能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2023年4月4日火曜日

David Sylvian – Nostalgia (1984)



昔を思い出す



David Sylvian – Nostalgia (1984)
Album: Brilliant Trees (Remastered 2003)
Released: July 7, 1984
℗ 2003 Virgin Records Limited



英国のバンド Japan 界隈…そして彼らに関わる坂本龍一さんや高橋幸宏さんを追っていた頃は、彼らが教えてくれる「難しいこと、お洒落なこと、知的なこと、アートなこと」を学ぼうとしていた。全てを飲み込めて理解できたとは思えない。しかしそれらに一度でも触れたことはよかったと思う。

それらの品のいいアート/芸術を自分のものに出来るかどうかは受け取り側次第で、結局私にはあまり馴染まなかったのだろうと思う。だから David Sylvian さんや坂本龍一さんが繰り出す趣味のいいアートな方向を私は追い続けることが出来なかった。その後、私はアメリカの陽気な懐メロバンドを追いかけ、気のいいアメリカの人と結婚した。

人の好みも時代も変わっていくもので、20代の初めに背伸びして学ぼうとしていた「お洒落で知的な文化」はいつしか思い出になりそのうち忘れてしまった。その後30代にロンドンに住むことになっても、その頃のロンドンはモダンで活気にあふれた街で、私が10代や20代の頃に憧れていた街の印象とは違っていた。その頃にDavid Sylvian さんのソロアルバムも買って聴いたけれど、結局20代初期にのめり込んだようにはならなかった。時代は変わり自分の中の興味の対象も変わっていた(そういえばDavid Sylvian さんにはロンドンの街でばったり会った…ことは以前ここにも書いた)。

今久しぶりに80年代のSylvian さんのアルバムを聴くと妙な気持ちになる。
「あの頃の私はどこにいったのだろう?今は全く違う人間じゃないか。ハワイに住んでテレビでメジャーリーグの野球を見て騒いでいる。この私はいったい誰だろう?」

何かを学ぼうとしていたあの頃、文化は東京にあった。Steve Jansenさんのツイッターを見ていたらどうやら彼のバンドが東京で4月にライブをやるらしい。そうか…東京に住んでいれば、あの頃の「文化」の残り香を今も感じることができるのだ。なんと羨ましい。

私は全部捨てたんだよな。生きながら何もかも捨ててきてしまった。街を変わるたびにリセットして何も繋げずにただ生きている。そのことを少し悔いているのかもしれぬ。いや悔やむほど大層なことでもない。どうでもいい。わからない。

『戦場のメリークリスマス』やDavid Bowieのライブを見た1983年は40年前。40年。ずいぶん時間が過ぎた。

坂本龍一さんのことでまだ動揺している。先ほどから(見るだけの)ツイッターでDavidさんや弟のSteveさんのメッセージや写真を見て苦しくなっている。あの時代のあの頃の思い出がまた遠くなる。そのことにまた動揺している。


Nostalgia
David Sylvian
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緑の草原で 聞こえてきた声
彼らの喜び 彼らの安らぎ 豊かさ
それらが 私の心の迷いの中で失われた

私は木の枝を切っている
長年の思い出に形作られた
私の中の亡霊を祓い清めるために

水の中の 波の音
私はノスタルジアに溺れている ノスタルジア
私のノスタルジア

水の中の 波の音
私はノスタルジアに溺れている ノスタルジア
私のノスタルジア
私のノスタルジア
私のノスタルジア

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