能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2016年4月25日月曜日

Princeさんの思い出~1986年‣横浜スタジアム「Parade Tour」最終日のセットリスト



アメリカのTVでは、昨日もプリンスさんのニュースが流れていた。もう4日も過ぎたのにまだ心が落ち着かない。

1月にDavid Bowie氏が亡くなって、今度はプリンスさんなんて今年はどうしたんだろうと思う。たった4ヶ月ほどの間に若い時に大好きだったスターが2人もいなくなるのは悲しい。


高校生の頃初めて聴いたプリンスの曲は「I Wanna Be Your Lover」。最初に買ったアルバムは1999。その頃からファンになってParadeまで新しい作品が出るたびにアルバムを買って聴いた。

1983年の1999は全米9位。その翌年1984年には、自伝的映画Purple Rainのサントラが全米で1位になる。その後も1985年のAround the World in a Day1986年のParadeと傑作を連続して発表。作品も売れに売れてプリンスは世界クラスのスーパースターになった。この時期をファンとして過ごすことが出来たのは幸運だった。

当時学生だったこともあって、多くの時間とエネルギーを彼の作品や情報を集めることにつぎ込んだ。発表されたアルバムはもちろん、過去の作品を遡ってDirty Mind』『Controversy買った。プリンスをめぐるミネアポリス界隈のアルバムも漁った。Sheila E.の『The Glamorous Life』、TimeWhat Time Is It? 』『Ice Cream Castle』、Vanity 6Vanity 6』、Apollonia 6Apollonia 6』などをレンタルレコード屋で借りて聴いた。プリンスの関わった音作りは独特で、それまで聴いていたイギリスのバンド、米の普通のロックが全て色あせてしまった。

当時から彼は天才だと様々なメディアが書いていた。どのアルバムも殆ど捨て曲がなかった。バンドRevolutionも本当にかっこよかった。ギターのウェンディ、キーボードのリサが素敵だった。特にリサの声はプリンスの作品に独特の色を添えていた。大好きだった。


プリンスは19869月に初来日。会場は横浜スタジアム。98日と9両日とも参戦気になって当日のセットリストを調べたらなんと出てきた。


198698日 横浜スタジアム
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1. Around the World in a Day
2. Christopher Tracy's Parade
3. New Position
4. I Wonder U
5. Raspberry Beret
6. Delirious
7. Controversy
8. A Love Bizarre  (Sheila E. cover) 
9. Do Me, Baby
10. (How Much Is) That Doggie in the Window? (Patti Page cover) 
11. Lady Cab Driver
12. Automatic
13. D.M.S.R.
14. When Doves Cry
15. Little Red Corvette
16. Paisley Park
17. Under the Cherry Moon
18. Anotherloverholenyohead
19. 17 Days
20. Head
21. Pop Life
22. Girls& Boys
23. Life Can Be So Nice
24. 1999
--------Encore:
25. Mountains
26. Kiss
--------Encore 2:
27. Purple Rain
 
198699日 横浜スタジアム
--------------------------------------------------------
1. Around the World in a Day
2. Christopher Tracy's Parade
3. New Position
4. I Wonder U
5. Raspberry Beret
6. Delirious
7. Controversy
8. A Love Bizarre  (Sheila E. cover) 
9. Do Me, Baby
10. (How Much Is) That Doggie in the Window?  (Patti Page cover) 
11. Lady Cab Driver
12. Automatic
13. D.M.S.R.
14. When Doves Cry
15. Little Red Corvette
16. Do U Lie?
17. The Ladder
18. Condition of the Heart
19. Under the Cherry Moon
20. Anotherloverholenyohead
21. or $
22. Head
23. Pop Life
24. Girls& Boys
25. Life Can Be So Nice
26. 1999
--------Encore:
27. America
28. Kiss
--------Encore 2:
29. Sometimes It Snows in April
30. Purple Rain
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…うわ凄いセット。9日は30もやったとは今まで知らなかった。いいものを見たんだなぁ。これはライブの音源が残っていないのだろうか。欲しい。あったらいつか公式にリリースしてほしい。


ツアーは『Parade』ツアー。前座はSheila E.。プリンスのライブが始まって数曲目、ウェンディとリサが「I Wonder U」を歌う。二人の篭ったような声の、もあ~っと湯気の出るような感じにうわーっと圧倒された。興奮のあまりこのコンサートのことはよく覚えていないのだけれど『Girls& Boys』で手をくねくねクロスさせて回りのみんなと一緒に踊ったのは覚えている。最後は『Purple Rain』で、スタジアム中の観客全員が催眠術にかかったようになった。

あのライブがバンドRevolutionとして最後のライブだったことは後から知った。


後日、雑誌『Rockin’ On』のライブ・レビューで(たぶん)渋谷さんが「プリンスのライブは彼と観客が一人一人直接繋がっているような…」と表現していて、ああなるほどと思った。確かに9日最後の「Purple Rain」には、催眠術にかけられたような、全身が痺れるような不思議な感覚があった。

スタジアムでのライブなのにどこか秘密クラブの集会のような雰囲気、異様に密度の濃いショー…あの日の濃い空気は、バンドからのエネルギーと観客の熱意が一緒になって起こった化学反応だったのだろうかと今になって思う。

1986年になっても日本での一般的なプリンスのイメージは、まだどこか「キワモノ」だった。だからあの横浜のライブに集まったのは「俺にはわかる」「私には彼の事が理解できる」…そんな濃いファンばかり。それぞれプリンスに対して特別な思い入れのあるファンがあの日かなりの数集まっていたのだろうと思う。

そしてその日はバンドにとってもRevolutionの最後の特別なショーだった。

あれから数多くのスターのライブを見たけれど、あのような全身が痺れるようなライブはあれ以来一度もなかったかもしれない。あのライブで何かが完結した。Revolutionも解散した。全ての事があいまいでいろんな事に馬鹿みたいに夢中になれる学生時代もおしまい。翌年私は社会人になった。


その後時代も変わった。プリンスも通好みのキワモノアーティストから、東京ドームを埋める誰もがよく知るスーパースターになった。彼のライブも、ボディコン姐ちゃんの群集が踊るバブルにふさわしいイケイケなイメージに変わった。1990年の東京ドームと横浜スタジアムのショーは行ったはずなのに殆ど覚えていない。そのあたりから私はプリンスの音楽を聴かなくなってしまった。


アイドルとの濃い時間を過ごしてもいつかは終わる時が来る。そして振り返らないまま時は流れた。それでも思い出が消えることはない。学生時代にプリンスに夢中になっていた頃のことは忘れない。彼と彼の音楽は特別だった。かっこいい音。素敵なリズム。溢れる才能。圧倒されるほどに濃く妖しくパーソナルでディープな世界。突き刺すような視線の綺麗な目。身体をくねらせながら歪んだギターを弾く彼は本当に素敵だった。そんな彼を綺麗な女性達が常に取り巻いていた。あれほど苦しくなるほどかっこいい人もめったにいない。

買い集めた初期のアルバム。オールナイトの映画館で連続4回見た『Purple Rain』。ディスコでも彼の曲が流れていた。熱気むんむん横浜スタジアムのParade Tour最終日。どれも素敵な思い出。彼の音楽を、彼の創りだす世界を追いかけるのは本当に楽しかった。


プリンスさんありがとうございました。

ご冥福をお祈りいたします。

 
Sheila E-TheGlamourous Life (1984)
Wendy &Lisa -Honeymoon Express (1987)

 

 

2016年4月21日木曜日

Some Times It Snows In April…Rest In Peace Prince



Some Times It Snows In April (piano cover)


本当に今年はどうしちゃったんだろう。
本当にどうしたんだろう…。
言葉もないです。ほんとに。
涙が出るわけではないけれど、
また心に穴が開いたようだ。

プリンスさん、あなたがいなくなって寂しい。
若い頃にあなたの音楽と一緒にいろんな時間を過ごした。
あなたは誰よりもかっこいいスーパースター。
大好きでした。
素敵な音楽をありがとうございました。
R.I.P.




 

2016年4月20日水曜日

お猫様H:たわむれ



椅子の横のカーテンを自分でたぐり寄せてその上に座っている。
カーテン越しに触らせてね。
「んがっ」…歯が刺さってますよ。
「…」
仲直り。
おすまし。
 
 

2016年4月19日火曜日

NHK大河ドラマ「真田丸」第15回「秀吉」 4月17日放送



サナダマル15回「秀吉」。そうです秀吉のお出まし。
この秀吉、
惚れました。
 
いい。すごくいい。なんか納得した。すごく面白い。あーもしかしたらこういう人だったのかもなぁ。
 
軽いんですよ。人物が軽い。軽い軽い軽い。小さくて、ひょこひょこひょこ…どこでも走って行ってしまう。動きが素早い…印象が素早い。外見の印象と同じく

頭の回転が速い

速い速い速い。明るい。陽気。楽しい。軽薄。女好き。笑い好き。面白いもの好き。

この秀吉は

天才型。

納得した。アマデウスか。子供がそのまんま大人になった感じですね。子供がチョロチョロチョロチョロしている感じ。それなのに頭の回転が超高速で誰も追いつけない。だからどんどん先に進んで周りがついていくしかない。この人には誰もかなわない。とにかく速い。軽い。信長がこのお方のことを「ハゲネズミ」とか「猿」と呼んでいたのも納得できます。
 
新解釈なのかな。竹中さんとは全然違う。竹中さんの秀吉は、若い頃はお調子者で面白いけど情に厚くて、人徳で人をひきつけたキャラだったと思うけれど、この小日向さんの秀吉は、とにかく天才過ぎて周りが追いつけない感じ。無駄を嫌い合理的。情も薄そうだ。たぶんこの人のことは誰も理解できない。でも人並みはずれているからやっぱり惹きつけられる。
 
人が1ヶ月かけて練るプランを5分で思いついてしまう。実務はめんどくさいから部下にポンと放り投げてすぐに遊びに行ってしまう。この人の言ったことを周りが考えている間に、本人はもう次の事を考えている。何事もすぐにたいくつしてしまうから、すぐに次のことを始めて忙しい。頭が良すぎて回りが全部バカに見えてしまう。アイデアがどんどん出て来て止まらない。ひょこひょこしてる。
 
そうか…天才か…。だから同じく天才型の信長と馬があったということか。へー…面白いなぁ。小日向さん最高。本当に子供みたい。
 
でも子供はわがままだ。だからすぐに機嫌をそこねる…→怖い。秀吉って史実でも怖い人でしたっけ?この秀吉は竹中さんや緒方さんの印象とは全く違いますよね。…なんかね…頭の回転が速過ぎて何を考えてるかわからないから怖い…あ、でもそれは信長じゃん。
 
ともかくこの秀吉が面白いから楽しみになってきたぞ。今回の話では、信繁が秀吉にマッチした頭の良さだから気に入られた…としていますね。なるほどなぁ。しかしこの信繁は秀才型で天才型ではなさそうですね。
 
 
●あらすじ
大坂に上杉さんとやってきた信繁。秀吉に出会う。気に入られる。上杉は苦渋の決断…とうとう秀吉に頭を垂れる。真田のパパはまだ上洛しない。

★感想
・吉野太夫は綺麗ね。
・福島正則のガハハハハハ笑い。酒の枡の大きさの違いを秀吉が見てます。
・三成はガチガチ優等生。
・遊郭遊びが三成にバレて、秀吉のいい訳「ちがうんだよー源次郎のせい…」←食えねーっ(^_^;)\
・信繁はヌレギヌのあしらいが上手い。

・信州では、作兵衛がすえちゃんを大切に育ててます。
・佐助は出浦さんに弟子入りしてすっぱのトレーニング中。火遁の術…おーい家が燃えるぞ。
・お兄ちゃんは手持ち無沙汰なので奥さんと庭仕事。
真田のパパとママが仲良し。

これはいい場面。
薫さんが可愛い。高畑さんがすごく嬉しそうだ。かわいい。パパはお兄ちゃんの良さもよくわかっているのね。

・京では、三成が信繁に突然フレンドリー…→なぜなら秀吉が信繁を気に入ったから。
・…と、大谷吉継さんが教えてくれる。

・秀吉、裏では上杉さんのことを興味がないように言っていたのに、会えばニコニコ。しかし「真田に味方するなよ」と釘を刺す。この場面がまたいい。
・秀吉「真田をこらしめねば」「家康に恩を売っておきたい。あいつはめんどくさい男だ」←これがまた怖いの。
秀吉が圧倒的に強い。
自信たっぷりで余裕。家康のことも全く恐れていない。
・また落ち込む上杉の殿

茶室のシーン。これもいい場面。上杉が信繁を紹介すると秀吉「何を申しておる。昨日会ったろ」ヒャ~「そうか…心優しい男だのぉふぁははははは」。
・信繁両手グー。
・上杉さんの心の流れ→茶碗を持ったまま「これで飲んだらおしまいだ…あーどうしよう…ためらい…やっぱり降参…飲んで放心…あーとうとうやられてしまった…」←名演ですまた落ち込む
・千利休の目が怖い。
・秀吉。上杉さんが茶を飲んだらさっさとおしまい。二人を茶室から追い出してしまう。秀吉は無駄を好まない。
・利休「どっかでふんぎりをつけられたのでございましょう」秀吉ニコニコ子供のようだ。
上杉さん落ち込む。

・秀次はきりちゃんに一目惚れ。

・豪華な部屋に小さな秀吉がちょこんと座る。検地について。
・秀次君はあまり頭がよくないのね。
・秀吉「枡が違うと何もわからん」←あ~~~この枡か…遊郭のあの目線はこのこのとを考えていたのね。私は福島正則の大きな枡を見て怒ったのかと思っていた。
・かしこい信繁はそつなく回答。

・秀吉と茶々と信繁との神経衰弱。やっぱり秀吉は忙しい人ですね。1日にいろんなことをやってる。
・茶々と若侍の目配せに怒る…と思ったらまた子供のような笑顔。カードがつまんなくなったので「なんだよこれー」とカードをかき混ぜる。わがままな子供。(^­­_^)
・一家だんらん。ねねさんの名古屋弁がいいな。綺麗ですね。おっときりちゃんがなぜか場になじんでいるぞ。
・ところで今回も

ナレーションがネタバレしすぎ!

 

2016年4月18日月曜日

映画『ズートピア/Zootopia』(2016):負けないウサギちゃん





Shakira - Try Everything (2016)
 
Album:  Zootopia (Original Motion Picture Soundtrack)
Released: Feb 12, 2016
℗ 2016 Walt Disney Records


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Zootopia2016年)/米/カラー
108分/監督:Byron Howard, Rich Moore, Jared Bush
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 最近は「映画に行こうか」と思ったら、採点サイトの評価点数と予告編の映像だけ見て(めんどくさいので)解説や記事を読まずに出かける。
 
さてこの『ズートピア』はディズニー印の動物アニメ。もちろん見る見る見る。予告編も可愛い。子供向けの映画のはずなのに評価サイトRotten Tomatoでは98…おおそんなにいい話なの?子供向けですけどね…というわけで見に行く。
 
 
可愛いですよ。本当に可愛い。キャラのデザインがとても魅力的。怖いキャラもどこか可愛い。上手いです。昔のディズニーの動物ものは、怖い動物はそれなりにリアルで怖いデザインだったと思うのだけど(←『旧ジャングルブック』)、この映画の動物達はいい具合に擬人化されていて親しみやすい。…人なんですよねこれ。この映画の動物達は人。デザインを動物から借りているだけでキャラは人間。
 
内容は子供向けらしく元気一杯ながらも、とても真面目なものでした。近年のアメリカの子供向けアニメは大人が見ても唸らされるものが多いですが、これもそう。深いテーマです。面白いし、おかしいし(笑い満載)考えさせられるし…とてもいい映画です。本当に良く出来た映画。
 
可愛くて、ユーモラスで面白くて、希望と理想を語って、いい気持ちにさせてくれる映画。ちょっと小難しい解説も後ほど。
 
 
●あらすじ

あらゆる動物が住む街『ズートピア』で、ウサギ初の警察官になったジュディちゃんが大活躍。



--------------超ネタバレ注意…映画を見た後でどうぞ--------------

 
★少し踏み込んで読み解く

これはすばり偏見についての映画です。こんな話だとはまさか思わなかった。やっぱりハリウッドは子供にいい話を見せようとしていますね。もちろん一緒についてくるお父さんお母さんも教育する…そんな映画。
 
映画の全編でのテーマが「偏見をもつな」「偏見に負けるな」というお話。
 
ウサギのジュディちゃんが努力して警察官になっても、ウサギにはふさわしくないからと壁にぶつかって苦労する。キツネのニック君は本当は真面目な子供だったのに、キツネだから…と偏見でいじめられてグレて詐欺師に成長。街の大事件…ある日突然狂暴になるのは肉食獣だから…そんな偏見を主人公のジュディちゃんでさえも口にしてしまう。偏見はどこにでも誰の中にも存在する。
 
甘いもの好きで太めの陽気なチータ。か弱い羊は必ずしもか弱くない。ナマケモノは実はスピード好き。おっさん声の可愛いフェネック。トガリネズミのドン・コルレオーネMr.Big。外見と中身の組み合わせの意外なキャラ設定も狙ってます。
 
偏見を持つな。
偏見に負けるな。

その二つのテーマが何度も何度も繰り返される。

そして映画のテーマソングは「Try Everything」…歌詞は「打たれても負けない。失敗しても負けない。いろんなことに挑戦しよう」。

偏見はどんな国にもどんな場所にも存在する普遍的な問題。こんなメッセージ性の高い映画を作るアメリカも、現実には偏見を元とする様々な問題をかかえる国。アメリカという国は問題があったら必ずそれに対抗する動きの出る国。こんな映画が現在作られる背景も少し考えさせられる。


今から50年ほど前のハリウッドは「招かれざる客/Guess Who's Coming to Dinner」「アラバマ物語/To Kill a Mockingbird」等の映画で人種的偏見の問題を直接的に扱っていた。70年代には人権侵害の問題「カッコーの巣の上で/One Flew Over the Cuckoo's Nest」。ベトナム戦争の後には帰還兵に対する偏見を扱った映画も制作された。70年代後半にはWomen's Liberation=女性解放運動+女性の自立を扱った女性映画が多く作られた。近年では90年代から2000年代半ばまで人種問題に関する大量の映画が制作されていた。それぞれの時代の映画は、テーマに沿って焦点をぼやけさせない直接的な表現の問題提起型・映画が多かったように思う。

それに比べて現在のアメリカでは、偏見などのきわどい問題を娯楽映画で直接的に表現するのは難しい。なぜなら現在のアメリカ人の多くは「人種問題なんか存在しない」「偏見などない」「何も問題はない」という前提の娯楽映画を見たがるからだ。(まだまだタイプキャストが存在するとは言っても)たいていの大掛かりなハリウッド映画の中では、人種問題など全く存在していないように描かれるのが常。白人の主人公には優秀な黒人の同僚がいる。アジア人の医者や学者、黒人の政治家、大統領…そう、そうだ、アメリカの大統領は現実にアフリカ系ではないか…。

しかしながら、普通の市民にとって現実はそれには程遠い…のは、アメリカに住むアジア人なら誰でも知っている。人種問題だけじゃない。性、階級、教育、職業、宗教、民族、生まれた場所、国…等、様々な分野での偏見はバリバリに存在する。それに偏見はアメリカだけにあるものじゃない。偏見なんてどんな国にも世界中に存在する。それでも今のハリウッドは(過去の実話を元にした話を除いて)そういうテーマの娯楽映画をあまり撮りたがらない。なぜなら偏見や人種問題なんてみんな(特に白人は)

もううんざりしているからだ。


良識的な映画人は多くいる。子供には理想的な未来を担って欲しいとも皆思っている。しかし娯楽映画で真っ向から人種問題や偏見を扱うと観客に嫌がられてしまう。映画もビジネス。興行成績を上げることだって重要な課題だ。

それならアニメにしよう。アニメの動物キャラの映画で人種差別や偏見の問題をとりあげよう。偏見をもつことはいけないことだと教えよう。また子供達が成長の途中で他者からの偏見にぶつかっても、心折れることなく未来に向かってはばたけるように、強くあれと励まそう。理想と希望の映画を撮ろう。動物キャラなら、人種問題だって偏見だってわかりやすく、イヤミにならず、誰も傷つけず、問題の核心に迫った映画を撮ることが出来る…。

この映画はそんな映画です。本当にお見事。またまたハリウッドの力技。作品の高評価はそんなところにあると思います。真面目で良識的な映画。


…そんな小難しい事を考えなくてもこの映画は楽しい。小さいドン・コルレオーネ(マーロン・ブランドのパロディ)が出てきたら映画館中の大人達が大爆笑。主人公のウサギも本当に可愛いぞ。全ての動物キャラが魅力的。動物の細かいところをよく見ているなと感心する。

アメリカの子供向けアニメは毎年確実に進歩しているのが本当にすごいと思います。傑作でしょう。この映画は後でブルーレイを買いたい。小さい動物がうじゃうじゃ出てきて、どれもいちいち可愛いので絵の細部を映像を止めてじっくり見てみたい。

 

2016年4月17日日曜日

くまモン頑張れ絵




Ⓒ2010 熊本県 くまモン


熊本そして九州のみなさま
 
一日も早く日常の日々に戻れますようお祈りしています