能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年3月20日水曜日

テレビ東京 ドラマ24『きのう何食べた? 』シーズン2・第12話 最終回 家族の形…ケンジの愛情たっぷり特製弁当



テレビ東京系のドラマ24『テレビ東京ドラマ24』。ここではTV Japanにて。日本での放送は2023年10月7日(6日深夜)から12月23日(22日深夜)まで。この12話は2023年12月23日放送。


最終回が終わってしまった。これはいいドラマ。いまどきのポリコレ的な意味で素晴らしいというのではなく、役者さん達の上手さやドラマとしての心地よさがとにかく素晴らしかった。癒しのレベルMAX。素晴らしい素晴らしい💕


ゲイのカップル、筧史朗/シロさん(西島秀俊)と矢吹賢二/ケンジさん(内野聖陽)の仲の良さが何よりも癒し。微笑ましい。彼らを見ていると楽しくなる。なんだか幸せがこちらにもやってくるよう。仲のいい二人がご飯を作って幸せにおうちごはんを食べることの「幸福感」…いいですね~。30分のドラマでの単純な「フォーマット」なのに最高にいい素材。非の打ちどころがない。大絶賛。


ところで私はBLモノには全く興味がない。一応…もう45年ぐらい前、中学生の時に親友に進められて最初の2、3冊ほど『風と木の詩』は読んだ。意味がわからずあまりいい印象はない。親友はBLモノが好きで雑誌「JUNE」なども見せてもらったけれど残念ながらさっぱり良さがわからなかった。それからもずっとBLモノの良さはわからずじまい。単純に私は自分をストーリーの中に投影できる男女の恋愛モノのほうが楽しいと思った。

でもこのドラマを見ていると(これがBLなのかどうかわからないが)「男×男」の話がいかに微笑ましいのかがよ~くわかった。色恋の話題で女が出てこないドラマって…なんというか、雑音を感じないのですよね。見ていてストレスが全くない。それが自分でも面白いと思った。

普段私は男女の恋愛モノのドラマを見ていると、必ず頭の中の数パーセントで「なにかが変だ」とか「それはやめたほうがいいよ」「それは言わない方がいい」とか、男女の現実的な側面を思い出してなにかと批評的になりがちなのだけれど、「男×男」の話はま~ったく何のストレスもなく見れるのが面白いと思った。(あ、たぶんフィジカルなものはあまり見たくないと思う)

シロさんとケンジさんがスキスキで仲睦まじく楽しそうにやっていると、心から「よかったねぇ」とこちらも笑顔になる。このお二人は50歳ぐらいの設定なので、まさか自分の息子の世代の話というわけでもないのに、なぜか「かわいい」とか「微笑ましい」「ほのぼの」とかポジティブな感想ばかりが頭に浮かぶ。だからストレスフリー。これは私が女だからなのだろうかと思う。


以前のこのドラマの感想にも書いたと思うが、西島秀俊さんと内野聖陽さんが本当に楽しそうなのがいい。食べてるご飯も美味しいのだろうと思う。だから演技なのに楽しくて嬉しくて美味しいのが表情に出ているのが何とも言えず幸せ気分。いいドラマですよ。


さてこの最終回には現実的なLGBTQのお題も出てきた。

日本ではゲイやレズビアンの同性のカップルが家族になれる「結婚」がまだ出来ないらしいのだけれど、結婚できないことによって生じる問題…相続の話などについてこの回ではさらっと触れていた。これはつまり「家族か?家族でないか?」の話でもあって…例えば病院での家族としての扱いなども含まれるのだろう。

信頼し合って一緒に暮らしている同性の二人の人間が「家族」として社会に認識されるためには、今の時点では養子縁組と言う形になるそうだ。なるほど。しかしケンジさんは「一旦養子になったら法が変わって結婚できることになった時に結婚できなくなる」と言っていた。なるほど。「恋人の子供にはなりたくない」というのも確かに理解できる。


私はもう長い間、米国のドラァグ・クイーンの番組を見たり、過去にも英国のミュージシャンの夫婦(エルトン・ジョン氏等)をメディアで見ていたり、英国では実際に同性カップルの知り合いがいたり、この地でも結婚している男性が「My husband」と言うのを聞いたり、知り合いの弟さんが結婚している等々の話に度々触れていて…既にそういうものが当り前だと思うようになっているので、正直今の時代に同性愛者の「結婚」を阻む理由がよく理解できないのですよ。

そのお題について日本でのネット上の情報をさらっと探してみると、やっぱり「同性愛」ということが問題だと言う人が多いらしく、それからまた「結婚」とは「家族になるため…子供を作るため」と言う人もいるみたいでなかなか難しいらしい。

しかし「結婚」を「子供をもつ可能性のある男女が条件」だとするのなら、例えば60歳と63歳で出会った男女が幸せな「結婚」をして夫婦になることも問題なはずで、また(うちのように)男女でも子供のいない夫婦は結婚の条件を満たしていないのか?という疑問が湧かないでもない。


今必要なのは日本でも「今の時代の結婚の定義」を議論することなのだろうと思う。

「結婚」とは何なのか?頭ごなしに「結婚とはこうあるべきで…」と過去の前例や憲法の言葉を捏ねまわして賛成派と反対派が延々と水掛け論を続けるよりも、「今の時代においての結婚/パートナーシップとは何を基準に定義するべきなのか」をあらためて真剣に話し合った方がいいと思う。

「結婚とはなんなのか?」

何も外国を真似する必要はない。外国の前例をただよかれと議論もせずにただ飲み込むのが一番いけないと思う。まず日本人が「結婚とは、家族とはなんだろう?」とその意味を話し合うことが必要だろうと思う。それは何事もそうですよ。どのようなお題でも外国のやり方をただコピーするのではなく、まず日本の中で日本人が徹底的に議論をして結論を出していったほうがいいと思う。

一番大切なのは、誰にでも「幸せに暮らす権利はある」ということ。シロさんとケンジさんが結婚したいと思うのなら…いつまでも家族として幸せに暮らしたいと思うのなら、私は彼らが結婚できればいいと思うなぁ…。皆が幸せでありますように。


2024年3月8日金曜日

テレビ東京 ドラマ24『きのう何食べた? 』シーズン2・第10話 ケンジ家族と遂に対面…鰻のフルコース!



テレビ東京系のドラマ24『テレビ東京ドラマ24』。ここではTV Japanにて。日本での放送は2023年10月7日(6日深夜)から12月23日(22日深夜)まで。この10話は2023年12月9日放送。


毎週楽しみに見てます。この話も主なテーマはLGBTQだと思うけれど、このドラマの主人公のお二人の関係は、少し前にここで感想を書いた『作りたい女と食べたい女』シーズン2のお二人に比べるとずっと落ち着いている。

『作りたい女と食べたい女』が女同士の初めての恋…告白したりドキドキしたり…がストーリーの中心にあったのに比べて、この『きのう何食べた? 』は、主人公のゲイのカップル…筧史朗さん(西島秀俊)と矢吹賢二さん(内野聖陽)がもう同居して長いのだろう…二人の関係が熟年夫婦のように落ち着いていて何の心配もなく見れるのがいい。二人の関係がとても微笑ましい癒しのドラマ。

お二人の周りの人々は…皆二人がゲイのカップルであることを理解しているらしく、二人がゲイであることに悩んだり苦しんだりする様子はほとんどない。まるで仲のいい夫婦のように二人は周りに受け入れられて幸せに暮らしている。。


ところがこの第10話では、(おそらく今まで避けてきた)家族との問題に触れていた。シロさんがケンジさんの母と姉二人に初めて会う話。緊張の食事会は鰻フルコース。それぞれが初対面でとても緊張している。

その食事会で、ケンジさんの母・峰子(鷲尾真知子)が二人の関係に理解を示していることが語られた。平和的に「他人だけれど身内」、何かあった時にシロさんを身内として認識したいとのこと。


いい話。若い世代のケンジさんの姉二人が弟の恋人を受け入れるのは理解できる。しかしケンジさんの母親が二人の関係を理解するのには時間がかかったのだろうと思う。それでも息子がもう長い間シロさんと共に暮らしていることを考えたら(相手のシロさんが)いつまでも「一度も会ったことがない他人」というのも不自然だと思ったのだろう。そのことをお母さんはよくお考えになったのだろうと思う。

無理をせず、喧嘩別れになることもなく、母親は息子の生き方を静かに受け入れた。多分時間がかかったのではないかと思うが、それでも母は息子の幸せを願うからこそ息子の生き方を受け入れることにした。すごくいい話。またちょっと感動した。


このドラマは本当にいい。お互いに信頼し合った二人が、おうちで「おいしいね」と笑顔で一緒にご飯を食べる様子は、人と人の関係の基本の幸せなかたちだと思います。このドラマを見ていると毎回そのことを感じる。

西島秀俊さんも内野聖陽さんも「ほんとに好きなのかな?笑」と思うぐらい自然なのがすごいと思う。お二人とも本当に楽しそう。演技以上にお二人が一緒にいることを楽しんでる様子が伝わってくる。ご飯もおいしいんだろうね。いいな。

シロさんがちょっと昔の男っぽいのね。ケンジさんに「お前」「おい」とか言っている。そしてケンジさんがくねくねしてかわいい。本当にかわいい。LGBTQとか難しいお題が無くても、このドラマはただただ二人の会話が微笑ましくていい。幸せのドラマ。癒し。


2024年3月1日金曜日

NHK 夜ドラ『作りたい女と食べたい女』シーズン2・第30話/最終回



ほのぼのとシーズン2の最終話が終わってしまった。いいドラマ。穏やかなドラマ。とうとう野本さん(比嘉愛未)と春日さん(西野恵未)が一歩前進した。そして南雲さん(藤吉夏鈴)がハローワークで前に一歩踏み出している様子も嬉しかったし、同じハーローワークで春日さんの同僚の女性も次の職を見つけようとしていた様子も見れてよかった。野本さんと春日さんはとうとう引っ越して同居を始めたし、皆さん前に進んでますね。めでたしめでたし。

彼女達のこの先も描かれるのかな。いつかまた次が見たいな。

このドラマは登場人物が女性ばかりなのですね。野本さんの同僚の男性が一人いるだけで、他は全て女性ばかり。それに全く違和感がないのは、女性達がお互いを思いやって助け合う姿がとても心地よいからだろうと思う。それだけでも和み。穏やかな癒し系の心地よいドラマ。素敵なドラマ。


さてこのシーズン2では、野本さんと春日さんがレズビアンだと自認して、そのつもりでゆっくりと前に進むプロセスが描かれた。なんとかうまくいきそうですが私は彼女達の関係がしばらく不思議だった。

彼女達のやりとりが「お堅い」のですよ。会話の言葉遣いも敬語でフォーマル。ほとんど触れ合うこともない。それがすごく不思議だった。「レズビアン」の言葉は出てくるものの、二人とも手も握らない。それなら女同士の「親友/BFF (Best Friend Forever)」と何が違うのだろうと思った。だからもしかしたら野本さんと春日さんは30代半ばまでずっとアセクシュアルで生きてきて、(新しく知る)女性同士の穏やかな友情が心地よい人達なのかなとも思った。ハグをしなくてもいい関係。お互いにただ「あなたが好き」なだけの関係なのかも。(矢子さん(ともさかりえ)がそうだと言ってましたね)

そうしたら最終回でキスしたので、ああやっぱりそうなのかと思った。じゃあよかったですね。どんどん仲良くすればいい笑。 

…しかしいきなり言葉で確認してからチューにいったのでびっくりしたわ。もっとカジュアルでもいいのにね笑 自然に肩を寄せあったり、腕を組んだり、頭と頭を近づけたり引き寄せたり、頬に触ってニヤニヤするとか…もっと自然な流れの触れ合い方があると思うぞ笑。


「レズビアン」や「ゲイ」の人々とはたまたま好きな人が同性だっただけで、二人がお互いを好きならその気持ちはヘテロの恋人同士と同じだろうと思う。好きな二人だから一緒にいたいだけ。「同性愛」などと言葉で言うからそればかりを想像しがちだけれど、人と人の関係は性欲とSEXが全てではない。

だから野本さんと春日さんの大変礼儀正しい(距離のある)やり取りを見ていて、この二人はお互いに触らなくてもいいのかな~と思っていた。でもこれからはもっと腕を組んだり、肩に手を置いたり、お互いに好きだからこそ自然に相手の温もりが感じられるようになればもっと嬉しいと思う。まぁそれを見せるドラマでもないのだろうとは思うけれど。

今回少し歩み寄れてよかったですね。ほっとした。もっと楽しくなるね。よかったよかった。

コロッケがおいしそうだった。作りたくなった。


2024年2月27日火曜日

NHK BSプレミアム・プレミアムドラマ『仮想儀礼』全10話



TV Japanにて。NHK BSプレミアム4Kの「プレミアムドラマ」枠で放送されたテレビドラマ。オリジナルの放送は2023年12月3日から2月11日 まで。


面白かった…深い、interesting…興味深いと言うべきか。これほど予想に反する展開になっていくとは思っていなかった。軽い気持ちで見始めたら(時々疑問を感じながらも)どんどん引き込まれて抜け出せなくなったのはまるで私も新興宗教に入ったような気がするほどだった。珍しいタイプのドラマだと思う。



★ネタバレ注意


最初はコメディだと思った。だって設定からおかしい。そんなのがうまくいくわけないじゃん…と笑いながら見ていたと思う。

主人公は元・エリート公務員・鈴木正彦(青柳翔)。そしていいかげんな男・元・ゲーム会社社員・矢口誠(大東駿介)。この二人が職を失って収入がなくなったことから、とりあえず金儲けのために新興宗教を立ち上げる。もちろんうそ。全部うそ宗教。なんちゃって宗教。最初はそんな「なんちゃって」に溢れた面白い系のコメディだとばかり思っていた。

ところが大変深刻な話だった。いや私にはかなりホラー系。最後まで「これってどうなの?リアルなのか?マジか?」首を傾げながら見続けた。否定しているわけではない。すっかり引き込まれているのに信じたくないような話…とでも言おうか。考えさせられる話だった。


主人公の二人が新しく起こした新興宗教の教団名は「聖泉真法会(せいせんしんぽうかい)」。教祖様・鈴木正彦 は元々は大変真面目で常識的な人物で、その穏やかな語り口のせいなのだろう、教団を立ち上げてから次第に人々(特におばちゃん達=石野真子・峯村リエ)を信者にしていく。確かに正彦が真面目な好青年のうえ、お顔もちょっといい男なのもリアルなのだろうと思った。おばちゃん達が訪問販売に来たハンサムな若者にちょっと嬉しくなるのと同じようなものだろうか。そんな風にほのぼの和気あいあいと、このなんちゃって教団が信者を増やしていくのも楽しく見ていた。

雰囲気が変わったのは、高校生・竹内由宇太(齋藤潤)が事件を起こした時。殺人…これはもう後戻りできない内容。「どうするんだこれ」と驚いた。もうコメディではないだろう。ところが由宇太の事件の後も、 鈴木正彦と矢口誠は何事もなかったように教団を運営し続ける。由宇太の話も出てこなくなったままストーリーは進む。その辺りに違和感を感じながら見た。

殺人事件が出てきたらもうおしまいじゃないのか?

…そこでドラマがおしまいにならならなかったのは、その時点ですでに主人公達ももう後戻りが出来なかったからなのだろう。いやしかし…もうやめた方がいいよと毎回思いながら見続けた。気分もよくないのでもう見るのをやめようかな…と何度も思った。殺人をスルーしてまで続ける話じゃないだろうと思った。


ところがドラマにはますますハマっていく。私もドラマから抜けられなくなる。次はどうなるのだろうと思って次も見る。そして話も深みにはまっていく。全部見終わって今思い返せば、おそらくドラマとしてもうまいのだろうと思う。まさか、そりゃないだろうと思いながらも次が見たくなる。やめられなくなる。

結局その後も話は進んでますます深みに嵌っていき、また犠牲者、最後は急カーブをするように話がかなり深刻に…仲間割れして信者の暴走、また犠牲者が出る。もう見ていられないほどの苦しさ。しかしだからこそ最後まで見届けたいとすっかり話に飲み込まれた。

最終…正彦と暴走した信者達は罪を償うことになる。


しかしなぜ彼らは途中で止められなかったのだろう。高校生・由宇太の事件の時に止めておくべきだったのに…。 しかし正彦も誠も真面目な人達だったからこそ、その時点ですでに教団を信じてくれている信者たちに「これは全部嘘だ」と真実を告げる勇気はなかったのかもしれぬ。信者たちをがっかりさせたくなかったのだろう。そして愚かにも「なんとかなる」と自らを過信していたのかもしれない。まるで(信者たちを騙している側の)正彦と誠も、自分達の起こした新興宗教に絡めとられて抜け出せなくなったかのように。それが怖い。

人の弱さを描いた話なのかもしれぬ。救いを求めた信者達だけではない。嘘をつき続けた正彦と誠も、間違いだとはわかっていても教団を解散して終わらせることができなかった。それも人の弱さ。なんとも言葉にするのも難しいほどの深いテーマだと思う。終わった後も色々と考えさせらる。


俳優さん達が皆素晴らしい。特に主人公のお二人、青柳翔さんと大東駿介さんがすごかった。最初はコメディかと思ったドラマが、同じ俳優さん達によって最後に「怖い」話に変わっていく様子がすごいと思った。

最後にカウンセラーを目指す元信者・徳岡雅子(松井玲奈)に希望が見えた。如月秋瞑(美波)はこれからどうするのだろう。そしてあれだけのことを経験しながら元の教団に戻った島森麻子(河井青葉)には何とも言えない気持ちになる。さて伊藤真実(川島鈴遥)の最後はどういうことだろう???わからなかったぞ。

彼らにとって宗教はなぜ必要なのだろう?


2024年2月17日土曜日

NHK 夜ドラ『作りたい女と食べたい女』シーズン2・第22話



TV Japan にて。1話15分。シーズン2の日本での初回放送は2024年1月29日から。


★ネタバレ注意


なんかとても幸せな展開になった。いい。とてもよい。よしよし。いいことです。

野本さん(比嘉愛未)がどうやらとても奥手の方らしくて、レズビアンと言葉は出てきても御本人もまだ自分の感情に戸惑っているらしく、このお二人はこれからいったいどうなるのだろうと思っていたけれど、無理なく自然にとても幸せな方向にいった様子。いいですね~。

春日さん(西野恵未)がしっかりと意思表示をしてくれて野本さんをリードしてくれるような感じもあっていい。野本さんがとても嬉しそう。うぶな女の子みたいに。かわい~。いい感じ。うれしそうだネ。

春日さんが「野本さんと一緒に~」と言った時、私は思わず胸の前に両手を上げてパチパチパチパチと手を叩いた。よかったわ。春日さん素敵。いいなぁ~。いい話。

好きな心は同じですよね。男女でも同性でも同じ。二人が嬉しいなら、幸せならそれでよし。いいことです。

ご飯を作って食べる二人…のドラマは『きのう何食べた?』も同じテーマですが、二人が男女であれ同性であれ、とてもいい幸せの形だと思う。ご飯を一緒に食べて「おいしいね~」と言い合えるって幸せなこと。だからこの二つのドラマを見ているとほのぼの嬉しくなる。

ところで野本さんが20話で、バレンタインの日に向けてフォンダンショコラを作っていたけれどすご~く手間がかかるのだと驚いた。中身がトロっとしてとても美味しいけれど…あれは作るのは大変そうだな。


2024年2月8日木曜日

NHK 夜ドラ『作りたい女と食べたい女』シーズン2・第17話



TV Japan にて。1話15分。シーズン2の日本での初回放送は2024年1月29日から。


現在放送中の夜ドラ『作りたい女と食べたい女』。シーズン2が終わってから全体の感想を書こうと思っていたのだけれど、 第17話がとても良かったので記録します。


先日、テレビ東京系の『きのう何食べた? 』の感想を書いたのだけれど、あのドラマが男性カップルの「ごはんもの」ドラマなら、こちらは女性二人の「ごはんもの」ドラマ。TV Japanでは今現在2作品が同時進行で放送されているので、どちらもほのぼのと癒されながら見ている。

『作りたい女と食べたい女』のシーズン1は以前放送されたのを見ていたと思うが最後を見逃していたので、今年1月に再度放送されたものを見た。


このドラマシリーズの主人公は野本さん(比嘉愛未)と春日さん(西野恵未)。女性二人が共にご飯を作り共に食べながら親しくなっていく話。



★ネタバレ注意



昨日、 第17話で心が温かくなったのでそのことを書こう。

第17話はシーズン2の新しいキャラクター・南雲さん(藤吉夏鈴)が、メインのお二人と初めて打ち解けるエピソード。内気な南雲さんは初めて野本さんの家に招かれ、春日さんと3人でドーナツを作る。

南雲さんは人と食事ができない。そのために彼女はそれまでにも人との関係でうまくいかないことが多かった。しかし野本さんと春日さんの気遣いで南雲さんは心を開いていく。南雲さんがとても嬉しそうに笑顔になる様子に心が温かくなった。なんて優しいドラマだろう。


南雲さんにはできないことがある。人と少し「違う」。そのことを自分でも気にしている。そのために彼女は人との関係で辛い思いをしている。

そのことを知った野本さんと春日さんは、南雲さんを(彼女の辛さも含めて)そのまま受け入れる。そして3人は一緒にドーナツを作り穏やかな楽しい時を過ごす。脚本の台詞のひとつひとつ、俳優さん達の表情が優しい。見ているこちらも「ああよかった」と嬉しくなる。

人と人が皆彼女たちのように優しい関係になれるならいいのに。


二人は南雲さんが「違う」ことを気にするわけでもなく、拒否するわけでもない。南雲さんをそのまま受け入れて自然にふるまう。二人は南雲さんに対して「これ食べない?おいしいわよ、どうして食べないの?」などとは決して言わない。南雲さんが「食べられなく」ても、二人は南雲さんの前でドーナツをおいしそうに食べる。その二人の「おしつけない」優しさ、自然さに、南雲さんもミルクティーを飲みながら打ち解けていく「…飲み物だけでもいいって、食べなくても大丈夫って言ってもらえるのはすごく楽なんだなって気付けました」。そして野本さんから「ドーナツを家に持って帰りませんか。おうちでなら食べられますか?」と聞かれて頷き…「今は食べられないけど、明日楽しみに食べます」と嬉しそう。それに対して野本さんが「よかったです」と笑顔。

会話のひとつひとつが細やかな優しい思いやり。うわ~すごいな~と思った。気遣いながらも気を遣い過ぎない優しさ。ちょっと感動した。南雲さんが嬉しそうでよかったです。


『きのう何食べた? 』の時にも思ったけれど、人が人に優しい話はいい。癒されますね。


あ そうだ もうひとつ。
3人が野本さんちのコタツに入って向かい合い、ボールに入ったドーナツの生地を囲んでいるシーン。
野本さんが夜にドーナツを作る自分のことを「…やばいやつみたいですね」と言えば、南雲さんは「いやいや…すごいなって…」と返す。そこで春日さんが南雲さんに向かって「すごいんですよ、野本さんは」と言う。それを聞いて春日さんの横顔を見つめる野本さんがとても嬉しそうだった。


日本テレビ 新春サスペンスドラマ『侵入者たちの晩餐』



TV Japanで1月に放送されたものを視聴。日本での放送は2024年1月3日。お正月のドラマ。


面白かったです。脚本はバカリズムさん。お笑いの方ですね。いい意味で全編コント。すごく面白かった。

リアリティとかそういうものを求めるドラマではない。3人の女性達(菊地凛子、平岩紙、吉田羊)が泥棒に入る話ですが…設定そのものが可笑しい。3人の台詞もいちいちコント。内容を聞きながらそんなわけないやんと思いながら見る笑。

妙な設定から始まって話がどんどん展開していく。予想していなかった。まぁその展開もそんなわけないやん…の連続なのですがコントならOK。コントがどんどん繋がっていく。

もう一人の空き巣(池松壮亮)も真面目にコント。必死の表情が可笑しい。そしてコンシェルジュ(角田晃広)も突然登場してびっくりする。彼には彼の事情があるのね。

そして最後に吉田羊さんと白石麻衣さんの繋がりがわかった時点で私は手を叩いて喜んだ。よくやったよくやった笑。最初は吉田羊さんのキャラはなんのためにいるのかと思っていたわ。

私は普段から日本のお笑いを全く見ないのでこのコント風ドラマはすごく面白かったです。俳優さん達も真面目にコントをやっているのがおかしい。菊地凛子さんの化け具合がすごいぞ。

このタイプの展開が面白い映画は三谷幸喜さんを思い出す。新しい登場人物が加わって展開していくのが面白い。これは舞台劇も出来そう。

それからこういう無邪気なドタバタのドラマは、実はシェークスピアの舞台劇や仏の劇作家ボーマルシェ原作のモーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』にも通じるものがありますね。昔の時代のコメディはこういう感じですよね。

さて最後の豚さんはどうなった?あれが証拠になったのだっけ?
空き巣くんはどうなった?


2024年2月7日水曜日

紅白歌合戦観戦記 2023/12/31



忘れたころにやってくる紅白の感想。先日気合を入れて全部見直した、聴きなおした。いや~やっぱりすごいわ紅白、ものすごいエネルギーの番組。やっぱり特別な歌番組。ヘッドフォンをして歌を全部聴いたらへとへとになった。


今年はKpopのグループが多かったようで巷では賛否両論だったらしい。私も去年出演者が発表になった時には「なんで日本の歌番組なのに?」と思わないでもなかったのだけれど、結果いいグループも見れたし華やかでよかった。Yoasobiの「Idol」にぞろぞろ出てきたのもよかった。

彼らKpopのグループを見ていて思ったのは、今の日本の若者にとってのKpopとは、40年ぐらい前の私の若い頃の「洋楽」と同じなのだろうということ。私達の世代が40年前にQueenやCheap Trick、Japan、Kiss、Van Halen、Michael Jacksonなどを聴いて騒いでいたのと同じではないか。もし1980年当時の紅白に Van Halenが出ていたら、きっと親の世代には理解されなかっただろう笑。それと同じなのだろうと思った。今は洋楽があまり聴かれていないらしいし、時代は変わったのですね。


そして特別なお方のことをまず書いておこう。MISIAさん。私にとって彼女は別枠。MISIAさんの声はありがたい年の締めくくり。毎年最後にMISIAさんの声を聴くと心が浄化される。まるで1年の煩悩が払われるようだ。彼女の歌を聴いていい気持になって年越しをする。
ありがと~💕。


さて今回は感想の構成を変えようと思った。出演者と曲をジャンル分けして、それぞれの枠の中から特に良かったものを選択し感想を書こうと思った。そのジャンルは…

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★演歌枠
★日アイドル+Kpop枠
★初出演枠
★中堅枠
★懐メロ枠

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★演歌枠
大変重要。紅白に演歌は大切。この枠は良く知られた曲が歌われることが多く「懐メロ/おなじみ枠」でもありますが、曲に馴染みがあるからこそパフォーマンスの素晴らしさに魅せられる。若い世代の曲がダンスや曲の面白さに比重を置いているのに対して、演歌の方々は「歌」で勝負。それは本当に本当に大切。1年に一度の演歌に触れる機会。じっくりと歌声に聴き惚れる。演歌枠の歌手の方々は全員が素晴らしい。

★日アイドル+Kpop枠
若者に人気のアイドル。特にKpopの最先端ポップスが面白い。この枠のグループはダンスがパフォーマンスのメインになっていることが多いけれど、その中で曲が好きだったものを記録。

★初出演枠
紅白初登場枠。ここにも面白い楽曲が並んでいる。パフォーマンスの若いエネルギーに注目。

★中堅枠
ショーの中心に位置する実力派の方々。楽曲、パフォーマンス、実力が焦点。この枠の方々は全員が力のある方々なので、私が個人的に好きだったパフォーマンス、曲が好きだったアーティストを記録。

★懐メロ枠
この枠の多くは1980年前後に流行ったか、当時アイドルやビッグネームだった方々の枠。ターゲットのオーディエンスは今の60歳前後から上は80歳ぐらいまでだろうか。アラ還の視聴者が子供の頃(キャンディーズ)からティーンの頃、そして20代に流行っていた曲。全て懐かしく嬉しい枠。その中から特に印象に残ったパフォーマンスを。


今回はパフォーマンスのみならず楽曲もしっかりと知ろうと思った。特に初めて聴いた曲は、紅白で見ていいと思ったら動画サイトに行ってスタジオver.も聴いてみた。



2023年12月31日
紅白歌合戦
NHKホール


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★演歌枠
全員好き。山下さんの笑顔も三山さんの力強さも…みんなみんなみんな安心して聴き惚れる。

27 坂本冬美(35) - 夜桜お七
かっこよかった。冬美さんは本当に艶っぽくて素敵💕 お美しい。いつも綺麗なお姉さん。声も絶品。ワタクシ冬美さんにはいつもデレデレなのだな。今回のアレンジはビートが激しくてダンスver. かと思った。BE:FIRSTとJO1の男の子達を引き連れてのパフォーマンス。男の子達が忙しく踊っているその中心で、冬美さんは女王様のように輝いていた。


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★日アイドル+Kpop枠
これから楽しみな若い才能。歌にダンスにとメンバーの努力が形になっている枠。

 4 Stray Kids(初) - CASE 143 -Japanese ver.-
曲がいい。いかにもKpop調。Kpopの面白さは印象の全く違うパーツがいくつも合わさって1曲としてまとまっていること。独特です。実験的。これも見事に曲としてまとまっている。ポップスの未来。洋楽のダンス曲を聴いていてもこういうのはあまりないのですよ。特にこの曲はメンバーの声の違い(低音と高音)を効果的に使っていてそれも面白い。コーラス/サビの低音の男の子の声にびっくりする。それぞれのパーツは全く別の曲のようだ。曲は面白いしメンバーはルックスがよくて全員歌もダンスも上手いしとにかく質が高い。この曲とグループが知れてよかったです。

 13 BE:FIRST(2) - Boom Boom Back
曲が素晴らしい。日本語を乗せたヒップホップ。思わず一緒に踊り始める。BE:FIRSTのことは去年も歌が上手かったのでよく覚えている。今年の紅白でも歌ってた。踊りながらこれだけ歌える。BE:FIRSTは歌が上手い実力派のグループ。すごくかっこいい。作曲は米国LAのヒップホップ界の方々で歌詞は日本のSKY-HIさん。

 22 SEVENTEEN(初)-  舞い落ちる花びら (Fallin' Flower)
これも曲が素晴らしい。綺麗な曲。琴線に触れる。日本語の歌詞も切なくていい。日本語が曲に綺麗に乗っている。この曲はSEVENTEENのリーダーのWoozi(Lee Ji-hoon)さんの作詞作曲だそうだ。Wooziさんは元々クラシック音楽を学んだ方でSEVENTEENのほとんどの曲を書いていらっしゃるそう。様々なパーツが心地よく組み合わさった優しい響きの曲。パフォーマンスもそれぞれの声の違いを活かしていて素晴らしい。ドギョムさんという方がソロで左耳のイヤモニを外して日本語で丁寧に歌っていた。ちょっと嬉しいですね。


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★初出演枠
発見の多い枠。面白い。

● 1 新しい学校のリーダーズ(初) - オトナブルー 
面白い。このグループの女の子達のファンになった。ボーカルのすずかさんのカリスマ。ガニ股でどーんと踏み出す様子も心地よし。紅白の大きなステージでも堂々としていて途中で有吉さんにも話しかけながら歌う余裕。ユーモア満載。全員笑顔で楽しそうだ。全員歌が上手いからコーラスのパートもハモって心地よい。いいグループ。所属がアソビシステムなのですね。さすが。この曲は山本リンダかと思ったが、よく聴いてみると80年代のシンセポップの香りもする。

 8 キタニタツヤ(初) - 青のすみか
いい曲。いまどきのJ-popのバンドの音。日本独特だと思います。音数が多くて忙しいリズムに綺麗なメロディーが乗っている。疾走感のある気持ちのいい曲。キタニタツヤさんはソロの活動とともにボカロPとしての活動もなさったそう。キタニさんは1996年生まれの27歳…このお方は東大を出てるの?ふぉおおおおすごぉおおおおおおぃそちらにもっと驚いた。

 26 Mrs. GREEN APPLE(初) - ダンスホール
歌が上手い。空気を切り裂くようによく通る声。キャッチーな歌だけれど歌うのはすごく難しい曲だと思う。ステージ上で場を支配するカリスマもあって余裕の初出演。バンドも上手い。ボーカルの大森元貴さんも1996年生まれの27歳。このバンドも今のJpopの実力派バンドですね。知ることが出来てよかった。

 29 10-FEET(初) - 第ゼロ感
このバンドはびっくりした。あまりにも直球、ストレートでゴリゴリ王道の男前ハードロック。イントロの音圧でぉおおおおおおと盛り上がった。メタリカかと思ったわ。声もがさっとして男前。今どきのJpopは小技の細かい複雑な曲が多いので、この曲のような王道のハードロックは私の世代には直球で響きます。紅白ではベースの方の開脚にも驚いた。


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★中堅枠
実力のある今のアーティストの方々。若い方々も年長の方々も皆うまい。

● 9 緑黄色社会(2) - キャラクター
曲がいい。今年は2回目。緑黄色社会の曲は去年もホーンセクションの入ったアレンジがいいと思った。今年の「キャラクター」を聴いていて「これはいまどきのシティポップなのだろう」と思った…1980年頃のシティポップの孫。1980年初期にEPOさんが歌いそうなキャッチーな曲。思わず一緒に歌いたくなる。しかしサビの音の上下は歌うのがすごく難しい。途中のギターやピアノ音がいかにもシティポップ調。心地よいフュージョン系バンドの音にところどころ今の音がプラスされている。

 32 Official髭男dism(4) - Chessboard
この実力派のバンドは今回の紅白のハイライトのひとつです。いい曲、素晴らしい歌詞、上手いバンド。上手いボーカル、それに中学生のコーラスも入って素晴らしかった。今年の紅白にはQueenも出ていましたが、今回の Official髭男dismは本家のQueen以上に全盛期のQueenを思い出した。髭男はなにからなにまで上手い。全てが王道。そして歌詞がまた素晴らしい。この曲に出会えてよかった。

 37 星野源(9) - 生命体
このお方もうまい。私が星野さんを知ったのは最初は俳優さんからなのだけれど、彼は超プロのミュージシャン。上手い歌。バンドが上手い。キレがいい。星野さんの歌がどんどん進化しているのもすごい。私は彼の初期の紅白出演の頃は正直歌が弱いのかと思っていた。それなのに今の星野さんはうまいうまいうまい。この紅白の星野さんのボーカルは全く音を外さなかった。歌うのが非常に難しい歌だと思うのに上手い!フュージョンバンドにストリングも入れたライブが素晴らしい。

● 48 YOASOBI(3) - アイドル
曲がいい。いかにもいまどきのボカロ曲的な日本の歌。複雑ですね。アジア/日本ならではの「アイドル」がテーマ。歌詞もすごくいい。いくらさんの声もボカロ的。それからこの曲はこれほど複雑なスタイルの曲なのにライブではバンドで演奏されているのですね。日韓のアイドルがぞろぞろ出てきたのが面白かった。これほど豪華なものはもう2度と見ることはないだろう。全員アイドルですもんね。熱量がすごくて面白かった。


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★懐メロ枠
最後は懐メロです。全て馴染みの曲で嬉しいコーナー。しかし実は個人的に知らない懐メロがあった(当時日本にいなかった)。このコーナーは時代と共に変わっていきますね。さらっと感想。

● 35 クイーン+アダム・ランバート - ドント・ストップ・ミー・ナウ
Queenが出たぞ。ブライアン爺とロジャー爺がお元気そうでなにより。アダムさんのクイーンは昔のクイーンとは全然違う…まるでブロードウェイ・クイーン・ミュージカルのようだと思うけれど、曲は懐かしい。一緒に歌うぞ。

● 39 伊藤蘭(初)- キャンディーズ50周年 紅白SPメドレー

ランちゃん。もちろん全曲一緒に歌える。それにしてもランちゃんはお若い。脚が綺麗。そして歌が上手い。すごいと思った。会場のおっさん達がとても嬉しそうだ。私も仲間に入りたい。

● 41 薬師丸ひろ子 - セーター服と機関銃
薬師丸さんもデビューの頃から見てますよ。今の方が声がいい。歌がものすごく上手い。心地よい綺麗な声。彼女はなんと素敵なマダムになったのだろう。彼女の声に聴き惚れうっとりする。キーボードに井上鑑さんがいる。

● 41 寺尾 聰 - ルビーの指輪
バンドが超かっこいい。バリバリのフュージョンバンド。バンドの音が生々しくてかっこいい。井上鑑さんがキーボードだ。寺尾さんは全くお声が変わらない。すごいわ。バンド全体がものすごくかっこいい。この曲も一緒に歌う。

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2024年2月1日木曜日

テレビ東京 ドラマ24『きのう何食べた? 』シーズン2・第5話 史朗の元カレ登場!幸せ…涙のクリスマス



テレビ東京系のドラマ24『テレビ東京ドラマ24』。ここではTV Japanにて。日本での放送は2023年10月7日(6日深夜)から12月23日(22日深夜)まで。この5話は2023年11月4日放送。


いい話。すごくいい話。

シーズン2からTVでやっているのを見つけて録画予約。だんだん馴染んで楽しくなってきた。このドラマは共に暮らすゲイのカップル・筧史朗さん(西島秀俊)と矢吹賢二さん(内野聖陽)のストーリー。シロさんが料理が上手で、1話毎に料理のシーンが出てくる。

そしてこの第5話はクリスマスの頃の話。シロさんが(あまり幸せではなかった)元恋人との関係を思い出しながら、今のケンジさんとの穏やかな幸せを噛み締めるという話。私もじわっときました。泣きそうになった。いい話よ。


★ネタバレ注意


西島秀俊さんと内野聖陽がかわいいのでおもしろいな~と思いながら見ている。毎回本当に微笑ましい。尺が30分というのもさらっと気楽に見れていい。…と思っていたら今回は思わず泣かされてしまった。

元々は他人同士の二人の人間が寄り添って、お互いを思いやり助け合いながら共に幸せな時を過ごす…それが人と人の理想の関係で、このドラマの第5話にはそのことがよく描かれていると心が温かくなった。

ケンジさんはシロさんが大好きなのね。だから洗濯機用の排水溝が詰まっていればシロさんが困らないように黙って延長ホースを買ってくる。頼まなくても洗濯物にはアイロンをかけて綺麗に畳んでくれているし、玉ねぎが足りなければ「ちょっと買ってくるね」と言って出かける。ケンジさんの言葉や表情がシロさんにいちいち「あなたが大好き」だと伝えてくる。本当にかわいい。なんて微笑ましいんだろう。

シロさんがそんなケンジさんの気遣いと思いやりを見て、昔の恋人との荒れた関係を思い出し、今の自分がいかに幸せなのかを噛み締めて涙ぐむ「そうか、俺は今幸せなんだ」。すごくいい表情。 私も涙ぐんだわ。ほんとにいい話だ。

そしてリラックスできる大好きな相手と一緒に食事をして「これおいしいねぇ」と微笑み合う。これは幸せのカタチですね。


このお二人に愛着が沸いてきた。癒し。

俳優さんのお二人はヘテロな方々なのにケミストリーがよくてすごくいい。お二人ともお互いを見る目が優しい。一緒にいるとすごく楽しそうだ。

クリスマスといえば、この回のメニューはビーフシチューですぞ。うちと一緒だ(うちは翌日に食べたけど)。なんだか嬉しくなった。今年もボギニョンにするか。


2024年1月14日日曜日

日本テレビ 水曜ドラマ『コタツがない家』第10話 クリスマスの奇跡



日本テレビ系の水曜ドラマ『コタツがない家』。TV Japanにて。
日本での放送は2023年10月18日より


年末の最終話の放送を見てそのままになっていた。全話拝見しました。面白かったです。

このドラマはハマった。上手い俳優さん達が揃っていていい。キャラクターも色々。それぞれに愛着が沸いて彼らを見るのが毎回楽しかった。特に深堀家のダイニングでのシーンが最高。コントの舞台劇のよう。全員ノリノリ。特に爺ちゃんの小林薫さんが最高におかしい。巧み。劇のリズムがいい。全員がすごくいい。


最終話/第10話もいいシーンがあった。クリスマス当日の深堀家でのディナー・パーティーのシーン。爺ちゃん達男(小林薫)が熊さん(西堀亮)を誘うが断られ、息子・順基(作間龍斗)とガールフレンドは帰ってこない。結局深堀家夫婦と爺ちゃん、そして独り身の師島君(河野真也)で4人のディナーになった。皆で囲んだテーブルの向こう端にはターキーの丸焼き。サンタの格好をした師島くんがターキーを切る。悠作(吉岡秀隆)がトナカイの帽子を被る。そこで深堀家の言い争い勃発。

ふと気付くと師島君がサンタ服を脱いで頭を下げながら「帰ったほうがよろしいですか」と言う。

え? いつのまにサンタ服脱いでたの?????笑

思わず巻き戻して(今は何と言えばよいのだ?)言い争いの場面を見直した。

…家族の言い争いが始まると師島君がひっそりとサンタ服を脱いでた笑笑笑笑笑笑。全く見ていなかったわ。一人で「いたたまれない師島君」の演技をなさってました。

人の注意力は面白いね。師島君が家族の言い争いの間にサンタ服を脱いでいたとは全く気付かなかった。驚いた。まったく見ていなかった。だから巻き戻して見直してびっくり。また笑う笑う。すごくおかしい。

そして順基が帰ってくる…ダウンコートを着てる!!!また言い争い勃発。順基が「仁さんだよ…」と言えば「ぴっ」と笛が鳴る笑笑笑笑。爺ちゃんのむっとした顔。「指輪…」の言葉で「カーン」とゴングが鳴る。…この家族は止まらない笑笑笑笑。最高  いつのまにか師島君がまたサンタ服を着てる。椅子の上にはサンタのチョーさん。全部がコント。絶妙なタイミングのコント。すご~い。


そして最後に爺ちゃん…おい~、それはないぜ!

私もし家に「あのようなもの」が突然現れたら怒るね。ものすごく怒る。大変やん。異様。爺ちゃんすごい買い物をしたもんだわ笑。男たちが皆で脱ぎ始めるコント笑笑笑。…でもなんだか最後は皆笑顔。

楽しかったです。全員に親しみがわいて毎週楽しみでした。これで終わったのが名残惜しい。悠作ちゃんはとうとう結果を出したわけね。それがドラマになっているという。いいオチ。綺麗にまとまった。


すごく楽しいドラマでした。 悠作ちゃんのだらしのなさのリアルさに感心し、口の立つ高校生・順基の屁理屈が面白く思わず拍手をし、爺ちゃんの暴走に毎回笑う。そして万里江さん(小池栄子)の輝きとカリスマに安心し魅せられる。お洒落なお婆ちゃん(高橋惠子)の自由さも素敵、ダンディーな土門さん(北村一輝)、れいらちゃん(平澤宏々路)の可愛さ、そして師島君と熊さんもすごくいいキャラ。皆さんがすごく印象に残るドラマ。

そしてチョーさん。あの猫さんはなぜあれほどおとなしいのだろう。クリスマスの日はサンタの帽子をおとなしく被っていた。えらいね。なぜあんなに沢山の人々に囲まれてじっとしていられるのだろう。たまにイカミミで悠作ちゃんを嫌がってましたね笑。とにかくチョーさんがおとなしいのでタレント猫さんはすごいなと思った。…うちの猫は隠れて出てこなくなるから絶対に無理。


最後は悠作ちゃんの漫画が完成してまとまったけれど、この家族はまた見たいな~。時々また深堀家の話が見たいな~と思いながら見終わった。面白かったです。感謝感謝。



2023年12月22日金曜日

TBS 日曜劇場『下剋上球児』第10話/最終話



TBS 日曜劇場『下剋上球児』。日本での放送は2023年10月15日から。TV Japanにて。


今見終わった。よかった~。面白かった。なによりも若い俳優さん達の野球の場面がいい。珠玉。本当にいい俳優さん達だ。彼らのことはきっと忘れない。

まずこのドラマで初めて出会った若い俳優さん達の名前をメモしておこう。私が気合を入れて見たのが第9話と10話なので印象に残った2018年の3年生の選手達。

犬塚翔(中沢元紀) エース・ピッチャーの翔くん。
椿谷真倫(伊藤あさひ) 目の大きな細面のキャプテン
久我原篤史(橘 優輝)カールロン毛の俊足
根室知廣(兵頭功海) ハンサムな悩み多いピッチャー
楡伸次郎(生田俊平) がっしり本物の球児っぽい
日沖壮磨(小林虎之介) 坊主頭のキャッチャーかわいい

みんな素晴らしかったです。本物の選手のようだった。本当の野球の試合を見ているようにドキドキした。彼らの輝きが見れたことがこのドラマの一番よかったところ。皆さん表情が素晴らしい。いい役者さん達。瑞々しい。この若者達のこれからのご活躍を楽しみにしてます。

役者さん達の表情や動きが素晴らしいのは、撮影のスタッフの方々にスポーツを印象的に撮る技があったのだろうと思う。臨場感のある野球のシーンに興奮しました。人物達の繊細な表情の変化を捉えるカメラも編集も素晴らしかった。例えば翔君と根室君の繊細な表情の変化。彼らは試合中と普段の表情が全く違う。それを捉えるカメラもすごいし、その一瞬の表情の変化を効果的に使う編集も素晴らしい。



★ネタバレ注意






県大会の決勝での勝利の後、遠征の資金集めの様子を描き、場面が切り替わって2023年の様子。おっと変化球がきた。その後の選手達の様子は同窓会で描かれる。なるほどな~そういう描き方なのか~。いいと思う。皆それぞれの道を歩んでいるのね。感慨深い。

甲子園での試合の内容はドラマでは描いていない。出場した8月11日のその日、選手たちが球場に入場して観客の歓声を聞くシーンに感動する。皆よかったね。よかったよかった。そして次の場面では試合が終わって、スローモーションの映像の中の選手達。後ろに映ったスコアボードの数字は……。あ~…そうか~。そうだったのか~。それでも選手たちに悔いはなさそうだ。みんないい表情。すごくいい場面だと思った。そうだね。人生は色々ある。でも彼らが甲子園に行ったのは事実。な~んてまた感動してしまう。

というわけで最終話もよかった。第9話と第10話ですっかり選手達のファンになってしまった。


全体のことを少し。

このドラマは中心に据える話を間違えたのではないかと思う。私は第9話でやっとスイッチが入った者なのであまり大きなことは言えないが、だからこそその理由を書いておこうと思う。私が第9話でやっとスイッチが入った理由は、選手達の野球の試合の様子が素晴らしかったから。若い俳優さん達の頑張りが素敵だったから。皆の真剣な表情がかっこいいと思ったから。だから彼らのことをもっとしっかりと最初から見ていればよかったと今少し後悔している。

問題はこのドラマのフォーカルポイントが野球選手達ではなかったこと。高校野球の話でありながら、ドラマのフォーカルポイントは南雲先生(鈴木亮平)の偽教員免許の話。実はそのせいで私はドラマの途中で少し興味を失った。それから犬塚おじい(小日向文世)のスポンサーシップ云々の話もあった。高校野球の話なのに先生の話や父兄の話の割合が多くていったいこれはなんの話なのだろうと戸惑った。一時期気持ちが離れてしまい、もしかしたら途中で脱落するかもと思った。

見続けてよかった。

だからもったいないと思ったのよ。もし最初から高校生達一人一人をそれぞれを深く掘り下げて、彼らをメインにして皆それぞれのストーリーがありながらも最後は甲子園に立つ…みたいな話にすればもっと感動したと思う。越山高校の野球部の選手達のことをもっと知りたかった。

おそらく制作的には、そしてテレビ局としては、まず有名な俳優さん達を主に持ってきて「視聴者の興味を引く」という意図があったのだろうと思う。確かに私もそれで興味を持ったのは事実。しかし実際にドラマを見たら、有名な俳優さん達よりも若い俳優さん達の方が魅力的に見えてしまっていた。

もちろん鈴木さんを始めとする全ての俳優さん達も皆素晴らしかったです。問題は話の構成。このドラマが何を描きたいのかが途中でわかり辛くなっていたと思う。


それにしてもあの若い男の子達の輝きはなんだろう。みんないい。もし彼らを話の中心として描いていたら、あの俳優さん達はもっと大人気のスターになったんじゃないかと思わずにはいられない。

彼らに出会えてよかった。これからも期待してます。


2023年12月17日日曜日

Superfly – Ashes (2023)・TBC「下剋上球児」主題歌



かっこいい



Superfly – Ashes (2023)
Ashes – Single
Superfly
Released: November 5, 2023
A UNIVERSAL SIGMA release; ℗ 2023 UNIVERSAL MUSIC LLC



TBS 日曜劇場『下剋上球児』の主題歌、Superflyさんの「Ashes」。いい曲です。かっこいい曲。毎回一番盛り上がるところでこの曲がかかる。誰が歌っているのだろうと思っていた。バックの音がバンドの音なのでバンドの曲かと思っていた。調べたらなんと Superfly さん!!!あっ…このお方は上手いお方。伸びる声。あ~そうか~と何度もうなずく。さすがです。

冒頭からアレンジがクリアで非常に気持ちのいい音。楽器の音と声がクリアに聴こえる。だからバンドの曲だろうと思っていた。普段EDMばかり聴いている私の耳にはとても気持ちいい。


それにしてもこの高校野球のドラマの一番熱くなる場面で流れるこの曲、毎回いいと思う。毎回この曲が流れると泣きそうになる。
 

日曜劇場『#下剋上球児』×Superfly「Ashes」
スペシャルコラボMV【TBS】


そして2日前最終回直前にアップされたドラマとのコラボのビデオ。いい。素晴らしい素晴らしい素晴らしい。もうこれを見ながら泣いてるもんね。

なんとかっこいいビデオ。ひとりひとり選手達の真剣な表情が本当にいい。みんな輝いてる。なんと素晴らしい。カメラワークも最高。スローモーションと速いスピードの組み合わせ。編集も最高。若い人達が何かに真剣に打ち込む姿は本当に美しい。みんな悩みながら頑張ってる。感動する。また第9話の録画を見直そう💕


日本では昨日最終回が放送されたらしい。
ここはもうすぐ。楽しみ。




2023年12月15日金曜日

TBS 日曜劇場『下剋上球児』第9話



またまたいいドラマをメモ。
現在放送中のTBS 日曜劇場『下剋上球児』。日本での放送は2023年10月15日から。ここではTV Japanにて。


第9話の準決勝の回がとてもよかった。若い俳優さん達がとてもいい。なんと瑞々しい若者達。彼らの試合の場面が非常に生々しくリアルなので感心して調べたら、皆さん野球の経験のある俳優さん達だったのですね。なるほどやっぱりそうなんだ。

彼らの試合の様子が素晴らしかった。このドラマは様々な野球以外の話も多くて(特に無免許の教師の話などなど)実はなかなか話に集中できなかったのだけれど、この準決勝の試合は良かったぞ。この回は9話のほぼ全部を使って準決勝の試合を描いていて、本当の試合を見ているような気になった。興奮しました。いいね。


準決勝の日。最初にエース・翔くん(中沢元紀)をスタメンからはずし、根室くん(兵頭功海)を投げさせるところからドキドキ。これは爺ちゃん(小日向文世)が怒るぞ。

それにしても根室くんの兵頭さんはいい。このお方は野球をやってましたね…と調べたら彼は「福岡県で準優勝したほどの実力校出身で、投手を務めていた(Wikipedia)」とあった。やっぱり。ところで今TV JapanではWOWOWのドラマ『ドラフトキング』もやっているのだけれど、この兵頭さんはその野球ドラマにも出ています。

そして始まった試合。全編面白かった。編集やカメラの撮り方で臨場感があってすごくよかった。今までいろいろとあった選手達が皆真剣に試合をしていて皆輝いていた。皆かっこよかった。展開も興奮した。

選手達それぞれの表情が本当に素晴らしい。皆試合中の真剣な表情が本当にいい。あれは素の表情をカメラが捉えているのだろうと思う。演技に見えない。


そしてもちろん南雲監督(鈴木亮平)。このドラマで鈴木亮平さんの印象が私の中で変わりました。鈴木さんの今までの印象はどちらかと言えばジェントル・ジャイアント。とにかく紳士的なお方という印象。そしてすぐ泣く(『西郷どん』で思った)。鈴木さんは大柄で紳士的で気配りの人で優しいお父さんタイプでちょっと涙もろい?…そのような印象だったのだけれど、このドラマの試合中の鈴木さんの荒々しさは印象が違う。真剣に怒って怒鳴ってガミガミ言っている。それがいい。とてもいい。

そうなのよ。鈴木さんは普段は優男なので最初は、野球の監督ってどうなのよ?と思った。そしてまたこのドラマは無免許の教師の話もあって、南雲さんが恐縮したり悩んだり泣いたりする場面も沢山あるのだけれど…。しかし試合が始まったら激しいぞ。いいじゃん。昭和のスポ根の先生みたい。南雲監督の真剣さがいい。彼の熱意を受け取って生徒たちも真剣に戦っていた。

そして翔君くんが出てきて…。ひゃ~最後は興奮したわね。


この試合のシーンはどうやって撮ったのだろうと思った。最初に脚本があって、それに沿ってヒットやゴロやスコアの場面を演じて撮ったのだろうと思うけれど、試合の臨場感がすごくて本物の試合を見ているようで面白かったです。

そんなわけで、第9話の試合が大変良かったので記録します。
面白かったわ。

野球いいね。


Superfly – Ashes (2023) TBC「下剋上球児」主題歌


2023年12月13日水曜日

日本テレビ 水曜ドラマ『コタツがない家』第8話 シン・嫉妬怪獣



日本テレビ系の水曜ドラマ『コタツがない家』。TV Japanにて。
日本での放送は2023年10月18日より。


ますます面白い深堀家。人物達に愛着が沸いて毎週楽しみに見てます。すっかりはまった。この8話もすごくいい回だったので感想をメモしておこう。


●山神達男/小林薫
まずこのお父さん/爺ちゃんが最高にいい。愛着が沸いた。彼から目が離せない。この爺ちゃんがかわい過ぎ。昔の昭和のオヤジですね。頑固で自分勝手。自己中。それなのにこのかわいさはなんだろう?微笑ましいのよこのお父さんは。小林薫さんの表情の変化が最高に面白い。まつげもかわいい。
このお父さん、奥さん清美/お母さん(高橋惠子)に離婚を切り出されて別れたけれど今でも未練たらたら。お母さんにボーイフレンドが出来たらすごく狼狽える。娘・万里江(小池栄子)に叱られて家を飛び出し近所の焼き鳥屋で飲んでいたら、後から娘もやってきた。そこでの反省トークもかわいい。落ち込んでしょぼしょぼしてる。

その焼き鳥屋の場面がいい。娘が言う「私がいるじゃないか」…これはね~お父さん、すご~く嬉しいと思いますよ。本当に嬉しいと思う。すごくいい場面。いい話。
このお父さんは奥さんから突然離婚を告げられて、ガールフレンドにも捨てられて、実はとても寂しいと思う。実はとても不安なのだと思う。そんな時に娘が「私がいるじゃない」…これは本当に嬉しいぞ。

そしてこの時の小池栄子さんが本当に綺麗。すごいね。小林薫さんと小池さんのシーンが毎回とてもいい。お二人ともすごく自然。お互いの愛情を感じる。父と娘のいいケミストリー。

なんかさ…この小林薫の昭和オヤジは…うちの父を思い出すのよ。懐かしいわ。父も昭和の不器用な頑固オヤジだったけれどかわいかった。だからこのドラマのお父さんが出てくるとすごく嬉しい。


●息子・深堀順基(作間龍斗)
息子も面白い。前の感想で「高校生がここまで口が立つことはないだろう」と書いたのだけれど、だからこそそれがいいキャラになっている。高校生のキャラが親と完全に同レベルでぽんぽん歯に衣を着せず喋っているのが面白い。親子なのに友達のような関係。今の子供は親とこれほどまでに同レベルになれるのか?

もうずいぶん昔の話だけれど、私は親と年が離れていて親と子の関係が完全に上下関係だったので、高校の頃は親に反抗も口答えも許されず、そのせいでずいぶん長い間心に怒りをため込んだ(だから反抗期が長引いた。40歳ぐらいで反抗した。あまりよくなかった)ので、このドラマの親と子の関係はすごく新鮮。なんかいいな~と思って見ている。親子もこれぐらい早い時期から上下関係なく正直に会話が出来たら、関係がこじれることもないと思う。私はいいと思う。現実の今の親子はどうなのだろうね。

あ…そうだ順基といえば、前回第7話のガールフレンドとの話で、れいらちゃんが「どうなの?」と順基に問い「今も好きだ」と言われて戸惑った後で、彼女が「あたしも~💕」と言った場面がものすごくかわいかった。にやにやした。


●夫・深堀悠作(吉岡秀隆)
んま~このキャラのだらしのなさは秀逸ですよ笑。すごいわ笑笑。 今回、友人テツオ(安田顕)を訪ねて一晩中コタツでだらだら飲み明かす。その風景が学生時代のノリそのまんま。昭和の学生のノリだ。途中でプロレスごっこを始めるし笑。コタツで窓の外がしらじらと白んで夜が明けるまでだらだら飲む。それがすご~くリアル。こういう場面を久しぶりに見た。私も学生時代を思い出した。モテない女ばかりで誰かのアパートに集まって夜通し闇鍋をやった。懐かしいね。

そしてこのシーンを見て思った。優作が11年間も漫画が描けなかったのは、もしかしたら奥さんの建てた家の居心地が良すぎるからではないか。家が綺麗すぎるからではないか。…それが「コタツがない家」ということではないか。あんなに綺麗な家に住んでいると創造力が衰えるのかもね。もしかしたら築40年以上のアパートを借りてむさ苦しい仕事部屋にした方が悠作に創作意欲が沸くかもと思った笑。

悠作の絵を見ていると1980年頃のヘタウマを思い出すのですよ。湯村輝彦さんとか蛭子能収さんとか、みうらじゅんさんとか…あの頃の絵。あの頃のイラストに雰囲気が似ている。昭和のサブカル…だから昭和風味のコタツのシーンにも納得した。


うだうだ書いてますけど思ったことをメモします。このドラマも癖になった。皆に愛着がわいたわ。あ~家族はいいな~。





2023年11月14日火曜日

日本テレビ 水曜ドラマ『コタツがない家』第4話 母の仕事 子知らず



日本テレビ系の水曜ドラマ『コタツがない家』。TV Japanにて。
日本での放送は2023年10月18日より。


このドラマは面白いです。第4話でやっとリズムが掴めた。ノリというのかリズムを掴んだらすごくおかしい大笑いのドラマだとわかった。


このドラマは設定が少し英国のドラマ(米国FX)のドラマ・シリーズ『ブリーダーズ 最愛で憎い宝物/Breeders』に似ている。旦那さんがほぼ無職なのは違うけれど、奥さんがバリバリ仕事をしていてティーンの息子がいる。そこに奥さんのお父さんが転がり込んできた。奥さんの両親は離婚していて、お母さん(息子のお婆ちゃん)はサバサバしている。なんか設定が似てるかも?

『ブリーダーズ』の感想で書いたのは「家族はいろいろとあるけれど結局は大丈夫」「小さな日々の問題はあるけれどそれでも家族は前に向かって共に歩いていく」それを見てうんうんと頷き納得する。『ブリーダーズ』はコメディ調で騒がしいドラマではあったけれど、日常の描写はかなりリアルで真面目な家族のドラマだった。


たぶんこのドラマにもそれを予想した。それで最初は少し戸惑った。というのもこの家族、最初から不協和音がかなりすごい。

まず奥さんがバリバリのキャリアで一家の大黒柱として家族を養っているのに旦那さんは(一度は売れた漫画家だったものの)現在はほぼ無職…彼はだらしがなくて役立たずなのに奥さんに対して文句ばかり言っている。

その二人が本気で喧嘩をしている…う~ん…この二人はなぜ離婚しないのだろう。そもそもこの夫婦はなぜ結婚したのだろう???

そして妙に醒めきった高校生の一人息子。ちょっとまて。両親があんなに毎日喧嘩をしていたら、その間に育つ子供はかなり苦しむと思うぞ。子供はあんなに醒めていられないと思う。このドラマのリアリティはどうなの?

それでも見続けた第4話。この回でなんだかわかったと思った。


これはコントだ。コメディ。このドラマはあくまでも軽快なコメディで、今の日本の家族の真理を追及するドラマではない…いやそういう面も次第にでてくるかも(たぶん)。

まずコメディとしてすごくおかしい。カーンとゴングが鳴って家族が喧嘩を始める場面はこのドラマの見どころ。特にこの第4話の喧嘩シーンはすごくおかしかった。妻と夫、そして妻の父、それに一人息子の全員が、一秒も緩むことなくハイレベルのコントをやっている。全員一瞬たりとも気を抜いていない。全員がず~っとコント風演技をやっている。それが最高におかしい。

…第4話のタイトルソングのすぐ後に、爺ちゃんとパパと息子の男3人がお母さんを囲んで言い争うシーンがすごく面白かった。…息子が推薦入学を蹴ったと絞られる~爺ちゃんの貯金~パパのガラケーが鳴る…矢印が順番にそれぞれに向かっていくのがすごくおかしい。全員がおかしい。台詞の絶妙なタイミング。ものすごくよく練られたハイレベルなコント。すごく面白い。最後は男3人がキッチンに退場でシーンが終わった笑。


小林薫さんに驚く。数日前まで見ていたドラマの『フィクサー』の須崎幹事長とは全く別人。このお父さんはかわいいぞ。表情がいちいちかわいい。まつげがかわいい。そして表情がいちいちおかしい。口をとがらせて不機嫌になる様子も怒って怒鳴る昭和おやじ風の姿もなにからなにまで全部おかしい。小林薫さんが見どころですよこのドラマ。本当にすごいと思う。

そして漫画家で現在無職の夫・吉岡秀隆さん。彼も1秒1秒全部コント風演技をなさっている。あのだらしなくソファーに寝そべる様子は本当にリアルで…だから1話から3話までは「奥さんはなぜこの人がいいんだろう」と頭をひねっていた。あれは意図的に本当にだらしのないダメ男をものすごくリアルに、強調して演じていらっしゃるのね。今回若いファンを紹介されて、家に電話やメールが来るようになり焦るタイミングが最高におかしかった。ゲラゲラ大声を出して笑った。

そして息子さんの作間龍斗さん。今回息子さんはお母さんに対して長年溜まった文句を言ってましたが、あれは現実にはありえないでしょう。一般的に高校生は、あんなに理路整然と言葉では親に立ち向かえないと思う。言葉で言えないからグレたり不登校になったりする。だからこそあのとぼけた表情で口の立つ高校生は(あまり現実的ではないキャラとして)かえって面白いと思う。そして今回はクラスメートの女の子に振られるシーンの空虚な表情でも笑った。音楽もいい笑。


そうなの。これはコント系ドラマだ。すごく面白い。わかったわ。全体のリズムも展開も小気味よく、役者さん達の技も台詞の内容もタイミングもすご~くおかしい。いちいち全部おかしい。今回は何度も大声で笑った。

そしてみんなをまとめる優秀なお母さん・小池栄子さん/万里江さんの太陽のような明るさが素晴らしい。彼女がみんなを引っ張っていくのに納得です。小池さんの安定感はガチ。輝いてますね。ものすごいカリスマ。

前回まではわからなかったけれど、ダメ男の旦那さんは彼なりに奥さんを支えていたのですね。お互い惹かれるものがあるのだろうな。今回わかりました。家族ってそういうものかも。外からはわからない。

サイドストーリーもこれから面白くなりそう。
これから楽しみになってきた。

テーマソングは石川さゆりさんだそうです。
タイトルの絵も80年頃のヘタウマ調で楽しい。



2023年11月12日日曜日

WOWOW 連続ドラマW『フィクサー』Season3 全5話・感想



TV Japanにて。日本での放送はWOWOWで2023年10月8日から11月5日まで。


面白いシリーズ。シーズン1もシーズン2も面白かった。特にシーズン2はの前のめりになって騒ぐほど盛り上がった。さてシーズン3はその後が描かれたわけだが…正直スケールが小さくなった印象。

キャラクターにも馴染んだし、全体の雰囲気も相変わらずいい感じで、俳優さんや演出、カメラワークに音楽は素晴らしいのだけれど、今回は話があまり面白くない



★ネタバレ注意


ここでの感想は『フィクサー』全シリーズの中でのシーズン3の印象をメインに書く。辛口です。シーズン1と2が素晴らしかったのでシーズン3を比べて出てきた感想。


まず、まとめから

スケールが小さくなった。シーズン1と2(S1、S2)で出てきていた日本の政界の大物がほとんど出てこなくなった。まるで別のドラマのよう。S1とS2 の政界の大物達が顔を並べる様子は大変な迫力だったのに、今回は彼らが全く出てこない。「大きな政界の壁に立ち向かう一匹狼・設楽」のストーリーのコンセプトが崩れた

シーズン3(S3)の話のメインは都知事選に絡めた誘拐事件。しかし事件はあまり現実味も無くおさまり、渡辺達哉(町田啓太)の都知事選の顛末は茶番。 S2でラスボス本郷(西田敏行)を倒した設楽拳一(唐沢寿明)が、今回S3では渡辺を使ってもっと面白いことをやってくれるかと期待したが結局何もなかった。期待外れで終わってしまった。

そしてこのドラマで描かれたものが、私が政治の世界に期待するものとはあまりにも違っている様子にも戸惑った(納得できなかった)。


設楽拳一は結局何をやりたかったのか…?ドラマの最後で渡辺への手紙に書いていた内容がそうなのだろうが、あまりに抽象的で「将来への希望」程度の印象しかなく、なんの具体案もない。このシーズン3で設楽がやったのは渡辺を右に左に動かして「なにかやってそうなフリ」をしただけで結局何もやっていない…問題の東京湾埋め立て事業も一時的に遅れるように見えるだけで何も変わっていないようだ。誰も怪我をしなくてよかったねぐらいの軽い印象でドラマが終わってしまった。

これはシーズン3が悪いというよりも、シーズン1と2が素晴らしすぎて比べてしまった結果の感想

全体にスケールが小さくなった…その印象が大きかった。


内容を詳しく…

- ①あの民自党の大物政治家達はどこにいった。S1とS2で出てきた人々の肩書…内閣総理大臣兼民自党総裁、その秘書、外務副大臣、民自党政調会長→初の女性総理大臣、内閣官房長官、副総理→民自党幹事長、民自党総務会長、民自党総務会長、デジタル大臣、そして昭和の伝説のフィクサー。すごいぞ。これだけ政界の大物を集めてその内情はドロドロしている…というドラマだったのに、これらの大物達がシーズン3ではほとんど消えてまるで別のドラマのよう

S1が総理大臣の事故…殺人事件の疑い。そして政治家に都合の悪い製薬会社のトップは消される。それからS2は無実の若者が殺人未遂の疑いをかけられる。手を回していたのは政界と繋がった大物フィクサーで、無実の人物も都合よく犯人に仕立て上げられる恐ろしい世界を描いた。そのような世界にたった一人で立ち向かう設楽拳一の話が面白かった。

ところがS3は東京湾埋め立て事業にからんだ誘拐事件…結局だれも傷つかずタネ明かしもスケールが小さい。設楽拳一の動きを邪魔する者もほぼいないから、S1とS2の「大きな政界の壁に立ち向かう一匹狼」の設定の面白さもない。

- ②設楽拳一が渡辺達哉を使って右に左に政界とマスコミ、世論を動かしたのも(確かにお騒がせではあったけれど)…結局はなにもなかった。それから設楽拳一の勘に頼った推測はなるほどとは思っても…おとぎ話レベル。あまりスケールが大きくない話の上に、全てが設楽拳一の思い通りになるプロットも興覚め。少しぐらいは設楽拳一の困った顔が見たい。やっぱりラスボス西田敏行がいなくなったのが一番大きい。都議会のドン・黒羽(石坂浩二)はS3のラスボスだと呼べるほどの影響力もない(迫力満点だが登場場面は少ないし最後は彼も設楽の要求を受け入れている)。

- ③一番の問題は…仮にそれが日本のありがちであろう問題とはいえ(私は日本に長年住んでいないので実情は知らないが)…ただ「世間に名前を知られるようになったから」というだけで渡辺達哉を都知事選に立候補させることの馬鹿馬鹿しさ。そしてそのアイデアに乗る渡辺達哉も大きな問題。彼も設楽も結局は「選挙がただの人気投票である」と認めているようなもの。(そしてそのことを劇中人物たちが何度も台詞で話しているという皮肉)。

そしてその渡辺の都知事選出馬も(設楽の中では)当選が目的ではなかったという茶番。

それから無所属の新人が立候補して当選することも難しいからだろうが、今まで敵の側にいた須崎幹事長(小林薫)の力を借りようとするのも納得できない。しかし結局渡辺の当選が目的ではないのなら彼の力を借りる意味さえもわからなくなった。

このS3のプロットそのものに問題があり過ぎて話に身が入らなかった。最後に沢村玲子(内田有紀)を東京都副知事として政界に送り込むことも茶番。おとぎ話。ずいぶん安っぽい話になったものだ。


辛口批評をしてしまったけれどそれでも俳優さん達は魅力的だし演出もいい感じで十分楽しめた。毎週楽しみに最後まで見た。シーズン1と2が本当に面白かったので、S3はどうも肩透かし。S2で完結にしてもよかったと思ったほど。それでも実際日本のドラマとしては今年一番盛り上がって見たドラマだと思います(歌舞伎役者の忠臣蔵のドラマもよかった)。 面白いシリーズだったからこそ辛口批評になってすみません…決してこのドラマが嫌いなわけではないです。


さてこのシリーズは次があるのか? S1やS2で出てきた政治家の密約の録音データや、今回S3の環境汚染のデータが設楽に渡ったことを考えれば、この先もシーズンが続いていくのかもしれない。これから数年ごとに10年に渡り数シーズンをかけて渡辺達哉が40代の総理大臣になる話になるか。さてどうなるか




2023年11月7日火曜日

NHKスペシャル・シリーズ “宗教2世” ドラマ『神の子はつぶやく』 



NHKスペシャル枠でのドラマとは珍しいと思いながら見始めた。俳優さん達も脚本も演出も質が高い。実話を元にした宗教団体の信者とその家族(子供達)の話。親子の問題、愛情のあり方など様々なことを考えさせられた。



★ネタバレ注意

この家族のストーリーの発端はお母さん・木下愛子(田中麗奈)の信仰。不器用だった愛子が夫・信二(森山未來)と出会い結婚。しかし夫には生活力がなく家計が成り立たなくなる。幼い子供をかかえながら愛子は追い詰められる。たまたま出会った幼馴染が愛子に救いの手を差し伸べる。その救いとは「信仰」だった。

愛子は素直な人だったのだろう、すぐに信仰にのめりこんだ。愛子とその家族が具体的に教団からどのように助けられたのかは描かれていなかったが、金銭的な援助もあったのかもしれない。その後彼女は生活の全てを「神様」に捧げるようになる。彼女は「信仰が幸せをもたらすもの」だと心から信じているから、その「信じること」を二人の子供達・遥(河合優実)祈(根本真陽)にも教えようとする。

二人の子供達は幼い時から信仰を強制されている。それが子供達の自由を奪っている。そして子供達がティーンになって自己の意志を持つようになった時、子供達は親からの信仰の強制や束縛に苦しむことになる。

それがドラマの軸。子供が自分の意志を持ち始める時、親の信仰に疑問を持ち始める時、子供達はどうなるのか。


実話に元づいたドラマだそうだ。設定や人物の描写、台詞が真に迫る。様々な縛りの中で育った長女・遥が、家を出て自立した後も結局は「他人の申し出を断れない。客に言われた通りに何でもやる。自分でガードできない。危なっかしい」…そんな風に振舞ってしまうことにはっとさせられた。彼女の働く店の女性に「ああいう子は親が異常に厳しかったか、虐待されてたか…」と言われていた台詞にも納得した。

束縛の中で育った子供は、自由を求めて家を出た後もその束縛からなかなか逃れられない。


ドラマを1回見て見終わった後、再度気になった個所を見直した。

正直に言えば実は1回目に見た時、長女・遥が街に迷い出た後に結局悪い大人につかまってしまうことにがっかりしてしまった。やはり女の子はそうなのか。それしかないのか。それまで宗教にガチガチに縛られて世間知らずだった女性が行きつく場所がやはりそこなのかと絶望に近い気持ちにもなった。

しかしその悪い大人・宮本は実はそれほど悪い人ではなかったらしい。遥は水商売の仕事を与えられ自立する。遥はその生活の中で縛りのプロ・緊縛師 神岡尊に出会う。

この緊縛師・神岡の登場も大変混乱した。若い女性の行きつく先としては極端な話でどこまでいくのだろうかと心配したが、神岡はむしろ紳士的で親切な大人だった。この「肉体の縛り」が話に登場したのは、遥の「縛られた心」に対するプロット上の捻りだったことは後から気づいた。

フィジカルな縛りによる傷みが遥にとっては「神様に逆らったから罰を受ける」ことなのか。彼女はそれにより解放されたのか。神岡が泣く遥を「あなたは十分頑張った、もう許されてる」と叱っていたけれど、遥は救われたのか。

そうではなかったことを後に遥が妹に語っている。


遥の妹・祈は、遥とは違う信仰との関わり方、母親との関わり方をしている。彼女は強い。

祈は(遥が家を出たことで悲しむ)母親に「私はどこにもいかないから」と伝え安心させる。その後教団での信仰を誓う。そして彼女はある日(家を出た)姉・遥の消息を知り探しに出かけ、姉を家へ連れ帰る。

最後に、家に帰ってきた姉を拒絶する母親に祈は本心を爆発させる。

祈は叫ぶ「神様には会ったことないから知らない」…はっとさせられる。この子には現実が見えていたのだ。祈は母に問う「どこにいればよかったの?神様を信じないでどうやって生きていけばよかったの?どこにも居場所なんてなかった。お母さんは神様を信じてるか信じてないかで人を区切るから」

祈は家族を繋ぎとめるための方法として神様を信じた。そして母が姉を拒絶するのなら、もう神様を信じる意味がないと言う。

祈は必死で家族を救おうとしていた。母親からの強制に従いながらも現実を見ていた祈。彼女の真っ直ぐな言葉が母の心を動かす。



見ていて様々なことが頭に浮かんだ。まだ少し混乱している。

このドラマに出てくる人々はおそらく全員が「いい人」だ。だから混乱してしまう。母親・愛子を信仰に導いた幼馴染の友人・小宮直子(酒井若菜)は親身になって愛子を救おうとした。その夫・宗教教団の説教師・小宮誠(萩原聖人)も悪い人には見えない。その息子(遥の同級生)義也(杉田雷麟)もいい青年だし、遥が学校の修学旅行に行けるように家庭を訪ねて愛子を説得する教師・稲岡(岩男海史)も生徒思いの先生だろう。遥の出会う宮本(吹越満)神岡尊(渋川清彦)も悪人ではない。

愛子の夫・信二はおそらくいい人過ぎる人…ただ彼には生活力がなかった。そしてもちろん母・愛子は信仰が子供たちを幸せにできると心から信じている…全ては子供達への愛のため。 

親子の問題と、宗教の信仰の問題が絡んでいて主人公達の状況は複雑だ。思春期の親子はただでさえ「いろいろとある」ものなのに、信仰が絡むと問題はもっと大きくなる。親が熱心に信仰をし、それを子供にも強制するのは子供達への真の愛情から。しかしその強制が子供達の自由を奪い苦しめていることを信心深い親は気付くことができない。
 

このドラマを見ていて、母親・愛子にとっての信仰とはなんだろう、神様とはなんだろうと思った。信者にとって神様は現実。しかし神様は全ての望みを叶えてはくれないし、確実に幸せを約束してくれるわけでもない。このドラマでも家族が父親を急病で亡くしている。「神様は父親をなぜ助けてくれなかったのか?」と疑念を抱きそうなものだが、信者は「祈りが足りなかったからだ」と言う。じゃあ信者にとって「信仰による幸福実現の具体性」に確証はあるのか?おそらく誰も答えられないだろう。 結局神様の存在は「信じる人」の心の中にある。


最初にも書いたが脚本も演出も俳優さん達の演技も(特に田中麗奈さん、河合優実さん、根本真陽さん)とにかく素晴らしかった。時間はほぼ1時間半。短めの映画を見たような感じだ。見て何かの答えが出たわけではないが、色々と継続して考えさせられている。


2023年10月18日水曜日

NHK 家康と三成のスマホ (天下人のスマホシリーズ)



これは面白すぎ。面白いから記憶しておこう。

TV Japanの番組表で見つけて録画予約。ちょっと前に見た「秀吉のスマホ」が面白かったので、 「家康と三成のスマホ」も期待💕

既に面白いです。今日は加藤清正達による光成夜襲の回。ということは、これは関ケ原まであるのかな?楽しみですな。


何よりもこれ、ものすご~く凝っていて感心する。細かい細かい…

スマホの画面も…

日輪予報
● Rikyubucks
● UnuTube
● Fumi
● ツイッターの鳥はうぐいすのデザイン

そしてゲーム・シリーズは…

源が如く
● Minamotocraft
● 俺の野望  ←笑

そう…この回の家康がプレーする「源が如く」のゲーム画面で、生身の俳優さんがいかにも ゲームのCGっぽい動きをしてゲーム画面を実写している。すご~いすごいすごいすごい…見える見える見えるゲームに見える。感動しました。

そしてニュース/記事シリーズは…

ためしてガッセン!
 有事に使えるセルフ調合薬SP
 ドキュメント四六時中
 老若男女集う茶会で
 南蛮はほしいものにあふれてる
 ルソンで見つけた極上の壺SP
 おしんげんさんといっしょ

笑笑笑…

よく考えてるな~笑 短いドラマですけど、ワタクシは数秒毎に停止ボタンを押して何が書いてあるのか画面の中の文字を全部読んでほぉ~へぇ~といちいち感動してます。

素晴らしい。大変素晴らしい。記録します。


2023年10月6日金曜日

WOWOW 連続ドラマW『フィクサー』Season2 全5話・感想



少し前にTV Japanで放送になったのを見た。日本での放送はWOWOWで2023年7月9日から8月6日まで。


このシリーズは面白い。シーズン2も面白かった。ストーリーも面白いがドラマとして演出やカメラワークがとことん秀逸。すごく盛り上がった。

これは政治的なsatire/風刺ドラマと言うべきか。…倫理的にも常識的にも妙な話(それとも日本ではこれが常識か)だとは思うが、それも含めてドラマとして面白い。

シーズン1の感想で「これがリアルなのかもフィクションなのか、それとも限りなくリアリティに近いフィクションなのかわからない」と書いたけれど実際にはどうなのだろう。どうやらドラマの趣旨は、主人公の設楽拳一(唐沢寿明)がたった一人で腐敗した日本の政界に挑むヒーロー物語…のフィクションなのだろうけれど、結局最後はこの設楽も前の世代と同じ方法で政界に関わっていく…彼もラスボス本郷と同じことをやっているという。 これは皮肉なのだろうか。それとも、日本ではそれ以外に政界に切り込む方法がないのか?…いろいろと疑問が残りますが、その辺りも含めて面白い。

面白いから考えさせられる。
考えたことをうだうだと書く。長文です。  



★ネタバレ注意


Pros


俳優さん達がいい。いい役者さん達のいい芝居が拝見できるのが楽しい。もちろん俳優の技を引き出すのは脚本がいいからだろう。ラスボスの本郷吾一/西田敏行さん、その子分の須崎一郎/小林薫さんは本当に悪そう。(シーズン1でも書いたが)小林さんのあくどい表情が最高。それを捉えるカメラも最高。本物の悪徳政治家みたい。

主人公の設楽拳一/唐沢寿明さんも悪いお顔が馴染んできた。設楽は大きな目がギラギラしていて怖い。役者さんの年齢による変化も面白い。(おそらく)唐沢さん御本人のユーモラスなお人柄と、設楽拳一の少し世の中をバカにしたような雰囲気がマッチしていて面白いキャラになってる。やっぱりこの設楽のキャラは、政界にたった一人で挑むスーパーヒーローの設定でしょうね。そんな雰囲気がある。

新聞記者の渡辺達哉/町田啓太さん。このお方は爽やかさが魅力のお若い俳優さんなのだけれど、今回の第4話目、拘置所での面会の場面の表情はまるで別人。曇った表情から目に涙があふれて…いい役者さんだ。本当に別人に見えた。

それから丸岡慎之介/要潤!カナメジュンカナメジュン…最高。いや~似合うわ。彼はこの丸岡の役が本当に似合う。とことん似合う。すごくかっこいい。要さんは大柄ですね。皆よりも頭一つ大きい。スラっとしているのに幅も大きい。なんだか…劇画のキャラクターみたい。劇画的オトコ・カナメジュン。楽しい。出てくるだけで嬉しくなる。

…丸岡で一番盛り上がったのは第4話の最後。本郷に仕えるリュウ/暗殺サイボーグが都知事の奥さんを殺しにやってきて「わあぁこわい」と思ったら、ドアが開いてカナメジュンが立っている場面。思わず拍手。それで回が終わったので「ぇええええ」と声が出た。その後の1週間。私はもしかしたらカナメジュンが暗殺サイボーグにやられたんじゃないかと心配した。あのサイボーグは怖い。そして第5話、カナメジュンはどうなったのか?…サイボーグをボコボコにしてた笑。拍手。すごーい。カナメジュン最強。このキャラクターは忘れないわ。すごぃかっこいい。…カナメジュンはもう帰ってこないのか。

色々と役者さん達全員がいい。渡辺響子/斉藤由貴さんの素朴な母の存在感。キャスター・沢村玲子/内田有紀さんは本当にいい女。弁護士・杉谷菜穂子/鈴木保奈美さんも印象が変わりました。大人だ。真面目な女性総理・新田さゆり/富田靖子さんは、実は民自党のパペット総理だった。心の葛藤の表情がすごくリアル。検察官・佐々木雪乃/江口のりこさんのガチガチな真面目人間と素直な娘の表情の変化、そして都知事の嫁・横宮妃呂子/真飛聖さんの高飛車な美人妻もいいキャスト。

刑事・板倉晃司/小泉孝太郎さんはどこか純で可愛い…このお方はこのような政界の風刺的ドラマをどうお考えになるのだろう。都知事・横宮三郎/石黒賢さんの…上に頭が上がらない都知事の悪い顔。内面の葛藤を表す表情がうまい。石黒さんもお若い頃は爽やかな青年でしたネ。


脚本が面白い、配役が巧みなうえに、演出、カメラワークが大変素晴らしい。俳優さん達の顔に迫るカメラ。光の当て方と影で、小林薫さんが本物の悪徳政治家に見える。すごいと思う。画面もアートっぽいシーンが沢山。第5話で、倒れた本郷の、空の白い背景に画面のななめ左上にカットされて入るお顔から滴る血。あ~すごいな~と思った。

役者さん達が皆真剣な芝居をなさっている様子を、カメラが巧みに捉える。役者さん達の芝居合戦としても面白いです。いいドラマ。

私は現実の日本の政治のことがわからないので、これがリアルなのかどうかはわからないけれど、ストーリーとして理解できるし面白かった。暴力場面がなかったのもよかったです(シーズン1は製薬会社の社長の扱いが辛かった)。 

今シーズンもとても面白かった。


Cons


さて、これはドラマの批判というよりも単純に疑問です。重箱の隅をつつきたい。


 設楽拳一(唐沢寿明)というのは(今回も理由がわからなかったが)たった一人で日本の政界に挑んで改善したいと思っているらしい人。お金には不自由していないようだし頭もいいので、1匹狼の彼が強大な敵…日本の政界に立ち向かうという設定もとりあえずは理解した。しかしシーズン1でも書いたように、あまり説得力はない。

…例えば本郷(西田敏行)が設楽拳一を目ざわりだと思えば、カナメジュンに指示して毒を盛らせるのは簡単。わざわざ拳銃なんて使う必要はなし。渡辺の裁判の間も本郷がなぜ設楽をず~っと泳がせたのか疑問。本郷の権力は大きく…国のトップの多くが彼に繋がっているだろうことを思えば、どのようなカタチであれ(家族も仲間もいない)設楽を始末した後、医者に命じて急性心筋梗塞などの嘘の診断書を書かせて事件性をなくすのも簡単だろう。ドラマのプロットのためだけに設楽拳一を泳がせたように見えたことが不自然だと思った。

本郷とは、自分の息のかかった人物を選挙で当選させるために、全く関係のない人物を殺人未遂の犯人に仕立て上げることも出来るほどの人物。政界には隅々にまで手を伸ばしているし、東京地検には身内を送り込んでいる。設楽が彼に逆らって勝てるとは思えない。 今回は養女の検察官・雪乃の正義感でなんとか解決したけれど、あのまま本郷が渡辺を犯人に仕立て上げる事は可能だったはず。


それから本郷の養女/検察官の佐々木雪乃。養父を尊敬しているとはいえ、長年一緒に暮らした本郷の裏の顔が全く見えなかったというのも不思議。検察官になるほど頭脳明晰な人が、長い間裏の事実に気づかないのはおかしい。そもそも先輩の杉谷菜穂子が東京地検の内部事情がいやになって辞めた(個人が権力に逆らっても勝てないから諦めた)と言っていたけれど、佐々木雪乃がそれに気付かないのはおかしい。


それから設楽拳一は「不遇な環境に育っても逆転できるような時代にしたい」と言った。要は現状ではそれなりのコネや財力がない者は力を持つこともできないということ…誰にでもチャンスが与えられる時代ではないということか。古い世代が世の中を動かしている。それは長い間一党優位政党制の日本の政界のことを言っているようにも聞こえてくる。

ところが、その民自党にチャレンジするために(政界に揺さぶりをかけるために)設楽がやろうとしたことは、美人キャスターの沢村玲子(内田有紀)を都知事に推すこと。矛盾していないか。


…これは特に日本では現実にもあることなので笑えないのだけれど、…良く知られた人気商売の人(タレントやキャスター、スポーツ選手、元役者、YouTuber等々)が(本人に政治家になる気があるかどうかにかかわらず)本人の知名度と人気を買われて政界からの甘い声に誘われ、本人もその気になって選挙に立候補することの現実。 そのようなことは私には政治に対しての冒涜に思えるのだけれど。

なぜ人気商売の人が推されて政界に入るのか…?それは国民がバカだからだ。政治家を選ぶ選挙はタレントの人気投票ではない…にもかかわらず「テレビで見て知っているから、以前ファンだったから、いい人っぽいから、顔がいいから、面白いから」というだけで有名人にホイホイ票を入れる国民。どうしようもない。

このドラマの設楽拳一も人気キャスターの沢村玲子を(テレビでよく知られているからと)都知事選に推している。そして彼女もそれを受ける…のもまたばかばかしい。そして彼女がダメになれば、今度は殺人未遂事件の元被疑者・渡辺を連れ出してきた(無罪になったヒーローとして名前を知られたという理由で)。おかしいでしょう。どこまで国民をバカにしているのか。全く笑えない。政治家は政治をやりたい強い意志のある人がなるべきで、FIXERに推され、操られるだけの人形は不要。設楽拳一は、現状の政界を変えようとしているのに、結局前の世代と同じことをやっている。

この設定が、同じような現状への「風刺」なのか、それとも設楽拳一のような人物でさえ政界の悪習をなぞるしかない「現実」を見せているのか。考えさせられますね。


もしシーズン3で渡辺達哉が当選することになったとしても、さて設楽拳一はいったいどうするのだろう。渡辺達哉を使って彼は何がやりたいのか。須崎幹事長と握手していたけれどどういうことだ。ものすごく変だと思う。

どう考えても設楽拳一に現実的な力はないと思う。彼は何がやりたいのか全くわからない。その辺りが、プロットとしてやはりヒーローもののファンタジーかなと思った。とても面白いドラマだけれど。


最終話・第5話では怒涛のような種明かしと、次のシーズンに向けての時限爆弾が仕掛けられた。さてどうなるか。またシーズン3を期待しましょう。



★超ネタバレ注意
種明かしが全部入っているので、これから本作品を見る予定の方は決してお読みになりませぬよう。


あらすじ
(最終話の種明かしの後で時間の経過順に並べなおした話の流れ)


本郷吾一(西田敏行)の指示のもと東京湾の埋め立て計画が密かに進められている。その計画を進めるため本郷の息のかかった建設会社を雇い、また(既に本郷の懐に入っている)現役都知事・横宮(石黒賢)を次の都知事選で再選させる計画だ。そのような折、 横宮が妻・妃呂子(真飛聖)を殴り怪我をさせた。事実が世間に知られたら都知事選の結果に響く。そこで本郷は新聞記者の渡辺(町田啓太)を殺人未遂の犯人として仕立て上げるよう指示を出す。渡辺を救うため設楽拳一(唐沢寿明)がヤメ検の敏腕弁護士・杉谷菜穂子(鈴木保奈美)に弁護を依頼。検察側にはかつて拳一を刑務所に送った検察官・佐々木雪乃(江口のりこ)。彼女は実は本郷の養女だった。また佐々木雪乃は養父・本郷の FIXER としての過去の悪行を知らない。その後、法廷に凶器が提出された。設楽は都知事の妻・妃呂子を説得に出かける。妃呂子が真実を打ち明ける。本郷の養女/検察官の佐々木雪乃が事実に気づき始める。4度目の公判で佐々木雪乃が決断をする。本郷は失脚。設楽は渡辺を都知事選に立候補させようとする。

2023年9月20日水曜日

WOWOW 連続ドラマW『フィクサー』Season1 全5話・感想



夏の頃にTV Japanで放送になったのを見た。8月はブログを休んでいたので感想が遅くなってしまった。日本での放送はWOWOWで2023年4月23日から5月21日まで。


面白かったです。役者さん達が皆ベテランの方々が多く、それだけでもかなりの重厚感。西田敏行ラスボスが怖い。大変素晴らしい重い雰囲気の大人のドラマ。見ごたえがあった。

しかし実は最初は話に入り込めなかった。これは政治の裏側の話ですね。

どうやら日本の政界には魑魅魍魎がうようよしていて、国民が知らない場所で様々なことが行われている…そのようなドラマだろうと思った。

(ずいぶん前に日本を離れたこともあって)私は日本の政治/政界に全く馴染みがなく、ショッキングな話にも免疫がないせいか、最初はこれがリアルなのかもフィクションなのか、それとも限りなくリアリティに近いフィクションというべきなのか…その辺りがよく飲み込めなかった。しかし最後まで見た後で再度見直し全体像を掴んだら、その面白さがわかった(と思った)。

軸はミステリーでしょう。1話目で事件が起こって、Whodunit?/犯人はだれ?…がドラマ全体の軸。そしてその周りに政界の魑魅魍魎が蠢いている…というような話か。

①総理大臣を乗せた車が崖から転落事故にあう。
 犯人は誰か‽ 犯人捜し。
②政界で新薬の認可をめぐる密約スキャンダル。蠢く政界の魑魅魍魎。
③フィクサー・設楽拳一(唐沢寿明)が政界にメスを入れる。
④予想外の人の繋がり。最終話で明らかに。

構成はこの4つ。意外にシンプルだけれど最初は理解するのが難しかった。2回見て理解してドラマの面白さがわかった。

①は最終話で種明かし。
②は闇。製薬会社の社長は哀れ。
 密約の録音データは…(現在放送中のシーズン2で)再度登場。
③ 設楽拳一とはナニモノだ?
④拳一の秘書兼運転手(要潤)の設定に驚く


Pros


面白いドラマ。一番の見どころは見ごたえのあるベテランの役者さん達。
特に政治家の方々が最高。すごいね。まぁ~悪い顔が並ぶ並ぶ。それだけでも十分面白い。

小林薫さんてこんなお顔のお方でしたっけ?悪い悪い笑。役者さんは本当にすごいと思う。近年の小林さんは「深夜食堂」での穏やかなおじさんをNetflixで見たけれど、このドラマでの彼はまるで別人。人の顔はこんなに変わるんだねと驚く。演出も秀逸なのだろう。役者さんへの光の当て方もカメラの寄り具合も「悪い政治家」の表情を映し出す。すごいです。びっくりした。面白い。

そして要潤さん。内田有紀さんになぜ刑務所に入ったかと聞かれて「殺人罪です」と答える。ぉおおおおお…いいねぇ。このお方はこういう役が似合う似合う似合う。拍手。

主役の唐沢寿明さん。このお方は30年くらい前はディスコで有名なユーモラスで明るい役者さんのイメージだったのに、ずいぶん脂ぎったおっさんになりました。大変素晴らしい。設楽拳一の役も今の唐沢さんだから出来る。役者さんの変化も面白い。

そしてラスボス・西田敏行さん。こわいわ。昭和の時代からの伝説のフィクサー。本物のフィクサーはこちらの西田敏行でしょう。この人に敵うわけがない。サクタ薬品社長のことも握りつぶすのですよね。こわいわ。こわすぎ。

富田靖子さん。びっくりした。役者さんはやっぱりすごい。信じられますもん…中年の女性政治家。大きな拍手。

その他にもこのドラマは配役が秀逸。久しぶりに拝見する役者さん達も皆役にハマっていて納得する。俳優さん達が素晴らしいドラマ

そしてこのシーズンのMVP。事実上の主役は藤木直人さん!名優!私はこのお方がこれほど繊細な表情をなさる役者さんだとは知らなかった。以前拝見したのは『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』のコメディのみ。今まで藤木さんがこれほどうまい役者さんだと知る機会がなかった。最終話のあの複雑な表情…崖っぷちに追い詰められる表情に息を呑む。このお方はもっと見たいと思った。大きな拍手!!!

このドラマには違和感を感じる役者さんがいない…妙に若いとか、妙に顔がかわいいとか…お堅い職業なのに全員がかわいい顔の俳優さんばかりとか…配役に全く説得力のないドラマは今までにいくつか見てきたと思う。しかしこのドラマは中年が中年らしく中年をやっている。それが素晴らしい。だから面白い。不自然に若くてかわいい顔の俳優さんが一人も出てこないのが最高(町田啓太さんはイノセントなジャーナリストなので設定上納得です)。いいですね。配役の素晴らしさに拍手喝采。

ストーリーは以外にシンプル。見どころは役者さん達の顔ぶれと熱演。それだけでもいいドラマ。十分満足。私には馴染みのない政界の話なので、もしかしたら細かい設定を見逃しているかもしれないけれど、また見直してみようかなと思うのは、俳優さん達と演出がすばらしいからだろうと思います。面白かったです。

Cons


私が最も頭をひねったのは、
設楽拳一(唐沢寿明)はなぜこういうことに頭をつっこんでいるのか?

私が日本の政治が全くわからないこと、そのことから「フィクサー」という存在がよくわからないために、この設楽拳一を見て「この人はなぜこんなことに頭をつっこんでるんだろうね?」と不思議に思った。その違和感がドラマの最後まで残った。

「フィクサー」とは、
政財界におけるトラブル収拾や企業間の揉め事回避まで、警察や法では解決できない事案の処理を行う…とあるけれど、設楽がそれを行うモチベは?理由は?そしてそれができる力は?

設楽はこのシーズン1が始まる前にも既に1度は逮捕されて刑務所に入れられている。実際に設楽がやろうとしているのは、昭和の大物フィクサー・本郷(西田敏行)と敵対すること。

そして設楽はどうやら1匹狼。設楽の周りをガードするチームはいない。ということは設楽は無防備…彼の命も危ないということだ。本郷にとって設楽を消すことは簡単だろう。サクタ薬品社長のようになってもおかしくはない。

フィクサーの仕事は設楽一人では無理ではないのか? 
彼の仲間は町田啓太、内田有紀、小泉孝太郎だけ?

設楽はなぜたった一人で暗黒の政界のラスボスに立ち向かおうとするのか?そもそも一人でできる仕事ではないだろう。フィクションだから可能だということか。つまりは政界ラスボスに1匹狼が立ち向かうファンタジー系ヒーローものの設定だろうか?しかしそこにリアリティはない。どう考えても設楽が西田敏行に敵うわけがない。


そのような印象でシーズン2も見てます。
ドラマとしては十分面白い。
シーズン2も面白い。

弦楽器と女性コーラスのインストのテーマ曲がすごくいい。
動画サイトにあげて欲しい。


それにしてもフィクサーってなに?
日本の政界は長い間一党優位政党制で、事実上ぼぼ一党独裁と変わらないわけで(選択の自由と権利はあるけれど選択肢がない)。だからこそ過去からの様々なしがらみや、コネ、根回しや圧力で政界を操るフィクサーという存在が出てくるのか。政界には透明性もない。それを考えれば日本の政界のあり方そのものが問題ではないかと思わずにはいられない。このドラマはどこまで日本の政界を模しているのか? 考えさせられますね。