能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年4月24日水曜日

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第10話 A Dream of a Dream :曖昧な最終話



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FX/Huluにて。オリジナルの放送は2024年4月23日。



★ネタバレ注意



え~これで終わり?というのが正直な感想。こう思うのは私だけではないと思うぞ。

やっぱり関ヶ原も冬も夏の陣もなかった。そうか~そうかそうかやっぱりそうか。前回第9話の感想で全体の印象(文句)を書いたのだけれど、この最終回も同じような流れで静かに終わってしまった。このドラマは1600年頃の日本の戦国時代の様子をかっこよく映像化して見せてくれて、あとは日本の不思議な哲学とか美学、死生観を海外の観客に紹介するような話だった。


前回も書いたけれどドラマの画面は最高にかっこいい。彼らを取り巻くセット、衣装、風景…CGも全てが素晴らしかった。ドラマが進んでいくのと同時に、目に入ってくる風景や景色、光を抑えた室内の様子や、美しい 衣装…などなど、画面を見ていて毎回楽しかった。沢山の日本の美しいものが見れた。これが外国で作られていることに驚く。真田さんのおかげ。感謝してます。

それから日本の俳優さん達も本当にかっこよかった。個々の台詞に違和感も感じなかった。そしてカメラが捉える俳優さん達の表情が素晴らしくて…これ、どうして日本のドラマはこういう撮り方ができないのだろうかと不思議に思ったほど。日本と海外では俳優さんをどのように見せるのか、どのように撮るのか…の意図が根本から違うのではないかと思わされた。(日本…親しみやすさ、かわいらしさを撮ろうとする、ハリウッド…俳優を役に沿っていかにリアルにかっこよく見せるのか等々)。様々なシーンの緊迫感も最高にドキドキした。ワクワクした。

日本の俳優さん達のキャスティングも素晴らしい。皆全員かっこよかった。どちらかと言えば日本では端役だった俳優さんが大役をなさっていて輝いている…これも(ハリウッドは)俳優さん達の見せ方が違うからではないか。鞠子様、藤様、長門、文太郎、央海、佐伯、桐の方、菊、吟、村治、そして石堂の周りの大老達も皆さん素晴らしかった。そして日本でも有名な俳優さん達はますます存在感がすごい。虎永や石堂、広松、落ち葉の方、藪重…全員輝いていた。彼らの存在感、彼らの芝居を捉えるカメラの撮り方に映像の編集も素晴らしい。私にとってこのドラマは…日本の俳優さん達が素晴らしかったからこそ面白かったと言ってもいい。かっこいい彼らが見られたのがなによりもよかった。


さて問題は前回も書いたけれど中身。理由は原作だろうと思う。

虎永の策
最終話が終わった時点で虎永が将軍になる説得力はなし。鞠子さんを大坂に送り込んで彼女の死で落ち葉の方の心が動いた…という話だったと見たが、それは虎永の策と言うよりも偶然の結果で…鞠子さんが大坂に止められる、自害の中断、藪重の裏切り、忍者、爆発…どれをとっても虎永が自ら計画できたことではない。そして仮に鞠子の死がこれから落ち葉の方や大老達を動かすとしても、戦場では誰がどう動くかは予想できない。既に虎永は軍をかなり失っているし指揮官も減っているわけで、関ヶ原で戦になっても虎永の勝利はまだ確実だとは言えないだろう。だからあいまいな状態で終わってしまった印象。虎永が将軍になれるかどうかもわからない。 しかし真田さんはかっこよかったけど。

● 虎永の意図
按針君の船の意図は?全く不明。村人には災難。

● 按針君は?
このキャラは問題ですね。最後まで心を寄せられる場面が一度もなかった。例えば映画『ラストサムライ』…トム・クルーズは勝元に囚われて最初は激しく抵抗していたけれど、村で暮らすうちに次第に日本の生活に馴染み日本の文化や哲学に感化されていく様子が描かれていた(たった2時間半で)。しかしこのジョン・ブラックソーンは10話もあったのに日本の文化に馴染む様子は一度も感じられなかった。彼のシーンは脚本も薄い。彼が日本で生活して何を考えているのか、武将達を見て何を思うのかがほとんど描かれていない。いつも無表情。役者さんも大概大根だとは思うが、それにしても彼が役者の技を見せられる場面も少なかったと思う。キャラとして全く魅力的でなかったのは役者さんだけの問題ではないだろう。役が合わなかったか。彼は体育会系の肉体派でアクションをやらなければ魅力が見えづらいタイプの役者さんかも。


ドラマというのは2時間完結ではなく50分を× 10話見て流れを楽しむものなので、このドラマの初回から2話、3話~9話まで毎回毎回すごく楽しかった。毎週の放送が楽しみだった。10話で戦もなく不完全燃焼で終わってしまった(個人的な感想)のは少し物足りなかったけれど、それでも全体にとても楽しめたドラマだった。面白かったです。


しかしやっぱ私は関ヶ原が見たいのよ。騎馬戦が見たい。強い男が見たい。ハリウッドのお金をかけて数万の軍がぶつかり合うアクションが見たい。小早川の裏切りで逆転してうわああああと大騒ぎして泣きたい。グロはいらないから。そして出来れば冬も夏の陣も大砲をドンドン撃ってひゃ~怖い怖いと叫びたい。グロはいらないけど。淀君と秀頼の最後を見て泣きたい。海亀は戦国に感情を揺さぶられたいのです。