。拝見していて引き込まれた。


動かざること山の如し…の吉井虎永(真田広之)とこの信辰の性格が正反対なのも面白い。この豪快な弟は兄との絆など屁とも思っていないらしい。いかにも戦国。そしてそんな騒がしい弟に静かに苦悩する虎永。

真田広之さんの虎永は毎回かっこいい。この物静かな虎永は自分から前に前に出ていく人ではないのかもしれぬ。しかし心を決めたら後には引かない。決断に時間がかかる人かもしれませんね。しかし真田広之さんが重々しく物静かなところが…んも~~~かっこいい。なんかまたファンになる溜息。毎回真田さんを見てニヤニヤする。


「芝居がかっている」といえば娼館の女将・お吟の宮本裕子さん。このお吟がまたいい。この女優さんの芝居も舞台の芝居のよう。しかし彼女は娼館=エンタメ事務所のオーナーで、働く女の子達を守る強い女主人。きっと彼女も若い頃に超一流のプロだったのだろう。彼女自身がエンタメの人なのだから言い回しが芝居がかっているのも納得。彼女もカリスマがすごい。

面白いのは、今回お吟さんが虎永に江戸の「吉原」の打診をしていたシーン。彼女が「江戸に営業用の土地を欲しい」と言っていたのはいかにもその後の吉原。今Wikipediaで吉原の歴史を調べたら江戸の吉原の成立は1612年だったそう。お吟さんはフィクションのキャラクターだとはいえ、時代的にもつじつまが合うのでなるほどと思った。


さて虎永の弟・佐伯信辰が伊豆にやってきてから、虎永の軍勢は様々な意味で揺さぶりをかけられる。信辰へのリアクションで一番よかったのが、虎永の息子・吉井長門の倉悠貴さん。おそらく長門はまだ若い。まだまだ若いから行動も考えも軽率。倉悠さんはその血気盛んで愚かな若者の芝居が上手い。このキャラクターにも愛着が沸いてきたところ。

夜の宴のシーン。叔父さんに初めて会えたことで子供のようにワクワクしている長門。叔父さんへのリスペクトと嬉しさですごく楽しそう。それなのに信辰が途中から妙な話をし始める。虎永は黙って聞いているが、周りの家臣達の表情が変わる。場の空気が変わる。そして今まで楽しそうだった長門の表情も変わっている。上手い。

場の空気が変わり始めたところでこちらもドキドキし始める。あ、面白くなってきた。そこからどんどんストーリーが回っていく。面白い。「日本のドラマ」だと思ったのはこのあたり。ブラックソーン/按針はほとんど出てこない。ただただ日本の戦国モノのドラマとしてすごく面白い。脚本も巧み。今までで一番面白かった。


しかしそれにしても長門君は軽率すぎる。ちょっと前にも石堂の使いを大砲で全滅させるし。危ない危ない。虎永も手を焼いている様子が今までにも何度もあった。ぃや~問題だこの子は。しかしそれがまた可愛い。彼はこれからどうなるのだろうと思っていたので最後は驚いた。


それから戸田文太郎(阿部進之介)。文太郎にもますます愛着が湧いてきた。彼は鞠子さんが大好きなのね。しかし自分を抑えられないから手が出る。戦国の人だもの。

今回も文太郎は実はかなりいい武将なのだろうと思わされた。それから樫木央海(金井浩人)も頭のいい武将。二人とも最初はどうかと思ったけれど次第に魅力的に見えてくるのが面白い。

変な人と言えば樫木藪重(浅野忠信)。彼はユーモア担当。一番おかしい。最初は嫌な奴かと思ったけれど予想不可能で常にストレートな物言いをしていてそれが可笑しい。浅野忠信さんはこういうユーモラスな芝居もなさるのですね。彼が出てくるといつも笑う。旦那Aにもウケている。


戸田広松(西岡徳馬)の美声に安心する。重鎮。「これはいかにも日本のドラマ」だとほっとするのはこのお方のおかげ。鞠子(アンナ・サワイ)さんも藤(穂志もえか)さんもすごくいい。このドラマに出てくる人々のそれぞれの人となりがわかってきて次第に人物達に心を寄せるようになっている。ますますドラマが面白くなってきている。目が離せない。


それにしても思った…ハリウッドがこれだけ素晴らしくリアルに「日本の戦国の荒々しい男達を描けている」のはどういうことなのか? 日本人のシーンの上手い脚本、配役も巧み、皆役者さん達も上手いし演出にもカメラワークにも納得する。とにかくドラマとして面白い。  …(様々な理由があるのはわかるけれど)日本のテレビで描く戦国のドラマはなぜあのように「おんなこども向け」で軽く見えてしまうのだろう。

このドラマに出てくる男たちは本当に人を殺しそうなのがすごいと思う。だからワクワクする。毎回緊張する。これですよ…荒々しい戦国。いいですね。


さて、来週の火曜日はテレビが見れないのだけれど、その後再放送で第8話を見ることはできるのだろうか?