能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2013年12月16日月曜日

TBS 日曜激情『半沢直樹』 最終回



こちらでも日本語TVサービスで日本より遅れて放送。先週の週末に最終回。今録画を見終わった。

面白いですよね。いやーこれニュースなどで視聴率がすごかったと聞いて興味はあったんですよ。どんなもんだろう? 視聴率40%超えですもん。しかし以前『家政婦のミタ』も高視聴率で話題になってたので見たんですが全然面白くなかったんで、このドラマもあんなもんかな…と思ってました。


いやーびっくりやね。ドロドロじゃないですか…(笑)。こんなドラマがウケるなんてびっくり。でもハラハラドキドキ面白いな。

金融関連なんて興味も無く、よく分からないだろうと思ったら、実は非常に分かりやすい脚本。上手いんでしょうね。あの人があの人と繋がってて、この人があの人を貶めようと画策し、そしたらあそことあちらが繋がってて、こことあそこも手を組んでいた…。

そんなドロドロした状況を、主人公の半沢さんがバッサバッサと斬り捨てていくのがまあ痛快。毎回見せ場がありましたね。毎回最後に啖呵を切ってスッキリして次回。だからまたまた翌週も見たくなる。まあ痛快よ…。

実は毎週、問題が解決するのは、たまたま嘘のような偶然があったり、信じられないぐらい運が良かったりと現実味はあまりないんだけど、まあドラマですもの。終わりが気持ちよければそれでよし。リズムも良くてね、中だるみもほとんど無し。

それに一匹狼で頑張ってるかと思ったら、周りの人々もかなり魅力的。二人の同期の友人もそう。女同士のようにベタベタする友情じゃなく、それぞれが独立しながら機会があるごとに助け合う関係もいい。半沢さんと近藤さんの剣道もいい。

それから、一見子供っぽくてワガママで可愛いだけの奥さん・花ちゃんも、実は非常に頭がいい良妻なのも魅力。ほとんどの回では半沢さん、花ちゃんに振り回されてるように見えながら、最終回では彼女も極上の良妻になった。今までにもいろいろと旦那さんの事を助けてくれてるのね。いい奥さんです。
 
いやーしかし…こんなドラマが流行るというのも非常に興味深い。何よりもそれが一番びっくりだ。どうして…? なんでこんなギラギラドロドロむさ苦しい男ばっかりで怒鳴りあってるような話がうけるんだろう。もう最終回なんて、野犬がガウガウ吼えてるようにしか見えませんもん。顔芸もすごくてね。まー大変よ。

面白半分で冷めて見てたんで、感動・涙…などということは無かったけれど、半沢君のここぞという切替しはずいぶん、ほー…と感心しました。へー面白い…。啖呵の切り方も状況も、ほぼ舞台劇でリアルさなんて殆ど無いんですけどね。でもスッキリしますよね。それが気持ちいい。

最後は、おおおおという感じだったんで、続きがありそうですね。


しかしだ…一つだけ文句。

あの土下座はいかんです。

どうやらこの番組のせいで、こういうことを人に強制するのがかっこいいと勘違いをなさった視聴者の方々かいるらしく、暫く前にニュースになってるのを見ましたが、こういう下品なことをあたりまえだなどと思っちゃいけません。
 
土下座というのは、土下座をさせた時点で強制した側の品格が地に落ちるんですよ。させた時点でさせた側が最低の人間になる。だから決してあんなものを人に強制しちゃいけないし、やってもいけない。人と人の関係上ものすごく下品な関係の持ち方。こういう番組を見てすぐに影響を受ける人もいるでしょうから、メディアの方々には気をつけていただきたい。流行らせるなんてとんでもない。
 
今回最終回の、半沢さんが大和田さんに土下座させるのも、ドラマ上の演出のためだけなんですよね。あれ、実際に大和田さんが土下座する必要なんて全くないもの。やんなきゃいいんです。そのかわりもちろん彼は懲戒解雇処分。
 
ああいう感情に訴えたわざとらしい演出はとにかく品が悪いので止めた方がいい。下品です。このドラマの半沢さんの「倍返し」と土下座がやたらと流行ったらしいですけど、こういうものはね…人として品が無い。こういうものがあたりまえになったら困ったものです。まー個人的な意見ですけど。
  

さてさて、最後にこのドラマを見ていて思ったのは、またまたNHKの大河ドラマへの希望(←まだ言ってる)。だってね、こんなに男男男ばかりで喧嘩ばっかりしてるなんて、戦国時代そのものじゃないですか。まわりは敵だらけ。いろんな問題が降りかかってきて命さえ危ない。上司に取り入るか裏切るか…いや斬って捨てるか…こんなドロドロ、生々しい話、戦国時代ならもっと生々しいぞ。
 
いやいや…分かっているのよ。時代劇はもうルックス的にウケないんですね。人物がスーツを着て小奇麗で銀行勤めであれば、同じサラリーマンとしてぐっと来るんだろうけど、鎧兜じゃダメなんでしょうな…。同じようなギラギラした内容でも、NHKの大河ドラマになったとたんに文句を言う人も出てくるんでしょう。実に難しい問題。
 
しかしだね、こんな男男した話がウケるのなら、もっと生々しい話が歴史の話の中にはゴロゴロしていると思うぞ…と一縷の望みを持ってみよう…。
 
 

NHK大河ドラマ「八重の桜」第50回「いつの日も花は咲く」



先週のほうがよかったです。先週で思想的なものをカバーして、このドラマで何が言いたかったのかをほとんど言ってしまったので、今週はさらっと八重さんの残りの人生を走り抜けた感じです。印象の薄い終わり方。


●京都編について

結局、一番の問題は、ワタクシが京都編でこのドラマにすっかり興味を無くしてしまったことでした。もう何度も過去に書いているので詳しくは書きませんが、京都編になってからのこのドラマ、何を描きたいのかが分からなくなっていたと思う。

会津の人々のその後を追うわけでもなく、同志社設立の逸話を詳しく描写するわけでもなく、新島襄さんや山本覚馬さんの業績をなぞるわけでもなく、もちろん政治のことなんて殆ど触れることもなく、かといって会津戦士・八重ちゃんのキリスト教との出会いからの心の変化を描くわけでもなく…、

…なんというか…優しいJoe君といちゃいちゃしたり、学校の生徒と喧嘩しただけ? …なんだかな。

せめて襄さんとの出会いによってもたらされた八重ちゃんの心の変化を詳しく描けば、もっともっと深いいい話になったろうに…。

ほんとに京都編で何をしたかったのかが全く分からなかった。だから興味も薄れた。これが今年の大河の最大の問題だったと思う。


●老けメイク

綾瀬はるかさんはいい女優さんだと思います。若い頃にくらべると今回最終回での年齢の変化もよく演じられてました。和装も落ち着いていてとてもいい。ただここ数回の外見はどうしても違和感がありました。やはり若い。中年の女性には全く見えない。やはり演技だけでは無理。そのあたり、演出の方針なのか、事務所的な方針なのか知らないけど、老けメイクを出来ない俳優さん、女優さん達は本当にもったいないと思う。ドラマの完成度を半分にしてますね。

今回の最後のシーンなんて、能面に真っ黒の真ん中わけヘアで違和感ありあり。顔は色を落として地味にしているけど、どう見ても30代前半。だから会津戦争から長い時間を経た女性の人生という感じがしない。

近年、大河ドラマで老けた女優さんを見た事がないので、もうこういうことは口にしても無駄なんでしょう。業界全体で老けメイクが出来ない事があたりまえになっている。

誰が主役であれ、老けメイクの出来ない20代の女優さんが主役なら、もう歴史上の女性の一生を表現することは無理なんでしょう。ほんとにつまんない時代になったもんだ。


ま…こういう小言を書くのも、このドラマの前半が非常にいいドラマだったからなんですけどね。会津編は本当に素晴らしかったです。そのことを総括しようかどうかは今考え中。



2013年12月13日金曜日

The Brand New Heavies - Boogie (2004)



オイタなエロいOLさんは英国男の夢である…。



 The Brand New Heavies - Boogie (2004)

Album: Allabouthefunk
Released in UK:  18 October 2004 ℗ 2004 TBNH LTD.


昨日のAverate White Bandで話したアシッド・ジャズ系のThe Brand New Heavies2004年の曲。このバンドは80年代から活動していて、20年ぐらい前には日本でもそこそこヒットした曲があったと思う。「Dream On Dreamer (1994)」だったっけ…? 同じアシッド・ジャズ系のJamiroquaiなんかもポップスターとして流行ったりしてましたね。まだバブルの香りがしていた頃の90年代初期。

アシッド・ジャズとは70年代のジャズ、ソウル、ファンク、R&Bディスコに、Hip hopや打ち込みも取り込んで延々やり続けているジャンルで英国では地道に人気。8090年代が盛んだったんですが、このバンド、今でも続いてるんですね。知らなかった。演奏は昔ながらの生バンド仕様。

近年のNu-Disco系の曲を聴くと、最近の若い人達もまた70年代テイストの音楽をやってるみたいなんで、アシッド・ジャズとNu-Discoの音楽的な違いはあまりないのかなとも思いますが、DJの人達があくまでもDJなのに比べると、アシッド・ジャズの人達は生バンドで演奏するのが大きな違いでしょうか。簡単に言えば、昔のCHICみたいなのを未だにしつこくバンドでやってる人達。このバンドのメンバーもだいたいワタクシと同世代のアラ50


さて話は変わりますが、このビデオはまたまた英国男の妄想MVですね。英国の男はかっこいい出来る女が会社でオイタをするのが大好きらしい(笑)。夢なんですな…ははは。
 
だってね、昔紹介したMVにも全く同じテーマのビデオがありましたもん。かっこいい女がオフィスで脱いじゃったりするやつ。こういう男の妄想というヤツは英国ではユーモアの範囲内。ワタクシも決してキライではないぞ…(笑)イヤ…ダイスキダ。このビデオの内容は裏切った元カレ上司に仕返しをするというストーリー。いいぞもっとやれ…。
 
それにしてもいい女やな…。モデルかと思ったら2004年当時の実際のバンドのボーカルだそう。Nicole Russoさん。バンドは残念ながらもう脱退したみたいです。この顔にこのスタイルにこの声はなかなか揃うものじゃないでしょう。強烈。無茶苦茶かっこいいな。
 
広告なんかで中途半端にかっこいい&セクシーなテーマをやると、ものすごくダサくなったりするものですが、ヨーロッパの人はあいかわらずこういうものが上手いです。英国は特に上手い。ふてぶてしいビッチな表情も堂に入っている。素晴らしい。彼女何歳だったんだろう。
 
まずはこのビデオでおっと思ったんだけど、曲もいいぞ。
 
前述のこれと同じようなテーマの英国男妄想MVはこちら↓

Camille Jonesvs Fedde le Grand - The Creeps (2007)

 

 

2013年12月12日木曜日

Average White Band - Pick Up The Pieces (1974)



ホーンと言えば…



Average White Band - Pick Up The Pieces (1974)

Album: Awb,
Released: Aug 1974 ℗ This Reissue 1974 & 1977
Atlantic Recording Corporation



イギリスで、この手の曲(70年代ファンク、ソウル)としては定番中の定番。70年代の曲であるにもかかわらず、10年前頃のロンドンで、この曲は本当によく聴きました。買い物しててもお店でよくかかったりしてた。あれはどうしてだったのかな…。

当時アシッド・ジャズのバンドDown To The Boneをよく聴いていたため、その手のCDショップなどでかかっていたのかも。とにかくロンドンの街を歩いてればよく聞こえてくるぐらい有名な曲。

Average White Band(並の白人バンド)はスコットランド出身。1974年にこの曲を英国でリリースしたときはあまり売れなかったのに、数ヵ月後にアメリカで大ヒットWikiによるとアメリカのシングル・チャートで75年の2月に1位、ソウル・チャートで5位。そしてもちろん、その後に英国でもヒット。英国ではチャートで6位だそうです。

1974年の同時期に、アメリカのTower Of Powerと同じことを英国でやっていたバンドなんでしょう。

私はこの曲しか知らないのだけど、その後の英国の音楽界にはかなり大きな影響を与えたらしく、前述のDown To The BoneBrand New Heaviesなどの90年代アシッド・ジャズ界隈の人々にとっては大きなお父さんみたいなものでしょうか。


Average White Band - Work To Do (1974)
Average White Band - Pick Up The Pieces (1974)

2013年12月11日水曜日

Perfume関連はゆっくりといきます…



Perfumeさん
これはCGだろうか…

Perfumeファンの皆様、いつもいらして下さってありがとうございます。ここのところ暫くPerfume関連の文を書いていないのですが、いかんせんネタがない…。

日本では大阪のドーム公演も無事終わり、皆様とても幸せそうでなにより…  (*´ェ`*)

しかしながら、基本的に公演内容はネタバレ禁止なため情報がほとんど出てこないし、今現在、Perfume陣営さん方も東京公演の準備・調整で忙しいらしく、あまりネタが出てくるようにも思えず…。

よってPerfume関連の文はあまり多くは書けないと思います。時々昔のネタを引っ張ってきて書こうとも思っていますが頻繁ではないと思います。たぶん今年いっぱいはゆっくりなペースになると思います。

こちらに日々来てくださる方の数は、Perfumeファンの方々が一番多いように思いますので、頻繁に更新できないこと申し訳なくここにご報告させていただきます。

いつも来てくださってありがとうございます。


2013年12月9日月曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第49回「再び戦を学ばず」



もう残りの回もあと一つ。そろそろまとめに入った感じです。今回、久しぶりにいい台詞があった。


●日清戦争が始まりそうな状況から、山本家の会話。
覚馬「(教育勅語から)教育の名のもとに人を縛ることになってはいかん」
佐久さん若い人が錦絵でしか戦を知らねえから、勇ましいとこしか見えねえんだべ」
八重「浮ついた気持ちでは、いざという時役に立たねえ…」

◆理論で戦争を危惧する覚馬と、実戦を経験した八重と佐久さんの具体的な心配の対比がいい。


●そこへ山川健次郎が訪ねてくる。会津戦争についての問答
覚馬「勤皇の志は薩長も持っていた。戦をせず国を滅ぼさぬ道もあったはずなのだ。」
八重「望んで戦をしたわけではねえ。私達の御城下に敵が土足で踏み込んできた」
覚馬「大君の義 ・一心大切に忠勤を存ずべし…御家訓のこの一条に会津は縛られてしまった。いくつもの不運があった。謀にのせられもした。それでもまだ引き返す道はあったはず。」
健次郎「会津にも義があった。」
覚馬「向こうも同じように思っていただろう。誠を尽くすことは尊い。それだけでは人を押しつぶす力を跳ね返すことはできねえ。」
八重「(捨松の結婚などに触れ)…皆恨みばかり抱いたわけではねえ。だけんじょ、亡くなった仲間達を思うと会津が間違っていたとは決して言えねえ。」

あの八重ちゃんが帰ってきた。ほっとしますね。これが自然。やっぱり八重ちゃんはこうでなくちゃ。戦争などの極限状態は、後で理屈で理解はできても感情の整理は簡単にはできない。会津戦争を経験した八重と健次郎が感情から会津の義を・正当性を語り、実戦を経験していない覚馬が「もしかしたら避けられたかも…」と理屈を語っている対比は理解できます。


●その後の八重と覚馬の会話
覚馬「また戦が始まる。国を失う痛みは会津が一番よく知ってる。人間の知恵や知識で戦が避けられねえのならば学問など無駄なのか
八重「兄さまは学問は武器だと言った。学問をすれば答えが見つかると。…(同志社設立に貢献できた事に触れ)…私はその中に答えを見つけた。自分の力で考え抜く人であれ…。」

理論だけでは戦争は避けられない…。とは言っても、賢い八重ちゃんは学問にそれなりの答えを見出した。「何事も自分で考えろ」そうそうこれはいつの時代も正しいことです。

こういう流れは上手いですね。会津戦争を経験しなかったことから、覚馬の戦争観が八重ちゃんや健次郎のものと違っているのは納得できる。会津戦争中も有名な『管見』を書いて「内戦よりも国をこういうふうに創ろう」と言っていたような人なので、何事も理論で語ろうとする人だったんでしょう。それに比べれば八重ちゃんは目の前で父親を殺されたりしてるんですから感情的になるのは当然のこと。このあたりの温度差も理解できます。以前、脚本に無理があるのではないか…と思った「戦をしないために学問をする」に関する内容も、「自立した考えを持つために必要」だと結論付けたのは上手い。正しい。


●そして待ってました…容保公
容保公「(孝明天皇宸翰について)…これだけが会津が逆賊でないこと、ただ一つの証。」
山川兄弟が「何故出さなかった、これを世に出せば殿の汚名は雪がれたはず」と問うと、
容保公都の争いとは勅を得た者が正義となった。なれば御宸翰が再び戦の火種となる、それだけは避けねばならぬと…。武士の忠義を貫き通した代わりに儂は会津を死地へと追いやった。」
山川浩「殿…あの時、会津までが徳川を見捨てていたならば、この国に真の武士などはいなかったことになります。」
容保公「いつか御宸翰を世に出してくれ。会津がいかに誇り高く戦ったかを、死んでいった者達の心を、ただし再び同じ道を辿らぬよう、戒めとしてこれをそなたたちに託したい…。」

◆くーっ泣けますな…。私にとってこの大河は、今まで全く興味の無かった会津について知ることができたことが一番大きい。会津・京都守護職編は、今まであまり描かれなかった会津の視点からの戊辰戦争への流れを描き、いかに会津が理不尽にも明治維新(革命)の犠牲になっていったのか…を再現したものだったので、この会話にはぐっときます。

ここで容保公が語っている京都守護職時代の都での状況=立場が逆転して最後には賊軍にされてしまった経緯というのも史実。(上記の)覚馬が言った「いくつもの不運があった。謀にのせられもした」というのもそうだし、八重ちゃんの「敵が土足で踏み込んできた」というのも事実。そして山川浩さんの「会津までが徳川を見捨てていたならば、この国に真の武士などはいなかったことになります。」というのもそのとおり。この言葉が一番泣ける。容保公の「会津がいかに誇り高く戦ったか」ももちろん事実。新政府軍に命をかけて時代を変えていく強い信念があったのなら、会津にも命をかけて貫くべき義があったことも事実。もしあの時代に会津藩士として生まれ育っていたなら誰でも彼らのように考え、行動するだろうと思う。会津戦争は、生真面目で律儀、頭の固い古風な会津藩だからこそ起こった悲劇なんでしょう。

どこの国であれ、明治維新ほどの大掛かりな変革・革命が起これば、どこかに犠牲が出るのはやむなし。古い時代を壊す人がいれば、守る人がいるのも当然のこと。絶対王政を壊した西洋も同じ。西洋でも啓蒙思想から革命が起こって王様を処刑したりしている。あの時期の日本で(どういう形であれ)いずれ封建的な徳川の時代が終わるのは必然だったでしょう。戊辰戦争は産みの苦しみの戦。しかしそのために犠牲になった会津の人々のことを思うとあまりにも悲しい。今まで全く知らなかった(興味も無かった)幕末のもう一つの歴史、時代の激流に巻き込まれた会津の人々のことを、この大河ドラマで学べたことは本当に良かったです。山本/川崎八重という一女性とその家族から見た会津戦争には本当に心を動かされました。

劇中で無理に会津戦争の是非の結論を出すことなく、登場人物達がそれぞれ複雑な思いを抱えているように表現した描写は、感慨深く素晴らしいと思います。



●最後に覚馬の同志社英学校・卒業式での生徒に向けての言葉
「どうか弱いものを守る盾となって下さい。日本は戦に向けて歩き出した。どうか聖書の一節を心に深く刻んで下さい。
    その剣を打ち変えて鋤となし、
    その槍を打ち変えて鎌となし、
    国は国 に向かいて剣を上げず,
    二度と再び戦いのことを学ばざるべし
諸君は一国の、世界の良心であって下さい。いかなる力にもその知恵で抗い、道を切り開いてください。」

◆いい言葉なのですが、これ本当に覚馬の言った言葉なんでしょうか。それともTV向けの脚色?理想家の彼であれば本当の言葉だった可能性も十分ありえますが、正直、当時の世界状況を思えば、綺麗ごとは言っていられないのでは…と思ってしまった。キリスト教の教えを日本に伝えた西洋というのは、実際には同じ時代に東南アジアなどで非情な植民地経営をやってましたから。理想はあくまでも理想。現実には、優しいことを言っていては他国にやられる時代ではなかったのか…どうなんでしょう?

というわけで、今回は日清戦争前夜でいろいろと考えさせられる内容が良かったです。西島さん1年間お疲れ様でした。


八重ちゃんはやっぱり外見が若いのが残念。最愛の夫を亡くし、最愛の兄まで亡くして泣く八重ちゃんを見ると、ただただ「この娘はだいじょうぶか…」としか思えない。当時の40代後半はかなり老けていたはずで、白髪の数も多ければ、身内の不幸も乗り越えて生きるたくましい大人の女性が表現できたと思う。あんなに若いとただ可哀想なだけ…。演出的にもったいないと思う。