能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2013年1月15日火曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第2回「やむにやまれぬ心」



今回もいい感じ。今年はほんとにいいかも…。
 
小八重ちゃんは可愛いい。いかにも男勝りな女の子。どこの小学校にもいますよね。ドッジボールで男の子にボールをぶつけて泣かせる女の子。お人形で遊ばずにお兄ちゃんと一緒にバットを振り回すような女の子。←まさにコレ。

この負けん気の強い女の子に、男と女は根本から違うと実技で教え諭すパパとの場面が素晴らしい。目の前で鳥が血を流して死ねば、子供にも遊びじゃないことがしっかりと解るはず。死んだ鳥を見つめて考え込み、次の場面ではお母さんのお手伝いをしている。あの小さい頭でいろいろと思い悩んでいるのね。いじらしい。可愛いです。大人が小さな子供にも丁寧に物の道理を言葉で教え諭すのは素晴らしくいい場面。この小八重ちゃんはもっと見たかった。
 
殿様の家族の場面もよかった。

出戻りのお姉さん照姫が、まず弟の容保に深々と頭を下げる。もちろん駆け寄って抱き合ったりなんてしない。交わす言葉も上流のよそよそしさ。だけど温かい。そんなケジメがいい。この姉弟はほんとに慕い合ってる様子。そこに明るい敏姫も参加。この3人の場面のいかにも上流階級の上品さが美しくて素敵だった。ドラマです。後に大変な歴史の渦に巻き込まれる弟と姉。もう考えるだけで泣ける。

 
それから今回西郷どんが初登場。顔が違う…(笑)。でもね…NHKさんの番組「50ボイス」で見たんですけど、吉川さんご本人が「顔が似てない…」と苦笑をされていて…(また笑)。いやいいと思いますよ。ここは俳優さんの腕の見せ所。大柄で大きな男の存在感と貫禄がよく出てました。
 
あとは…覚馬の西島さん…ちょっと素敵よね。このお兄さんが会津に帰ってきて大八重ちゃんと出会うシーンの表情がほんとに嬉しそうなの。年の初めにいくつか『八重の桜』がらみのインタビューなども見たのですが、西島さんと綾瀬さんはいい化学反応があるみたい。17歳も年の違う兄と妹だそうですが、可愛い妹を見る表情がとても優しい。おそらく俳優さん同士の化学反応が家族愛としてもうまく出ているのでしょう。この二人を中心に話が進むらしいので、この二人を見るだけでも楽しみが出来た。今回最後の終わり方も秀逸。
 
覚馬が家に帰ってきた場面で、小さな弟がきちんと手をついて挨拶をする場面もいい。照姫が容保に頭を下げる場面もそうなんだけど、このドラマではこういう礼儀をちゃんとやっているのがとても嬉しい。人物の上下関係をきちんと描いているのもいい。武家はこういうものに特に厳しかったはず。昔は当たり前だった作法や礼儀、所作を丁寧に描けばそれだけで美しい。侍の殺陣ばかりでなく、礼儀や作法こそしっかりと描いて、日常の「美しい日本」を思い出させて欲しい。
 
ともかく今回でまだ2回目ですが、脚本も自然で納得できるし、そろそろキャラクターにも興味が出てきた状態なので、このまま彼らに惚れ込めば今年の大河はずーっと楽しめると思う。たぶんもう間違いない。早速来週が楽しみ。


2013年1月14日月曜日

U2 - Two Hearts Beat As One (1983)



U2もね、昔は可愛かった…。


U2 - Two Hearts Beat As One (1983)
 Album 'WAR' (Remastered)
Released: Jul 20, 2008 ℗ 2008 Universal-Island Records Ltd. 
under exclusive licence to Mercury Records Limited



昨日のバンドの音が70年代後期の音っぽい…で思い出した。これは80年代だけど。この曲の入ったアルバムは「WAR(闘)(1983)」。プロデューサーは当時人気だったスティーブ・リリーホワイト。音が生っぽいです。

U2も出たばかりの頃は、勢い余って前につんのめるぐらい元気のいいバンドだった。この青い感じがよくてね…。若いバンドの魅力は、近所の若い男の子達がガレージでうるさい音楽をやってるような…純粋に音楽が好きなだけで騒音を出して騒いでるような…勢いですかね。頭の血管が切れるような勢い。

ともかく、この頃のU2は可愛かった。今でこそ、大大大大大御所の大金持ちジジイバンドになっちまったけど、こういう時期もあったんです。83年の初来日には行かなかった。たぶんチケットが取れなかったんだと思う。覚えていない。今はオッサン向けのごっついロックバンドという感じだけど、当時は女友達も皆ボノが可愛いと言っていた。絞り出すような声と叫ぶような歌い方がセクシーでね…。この頃は他のメンバーも可愛い。当時の日本では女の子にも人気だったんじゃないかと思う。ファンにこそならなかったけど、アルバムの「War」と「The Unforgettable Fire (焔)」はよく聴いた。その次の「The Joshua Tree」はなんとなく聴かなかった。たぶん大学を卒業して社会人になったからだと思う。それ以来聴いていない。

そういえば90年代に来日したとき東京ドームに見に行ったな。もう大御所ジジイバンドになっててつまんなかった。…けど、ボノが観客席に飛び降りて客の周りを走って会場を1周したときはギャーギャー騒いだ。なんだかこのライブはあまり記憶にない。ボノがお相撲さんに会場から電話したりしたっけ。

 

2013年1月13日日曜日

New Young Pony Club - Chaos (2010)



胆の据わった顔…。


New Young Pony Club - Chaos (2010)

Album:  The Optimist
Released: Jul 06, 2011 
℗ 2011 The Numbers

 
Youtubeめぐりをしていると、たまに気になってしょうがない曲にぶつかることがあるんだけど、これも最近見つけた。全く知りませんでした。New Young Pony Clubだって。New York Pony Club かと思って、ニューヨークのバンドかと思ったらロンドンのバンドなんだそうだ。

このボーカルの娘が最高。なまいきな声にえげつないほどあくの強い顔。顔からはみ出すほど大きな目と口。噛まれたら痛そうだ。これぐらい胆が据わった顔も珍しい。素晴らしい。網タイツのももがムチムチですな。ロンドンからはよくこういう顔の人が出ますね。

いろいろと聴いてみたけどこの曲が一番いい。ところでこのバンドの音はずいぶん懐かしい気がする。こんな音70年代の後半とか80年代の初めのイギリスによくなかったっけ。ベースなんてどこかできいたような。Japanの初期にもこんな音出してたな。あの頃この手の音ってよくありましたよね。なんだか古い懐かしい音。

綺麗な女の子も2人いるし、いいかも。

とにかくこの曲は、サビが脳内でリピートされて止まらない。

知られてないのかと思ったら、もう既にサマソニで来日してるんだそうだ。さすが日本は早いね。


2013年1月12日土曜日

Perfume:ドラえもんは「あり」なのか…



正直「あちゃー…なんでそこへ行く…?」解らん…わからんわからん。

Spiceの美しいお人形、Spring of Lifeのキモロボットに、Spending All My Timeの禁欲女生徒、マトリックスFake Itから、今回いきなりドラえもんか…。おーい…Perfumeは何処へ行く…。
 
もともとアート寄りなものが好きなんで、去年は良かったんですよ私的には…。Perfumeは面白かった。真鍋さん=アートの方とのコラボも最高。キリンのホログラムイベントも最高。おまけに海外ツアーではまたかっこいいPerfumeだったみたいで素晴らしい。そうそうああいう方向がいい、Perfume3人がご本人達はすごく優しいお姉さん達なのに、ステージや作品がちょっと手の届かない斜め上ぐらいというのがすごくいい…と思ってた。(長期間安定して売れる人はそういう位置にいることが多い)

しかし…ドラえもん。(私がファンじゃないもので)方向性が全く見えないのだ。ターゲットは幼い子供…若いママ層、おじいちゃんも? 

曲は、凄くキャッチーで一緒に歌えるお歌。中田さんは何でもOKなんだとつくづく思う。旦那Aにも聴かせてみたけど「キャッチーで耳に残る」と言った。曲はいい。

ただ…見せ方が、方向が…Perfumeこれでいいのか。いままでやってきた「妙アート予想不可能…でもお洒落かっこいい美脚お姉さん路線」を断ち切って、「国民的平和受け…おじいちゃんと孫が一緒に見に行くアニメの一家団欒お嬢さんアイドル路線」に、今移行するのがほんとにいいのか…。

ドラえもんのなにが…って、あの国民的正統派古典アニメには洒落が通じない…崩せない、ユーモアが見えない…。要はドラえもんというのは、真正面から正統派万人受け路線で行くしかない…うわぁそこなのか…。実はPerfumeはそれがやりたかったのか…。


たまたま今月リリースされるきゃりーぱみゅぱみゅさんの「ふりそでーしょん」と比べてしまうのもしょうがない。きゃりーさんはあいかわらず面白い。真面目なのかふざけているのかよく分からんPVも文句なし。超可愛い。曲も素晴らしい。今まで出す曲出す曲ほとんどが「妙で可愛いおふざけアート路線」のPV。ご本人も適度に自分を崩すのを面白がっている様子。だから面白い。海外にもこれなら「変なモノ好き若い層」に適度にウケるはず。そもそも大きなマーケットは狙ってないでしょう。だけど印象は強烈。それにお洒落。毎回毎回真剣に妙なものをやってるのがだんだん本当にかっこよくなってきた。(ちょっと調べたらきゃりーさんのプロダクションって「天ぷらキッズ」もいるのね。面白いことをやるプロダクション…?)

もちろん彼女と同じ事を今のPerfumeにやって欲しいとは思わない。全く別の市場。きゃりーさんが変で面白いアートな若い子をやるのなら、Perfumeはちょっとアートでかっこいいお姉さん路線だろうと思う。Perfumeは昔から「マカロニ」や「23:30」みたいな大人っぽい曲をやってたし、きゃりーさんとは全く別のタイプでしょう。

ともかく今回のドラえもんとPerfumeの組み合わせは不思議。まだまだ完成品としてどんな路線になるのかさっぱり分からないけど、本当に万人受けファミリー仕様なのか、それともまた何かでビックリさせてくれるのか、こういうふうに悩まされるのもPerfumeの面白いところか…さてどうなるか…。


 

2013年1月10日木曜日

Japan - Quiet Life (1979)



David SylvianといえばJAPAN…。

 
 
Japan - Quiet Life (1979)

Album:  Quiet Life
Released: Dec 1979
℗ 2004 BMG UK & Ireland Ltd.


70年代後期、当時の洋楽雑誌「Music Life」に写真が載り始めたイギリスのお化粧バンドJAPAN。クラスのお洒落な女の子はすぐに飛びついた。私は当時Queenファンで、写真を見ながらどうせイロモノバンドだろうと思っていた。たまたまクラスメイトにKISSのアルバムの(カセット)テープのコピーを頼んだら、テープの余白にこの曲を入れてくれていた。それ以来はまった。KISSはなんともならなかったけど、JAPANにはすっかりはまってしまった。

この人達のデビューも若い。この曲の入った3枚目のアルバムを出した1979年で、ギター24歳、キーボード22歳、ボーカルとベース21歳、ドラム20歳。とくに作詞作曲担当のボーカル、デヴィッド・シルヴィアンさんが21歳とは驚愕。ほんとなのかな…早熟ですね。
 

ちなみにこれは81年なので23歳ぐらい。けっこう老けた23歳です。
 
 
Japan - Quiet Life - LIVE (1981)

 
 
初期の頃は、お化粧をしてグレた中二病の人みたいな感じだったけど(この頃もいい)、この曲の入った3枚目のアルバム「Quiet Life」から突然大人になった。歌い方も前2枚のアルバムと全然違う。4枚目「Gentlemen Take Polaroid/孤独な影」はシンセポップの傑作、5枚目「Tin Drum/錻力の太鼓」で芸術性を極めて、高校生の私にはついていけなくなりかけた頃にバンドは解散。この時も彼らはまだ25歳前後。若い…。

この最後の頃に、YMOのメンバーとよくコラボをしたり、ライブを手伝ったりして仲良くしていた。なんだかYMOの周りの他のミュージシャン達も含めて内輪のファミリーみたいな感じだった。

非常に特徴のあるベースを弾いていたミック・カーンさんがお亡くなりになっていたのを去年知った。この人も超かっこよかった。もう二度とJAPANの再結成はありえないのだと思うと非常に悲しい。ミックさんありがとう。R.I.P.
 
 
お顔の美しいボーカルのデヴィッド・シルヴィアンさんはその後ソロになって、非常にインテリな趣味のいい音楽をやっていた。この人の作るメロディはすごく綺麗。来日もして何度か見にいった。…が、その後なんだかインテリ度が進みすぎて音楽も頭でっかちな感じがしてついていけなくなってしまった。

実はこの人に、ロンドンでばったり出くわしたことがある。10年程前だろうか、Kings Roadを旦那Aと歩いていて信号待ちをしてたら、この人が目の前で一緒に信号待ちをしているのに気付いた。肩で切り揃えたくすんだ茶色の髪に白髪がたくさん混じっていた。一本一本がすごく細い髪。薄い茶色のジャケットを着てやっぱり芸術家っぽかった。無論話しかけなかった笑。若い頃のアイドルとはお近づきにならないほうがいい。触れるほど近い斜め後ろで目の前の彼の背中を見ながらちょっと嬉しかった。





2013年1月9日水曜日

David Sylvian & Ryuichi Sakamoto - Forbidden Colours (1983)



575と言えば…。



David Sylvian & Ryuichi Sakamoto - Forbidden Colours (1983)

Album:  Merry Christmas Mr. Lawrence
(Original Motion Picture Soundtrack)
Released:  Dec 31, 1982
℗ 2015 Recorded Picture Company under exclusive license to Milan Entertainment Inc.
 

Ryuichi Sakamoto - Merry Christmas Mr. Lawrence (1983)
Album:  Merry Christmas, Mr. Lawrence
Album:  January 1, 2015
℗ 2015 Exclusively Licensed by Milan Entertainment, Inc.



Perfumeの「575」が坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」に似ている、同じリズムだというのは以前からよく言われていたことだと思う。このインストの曲を語る上で、当時のYMOファンには忘れられないもう一つの「戦メリ」がらみの曲をご紹介。実は先日の「575」のエントリーで書いていたのだけど、別のページで曲そのものを紹介しておこう思った。

もともと坂本さんの「戦メリ」のテーマ曲は、1983年の大島渚監督の映画、『戦場のメリークリスマス/Merry Christmas Mr. Lawrence』のサウンドトラックだったのだけど、そのインストのテーマ曲に歌詞をつけて歌にしたのが、当時YMOと交流のあった英国のバンドJAPANのボーカリスト、デビッド・シルヴィアンさん。シングルとしても発売された。

映画の原作は英国人によるもの。舞台は第二次大戦中のインドネシア、ジャワ島の日本軍俘虜収容所。囚われの身でも尚誇り高い英国人捕虜と、彼に惹かれた若い日本人陸軍大尉の話を中心に、極限の状況の中、決して交わることの無い異文化のぶつかり合いを描く。その禁じられた悲しい関係性なのか、それとも三島由紀夫の小説「禁色」がヒントだったのか(よく覚えていない)。この曲のタイトルは「禁じられた色彩/Forbidden Colours」。

PVも映画からの映像が多く使われている。坂本さんの美しく奥行きのある音作りが素晴らしい。戦後、捕えていた者と囚われていた者の立場が逆転する。映画の悲しい最後では、元曲のインストの音圧だけで泣けた。

歌詞をつけることで、また違う曲に聴こえる。この歌は実際の映画には使われていない。
 
 
 
 

2013年1月8日火曜日

映画『八日目の蝉』:傷ついた女性達

 
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『八日目の蝉(2011年)日本/カラー/147分/
監督: 成島出
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録画していたものを鑑賞。ずいぶん前にTVドラマのVer.が放送されていて途中から見ていたので話は知っている。原作は角田光代さん。私はこの人の大ファンだ。原作はまだ読んでいない。ちょっと重い内容だからだ。そんな状態で観賞。

泣きました。1度目に泣き、2度目にもっと泣いた。


この映画に出てくる女性達は全員が心に傷を負っている。子供を誘拐された実母恵津子。誘拐した育ての母希和子。成人したその子供恵理菜)。希和子が身を寄せる「天使の家」の女性達も全員が心に傷を負っている。希和子の友人久美(エステル)。恵理菜(薫)の天使の家での幼馴染の草。

本来なら誘拐犯の希和子に感情移入するべきではないのに、この永作博美さん演じる希和子に心を寄せずにはいられない。赤ちゃんを誘拐してきて、ホテルの部屋で泣き叫ぶ赤ん坊をあやしながら泣く姿からこちらももらい泣き。希和子の後悔、それでも薫と一緒の時のかけがえの無い幸せ。ただそれが永遠には続かない事を知っている悲しみ。そんな幾重にも重なった心。希和子は(それぞれも心に傷を負った)心優しい人々に助けられながら薫との別れの最後の瞬間まで暖かく優しい母であり続ける。どこまでも子供を気遣う母そのものだ。

一方、実母恵津子は子供を誘拐されたと同時に、母親になる為の大切な時間を盗まれてしまったかのよう。本来なら帰ってきてくれた子供に優しく寄り添うものだろうに、子供が自分の思い通りにならないと(自分を母として愛してくれないと)子供を責めて泣き叫ぶ。誘拐犯を恋しがる幼い娘に我慢が出来ないのだ。彼女は母親になる機会も意志も永遠に失ってしまったのだろうか。彼女は深く傷つき過ぎた。

そのように恵理菜(薫)が連れ戻されて帰った家庭は崩壊寸前。直ぐに機嫌を損ねる実母恵津子の顔色を伺いながら育った恵理菜は、4歳までの楽しかった時間を口にすることさえ許されない。口にすれば、実母の逆鱗に触れる。そうやって過去の記憶に蓋をして4歳以降、暖かい家庭を知ることなく育った。


成人し、奇しくも妻子ある男性の子供を宿した恵理菜は口にする「子供の育て方なんて分からない。母親になんてなれる訳がない。」

そんな彼女がジャーナリストの草(彼女も特殊な生い立ちによって傷ついている)とともに母希和子と過ごした過去を尋ねて旅に出る。

母希和子と過ごしたそれぞれの場所を訪ね、最後の土地での記憶を思い出すことで、娘恵理菜(薫)は失われた感情を次第に取り戻す。「4歳で別れた母希和子は最後の瞬間まで自分を愛してくれていたのだ」と思い起こすことで恵理菜の強張っていた心が溶け始める。「この島に帰りたかった。ママ(希和子)に会いたかった…。」


大人が犯した罪。一番傷ついたのは小さかった恵理菜(薫)。唯一確実に愛してくれたのは自分を誘拐した犯人だった。実母恵津子の機嫌を損ねないように長い間意識的にその記憶を消そうとした。それでも過去の記憶は消えていなかった。20年前の微かに残る優しかった母希和子の記憶。愛された記憶を呼び覚ますことで、恵理菜は前を向いて歩けるようになる。愛の力は大きい。過去に受け取った愛の記憶が彼女の中の愛を呼び覚ます。


静かな映画です。登場するのは皆傷ついた女性達。希和子は自分のしてしまった事を悔いながらも、母になる(育てる)喜びから傷を癒される。実母恵津子は子供を奪われた心の傷から立ち直れずにいる。天使の家の女性達は皆静かに傷を隠して生きている。若い恵理菜と千草は傷を癒す旅に出る。

(母)希和子と恵理菜(薫)の暮らした島の風景はとても美しい。はっとした場面が何度もあった。

それぞれの女優さんたちが素晴らしい。永作博美さんはすごい女優さん。希和子の悔いと哀しみと喜び、複雑な感情の入り混じった表情だけで何度も泣けた。井上真央 さん、森口瑶子さんも素晴らしい。それにいつも元気いっぱいな小池栄子さんの変わりようにも驚いた。司会などでお見かけすることのほうが多くて、女優さんをなさっているのはあまり見ていないのだが、役柄の印象が全然違う。この女優さんはいろんな引き出しがありそう。


素晴らしい映画。とてつもなく哀しくて苦しいのに、時々雲間にほんのりと光が射すような暖かさがある。たくさんの傷ついた女性達と一緒に涙を流した後に雲間の光を確認するような映画。

それにしても原作の角田さんはいつもすごいと思う。時々心をえぐられるような話をお書きになる。そろそろ積読していた原作を開いてみようかな…。