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『Fake Famous (2021)/米/カラー
Documentary/1h 27min/監督:Nick Bilton』
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週末に見たドキュメンタリー。また秋の夜長をつまらないドキュメンタリーを見て過ごしてしまったぞ。旦那Aがまたまた勝手にHBOチャンネルから録画していた映画。
A「こういうの興味あるでしょ」
亀「え、何?」
A「フォロワーとかサブスクライバーとかお金を出して買えるって言ってたでしょ」
亀「ああ…え~興味ないよワタシ…」
A「そんな話してたじゃん、ま、見よ見よ」
そんなわけでしぶしぶ視聴開始。
3人の若者…女優の卵、ゲイの不動産セールス、服飾デザイナーの男の子…をオーディションで選び、
インフルエンサーに仕立てるべく実験開始。
彼らのインスタグラムに、
嘘の(演出された)写真を大量に上げ、
架空のフォロワー(BOT)をお金で買い、いかにも世の中で
人気だと見せかける。様々な
嘘で塗り固めて「人気者のインスタグラマー像」を作ったら、実際に現実のインフルエンサーとしてどこまで成功するのか…を実験する。
結局男性2人は途中でリタイア。女優の卵の女の子だけが生き残った。そして彼女は結構成功する。
魅力的な
写真をそれらしく演出するのはまず第一。
そしてその上に、
架空のフォロワー(BOT)をお金で買う。
架空のフォロワー/架空のID(BOT)とは、
プロのサービス会社が、世界中のインターネットのスペースから膨大な量の人々の
アイデンティティのパーツ…顔写真、メールアドレスやSNSのアカウント、誕生日や好みなどなど…人々のありとあらゆるパーツを集めてバラバラにして、バラバラのパーツをまたランダムに組み合わせて
実際には存在しない架空の人物を大量に作り出す。そうやって作られた
「架空の人々」を(個人が)何千人、何万人の単位で購入…そしてそれらをフォロワーやサブスクライバーとして彼等のSNSアカウントに反映させる。例えば7500人のフォロワーは数百ドル/数万円で誰でも購入できるらしい。
そうやって(嘘の)魅力的な写真と(嘘の)フォロワー数を大量にインスタに追加していくと、いつの間にかそれが実際に世間の興味を惹くようになってくる。嘘で固めたインスタがいつのまにか本物のインフルエンサーを作り出す。この映画の女の子も実験としてほぼ成功する。すげえな。
そしてそんな個人のインスタグラマーが、世間的に人気者のインフルエンサーだと認定されると、今度は彼らの元に様々な企業から商品や製品がただで送られてきたり、旅行のパッケージが送られてきたりするようになる。彼等/彼女等は既に人気のインフルエンサーなのだから、彼等/彼女等が企業の製品をインスタに取り上げて使ったり、旅行に行って写真とともに感想を書くだけで、企業にとっては効果的な広告になる。確かにその通り。
そういえば私もここ1年以上、新型コロナが流行ってから外出を控えてお店に行かなくなったのだけれど、それで時々ネットショッピングの参考にするのがYouTubeの動画。例えば新作の口紅やファンデーションのことが知りたい時は、YouTubeで製品名を検索。それで出て来たコスメのレビュー動画を参考にしたりする。人気の女の子の動画を見ていると「昨日シャネルが新作口紅全色を送ってきてくれたのよ~❤」などと言って全色を代わる代わる口に塗って見せてくれたりする。面白いし参考になる。そんなわけで私は数週間前、とあるインフルエンサーの動画を見てファンデーションをオンラインで買った。
問題なのは…
今の時代は、個人が人気者のインフルエンサーになろうと思ったら、その人気を簡単にお金で買えるということ。嘘で嘘を固めて演出しても、それなりのインフルエンサーになれることの実験をして成功したということ。面白いですね。
またインフルエンサーになったその女優の卵の女の子は、後にテレビ・コマーシャルのオーディションにも合格。審査する側が彼女のインスタを見たのだそうだ。なんと彼女はインスタでの人気を現実でのキャリアアップにもつなげている。
なるほどな~。しかし興味ないですね~ないない全くない。実はこの映画も途中で数分寝てしまった。 しかしそんな私でさえもインフルエンサーの出してくれている情報を利用していたのですよね。なるほど。
それにしてもすごいなと思う。有名インフルエンサーになる方々は心臓が強い。自分の顔を晒し、己の言動にもますます責任をもたなければならないだろうし、有名なインフルエンサーになるって実際には大変な仕事ですよね。ほんとに。
個人のインフルエンサーとは、芸能プロダクションの保護の無い芸能人のようなものだろうか。だとしたら結構危ない仕事なのではないか。日本の有名なインフルエンサーの方々は芸能プロダクションに所属していらっしゃる方も多いみたいだけれど、アメリカのユーチューバーやインフルエンサーはどこかのマネジメントに属しているのだろうか。誰かに守られているのかな。 ともかく今の時代はそんなふうに個人が自分自身を宣伝してFAMEで商売をする活動もプロとして収入を得る仕事として認められるようになってきているのですよね。すごい時代になったものだ。
え~しかし私にはそういうものは全くわからない。名声なんて…自分の事が人に知られることさえ嫌。むしろ怖い。昔BABYMETALの事を書いてた時にヒットカウントが増えるとびびっていた笑。今はずいぶん落ち着いた。
人の名声に対する欲というのには大きな個人差がありますね。 昔若い頃に女優の卵の友人がいたのだけれど、彼女はスポットライトを使った撮影の現場を見て「あの光の中に入りたい」と言った。それに答えて私は「あのライトを持つ人やカメラマンになりたい…憧れるのは彼らの方」だと彼女に言った。 彼女はスポットライトの中に入りたいし、私はスポットライトの中なんて絶対に嫌。…それぐらいそういうものの感じ方には個人差がある。 インフルエンサーというのは元々スポットライトの中にいることが好きな方々なのだろう。彼等/彼女等にとって自分で自分を自由に演出できる今の時代はいい時代なのだろうと思う。