能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2024年4月25日木曜日

RAYE - Mary Jane (2023)



ブルース


RAYE - Mary Jane (2023)
Album: My 21st Century Blues
RAYE
Released: February 3, 2023
℗ 2022 RAYE under exclusive license to Human Re Sources



薬物やアルコールの中毒の歌。メリー・ジェーン(マリワナ)にコデイン、赤ワイン、マンディ(MDMA)…と、Rayeちゃんがこの曲を書いた時は20代前半だったと思うのだけれど、前回の「Hard Out Here」の歌詞を見ても彼女は本当に大変な生き方をしてきたのだろうと思う。

インタビューによると彼女も中毒の問題はよくわかっていて決してかっこいいことだとは思っていないそう。寂しかったから手を出した。そして酷い目にあったと言っている。歌詞は中毒を「親しみ」と表現し意図的に「居心地の悪い」歌にしたかったとのこと。

彼女のこのアルバムは、かなり重い内容の歌詞が多いのだけれど、芸術とは…辛い題材であってもアーティストの創造性で「芸術」に昇華できる…彼女はそれをやっているのだろう。それが評価されたのだろうと思う。

いいギターの音。音と音の空間が気持ちいい。また違うジャンルの音。何を歌わせても上手い。 


Mary Jane/メリー・ジェーン
マリワナ/大麻、元々はスペイン語のマリファナ/Marijuanaを2つの部品に分けてMari+Juana、それを英語にしてMary+Jane と呼ばれるようになった
● Codeine/コデイン 英語ではコディ―ン
アヘンのの派生物で咳止めに使われる
● Mandy/マンディ
MDMA エクスタシーと言われる薬物


Mary Jane
RAYE
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[Verse 1]
Mary Jane
Sweet, sweet Mary Jane
あなたが私の口に触れる時
私は浮遊する
あなたは私の頭の中の苦い思いを受け取って
それらを夏の雨のように降らせてくれる
Sweet Mary Jane (Sweet, sweet, sweet, sweet)

[Verse 2]
Mmm, codeine
静かな 素晴らしい コデイン
あなたのケミカルなハグが恋しい
私は今しばらくクリーンだから, ooh
あなたは今までのどんな男よりも素敵に抱きしめてくれた
誰もあなたのようには出来なかった
コデインのようには, mmm


[Chorus]
Sweet, sweet, sweet
Sweet, sweet Mary Jane
コデインは全ての痛みを消してくれる


[Verse 3]
Mmm, Red Wine
あなたは私にいつも最高のアドバイスをくれた, mmm
あなたは私に勇気をくれた (Gave me)
私を泣かせた男に電話する勇気を
ボトルを3本買ったの だっていつも全部飲んでしまうから
Mmm, oh, 今夜どんなに私達は共に踊ったでしょう
レッドワイン


[Chorus]
Sweet, sweet, sweet
Sweet, sweet Mary Jane (Yeah)
コデインは全ての痛みを消してくれる


[Verse 4]
Mandy, dear
Oh, あなたに最初に出会った時は 大変な年だった
あなたは とてもピュアで力強い愛を 私にくれた 
そして私を一人でベッドに眠らせてくれた
でもあなたは朝になると最悪の冷たいビッチになったよね でしょ?
そうでしょ マンディ?

[Chorus]
Sweet, sweet, sweet
Sweet, sweet Mary Jane (Sweet Mary Jane)
コデインは全ての痛みを消してくれる

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Written By RAYE & Mike Sabath


★『My 21st Century Blues』和訳プロジェクト
2・RAYE - Oscar Winning Tears. (2023)(Live at the Royal Albert Hall)


2024年4月24日水曜日

RAYE - Black Mascara (2023)



ダンス・ビート



RAYE - Black Mascara (2023)
Album: My 21st Century Blues
RAYE
Released: February 3, 2023
℗ 2022 RAYE under exclusive license to Human Re Sources



この曲もMVのイメージが暗い。衣装が挑戦的でちょっとびっくりするけれど曲はいい。すごくかっこいいダンスミュージック。彼女にはダンスミュージックも継続してやってほしい。

彼女はダンスで見せる人ではないと思うのだけれどよく踊ってますね。リズム感がいいから動きにもキレがある。

この曲の要はBridgeのラップだと思う。彼女は言葉の使い方が本当に滑らか。早口言葉みたいなラップをサラッと書いて歌える人。凄いと思う。


それから言葉を意図的に被せているのかと思う歌詞があって…
例えば冒頭の
  Once you see my black mascara /Run from you /into my mama’s hands...は「black mascara がRun流れる」と「Run from youあなたから逃げる」に両方取れるし、
次の Once you see my slick eyeliner /Blend into my black designer /bags under my eyes...は「eyeliner がblend into馴染む」と「my black designer bags」それに「bags under my eyes」と被せているように聞こえる。だから訳が変だと思う


①  You made your bed (Made your bed)
 諺のYou've made your bed, now lie in itから
 自業自得/身から出た錆/自分で蒔いた種の意味
Talking my ear off, cocaine
  相手がうんざりするぐらい長々と大きな声で喋り続ける
③ Got a bitch gassed up propane
 propane:プロパン=草=スラングでマリワナ
 gass:ガソリン=燃料/これもマリワナを表すのに使われる



Black Mascara.
RAYE
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[Verse 1]
あなたが私の黒いマスカラ
あなたから逃げて
ママの手の中に流れるのを見たら
あなたは自分勝手な男
あなたはきっと理解するでしょう
(Understand what you)

私の滑らかなアイライナーが
私の黒いデザイナーに滲んで 
目の下の涙袋に滲んでいる様子を見たら
Oh, どうやって
わかろうとしたの?
あなたが私にしたこと
あなたが

Done to me
You done to me
あなたが私にしたこと…
You’re done to me
あなたはもうお終いよ…

あなたは自分で種をまいて (Made your bed) 
あなたの嘘をついた (Lied your lies)
そして私の心をめちゃめちゃにした
理解しなさいよ
あなたが私に

You done to me…

あなたは自分で種をまいて (Made your bed)
嘘をついた (Lied your lies)
そして私の心を壊した
わかりなさいよ 
あなたが…


[Verse 2]
今私の黒いマスカラを見たら
あなたから逃げて
ママの手の中に
あなたは自分勝手な男 (Do you understand)
どう感じてるの?
あなたが私にしたこと?

Done to me
You done to me
あなたが私にしたこと
You’re done to me
あなたはもう終わった…

あなたは自分で種をまいて (Made your bed)
あなたの嘘をついた (Lied your lies)
そして私の心をめちゃめちゃにした
ただ わかろうとしなさいよ あなたが…


(Try to understand just what you)
(Fucked my mind up, fucked my mind up, fucked my mind up)
(Try to understand just what you)
(Try to understand just what you)
Understand
Do you understand?


[Bridge]
勢いづいてスロットル 躓いた
ボトルを飲みながら 深刻に
この女達があいつらのことを気にしてるって伝えてよ
心は壊れているけれど 私は今でも百万£に見えるから
6ショットで 感じなくなる
だらだらうるさく喋り続けて コカイン 
ビッチに草を吸わせて マリワナ 
もう私降りてこれない それとも
もっと酷くなって
Oh, 私の目の下 雨が降ってる

空高く 雲がある
でもロールスロイスの天井に星が見えて
この痛みが聞こえる 他のノイズをかき消して
あなたは私にくだらない話をする 他に選べなかったみたいに
私はここにいて混乱して どうしてこうなったのか考えている
私はここで暗い夜の闇に沈んでいく
夜の, ah, yeah


私にやったことを見なさいよ
あなたがやったことを, my baby
私にやったことを見なさいよ
あなたがやったことを, my lover
ただあなたがやったこと
私にやったこと
私にやったこと
私にやったこと
あなたがわたしにやったことを解りなさいよ

[Outro]
あなたがやったことをわかりなさいよ
どうなの, oh, どう感じたかわかる?
あなたがやったことを理解して
自分のやったことを見て
私にやったこと, my baby
あなたがやったことをわかって
Do you, oh,
Do you understand how it feels and what you've done?
What you've done

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Written By RAYE, Will Lansley & John Morgan


★『My 21st Century Blues』和訳プロジェクト
2・RAYE - Oscar Winning Tears. (2023)(Live at the Royal Albert Hall)


RAYE - Hard Out Here (2023)



3倍返し



RAYE - Hard Out Here (2023)
アティチュードバリバリのMV
Album: My 21st Century Blues
RAYE
Released: February 3, 2023
℗ 2022 RAYE under exclusive license to Human Re Sources



この曲が最初に動画サイトに上がったのは2022年7月。この曲がRayeちゃんのアルバム『My 21st Century Blues』のリード・シングルだったと思う。

私はこのMVを最初に見て、そして歌詞を見たときにとても驚いた。ものすごい怒り。恐ろしいほどの怒り。それまで彼女の陽気なポップスが好きだった私は少しひいた。彼女はこれほど生な感情を歌にして大丈夫なのだろうか?

彼女が以前所属していた大手レーベルで苦労した話は聞いていた。この歌の一部はそのことを歌っている。興味深いのは、彼女がこの曲を書いたのはアルバムがリリースされる前。それなのにBridgeの歌詞で、自分がこのアルバムで大成功して大きな力を持つようになるから「今に見てろよ」と歌っている。彼女はものすごく強気。

実際にその通りになった。彼女は2023年の英国で一番のアーティストになった。言葉にしたことが現実になった。本当にすごいと思う。彼女は勝った。


またまたスラングが多いです。意訳をしながらなんとか形にしてます。怒っている歌なので汚い言葉も結構出てきますが雰囲気で訳してます。

訳注
① My pen is a gun, pen is a gun, I'm finna spray now
  I'm finna:I'm going to、
  spray now
 :To fire a series of bullets at a time without really aiming at all
  めちゃくちゃに乱射するの意
② I been a mess, so I'm in a dress and I got my cakes out
  cakes:魅力とかスラングでお尻の意味も=魅力的/セクシー 胸?
③ What you know about hustling?
  hustling :お金のためになんでもする
④ I told my lawyer stand by (War), 
  there is no wrath like a woman scorned
  シェークスピア戯曲から
 「Hell hath no fury like a woman scorned」
  夫に裏切られた女の怨念は恐ろしい
⑤ Uh, now I bet you wish
  wish…;この後に「やらなければよかった」などの言葉が続く
Top of the day, top of the day, top of the day to you
  昔のあいさつのことば Helloと同じ 現在は使われない
⑦ Babe, I think it's time to cut the violins
   to cut the violins:バイオリンの音に言い訳とか情緒的な
           意味があってそれを拒絶している



Hard Out Here.
RAYE
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[Intro]
涙を流しながら笑い恐れた長い年月の後
私が求めるのは ただあなたに耳を傾けて欲しい
なぜなら 事実は美しいものではないから
ずっと暗く 辛い…

[Verse 1]
Uh
私の進む道 道を見つけた 出口を見つけた
私のペンは銃 ペンは銃 今私は乱射するつもり 
彼は言った 私は終わり 私はお終いだと 今の彼の顔を見てよ
Hm, hm, ah, uh, ah, uh

ボーイズに言って 感じなさいよ ステーキハウスで会いましょう
私はめちゃくちゃな状態で ドレスを着飾ってセクシーに 
彼女と寝て 私と寝て 今私はあなたの目の前にいる
Hm, no, no, no, no, no

[Verse 2]
ハスリングの何を知ってる? 
若い女の子が (Young girl) 地下牢の中 (Dungeons)
償いをすることを知ってる?
悪魔が目の前にいる時は 演じなければならないことを
Uh, ah

[Verse 3]
CR0,  終末からやってきたけど 私は女優
全てのくそ野郎のお前らも負け犬のあんたも笑顔で
私は冷静に 煙で紛らわせて 怒りを押さえなければならなかった

[Verse 4]
Ooh, そのシステムの意味はなに?
薬の入れられた飲み物 中毒で死にそうになった
自分がキリスト教徒であることも疑問に思い始める
神様がいなかったら 私は自分の命を絶っていたかも 
私はいつも被害者だった

Oh, 私に向かって準備された武器は決して成功しない


[Chorus]
Baby, 私は立ち直る 立ち直る baby, 私は立ち直る
Baby, I bounce back (Bounce, bounce, bounce back)
Baby, 私は立ち直る 立ち直る baby, 私は立ち直る
Oh, 私に向かって準備された武器は決して成功しない
Baby, I bounce back ...


[Verse 5]
白人の男のCEO達、お前らの特権などくそくらえ
お前のピンクのデブな指を私の口から離せよ 
これがお前の考えることかよ
弁護士に私の力になるよう告げた(戦争)
裏切られた女の怨念は恐ろしいから 
Uh, お前は後悔するだろう 

[Verse 6]
Baby, 私は立ち直る 立ち直る baby, 私は立ち直る
悪魔は嘘つき 私は男 コンラッドと私を呼べばいい
私は優しすぎた 3倍にして 全て支払いなさいよ
このくそ野郎達は私を裏切って 
私がばかだって?そんなの二度とないから

お前に おはよう こんにちわ さようなら 
このレコードにはお前に言いたい沢山の事が詰まってる, ooh
私が痛みを抱える時どう振舞うのか見ればいい 
お前のために祈ってやるよ
お前に向かって 恥を知れ 恥を知れ

[Verse 7]
Oh yeah
Ooh, 暴力の意味とは? 今私煙ってるから
Babe, お前に同情するのはもうやめたから 
お前のことなんか見えない 自分の瞼の裏側を見てるから
私は戦いをやめない 
神のタイミングのままに


[Bridge]
タイミング
私 そんな大人の男達を泣かせようと思う (Cry-, hm, -ing)
あなたたちはトライしなかった 
ダイヤモンドの上に座っていながら (Hm)
今の私を見ることになる 
私は輝いていて 大きな話題で 目もくらみそう
とてつもなく恐ろしいでしょ あの沢山の嘘の数々 
今私には全てはっきりと見える
私みたいに最下位の女の子達のために私は見ている
信じてよいつも
厳しい世界 ここは

[Chorus]
Baby, 私は立ち直る 立ち直る baby, 私は立ち直る
Baby, I bounce back (Bounce, bounce, bounce back)
Baby, 私は立ち直る 立ち直る baby, 私は立ち直る
Oh, 私に向かって準備された武器は決して成功しない

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Written By RAYE, Mike Sabath, Justin Tranter & Brandon Colbein


★『My 21st Century Blues』和訳プロジェクト
2・RAYE - Oscar Winning Tears. (2023)(Live at the Royal Albert Hall)




RAYE - Introduction (2023)



『My 21st Century Blues』
 和訳プロジェクト


RAYE - Introduction (2023)
Album: My 21st Century Blues
RAYE
Released: February 3, 2023
℗ 2022 RAYE under exclusive license to Human Re Sources



今年3月2日にブリット・アワードで6部門を受賞したRAYEさんのアルバム『My 21st Century Blues』。ネット上をうろうろしても歌詞の和訳が出てこなかった。それで訳してみることにした。彼女の歌詞はスラングも多く内容もハードなものが多くて簡単ではないのだけれどなんとか意味を解ろうと試みた。

私は最初このアルバムをYouTubeでサラッと聴いて「重い」と思った。全体にダークな印象の曲が多くちょっとすぐには飲み込めなかった。じゃあ賞をとったから聴くのかよ…という感じですがそのとおり。きちんと全部聴いてみたら本当いいアルバムだった。それで意味もしっかりと理解したいと思い全部訳そうと思った。RAYEちゃんのアルバムにやっと真剣に向き合った。

歌詞はショッキングなものが多く、その言葉巧みな言い回しの歌詞もすごいのだと思うが、実は音もかなりいい。スタイルもジャンルも様々。イントロから始まって最後の挨拶まで、ショーとして彼女ストーリーを語る…コンセプト・アルバムだった。全部を通して聴くとかなりすごい。受賞も納得。このアルバムのプロデュースのメインは彼女と米国人のプロデューサー マイク・サバス/Mike Sabathさん。彼はニューヨーク出身の26歳。Rayeちゃんも26歳。若い人達がこのアルバムを作っていることにもあらためて驚いた。



Introduction.
RAYE
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[Spoken: Austin Lichtenstein]

レディース&ジェントルマン
今日はお越しいただきありがとうございます
世界に名だたる21st センチュリーブルーズクラブへ
今日はとても特別なゲストがあなたのためにきてくれました
はるばる英国のロンドンから どこかおわかりですね
マイク・サバスのヘルプと共に (Mike Sabath)
そしてうちのハウス・バンド・ムーンガールズとともに
レディース&ジェントルマン
彼女を温かく迎えてください
ワンダフルな レイ

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Written By Raye, Pete Miller & Austin Lichtenstein


★『My 21st Century Blues』和訳プロジェクト
2・RAYE - Oscar Winning Tears. (2023)(Live at the Royal Albert Hall)

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第10話 A Dream of a Dream :曖昧な最終話



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FX/Huluにて。オリジナルの放送は2024年4月23日。



★ネタバレ注意



え~これで終わり?というのが正直な感想。こう思うのは私だけではないと思うぞ。

やっぱり関ヶ原も冬も夏の陣もなかった。そうか~そうかそうかやっぱりそうか。前回第9話の感想で全体の印象(文句)を書いたのだけれど、この最終回も同じような流れで静かに終わってしまった。このドラマは1600年頃の日本の戦国時代の様子をかっこよく映像化して見せてくれて、あとは日本の不思議な哲学とか美学、死生観を海外の観客に紹介するような話だった。


前回も書いたけれどドラマの画面は最高にかっこいい。彼らを取り巻くセット、衣装、風景…CGも全てが素晴らしかった。ドラマが進んでいくのと同時に、目に入ってくる風景や景色、光を抑えた室内の様子や、美しい 衣装…などなど、画面を見ていて毎回楽しかった。沢山の日本の美しいものが見れた。これが外国で作られていることに驚く。真田さんのおかげ。感謝してます。

それから日本の俳優さん達も本当にかっこよかった。個々の台詞に違和感も感じなかった。そしてカメラが捉える俳優さん達の表情が素晴らしくて…これ、どうして日本のドラマはこういう撮り方ができないのだろうかと不思議に思ったほど。日本と海外では俳優さんをどのように見せるのか、どのように撮るのか…の意図が根本から違うのではないかと思わされた。(日本…親しみやすさ、かわいらしさを撮ろうとする、ハリウッド…俳優を役に沿っていかにリアルにかっこよく見せるのか等々)。様々なシーンの緊迫感も最高にドキドキした。ワクワクした。

日本の俳優さん達のキャスティングも素晴らしい。皆全員かっこよかった。どちらかと言えば日本では端役だった俳優さんが大役をなさっていて輝いている…これも(ハリウッドは)俳優さん達の見せ方が違うからではないか。鞠子様、藤様、長門、文太郎、央海、佐伯、桐の方、菊、吟、村治、そして石堂の周りの大老達も皆さん素晴らしかった。そして日本でも有名な俳優さん達はますます存在感がすごい。虎永や石堂、広松、落ち葉の方、藪重…全員輝いていた。彼らの存在感、彼らの芝居を捉えるカメラの撮り方に映像の編集も素晴らしい。私にとってこのドラマは…日本の俳優さん達が素晴らしかったからこそ面白かったと言ってもいい。かっこいい彼らが見られたのがなによりもよかった。


さて問題は前回も書いたけれど中身。理由は原作だろうと思う。

虎永の策
最終話が終わった時点で虎永が将軍になる説得力はなし。鞠子さんを大坂に送り込んで彼女の死で落ち葉の方の心が動いた…という話だったと見たが、それは虎永の策と言うよりも偶然の結果で…鞠子さんが大坂に止められる、自害の中断、藪重の裏切り、忍者、爆発…どれをとっても虎永が自ら計画できたことではない。そして仮に鞠子の死がこれから落ち葉の方や大老達を動かすとしても、戦場では誰がどう動くかは予想できない。既に虎永は軍をかなり失っているし指揮官も減っているわけで、関ヶ原で戦になっても虎永の勝利はまだ確実だとは言えないだろう。だからあいまいな状態で終わってしまった印象。虎永が将軍になれるかどうかもわからない。 しかし真田さんはかっこよかったけど。

● 虎永の意図
按針君の船の意図は?全く不明。村人には災難。

● 按針君は?
このキャラは問題ですね。最後まで心を寄せられる場面が一度もなかった。例えば映画『ラストサムライ』…トム・クルーズは勝元に囚われて最初は激しく抵抗していたけれど、村で暮らすうちに次第に日本の生活に馴染み日本の文化や哲学に感化されていく様子が描かれていた(たった2時間半で)。しかしこのジョン・ブラックソーンは10話もあったのに日本の文化に馴染む様子は一度も感じられなかった。彼のシーンは脚本も薄い。彼が日本で生活して何を考えているのか、武将達を見て何を思うのかがほとんど描かれていない。いつも無表情。役者さんも大概大根だとは思うが、それにしても彼が役者の技を見せられる場面も少なかったと思う。キャラとして全く魅力的でなかったのは役者さんだけの問題ではないだろう。役が合わなかったか。彼は体育会系の肉体派でアクションをやらなければ魅力が見えづらいタイプの役者さんかも。


ドラマというのは2時間完結ではなく50分を× 10話見て流れを楽しむものなので、このドラマの初回から2話、3話~9話まで毎回毎回すごく楽しかった。毎週の放送が楽しみだった。10話で戦もなく不完全燃焼で終わってしまった(個人的な感想)のは少し物足りなかったけれど、それでも全体にとても楽しめたドラマだった。面白かったです。


しかしやっぱ私は関ヶ原が見たいのよ。騎馬戦が見たい。強い男が見たい。ハリウッドのお金をかけて数万の軍がぶつかり合うアクションが見たい。小早川の裏切りで逆転してうわああああと大騒ぎして泣きたい。グロはいらないから。そして出来れば冬も夏の陣も大砲をドンドン撃ってひゃ~怖い怖いと叫びたい。グロはいらないけど。淀君と秀頼の最後を見て泣きたい。海亀は戦国に感情を揺さぶられたいのです。


2024年4月22日月曜日

DHT Musical★『キス・ミー・ケイト/Kiss Me, Kate』





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Kiss Me, Kate
Music & Lyrics by Cole Porter
Book Bella and Samuel Spewack
Basis The Taming of the Shrew
   by William Shakespeare
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DHTとはDiamond Head Theater。ハワイ・ホノルルのコミュニティー・シアター。週末にこの劇場でミュージカル『キス・ミー・ケイト』を見てきた。

DHTでのショーは以前はほぼ毎回見に行っていたのだけれど(ここではレポートしていなかった)、コロナになってからしばらく行かなくなっていた。シアターもライブもコンサートも…人が集まるイベントをほぼ4年間避けてきた。去年の年末にコロナ後に初めて映画館に『ゴジラ-1.0』を見に行ったが、人が密になる劇場はまだ勇気が出なかった。今回コロナ後に初めて劇場に出かけたので記録しておこう。


まずDHTは、コロナの間に建物が新しく建て替えられていた!すごく立派なシアターに変わっていてびっくりした。以前は古い古いシアターだった…元々は米軍の映画館だったその古いシアターが建てられたのは1933年!掘っ立て小屋とまではいかないが、かなり小さなボロボロの古い小さな劇場だった。舞台も小さくバンドの入る場所は観客と同じレベルの脇に小さくしつらえられていた。その古いシアターが壊されて、2023年に新しい劇場がオープンした。新しくなった劇場のキャパは482席。なんと(小さいけれど)オーケストラピットも舞台と観客の間に掘られていた…なんと本格的な。舞台上の天井も高い。電動で幕も上下する。なんと素晴らしい。DHTはモダンなシアターに変わっていた!


『キス・ミー・ケイト/Kiss Me, Kate』とは、1948年が初演のブロードウェイ・ミュージカル。ストーリーは…とある劇団によるシェイクスピアの戯曲『じゃじゃ馬ならし』の上演中の話。舞台に立つ役者が離婚した夫婦で、それぞれに恋人がいて…と男女の関係が混乱していくドタバタ劇…そのミュージカル。

音楽はコール・ポーター。『Why Can't You Behave』『Always True to You In My Fashion』『Too Darn Hot』等々キャッチーないい曲が多い。これらの曲はジャズのスタンダードにもなっているので、メロディを聴けば知っている方も多いのではないかと思う。


楽しかったです。久しぶりのシアターはやっぱり楽しい。いつもDHTのミュージカルはクオリティーが高いのに驚く。本当ですよ。

基本的にコミュニティー・シアターとは、素人が集まって演じる舞台なのだが、このDHTの舞台はかなり楽しい。私はこのシアターに通い始めて(コロナ期を除けば)もう10年以上、今までに50ショー以上見てきているけれど毎回必ず楽しませてもらっている。(もちろんローカル劇場だから身びいきというものもあるけれど)正直な話、私が舞台芸術の楽しさを実感したのは本場のロンドンではなくこのハワイのDHTだと断言してもいいほどだ。

この劇場では芝居もミュージカルも見るたびに演者たちの情熱を強く感じる。舞台芸術の基本の基本…いい芝居とは観客も演者も皆幸せな時を過ごす…そのことを毎回感じる本当に素晴らしい劇場。それはこのシアターに集う…演者も観客も皆それぞれが舞台の芸術を愛しているからで、その温かい雰囲気を毎回私が肌に感じるからなのだろうと思う。

そして舞台の質の高さには具体的な理由もある。ほとんどのショーにはいつも何人か本場ニューヨークのブロードウェイでの経験のある人々が関わっている。舞台が毎回成功しているのは監督や主役、それから演出の方々等々、毎回必ずプロレベルの人がどこかに関わっているからなのだろう。そして長い間このDHTでArtistic DirectorをなさっているJohn Rampagesさん…このお方の長年の豊かな経験と舞台芸術への愛がこのシアターの質の高さの一番の理由だろうと思う。感謝してます。



今回の『キス・ミー・ケイト』の主役リリー/ケイトを演じるのは元々オペラをなさっていた方。力強い歌声。DHTではおなじみのお方で彼女は今までにも何度も主演をなさっている。そして彼女の夫フレッド/ペトルーキオを演じるのは、この地の総合病院 The Queen's Medical Center の喉の専門のお医者さん!お二人ともカリスマに溢れてノリノリ。リリーがとにかく気の強いキャラで、途中怒りちらす場面があるのだけれど、それがユーモラスですごく面白かった。フレッドの役者さんは、昼間はお医者さんをなさっていて夜は練習にリハーサルにと大変なスケジュールだったと思うがすばらしい歌声と存在感。

また今回もエネルギーに溢れた楽しく素晴らしい舞台だった。


DHTでミュージカルを見るのは4年ぶりだったのだけれど、何人か馴染みのお顔も見えた。このシアターの役者さん達は皆オーディションで決まると聞いているが、ほぼ毎回選ばれている人々もいる。彼らは違う演目にも何度も登場なさっているので自然にお顔を覚えてしまう。その他にも地元の大学で音楽や演劇を専門に学ぶ大学生(米国本土の大学で学んでいて夏休み中に帰郷してこの地の舞台に立つ人もいる)、また彼らを教える大学の先生が同じ舞台に立つこともある。高校生や中学生、小学生も舞台に上がる。今までに見た演者の方々の中には米軍で働いている方、看護師さん、弁護士さんなどもいたのを覚えている。


● シアターの醍醐味はコミュニティーシアターにあるのかも

プロではないこの地のコミュニティー・シアターの演者の方々。しかし舞台の質は高い。このシアターに関わる全ての人々が情熱をもって舞台に臨んでいる。その様子を見ていて、私は舞台の本当の楽しさはこのDHTのような小さなコミュニティー・シアターにあるのではないかとも思い始めた。

以前ロンドンでは本場のよく知られたミュージカルをいくつか見た。しかし大都会の芝居はチケット代が高い。だから大きな劇場では3階の席で舞台を遠くから眺めることも多かった。舞台の演者は主役から末端の端役に至るまで皆全国から集まった中のトップクラスの人々でルックスも声も最高。オーケストラもバンドも最高レベル。しかし舞台は遠い。

舞台上で繰り広げられる華やかな世界を、階上の暗闇から見下ろし、小さく光り輝く箱庭を眺めるように舞台を鑑賞する。しかし私はそのように見たロンドンでのミュージカル体験にあまり感動しなかった。「あ、あれを見た、とりあえずあの有名なやつを見た」というようなよそよそしく軽い感想を持つことが多かった。そして財布は軽くなる。


ところがハワイのコミュニティー・シアターDHTに通うようになってからミュージカルへの考えが変わった。まず財布の中身が減らない(今は32ドル~62ドル)。だから何度見ても苦しくならない…そしてミュージカルは何度も経験して慣れてきてこそ面白さがわかってくることも知った。そしてショーは、シアターが小さいから舞台が近い。後ろの席でも舞台が近い。演者の顔がはっきりと見える。演者の一生懸命な熱が生で伝わってくる。観客が笑ったり泣いたりなんらかの反応をすれば、それが直接舞台の演者たちにも影響する様子を何度も目にした。観客と舞台が一緒になる瞬間も何度もあった。 もしかしたら舞台芸術の楽しさとはそういうことなのじゃないか。

全体のクオリティーはもちろん都会の大舞台とは比べ物にならない。このコミュニティー・シアターの演者はルックスもスタイルもダンスも声も皆それぞれさまざま。皆バラバラな外見や声の質、上手い人もいればそこそこやまあまあの人も確かにいる。舞台上のセットは全て手作り。スタッフさんがペンキを塗ってトンカン釘を打ってセットを作っている。お金をかけた豪華なものではない。

それでもこのシアターの舞台は楽しい。それは舞台上のショーが情熱と愛で作られ演じられているからなのだろうと思う。この劇場で沢山のショーを見てそれがわかった気がする。小さなシアターならではの醍醐味なのだろう。


2024年4月21日日曜日

コーチェラ YouTube Livestream Weekend 2 : レイ/Raye at the Mojave



昨日まで行われていたカリフォルニアのIndioで行われていたCoachella Valley Music and Arts Festival

今年英国のシンガー・レイ/Rayeさんが出演することを私は先週の週末の彼女の出演の後に知った。それでフェスの第2週目の昨日・20日の土曜日のショーはライブで見ようとテレビをYouTubeにセットして構えた。

開始時間はカリフォルニアの現地時間の午後4時10分。ハワイでの時間は午後1時過ぎ。キチンにいたところで映像が流れ始めた。

彼女はフルのバンドを揃え弦楽器に数名のコーラスの大所帯。なんとRayeちゃんすごいじゃん。


セットリストは…

The Thrill Is Gone.
 Five Star Hotels.

(Improvised intro; cut short… more )
 Mary Jane.
(extended outro while Raye… more )
 Ice Cream Man.
 Worth It.
 Let There Be Light
 Black Mascara.
 Prada

(cassö, RAYE, D-Block Europe cover)
 Escapism.

セットは全9曲。途中でギュウギュウ詰めの会場で具合の悪くなった観客を気遣い、また4:20 p.mにはこの日・4月20日「マリワナの日」をMary Janeを歌ってお祝い(どうやら米国では4月20日はマリワナの日だそうだ)…カメラが会場を映せば沢山の場所で煙が吹きあがっていた。彼女はいつものように饒舌で笑顔でショーを楽しんでいる様子で堂々とカリスマに溢れた力強いショーだった。あっぱれ。彼女は自信に溢れますます輝いている。すでに大物の貫禄。Mojaveテントには人人人のぎゅうぎゅう詰め。 

彼女がカリスマに溢れた上手いアーティストであることはもちろんのこと。しかしそれ以上に特筆すべきなのは、彼女の表現のスタイルが一つのジャンルに留まらないことだろう。彼女の才能は人になんと説明すればいいのかと迷うほど。彼女のパフォーマンスは…、エラ・フィッツジェラルドとアレサ・フランクリン、キャロル・キングにバーバラ・ストライザンド、それにチャカ・カーンとドナ・サマーとビヨンセにカーディ・B、イギー・アゼリアにミッシー・エリオット(このリストに誰を加えてもいい)…が全部ひとりの中に入っているようなもの。彼女は何をやらせても上手い。今はブロードウェイのミュージカル調、ジャズ・シンガー風が好みらしいけれど、彼女は激しいラップをやらせても超一流。ジャズとブロードウェイとストリートのヒップホップにEDMが全てできる人。リズムの取り方が最高にかっこいい人。まだお若いのにこれだけ才能に溢れる人もなかなかいないと思う。最近は英国での大きな成功でますますディーバの貫禄が出てきた。そんな彼女はまだ26歳。


彼女のことを私はここのところしばらく追っていなかった。それで少し調べたら今年の3月2日、彼女は Brit Awards 2024 で様々な賞を受賞していた。

Brit Awards 2024
 Rayeちゃんの受賞したのは
 British Album of the Year/英国最優秀アルバム賞
 『My 21st Century Blues』
 Song of the Year/最優秀楽曲賞
 「Escapism」
 British Artist of the Year/英国最優秀アーティスト賞
 Best R&B Act/最優秀R&Bアクト賞
 Best New Artist/最優秀新人賞
 Songwriter of the Year/年間最優秀ソングライター賞


なんと彼女は Brit Awardsの6つの賞を受賞していた。なんと史上最多の受賞だそうだ。すごいな。もうビッグスターじゃん。本当にすごいね。あらためてびっくり。Rayeちゃん本当によかった。おめでとうございます。


それにしても彼女はどこまで米国で知られているのだろう?

先日4月6日、彼女が米国NBC『サタデー・ナイト・ライブ/SNL』の歌のコーナーで3曲歌っていたことも後から知った。コーチェラ前のちょうどいいタイミングで出演したのはプロモーションだったのだろう。私はそれを後からYouTubeで見た。いい。やっぱりうまい。またバージョンの違う「Escapism」を歌っていた。

それから米国のトークショーのいくつかにも出ていたのを後から知った。今現在、彼女は英国での成功をバックに米国に売り込んでいるのだろう。それで今回のコーチェラのショーも人がいっぱいになったのだろう。

彼女はこれからまた今年の夏までいくつかのフェスに出演するらしい。8月2日には米国シカゴのロラパルーザにも出演。さあこれから彼女はどこまで大きくなるのか。

楽しみです。これからも期待してる。


RAYE - Oscar Winning Tears. (2023)(Live at the Royal Albert Hall)