能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年7月2日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第26回「平治の乱」



うーん…。たぶん次回からの戦にフルに時間をとるための、タメの回だったんだと思うけど、多少間延びした印象。

主役の清盛が、今もって魅力的でないのはかなり苦しい。40歳を過ぎた大の大人が自分の息子より馬鹿っぽく見えたり、緊急事態なのにしんみり思い出話をしたり、お友達が死んだと言ってメソメソ泣いたり…どうしたものかな。ちょっと前に貫禄が出てきたと思ったのに、また子供に逆戻り?そんな泣いてる暇があったら、さっさと作戦でも考えれば?泣いてる暇なんてないですよ。信西の首を見て怒りに体を震わせ、すぐに戦に向けて気持ちを引き締めるほうがずーっと本気っぽいのに。

脚本に主役の清盛を魅力的に描く意思が一切見えないのは困りもの。息子の方が10倍ぐらい頭がいい。彼をあれだけ切れ者に設定して主役の清盛をこれからどうするつもりなんだろう。あんなに感情的な、知恵も見えないお人好しに描いて、この後もそのまんまなんだろうか。あの台詞にあの人物設定じゃ、どんなに経験を積んだベテランの俳優さんでも清盛を魅力的に演じるのは難しいだろうと思う。「オレはタイラノキヨモリぞ。」なんていう台詞も何の意味があるのだろう。こけおどしだろうか。

確かに松山さんが若すぎて役が大きすぎるのではないかという心配もある…が、ちょっとまって。そもそも映画やドラマ作りって、俳優1人の力だけにたよって出来上がるものではないと思う。ドラマの良し悪しは監督や演出、脚本など、画面に出てこない制作の方々の力がすごく大きいのでは? もし監督に描きたい清盛像がはっきりとあるのなら、(極論を言えば)どんなに未経験な俳優さんを連れてきてもそれなりのものになるのではないか。衣装もメイクもそう。台詞もそう。もし俳優さんに威厳が足りなければ、まず演技指導をして声の出し方を指導し、カメラワークで大きく見せる…など、俳優さんの力以外のところで何とかすることももう少し考えられるのでは。そんな努力をしているのだろうか。


1960~70年代のイタリアにヴィスコンティという有名な映画監督がいたのだけど、彼の話をしたい。この監督さん、ド素人の男の子を顔が綺麗だというだけの理由でつれてきて、自分の監督する大作映画の準主役に抜擢したんです。現場では、このド素人の男の子に文字通り手取り足取り、指の上げ下げから首の角度にいたるまで、逐一演技指導をしたのだそう。その映画の名は『地獄に堕ちた勇者ども(1969年)』。顔の綺麗な素人の男の子の名はヘルムート・バーガー。映画も評判だったし、その男の子は、その後ヴィスコンティと組んで世界的なスターになった。

こんな例があるからこそ、ドラマや映画制作は面白いのだと思う。。知性を感じられない台詞とともに、いったい現場ではどういう風に清盛の役作りをやっているのだろうと思う。清盛を魅力的に見せるかどうかも、作り手の力次第ではないのだろうか。

俳優さん達は本当に頑張ってると思う。信西の阿部さん、おつかれさまでした。これで終わりなのは残念。「なんでもよーい」だけではなくて、もう少し踏み込んで知りたかった。義朝の玉木さんなんて、普段は細身の優男なのに、よくぞここまで漢な印象を作り上げたものだと惚れ惚れする。怒鳴りつける時の吼えるような声が素晴らしい。この人ももうすぐ退場ですね。この俳優さんには、またこういう時代劇の漢な役をやってもらいたい。歳を重ねていけばもっと威厳も出てくるはず。重盛の窪田さんも、若いのに危機感を上手く演じている。彼は顔がどこか緒形拳さんに似てますね。義平の波岡さんもヤンキーがそのまま武将になったような感じがいい。こんな触ると切れるような激しいタイプの武将はいっぱいいたと思う。深キョンにも威厳が出てきた。

さあ来週は男祭りか…。


追記;清盛と信西の最初の出会いが、穴の中の信西を清盛が助け出す場面だったと思うけど、これって今回の信西の最後の場面でオチをつけるためのもの? げげっ…。







2012年6月25日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第25回「見果てぬ夢」



清盛マラソンまた息切れしてきた…。そろそろ折り返し地点?


今週は、由良御前が亡くなりました。悲しいです。最後の眉間に皺をよせた苦しそうな表情も、腹から搾り出す苦渋の声も素晴らしかったです。この人はよかった。女優さんがほんとによかった。最後にはらりとこぼれた涙もよかったです(涙)。


ところで、この場面で義朝君が「これから薬を買ってくる」と立ち上がるのだけど、昔、清盛君も同じような場面で「これから九州に薬を買いに行ってくる」とか言いませんでしたっけ。どちらも奥さんが、あと何分ぐらいもつかも判らないのになんで席を立とうとするのか。最後まで一緒にいてあげなさい。だから清盛君がお薬をあげるって言ったときに貰っとけばよかったのに。


義朝君は今回もたそがれてます。息子が清盛のことを聞くと目が遠くなる。「なつかしいのぉ~」ってそんなに和んでる場合かっ。保元の乱までゴリゴリに頭脳のある野獣だったのにどうしちゃったのよ、えっ。 それにしても、回想シーンの清盛君の情けな姿はすごいです。髪型とかもうすごいです。うわっきたないっ、あんなの見てたんだ…(爆笑) きゅうきゅう泣くし…(爆笑)ごめん…笑う場面じゃないと思うが、あの清盛君はすげーです(爆笑)。それに比べると、まあなんとも綺麗になったんだなぁ清盛君。やっぱりユーモアは捨てきれないらしい。今回も茶目っ気たっぷりのしたり顔。



若い頼朝君と清盛の初対面、清盛の前に進み出ると同時に彼のナレーションが「始めて目の当たりにしたその人は、思いのほか大きく…」と重なるのだけど…。

ここで真面目な話を…。この場面のこの台詞で、初めて松山さんの配役を疑問に思ってしまった。ここはドラマとして非常にいい場面なはずなの。将来平家を叩き潰す源氏の棟梁・源頼朝。彼も今はまだ12歳。子供です。初めて対面する父親のライバル平清盛。父親がどうしても負かすことの出来ないアノ清盛。 この場面は、若い頼朝が「…その人は、思いのほか大きく…」と清盛に圧倒される場面なはず。


清盛は41歳。貫禄も威厳も堂々とした大人のオヤジ。この時の清盛には、見るだけで子供が涙目になるぐらいの迫力があったほうがいい。それが松山さん、そう見えない。優しいお兄ちゃんが子供を相手にふざけているように見えてしまう。やっぱり若いのかな。ここで清盛が圧倒的に怖いオヤジじゃなきゃドラマにならないんですよ。今は絶対に超えられない大きな山。だから将来源氏と平氏の立場が逆転するのが話として面白いの。そう考えれば、配役もはやり40歳前後の実年齢で強面のオヤジ…せめて35歳ぐらいかな…あたりの俳優さんがよかったんじゃないか。例えば大昔の渡辺謙さんは本当に大きくて怖かったと思う。かといって他に誰がいいのかも分からないけど…。




清盛も現時点で41歳。これからあと半年、彼の没年齢が64歳と考えれば、このままでいいのか心配になってきた。なんだかまだ可愛いの。いい人過ぎるのかも。そういう役柄の設定なんだろうか。もうそろそろ人を何人殺しても平気な面構えをして欲しい。

それに信西も50代だそうだ。彼も40代前半の阿部さんが演じていて、どうもこの大河は全体的に役者さん達の年齢が若いです。これで義朝と信西が亡くなればもっと若くなるのかな。残りの話を20代と30代だけでまわすことになるのだろうか。


さてこのまま大きな乱に突入のようですが、どうもこのドラマ、歴史の大きなうねりみたいなものが感じられない。抗いようのない歴史のうねりみたいなもの、時代が動く感じって歴史物の最高に面白いところだと思うんだけどな…。個人の思い出話に時間をとったり、どうも話が小さくなってる気がする。

さあ来週はどうなるか…。





2012年6月17日日曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第24回「清盛の大一番」



面白かったですよ。話の流れもよくこれだけ詰め込んだものだと思うほど。ただしこの面白さは第20回の保元の乱前夜のような面白さではないです。第20回、21回が大河ドラマらしい面白さだったのに比べて今回のは話の流れが面白いということかな…。


まず、ダメ出しから

●とにかく今回またまたボケボケの画面。全部が白とびして俳優の顔も見えない。コーンスターチの量もすごいのだと思うが、とにかくカメラそのものの設定がおかしいのでは。最近はこれほど白ボケした画面も無かったと思うが、また以前に逆戻り? セットなんかすごく綺麗でいいのに、もったいないと思う。

●保元の乱も終わって、おそらく今回は大きな事柄と事柄の間の回なので、話の流れを進めるためだけに早足にまわしたのだろうと思うが、とにかく展開が速い。個人的には初回から欠かさず見ているので、とりあえず何をやっているのかは解るのだが、決して解りやすいとは言えない。録画を2回目に見直したほうがずっと面白かった。

●以前第8回の感想で、この大河ドラマは画面の切り替わりが早すぎて付いて行くのがやっとだと書いたのだが、今回もまた久しぶりにそんな印象を受けた。今回の画面の切り替わりは26回。相撲節会と重盛の婚礼を切り刻んで交互に見せた場面を一つ一つ数えれば全部で32回! 大まかな話の流れも、
1-崇徳上皇の讃岐流し、2-清盛の九州大宰府行き、3-重盛の婚礼、4-信西の清盛を使った野心、5-義朝の苦悩、6-相撲節会、7-後白河天皇の譲位、8-清盛大宰大弐へ…
等など内容がてんこ盛り。これは初めて見る人には解るはずが無いし、ずっと見ている者にも非常に足早すぎる。展開が速すぎてドラマとして面白くない。なんだか箇条書きの歴史年表を見ている感じ。第8回の感想と同じく、感情移入が出来なくて話が史実の表面だけをなぞるように非常に薄っぺらなので、結局なんの印象も残らない。相撲節会と重盛の婚礼を同時進行にする必要性がない。無駄に話しを解り辛くしているだけ。お相撲さんがもったいない。大宰府の話なんて回の半分ぐらい使ってもいいくらいのおもしろい素材だと思うんだけどな…。


画像的なスタイル(白ボケ)は制作の方々に変更する意思が全く無いみたいなので、もうしょうがないのだろうと思う。それに今回の表面をなぞるだけの話の展開も以前に戻ったよう。ようするにこのドラマ、その回その回によって印象が全然違うのが一番の問題ではないか。保元の乱(前夜)であれだけ重厚に話を作り上げたのに、今回はこんなに印象が薄いなんて。全体を通してみるとムラがありすぎてついていけない。うわーっと盛り上がったのに次の回でがっくりなんて、これで見るのを止めてしまってもしょうがない。それで唐突にまたいい回があったりするのだろう。ずーっと見ていれば何回かに1回はいい回があるのだけど、打率が低すぎて結局匙を投げかねない。もったいないです。どうしてなんだろうと思う。


俳優さん達は相変わらず素晴らしいと思う。一番の懸念だった清盛君も大変落ち着いて棟梁としての貫禄が十分に出てきたし、不運な義朝君の心理描写も相変わらずいい(可哀想だ)。後白河天皇の究極のオレ様ぶりも毎回最高。信西の野望と頭脳のバランスも面白い。俳優さん達に関しては本当に素晴らしいと思う。今の私はそれぞれの人物を演じる俳優・女優さん達を見たくて見ている状態。だからこそ演出や編集で彼らの良さが消されてしまうのは非常にもったいない。

歴史的な素材としては(私が平安末期をよく知らないので)非常に面白いです。今回も内容は非常に面白かった。毎回いろんな事を学んでいる。それがすごく楽しい。初回から見てもう20数回分の話の積み重ねがあるので、最近ますます面白くなってきたと思う。これこそが大河ドラマの醍醐味。だからいまさら簡単に視聴を脱落するつもりも無い。少なくとも過去何年かの大河ドラマよりずーっと面白い。今後もずっと見続けると思うが、それにしてもドラマとして「もっとこうすればいいのにな…」とか「どうしてこうなんだろう」などといろいろと不満がたまるのも事実。もっと面白くなるはずなのに。

ともかくこの大河ドラマはいろんな意味でムラがあります。なので今回は拍手喝采は出来ないのだけど、またいい回が来ると思うので今後に期待したい。それにしても今回の清盛君はほんとによく成長しました。


追記;今知ったのだけど、長男重盛のお嫁さんはなんとAKB48の高橋愛さんという方だそうだ。ほーアイドルは眉毛が無くてもすごく可愛いのね。若い女の子が出ると華があっていい。



2012年6月11日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第23回「叔父を斬る」



今回もよかったと思います。びっくり。重厚歴史大河ドラマ。ほとんど以前とは別物。ものすごく真面目な歴史ドラマになってきた。

これなら清盛マラソン、完走間違いなし。


その前に、まずダメ出しから。

●音楽。今回の音楽はほんとに邪魔。処刑の場面のうるさいピアノなど論外。うるさくってしょがない。これほどメロディーのはっきりした曲だと、歌を歌うようにそっちに気をとられてしまう。人物達は迫真の演技をしているのに台詞も聞き取れない。音楽だけMUTEボタンを押せないものかと思った。ああもったいない。そのちょっと前、由良御前が鬼武者と話す場面からの一連の流れで使われたオーケストラの曲もうるさい。ばらばらな短い場面を一つの曲を流すことでまとめるのはやめたほうがいい。ともかく全体に音楽の使用と選択に繊細さを欠いている。劇的な場面に劇的な音楽を使うのは稚拙な演出。これはセンスの問題で、他に例を挙げてこれがいいと断言が出来ないだけに非常に難しい。

●清盛君、叔父さんの死刑宣告を受けてから落ち込んで出てきた時、なんで階段でずっこけるのかなぁ…また笑っちゃったよ、んもー。

●今回の話でまず事前に心配したのは、親族の罪人の処刑に番組1回分をまるまる使ってお涙頂戴劇にしてしまうのだろうドラマの構成そのものだったのだが、あにはからんや思った以上に良かったので前言撤回。確かに処刑で番組1回分なだけに尺を長く取りすぎた場面もあったが気にはならなかった。なのでこれに関してのダメ出しは無いです。

ともかく処刑がらみで引っ張りながらも、そのまわりの政治的なもの…特に源氏と平氏があれだけ辛い思いをしているのに、天皇を始めとする貴族達が、何事も無かったようにへらへらしているのが対照的で非常に良かった。説得力のある話の展開だったと思う。満足です。



今回、話の流れが良かった。

平忠正叔父さん、源為義パパも、それぞれ本人達は覚悟を決めている。なので苦悩するのは残された者達。

まず平家側。叔父さんが自分の身代わりになったと苦悩する弟・頼盛。自らの甘さゆえに叔父を救えなかったと苦悩する清盛。皆も気持ちは同じだ。義姉・池禅尼も、忠正に言った「いざというときは平家をたのみます。」の言葉がこのような結果になるとは思っていなかっただろう。そもそも忠正は、この義姉を悲しませないために頼盛の身代わりになったようなもの。うわー悲しい。そんな彼は供に死んでいく息子達を前にして「断じて平家一門を怨むではない。怨むならこの父を怨め。」(泣)ああぁ。身支度を整えた忠正と息子達を、一族揃って皆涙を流しながら静かに送り出す場面はとても美しく悲しい。

今回の清盛君も今までと違って別人のよう。叔父の死刑を宣告されると声を落として信西に詰め寄る。今回全編を通して声を抑え非常に男らしく見えた。心を決め叔父を自ら処刑する。すぐに息子達も。その後力尽きてその場に倒れこむ。短い描写で引っ張らなかったのがよかった。

一方の源氏側は、義朝の驚くほど感情的な描写に驚いた。まず父の死刑の宣告をされた時、信西へ取り乱しながら抵抗。帰宅してからいきなり由良御前を「余計な事をした」と張り倒す。その後も呆然として時を過ごす。そこへ父為義が揺れる息子を諭す。「親兄弟の屍の上にも雄雄しく立て。」(泣)

処刑場でもそう。清盛が最後に苦しみながらも自ら処刑を遂行したのに、義朝は出来ずじまい。まさか弟を殺しても平気だったこの人を、こういう風に描写するとは思わなかった。当然これは平家側の清盛と対比させたもの。清盛が心を決めたのに比べて、義朝は出来なかったということなのだろう(父親を殺す方がずっと辛いのだが)。源氏側の処刑は義朝の忠臣正清が行うことになる。初めて弱さを見せた義朝の描写がとてもよかった。

義朝の苦悩をめぐる家族の描写も素晴らしい。夫に張り倒された由良御前、まだ小さい鬼武者に、お祖父さんがパパに殺されるので見て来いと言い聞かせる(これはすごい台詞)。全てを見届けた鬼武者は、その後義朝に向かい元服したいと名乗り出る。鬼武者はこんなに小さいのに、初めて弱さを見せた父・義朝を見て、自分がしっかりしなくてはと思ったのだろうか。将来の源氏の棟梁の姿が見える。源頼朝元服。この流れはすばらしかった。その後、由良御前は頼朝を強い武士に育てると言う。立派。



それから後白河天皇に呼ばれて戦勝の祝宴。今までなら清盛君は「いやだいやだ」とわめくところだが、今回は黙って耐える。武士がこれだけ辛い思いをしているのに、呼ばれて行った御所では貴族達が何事も無かったように華やいでいる。得子さんもとても綺麗。清盛君は憤懣やるかたない様子だが黙って耐えている。清盛君にとっては辛い場面だ。これも良かった。これで視聴者も清盛君の気持ちに添うことが出来る。

極めつけはオレ様後白河天皇。ほんとにいつものことだけどこの人のオレ様ぶりは最高。あの自信満々な顔が画面に出てくるだけでまさにゾクゾクする。こんなトンデモ親分が権力を握っている限り、平家も源氏も犬のまま。この対比は最高に素晴らしい。

清盛君がこの華やかな場でいつものように、いつ反抗期の子供のような事を言い始めるのかとひやひやしたが、なんと今回黙って耐えている。立派。大人になりました。大変結構。そうです、そうやって耐えて耐えて耐え抜いた後にドッカーンと爆発すればよろしい。非常に楽しみになってきた。ほんとに今回は清盛君が立派。あとはもう少し声を落として腹から声を出すようにすればもっといい。今回は信西との対決で声が裏返ってたけど、全体には声も抑えて確実に良くなっている。最後に一族を集めての「一蓮托生(事の善悪にかかわらず仲間として行動や 運命をともにすること)」宣言もいい。いいぞがんばれ。

それから深キョン。殆ど出番が無かったけど、この人が深刻な表情で静かに苦悩しているのはとてもいい。裏返った声でおかしなことをしゃべるよりも、黙ってしんみりしてたほうがずーといいです。非常に美しい。それに最後、滋子に向かってつとめに出るよう命じた声も非常に落ち着いていてよかった。この女優さんは立派に大人が演じられるんだと初めて思った。女優さんも俳優さんも脚本と演出次第。どうかこれからも今回のように大人の時子を演じて欲しい。(清盛君もそうなのだが)声の響きは非常に大切です。


またまた人物の評価で終わってしまったけど、良かったです。極限の状況だからこそ登場人物全員が真剣なのが素晴らしかった。特に清盛君の変貌ぶりにはびっくり。反対に義朝は弱さを見せたところがまたいい。見所もたくさんあった。豊原さん=忠正叔父さんの堂々たる男振り。最後まで息子を気遣う優しい小日向さん=為義パパ。素晴らしかったです。このお二人がいなくなるのは本当につらい。

最後にもう一つ。処刑の場面で一切の血を見せなかったNHKさんの英断には拍手を送りたい。為義パパの首らしいものが一瞬落ちたのが見えただけでそれ以外は全て暗転や画面の外。斬首という処刑そのものが非常に残酷なものなので一切の血を見せなくても陰惨さは十分に伝わってきた。特に小さな鬼武者を画面内に入れた源氏側の描写は非常に陰鬱。映像での残酷さを娯楽にしがちな昨今、よくあそこまで抑えてくださったと心から感謝したい。(地面に広がった血だまりぐらいはあってもよかったかも)



最後に清盛紀行で、義朝が自ら父を処刑したと言っていたのに驚いた。清盛と義朝が親族を自ら処刑したのは、このドラマを劇的にさせるための脚色だとばかり思っていたのだが、実際にそういうことだったそうだ(清盛のことは不明)。辛かったろうと思う。ほんとうの義朝とはどういう人だったのだろう。

それから、いまさら言うのもなんだが清盛の持っている宋剣に非常に違和感があるのだけれど、あれは史実なのだろうか。(痛すぎると思います) 以前、刀鍛冶の方のインタビューで、日本の刀作りは鎌倉時代が最高で、現在でも再現が難しいぐらい高い技術が当時既に完成されていたと聞いたのだが、このドラマのちょっと後の時代にそれほど高度な技術があったのだとしたら、この時代も日本刀を持っているのが自然じゃないだろうか。それともこの宋剣の記録が残っているのだろうか…。




2012年6月4日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第22回「勝利の代償」


またよかったです。さすがに戦の前夜や真っ只中のようなドラマはなかったけれど、いろいろとベタとはいえ、すんなりと楽しめました。

さてこの大河、前も言ったけど、主人公の清盛君がどうもいけない。なんだか青い。いろんなことがすごく青い。それに無神経。子供時代からよく喚く単細胞の騒がしい人だったけれど、基本的に中年になっても同じ。まず、忠正叔父さんを捕えて匿って、それで彼が救えると信じているところなんかものすごく甘い。「余計な事をするな」と叔父さんを捕えた忠清を咎めた盛国のほうがずっと大人。その直後に清盛が「いやワシが命じたのだ…」で、がくっときた。その後、これからどうなるかもわからない叔父さんに「僕播磨守になったんだ。面白いでしょ。」などという無神経。最後に叔父さんの死刑を宣告されると「ぇえええ…?」顔。馬鹿じゃないの。人物の深みも何もあったものじゃない。叔父さんも「あいつは最初っから問題児だと思っていたけど…。」案の定という感じでしょうか。先週は弟くんも愚痴っていたし。こんなふうにこれからも、ちょっとあほな清盛君に周り中が振り回されていく話なんだろうか…。ま、そういう設定ならそれでいいですけど。

それに清盛と義朝のおふざけ友達シーンもいらない。あんな現代劇はいらない。清盛君は得意満面でこれから武士の世だなどとエラソーに騒いでいるけど、あなたは叔父さんとうだうだ言いながら斬りあっただけじゃないの。結局兎丸に蹴散らされるし。義朝君は、文字通り死闘をしてきたのよ。


他の人物は相変わらずいい。

今回の、負けた側の敗走の場面はリアルでした。頼長の場面はかなりきつい。首を射られて、父親に見捨てられ、ぼろぼろになった籠の中で涙を流しながら自害。あーつらい。でも、史実なんだそうだ。うわー苦しい…。たまたま見ていた旦那Aも口元を押さえて顔を青くしてました。たった1回だけなのに男色の印象が強くてイロモノかと思ったけれど、この人のことはもっと知りたかった。後で信西が在りし日の頼長を回想するシーンで特にそう思った。生きている間にああいうシーンでもっと頼長の人となりを知りたかった。父親との関係もそう。粛正と男色だけの印象なんだもの。今回で死んでしまったので、ますますそう思う。ほんとにいいキャラだったのに。最後は可哀想だった。

崇徳上皇も、輿から出て出家できずに泣く。やっぱり悲しい。「生まれてからずっと何一つ思い通りにならない…」は悲しすぎる。ネットでちょこっと調べたら、このお方は有名な怨霊になられたそうだが、ほんとうに可哀想だ。なんにも悪いことしてないのにね。

平家側。忠正叔父さん。入魂の演技。力入ってます。こういう人がもうすぐいなくなるのは、ドラマとして痛手。大人だもの。最初は理不尽な意地悪オヤジ、途中からお茶目、それから優しい叔父さん、最後は強いオヤジといろいろと性格が変わったけど、ここ3回は魅力的でした。来週は辛いな。

源氏側。為義パパ。もう最初っから弱々しいお方で、どうしてこんな人から漢義朝や怪物為朝が生まれたのかも疑問なくらいだが、今回義朝が殿上人になったと聞いて、ほんとうに嬉しそうな顔をした。この人がいなくなるのも悲しい。


後白河天皇。やっぱりいい。この人はたまらんね。オレ様、超ドS(エス)だと思う。歴史上のこのお方がどんな人なのか知らないけれど、まぁこの天皇は悪そうだ。やっぱり一度グレた人は怖いもの知らず。今回の戦勝も当たり前だ顔。本当は武士に感謝なんかしていない。そんな無情な彼の下で武士は泣く。たとえ負けてもこの人ならへとも思わないんだろう。すぐ傷ついて泣く崇徳上皇の繊細さとは対極。得子さんにちょっとやり込められると「だってオレ様生きてるじゃねーか。ドウヨ。はははは…。」うわー得子さん大丈夫か。あぶねー。こいつは何を言い出すかわからんぞ。もちろん逆賊のお兄さんには薄ら笑いをしながら流罪宣告。嬉しくてたまらないらしい。こんな人にかかったら皆明日の首の心配をしたほうがよさそうだ。

得子さんもあいかわらずまたきつい女。いいと思います。

信西。やっぱり黒い。しかしいろいろと思うところもあるのだろうインテリな黒さなので見ていて面白い。

義朝はいつもどおりCOOLです。捉えられた父親に会おうとしないところはいかにも。この人の一貫した性格描写だけは一切変わることが無い。見事です。今回はあまり出番が無かった。

由良御前。この人もいい。あまり義朝に愛されてないのかな。最初っから「役にたつ」とか言われていたし。しかし惚れた女の弱みか…。文句を言わず、しっかりと強く正しい正妻の役を責任を持ってこなしている。涙をためて義朝に食って掛かる彼女。普通なら時代的に考えても女が出しゃばってと興ざめなところだが、彼女ならいい。この女性は魅力的。がんばってね。応援してる。


さて来週は、もっとヘビーです。しかし、一族の棟梁がわざわざ罪人(それも親族)を処刑する必要も無いだろうと思うが、これはベタなドラマ仕立ての演出なんでしょう。さて来週泣けるのか…?




2012年5月31日木曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第21回「保元の乱」



これもついでに今日中にUPしとこう。


前回から引き続き良かったです。汚名返上? 面白かった。ただ戦(いくさ)ものが好きなだけかもしれないけど。あちこちに場面を移しながら、ほぼ全編バトルなんだもの。コーフンするわ…なんか血が踊る(笑)。あの綺麗な鎧のむさい男達を見てるだけでドキドキする。あー面白かった。この第20回と21回は録画を保存しよう。


まず最初に戦の図を地図で見せてくれたのはありがたい。こういうのがあるととてもわかり易い。戦といってもひとつの街の中での戦いで、戦国時代に比べるといかにスケールが小さいのかが分かって興味深い。


俳優さん達もいい。信西(阿部サダヲさん)いいですね。こういう人物がいると話が盛り上がる。「即刻火をかけよ!」 この人サイコー!


まず、武装した侍たちが御殿の前に跪いて並んでいる場面だけでうわっと思う。そんななかで、むさい男の義朝は「オレは死ぬ気なんだからすぐ昇殿させろ」とごり押し。いいですね。男くさー。なんだかあんまり義朝がかっこいいんで清盛君がかわいそうかも。



さて軍議、崇徳上皇側と後白河天皇側で、それぞれ夜討ちの話をする場面。頼長と(大男)為朝の崇徳上皇側、信西と義朝の後白河天皇側を、同時間に同時進行で対比させながら見せる場面は面白かった。頼長が「そんな品のないことはしない」と言ってる間に、信西側は「いけいけっ!」。これで勝負は決まったのか…。ドキドキします。


さて戦が始まって、まー崇徳上皇側の為朝さんていったい誰? 大男じゃないですか。矢も大げさにぶんぶん飛んで面白い。昔の歴史上の怪力男なんてあれぐらい漫画みたいでいいと思います。しかしこんな俳優さんが今の日本にいたんだ。それにどの場面だったか忘れたけど、宇梶さんも出てきたし、これは大男ぞろいで面白くなってきたぞ。


いちいち細かく書かないけど戦の場面はそれぞれよかったし、悲しみの為義パパが頼長を怒鳴りつける場面も良かったです。頼長さんも真っ青になって震えて、あの威張ってた藤原摂関家がガタガタじゃないですか。これで武家の世になっていくのか…。おっと白いインコちゃんを忘れないで。兎丸たちの楽しそうなバタリングラム攻撃もいいし、あー面白かった。ところで、あの白河北殿のセットは本当に燃やしたんだろうか。


戦の場面はなんだかまったりしてるんだけど、当時の話によると「やあやあ我こそは…」とか、戦いの真ん中で歌を歌ったりする(だったかな)ような、実際にまったりした戦いぶりだったらしいので、こんな感じなんでしょうか。


前回のような繊細な心理劇は無かったし、戦ばっかりだったけど、戦なんてアクションばっかりなんだからこんなふうにガヤガヤやってればいいと思う。面白かったわ。なんだかまとまりのない感想で申し訳ない。どうもこの回、また視聴率が落ちたらしいのだけど、これはもったいないですよ、みなさん。この回は画面を見てるだけでも面白いのに。


さあこの後、またヘビーな心理劇が始まると思うのだがどうなるんだろう。

2012年5月30日水曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第20回「前夜の決断」


実は、先週忙しくて見れなくて録画していたものを第20回、21回といっしょに見たのだけど、これが非常に良かったので、前回第19回の感想も復活させようと思ったのでした。これはよかったです。ほんとうに面白かった。

保元の乱前夜、いいです。心理劇につぐ心理劇11日と時間を追っての話の展開もとてもいい。清盛君はまた脇だけど、本当の脇の方々が非常にいい感じだったので見所満載。素晴らしいです。第19回でさんざん文句を言ったばっかりなのに、どうして1週間でこんなに良くなったんだろう。やっぱり史実がいろいろあると、話が引き締まるのだろうか。今週ほんとに面白かったです。


後白河天皇の溢れんばかりのカリスマ性。正真正銘のやんごとなきオレ様。徹底的にオレ様。生まれもった絶対的な地位。美しい顔から溢れ出る絶対的な自信。この人の天皇はゾクゾクするほどいい。鼻筋の真っ直ぐな美しい顔。なのに予測不可能で怖い。何を言い出すかわからない。怖いです。松田さんがこんな表情のできる人だとは。この役はすばらしい。もうね、この天皇の高貴なカリスマが凄すぎて、清盛君は可哀相なくらい下僕の位置にはまっていた。これから大丈夫か…。


それから今週は、弟の頼盛(西島隆弘さん)の熱演に次ぐ熱演。これはびっくりした。最初に出てきたときは、まぁなんと繊細そうな優男だろうと思ったのに、意志の強い若い男子を熱演。この役者さんはほんとにいい表情をする。以前から私は「時代劇の男が男が」と何度も言っているが、男を演じるのに大きな体や怖い顔は必要ないといういい見本。極論を言えば、10歳の子供でも男を表現することはできるんです。人を男にするのは心(意志)です。繊細な顔の西島さんはこの役で、使命をもって自分の意志で立ちあがろうとする真摯な若者を熱演している。非常に男らしいです。母とのやりとりでの繊細な表情。心を決めたときの思いつめた表情もとてもいい。

そんな頼盛の苦悩の表情を見て、忠正叔父さんが心を決める。忠正叔父さんは優しい人なんですね。この二人のやりとりの心理劇はすばらしかった。こんな繊細な心理劇がいままであっただろうか。



それに義朝の2人の女性の場面もいい。妙な現代風の嫉妬劇があるわけでもなく、正妻と側室の位置も自然。常盤が余計な事を言い始めた場面で、由良御前の見せた正妻の貫禄もすばらしかった。そう、戦に感情は必要ない。戦は男の仕事。たとえ辛くてもそれを黙って支えるのが妻の仕事。そのまま黙って頭を下げる由良御前がいい。この義朝の場面はほんとによかった。その直後に敵側の源氏の武将達(義朝の親族)を見せるのも上手いなと思う。鎧が非常に美しい。

それから続いて、いかにも大河ドラマ・時代劇らしい場面だったのが、鎌田通清(金田明夫さん)と息子の正清(趙珉和さん)の場面。これはこのドラマの過去最高じゃないですか。すばらしいです。こんなにも歴史時代劇らしい場面があるなんて。それでそれでそれで…帰ってきた正清に義朝が一言「遅いではないか。」玉木さん、いい表情です。友情と忠誠心。正統派男のドラマ。参りました。この一連の流れは何度見ても泣ける。ここ数回の玉木さんは顔が変わってしまっている。素晴らしいです。毎回ますます良くなる。


なんかいろいろと泣けました今回。どうして急にこんなに変わったのだろう。今回だけで、好きになった人物も多い。天皇、頼盛、忠正叔父さん、由良御前、鎌田通清、正清…、これらの人物の人となりがはっきり解った。いろいろ思うところもあるのだろうと応援したくなる。人物描写だけでこんなに印象が変わるなんて。いったいどうしたんだろう。

毎回戦争ではないけれど、こういう極限の場面があるから歴史時代ものは面白いんだとつくづく思う。家族なのに敵味方に分かれて殺しあわなければいけない現実。それが忠誠心からくるものであれ、お家の為であれ、人として辛い決断なのは同じ。これがドラマ。上下関係では礼儀を尽くし、忠誠を誓い、自己の責任で必死にその日を生きようとする歴史上の人物達にやっぱり心を動かされる。人が人に礼節を尽くす姿というのは美しいです。鎧を着けた武者達が静かに跪く姿は本当に美しい。私はやっぱり昭和の人間だと思う。ほんと。

今回、音楽もとてもよかったと思う。
満足です。

一言。こんな重厚なドラマの中で、清盛君と時子の場面は浮いてます。この二人のコミカルなやりとりは正直いらない。せめて戦の回くらいは自粛して欲しい。


NHK大河ドラマ「平清盛」第19回「鳥羽院の遺言」


この、第19回の感想のエントリー、一度UPして、1週間後に消しました。あまりにも辛辣な大人気ない内容だったためです。申し訳ない。その後忙しくて暫くそのままにしていたのだけれど、今でもこの第19回の内容に対して、基本的には同じ感想を持っているので、多少トーンダウンして再度UPすることにした。第20回と21回がとてもよかったので、対比としても残しておきたいと思った。

まだ見てます。家盛決起の男色問題から、あまりのくだらなさに匙を投げたのだが、やっぱり見てました。もうすぐ歴史的な大事件だそうです。そんなわけで話がちょっと進んできたような感じ。再度、時代劇を愛するものとして、この大河ドラマにまたいろいろと言いたい。かなりキツイ事を言っているのでこの大河ドラマを好きな方は読まないでください。


1.       清盛がどんな人なのかさっぱり解らない!
19回目にもなるのに、主役平清盛の人となりがさっぱりわからない。いっつも右に左にふらふらしている。今回もそう。先週、崇徳上皇に「僕は鳥羽法皇のために働くので…」と協力を拒否。そのあと今度は鳥羽法皇が「御所を守れ」と言うと「お断りいたします。」といばりくさって…また拒否。今度は信西が「法皇サイドを守れ、サインしろ」と言うと、「いやだ!みんな仲良くすればいいっ。」それなのに、野蛮な友人源義朝がやってきて「オレはサインしたぜ」と言うの聞くと、うんうん悩んだ挙句、時子が「義朝さんにも家族がいるんでしょうね」と言ったとたんに、サインをする決心をしたらしい…。あげくのはてに、さっきまで「鳥羽パパと崇徳息子は仲良くなってほしい」と言ってたのに、鳥羽法皇の臨終に会いにやってきた崇徳上皇に「もうおせぇよ」と大変失礼な態度で(皇族に)刃物をつきつける…。ぁあああこの人は何者?。非常に大人な事を言うかと思えば、信西と話しをしていてもいきなりキレて器物破損。いったいどういう人? 俳優松ケンさんの力の入りすぎた演技も多少問題ではないかと思っているが、なによりも主人公を優柔不断にフラフラさせている脚本の意図が不明。どうしてあそこまで一貫性のない人物像なのかほんとうに不思議だ。後に滅ぼされてしまう平家だから、そんなダメ清盛でも描くつもりなんだろうか…。だけど、そんな人物が1年間通して主役だとしたら冗談ではすまない。あれだけ一貫性がない主人公を見ていると「しっかりせぇっ!」と腹が立ってくる。主役に魅力がないとドラマを見る気がしない。何とかしてください。

(ちなみに源義朝のシーンだけ本格大河ドラマっぽい。玉木義朝、大変結構。昔から野蛮だった。弟を殺してもへとも思わない。のし上がるために、なんでもやるあくどいキャラがしっかりしている。皇族のことも「もめさせておけばよい。土台はとっくに腐っておる」だって。清盛の10倍くらい頭がいい。むしろこっちが主役。もともと細身の現代青年な玉木君が、非常に野蛮な男に見えるようになった。立派。奥さんも子供を張り倒した。結構結構。昔はこんなものでしょう。この義朝側のキャラがこれだけしっかりしているのに、どうして主役がふらふらしてるのだろう?)

2.       なぜ鳥羽法皇は漫画っぽかったのか?
なぜこの人は、ここまで変なキャラにされてしまったのだろう。なんだかとんでもない漫画キャラになってしまっていた。何かにつけて目をむいて、ウルウルして「きゃぁあああ」ばっかり言ってうろたえている。もうね、ぱぁーんっと横っ面をひっぱたいて「しっかりせぇっ!」と怒鳴りつけたくなる。ああ見えても時の最大の権力者なのだ。史実でもあんな変な人で有名なのかネットで調べたけど、そんな話はないです。どうしてああいうふうにしたのだろう。「いろいろと史実をリアルに再現…」などと制作側は言っているけど、あんなに変だと人間にさえ見えない。宇宙人みたい。ふつうに内気で苦悩する人物でいいと思うのに、どうしてあそこまでデフォルメする必要があったのか。最初は面白いのかと思ったが、最後の最後まであの調子。歴史ドラマの枠を超えていると思う。真面目に歴史ドラマをつくろうとしているのかも疑問だ。史実のご本人に大変お気の毒です。

3.       変なところで唐突にコミカル
今回は、滋子のお披露目の場面。平氏全員が妙にコミカルな現代劇風。あんな無駄な現代ホームドラマの場面があるから、真面目な歴史ドラマが途中で腰砕けになって、見ている側は「ぽかーん」状態。源氏の側が兄弟同士で殺し合いをするような時代に、どうしてああいう場面をいれるのか疑問。そもそも男性の群集が若い女性の品定めをするなど論外。ドラマの全体のトーンが統一されてない印象が残るばかり。

歴史ドラマの様式の一つに、真面目な歴史ドラマの中、息抜きのためのコミカルなシーンの挿入はある。たいてい決まりの道化役が一人二人いて笑わせてくれるもので、大変愛されるキャラ設定だったりする。そんな道化キャラが悲劇の運命をたどるのも定番。そのかわり、ドラマの主役級の役者には馬鹿な事をさせず、話をひっぱってもらう。まあ古い様式なので現在それがいいかどうかは疑問だが、せめて主役級の俳優達には馬鹿な真似をさせないほうがいいと思う。清盛もあっちでガウガウ怒鳴っているのに、こっちでふざけていたりして、これも人物像がよく解らない理由の一つになっている。

4.       人物がリアルじゃない。
以前から、画面をぼけるだけぼけさせてリアルだと主張しているのに、どうして平安時代の女性の髪がドレッドヘアなのだ? それで「美しい娘」だそうだ。冗談だろうか。平安時代の美人なんて、髪、髪、髪、何をおいても長い艶やかな髪が第一なのに、NHKさんは何をやっているのだろう。これは何事かとオフィシャルのサイトにいったら人物デザインの方が「ぼくは美しいと思う」などと…。しかしこれはどう考えても賛同できません。どういうつもりか知らないが、ああいう意味不明のルール違反をするだけで、歴史好きの視聴者をどんどん無くしていることに気付かないのだろうか。

それに、皇族に嫁ぐようなお姫様の滋子が「まっぴらです。」「私は私の好いたお方の妻となります。」だって。おまけに、あっかんべー。これも論外。そもそも女性がああいうふうに晒されるのもありえないでしょう。片方でリアルリアルと言っていながら、肝心の人物の外見や行動が全然リアルじゃないことをどう説明するつもりだろう。

5.       人物の行動がリアルじゃない。
そもそも、皇族に刃物を向けるとは逆賊の扱いになると思うのだけど、覚えているだけでも今回で3回目(もっとあったかも)。どうしてあんな行動をとらせるのだろう。リアルリアルと言っている割に、なぜあんな行動がそのままにされているのが理解不可能。時代考証の方は何も言わないんだろうか。

6.       台詞の意味が不明
それで崇徳上皇に「私には私の守るべきものがある…」と、言うのだけれど、あの場面のあの時点で崇徳上皇にそれを言うことの意味は無い。前後とのつながりが不明。崇徳上皇も清盛が何を言っているのか解らないだろう。ナレーションで「情を捨て苦渋の決断をした」とあったが、なんだかもやもやとしてなんの苦渋だったのかも解らない。ほんとに不明なことが多い。上記で言ったような、コミカルシーンにエネルギーをつかうくらいなら、こういう台詞の詰めをきちっとやって欲しい。



いろいろときつく書いたけれども、このようないろいろな点で今回のドラマに賛同するのは難しい。もちろん私の個人的な私見なので、これが一般論だとは思わないが…しかし。こう書き連ねてみると、例えば「リアル」の言葉一つをとっても、どうもバランスがとれていないのではないか。あれだけこだわってリアルと言っているのなら、人物の設定も台詞も行動もリアルにしてもらえないだろうか。


反対に前代未聞の漫画風大河に徹底させるのならそれでもいい。鳥羽法皇宇宙人にドレッドヘア滋子、左右ふらふら時々キレる清盛、なんだかわいわい楽しそうな平家一門…パイレーツオブ瀬戸内海…そこまで腹をくくっているのならそれでもいい。しかし「リアル」の言葉だけで本格大河を臭わせているのがどうも詐欺っぽくていけない。私以外にも多くの人が混乱しているのではないだろうか。いったいぜんたいこの大河、何がやりたいのだろうと…。これからも視聴者(視聴率)と制作側の意地の張り合いで1年間が過ぎてしまうような気がする。なんとかしていただきたい。


最後に、毎年大河ドラマを習慣で見ている既存の視聴者には、真面目な歴史物語を見たい層がたくさんいる事を忘れないで欲しいと思う。過去30年以上にわたって大河ドラマを見続けているファンもたくさんいるのだ。現在の制作の方々が生まれる前から、大河ドラマを見続けている方々もいる。大河ドラマの基本は歴史を語る歴史ドラマ。現代風にアレンジするのもいいかも知れないが、そうすることによって固定の視聴者をなくす可能性があることも考えていただきたい。



2012年4月10日火曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第14回「家盛決起」


まず、良いところから。今回、画面が綺麗です。確実に改善しました。黒はくっきりと黒。顔も明るいので表情もハッキリ見える。室内の画がはっきりくっきりでとても綺麗です。顔が見やすいと、人物の内面もよく見えるような気がする。外はそのままのようだけど、室内の場面ならこれでTVの画としては十分満足です。

それから、玉木義朝君はいいですね。最近あまり見かけない激しい男キャラがいい。うん


さて本題に…。辛口でいきます。

へぇ~~~っと思った今回。頼長さん、そういうお方なんですか…。そうですか。それにしても、今年のNHKは勇気があるというのか…無謀というのか…。宮中の男女のウダウダもそうだけど今度は男色か…。いいんですよ、うん、いいんです。しかし、本筋の政治的なお話が霞んでしまっています。お話もコーンスターチが舞っている。正直くだらない。人間、みんな男女のことや、よそ様の閨の事は興味津々だろうけど、はっきりと申しましょう、こういうもので視聴者を釣るのは最低ではないか…。

もし話が描けているのであれば、男色も大いに結構。まったく結構。しかしこの大河、最初からどうも話が薄いです。男色も、鳥羽院やたまこさま、得子さんがらみのウダウダもいいけれど、肝心の登場人物の人となりの構築と、その行動の心理:政治的な裏工作、権力欲、派閥同士の争い、嫉妬、妬み…、それにそんな世の中だからこそ光る正義感、友情、希望、家族愛…等など、複雑な人の感情を描かないと話が薄いままで終わってしまう。人物がなぜそんな行動を起しているのかの心理をきちっと描いてないと、何をやっても唐突にしか見えない。

清盛君は今回も脇。明らかに今もってダメダメ君。後にあんな大業を成し遂げた人なのに、将来性の片鱗も見えない。主人公でさえ一貫性をもって描けてないのではないか。ちょっと前に「オレは平家を背負うていく男よ」と宣言したのに、今週は弟にあっさり「お前が後を継げ」。…どっち? これでは、ちょっと役者さんが可哀想。

平忠正叔父さんも、最初は怒ってばっかりの真面目な頑固者だったのに、最近はお茶目キャラ? 西行となった義清も、最初は優雅な詩人なのに、ある日突然ストーカー件幼児虐待男。家盛もちょっと前までお兄ちゃん大好きっ子だったのに、ママの一時的な苦悩を目撃しただけで、ころっとお兄ちゃん嫌い。和久井ママは清盛を心から可愛がっているのに、未だに30年前のよその女に苦悩している(旦那さんはその女となんの関係も持っていない)。時子は野蛮人なんか嫌いなはずなのに、いつの間にかその野蛮人と結婚して光の君と呼んでいる…。どうも人物達に一貫性がない。もちろん人の感情が時間の経過につれて変わるのは当たり前だけど、このドラマではその変わった理由も経過も十分に描かれていない。

頼長も家盛と仲良くなるのはいいけれど、どうしてそんなに早く自分の魂胆をバラしてしまうのだ。早すぎる。あんな話なら最後まで騙して一人薄ら笑いをするぐらいのほうが面白いのに…。それに男色なんて当時から普通にあっただろうから男が手篭めにされたからといって、それほどショックを受ける必要もなかろう。若い女性じゃあるまいし、既婚の成人男性の貞操なんてないと思うが…。(史実はどうだったのか知らないけど)

なによりも、演じていらっしゃる俳優、女優の方々が素晴らしいのにもったいない。今回の和久井映見さん、家盛の大東駿介さんなんてほんとに素晴らしいのにどうも唐突な印象。「あたりまえの母」というのも妙な台詞…。普通は言わないと思う。

それから、今回のタイトルの「家盛決起」。なんと家盛くん、あのまま落馬して来週亡くなってしまうのですね。決起してないじゃない。家族の会話が決起なのか…。(この時代の歴史は全く知らないので)決起なんて言うからプチ戦が始まるのかと思ってた。こんな程度で決起とは言わないと思うが、もう言葉の感覚があわないのだろうか。


今年も脚本との相性が悪いらしい…。話は非常に面白いのに。


追記:来週、この家盛と頼長の関係が重要な話として使われるらしい。くだらないぞ。くだらんっ! あんなものあの時代には普通にあった事らしいのに、まだひっぱるのかっ。パパ忠盛でさえそんな噂があった時代なのに…。




2012年3月25日日曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第12回「宿命の再会」


今日の忠盛パパのお言葉、「清盛はまだ心の軸が定まっておらん」。そう、そのとおり。心の軸どころか人格が出来ていません。だけど時間だけは過ぎる。奥さんを亡くしてふてくされたいのも解るが、しっかりしろ! もう大人よ。弟を見習った方がいいです。最後までなんだかくすぶってましたね今回。ぼーっとして始終たそがれてるんだもの。そんな不安定な勢いでプロポーズされても困ったもんだ。深キョンかわいそう。

しかし、2人の子供は可愛い。深キョンが通いたくなるのも解る。

清盛君、途中時点では時子に全く惹かれてません。「耳に残る明子の琴の音色を消されとうないのだ(あんたじゃダメなのよ)」うわぁ~ん。清盛君はこの時点では、時子のことキライだと思うな。「明子の思い出に浸りたいのだから邪魔せんでくれ」と言っている。表情もそんな感じだ。なのに盛国が「殿も時子様がいると嬉しそうだ」などというのは無理がある。

それが義朝と喧嘩して帰ってくると、怒りに任せて「もうそなたでよい」とプロポーズしてしまうのだ。「あとはオレがそなたに惚れればよいのだ」なんと乱暴な。それに答えて時子も「あんまりヨ。」それなのにその直後、ドラマチックなスローモーションとともに清盛を押し倒す。(大爆笑)なんだなんだなんなんだコレは…。またやっちまったのか…。イクタちゃんもびっくりしている。もう漫画ね、この大河。

さて、関東から帰ってきた義朝君、たずねてきてくれた娘さんに、いきなり「お前も産むか?」(大爆笑)。逃げる娘さんを追いかけて腕をつかみがっしりと抱きよせる。そこで娘さんは喜んで泣く。そりゃ嬉しいよね。「役に立つ」とか言われるのはいやだけど。今年はこういう肉食系野蛮人を大河でやるのが新鮮だ。それにしてもドS(エス)らしい玉木さんにはこういう役がはまる。NHKは確信犯(笑)。

清盛君も義朝君も、御所で喧嘩はいかんと思うよ。外に出ましょう。でも清盛君が「オレはこれから平氏を背負うていく男よ」と言った。 お、心が決まったのか。

ところで弟家盛の大東駿介さんは非常にいい表情をする。ちょっと注目だ。諦めた女性の話をしていたけれど、この時代で平家の御曹司なら別に2号さんでも3号さんでも囲えたと思うのだけど(通い婚?)、武士は違うのだろうか。

たまこさまが亡くなってしまった。やっぱり綺麗だな~。この人がいなくなるのは残念。まだ45歳だそうだ。でも源氏物語などでも昔の人はこんな年齢で亡くなるんですね。早いな。三上上皇もたまこさまも演技が上手いだけに、今回も短い場面だったのは残念。いままでの回にももう少し二人の演技バトルの場面をいれてほしかった。見ごたえがあったはず。それにしても、菊の咲く季節に水仙は無いと思う。



ところで、冒頭の僧兵と平氏の場面、それから最後平氏が出かけていく場面。こういう野外で完全武装した群集が映ると、気持ちがあがる。絵が豪華でたまらない。これからもこういうのがあると嬉しい。戦国時代と違った美しさがあっていい。かっこいー。

それから、セットなんだろうと思うが、清盛の家の天井の梁がとてつもなく大きくてびっくりする。ほんとに日本の昔の家屋というのは、かっこいい。こういう家もこのドラマのために建てるんだろうか。ちょっと調べよう。