能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2015年10月22日木曜日

Led Zeppelin – Wanton Song (1975)



Page & Plantの思い出



Led Zeppelin – Wanton Song (1975)

Album:  Physical Graffiti (Remastered)
Released: Feb 24, 1975 ℗ 1975 Atlantic Recording Corporation,
a Warner Music Group Company.
Marketed by Rhino Entertainment Company,
a Warner Music Group Company.


ワタクシ2013年の4月頃にこのブログで、Perfumeの初ロンドン公演の箱がShepherd's Bush Empireに決まったと聞いて大騒ぎをし、勢い余ってその箱で昔見たPage & Plantのことを思い出し、そのライブ映像のリンクを貼って大興奮していたのでございますが、そのページを今見直したらリンクが切れていた。

Perfumeの記事のおまけとして書いたものなので、好きな音楽リストにも取り上げていなかったので、改めてこの曲を取り上げてMusic Listに入れておこう。

そのライブは1998年の325日。ショーの開始はこの曲でございました。


 
Page & Plant Pt1: Wanton Song,Bring It On Home, Heartbreaker
 Shepherds Bush Empire, London. 25.03.98.



こんな大物が2000人キャパの箱で見れるとあって、チケットは発売日に即完売。友人と「無理だよねぇ」などと言いながら、たまたま買った情報誌Time Outを見たら「明日当日券を箱で限定発売」と出ていた。

「これは行かねばならぬ!」

…んで並びました。友人と午後1時くらいからShepherd's Bush Empireに行ったらもうコアなファンが20人ぐらい並んでいた。全員おじさんばかり。そして延々…午後7時過ぎぐらいですかね…ドアが開くまで並んだ。脚が痛くなった。
 
途中6時くらいに金髪の若い美人がやってきて私達の前にいた男グループに知人のように近づき「ちょっとここ入ってもいい?」と列に割り込んだ。「コノヤロウ!」と怒ってもしょうがない。もちろん何も言わない。男グループは嬉しそうにニヤニヤして彼女を受け入れている。ロンドンはそういうところは結構ゆるい。しかしチクショーこっちはもう5時間も並んだんだぜっ!
 
それから午後4時くらいですかね。Shepherd's Bush Empireのバックステージへの入り口は正面玄関に向かって右の奥にあるんだけど、そこに若作りをした金髪ミニスカートの女性ファン2人が入っていったのを目撃。昔からのおなじみのファンだったんろうなぁ。彼女達はたぶん17年前の時点で40歳を超えていたんじゃないかな。
「うわーコアなお姉さんファンだ…スゲー (*´_`*)」と思った。
 
その後正面のドアが開いたころには、私達の前の20人は50人ぐらいに増えていた。さっきの美人みたいな割り込みもあるだろうし、最初から遅れてくる予定だった人も結構いたんでしょう。
 
そのあたりも皆文句は言わない。喧嘩も起こらない。細かいこともチクチク言わない。箱に入れれば皆それで幸せ。ロンドン人も皆嬉しかったんだろうな。だってこんな小さい箱ではこんな大物見れないですもん。

貴重な経験。ほんとうにもったいないくらいのありがたい経験。その場にいられたことがただただ嬉しい。いい思い出。

…ライブの感想は、うわージミー・ペイジだ、うわーロバート・プラントだ、うわーあの曲だ、といちいち興奮したこと以外よく覚えていない。


このツアーは1998221日にクロアチアから始まってそのままヨーロッパを回り、上記のこの日はイギリスに帰って来てからの最初のショーでした。その後5月から9月の終わりまでアメリカをツアー。11月に英国に帰ってきて各地を回り、1156日にロンドンのWembley Arena
 
ちなみにこのライブの模様は、後に新宿でブートのCDを見つけて購入。それから今はYoutubeにこの日の公演の様子があがっています。


Led Zeppelin - Achilles Last Stand (1976)


2015年10月21日水曜日

シャープ・ロボホン…「妖精配給会社」星新一の世界が現実に



こういうものが出来たそうです。


RoBoHon コンセプトムービー
 
オッケー … (*´ェ`*)


いやーまいったな。可愛いな。なんだか欲しいな。

シャープ株式会社の新製品だそうです。名前はRoBoHon(ロボホン)。ロボット型の携帯電話です。まず外見が可愛いですが、電話以外の機能も充実。

1.電話(通話・ハンズフリー通話)
2.メール(アプリ使用可)
3.歩く(起き上がる・ダンスも)
4.話が分かる(音声操作)
5.あなたを覚える(顔認識で人を識別)
6.写真やムービーを撮影
7.プロジェクターで写真や動画を投影
8.音楽やゲームも可

だそうです。全ての機能を、ロボホン君に話しかけてコマンドを送ることが出来るのはすごい。なんだミニロボットじゃないか…。


でもね、これ電話としての実用性はほとんどないでしょうね  (^_^;)。だって携帯電話としてはやたらかさばって重くて壊れやすいですよね。手や足が取れたりしないのかな。いちいち持ち歩くにも大きすぎる。

でも可愛いんだな。この可愛さだけで欲しいと思う人はいますね。実用的な機器としてではなく、人工の可愛いペットです。それなら可能性は十分あると思います。

おそらくネットに繋いで情報を見る便利機能をコンセプトのひとつにしたことから、ついでに必然的に電話の機能も付けたんだろうけど、電話としてなら重くて不便。でもいろんな便利機能を持ったペットとしてなら楽しい。


私ならむしろこういう製品なら、このサイズと可愛らしさのままで、ソフトのダウンロードでアップグレード可能な最高の人工知能を付けて会話が可能な人工ペットとして欲しい。声も可愛いですね。有名なロボット博士・高橋智隆さんが共同開発でコラボしているそうな。このお方のロボットのデザインは可愛い。ロビ君とか可愛いな。

いやーほしいほしい…。実は昔、2005年製のアメリカのファービーが可愛くて2体も買ったんですけど、あの子は頭が悪くてね…あまり気持ちが入りませんでした。どうして会話が可能なA.I.搭載の人工ペットが無いんでしょうね。小さいロボットがいろいろと勝手に喋ると面白いのにな。

…おそらくこういう製品に会話型の人工知能を搭載すると、ほぼ間違いなく下品な言葉を教えこむに違いない男子中学生の存在が、製品化をストップさせているんでしょうね。教育上悪いなどと…PTAからの苦情がありそうですね (^_^;)


ところでこの↑ビデオで、ロボホン君をポケットに入れて持ち歩いてる場面がありますが、これを見てまず一瞬で浮かんだのが、星新一さんの『妖精配給会社』! うわーこの話が現実になったのかと思いましたもん一瞬。

星新一さんの『妖精配給会社』はSFのショート・ストーリーです。最初の出版は1964年。

「ある日突然、空から卵が降りてきて、その卵から孵った灰色の毛皮の「妖精」。それが卵でどんどん増えて、世界中にペットとして広まり爆発的に増える。なぜ増えたのか…それは、その「妖精」が限りなく気持ちのいい言葉を人間に喋ってくれるから。そのペットを人間はどこに行く時も連れていって、常に気持ちのいい言葉を話しかけてもらう。それで社会はどう変わったのか…。」

という話なんだけど、今読み返したら、これ現代の人間とパソコンの関係にかなり似ています。あ…スマホもそうですね。妖精の話す「おべっか」とスマホの「便利さ」を取り替えれば、パソコンやスマホが人に与えた影響とそれで変化した現代の生活は、このフィクションに書かれた状況とかなり似てきているのかも。

スマホやパソコンには可愛い顔がついていないけれど、このロボホン君は外見もペットと思えるほど可愛いし、人間の行く所にどこにでも連れて行って、それなりの会話(コマンド)をするわけでしょ。これはロボット版の「妖精」じゃないか…!

これに機能として「優しい言葉」だけを発する会話能力を付ければ、ほぼ完璧。面白いわー。

便利機能なんてどうでもいいから、これがA.I.搭載で会話が出来たら私もたぶん買う。もちろん丁寧な言葉で話しかけて優しく育ててカワイイカワイイロボットにしたい。

可愛いは正義。日本はこういうものが上手い。

 

2015年10月20日火曜日

NHKスペシャル・私が愛する日本人へ ~ドナルド・キーン 文豪との70年~



ここのところ、猫と遊んだり他の事が忙しくてなかなかTV番組の録画を見る時間が無い。放送から何週間も経った後にやっと番組が見れたりする。この番組も録画していたものを視聴。

日本での放送は1010日。日本文学者・ドナルド・キーンさんへのインタビューを交えながら、日本文学と共に歩いたキーンさんの人生を追う。


まず思ったこと。

谷崎潤一郎の『細雪』を読もう。

この番組を作ってくださったNHKさんに感謝いたします。いい番組でした。キーンさんは有名なお方なのでお名前は存じ上げておりましたが、お仕事の内容はほとんど知りませんでした。これほどまでに日本人の心を掘り下げて下さったお方だったとは…その事を知ることができてとても嬉しい。

ここはうだうだと私の番組への感想を書くよりも、心に響いたキーンさんのお言葉(ドラマ内の台詞も含む)を記録しておきたい。…キーンさんを演じた川平さん、素晴らしかったです。川平さんのスタジオ・パークの出演で番組の事を知りました。感謝。


特に心に残ったのは番組の最後。
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戦時中、谷崎潤一郎氏が月刊誌に『細雪』の連載をしていたところ、途中で出版社から
「…(戦時下に)好ましからぬ影響あるやを省み、この點遺憾に堪へず、ここに自粛的立場から、今後の掲載を中止いたしました。」
…と連載を中止されてしまう。その後も谷崎氏は疎開先で『細雪』の執筆を独自に続けていた。
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●そのことについて…キーンさん
『細雪』には日本人の伝統的な営みがゆったりとした調子で書かれています。それが、戦意を高揚させる文学ばかりが推奨される時代の空気とは合わなかった。それでも、日本文化の素晴らしさを『細雪』に書いたことこそが、谷崎先生の静かな抵抗だったのではないかと…。連載が中止されてもなお、谷崎先生は強い意志をもって『細雪』を書き続けたんです。
 
●ナレーション…いつの時代も私達は社会全体を巻き込む大きな渦の中で生きざるを得ない。その中でも淡々と自分の信じる道を進む日本人がいた。
 
●公演で…キーンさん
 谷崎先生が…伝え続けたメッセージ。それは「日本人の本当の美しい部分を忘れるべきではない」。時代に決して流されることなく、自分の信じる道を歩み続けた谷崎先生。その姿こそ、日本人の素晴らしい生き方として、私は皆様に知っていただきたいのです。
 
●インタビュアー・渡辺謙さん…日本人は大きな渦に流されやすいが…
 
●キーンさん
 (日本人は)皆そういう感じ。大きな(渦の中の)人達と一緒にいることを喜ぶ。谷崎先生の目的は「こういう文化のある国だった」とか、日本は(戦時中の)戦争戦争というようなところではなく「日本人には美しい音楽、美しい小説、美しい庭がある」と感じていた。そして彼(谷崎)は「もう以前のような日本はないかもしれない」(と考えて)それを記録して、未来の人が「これが本当の日本だった」とわかるように、谷崎先生は『細雪』を書いたと私は思う。
 
渡辺謙さん…世間の大きな渦に流されず、書いていたことに驚く…
 
●キーンさん
家族のこともある。いろいろ問題があるから、そう簡単に自分一人で立ち上がることはできない。本当に勇気があったと思う。多くの人が「私達は仕方がないから自分も(他の人と)同じことをやろう」と満足するのは良くない。ともかく、そういう人がいたことは日本の誇りだと思います。
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この谷崎潤一郎さんの『細雪』をめぐる話は、偶然なのだけど、先日感想を書いたスピルバーグ映画『Bridge of Spies』の主人公・ジェームス・ドノバン氏の生き方=スピルバーグ監督のメッセージにも似ていてはっとさせられる。
 
~周りに流されず淡々と自分の信じた正しい道を歩く。周りからのプレッシャーもあって困難でも、勇気を持ち強い意志で正しい道を進む~
 
 
戦後70年。現代の日本人は谷崎さんから見れば未来人なんだろう。その中のひとりである私も谷崎さんの書いた戦前の「本当の日本」を今とても知りたい思う。
 
海外に住んで長い時間が経てば、自分の中身が現実には何パーセント日本人らしいのかわからなくなることもある。昔の日本。戦前の日本。伝統的な日本…。『細雪』に描かれた日本は、実際には、おそらく戦前の数十年間の時代に限った日本らしさなのだろうとも思う。それでもそこにはその時代独自の美しさがあった。谷崎さんが未来の日本人のために残したかった「日本の姿」を、その当時に書かれた言葉で読んでみたいと思う。
 
ドナルド・キーンさんに感謝いたします。
 
 
 

2015年10月18日日曜日

映画『ブリッジ・オブ・スパイ/Bridge of Spies』(2015):Standing Man…スピルバーグ監督の良心






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Bridge of Spies2015年)/米/カラー
141分/監督:Steven Spielberg
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スピルバーグ印のスパイ映画?ドンパチやって派手なのかしら?オトコオトコした映画かしら?またトム・ハンクスか…などなど、スピルバーグというだけでいろいろと想像してしまいますが、実はこの映画、
とても地味。
味わいの地味映画。
いい話です。実話を感動の映画に仕上げる腕はさすがです。じっくりといい話(なぜいいのかは後述)。だけどとても地味。スピルバーグさんはもう派手なエンタメは撮らないのかな?
 
 
★あらすじ
 
冷戦下の1960年。アメリカ合衆国とソビエト連邦はお互いの核の威力を恐れ、それぞれの国にスパイを送り込む。米・ニューヨークではソ連のスパイ=ルドルフ・アベルが捕まった。また米がソ連に送り込んだスパイ機・U-2のパイロット=フランシス・ゲーリー・パワーズは、ソ連上空で追撃され捕虜となる。米でルドルフ・アベルを弁護していたジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)が、後にアベルとパワーズをベルリンのグリーニケ橋で交換してそれぞれ帰国させるまでの話。
 
実話を元に脚色しているそうです。元々の事件は「U-2撃墜事件」というらしい。かなり有名な話だそうで、Wikipediaにも概要が出ています。
 
旦那Aに「U-2撃墜事件」のおおまかな話を聞いて、それ以外はほとんど映画の予習をせず映画館に行き、「スピルバーグのスパイ映画」なら米空軍のパイロットの話かなと思っていたら、主人公は2人(+1人)の捕虜を救った弁護士のジェームス・ドノバン(トム・ハンクス)でした。、
 
この映画は派手なスパイ映画ではありません。周囲から反対され、命を狙われる危険を犯してでも決して信念を曲げず、正しいと信じる道を進む一人の男の話です。
 
テーマは人の倫理。真の英雄とは何か?
 
 
★ネタバレ注意
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「信じること、正しいことのためなら困難にぶつかっても己の信念を曲げない」
●ソ連のスパイの弁護
1960年頃の冷戦下のアメリカは共産主義に対してほぼヒステリーに近い反応が常。この映画でもソ連のスパイを裁く法廷では「共産のスパイなんて死刑にしろ」なんて野次も飛ぶ。そんな状況だから、弁護士ドノバンにとってソ連人の捕虜を弁護するということは世間を敵に回す事と同じ。敵国のスパイを弁護するというだけで非難を浴び、結果自らも、家族さえも危険に晒してしまう。それでも彼はソ連のスパイ=アベルを弁護し続ける。
3人の捕虜の交換を成功させる
数年後ドノバンは、ソ連で捕虜になった米空軍のパイロット=パワーズ、それに別件で東独の捕虜になったアメリカ人の学生を、米側の捕虜=自らが弁護したソ連人のアベルと交換する為、ベルリンまで行って両国それぞれと交渉。ソ連と東独の微妙な力関係の中、交渉は難航するが最後は無事3人の命を救う。3人はそれぞれ帰国することが出来た。
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おおまかな話はこれだけなんだけど、全体のトーンが非常に落ち着いていて、ハリウッド映画にありがちな華やかさはほぼ皆無。アメリカのスパイ機が打ち落とされる場面も派手なものではない。敵国に捕らえられた捕虜の苦難も無い。銃撃戦も無い。綺麗な女性も出てこない。一人の男が信念を曲げずに正しい事をする話を淡々と描く。

派手さがないかわりに人物達の描写は細やか。敵国に捕らえられているのに飄々として無表情なソ連人の捕虜アベル…弁護士ドノバンの目を通して次第に見えてくるのは、絵を描き音楽を好む穏やかなアベルの人柄。アベルの口癖「そのほうがいいか?(Would it help?)」もどこかユーモラス。二人の間にはいつしか静かな友情が芽生え始める。

映画の前半はアベルとドノバンの関係を描き、後半は両国の捕虜の交換のためにベルリンで奔走するドノバンの姿を追うことになるのだが、交換が成功した最後のドノバンとアベルの別れの場面はどこか悲しい。お互いを思いやる程の友情が生まれても、彼らが友人になることはない。二度と会うこともないだろう。二人の悲しい関係が映画の要にも思えてくる。


スピルバーグさんはおそらく世界一の監督。子供を撮っても、宇宙人を撮っても、怪獣を撮っても、戦争、大統領、ロボットもサメもトラックも…何の映画を撮ってもなにからなにまでうんざりするぐらい上手い。とんでもない巨人です。エンタメを撮らせたら世界一。感動のお涙頂戴も、びっくりさせられる冒険も、戦争のリアルな描写も世界一…どうしてこんなにすごいのだこの監督。

そんな監督が、こんな地味な映画を撮ったことは特筆に価する。

この映画を見て改めて思ったのは、スピルバーグさんは自己の「超有名大物映画監督」の立場から、若い世代に向けて現代の語り部になろうとしているのではないかということ。

監督はきっといい人物のいい話を語りたいと思っている。映画界で一番の腕と力を持つスピルバーグさんが映画を撮れば、必ず多くの人が見に来る。影響力は大きい。それなら、ただのエンタメではなく、人の心を動かすような「いい人物の話」をしようと監督は思っているのではないか。

観客の心をいい方向へ導くような人物達の話。彼らは弱者の味方であり、公正で、義のためには大きな敵にも立ち向かう勇気を持つ。個人の強い意志が歴史を変えることもあるかもしれない…この映画の主人公は、監督の前回の映画『リンカーン』とも似ている。困難にぶつかっても自己の信じる道を進む勇気ある人物達の話。

今回のドノバンは歴史上ほぼ無名。それでも彼のような真の英雄は存在する。


この話も、監督が望むならもっと派手な映画が撮れたはず。それをせずに「敵国のスパイも同じ人間であり友情も生まれ得る事」「政治的に弱者(学生捕虜)の命も、政治的にもっと重要な人物と同等に扱われるべきであること」を話の焦点に絞り、信念を持ってそれを静かに実行した男の話を語った。

映画が終わった直後、劇場の観客から拍手が起こった。私もそれまで淡々とスクリーンを見ていたのに、後ろから聞こえてきた拍手の音でふと涙が出そうになった。スピルバーグさんの意図は人々に伝わっているんだろうと思う。