どちらかと言えば地味な回。静かだけど綺麗です。いいドラマは感想が書きにくい。
大河のような長丁場のドラマは、毎回毎回事件が起こる必要は全くなく、大事件の回と地味な回と、押して引いてをやって話を紡いでいけばいいと思う。今回、大事件はなかったけど、その分人物達をじっくりと見れた回でした。政治も静かに動いてます。
佐川官兵衛(中村獅童)の京へ行けない悔しさ。もうすぐ嫁をもらう山川大蔵(玉山鉄二)が、片思いの八重ちゃんに思いを告げるのも可愛かった。それを鈍感な八重ちゃんは「ありゃなんだったんだべ…」(笑)。
勝さん(生瀬勝久)は覚馬に10年後、100年後のことを考えろと言う。帝(市川染五郎)は容保公(綾野剛)に「キミが頼り…」とお手紙を出す。それでまた容保公は泣く。ほんとに帝と容保公の関係はいい。三条さん(篠井英介)は黒い。
壬生浪士組=新撰組もやってきた。怖いです。目付きが悪い(笑)。いかにも育ちが悪くて野蛮っぽい。覚馬(西島秀俊)と秋月悌二郎(北村有起哉)が彼らを見に来た場面でも、浪士組が荒っぽいのに比べて、覚馬と悌二郎がいかにも育ちのいいボンボンに見えてしまうのも面白い。
こういうのも上手いなーと思う。上流階級の上品さ、藩士の律儀さ、浪人の荒っぽさなんかが、見た目だけで分かるくらい、演出も演技も区別して描いてるのがとてもいい。すごく分かりやすい。衣装も演技も全て話を作っていくための情報。そんなことがこのドラマは基本をおさえてきちっとなされていると思う。
雨の中の会津の「馬揃え」も美しく、それを嬉しそうに眺める帝もいい。とにかく容保公と帝の信頼関係が重要なポイントなんでしょう。
会津からは西郷頼母(西田敏行)がやってくる。しかし彼の会津を思う気持ちは容保公には届かない。帝の信頼を裏切るわけにはいかないからだ。いい場面。これも悲しい。
とにかくこのドラマは、淡々と歴史のドラマが描かれる。史実にそって淡々と話が進む。それがすごくいい。容保公と帝の関係も、会津藩士の忠誠心も、八重ちゃんの日常も淡々と自然に語られる。人と人の関係も自然で、落ち着いて見れるのが大変ありがたい。
美術もカメラもいい。奇をてらったところがなくて、ほんとに綺麗な場面が多いです。人物を遠くから写す場面も多くて、その場の雰囲気を見るような場面も多い。すごくクラシックな感じがする。ほんとにいい。