日本での放送は2020年10月7日
見ましたよ
東京タラレバ娘2020年版。
『東京タラレバ娘』と言えばワタクシ、2017年のオリジナルのドラマシリーズの感想で、散々文句を書いたのでした。今読み直したら…馬鹿女のよろめき…などと書いてますねぇ。ひどいなぁ。
・日本テレビ 水曜ドラマ『東京タラレバ娘』全10回・感想 ---2017/3/30それから
3年後の2020年。タラレバ娘はどうなった?どう成長したのだ?興味津々。
私はこのドラマがこういう風にシリーズ化されるとは思っていなかったのですが、3年後の同じキャラクターを描くのであれば、もしかしたらこれは…東京版の『Sex and the City』みたいになるのかな…とも思ったんですよ。なるほどな。
確かにそれは面白い企画。東京の3人の女性達がこれからどのように人生を歩んでいくのか?…を描いてシリーズ化するならすごく面白いかも。
アメリカのドラマ『Sex and the City』は素晴らしかったのですよ。ふらふらしていた30代の女性達が様々な現実にぶつかって成長していく。最初は軽いドラマだったのに、いつの間にかリアルでシリアスな女性の成長を描くドラマに変化していった。面白かった。すごくいいドラマだったのです。それの東京版をやるのなら、きっと面白いものができるはず。
さて3年後、タラレバ娘はどうなった?
う~ん。踏み込みが足りないね。このドラマは元々漫画のシリーズなのだそう。そのせいですかね、3人の女の子達のキャラが、かなりしっかりと決まっていて、そのキャラの枠からストーリーが発展しにくいのかな…と思ってしまった。
人と人…男女の関係って、例えば25歳の時と33歳では違ってくるものじゃないですか。25でモテて人生楽しくて街を闊歩していた女性も、33歳になれば少し…現実を考え始めてしまう。30代半ばも近づいた女性達の日々には、楽しいばかりではないシリアスな場面も出てくるものではないか。
しかしながら、この漫画っぽい3人の女の子たちは、3年経って33歳になってもあまり変わっていないのですね。状況は確かに変わった。年も取った。しかしながら、彼女達の中身はあまり変化していない。
特に倫子ちゃん(吉高由里子)。全然変わってないな。
小雪(大島優子)は店を出した。環境と仕事を変えましたね。大きな変化。しかし…中身はどうか。33歳で、いい男性に出会えないからとデートアプリで出会いを求めたはいいが、いいかげんな振る舞い(初日に寝てしまう)で、いい出会いにはならずじまい。あれは男性の方がひきますね。相手と普通にデートを重ねて、まず友情と信頼を築いてから…という風にはできなかったのか?ただ寂しかっただけなのか?
香〈榮倉奈々〉は一番変化がありました。彼女はバンド君と別れて、再会した同級生と結婚。そして最後は妊娠。彼女も義理の母や旦那さんとの関係などいろいろとありましたが、彼女の前に進む姿には納得できる。これからまたいろいろでしょう。すごく自然な進歩。
さて倫子ちゃん(吉高由里子)。彼女が一番変わらなかった。もう全く進歩していない。3年前のドラマでも彼女が一番ふらふらしているように見えたのですが…やっぱり変わってないのかなぁ。確かに結婚式の当日に相手に逃げられるのはひどい話なのだけれど…。まぁ漫画ですね。あれは。
一番気になったのは3人とも女の子達の中身があまり変わっている描写がなかったこと。年齢に対する焦りもない。彼女達は今でも20代のように気持ちがお若い。
その上で見ていて特に違和感があったのは、彼女達3人とも男性との関係のあり方が、33歳になっても常に「相手に何かを求めるだけ」に見えてしまったこと。彼女達は、男性に対して要求ばかりしているように見えた。
彼女達は現代のプリンセスなのか。
それがオリジナルの漫画に描かれた今の東京(日本)の女性達の姿なのかもしれませんね。夢を求めて要求ばかりする女性が基本のキャラ設定のストーリーなのかも。
…ところで、3年前のドラマでは、小雪さんはちょっと違うかと思ったの。不倫ではあったけれど、彼女は相手の事を思いやる女性に見えた。しかし今回は…うーん…たぶん男性よりも自分のお店のほうに一生懸命だったのかもしれませんね。彼女はあまり恋人が欲しいようにも見えないです。
そんな「東京タラレバちょうだい娘」の要のキャラは倫子ちゃん。 倫子ちゃんは、今回は大変不運だったけれど(決めた結婚がだめになった)、そもそも彼女自身があまり変っていなかった…。
彼女が今までとりあえずデートした相手は…3年前の早坂さんも、もこみち君も、今回の図書館朝倉くんも、みーんな倫子ちゃんにかしずいてくれる男達。彼らは、倫子ちゃんが好きで、誠実で、親切で、彼女を助けてくれたり。彼らは倫子ちゃんに「いろいろなものをくれる男」。倫子ちゃんを大切にしてくれる男たち。しかしどうも倫子ちゃんは、そんな「与えてくれる男」は物足りないらしいのだね(図書館朝倉くんはちょっと番狂わせでしたけど)。
不思議ですね。彼女は男性に対して要求ばかりしているのに。
そして…、どうやら3年間ほったらかしにされた金髪KEYくん(坂口健太郎)が、まだ気になるらしい。なぜだ? そしてまた、3年間海外にいて全く連絡をしてこなかった金髪KEYくんも、まだ倫子ちゃんのことが気になるらしい。う~~~~ん…悩むね。
この二人、おそらく…こう…なんだろう…動物的にひかれるとか…そういうものなのだろうか?どうなの?そもそもこのお二人、一度は付き合ったんでしたっけ?
なぜこの二人はこんなに惹かれるのか?わからない。KEYくんが全く魅力的に描かれていないのですよこの脚本では。…顔を合わせれば喧嘩。いつもすかしてて口を開けば嫌味と失礼なことしか言わない。表情に愛情のかけらも見えない。二人には甘い化学反応もゼロ。
倫子ちゃんが3年間も会っていないのにこの失礼でぶしつけな男に惹かれる理由は何?リアリティがゼロなんですよね。どうも納得できない。
しかしそういう…ただ外見が超絶対的に好みというだけで、女性がどうしようもなく男性に惹かれてしまうのは…せいぜい25歳ぐらいまでじゃないか? そこなのですよ。女性が33歳にもなって、まともな会話さえろくに出来ない男にそれほど惹かれる?
そしてこの2020年版の最後も、どうしようもないくらい煮え切らなかった。
今回倫子ちゃんの結婚がダメになったことで、二人に何かが始まるのかと思ったら、結局何も始まらなかったですね(また何も始まらないドラマ)。戸外で二人立ち尽くしたまんまで、うす~く最後にハグしただけで何の進展もなく、金髪くんはまた海外に行ってしまう。「待っててね」とも言わず、何の約束もせず、さようなら。 …「あんたに会いに帰ってくるよ、いってきます」…でまた3年間ほったらかし? 倫子ちゃんそれでいいのかよっ! 3年後は36歳だ。どうするのだ? リアリティ、ゼロ。もうそんな男忘れろっ。
金髪KEYくんは人として不誠実ではないか?「倫子ちゃんが好きだからこれから一緒に前を向いて歩いていこうよ」ではなく、「あんたに会いに帰ってくる、いってきます」…で、倫子ちゃんに何を期待しているのかな? それで倫子ちゃんが金髪くんのことを一生待っていると思っているのだろうか? 好きなら好き。付き合う気がないのならけじめをつけてくれないと女性は困る。こんな宙ぶらりんのままで33歳の女性を置き去りにするなんてかなり酷いと思いますよ。
結局、30代女性の成長を描くのではなく、3人の「キャピキャピ女子会キャラ」ありきで、漫画っぽくこのままずーっといくのだろう。せめて香さんがママになって、小雪さんがカフェのオーナーになったことで…よしとする。 倫子ちゃんは何も決められず、金髪くんにふりまわされて年だけ取りそうだ。
もうちょっと…東京の今の女性達はどう生きているのか…?を踏み込んで描いてくれれば、かなり面白いシリーズになると思うんですけどね。もったいない企画。
それでも3人の女の子達の元気な姿がまた見れてよかったです。
結構楽しめました。おばちゃんは心配だけど。みんながんばれよー。