能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2013年12月3日火曜日

女大河はなぜ難しいのか…「篤姫」のうけた理由



昨日、「篤姫」をうっかり褒めてしまったもんだから、モヤモヤが残ってしまった。…う…身から出た錆…これはなんとしてでも言い訳しなくては…。

今のNHKさんが、女大河にこだわるのは2008年の「篤姫」の大ヒットのせいでしょう。その考えは理解出来ます。しかし…。

もう女大河はうけません。

…たぶん。だってね「篤姫」がうけたのには理由があるのだ。


はっきりと言いましょう。今の日本は何をやっても歴史物はうけません。もうしょうがない。鎧兜で斬り合いをして男ががなりあってる話なんて、誰も見たくないんでしょう。そこに持ってきた江戸のプリンセス「篤姫」。これがウケた。

「単純に同じような女大河を作ればうけるのでは…」という考えが出てくるのも理解できる。そこで持ってきた戦国のプリンセス「江」。これがまあ見事に大ハズレ。そりゃそうでしょう。全然面白くなかったもの。


じゃあなんで「篤姫」だけがうけたのか…。

それは「篤姫」の大奥話がすでに一般視聴者に馴染みのある素材だったからです。「篤姫」が放送される前、2003年から2005年のフジテレビ「大奥」TVドラマシリーズで、「大奥もの」には皆馴染みがあった。普段、歴史物に全く興味の無い女性視聴者も「大奥」はドラマとして見ていた。「…大奥の話なら「篤姫」も面白いかも…」と見始めた視聴者は多かったと思う。そもそも「篤姫」の成功は、視聴者が素材に慣れ親しんでいたことによる…。

それにお金をかけた衣装やセット。いい配役。最初の半年は島津の田舎姫が玉の輿にのって大奥入り、馴染みの痴話言・色恋話をやったあとで、最後は実家が攻撃してきて日本のマリー・アントワネット話(イヤ…チト違うケド)…等々、とりあえず視聴者の興味を引く話の盛り上がりも確かにあった。

前年2004年の男大河「風林火山」で離れた女性視聴者が、馴染みのある大奥ものに興味を持ち、内容もそれなりに面白かった…というのがヒットの理由。うけたのにはそれなりの理由があったわけで、

ただ闇雲に女を主役にすればウケるわけではないんです。

今の日本では歴史時代劇はうけない。これはもうしょうがないと思う。NHKさんの(伝統的なブランド)大河ドラマでさえ、(2008年の「篤姫」以外は)そういう流れで10年以上も続いているわけで、女を持ってきたからって急にウケるなんてたぶんないだろうと思う。今でも大河ドラマを見続けているのは、長年大河を習慣で見てきた層と、もともと歴史物の好きな視聴者だけ。

そういう事実を思えば、現実的に大河ドラマの枠を仕切り直すしかないと思うんだけど、それはまたいずれ…。


私の個人的な「篤姫」の評価は佳作です。確かに戦国、幕末で泥臭い男大河ばかりを見続けていれば、大奥の姫物語は楽しかった。個人的には「風林火山」のほうが面白かったけど、大奥も確かに歴史の一場面であるのなら、大河ドラマがああいう女性の話をたまにやるのはいいと思った。ただしそれは「篤姫」という大物であればこそ。女なら誰でもいい…という話ではない。

…しかし、夫の・徳川家定を(実は)聡明な人物にしてヒロインが恋をするステキな旦那様に描き、故郷の家臣・小松帯刀をナヨナヨナヨナヨ尚五郎サン にしてヒロインのお花畑・恋話を無理やりねじ込んだストーリーばかりは許すまじ! ほんとにアホかと思う……親戚の年寄りにはうけていたけど(笑)。


そんなわけで「篤姫」がうけたのにはそれなりの理由があった。作品そのものというよりも、まず一般視聴者が「大奥もの」に馴染みがあったのが一番の理由。普段は時代劇に全く興味の無い層が、始まる前から「大奥もの」に興味を持ってくれたのが大きな理由。決して女主人公=うけるなどという単純な図式ではなかったと思う。

もう決まってしまった松陰さんの妹さんの大河はともかく(もう全力で頑張るしかない)、今後もこういう「女性主人公=女性にうける」などという単純思考で1年も続く大河ドラマの主題を選択するのは、NHKさん…ちょっと考えたほうがいいと思います。




2013年12月2日月曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第48回「グッバイ、また会わん」



今週も吼えます。

…先週に引き続きの文句ですが…今週よーく分かった。なぜ京都編の「八重の桜」がつまらないのか…。それはですね、今のこのドラマ、比較的無名の一女性・新島八重さんの半径10メートル程の範囲内の話で全て回っているからですわ…。

そりゃーつまらんわな…。

そりゃそうだ…。
もうこんなの朝ドラでやれば…?と思いますよ…。
 
個々の方々の演技はいいと思う。役者さんに罪はない。脚本家さんも会津編・京都守護職編では、東北から薩摩まで日本全国を股にかけた歴史の動きを描けていたのだから、力量が無いとは言えないと思う(京都編でやる気が無くなったのであればしょうがないですけど…)。だからこそどうして今みたいなことになったのか分からない。
 
八重ちゃんの周り10メートル範囲内しか描かれていないから、結局歴史の動きに関わった新島襄さんとか、山本覚馬さんをはじめとする面白い人達の話もぜーんぶ無くなってしまった感じ。明治政府の方々なんて殆ど出てこないじゃん。これ、歴史ドラマじゃないですよね。
 
もっと気になるのは、京都編になってから、歴史の動きが見えなくなったばかりでなく、八重ちゃんそのものの性格まで変わってしまったこと。今の八重ちゃん、会津編のあの気丈で真っ直ぐな娘さんとはまるで別人でしょ。無神経に故郷・会津にまで洋装で出かけていって、そのうえ薩摩に謝ったり…。兄嫁には厳しいのに、夫が亡くなればメソメソ人目もはばからず泣く。もうどういう人か全然分からない。
 
 
途中で脚本家が変わったのを見ても、京都編から明らかに方向転換をしたと思えるんだけど、そうなった意図もよくわからないですよね。過去の成功作「篤姫」と比べてみるといい。「篤姫」も大奥でほぼ半径10メートル範囲内な話だったとはいえ、時代が動いた時には幾島を飛ばしたり、勝さんが活躍したり、(とりあえず)いろいろと歴史話はあったじゃないですか。篤姫本人が歴史に関わりがあった。だから後半にかけて面白くなったのに…。
 
でも今の八重ちゃんは、大事件が身内のヨロメキだとか、学校の生徒と喧嘩だとか…、まー話が小さい小さい。あーつまらん…。これ大河ドラマとしては、もう主人公選びに失敗した…と言ってもいいんじゃないかなぁ…。ファンの方々、ごめんなさいね。

会津編が硬派な歴史ドラマで素晴らしかっただけに、京都編での方向転換は、ほんとうに疑問。どうしてこうなった…。
 
私、2015年の吉田松陰の妹の大河の話にかなり頭にきてます。だから今八重ちゃん大河の問題を語りたいのね。同じ失敗を繰り返して欲しくない
 
 
さて今回は秋月さんと平馬くんがちらっと出てきたのが良かったわ…
 
 
 
 
  
襄さんの臨終のシーンは、襄さんは素晴らしかったけど、八重ちゃんの大泣きは興ざめ。綾瀬さんは素晴らしい女優さんだと思うけど、45歳の中年女性が14年間連れ添った最愛の夫を亡くす場面には見えなかった28歳の娘さんが恋人にすがってぎゃーぎゃー泣いてるように見えた。あんな…夫が息も絶え絶えで苦しんでいるのに、夫の声も聞こえないぐらい泣くなんてほぼありえない。襄君の方が八重ちゃんを心配してるんだもん…死にそうなのに…。私は身内の者の死の瞬間には泣けませんでした。息が止まった後でばーっと涙が出る。もちろん人それぞれだとは思いますが。
 
この場面の違和感も、女優さんの演技が下手というより、ご本人の年齢の若さからくるものでしょう。悲しいから泣きゃあいいってもんじゃない。45歳の中年女性が最愛の夫を亡くす場面のリアリズムの問題。女優さんが若すぎるのなら、せめて脚本、演出家の方がこういうリアリズムを追及したほうがいいんじゃないか。それともスタッフさんが全員若すぎるんだろうか。
 
 
女優さんの外見がいつまでも若いのも気になる。2年前の「江」や去年の「時子」は論外。あんなのふざけてます。でも今回の八重ちゃんも45歳には見えない。あんなに髪が真っ黒、眉毛もくっきり肌もツヤツヤで若いと長年の夫婦の歴史もさっぱり見えないのね。二人で時を重ねてきたように見えない。だから別れの話にも深みがなくなるんです。いつから女優さんたちは老けメークを嫌がるようになったんだろう。今年に限らず近年多いですよね…老けメークをしない女優さん。役者のプロなのに何を考えているんだろう。特に今回、秋月さんが老けてるのを見てますますそう思った。彼みたいな役者さんは素晴らしいです。
 
大昔の大河「黄金の日日」の十朱幸代さんのねね51はすごかったぞ。最後、老けメークと演技で、老いた女性の寂しさが心に染みた。昔の女優さんたちはすごかったです。今の女優さん達ももっとこういうことを真面目に考えて欲しい。
 
 
 
 

2013年12月1日日曜日

Perfume:あと5日…



あっ…と思えば大阪のドーム公演まであと5日。うわー早いですね。もう12月なんだ…早いな…。

いやー行ける方々…大変羨ましいです。今回は特に「ライブですごい事をやる為のイケイケアルバム」を出したその為のライブですからね。個々のインタビューなどでも「演出がすごいすごい」という話が出てますし、これは期待できる…。見たいです。

彼女達がかっこいいライブを前向きにとらえた巨大会場でのライブは…もしかしたら…もしかしたら…、Perfume伝説の2013年クリスマスライブと呼ばれるようになるのでは…とちょっと思ったりもする。

だって彼女達、今一番綺麗でしょ。スキル的にもトップフォームでしょ。真鍋さんや関さん、MIKIKO先生やチームの皆様との団結も強いし、そしてもちろんアルバムも甘さを抑えてノリノリだし…、これは本当に期待できるんじゃないか…。

それにグループとしても、今回の公演は勝負どころじゃないかとも思う。もうPerfumeは誰が見ても大人のグループになった。今後もTVCMでアイドル的な売り方は続けるのだろうけど、(Perfumeのコアとして)それ以上のプラスアルファはどうしても必要になってくる。今回大きな会場で世間をわーっと言わせることでPerfumeの今後の方向も明確になってくるんじゃないか…。ちょっとそんな事を思ったりもする。

いやーいける人うらやましいです。

…ワタクシはもちろん行けないのですが今回はとにかく楽しみ。Perfumeがいかに大きく成長したのかが見たい。海外在宅組としては数ヵ月後のDVDBlue-rayなどを楽しみに待とう…。

ところでところで半年前のヨーロッパツアーのDVDは出ないんですかネ…? 世界中でライブビューイングをやったんだからよく売れると思うんだけど…。オネガイシマス…(泣)。


…あ…そうだワタシ…もうすぐファンクオヤジバンドを見に行くんだったっけ…踊ってきますっ \(^o^)/ヤッホー



Moullinex – Sunflare (2012)



このビデオは酔います…注意



Moullinex – Sunflare (2012)

 Album: Flora
Released: Oct 26, 2012 ℗ 2012 Gomma
 
 

またまた動画サイトで見つけて、何度か聞いているうちに好きになった。音は気持ちいいけど、このビデオは気持ち悪くなるので1度も通して見ていない。

アーティストはMoullinexさん=Luis Clara Gomesさん。ポルトガル出身。現在はリスボンとドイツ・ミュンヘンで活動。この曲はさっぱり爽やかだけど、色々と聴くとかなりまったりし過ぎてる曲が多い。なんだかちょっと古い感じこれもNu-Discoの類かな。30年前のジョルジオ・モロダーそのまんまの音の曲もあるぞ。この人の曲のまったり感はヨーロッパ大陸独特のものでしょうか…レトロも真っ青のまったり・のんびりな感じは、今のイギリスやアメリカにはあまりいないと思う。



 

2013年11月28日木曜日

Breakbot - One Out Of Two (Oliver Remix)(2012)



いやーまいったね…これ80年代そのまんま…


 
Breakbot - One Out Of Two (Oliver Remix)(2012)

 


またLADJ二人組、Oliverさんのリミックスです。ほんとに80年代風が上手いな…。80年代中期のMadonnaはこれそのまんまの音の曲をよくやってたと思う。ここまでそっくりだと、また流行ってるというよりもネタとしか思えない…。懐かしいな…。


これ元曲。可愛いです。

 
Breakbot - One Out Of Two feat. Irfane (2012)

 Album: By Your Side,
Released: Apr 09, 2013 ℗ 2012 Ed Banger Records
Under Exclusive License To Because Music

 
元曲のBreakbot さん=Thibaut Berlandさんは81年生まれのフランス人のDJ。この2012年の元曲がまた…あー…まいったな…70年代…?だれだっけクリストファー・クロスとかエアサプライとかああいう系列かな…ギルバート・オサリバンも入ってますね。当時これにそっくりなアレンジの曲もありました。古きよき時代の音楽だ。フランスのシングルチャートでは2012年に45位。フランスではこういう懐メロ風が流行ってるのかしら。

ところでこのBreakbotの所属するEd Banger Recordsレーベルは、以前PerfumeJapan TimesPatrick St. Michelさんによる「LEVEL 3」のレビューで出てきたレーベルです。これでパズルが繋がった…。
 

Perfume:Japan Times記事・Blouin ArtInfo誌の記事から



この記事のことは正直書こうかどうしようか迷いました。問題の傷口を開くことがいいと言い切るのには勇気がいる。しかし中に問題を残したままにしておくのもいいとは思えない。時間を置けば傷はもっとこじれるかもしれない。なので思い切って開くことにします。この問題は日本人全体に共通する「無知」にも関することなのでやはり記録しておこうと思う。


記事の内容は、先日の海外のアートウェブ誌Blouin ArtInfo誌でのPerfumeインタビュー記事に関するもの。このJapan Timesのイアンさんの記事によると、例のBlouin ArtInfoのインタビュー記事でのPerfumeの言動が、海外の同性愛者の間で物議を醸しているらしい…。


Look to pop culture if you want to blame someone for A-Chan’s gay gaffe
(もしあ~ちゃんのゲイ失言に関して誰かを責めたいのならポップカルチャーを見てみろ)
http://www.japantimes.co.jp/culture/2013/11/26/music/look-to-pop-culture-if-you-want-to-blame-someone-for-a-chans-gay-gaffe/#.UpcTh1VZzX5


私は昨日このJapan Timesの記事を読むまで、この事を全く知りませんでした。今までこのブログでPerfumeに海外に行け行けと言っていながら、これは大変な不覚。いや実はBlouin ArtInfo誌の元記事そのものに問題がある…ということさえも全く気付けませんでした。それぐらい私も感覚がずれている…。

この記事から辿ってネット上を探してみたら、実際に同性愛者の怒りや海外ファンの戸惑いの文章も出てきた。イアンさんの言うとおりファンを二分して擁護派と抗議派にわかれてます。抗議派が少数とは言っても、内容の深刻さを考えると無視するわけにはいかないと思う。

2週間前にBlouin ArtInfo誌の記事を読んだ時は、このブログにも書いたように「ワーイ海外のゲイの人達がPerfumeのファンになってくれるといいなぁ…」などと喜んでいたのですが、実際のこの記事に対する海外のリアクションは正反対の結果だったという…。これは私も迂闊でした。反省してます。


このイアンさんの記事はPerfumeの記事というよりも、Perfumeの失言を例として日本のエンターテインメント業界がいかに閉鎖的であるのかを書いたものなのでここで全訳はしません。それよりも元記事Blouin ArtInfoのインタビュー記事が、なぜ海外の一部のファンの怒りを買ったのか…ということを書きたいと思う。

問題だったのはあ~ちゃんの言動なのですが、ここで彼女を責めるつもりは全くありません。彼女の言動が時に子供じみてイノセントなのは日本のPerfumeファンにはよく知られていること。直訳されたBlouin ArtInfoの記事も、日本人ファンにはほとんど違和感がないんです。いつものあ~ちゃん。だから私も気付かなかった。ただ文章になって海外メディアの記事になった時に、海外のファンの受け止め方は違っていた…という事実を書いておきたい。

それから、この問題はPerfumeにとって決して致命傷ではないということも明記しておきます。間違いは誰にでもあります。無知から生じた一度目の間違いは許されるものです。大切なのは一度犯した失敗は二度と繰り返さないこと。そのためには何が間違いだったのかを知っておく必要がある。特に今回の問題は、私も含めて日本人なら誰でもうっかり間違えそうなことです。Perfumeも含めて日本人のポップスターが海外に出て行くには1度は超えなきゃならないハードルのようなものだと思えばいい(これは一般の日本人が海外に出て行く場合も同じです)。こういうことをきっかけにして徐々に学んでいけばいいことだと思う。

こういう所謂「海外のわからないもの」に対して、日本人は「臭いものには蓋をする」ことが多いのですが、ここで事なかれ主義でいても次には繋がらないと思う。なので全て全開にします。問題の本質を考えるきっかけを作ってくれたこの記事そのものが、Japan Timesという大手メディアの世界から誰でも読めるネット上の記事だということも事実。日本だけで秘密にしていてもしょうがない。むしろ日本人も知っておいたほうがいいと思う。


事の発端は、前述Blouin ArtInfoの記事でのあ~ちゃんの同性愛者に対するエピソードのくだり。彼らの事を「そうでない人」と言ったことにカチンと来た人が多い。それからファンとのMeet & Greetで会ったゲイのファンのパートナーを「ガールフレンド」と呼んだこと。これにもカチンときたらしい。全体的なあ~ちゃんのヨーロッパでの経験話も、突き放してネタにした感じからあまり良くは受け取られていないらしい…。


●何が問題だったのか


★同性愛者にとって…

1.そうでない人」という言葉に傷ついた。

 “Overseas, there were more men than women, and also people who were neither!” (海外(の観客)は男性が女性よりも多いし、そうでない人もいる!)
…日本での曖昧でユーモラスな「そうでない人」の言葉がかなり頭にくるらしい。そうでない=neither」という言葉そのものが否定的にも聞こえる。同性愛者の女性で「私はレズビアンだけどあくまでも女だ!」とかんかんに怒っている人もいた。この言葉に逆上して「だから日本人は閉じてて同性愛嫌悪者が多いからイヤだ…」などと極論を言い始める人もいる。問題は日本での「そうでない人」のユーモラスなニュアンスが海外には一切伝わらないということ。
 
2.ガールフレンド

“A gay couple came to our singing session and one of the guys introduced to us his ‘girlfriend.’(ゲイカップルがサイン会にやってきて彼の「ガールフレンド」を紹介した)
…私もニュアンスがよく分からないのだけど、同性愛者にはいろんな関係や呼び方があって「ガールフレンド」と性別を限定されることを嫌がる人もいるらしい。「ボーイフレンド」の人もいれば「パートナー」「お友達」の人もいる…。そのあたりのニュアンスがどう問題なのか…は私にもよく分からないが、どうやら「女性」と限定されたことがいけないらしい。(これは翻訳の問題の可能性も十分あります)
 
 
★インタビューでの言動やニュアンスがどう受け取られたのか…
 
上記の同性愛者関連以上にもっと大きな問題だろうと思われるのは、このBlouin ArtInfoの記事でのあ~ちゃんの言動から受け取られる全体的に冷たい印象。これはPerfume3人のキャラクターを良く知る日本人ファンには非常に分かりづらいことだと思う。なぜなら日本のファンはあ~ちゃんの性格をよく分かっていて、この記事での彼女の言動も自然なものに思えるからだ。
 
しかしながら海外で、Perfume3人の性格も人となりも全く知らない人達が、翻訳された文章となったインタビューを目にしたときに、その受け取る印象が違ってくることもあるのは当然の事。今回の記事もそこが問題。この記事でのあ~ちゃんの言動の全体的な印象は非常に「冷たい」ものらしい。これはうちの旦那ABlouin ArtInfoの記事を読ませて出てきた言葉。彼女が欧州ツアーでのファンとのエピソードを面白おかしく語っているくだりが、まるで「動物園に行って妙な生き物を見てきた。こんな変な人もいたし、こんな変なこともあったの…おかしいでしょ…」と、かなりイジワルに聞こえるらしい。要はせっかくプレゼントまで持ってきて会いに来てくれたファンを、後からネタにしてバカにしている…ように聞こえるとのこと。実際に同じことに言及した海外ファンの文も読んだ。
 
要はニュアンスの問題なんです。あ~ちゃんの性格を分かっていれば一緒になって笑える話…彼女にも罪は無い。もちろんファンをバカにする意図が彼女に一切無いことも明らかなこと。彼女をよく分かっている日本人ファンから見れば、欧州ツアーでのファンとのMeet & Greetが、温かくて楽しくて素晴らしいものであったのは明白。実際にそれを記録したブログも見かけた。ゲイカップルの二人も日本から来てくれた憧れのスターに会えて幸せだったろうと思う。
 
ところが…その幸せなファンとの時間も、後で日本的なユーモアのネタにして公の場で笑い話にされると、その温かさが消えてしまう。それが英語に翻訳され、文章になって記事になると、(海外に)伝わる印象は正反対だったりもするわけです。受け取る海外のファンも、あ~ちゃんの温かい性格を知らずに誤解をしてしまう。それが海外メディアの恐ろしいところ。
 
 
イアンさんがこのJapan Timesの記事で書いているのも、非常に閉ざされた価値観・環境の中で活動する日本の他のポップスター達も同じような間違いを犯しかねないので気をつけたほうがいいということ。もっと意識をもって気をつけたほうがいい。
 
A lot of this comes down to political correctness, which at its worst can be a form of Orwellian newspeak, but at heart really just means thinking about the effect your language and imagery will have on other people. Language that appears to deny gay people their right to a gender is a horrible thing for many to hear, however well-intentioned. Artists should have the freedom to say whatever they want, but they should at least know why they are saying it.
(多くの事柄は結局はポリティカル・コレクトネス=言葉や用語に社会的な差別・偏見が含まれていない公平さ=につきるということになる…それも最悪の場合はジョージ・オーウェルが「1984」で示したような言論統制にもなり得るのだけれど…。しかし事の本質は自分の発する言葉や心象が、どれほど他の人に影響を及ぼすのかを考えるということ。同性愛者の性別選択の権利を否定しているように見受けられる言葉は、多くの人にとってぞっとするほどいやなものなのだ…仮にその言葉に悪気は無かったとしても。アーティストは皆言いたいことを言える自由を持つべきだが、少なくともなぜ自分がそう言ってるのかは自覚するべきだろう。
 
正論です。自分の言動がどんな形であれ、人の目に、耳に触れれば、人に影響を及ぼす可能性がある事は、どんな人でも自覚する必要があるんだろうと思います。ポップスターという多くの人々の目に触れる存在であるのならばなおのこと。思わぬところで人を傷つけることもあるかもしれない。つまりは、もっといろんなことに目を開き、自分の言動にも責任を持てということだろうと思います。
 
 
それにしても、同性愛者関連の事柄を始めとする海外での正しい常識を完璧に理解することは本当に難しいことです。今回のことで、こういうことに無知なあ~ちゃんを一方的に責めるのもあまりにも酷いというものでしょう。むしろ私は個人的には、Perfumeとのインタビューの現場でたまたま話題に出てきたリスクのある言葉「Gay」をわざわざ強調し、タイトルにまで書いて客寄せパンダ的にPerfumeを使ったBlouin ArtInfoの記事のほうが、倫理的にはずーっと問題があるだろうとも思ってます。言葉のプロである筈のライターRobert Michael Pooleさんがどのような意図でこの記事を書いたのかは聞きたいところですよね。もちろん私も最初はそんな彼の記事に釣られたのですが…。


Perfume:Blouinartinfo誌インタビュー・ゲイ記事キター! ---2013/11/18


● 追記
その後もう少し海外のファンブログなどを読んでみたのですが、この問題はもうすっかり納まっているみたいです。Blouin ArtInfoの記事が出た最初の1週間ほどは、いろんな所で議論が交わされていたみたいですが今はもう静かです。ともかくいろいろと読んでみて分かったのは、一部の繊細なファンを除いて殆どのファンがPerfume側に立って冷静な判断をしているということ。Blouin ArtInfoの記事に関しても偏りがあるとの指摘や、翻訳のせいだろう、いやそもそもそんな失言だなんて全く気がつかなかった…などという意見も多い。

今回の失言が一部のファンを失望させた事は事実で、これからもインタビューでの言動には気をつけたほうがいい事は確かですが、元々のPerfumeの海外のファンベースにはそれほどの影響は無かったのではないかと思います。今回のことは、Perfumeにとっても海外メディア、海外の常識を学ぶいい機会だったと思うし、前を向いて決して負けずに次に繋げていって欲しい。大丈夫です。Perfumeは間違いなく多くの人々に愛されています。