2026年2月2日月曜日

英ドラマ BBC/HBO『インダストリー/Industry』(2026) シーズン4, 第3話まとめ:Habseligkeiten



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『Industry』 (2026) TV Series-Season 4/英・米/カラー
/約50分・全8話/
制作:Mickey Down, Konrad Kay』
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1月25日・日曜日に放送の『Industry』Season 4 の第3話。1週間遅れで筋を記録しておきます。このドラマは私には難しい。まず冒頭の3分間、ハーパーが記者ジムと電話で話している言葉で撃沈。彼らが何を言っているのかほとんどわからない笑。視聴者をわざと怖がらせているのか? とりあえず通しで見てなんとなく筋を掴んだ上で、1週間遅れでA氏に解説をしてもらった。その内容をここに記す。今回も濃い。

日本語での金融の専門用語をよく知らないので訳で使用する言葉がおかしいかもしれません。




★セグメント毎のあらすじ/全てネタバレ注意




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SternTao 社…エリック/ハーパー

第1話からの流れでハーパー(Myha'la)とエリック(Ken Leung)は新しい彼らの会社『SternTao』社を起こした。現在はまだオフィスも決まっておらず、ホテルの1室を借りてオフィスとし顧客の新規開拓に忙しい。

SternTao社はショート・ポジション(空売り)専門のファンド。ハーパーは FinDigest(経済紙)の記者ジム(Charlie Heaton )との会話で「Tender」社の動きが怪しい(アフリカから違法なポルノやギャンブルの支払いを資金洗浄している)との情報を掴みTenderに目を付けた。

朝食会で投資家達との関係を築こうとするが、皆懐疑的で話に乗ってこない。ほどんどの投資家は、ショートのみの投資は危険すぎると見ている。フランス人の投資家 Pierreからの質問を受けて、ハーパーはまだ成功の確証もないTender社株のショート・プランを公表してしまう。

朝食会の後でエリックはハーパーに Tender 社株のショートのアイデアの理由を問う。ハーパーが記者ジムからの裏情報を告げれば、エリックは「大きな会社は FinDigest の記事くらいでは影響を受けないだろう。現在 Tender 社にはオーストリアの銀行との合併の話が出ている。空売りをするのなら Tender 社の問題の「確証」が必要」だと言う。

…その一例としてエリックが「Herbalife」の有名なストーリーを話し始める(後述)。エリックはショートのみの投資なら「確証」がない限り失敗するとハーパーを諭す。

その「確証」を得るためハーパーは Tender 社の情報を集め始める。元 Pierpoint & Co、そして元 Mostyn Asset Management の同僚 スイートピー(Miriam Petche)が Tender 社の年次報告書を調べてきた。
以前の Tender 社は怪しい業界との業務で利益を得ていたが、社の新規株式公開(IPO/An Initial Public Offering)以降はEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域での会社の買収が彼らの成長の主要な原動力となっている…しかし戦略が不安定で変化しているはずであるにもかかわらずそれが数字に全く反映されていない…大きなリスクが株価に織り込まれていない。つまり Tender 社は今でも違法な事業(ポルノやギャンブル)の支払い処理サービスをし続けていてそれを隠蔽している可能性がある。
しかし現在 Tender 社は、Fintec(後述)分野での金融アナリストからの評判も高く、特にSir. ヘンリー・マック(Kit Harington )のCEO 就任も高評価となっている。市場では Tender の株は買いが推奨されている。

ハーパーの元 Pierpoint & Co の同僚リシ(Sagar Radia)もハーパーに Tender 社の資料を持ってきた(おそらくは彼が裏社会から手に入れた Tender 社の内部決算書が外部に漏れたもの)。
その資料を調べ続けるハーパーとエリック。資料の中から Tender 社の EMEA 地域での買収先の住所は全て同じ場所=アイルランドのダブリン。そしてまた資料の中に度々現れる Tender 社の登記上の「支店」の住所は英国の東北地方サンダーランドの住宅であることを発見。その家は Google Map の Street View で見ても時価総額90億ドルの企業の支社には見えない。

ハーパーがスイートピーと共にその住所を訪ねる。そこで個人の請負業者が Tender 社のアフリカでの取引内容を手作業でコード化してスプレッドシートに入力し、そのサービス内容(違法のポルノやギャンブルサイトでの決済サービス)を隠蔽している現場を発見した。おそらく彼のような請負業者が他にもいて、大量のTender社の裏取引をコード化している…Tender 社が今も違法の取引や裏社会との関りから収入を得ていてそれを隠蔽していることを突き止めた。

ハーパーがスイートピーに SternTao 社への入社を求め、スイートピーはそのオファーを受ける。

ハーパー、エリック、スイートピー、(ハーパーの元部下で恋人)クワベナ(Toheeb Jimoh)が、ドイツ銀行で働く(元 Pierpoint & Co の同僚)ケニー(Conor MacNeill)を訊ねる。SternTao 社はドイツ銀行のブローカー、ケニーに Tender 社のショートを実行したいと告げる。

またエリックは仏投資家の Pierre から条件付きの投資を打診されそれを受けていた。SternTao社が自社で10 millionドルの投資をした場合に限り、Pierre も90 millionドルの投資をする。ただし空売り投資が最初の10 millionドルを失った時点でPierre は投資を解消する。10 millionドルの損失は SternTao 社がカバーすること。エリックは家族の投資会社を清算して10 millionドルを投資に回すことを決める。


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Herbalife-Ackman Story
実話:2012年、ファンドマネジャーのBill Ackmanが、健康補助食品の専門メーカー「Herbalife」に対し1 billionドルのショート・キャンペーンを仕掛けた事件…AckmanはHerbalifeが違法のねずみ講式にビジネスを展開していると提示。それに反対した投資家Carl Icahnが反対の立場で巨大投資を展開。話題となった事件。FTC/Federal Trade Commission(連邦取引委員会)の調査により Herbalifeのねずみ講の件は否定され…Ackmanは2018年に空売りポジションを解消、巨額を失うことになった。

Fintec(Financial technology)フィンテック
決済、銀行業務、投資といった金融サービスにテクノロジーを統合し、プロセスを改善、自動化、効率化すること。

FTX
実話:FTXは2022年11月に破綻した大手グローバル暗号資産取引所(global cryptocurrency exchange)。サム・バンクマン=フリードによって2019年に設立。2022年、liquidity crisisによる資金不足、大規模な経営のミスマネジメント、そして数十億ドルに及ぶ顧客資金のアラメダ・リサーチへの不正流用により破綻した。

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Tender社…ホイットニー/ヘンリー/ヤスミン

Sir. ヘンリー・マックはホイットニー(Max Minghella)の率いる Tender 社の CEO に就任する。彼は貴族ならではのコネクションで英国の上流社会に顔が利く…Tender社と政治家との関わりにも役に立つ。早速ヘンリーはMPのジェニー(Amy James-Kelly)に Tender 社が欧州の銀行の買収のためのライセンスを取れるよう打診…Tender 社が成功すれば(今まで規則が多いために滞っていた)フィンテックの分野で英国の金融界を率いて活性化することができると告げる。

Tender 社はオーストリアの家族経営の銀行「IBN Bauer社」との合併を進めようとしている。ますそのためには英国の Prudential Regulation Authority/健全性規制機構(PRA)の承認が必要。

現在 IBN Bauer 社側の取締役会はほぼ合併に賛同しているが、同社の後継者である Moritz-Hunter Bauer 氏と彼の母親は、2社の合併による顧客のデータ・プライバシー管理の変化に不安を感じていると言う。ヘンリーの妻ヤスミン(Marisa Abela)の提案で Tender 側からオーストリアに出向いて話し合いをすることになる。

その頃、FinDigest 誌のジミーが Tender 社に質問状をデータで送ってくる。裏取引のことを質問する内容に対し「どこかの空売りの投資家が煽っているのだろうが、何の心配もいらない」とホイットニー(ヘンリーは裏取引のことを知らされていない)。また記事が出る前にTender 社から FinDigest 誌に圧力をかけることもできると言う。

Tender 社のメンバーが Bauer 家の城をオーストリアに尋ねる。
夕食会で2社の合併に関する合意をBauer 氏から 得ようとするが話はうまく進まない。Bauer 氏は資本主義や民主主義に否定的でファシズムの信奉者。それを隠すこともしない…そしておそらく彼は反ユダヤ主義者(ちなみにホイットニーの姓 Halberstam はユダヤ姓)。
一晩を過ごしてヘンリーたちは帰国。残ったヤスミンが Bauer 氏の母親との会話で、Bauer 氏が英国の新聞『The Spectator』紙に寄稿することを提案。 The Spectator 紙はヘンリーの伯父 Alex Norton 卿(Andrew Havill)がオーナー。

ヤスミンが勝手に Bauer 氏を伯父の新聞社に紹介したことを後から知ったヘンリーは喜ばない。

帰国したヘンリーとホイットニーは、MPのジェニー、ビジネス担当大臣のリサ・ディーン、そして英国PRA/The Prudential Regulation Authority(健全性規制機構)の面々と会談。後から加わった首相首席補佐官は、規制当局に取引承認を迫る。

Tender 社とIBN Bauer 社の合併が決定。
Tender の株はFTSE 100に入る。


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GDPR(European Union's General Data Protection Regulation)
2018年5月25日に施行された一般データ保護規則(GDPR)は、欧州連合(EU)の包括的なデータプライバシー法であり、個人データの収集および処理に関して厳格な要件を課しています。この規則は、EU/EEA域内の個人を対象とする、または監視する組織に世界的に適用され、違反した場合には数千万ユーロに及ぶ罰金が科される可能性がある

GDPR issues
欧州連合の一般データ保護規則(2018年施行)への遵守における法的、技術的、または運用上の不備を指す。この規則はEU居住者の個人データの厳格な保護を義務付けている。一般的な問題として、違法なデータ処理、同意の欠如、データ漏洩、削除権などのユーザーの権利の侵害などが挙げられる。

FTSE(Financial Times Stock Exchange)
ロンドン証券取引所(LSE)に上場している大手企業の株価動向を追跡する株価指数群を指す。FTSE 100とはそのトップ100企業…時価総額上位100銘柄で構成されるイギリスの代表的な株価指数。

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FinDigestの記者ジミー

Tender 社の裏取引に以前から探りを入れていたFinDigest 誌の記者ジミーの記事は…記事が出る前に(Tender 社から圧力がかかったのだろう)多くの重要なデータが黒塗りされて潰され、結果穏やかな内容に書き換えてオンラインで出版されることになった。ジミーは Tender 社の支社のあるアフリカ・ガーナの首都アクラへ取材に行くと言う。

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興味があったので台詞に出てくる情報を洗い出した。大変だった。

ハーパーがジムから聞いた情報を元に Tender 社株のショートを決め、Tender 社の内情を探る流れは面白い…Tender 社が裏で違法の業務内容で利益を得ている証拠を掴んだ。一方 Tender 社は(表向きは)IBN Bauer 社との合併も決まりそのニュースを受けて社の株は FTSE 100 に躍り出る。面白い。さてこれからどうなるか。

タイトルの「Habseligkeiten」はドイツ語…劇中では「possessions closest to your soul/魂に一番近い持ち物」とBauer氏の母親が説明していた。この言葉は2004年に一番美しいドイツ語として選ばれたそうだ。



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