能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

ラベル 日本のTV の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 日本のTV の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年5月13日木曜日

TBS系 『しあわせの記憶』・感想






TV Japanでの放送は今年の4月24日だったのだけれど、日本でのオリジナルの放送は2017年1月8日だったそうだ。


このドラマはケン・ワタナビを楽しむドラマ。やっぱケンさんはいい男だ。これだな。ケンさんは何をやっても異様にルックスがいい。脚も長くてスタイルもいい。さすがラストサムライ。あの映画からもう15年ぐらい経っているのにやっぱりかっこいい。

このドラマのケンさんは昭和のダメオヤジです。そうか…ケンさんが昭和のダメオヤジを演るのか。最初から最後までケンさんのカリスマとダメオヤジぶりににやにやする。キャラクターがほぼ(笑わせにこない)寅さんのようだ。


ネタバレ注意

それにしても渡辺謙さんは…ラストサムライのカリスマが凄すぎて、それに彼はもちろんハリウッド・スターにブロードウェイ・スターだし…、このようなコミカルなダメオヤジキャラはもうなさらないのかと思ってました。

ドラマが始まって数分で、パンツ一丁の身体にシーツを巻きつけて、うろたえたまま娘さんを追いかける様子に笑った。うわ~ダメオヤジ~。すご~い…笑。

その後もず~っとお呼びでないダメダメオヤジをケンさんがコミカルに演じていらっしゃいます。茶目っ気沢山。ああ…そうか…実際渡辺謙さんは、動画サイトなどでインタビューなどの様子を見ても、どうやら少しコミカルなお方みたいなのですよね。もしかしたらケンさん御本人はラストサムライの勝元というより茶目っ気たっぷりのオジサンなのかもしれない。

私はケンさんのファンなのかどうなのか…実は未だによくわからないのだけど…ケン・ワタナビが出てくると嬉しくなる。あの異様にいいルックスと大きな存在感/カリスマが…なんだろう…やっぱりエンタメなのだろうなあ…と思う。御本人の存在がエンタメ。見てるだけで楽しい。


ドラマはちょと設定が妙な話でした。長女・北川景子さんが会社社長。その妹・二階堂ふみさんがぽーっとして方向の定まらない女の子。そのお母さんが麻生祐未さん。 過去にいろいろとあって家を出てしまった(寅さんのような)ダメオヤジ・ケンさんが、家に帰ってきて…色んなものの綻びを修繕してくれるという話。

そのオヤジが綻びを修繕していく内容は、漫画調というのか…ユーモラスで、あまりリアリティはないけれど十分楽しい。ケンさんのお呼びじゃないダメオヤジぶりが面白くて…そこが見所。人をすぐどついたりはたいたり怒ったりする。迷惑ですねぇ~。しかし憎めないキャラだ。昭和のオヤジだ。白い猫を抱えてカリカリをあげる姿もかわいい。あの猫はカメラの前でよくあんなに度胸があるものだ。

というわけで、結局帰ってきたダメオヤジは、奥さんと娘さん達をそれぞれ誰かと結びつけて、そして家族は解散。だから(家族の)『しあわせの記憶』という話なのですけど。な~んだか妙な展開ですよね。

温かい家族の絆の話かと思ったら、結局みんなバラバラになっちまう。う~む…私はダメオヤジと奥さんに元に戻ってほしかった。十分うまくいきそうなのにね。しかし過去にいろいろとあると…元には戻れないものなのだろうか? そこは戻ってほしいなぁ。

だから最後は一人になったダメオヤジがちょっとかわいそうになった。これからこのオヤジはどうするのだろう?心配だわ。



2021年3月10日水曜日

TBS 『逃げるは恥だが役に立つガンバレ人類!新春スペシャル!! 』・感想



お正月に放送されたものをやっと拝見。日本での放送は1月2日。


あらすじ
家庭という仕事場の「共同経営者」である森山みくり(新垣結衣)と津崎平匡(星野 源)。共働きとなり、二人で家事の分配をしながら平和に暮らしていた。そこでみくりの妊娠が発覚。


これはこれは…とても野心的なドラマ。力作です。 

以前のテレビドラマのシリーズの雰囲気もキャラクター達もそのまま…その彼らの4年後を描く。 以前のドラマでみくりさんと平匡さんが議論を重ねて「現代の男女のあり方」を見せてくれたように、今回もお二人が「子供を持つこと」をめぐる様々な事柄を問題提議。てんこ盛りです。おまけに新型コロナまで襲ってきた。それらを全部まとめて綺麗に感動的に仕上げたドラマ。お見事。面白かった!

本当に様々な事柄が出てきて、それでも話がスムースに流れているのが見事。2時間の間にものすごい情報量。力技。ほぉーと何度も考えさせられた。そしてドラマとしても面白い。


今回のメインのお題は「親になること」。子供を持つことをめぐって2人の生活の変化、そして社会とのかかわり方等々、様々な事柄を問題提議。親になるとは? 私は自分の30代を「親になること」を経験せずに過ごしてしまったので、大変興味深く拝見。初めて知ることも多い。そしてこの話は「今の時代に親になる話」でもありますね。みくりさんのお母さん役の富田靖子さんを見て「これは…私の世代に孫が生まれる話なのだ」と少し妙な気持ちにもなった。 


ネタバレ注意

個人的に一番身を乗り出したのは、(夫婦が親になることをめぐっての)会社での働き方の問題。私は以前から日本の働き方…会社のあり方や、仕事に対する常識等々…会社や社会が人々に無理を強いている現状…が気になっているので、このドラマでそれを取り上げて正論を言っているのが嬉しかった。大きな拍手です。

女性が会社勤めをしていて、仕事のやりくりから妊娠をためらう状況説明
子供を持つのに順番待ちが必要。生みたいときに生めない。

そしてみくりさんが妊娠。夫婦二人が産休や育休を取る事が難しそうな状況での二人の言葉
子供って夫婦で、社会で育てるものですよね。
そもそも仕事を休めないって事自体が異常ですよね。

そこで「平匡さんが育休を取る事」へ文句を言う上司の灰原氏に、沼田氏が説教
なんで怒ってるの?原因は?
 ① 長く休みを取るから?
 ② 男が育休をとるから?
 ③ 男が長く育休をとるから?
それさ、育休だから嫌なの?他の理由だったら?例えば突然の事故。家族の病気の介護。自分自身の体調が崩れる場合もあるよね。いつ誰が長い休みをとるかなんてわからない。働いてるのは人間なんだから、そういうことでしょ。その時何が大事かって言ったら、誰が休んでも仕事は回る。帰ってこられる環境を普段から作っておくこと。それが職場におけるリスク管理。

ふおぉおおおっ素晴らしい!素晴らしいぞ!そうだ!そのとおり!いいですねぇ。そうそう。仕事のやり方の見直し。リスク管理ができているなら、誰もが育休を取れる状況にもなる。

そしてみくりさんと平匡さんは(現状では皆が遠慮して取りずらい)育休をしっかり「さも当然」と取って、会社で「育休を取る」前例を作るなどと言ってました。いいぞ。どんどんやって。

これはいい話。権利が認められているにもかかわらず、日本の働き方のスタンダードが…社員は有給休暇もろくに取れない。育休も取れない、…日頃から残業も当たり前、何事も社員が無理をすることが当たり前…なら、そのような日本の働き方の常識は変えていったほうがいい。ドラマで問題提議をしてくれることは素晴らしいと思う。大きな拍手。

こういうことは国民全体でじっくり話し合ったほうがいいと思う。NHKで様々な人々を呼んで討論をやらせるとか方法はありそう。こういうドラマが、皆が意識を変えていくきっかけになればいいと思う。もちろん個人的な意見です。


子供を持つことによるお二人の日常の変化も興味を持って拝見。みくりさんは身体が辛いし、また理解があって優しく真面目で頑張り屋の平匡さんはストレスで壊れそう。大変。そしてついに赤ちゃんが生まれて…二人でお世話をする様子は微笑ましい。幸せだ。いい夫婦です。

ロボホンが出てきたぞ。

男性はいかに父親になるか…平匡さんの気持ちの変化
最初は妊娠の報告にも塩対応。男性は実感がわかない。夫が「女性をサポートします」ではなく夫婦で「一緒に勉強して一緒に親になる」。平匡の父「男としてしっかりしろ」。理想の父親とは何だろう。平匡さんも不安。しかし誰にも相談できずに一人で溜め込んで苦しむ…「男らしくあらねば」それもまた呪いかも。

親になることは男性にとっても大きな変化。平匡さんは真面目で頑張り屋さんだから、全てのことにいっぱいいっぱいになっている。それに気付いたみくりさんが平匡さんを労わる。男女共に「初めて親になること」の不安の共有と理解。いい夫婦です。

そして2020年2月。赤ちゃんが生まれる。平匡さん「生物だ。生きてますね」←笑
いい表情をなさってます。特に新垣さんが優しい表情。赤ちゃんの魔法ですね。  


みくりと平匡の正式な結婚
な~んと…籍を入れていなかったのですね。事実婚だったのか。びっくりした。前のドラマの最後もそういう設定でしたっけ。子供が生まれることになって正式に結婚することになった。夫婦別姓の問題も話し合い。みくりさんが津崎を名乗ることに。婚姻届を出してすんなりと結婚。双方の両親は結婚式は?…とは言わなかったのかな。

百合ちゃん(伯母)
17歳年下の風見さんとは別れていた。理由は「どうしてこんなにしんどい。頑張れなかった」
そして彼女に子宮体癌が見つかって手術をすることに。諸々の事情から助けが呼べない。高校時代の友人に連絡を取ってきてもらう。独り身にももっと優しい社会を。

LGBT
百合の高校時代の女友達は女性が好き。彼女はずっと悩んだが現在は恋人と暮らす「今は自分を認められてるし、堂々と彼女とつきあうこともできた」

共に暮らす沼田と梅原「同性のパートナーは死に目に会えない」←なぜなら病室に家族しか入れない場合があるから。これ大切なポイント。これは問題の一例ですが、だから同性婚は正式に認められるべきなのですよ。現代社会の婚姻の意味とは(どのような性であれ)二人の人が共に寄り添い助け合って暮らし…それが家族として社会に認められること。同性婚を法制化するということは、彼/彼女らが正式に家族になるということ。というのも世の中には(上の例のように)正式な家族でなければ認められないことが多いからです。彼/彼女らが幸せに暮らす権利。これに反対する理由がわからない。皆が幸せになれる社会であってほしい。

そしてCOVID-19
2020年3月。二人で話し合って東京と千葉で別れて暮らすことにする。それが最善の方法だと結論を出した。みくりさんは実家へ避難。これは辛いですね。平匡さんは赤ちゃんに会えないのが辛い。みくりさんも東京に一人残った平匡さんを心配する。

そして5月過ぎ、再会。平匡さん「この子が出来たかもって言われた時からもっと楽しめばよかった。…こんなに近くにいられるんだから。おかえり」ハグ。よかったですね。


いい話だったので、内容を長々と記録しました。お題が盛りだくさんのすごいドラマ。お二人に赤ちゃんが生まれて様々な困難を乗り越えて、最後はハグしあえてよかった。

今の30代…(もしかしたら私の子供の世代かもしれない)若い方々のドラマを見てまた感動してしまった。時代は回って若い方々が新しい時代を作っていく。ポジティブなメッセージが素晴らしい。大きな拍手。

お二人はいい夫婦です。以前のドラマもよかったし、今回のスペシャルも素晴らしかった。お二人をまた見たい。見守りたい。応援したい。今後また数年後に、亜江ちゃんが大きくなって小さい弟なんかもいたりして…、みくりさんが30代半ば、平匡さん40代でパパとママをやっているのも見てみたい。シリーズ化するといいな。



2021年3月3日水曜日

NHK 正月時代劇『ライジング若冲 天才 かく覚醒せり』感想



お正月のドラマ。日本での放送は1月2日。こちらでも放送されたのだけれど今までそのままになっていた。今日やっと拝見。

これはアート教養の心をくすぐる楽しいドラマ。

とにかく伊藤若冲ですもの。
題材がいい。ドラマは楽しかったし、その後の紀行での情報もよかった。こういうドラマを見ると「ああ…いいものがあるよなぁ日本…」と思う。楽しいけれどちょっと寂しくもある。個人的に。

というのも「おそらく私が伊藤若冲の絵を見る機会なんてもうないだろう」と思わせられるから。たぶん。若冲の展覧会のためにわざわざ日本を訪ねることはないだろう。…ちょっと寂しい。

若冲の絵は過去に見た。
2006年に帰国して東京に住んでいたので、同年7月~8月の東京国立美術館でのプライスコレクション『若冲と江戸絵画』を見に行くことができた。それから同じ頃に宮内庁の三の丸尚蔵館での「動植綵絵」第4期の展示も見に行った。そんな展覧会のせいかメディアも若冲のことをよく取り上げていた。私も若冲の本をいくつか購入。15年ぐらい前のあの頃はちょっと若冲にはまっていた。 その時に、翌年の2007年に京都の相国寺で『若冲展』が開催される予定で「動植綵絵」30幅が総揃いすると聞いて、見に行くつもりでいた。今調べたら展示期間は2007年の5月13日から6月3日だったそう。結局その相国寺での『若冲展』は見に行けなかった。丁度その頃実家で父を亡くした。ばたばたしていて『若冲展』のことはすっかり忘れていた。無理をしてでも見に行けばよかった。見ておくべきだった。

若冲さんご本人のことはよく知らない。本は持っているけれど彼がどういうお方なのかは読まなかった。しかし絵はすごいと思う。本物を見たら…そのエネルギーは大変なもの。特に「動植綵絵」は普通じゃない。このドラマでも神気などと言っていたけれど、本当に絵のエネルギーがものすごい。みっちり鶏。みっちり生き物。気持ち悪いくらい。息が止まるような絵。ああいう絵はなかなかない。

劇中で「魂が見えた」「神気が見える」「躍動する魂の力」と言っていたけれど、まさにそんな感じ。若冲の台詞「生き物である以上、欲も愛もある。それを外界に気として放っとる。それを感じる事が出来たら絵に命を与えられる。」…そうですね。本当にそう。感じますよ。北斎のエネルギーもすごいけれど、若冲のエネルギーも大変なもの。いやー若冲はもっと見たかった。後悔後悔。しょうがないのだ…島でリタイアの身ですもん。

そういえば、このドラマで若冲の周りの人々のことも初めて知った。

大典顕常:江戸時代中期の禅僧、漢詩人。日本初の茶経への注釈書である茶経詳説を相国寺のもとで著す。伊藤若冲の支援者。書で漢詩をよくし京都禅林中最高の詩僧と称され生涯に70冊以上の書を著した。禅の高僧でもあり相国寺第113世。

売茶翁:江戸時代の黄檗宗の僧。煎茶の中興の祖。本名は柴山元昭。57歳で京にのぼる。61歳で東山に茶亭・通仙亭を開く。81歳で売茶業を廃業。

ドラマで描かれた話は史実を元にしているらしい。若冲は生涯独身だったそうだ。大典顕常と若冲がハグしたりする場面があったけれどそういうこと?あるのかもしれませんね。当時はハグなんてしなかっただろうけれど。売茶翁のこともWikipediaを読んでみた。このお方は面白い。もう少し調べてみようか。

円山応挙も出てました。
彼はリアルに上手い。しかし私は彼の絵を見ていない(追記:前述のプライスコレクションに出ていたみたい。図録にあった)。ネットや印刷物で見る彼の絵はあまり若冲のようにエネルギーが大きいようには見えないのだけれど、本物はどうだろう。応挙の絵も一度じっくり見てみたかった。応挙のことなんて日本を出てからネットで知りましたもん。以前は彼の情報を全く見かけなかった。どうしてだろう? 彼も15年ぐらい前から日本で流行りましたね。

なんだか色々と文化の心を刺激されるドラマでした。面白かったです。

日本にはいいアートがある。
私が知らないアーティストももっといるのだろう。



2021年2月22日月曜日

WOWOW 連続ドラマW『坂の途中の家』全6話







全6話。日本での放送はWOWOWの「連続ドラマW」枠で2019年4月27日から6月1日まで。主演は柴咲コウさん

原作は角田光代さん。本は読んでいない。ちょっと前にTV JAPANで放送されていたのを録画していた。全く前知識のないまま視聴。


3歳の子供を持つ専業主婦・山咲里沙子が「自分の子供を殺した母親・安藤水穂」を裁く裁判の補充裁判員となる。被告人・水穂に関わる人々の証言に触れ、里沙子は水穂の境遇に自分を重ね、水穂に感情移入していく。


苦しいドラマ。テーマは子育ての難しさだろうか。あまりにも大きく深刻。また私にとってはあまりにも遠い問題で感想を書くのも正直難しい。

私の視点…子供を持たなかった。子供を持てる時期も15年くらい前に終わっている。子供を持たなかったことを一時期悔やんだが、今現在そのことを後悔しているわけではない。子供のいない人生を受け入れている。現在身の回りにも子供がいない。日本を離れて外国人との結婚で価値観も変わり、海外生活が25年ほど経っていることから、日本での常識や、日本の母親が経験するプレッシャーもわかりづらい。今の時代は子育てに対する常識も昔とは違う。想像力を働かせてもずいぶん遠くからの視点でしか感想を書く事が出来ない。
ちなみに子供に関しては、昔実家にいた頃に子供に接する機会は多かった。だから小さい子供のことは多少はわかる。だからといって母親になることがどのようなことかは想像も難しいのだけれど。


深刻なテーマ。もし自分に子供がいたらもっと見につまされたのだろう。脚本も俳優さん達の演技も、演出も巧み。原作による問題提議もあまりにも深刻で唸らされる。

最初は1話だけ見て、その後1日1話ずつ見るつもりだったのに、2話から一気に6話まで連続で見てしまった。引き込まれた。

里沙子と水穂のストーリーを聞いていて「私がもし東京(近郊)で子育てをしたら、間違いなく彼女達のように追いつめられる」と思った。私もきっとこのドラマの女性達のように苦しんだと思う。辛い内容だがリアルで非常に質の高いドラマ。

それにしてもなぜ日本での子育てはそんなに難しくなったのだろう?


もし今の日本での子育てが難しいのだとしたら…。

元々真面目な日本人の気質がそうさせているのか?
人と自分を比べて人並み、普通であることを良しとする風習が母親を追いつめていないか?
男女平等を謳いながら実際には「子供は母親のもの」が今でもあたりまえだと思われていないか?
子供の父親は十分に子育てをしているのか?
社会は父親にも十分に子育てができる時間を与えているのか?
元々は西洋から入ってきた「正しい子供の育て方」が日本のお母さん達を苦しめていないか?
過去から時間をかけて解明されてきたはずの「正しい子育ての方法」が、実際には日本の今の母親達をがんじがらめに縛り付けていないか?



★ネタバレ注意

子役の文香ちゃんの役者さんが本当にリアル。うまい。あのグズる感じ、大人を試すように悪戯をする様子、そしてちょっと叱ればうわああああと所構わず泣き叫ぶ…ああそうだ。子供ってこうだった。うちの親戚の子供達もこんな感じだった。

私が昔見た45年くらい前の子供達は、兄弟姉妹が3人ぐらいいて周りにいとこも4、5人走り回っていて、皆ケオスのように騒がしかった。皆それぞれ彼らの父親や祖父に大声で怒鳴られていた。それでも誰もそれを虐待などとは言わなかった

私の世代の者が子育てをしていた20年ほど前、日本…東京での子育てはどんな感じだったのだろう? 里沙子が文香のグズりに我慢できず怒鳴りつける場面を見て、ああ私も間違いなく怒鳴ると思った。自分の子供が食べ物をつかんで投げ始めたらきっと大声を上げる。今ならきっとそんな私は虐待母だと言われるのだろう。しかしそんな怒り方をする母親は、昔はそれほど珍しくなかったと思うのだがどうだったろうか。


里沙子
主人公・里沙子の性格…自信がなさげ。多少神経質だろうか。しかし真面目なのだろう。義理の母に少し甘えればいいのに「だいじょうぶ」「できますから」といつも言っているが、要は義理の母に「口出しするな」と言っている。義理の母が親切心からくれたレシピをゴミ箱に捨てる。どうしてそこで意地を張る。彼女は苦しみを自分で作っているのではないか。
…そういう性格なのですよね彼女は。昔の私もたぶん同じような感じだった。辛いね。だから里沙子を見て、私も彼女のようになるかもしれないと思った。

夫婦の関係
このドラマを見ていて、まず一番最初に違和感を持ったのは夫・陽一郎と里沙子の関係。この夫婦の関係が最初からどうもおかしい。
夫・陽一郎は家に帰って来て「もう1本もらおうか」と里沙子にビールを要求。「ビールくらい自分で取りにこいよ」と私なら言う。その最初のシーンからおかしいなと思う。それから2話3話と続いていくにつれてますます酷くなってくる。次第にモラハラ夫だと明らかになる。ああやっぱり。クズだ。酷い言葉の数々「おかしくなってるんだよ」「意地を張るなよ」「大丈夫なの?」「気をつけなよ」「君おかしいんじゃないの?」「恥ずかしくないの?きみがおかしくなってるってキミが心配なんだよ」「君が被告人と同じようになるんじゃないかって…」。追いつめられる里沙子。そんなに言われたらあたりまえだ。俳優さんも見事。

方向転換
ちょっと神経質かもしれない里沙子。しかしたぶん悪いのは世間であり、明らかにモラハラ性格の夫であり、母であり…と話が進み、そこで児童福祉士が現れる。そこから話の方向が変わってくる。
「だいじょうぶだいじょうぶ」と繰り返していた里沙子、実は文香が小さかった時に産後鬱になっていた。過去に新生児訪問でも、文香のあれが足りない、これが普通じゃないと指摘され(たと思い込み)追いつめられていた。義母のアドバイス、乳幼児健診でよその赤ちゃんとの比較、目の前の泣き止まない赤ちゃん…様々な事柄が次第に里沙子を追いつめる。そしてその時期の事を里沙子は自分で記憶から消していた
5話で明らかになる里沙子の過去…夫が、義理の父母が、彼女の事を「病気ではないか」と心配するのはそんな過去もあったから。そして冒頭から繰り返される街の人々の証言は…安藤水穂のことではなく里沙子のことだった。驚いた。全てがひっくり返る。それで頭が頭の中がぐるっと一回転。 ドラマとしてうまい構成。びっくりした。

母親との関係
結局、里沙子の自信のなさ…自信がないから懸命に「正しい母親」であろうと自分を追いつめ、夫のモラハラにも気付くことができずに自分を責めてしまう性格は、母親との関係にあると出た。里沙子の母親は里沙子に自分の価値を押し付け、里沙子に「みっともない、かわいそう」と繰り返す。それがまた里沙子を追いつめる。母と娘の関係の歪み…これも現代にはよく出るお題。なるほどと頷く。


またストーリー中には、不妊治療を諦められない出版社の編集長・芳賀六実(裁判員)。仕事も子供も大切にしたいが夫が非協力的なことに悩む裁判官・松下朝子。妻からの要求に答えられないことに悩み同僚と不倫をする会社員・山田和貴(裁判員)…それぞれの話も絡めて、今の時代に子供を持つことの難しさを描く。


その後裁判が終わって丸く収まったようにドラマは終わるのだけれど、何も終わっていないのですよね、これ。 里沙子は子育てをリラックスできるようになったのか?夫・陽一郎は理解ある夫に変わったのか?里沙子と母親との関係も全く解決していないだろう。この先これからどうなるのだろう…問題提議を目的とした話なのだろうとぼんやりと考えて見終わった。


✻✻✻


このドラマを見て、ちょっと前に英国のドラマ『Breeders』を思い出した。

英ドラマ FX『Breeders』(2020) シーズン1:現代の子育て

英国のロンドンで夫婦が小さな子供2人を育てている。母親が優秀な女性で、途中から仕事でドイツに転勤。父親がロンドンに残って一人子育てをする。父親は気が短く、子供が泣き叫べばF-Word満載の大声で怒鳴り散らす。昔とは違ったイレギュラーな形の現代の子育て。いろいろと大変だけれど、それでも家族として騒がしく日々は過ぎていく…という子育てあるあるコメディだった。怒鳴り散らす父親を見て笑いながら「ああまぁそんなもんだよなぁ」などと気楽に見た。面白かった。

英国と日本。ロンドンと東京。子育てはそんなに違うのか?


もし今の日本の子育てが難しいのならどうすればいい? 

このドラマを見る限り、あまりにも多くの問題がありすぎてどうすればいいかわからない。難しい状況なのだと思う。その中で一番問題なのは時間だと思った。皆子育てをする時間が足りないのではないか。現在は核家族が殆どで、夫婦共に仕事をしている家庭が多い。それなら子育ては夫婦が共にやっていくしかない。夫婦が子育てに十分時間をかけられるように、社会が働き方を考えなおす事が必要なのかもしれない。もう個人個人の努力ではどうにもならない状態なのではないか。

会社での残業が当たり前なら、その社員である夫/父親が子育てをするのは難しいし、もしそれが妻/母親だったら彼女は子どもを生むことさえ難しいと思うかもしれない。男女ともに仕事を離れたプライベートの時間を十分持てるのであれば、子育ても少しは楽になるのではないか。

そして子育てにおいて夫婦が完全に平等であること。母親の苦労は、母親がママ友と子育ての苦労話をシェアし合えばとりあえず解決…などという気休めでうやむやにするのではなく、まず夫婦が話し合いに話し合いを重ねて共同で子育てをすることが世の中のスタンダードになることが必要なのだろうと思う。裁判官・松下朝子が非協力的な夫に「子育て二人で頑張ろうリスト」を渡していた。それぞれの家庭でああいう話し合いは必要だと思う。

そして夫婦のあり方。陽一郎の「もう1本もらおうか」の言葉の違和感…まずは夫婦が同じレベルにならなければ、子育ての問題も解決しない。実は日本はそれが一番難しいことなのかもしれない。

子供を持たぬ者が書くことなど的外れなのかもしれないと思うが、そんなことをず~っと考えながら見た。どうすればいいのかなとず~っと思い続けた。



2020年12月29日火曜日

日本テレビ 水曜ドラマ『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』最終話 無難にまとまった



蓼食う虫も好き好き
雨降って地固まる

だな。最終話まとまりましたねぇ。予想はしてた。やっぱり青に行くか。そうかそうか。そもそもそれがこのドラマの主旨だったのだろうなぁ。そうだな。

このドラマは、最初は軽~く見ていたのですよ。テキストで育む薄い愛。メッセージの相手が誰かわからないから探す…そして見つけてその人と間接的バーチャルな愛を育む話で(その割にはセフレなどびっくりな言葉が出てくるけれど)…イマドキの恋愛はどんなものかなと思って見てました。

それが第6話で大胆に告白!よし動いた。やったね。そこでぐっと面白くなる。

そこからは…このシャイで奥手の二人がどのようにお近づきになるのか…が見たくて真剣に見始めた。手を繋ぐだけのところからどうやってベタベタし始めるのかが楽しみになった。まぁそこですよね。興味があったのは。

ところが二人がちょっと仲良くなり始めた7話から「結婚」の言葉が出始めて…え、ちょっと早いぞ。そして8話には石野真子おばちゃんが出てきて迷走…いや…まだ手を繋いだだけで結婚はないでしょう…まずもうちょっとお近づきになってくださいよ。そして9話でまだハグもないまま、お近づきもないまま熱が冷めていく。あれれ…これは大丈夫か。

9話でいろいろと熱が落ちて…どうなるかと思ったら、最終10話でなんとか辻褄を合わせてハッピーエンド。うーん。そうか…やっぱりそっちなのか。 


うん…あれでいいのかもなぁ。とりあえずまとまった。そういう話ですもんね。不器用な二人のテキスト・バーチャル愛の話。しかし無難。

実は8話の最後のゴモジ君のシーンで、おっとこれはゴモジにチャンスがあるかと思ってしまったのだ。私は最後までゴモジくんに期待したのですよ。ゴモジくんならミミちゃんの気持ちを察して適度に動いてくれそう…べたべたしてくれそう。だって青ちゃんは進まないもんね。ワタクシの世代はテキストだけのバーチャル愛とか考えられないのですよ。もっとグッと来て欲しいのだわ生身の人間に、もっとベタベタしてくれなきゃー。というわけで、うだうだ喋るばかりの青ちゃんは難しいなと思ったのですよね。手をつなぐだけで結婚はないよなー。 


それにしても、このドラマは目の付け所が面白かった。今はバーチャルに育む愛もあるのかもしれませんよね。昔30年ぐらい前にはパソコン通信で知り合って結婚した知り合いがいたのですよ。だから今はSNSで育む愛もあるのかもしれません。

しかし私はそのあたりがこのドラマのオチだと思ったのですよね。最後はゴモジくんを選ぶのかと思ってた。バーチャル会話で理想ばかり言葉ばかりの青ちゃんではなくて、最後は「目を見てあなたが好きだと言い適度にベタベタ触ってくれる人間ゴモジ」をミミちゃんは選ぶ…それがドラマの意図だろうと思ったのですよ。ところがバーチャル愛の穏やかな青ちゃんを選んだ。うーんそうか。

青ちゃんのどこがいいのだろー。めんどくさいわ~。彼が真面目でいい人なのはわかるけれど…小さくこじんまりと自己完結型なのですよね。彼とはなんにも動かないぞぉおおおおおおそれは大問題。

しかしドラマとしては8話、9話のうまくいかない二人の感じがとても切実でよかったです。息を飲んで見ましたよ。ドキドキした。心揺さぶられた。すごく面白かった。恋愛のリアルに踏み込んですごく考えさせられました。いいドラマ。


全体に可愛い微笑ましいドラマでした。楽しかった。#バカップルもかわいい。本当にかわいい。キラキラしておかしくて楽しい。お菓子みたいな二人。それぞれかわいい。 富近先生と肇ちゃんの大人な二人も最高。ああいう大人のカップルのドラマはもっと見たいです。あの二人のドラマはすごくいい話。もっと掘り下げてほしかった。富近先生はいい女よ。 会社の社員もみんな和気あいあいとして楽しい。男性社員同士の会話がゲイの男の子達の会話みたいでそれも微笑ましかった。だれも悪い人がいないちょっと漫画っぽい設定もいい。全体にほのぼのかわいらしい平和なドラマ。ミミちゃんの心の声も面白かった。

まぁ結局メインの二人がべたべたしないからよかった…というのもあるのかもしれませんよね。私は二人にベタベタして欲しかったから見たのですけどね。 気配りと情熱の男ゴモジくんにも幸せになってほしいなぁ。 そしてワタナベ大/岬さんもいい。ああいう大雑把な人が一番楽かもしれませんよ。

結局はミミちゃんの好きを押し通したドラマ。蓼食う虫も好き好き、雨降って地固まる…ということでまとまりましたね。面白かったです。


2020年12月22日火曜日

日本テレビ 水曜ドラマ『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』第9話 人の複雑な心を描く



リモラブ

ん”~~~~ぅん~~~どうしてなの?この二人?なぜ?なぜ?なぜ?

さて#リモラブ、最終回を1話残した9話目。どうよ…。色んな色んなことが…宙に浮きましたねぇ。すごいな~最終回1話前でこんなに落とされる?ひ~。今すごーくうなってます。もちろんいい意味で。揺さぶられてる。動揺してる。これからどうなるんだろう?


でもこの悲しい展開に納得もできるのですよ。前回青林くんとミミ先生は双子みたい…などと書いたのですけど…。ぅん~~~~~~どうなんだろう。キャンプ(とは言ってもかなりセットアップされたキャンプなのね。アウトドア風ホテルのような…。キャンプと言えば山に行って自分でテントを張って火を起こすところからやるのかと思ってた。それに流星を見るのなら灯りを消さなきゃー。あんなに煌々と灯りが照っていたら星は見えませんぞ)。

まぁキャンプ云々はどうでもいいのですけど。だけどだけど…あんなに静かで、二人っきりで星を見て、外は寒くて、他に誰もいない…そんな状況で隣にお布団敷いて横になっても手も繋がないの? エエエエエエエエエエエエ…それは…

深刻 だわ。

なにが噛み合わないのだろう…この二人。

青林君が意気地なしなの? どうして? ミミ先生は準備OKなはずよ。じゃなきゃあんな真面目な女性が男性と二人っきりでキャンプ場にお泊りなどしませんもの。青林君どうしたのよ?

なんかね…二人とも隣に横になっているのになんにも無くて悶々としてる。その様子を見て、すご~く悲しくなった。ああ…この二人はたぶんだめだわ。本当にどうしちゃったんだろう?


お二人ともコミュニケーションが上手じゃないのですよね。

青林くんは内向的すぎて何を考えてるのかわからなくなる。それにいろいろと鈍感すぎる。彼もいろいろと葛藤はあるのだろうけれど。踏み込まなさすぎて人とリアルな関係が築けないのかな。彼は女性が積極的にリードしていかないと扉が開かないタイプの人かもしれませんね。もしそうだとしたら、ミミさんも(内気だから)結構無理をすることになるかも。

二人で遠慮しすぎてなにも進まない。ん~うなりますね。最後の会話を見て心揺さぶられてますよ今。なんとかならないのかなぁこの二人。


恋愛のケミストリーが動くには、人間二人、多少性格が違っていた方がスパイスが効いて動きやすいのかもしれませんね。凸凹の方がお互い補い合ったりする。慎重な青林君には、ぐいぐい引っ張ってくれる積極的な女の子のほうがいいし、同じように慎重で奥手のミミ先生には「俺について来い」とリードしてくれる男性がいいのかもしれません。

この二人は同じように不器用ですごくいいお友達になれるのに、恋愛の化学反応は起こりにくいのかも。お互い十分に好きなのだろうになぁ。でも双子みたいなんだろうな。結婚はそれでもいいんですけどね。しかし結婚するにはまず一歩踏み出さなければ…

しかし役者さん達がすごく上手くて、ほんとに…なんか心揺さぶられる。すごく悲しい。このうまくいかない二人を見て…ああ…なんとかならないかなぁ…と心から思った。


✻✻✻ 

キャンプ場のお布団でミミ先生が独り言を言うのですよ。隣に眠る青林君の横顔を見ながら、「なんだろう…なんだか…おかしい。絶対…なんか…言いたいこと?あるんじゃないかな。だって…こんなに近くにいるのに。すごく遠い…」…ああぁ心が沈んだわ~すごい脚本。

そして帰ってきた二人。ミミさんの家でぎこちない二人。青林君が深刻な顔。そこへミミさんに檸檬2/ゴモジ君からテキストメッセージ。青林君は、以前からミミさんがゴモジ君(なりすまし檸檬)と一時期デートしたこと、そして彼らがテキストをやりとりしていることを知って嫉妬していた…と言う。青林君は「キャンプ場で星を見ながらプロポーズをするつもりだったのに…言えなかった。いろんな事をこうしようねああしようね…と言うつもりだったのに…言えなかった」

それを聞くミミさんの顔がみるみる曇っていく「どうして今言うの?」あああああそのとおり。「どうして、並んで、星を見てるときに言ってくれなかったの? ふたご座流星群を、綺麗だねって、見上げたあの時間は、もう戻ってこないんだよ。どうして? 私だって言いたかった。ずっと…、ずっと言いたかった。結婚は、あなた以外考えられないって。言いたかったのに…。もういい。帰って。帰ってください…。」

✻✻✻ 


これは悲しいな。ほんとに。ミミさんもかわいそうだし。いや…ここで青林くんを責めるのもかわいそうだ。彼も一生懸命やってるのに。問題は彼の慎重すぎる内気すぎる性格。彼は「檸檬2?そんなのどうでもいいや」と言えない人なのね。自分の情熱で雑音を消せる人ではない。すごく小さいことも気になってしまう人

しかしそんな風に彼が小さい事を気にし過ぎるせいで…ミミさんはいちいち傷ついている。


そもそも彼は人とのコミュニケーションをどうしていいかわからないのかも。決定的に相手への想像力不足。しかし相手への想像力は相手への思いやりでもある。彼にはそれが欠けているのかも。それを自分でもわかっていて自信がないのかも。

ミミさんとの会話でもいつもおどおどしているように見える。ミミさんが決死の覚悟でハグして「しようよ…結婚しよう…帰らないで青ちゃん…」にも「ごめん」と返す。ミミさんは傷つく。…しかし彼が「ごめん」と言う理由は、自分が相手の心に気付かなかったからの「ごめん」。ベクトルが「相手の心に気付けなかった完璧じゃなかった自分」に向いている。彼の「ごめん」は自分に対する反省で「そんなダメな僕を許してね」の「ごめん」なのですよ。ミミさんの心を思いやった「ごめん」ではない。ベクトルが完全に自分に向いている。ミミさんの表情の変化とともに…本当にすごい脚本。

結果それでミミさんは傷つき、後で調子に乗りすぎたと反省し、恥ずかしいと嘆き、もう自分から結婚のことは言えないと嘆く。ストレスですね。

そういえば他にも、オフィスで朝鳴肇さんが青林君に「今年のクリスマスプレゼントはどうする?」と聞いたら青林くん「僕はサンタさんを信じてます」と返す。そして肇さんに「いやもらうんじゃなくて…青ちゃんがサンタになってミミ先生に何をあげるの?」と再度聞かれる。これもベクトルが自分に向いてる。青林くんは相手のことが想像できない人なのかも。人とのコミュニケーションで相手の気持ちが想像できない…それは大きな問題だし、それを彼も自覚していて悩んでいるのではないか。青林くんはいつも「ごめん」ばかり言ってるんですよね。

なんか…いろいろと考えさせられる。こんなに繊細に人の心を描くドラマ。すごいと思いますよほんとに。心揺さぶられてますもん。悲しいわ。うまくいかないもどかしい二人が。どうか幸せになって欲しいですよ。



ちなみに余談ですが…そんないろいろな問題を抱えた二人でも、いざ結婚すればほぼ上手くいくと思います。どんなに問題を抱えていても、お互いの弱点を認識して、お互いに歩み寄る努力が一緒に出来る二人であれば、結婚はうまくいく。いやむしろ結婚は「上手くいくはず」と期待して結婚するのではなく、「上手くいかせてみせる」とやる気を持って望むべし。結婚を成り立たせる努力が一緒にできる二人であれば、結婚は大丈夫です。それが結婚だと思う。そんな多少めんどくさい努力を二人が一緒に頑張れるためには、二人の間に十分な愛情や情熱が必要。だからベタベタすることも必要。もちろん個人的な意見。(…その「めんどくさい結婚を成り立たせる努力」が限界を超えて無理になった時に結婚が成り立たなくなる)。

だからミミさんと青林くんも、相手が本当に好きで、お互いに努力をしていけるのなら結婚は大丈夫だと思います。しかし人と人の関係や相性はそれぞれで、努力を必要としない楽な結婚もあれば、大きな努力を必要とする結婚もある。さて彼らが結婚したらどちらになるか。 



すごくいいドラマです。この回の青林くんとミミさん…二人のどうにもならないもどかしさは、きっとずーっと記憶に残ると思います。細やかな心を描いた脚本がすごい。人と人の関係のぎこちなさによくぞ踏み込んでくださいました。波瑠さんも松下さんもいい役者さん。本当にすごい。

いい雰囲気

それから富近先生と朝鳴肇さんの大人カップルにも、最終話一話前で大きな動きがあった。お二人はいい感じなのね。プレゼントのネックレスのシーンは自然で…中年カップル…胸キュンです。素敵。「今夜泊まってきなよ」をサラリと言う肇さん。それに「うん」と頷く富近先生。いいですねぇ。ああ彼らにも上手くいってほしい。ところが翌朝?保くんが急に「僕、新しいお母さんなんていらない」と言う。ぁあああああ…これもなぁ…。肇さんは富近先生とうまくいきそうなのに…。しかし肇さんはまず保君が一番なのですよね。ここもどうなるか。…保くんはもしかしたらお父さんの愛情が(自分を忘れて)富近先生に向かうんじゃないかと不安なのかも。だったら大丈夫。 


それから檸檬2/ゴモジ君。先週はゴモジゴモジと大騒ぎしたのに、ゴモジ君はあまりチャンスがなさそうです。なぜなら前回ゴモジ君があんなに熱い告白をしたのに、ミミ先生は全く影響を受けてないのですよ。な~んだやっぱり青林くんか…。
ゴモジ君は青林くんと違って人の心に気付ける人なのね。青林君との会話で「デートしていて、ミミ先生が無理してるな~とわかる ちゃんと気付いてあげてる?」と言ってました。

次回はゴモジも動きそうだ。今回の最後で朝寝ているところを元気のいいワタナベ大/岬さんに電話で起こされて、「会社がリストラしてミミさんがいなくなる」と聞いて覚醒してました。彼は動く。ミミさんに会えなくなりそうならゴモジは動く…と思うぞ。うんうん。期待しましょう。ほーんとにこの間宮君はかわいい。

あ、#バカップルは大丈夫。 

最終回が待ちきれない。こんなに心を動かされるとは。人の心を描いたドラマは面白い。この地は今日は火曜日ですが、日本は水曜日。最終回は日本の今晩だそうです! こちらの放送は来週の月曜日!楽しみに待ちましょう。




2020年12月15日火曜日

日本テレビ 水曜ドラマ『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』第8話 五文字逆襲っ!



うおーッ五文字大逆襲!うわ嗚呼あああああああああああああっ!
ゴモジゴモジゴモジ!うおおおおおおおおおっ!これはさぁ…ワタクシの個人的な好みなのだな。五文字君いいお顔。うわぁー濃いなぁ好き。

だから今回の最後のミミ先生と五文字君のシーンは大変でした。ひゃ~、もー五文字君がよくって参ったなーあはははは濃い。ねちっと色気。いいですねぇ。いけぇえええ左馬助突撃 するのだぁ~っ!


しかしこれはさー視聴者に対するチャレンジですよね。

青林君というのはイノセントないい人なのですよね。手を繋いで横になって一緒にうふふと笑って幸せだね…なとど言う平和な人。

ところが…彼はまだ手を繋いだだけなのに、もう父親に会わせるとか、実家を訪ねるとか、おまけに叔母さんまで出て来て…もう家族家族家族。結構強引。そしてそれが変だとも思ってないみたいなのですよ青林君は。ぇええええええ…ちょ…ちょっと待って。手を繋いだだけなのに結婚…て、ちょっと早すぎませんか。

しかし二人っきりならほのぼのいい雰囲気。まるで兄弟/姉妹のような二人。
しかし色気はない。


そこに今もミミ先生のことが好きな五文字君が攻撃してきた。

五文字君は直球のスキスキ攻撃がすごいのですよ。むわ~っと押せ押せでスキスキ情熱を押し付けてくる。それがね…なかなか素晴らしい。…うーん…わたしは五文字君の方がいいな。まずわかりやすいもの。大切にしてくれそうだし。

どうぞどうぞご遠慮なく


どちらがいいか…ですよね。ミミさんは青林君とこのまま結婚してもおそらく幸せなのだろうね。なんの問題もない。二人でほんとに双子みたいにわきあいあいと仲良くできそう。そうなのよね。結婚はそれでいいのだよな。確かに。

しかし青林君は…確かに優しいのだけれど…、どうも自分しか見えてないのではないかと思えてしまうところがあるのですよ。うーん。全部こうしようああしようとやる前にいちいち言葉にして、どうも理屈や理想のアイデアほうが相手への愛情より大きいのではないか。SNSも3回まで…とか言うし。結構理屈っぽい。 会話中の幼馴染のユキちゃんの話なんて突然ですごく一方的。ミミちゃんの心なんて考えてなさそう。叔母さんを突然自宅に連れてくるし。私なら怒るね。それに「今日も会いたいな~。どんどんめちゃくちゃ好きになってると思う」と叔母さんに言うのも…彼はそんな「理屈」を叔母さんに言葉で説明しているのですよ。ちょっとだいじょうぶかなぁと思う。彼は愛を感じてるのかしら? ミミちゃん十円禿げまでできて大丈夫か。

石野真子叔母さんが「違う」と言ってたのはそういうところなのかも。


五文字君はもっと情に訴えて直接的。そもそもまずミミ先生のことがずーっと好きなのですよね彼は。SNSのバーチャルキャラではない生身のミミ先生が好き。だから彼は感情も情熱も色気も表現がもう少し濃い。この人はミミさんを見るたびに一秒一秒「ミミ先生が好き。触りたい。ぎゅっとしたい。チューしたい」ってずーっと思っていそう。そしてあのお顔だもの。押されるよな~わたしなら…あの濃いお顔。顔がいい。 それに彼は相手の事を気遣ってくれそう。ミミさんのこともちゃんと見てるでしょう?


この二人のキャラの中で、ミミさんにとってどちらがいい人で、どちらが正しい人で、どちらが紙に書いたように平和な人かと言ったら、もちろん青林君なのだろう。しかし…それだけでいいのかな~と思ってしまった。とりあえずもう少し踏み込まないと。うーん…難しい問題ですよね。視聴者に対するチャレンジですよ。これは。

悩殺❤五文字


しかしミミ先生は、あんなに迫られたら五文字君に惹かれないかなぁ。ちょっとドキドキしてふらっとしないかなぁ。あのお顔だもの五文字君。ちょっと切ないのね、表情が。彼はそんなにミミさんが好きなのよねぇ。

…しかしこの時点で五文字君が実際いい人なのか、悪い人なのかも…あまりわからないのですよ。十分いい人だと思うのだけれど、過去には檸檬さんに成りすましたこともあるし、五文字君はただミミさんのことが熱烈に好きなこと以外よくわからない人なのですよね。相手への気遣いはできると思うのだけれど。


健全平和たぶん善人しかし理想に恋する理屈男を取るのか、好きだ好きだと押せ押せで迫ってくれる情熱(実は優しい)生身男を取るのか、難しくなってまいりました。それがこのドラマのポイントかもしれませんね。どちらがいいか?


しかしこれからもしミミ先生が青林君を捨てて五文字君の方に走ったら、ものすごく怒る女性視聴者は多いと思うのですよね。だからきっと青林君なのだろうけれど。

うん大事件  え?バカップルどうなった?


あとたった2話でどうなるんでしょう。ミミ先生がどちらも取らずに「私は一人がいいわ」なんて言ったら私はTVを蹴飛ばして怒るぜ。

最後の五文字劇場を記録
---------------------------------------------------
ミミ:これ(マスク)使ってください
五文字:いいえ。 近づくこと出来ない方がいい
ミミ:はい?
五文字:ミミ先生に
ミミ:え?
五文字:だから…そのー…。 今、僕、マスクしちゃうと、 ミミ先生に近づいちゃいますよ。❤ 近づいて、大丈夫?って、言っちゃう。 無理してないですかって、聞いちゃう。 距離、あったほうが、いいですよね。 それとも、マスクしてもいいですか?

…ミミちゃん下を向く。
…五文字がゆっくりと近づいてくる。
…五文字ミミちゃんをじっと見つめる。

---------------------------------------------------

ギャーやだーっもーっ!ワタクシこのシーンを見ていて、上のマークとところで思わず「やだ。やだ。やだっ」といちいち大声で叫んでしまったわ笑。机をばしばし叩くキャー。ははははははは。楽しいな。へへへははははは モリアガル…


2020年12月9日水曜日

日本テレビ 水曜ドラマ『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』第7話 奥手の二人にドキドキする不思議❤



これは…なんなのだ…すごくドキドキしました かわいい。かわいいよ。みんなかわいい。

さて前回は二人が思いきり壁ドンで「どうなのよっ」「すきです」などと確認し合ってびっくりしたのですが、さてそれからどうなった???


…すごく楽しいドラマ。ちょっと驚いてます。

だってこれ…いまどきの現代的な自立した自由な都会の女達のドラマ…例えば吉高由里子さんが主演の「タラレバ」とか「知らなくていいコト」とか…等々の近年のドラマとは正反対の女性が主人公じゃないですか。例えばそんな現代女のキャラは…何もしなくてもモテて男が寄ってきてよりどりみどり。ちょっとつまみ食いしてぽいっと捨ててすっきりして「やっぱり私ひとりがいいわー」などと言うようなキャラ

そんな現代女とは正反対…このドラマのミミ先生はびっくりするほど不器用で奥手。相手の青林君もそう。奥手すぎてお互い直接いけないからスマホでポチポチ会話するほうがしっくりくる二人。

ドラマを見始めたときは、うわースマホ間接恋愛?こりゃーどうなるかね?…と思いながら軽く見ていたのだけど、まー7話目でこんなに心動かされるとは

だって超不器用なお二人が亀のように一歩一歩確かめながら近づいていく…のがたまらなくかわいいかわいいかわいい…。きゅーんとしますわ…ほんと。


今回青林君が出張から帰ってきてミミ先生の家に来てからのシーンは…楽しい楽しい15分ふふふ。こんな奥手のお二人のぎこちない感じをよくまぁ繊細に演じられるものだと…俳優さんてすごいなぁ。

かわいいのね。中学生?高校生かな。かわいい。なんかこう…ケージの中に2匹のハムスターとかインコを入れて様子を見守る感じ。「だいじょうぶかなー?仲良くなるかなー?」と思う。楽しい。

そんな二人の一歩前進にドキドキする。不思議。…好きかなー?どうかなー?大丈夫かなー?…ぐらいの二人が初めて二人きりになって手を繋ぐ…それが一番ドキドキさせられる。ほんとよ。きゅんきゅんかわいいもんね。いいドラマ


★ネタバレ注意

ミミ先生の部屋で二人きり。ミミ先生、青林君の肩に控えめにそっと頭を寄せてドキドキ。青林「ミミ先生はイチャコラ嫌い情報」を思い出しいきなり飛び上がる。あああああっ。青林あちらで体育座り。遠くから見つめあい首を傾げる二人。おせっかい八木原が電話をしてきて助け舟。おおおおおおぅ。二人またまたぎこちなく小さいソファーに並んで座り…きゃー緊張するわ。ビールを飲む。無言。「あの…お話しませんか」うん。いいね。イチャコラ問題を説明して解決。いきなり青林「じゃあ」とミミ先生に覆いかぶさる「こういうのは?」おいおいおいおい。

そりゃーびっくりするわ

髪をなでる「OKです」肩を抱えて後ろハグ。おいおおいおい。青林慣れてるのか? ミミ先生が「あ」とか「え」とかドキドキ。私もドキドキする。心の声「この先にある濃厚接触」ぉおぉ「覚悟は出来てます」深刻やね。青林「僕と…」ミミ「ぁぁああああちょっと待ってください」おいーっ「僕と…」ミミ「頑張れあおばやし」「僕と…」 

「岩手に行きませんか」

え?

「僕の実家に行きませんか?」
えええええええっ?…それはイヤダ笑


そこから急に打ち解け始めたぞ。あれれ。青林君は手が大きい…顔が小さいのね。なんか打ち解けてきたぞ二人。あれれれれ…すごくうちとけてますよ。たのしそう。ベッドでカジュアルに横並びの二人。ミミ先生が青林を見つめ…
「濃厚接触しませんかって
       言われるかと思ってました」
まーっミミちゃん…この人は奥手なのか大胆なのかわからないですねぇ。青林「そいういうのは…けじめをつけてから」ほおおおぅ。なんか…二人とも横並びでかわいいな。打ち解けてきました。「ごもちゃん」とか言ってる…。

青林くん「男の人がみんな、濃厚接触することがゴールだと思ってるとしたら、そんなことないですよ」え?「少なくとも僕は」そうですか「手ぇ繋いで寝るだけでめっちゃ幸せだったりする」ほぉおおかわいいねぇ…まぁ…ゆっくりいこうか。この時のミミ先生がかわいい「そんな感じ」笑顔フフフ 二人仰向けで並び天井を見る

青林家に帰ると言う。ぇえ?ミミちゃん勇気を出して「青林さん、もう少しお話しませんか?」よく言った!またドキドキ…青ちゃんの憂いのある表情。ベッドの横に座りなおす「はい」「はい」 カワイイ

ベッドでだらだらお喋り。あ…すごく打ち解けてきた。すごくいい感じ。たのしそうやん。これはいい。そして沈黙。ミミちゃんドキドキ。そっと手を伸ばす。どうしようどうしよう。手が触る。…青林の長い指がしっかりとミミちゃんの手をぎゅっと握り返す。ヒャーッ!ヒャーッ!大興奮!ヒャーッ!ミミちゃんドキドキ。青林天井を見る。ミミちゃん嬉しいね。笑顔。あああかわいいなぁ。 

ドラ焼きの中身…うちとけてますねぇ。楽しそう。あれ…#今は手をつないで#寄り添うだけ。すやすや。幸せだな。うんうんいいですねぇ。かわいいぞ コノヤロー


Meanwhile…遊園地の八木原達「今頃ミミ先生たち…あんなことやこんなこと」「もーうるさいぞコノヤロー」「楽しいぞコノヤロー」#リアルを生きる#バカップル…あはははははは。この二人もいいスパイス。かわいいね。


そして次回予告
「#五文字の逆襲開始」
ぇぇええええええっ!
ぅおおおおおおおおおおおおっ!

予告でまた大声が出たわ。
だって私…最初五文字君の方がいいなぁと思ってたのね。

なんかいろいろと楽しいドラマ。心揺さぶられるわ。だってね…朝鳴/及川光博さん昭和オヤジの富近先生/江口のりこさんへの昭和バブルのバラの花束とかも…すっごく真っ直ぐに愛を伝えてるんですよね。いい話ですよ…いいじゃないですか…。みんなちゃんと気持ちを伝える。基本だ。すごくいい。それに照れて文句を言う富近先生もいい。

このドラマはみんないい人。みんなかわいい。楽しいドラマ。ふふふ



2020年11月25日水曜日

日本テレビ 水曜ドラマ『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』第6話 おいっおばちゃんは感激したぜ❤



いや~これは…びっくりしましたねぇ。これはこれは…素晴らしい素晴らしいっ。面白いわこのドラマ。興奮したわ。鼻息を荒くしたわっ。
おもしろいわ~このやろーっつんつん

第6話。 
★ネタバレ注意

まだ感想を書くつもりはなかったんですけど、いゃ~~~っこの回、ちょっと感激しちゃったので似顔絵を描かねばっ!


波瑠ちゃんっ、美々先生っ、よぉ~がんばったで、すごいやないですか~。感激したわ。あなたにそんな勇気があったとは。や…やるなぁ。よくやった。まーっほんとによくやったよくやった。大きな拍手。 

まず美々先生は、はっきりと言葉で青林君に想いを伝えたのですよ。「私とお付き合いしてください、おねがいします」と。おおおおお…えらい…えらいな。

そしたら青林くんが、どうしようどうしようどうしようとうにゃうにゃ言い始めて…、その青林君の肩を波瑠ちゃんがいきなりぐわっしと摑み、壁に投げ飛ばし 、押さえつけ

ぐっちゃぐちゃ言ってないで、
どうなのっ?!
はっきり…言ってよっ!




ぉっおおおおおおおおおおおっ!!!

すごいぜっ!すごいよ波瑠ちゃんっ笑 勇気あるな。急にどうしたんだよっ笑 

怖いぜっ。その、その強さはどこから出て来た????笑笑笑 

ひゃ~びっくりしたわ。いいっ!いいぞっ!思わず大きな拍手!パチパチパチパチ すんご~い。おもしろ~い。びっくりびっくりびっくりだわ。わはははははは

もうそのアップになった真っ赤に染まったお顔。怖い怖い怖い…笑 
これは名場面ですよ。モリアガル

そして追いつめられた青林君 
「すきです」 

そしていきなり場所を変わって今度は青林君が波瑠ちゃんを壁に押さえつける 。小さな声で「すきに決まってるじゃないですか」 


ほおおおおおおおおおおおおおお… 

いいですねぇ。おばちゃん嬉しくなっちゃったわ笑 もー。
だって最近のドラマで、ワタクシ何度も何度も

「いまどきのドラマは煮え切らねーからつまらねーっ」

などと文句を言っていたのです。とうとう。とうとう決着をつけてくれるドラマが現れたのね。面白いわ。嬉しいねぇ。波瑠ちゃんほんとうによく頑張ったわ。それにしても、あの内気な美々先生が…、よくあそこまで気合をいれられるものだ…と大変驚いた。 決死の覚悟ですね。えらいぞ。

そうやで。恋は盲目なんやで。ぶつかっていくんやぞ。うんうん
恋の恥はかき捨てだな。いいですね。面白い~❤❤❤



2020年11月17日火曜日

日本テレビ 『東京タラレバ娘2020』・感想



日本での放送は2020年10月7日


見ましたよ東京タラレバ娘2020年版

『東京タラレバ娘』と言えばワタクシ、2017年のオリジナルのドラマシリーズの感想で、散々文句を書いたのでした。今読み直したら…馬鹿女のよろめき…などと書いてますねぇ。ひどいなぁ。

日本テレビ 水曜ドラマ『東京タラレバ娘』全10回・感想      ---2017/3/30


それから3年後の2020年。タラレバ娘はどうなった?どう成長したのだ?興味津々。



私はこのドラマがこういう風にシリーズ化されるとは思っていなかったのですが、3年後の同じキャラクターを描くのであれば、もしかしたらこれは…東京版の『Sex and the City』みたいになるのかな…とも思ったんですよ。なるほどな。

確かにそれは面白い企画。東京の3人の女性達がこれからどのように人生を歩んでいくのか?…を描いてシリーズ化するならすごく面白いかも。

アメリカのドラマ『Sex and the City』は素晴らしかったのですよ。ふらふらしていた30代の女性達が様々な現実にぶつかって成長していく。最初は軽いドラマだったのに、いつの間にかリアルでシリアスな女性の成長を描くドラマに変化していった。面白かった。すごくいいドラマだったのです。それの東京版をやるのなら、きっと面白いものができるはず。


さて3年後、タラレバ娘はどうなった?

う~ん。踏み込みが足りないね。このドラマは元々漫画のシリーズなのだそう。そのせいですかね、3人の女の子達のキャラが、かなりしっかりと決まっていて、そのキャラの枠からストーリーが発展しにくいのかな…と思ってしまった。

人と人…男女の関係って、例えば25歳の時と33歳では違ってくるものじゃないですか。25でモテて人生楽しくて街を闊歩していた女性も、33歳になれば少し…現実を考え始めてしまう。30代半ばも近づいた女性達の日々には、楽しいばかりではないシリアスな場面も出てくるものではないか。

しかしながら、この漫画っぽい3人の女の子たちは、3年経って33歳になってもあまり変わっていないのですね。状況は確かに変わった。年も取った。しかしながら、彼女達の中身はあまり変化していない。

特に倫子ちゃん(吉高由里子)。全然変わってないな。


小雪(大島優子)は店を出した。環境と仕事を変えましたね。大きな変化。しかし…中身はどうか。33歳で、いい男性に出会えないからとデートアプリで出会いを求めたはいいが、いいかげんな振る舞い(初日に寝てしまう)で、いい出会いにはならずじまい。あれは男性の方がひきますね。相手と普通にデートを重ねて、まず友情と信頼を築いてから…という風にはできなかったのか?ただ寂しかっただけなのか?

香〈榮倉奈々〉は一番変化がありました。彼女はバンド君と別れて、再会した同級生と結婚。そして最後は妊娠。彼女も義理の母や旦那さんとの関係などいろいろとありましたが、彼女の前に進む姿には納得できる。これからまたいろいろでしょう。すごく自然な進歩。

さて倫子ちゃん(吉高由里子)。彼女が一番変わらなかった。もう全く進歩していない。3年前のドラマでも彼女が一番ふらふらしているように見えたのですが…やっぱり変わってないのかなぁ。確かに結婚式の当日に相手に逃げられるのはひどい話なのだけれど…。まぁ漫画ですね。あれは。



一番気になったのは3人とも女の子達の中身があまり変わっている描写がなかったこと。年齢に対する焦りもない。彼女達は今でも20代のように気持ちがお若い。

その上で見ていて特に違和感があったのは、彼女達3人とも男性との関係のあり方が、33歳になっても常に「相手に何かを求めるだけ」に見えてしまったこと。彼女達は、男性に対して要求ばかりしているように見えた。

彼女達は現代のプリンセスなのか。

それがオリジナルの漫画に描かれた今の東京(日本)の女性達の姿なのかもしれませんね。夢を求めて要求ばかりする女性が基本のキャラ設定のストーリーなのかも。

…ところで、3年前のドラマでは、小雪さんはちょっと違うかと思ったの。不倫ではあったけれど、彼女は相手の事を思いやる女性に見えた。しかし今回は…うーん…たぶん男性よりも自分のお店のほうに一生懸命だったのかもしれませんね。彼女はあまり恋人が欲しいようにも見えないです。


そんな「東京タラレバちょうだい娘」の要のキャラは倫子ちゃん。 倫子ちゃんは、今回は大変不運だったけれど(決めた結婚がだめになった)、そもそも彼女自身があまり変っていなかった…。

彼女が今までとりあえずデートした相手は…3年前の早坂さんも、もこみち君も、今回の図書館朝倉くんも、みーんな倫子ちゃんにかしずいてくれる男達。彼らは、倫子ちゃんが好きで、誠実で、親切で、彼女を助けてくれたり。彼らは倫子ちゃんに「いろいろなものをくれる男」。倫子ちゃんを大切にしてくれる男たち。しかしどうも倫子ちゃんは、そんな「与えてくれる男」は物足りないらしいのだね(図書館朝倉くんはちょっと番狂わせでしたけど)。

不思議ですね。彼女は男性に対して要求ばかりしているのに。


そして…、どうやら3年間ほったらかしにされた金髪KEYくん(坂口健太郎)が、まだ気になるらしい。なぜだ? そしてまた、3年間海外にいて全く連絡をしてこなかった金髪KEYくんも、まだ倫子ちゃんのことが気になるらしい。う~~~~ん…悩むね。

この二人、おそらく…こう…なんだろう…動物的にひかれるとか…そういうものなのだろうか?どうなの?そもそもこのお二人、一度は付き合ったんでしたっけ?

なぜこの二人はこんなに惹かれるのか?わからない。KEYくんが全く魅力的に描かれていないのですよこの脚本では。…顔を合わせれば喧嘩。いつもすかしてて口を開けば嫌味と失礼なことしか言わない。表情に愛情のかけらも見えない。二人には甘い化学反応もゼロ。 

倫子ちゃんが3年間も会っていないのにこの失礼でぶしつけな男に惹かれる理由は何?リアリティがゼロなんですよね。どうも納得できない。

しかしそういう…ただ外見が超絶対的に好みというだけで、女性がどうしようもなく男性に惹かれてしまうのは…せいぜい25歳ぐらいまでじゃないか? そこなのですよ。女性が33歳にもなって、まともな会話さえろくに出来ない男にそれほど惹かれる?


そしてこの2020年版の最後も、どうしようもないくらい煮え切らなかった。

今回倫子ちゃんの結婚がダメになったことで、二人に何かが始まるのかと思ったら、結局何も始まらなかったですね(また何も始まらないドラマ)。戸外で二人立ち尽くしたまんまで、うす~く最後にハグしただけで何の進展もなく、金髪くんはまた海外に行ってしまう。「待っててね」とも言わず、何の約束もせず、さようなら。 …「あんたに会いに帰ってくるよ、いってきます」…でまた3年間ほったらかし? 倫子ちゃんそれでいいのかよっ! 3年後は36歳だ。どうするのだ? リアリティ、ゼロ。もうそんな男忘れろっ。

金髪KEYくんは人として不誠実ではないか?「倫子ちゃんが好きだからこれから一緒に前を向いて歩いていこうよ」ではなく、「あんたに会いに帰ってくる、いってきます」…で、倫子ちゃんに何を期待しているのかな? それで倫子ちゃんが金髪くんのことを一生待っていると思っているのだろうか?  好きなら好き。付き合う気がないのならけじめをつけてくれないと女性は困る。こんな宙ぶらりんのままで33歳の女性を置き去りにするなんてかなり酷いと思いますよ。


結局、30代女性の成長を描くのではなく、3人の「キャピキャピ女子会キャラ」ありきで、漫画っぽくこのままずーっといくのだろう。せめて香さんがママになって、小雪さんがカフェのオーナーになったことで…よしとする。 倫子ちゃんは何も決められず、金髪くんにふりまわされて年だけ取りそうだ。

もうちょっと…東京の今の女性達はどう生きているのか…?を踏み込んで描いてくれれば、かなり面白いシリーズになると思うんですけどね。もったいない企画。

それでも3人の女の子達の元気な姿がまた見れてよかったです。
結構楽しめました。おばちゃんは心配だけど。みんながんばれよー。



2020年11月11日水曜日

NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」file: 456 空と大地と羊と共に〜羊飼い・酒井伸吾〜



日本でのオリジナルの放送は11月10日(火)

------------------------------------------------------------------------ 
北の大地に生きる羊飼い・酒井伸吾(49)。育てた羊のラム肉は洞爺湖サミットのメインディッシュを飾り、三つ星など名シェフたちからも絶賛される。羊毛も高品質ウールとして人気だ。極上の羊を生み出す酒井の口癖は、「羊と相談」「羊に聴く」「羊が教えてくれる」。遊牧民のような自給自足の暮らしを夢みて、まっさらな大地に自らの手で牧場を作り上げ、20年。北海道の美しい四季の中で、命と向き合う10か月の記録。
------------------------------------------------------------------------ 



北海道・白糠町の羊飼い・酒井伸吾さんの回。 

彼は哲学者だと思った。

人の生きる幸せとはなんだろう? それぞれの幸せの見つけ方とは。どういう姿勢で生きるのか…普遍的な、生きることに関する疑問。そういう抽象的なものを…私は(自分はなまけもので人生の半分も過ぎているのですけど)今もぼんやりとライフワークのように探しているのですが…。 

この番組内での酒井伸吾さんのお言葉に、その答えのヒントを感じた。大変貴重。大切。尊い。 …もちろんやり方はそれぞれ。しかし個人個人がそれぞれ自分の生き方を見つけるためのヒントが、酒井さんの言葉にたくさんあったと思った。ぜひ記録しておきたい。

それからこのお方は人として本当に大切なことをおっしゃってます。生まれてくること。命だとか、生きること、人が生きる原点、生きる喜び、学び、人生とは、幸せの基本とは…まるで哲学者のよう。お言葉を記録します。 


✻✻✻✻✻✻✻✻✻


羊に聞くのが一番。羊が教えてくれる。羊に相談しながら。

出産というのは命がけの、母親も子どもも命がけだし、それをリスクと言えばそうかもしれないけど、むしろ、それこそが動物を飼う本当の意味なんだと思うし。牧場の収入を増やそうだとか、生産性を上げて売り上げを伸ばそうだとかではなくて、目の前にある命と向き合って、それを何とか価値あるものにしていきたいというその一心。

命ってはかなくもあるけど 超強くもあり。生きる方向に転がり始めたら すごい勢いで生きようとする。死ぬ方向に転がり始めたら、それもまた同じようにすごい勢いで死ぬ方向に向かう。それを支えて、生きる方向に手助けしてあげる。ちょうど効果的にポンと押したときに、生きるって方向に生命が動き始めると、もう手が付けられないほど生きる。

羊がいるだけで、お肉はいろんな料理に加工されていくし、羊毛は衣服から絨毯とか、衣食住の全てを賄う魅力がすごいなって。

★26歳の時、(酒井さんは)羊と共に生きる遊牧民に会いにモンゴルへ渡った。自給自足の遊牧民と暮らすこと9ヶ月。これこそ自分の目指す生き方だと思った。

家族をもつこととか、農業をやって自ら食べるものをつくりだすこととか、衣食住の全てを作っていくとか、そういう生きることの原点がここにあって、目指すものがある中で、羊っていうのは、それを達成することにすごく近いものを提供してくれて、そこに学ぶ喜びがあって、作り出す力強さみたいなのを感じて、そこにはまっていって。

羊を飼えて幸せ。飼えることだけが純粋に幸せっていう時期だと思う、1年目2年目なんかは自分が夢の中で動いてるんじゃないかって思うくらいふわふわしてたし、わくわくしながらも、必死にやってた。

息子たちにも言っている。高校入る15歳から25歳くらいまでの経験というのが、結局人生で一番大きな経験で、そこでイメージした思いっていうのを 本当に現実のものとして達成するのが長い人生の全てで、あのころの思いっていうのは 青臭いかもしれないけど、大事にしないといけないぞ というのは子どもたちには言ってる。

自分が本気で羊に向き合って、羊を育てて、自分が良いと思うものを作っていくっていう、やっぱりそこの姿勢がすごく大事なんだってこと。自分の目の前にあるものを一生懸命やるということは、すごく大事なんだってことは羊が教えてくれたし、今はそうやって生きてる。頑張っていこうと。人間だから いろんな矛盾をはらみながらだけど、そこは発見したところかな。すごいなと思って。羊がね。

太陽に照らされて 土があって 自然があって 初めて自分の暮らしが成り立つんだっていうのは、すごく思い知らされる。羊のおかげでこういう幸せな暮らしをできているし、羊飼いであってよかったな

★プロフェッショナルとは 

羊飼いは 羊飼いとして 羊と共に 生きていく。命を頂くし 命を育むし そうやっていろんな自然との対話もするし 気候も違うし 状況も違うし そんな中でしなやかに生きる。そういうことだったと思う。生きる根源みたいな職業



2020年10月25日日曜日

NHK 土曜ドラマ『天使にリクエストを〜人生最後の願い〜』全5話・感想



日本での放送は2020年9月19日から10月17日まで。


今録画を見終わった。
これはいいドラマ。

最初に第1話を見た時は、タメぐちの小娘にガラの悪いおじさんのコンビでコメディかと思ってしまった。感想も江口さんが喧嘩が強そうでいいねぇ…などと書いたのですが、

こんなに心温まるドラマだったとは。深いテーマにもかかわらず重くなり過ぎず、人が人を思いやって助け合う優しいドラマでした。


元刑事の探偵・島田(江口洋介)が、資産家風の女性・佐藤和子(倍賞美津子)から、高齢の方々の「最後の願い」を叶えるための活動をして欲しいと依頼を受ける。助手・亜花里(上白石萌歌)と、看護師・寺本(志尊淳)とともにサイレントエンジェル号に乗って人々の願いを叶える。


テーマ音楽は珍しくジャズ。それぞれの回の最後に昭和の歌が歌われるのだけれど、それもまたいい。重いテーマを歌が包んで全体が温かくなる。最後第5話の全員が歌う場面で役者さん達が皆楽しそうでとてもよかった。ニヤニヤした。


★ネタバレ注意

1話「探偵挽歌」
 2話「捨て子ブルース」

わけあって息子を手放した幹枝(梶芽衣子)が、別れた息子に会いたいと依頼。
3話「貧民狂想曲」
誰かに自分を認めてもらいたかった元ホームレスの男・武村(塩見三省)。
4話「つみびと巡礼歌」 
島田の元妻・時恵(板谷由夏)の父・三井(山本學)と秩父の札所巡り。
5話「聖母バラッド」
明らかになる看護師・寺本と佐藤和子の関係。最後全員で歌を歌う姿がしみじみといい。 

いいドラマ。たった5話では短かすぎる。
人と人の繋がり、人と人が助け合うメッセージが素晴らしい。 


1+2話の最後、組長(六平直政)が一人、母の読んでいた「にあんちゃん」の文庫本を見つめる場面で思わず涙。これで名作決定。この話が一番好き。
3話は、爆弾がらみの話はなくてもいい。武村が一生をかけて小説を一人書き続け、それを誰かに認めてもらいたかった…という話だけでもよかったと思う。人に認めてもらって救われる…いい話だ。
4話は、難しい。子供の話は、まず主人公のバックグラウンドとして深刻すぎ。この4話での和解も、子供を亡くした母親の気持ちを思えばなかなか難しい。難しすぎる。たとえ年老いた父が望んでいても、二人が元に戻るのは無理かなぁと正直思った。 これはまだ結論が出ていないのだろう。
5話 島田が看護師・寺本を説得する場面。オヤジと若者のシーンに説得力。


江口洋介さんが素晴らしかった。高い額、眉間の皺の小さな動きでさまざまな心の動きが見える。一見いつも機嫌が悪そうなのに実は温かい心を持った優しいおじさん。くしゃくしゃにお顔を皺だらけにして泣く大きな演技よりも、細やかな表情の変化で心の動きが見えるのが素晴らしかった。江口さんは大きなお方。大きなお父さん。第5話で悩む寺本を父親のように諭す姿に説得力。江口さんは御本人が大きなお父さんなのだろうなぁと思う。いい男だ。

江口さんの「大きな男」の存在感がこのドラマの要。この強面の島田が「いかにも頼りになる男」であることで、老人の願いを叶えるストーリーにも説得力が出ましたね。


そして島田の「大きな父親」の姿もまたこのドラマの大きなテーマ。 記憶の中の島田と息子の楽しい会話のシーン。そして4話で明かされる助手・亜花里とのつながり。島田は亜花里にとっても父親のよう。島田の、いいお父さん、熱いオヤジの姿がいい。

第5話で島田は看護師・寺本にも父親のように接していた。「佐藤和子に自分が利用された」のではないか…と悩む寺本。彼は最初から「ありえないほどいい若者」でつかみどころがなかったのだけれど、和子との関係を知って悩む姿で彼の心が見えた。 

その悩む寺本を島田が説く
「人のためにやっているつもりが、結局は自分のためだった。だけどそれのどこがいけない。俺も亜花里もずっとそうだった。間違ったことばかりしてきた。その間違いを正そうとして、また間違った事をする。そんな人間は大勢いる。…いくつになっても人は間違えんだよ。けどその分、人の事を思えるようにもなる。人の事を思うことが、自分を思うことにも繋がるんだよ。それがこの活動を通じて俺が依頼人から教わったことだ。死を見つめることが生きることに繋がるようにな。」 

このような熱いオヤジと悩む若者のドラマって近年のドラマでは珍しいかも。久しぶりに大きな父親的な人物(人生の先輩)が若者を諭すドラマを見たと思った。 

それは世代の違う人と人の繋がりの話でもありますね。ちょっと考えさせられた。いまどきの若い人々が悩むのは、世の中で…話を聞いてくれる父親や人生の先輩の姿が見えにくくなっているからではないか? 社会の中で人と人の縦の関係が少なくなっているからではないのか?

近年のドラマの中年の男性は、コミカルでちょっとかわいい/かわいそうなオジサンキャラが多い…たぶん。この島田のような直球の、面倒見のいい熱いオヤジ的な人物は少ないのではないか。昔の父親的な大きな存在…島田のキャラクターの説得力は江口さんならではなのかもしれませんね。


人生の終わりにやりたいことを叶えてくれる…このドラマの軸は高齢化社会。シリーズ化してもっともっと沢山の話が出来そうだ。お年寄りの話…お年寄りの人生の話を聞くストーリーは、すごくいいドラマのシリーズになるのでは?

高齢化の進むこの時代…家族の(世代的な)縦の繋がりが薄くなったこの時代、祖父母の世代のお年寄り、そして50代60代の親の世代と、若者の世代…違う世代の人々の関係/繋がりを描くドラマはもっともっと必要なのかもしれませんね。考えさせられた。それぞれの役者さん達も素晴らしかったです。いいドラマでした。


2020年10月20日火曜日

NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・最終話感想



----------------------------------------------------------- 

★第5話

忍ハナ(三田佳子)は亡き夫、岩造(小野武彦)の気持ちを知り始める。見た目にこだわり、老いを遠ざけて生きてきた自分の年齢も思い知る。そんな矢先、街で森薫(余貴美子)と岩太郎(溝端淳平)の親子にばったり会ってしまう。死後離婚を宣言するハナに、岩太郎にも意外な感情が芽生え始めたようで、ある日、岩太郎から思わぬ申し出が…そして79歳を目前にしたハナのこれからが、大きく動き始める。

-----------------------------------------------------------


感想

最終話。この最終話でこのドラマは傑作だと思った。泣けた。

和解、許し…人と人の関係は様々。確かに夫・岩造はハナさんに酷い事をした。考えられないほど酷い事をした。それは間違いない。しかし人と人の関係は、必ずしも白と黒でくっきり二つに分けられるものではないですよね。人と人の関係は、白と黒よりも曖昧なグレーエリアのほうがずーっと多い。そしてそのグレーの色も時とともに変化していく。その緩いグレーエリアを受け入れることで、人はもっともっと穏やかに優しくなれるかもしれない。いいエンディング。気持ちのいいエンディング。

ハナさんのマンションでの…薫さんとハナさんの二人のシーンはお洒落で、台詞も洒落ていておとなで…フランス映画みたいだと思った。敵対するはずの二人がお互いを受け入れ始める。不思議なのだけれど…もしかしたらこういうこともあるのかもしれないと思わせられた。いい場面。これは予想していなかった。

そして岩太郎君とハナさんの関係。徐々に若い岩太郎君がハナさんを頼り始めて、ハナさんも戸惑いながら彼を受け入れる。そんなハナさんがとても素敵でかっこよかった。

人と人は…酷い理由があるのなら、憎み続ける関係もあるだろう。過去の全てを否定して憎しみを抱えて一生を生きていく人もいるのだろう。 しかしハナさんはそれをやめることにした。憎しみを抱えて同じ場所に立ち止まるよりも、事実を受け入れて前に進もうとしている。 由美さんの絵を見た時の表情で、ハナさんが岩造を許したと思った。そして不思議なことだけれど…きっとハナさんと薫さんと岩太郎君との関係も、これから穏やかに存在していくのかもしれないとも思った。 

ハナさんには素敵な家族がいる。
このドラマは人と人の繋がり…家族の話ですよね。


ここのところ、世間は人の不倫/不貞にとても厳しいのだけれど、そんな今の時代にこのドラマは変化球でした。例えばこのドラマが、夫に浮気された30代や40代の女性の話だとしたら…離婚、慰謝料請求で泥沼の話になったとしても…たぶん理解できる。 しかしハナさんは78歳。現在78歳の彼女が、(4話までの彼女のように)岩造の全てを否定+拒絶するのだとしたら…。 それは同時にハナさん御本人の幸せな思い出/家族の思い出も全て否定することになってしまう。自分の生きてきた人生を否定する…それはとても悲しいこと。ハナさんはそのことに気がついたのではないか。このドラマが最後にこういう穏やかな結末になったのは素晴らしいと思う。 人の生き方はそれぞれ。年齢によって状況によって…曖昧なグレーエリアを受け入れ、沢山の実存した思い出/幸せを抱き締める人生があってもいい。それが描かれているこのドラマは素晴らしかったです。美しい。


以前シャーロット・ランプリングが主演の映画『さざなみ/45 Years』(2015)を見て、夫の過去の秘密を許せない奥さんの話に私は違和感を覚えたのですが、このドラマのハナさんは心から素敵だと思いました。傑作。三田佳子さんがお綺麗でかわいくてかっこよくて…素晴らしかったです。素敵でした。内館牧子さんの原作もいつか読みたい。 

*****


薫さんが岩造と見に行くはずだった映画は『沈丁花』。思い出話。

雪男と和夫が居酒屋で。雪男正直 おやじの二重生活いまだに信じらんないんだけど」 和夫ニヤニヤ「なんなのかなそのエネルギー…二重生活って その生きる醍醐味があるのかな?」←こら。 雪男…おやじが おやじじゃないみたいっていうか。あの人 俺から遠のいたなって…

夜の静かな家。肩のツボ押しツールを使う苺さん。絵を描く由美さん。


ハナさんの家に突然電話をしてきた岩太郎。相談があると言う。断るハナ。


ロクちゃんから電話。明美が肺炎で亡くなった。
お葬式。ハナ人の一生って 儚いね」。嘘をついていた事を謝るロク「ハナは、パッとしない人生を送ってきた俺の ちっぽけな夢だったんだ」 ハナ夫にね 愛人と隠し子がいたんだ」 ロク「…へえ~、しかし 子どもまで こしらえたとは。で いくつ?」 ハナ35なのよ」 ロク若いね~。羨ましいな~愛人がだよね?」 ハナ息子がよ」 ロクえ~」←笑 このお二人も微笑ましい。


ロクちゃんに相談して、岩太郎君に会うことを決めたハナさん。なんと岩太郎は有名建築家の事務所を辞めてカンボジアで人助けをしようと思っていると言う。母薫になにかあったら話を聞いて欲しいと言う。ハナ冗談でしょ」 いつの間にかハナさんは岩太郎君にとって頼れるおばさんになってしまっているのね。ハナカンボジアのこと早くお母さんに言いなさい…子どもが危険な場所に行くなんて嫌に決まってる…でも 息子が決心したことならきっと受け止めてくれるから…あなたが旅立ったあとのことは…」となぜか打ち解けてしまう。


その数日後、薫さんがハナさんを訪ねてくる。不思議な状況。ハナ「うちの敷居またぐなって言いたいとこですけど、古くさいから やめた」←笑 薫は岩太郎がカンボジアのことをハナに先に相談したので訪ねてきたと言う。

岩太郎は 私の計画妊娠です」 うわーっ…。…沈黙。お…おんな…おんなの戦いだ…。「息子が忍様と会って、私のことを話してると思うと居ても立ってもいられなくなります」 ハナ夫を奪ったくせに、息子を奪われるのは嫌ってわけ?」 「…子供がいれば、1人でも生きる力になると思ったんです」
ハナ岩太郎さんとは別に何も。私は背中を押しただけ。自分で決めたことはちゃんと 実の母に伝えなさいって。私のとこに来たのは 結局あなたが大事だからよ」 「私 、岩太郎は ハナさんのぬくもりにじかに触れたんじゃないかと思ったんです…あの子にとっては思いも寄らなくて…その ぬくもりが心地よくて浸りたかった。そんな気がして…それは 私では作れないものでしたから。私 ハナさんが奥様で…岩兄が選んだ方で よかったと思ってます」 ハナあんた ずるくて 計算もできて、覚悟があって、 堂々としてて、かわいいのよ。悔しいけど」 ほんの少し笑顔。なんだか和んでますね、

ねえ あの掛け軸 どうした?どうせ持ってんでしょ。
ええ。
燃やしちゃいなさいよ。
はい。 帰ったら燃やしちゃいます。
さよなら。
見送らないよ。

二人とも少し笑顔。この二人の場面が本当に素晴らしかった。醜い対決のはずなのに、岩太郎君のことで結局打ち解けてる。すごいなぁ。この場面はフランス映画みたい。お二人ともお綺麗でね。


忍酒店。店の改装をすることに。ハナさんのアイデアで角打ち/立ち飲みコーナーを店内に作ると言う。ハナさんがそこのマダムになるそうだ「もう79よ。 今から新しいことやるなんて」


ハナのモノローグ「全く 冗談じゃないわよね。私なんて 人生の冬もいいとこ。これから新しいこと始めるなんて。でも 決めちゃったのよね。だから もう 実年齢なんて忘れて、人生の冬をせめて まだ 秋だって思いながら過ごしてみようかなあってさ。人生の終わりが いつ来るかなんて誰にも分からない」「だったら 最後まで、この人生を駆け抜けてやる。私らしく 思い切り。どうせ すぐ死ぬんだから」(岩造へ)「あんた どう思う?

お店に家族が集まる。泪割りがメニューに追加。お店の壁に由美さんの絵

岩造の肖像画。

それを見る花さんの表情。 穏やかに折り紙を見つめる岩造の絵。
ハナいい…
由美「私の 初めての人物画です」
ハナめちゃくちゃいい
ハナさん泣きそうな微笑
ハナ由美さん よく描けたね…
このシーンでちょっと泣いた。ハナさんの表情でうわーっと思う。いい絵。あああこれは予想できなかった。すごくいい話だ。

突然岩太郎が訪ねてくる。もうハナさんは頼りになるおば様になってます。わさびたっぷりの泪割を作って岩太郎君に。このシーンがまたいい。お二人とも自然。楽しそう。すごくいい。和んでます。お二人でほのぼの仲良く。

岩造のらくだの折り紙を取り出して
ハナあげる。ねえ…思いっきり やんなよ
岩太郎「はい」

最後岩太郎「ハナさん ありがとうございました」
ハナうん 元気でね
岩太郎「はい」
店の外で岩太郎を送り、店内に入っていくハナさん。エンドロールは越路吹雪さんの「ラストダンスは私に」。お洒落~すてき。余韻もいい。

これはいいドラマですよぉ。こういう展開になるとは予想していなかったです。しみじみといいドラマ。



NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・第4話感想



-----------------------------------------------------------

★第4話

ハナ(三田佳子)の前に現れた夫の隠17年前、ハナが配達中に自転車から転んで入院した時、夫の岩造(小野武彦)は岩太郎の大学の入学式に行っていたことを知る。認知も望まず生きてきた愛人親子の姿を知って、ハナは自分でも思いもよらない衝動にかられ、夫の愛人で医師の森薫(余貴美子)に会う決心をする。勝負服のハナの前で薫は…

-----------------------------------------------------------

感想

さてお話も佳境に入ってまいりました。ハナさんの戦いは続く。しかし今回の見所は…まず忍家餃子パーティーの日、会社のパーティーから帰ってきたほろ酔いの和夫さん(田中哲司)のコメディアンぶり。もぉー面白い。田中さん本当におもしろいわ。なんだか目立つお方ですよね。皆深刻な場面なのになぁ。
そしてその後、静かにラー油を小皿に注ぐ和夫さんもおかしい。

それからもう一つの見所は…もちろんハナさんが敵陣に乗り込んで敵を爆撃する場面。いやー胆がすわってますねぇ三田さん。「あんたぁ」の言い方がゴクドーのツマかと思いました。それで終わったのかと思ったら、今度はお正月の寄席で敵と再度ばったり出くわす。。それでまた敵の親子を撃沈。すごいな攻撃する女。この回までのハナさんは戦うオンナなのですね。強いわ。 


*****


突然訪ねてきた森岩太郎が帰ろうとしたところ、ほろ酔いの和夫(田中哲司)が帰ってくる笑。頭には赤い三角帽子。会社のクリスマスパーティーか。ここで和夫の一人芝居
岩太郎を紹介されて…和夫が急に満面の笑顔「…あ~っ…あ~っ…そういうこと!実に急展開だなぁ。岩太郎さんが餃子の会に招かれるなんて」 苺が困ってる。 和夫、ハナさんへ「さすがおかあさーん、度量と言うか…どんだけ心広いんか…っていうか…」 和夫、岩太郎へ「ここのクリスマス行事なんですよ。お父さんが餃子が好きで。おいしかったでしょ。あの…感じられました?お母さんの懐の深さ…」 止めるいずみに「いやいずみちゃん!おりゃ嬉しくってね!こういう平和的な方向に傾いた事がねぇ…普通はないよぉ。できないよぉ」 苺「できるわけないだろ!」ぎゃはは…このシーンの田中さん最高。おかしいおかしい爆笑ものです。上手いなぁ酔っ払い。もー空気よめないよめない。すんごいおかしいシーン。寅さんかと思ったわ笑 

皆を追い払ってハナさんが岩太郎と二人、店内で会話。岩造が持っていた彼の写真を見せる。岩太郎「僕の大学の入学式です。父が撮ってくれました。初めて入学式に来てくれたんです」…2003年のその日、ハナさんは骨折で入院していた…岩造「ごめんなおそくなって」。岩造はその日、ホテルで折り紙サークルの全国大会だったと嘘をついていた。その日のことをハナは覚えていた。岩造は背広を着ていた。岩太郎がその日の事を話す「(父の)ネクタイ姿始めて見ました。あの日両親が揃って笑ってたんです。それが恥ずかしくて…でも嬉しくて。…ではこれで失礼します。もうお会いすることはないと思います」 


居間。餃子パーティの続き…こまごまと働く和夫(ばつが悪いのね)。餃子を運び、小皿にお醤油やお酢を入れたりラー油を入れたり(垂れたネクタイを胸ポケットにしまって)、いずみちゃんにジュースをついだりしてる。この和夫/田中哲司さんの仕草のおかしさで、他の人の台詞が頭にはいってこない。田中さんすんごくおかしい。

結局パパが悪い
いづみイケメンが喋ると腹立たしさが半減するよね
雪男しない
その会話の間も和夫が控えめにラー油を小皿に入れようとしている笑。


ハナさんは掛け軸を相手につき返すと言う。返しに行くと言う。

ハナ…なんで私だけがこういう思いしなきゃなんないの?私の方が後ろめたいような。自分が来なさいよ、息子よこしてさぁ。卑怯者。顔見てやんなきゃおさまんないよ」それを受けて雪男わかった…俺も行く。なに…長男にまかしとけ
ハナ行くわよ。こっちは何にも恥ずかしくないんだから。正々堂々生きてんだから」 
いいぞ。ハナさんの赤いシャツがとても綺麗だ。


ハナ独白「ここは女の正念場だ。本妻の意地にかけて妾を粉砕してやらねば。妾がたとえ10歳若かろうが、岩造から何を聞いていようが、生の本妻は、妾の薄っぺらい想像を凌駕しなくてはならない」そしてハナさんはエステに行く。ネイルは赤。アクセサリーを選び。ドレスアップ。颯爽とコートを纏い…。←素晴らしい。綺麗。笑。ハナさん元気一杯。すごーい。ハナさん頑張れ! 

そして敵陣に雪男とともにのり込む


妾/森薫のクリニック。なんと薫さんと岩造が出会ったのは彼女が9歳、岩造が20歳の時。薫さんの兄が岩造の同級生だった。二人は親友だった。彼女は兄に呼ばれて東京に遊びに行き、それで岩造に出会った。岩造は小学生の薫さんを可愛がった。それから暫く疎遠になったのだが… 

再会は薫さんが24歳の時。薫さんの兄が病死。薫さんは医師になろうと上京。その時岩造が薫さんに電話をしてきた。徐々に深い関係に。彼女が妊娠してから岩造は経済的にも彼女を支援した。医師として仕事を始めてから岩造に借りたお金は返した。子供の認知を拒んだ理由は、医師として自立できると思ったから。

雪男せめて名前だけは自分でつけたいと言ったのですか?父は。岩造が岩太郎と名づけた。…二号のくせに父の申し出を受け入れたあなたはやはり母を馬鹿にしている」←雪男はまだ名前にこだわってる

掛け軸を返すハナ。思わず広げた掛け軸にコーヒーをぶちまけるハナさん。ふわーっすごいー 。ハナあんた、ずるいわ。さも日陰の身ですみたいなふりして本当は違うわよね。…あんた、認知よりもあたしに隠し通して、岩造との関係を続けるほうを選んだ。違う?息子の将来よりも自分がかわいいの。その健気なふりも全部岩造をつなぎとめるため。その きれいなお胸で岩造を抱くために」ひゃ~ハナさん…ゴクドーのツマみたい…。こわー。雪男さんもひいてますよお母さん。ハナさんは相当強いお方ですよ。 


帰ってきた家で。9歳の時に出会った!? 何それ。長っ!…映画? パパが映画の話 したことなんて ないよね?
ハナ私は 岩造が大学生の頃なんて知らないし、夏休みどうしてたかも知らない。一緒に映画なんて行ったこともないし、岩兄なんて呼んだことない。
苺、憤って苺を頬張る。
ハナ
本妻なんて言ったってね、岩造があの女の方が好きだって言ったらもう負けなんだよ。何を言ったって どう攻めたって、最初から勝負になってなかったんだよ。行ってみて それが分かった。ずっと秘密にしてて、それで逃げきった時点であの女 勝ってるんだから。今更 頭下げたって、痛くもかゆくもないよ」「あの女 二度と会わないと思ったら、聞きたかったこと 全然聞けてなかったな、…あなたは本妻の私のこと どう思ってた?…今も夫が好き?…夫は 私について何か言ってた?」 ちょっと負けたか…心がね。ハナさん落ち込むかも。


ロクちゃんから電話。ハナねえ ロクちゃん…今でも私のことが好き?」 ロク「当たり前だよ。 ハナは俺の初恋で俺にとって ハナはいつだって あのころのままだよ」 ハナロクちゃん 優しいね」これもさ…ハナさん、激しく敵と戦った後で自分も傷ついたのね。心細くなっちゃったんですよね。


雅彦とカフェで会話。雅彦「じいちゃんは本当に ひどいことしたと思う。だけど 俺…じいちゃんのことも嫌いになれないんだ。だからさ ばあちゃんが じいちゃんのこと怒ったままでいる姿、見るの つらいんだよね」そこで雅彦は死後離婚の話をもちかける。二人で市役所にいくのだけれど職員もコミカル。


ハナさんロクちゃんを訪ねる、独白「誰かに伝えたかった。ロクちゃん私も独り身になるよ」…なんとロクちゃんには家族があった!ひゃ~っ!


2020年1月。岩太郎「なぜあんな遺言残したんだろう?」母薫さんと寄席。そこでハナと孫二人とばったり出くわす。全員でお茶。

ハナ私… 岩造と 死後離婚いたします…岩造は 私にとっては人生を共に歩いた男です。いろいろ思い出がありました。でも あなたのことを知って思い出も色あせました…。…まともな人間ならもっと早くに身を引いてたはず。それを最後まで ずうずうしく居座って私の人生 破壊したんですから…。…私 あなたから学んだんですよ。死んだ相手に関わってる方が人生を無駄にするんだってね。

ハナさん、結構真剣に文句言ってます。かなりキツイ。いくら浮気をされた側でもこれだけ言えるのは本当に強いと思う。人が人と対峙して真正面から喧嘩するのは相当なストレスなのですよ。78歳でこれだけ言えるとは…ハナさんはすごくお元気で強い女性なのね。怒り爆発ですね。すごいわ。ゴクドーのツマ…みたい…。苺さんの喧嘩っ早さはハナさんゆずりですね。それにしても三田佳子さんはお美しい。


NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・第3話感想



-----------------------------------------------------------

★第3話

ハナ(三田佳子)に残された夫、岩造(小野武彦)の遺言に書かれていたのは見知らぬ女性と岩造の間に出来た子供の存在。そしてこの二人への相続品はただ一つ。岩造が毎日眺めて励みにしていた掛け軸だった。見知らぬ息子は35歳、通夜に来ていたイケメンらしい。35年にも渡る夫のもうひとつの生活に胸を掻きむしられるハナ。掛け軸を先方へ送り付け、そして夫に関する何もかも捨ててしまおうとするハナだが、そこに…

-----------------------------------------------------------

感想

この回のメインは家庭裁判所から帰って来てからの親子3人の会話。名前にこだわる長男・雪男。いきり立つ娘・。このしっかりものの娘苺/松下由樹さんがとてもおもしろい。 このシーンの会話は全体がやたらおかしいです。深刻な場面なはずなのに台詞がいちいちおかしい。


*****


家庭裁判所から、ハナは息子雪男と娘と共に自宅に帰って来るが落ち着かない。 遺言により、夫の相手の女性・森薫には掛け軸だけを送るように…とのこと。それで3人でいろいろと話し合う。

雪男:森薫は女だった。イケメンは女の息子かな? そいつが岩太郎? 俺の腹違いの弟? 
苺:似てもにつかない。
ハナ:それ…ママの遺伝子がいけなかったって言いたいの? 
ちがーうママは最高。この岩太郎って…本当にパパの子なのかな?パパが騙されてるってことも。 
ありえるよなー。オヤジ人はよかったし。
でしょー?
……燃え上がる苺(松下由樹)さんが面白い。
岩太郎35か…おやじが44の時の子。
森薫…ママの10歳若い…。ほんっと腹立つわ…36年前から私達を裏切ってたってことでしょ。
いや…一度だけ魔が差したのかも。出来心。 
なら…わざわざもう一つの家庭なんて言い方しないよ。家庭って言うんだからさー 
折り紙だの…そうやってアリバイつくってたのか…。 
つかさー俺なんてどうすりゃいい。俺長男だよ。雪男って書くんだよ。なのにオヤジ愛人の息子に岩の字つけてる。岩造の息子で岩太郎…。
……岩の名前にこだわる長男雪男が拗ねてます。それでハナさんが言う。
ねえ雪男、これだけは信じてね。パパは雪男が自慢だったよ…雪男が間違いなく忍家の跡取りだよ。
……さすがママ。しかしそれもコミカル。

腰の低い苺の夫・和夫(田中哲司)が帰ってくる。アイスを間違って買ってきて苺さんに叱られる。家の中の家族の様子が妙にリアルなドラマ。和夫さんは苺に頼まれて、弁護士に相談して…相手の女性を訴えることも出来ると言う。それで森薫の正体判明。森薫は医者。和夫さん「ちなみにお母さんより10歳年下です」…それ言わなくていいぞ。ハナさん憮然。 立派な人ねー。本当にこの人? 

国分寺の整形外科と、森薫のクリニックは同じビルに入っていた。岩造の8月の整形外科の診察券は…岩造が国分寺で森薫に会っていて転んだときのもの。

ハナさん ギブアップ。訴えなくていい。このこと全部忘れたい。死んだ人、憎みたくないし生きてる人と争いたくない。いい夫でいいパパだった岩造はもういなくなった。

急に食欲のわいたハナさん。ピザを頬張る。こんなに悲しい話なのになぜコミカルなのだ?でも確かに忘れたいですよね。もういろいろとめんどくさいわな。


折り紙の個展ももちろんキャンセル。絵を頼んだ息子の嫁・由美が泣く。ハナ「追悼個展なんか誰がやるか。抹殺だよ抹殺」落ち込む嫁。このお嫁さんは大変だわね。

落ち込む由美を見て娘・いづみ「あのさーわかるけどさー。おじいちゃんを全否定するのはやだよ。おばあちゃんがおじいちゃんを許せないのはしょうがないよ。だけど私にとっておじいちゃんはやっぱり優しかったしママだっておじいちゃんのこと結構好きだったでしょ」それも本当ですよね。


商店街の友人達の「やさしい」言葉もつらい。彼女達は何も知らない。気丈に振舞うハナさん。家に帰って来てから岩造の折り紙を抹殺。全部ゴミ袋…バスタブに入れて水をかけて踏みつける。けっこうシビア。ああ…でもそれわかるわ。流れたインクが顔についた状態で宅配便を受け取る。変なおばちゃんになってるぞ。

宅配で受け取ったのは雑誌。なんとハナさん、お洒落だから街スナップでファッション誌に載ってたのね。そして岩造に文句「あんた…びくびくして暮らしてたのかね。寿命も縮むわけだよ。これから(折り紙も)順番に捨てていくからねハナさんすごく元気がいいんですよ。すごく怒ってるけどお元気なの。それもコミカル。それに三田佳子さんが怒ってるのにやっぱり魅力的なのですよ。声かな~やっぱり女性らしくてお綺麗


友人・明美(日色ともゑ)から電話。雅江(高田敏江)が認知症を発症したらしい。明美とロクちゃん(小松政夫)と3人で雅江を訪ねる。彼等は15歳の頃からの友人だそうだ。同級生で皆78歳。雅江さんの息子さんの最後の暗い表情が細かい演出。
明美はフラダンスを始めたそうだ「もう思い残す事が無いようにしようと思って」。ロクちゃん「人生を80年とすると…睡眠が27年、食事が10年、トイレが5年、差し引いて38年。結構短い」明美「だからあたしやりたことは全部やるの。お金も全部使う。人生最後まで満喫した方が得でしょ」ハナ「すごいじゃない明美。私達恵まれてるほうかもね」 明美「ハナ、同期会のときいじわる言ってごめんね」



マンションに送ってくれたロクちゃんは家にあがらない。告白?
ハナ:ありがと
ロク:立ち直ったらいつでも連絡してよ。俺は一人だから。最近考えてる。墓じまいしようかと思って 
ハナ:あたしもしたい、墓じまい
ロク:旦那さん待ってるだろ
ハナ:あのお墓入りたくない。無縁墓でいい。今まで十分尽くしたんだし。同じ墓だと死んだ後も尽くすみたいでしょ
ロク:もし…ハナが無縁墓に入るなら俺、一緒でもいいよ。じゃ帰るわ
ハナ:送ってくれてありがとう


雪男の忍酒店。訪ねてきたハナに孫の忍雅彦俺もう、爺ちゃんの孫だとは思ってないから。ばあちゃん一人の孫だから」 ハナ「後でおこづかいあげるね」ハナさんうれしいよね。


女性達…ハナ、苺、由美、いづみが皆で餃子づくり。すごく楽しそう。家族みんなでの食事風景。

苺:けどよかった…密かに心配してたからさ。ママがセルフネグレクトになったらどうしようかって。…人は生きていく意欲がなくなるとそこに向かっちゃうんだって…
ハナ:そんなの…なんないよ。ママはもうパパのことなんかどうだっていいんだもん 
苺:なんだか皮肉だけどさ…ママを地獄のふちから救ったのは愛人と息子かもね 
雪男:それは考え方だろ。地獄の煮え湯を飲ませたのは向こうなんだ 
ハナ:とにかくあんな人達のせいで落ち込んでる時間がもったいないしね、どうせすぐ死ぬんだから。くいなんか絶対残したくない
餃子がおいしそう。わきあいあい。ピンポン!イケメンが来た!

店先にイケメン森岩太郎(溝端淳平)。掛け軸を返しに訪ねてきた。しんみり。岩太郎はお線香をあげて…。岩太郎「母と私のことでは皆様に大変ご心労をおかけいたしました。申し訳なく思っております」
じゃあ掛け軸を返すってどういうこと?
雪男忍岩造の長男、雪男です。私達家族は森様親子と親しくさせていく気はございませんし…」おっと雪男、立派ですよ。

森さんはあまり掛け軸に思い入れがなかったらしい。それで返しに来たらしい。

あの…ちょっといいですか?あなた本当にうちの父の子供ですか?」笑 苺さんはっきりしてますね。結局森岩太郎さんは大変立派な若者だったのね。ほぼ非の打ち所がない。立派な青年。現在は有名な建築家の働いているそうだ。結局ハナさんは掛け軸を預かることにした。



NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・第2話感想



前回書いた第2話の感想(というよりも期待を込めた助走)から、残りの3話分を拝見しました。最後ちょっと泣いた。これ傑作ドラマじゃないですか。素晴らしかったです。大好きなドラマ。三田佳子さん素晴らしかったです。

全体のまとめの感想文を書こうとして、また2話から見直していたのだけれど、あまりにもそれぞれの台詞が素晴らしいので1話ずつ感想を書こうと思った。気になる台詞も記録したい。

私は第1話を見逃しているのだけれど、どうやら第1話は、とても仲の良いご夫婦・忍岩造(小野武彦)とハナ(三田佳子)の様子を描いた話だったらしいです。

-----------------------------------------------------------

★第1話 NHK公式サイトのあらすじから

78歳のハナ(三田佳子)は夫、岩造(小野武彦)と営んでいた酒店を息子に譲り、近所のマンションで隠居生活をしている。人間60以上になったら実年齢に見られない努力をするべきだ、という信条を持つハナは美しさと若さを保ち、10年ぶりの同期会でもひとり鼻高々だ。折り紙だけが趣味の岩造は「ハナと結婚してよかった」が口癖。優しい夫や子供や孫にも囲まれ、まあまあ幸せな老後だと思っていた矢先、岩造が突然…

…旦那さんの忍岩造が1話の最後で急にお亡くなりになる。それからのお話…

-----------------------------------------------------------

★第2話

78歳の忍(おし)ハナ(三田佳子)は夫、岩造(小野武彦)を突然亡くし、葬儀を終えた後は呆然自失で自慢の外見を気にする気力もない。だが、折り紙だけが趣味だった夫のために個展を開こうと奮起。遺品となった折り紙を整理すると、自宅から遠く離れた外科の診察券と一枚の写真を見つける。日付の書かれた写真は若い男のもので、そのイケメンはお通夜に来ていたと、孫のいずみが覚えていた。ハナにはなんの手掛かりもなく…

-----------------------------------------------------------

感想

リアルです。リアルな家族の姿。慌しいお葬式。気丈に振舞うハナさん。細々と世話を焼く娘婿・黒井和夫(田中哲司)…あ、田中さんがいる。

お葬式が終わってからハナさんは暫く息子の家族の家に暮らした。そして自宅のマンションに帰ってくる。ドアの前に立って直ぐに中に入らない。まるで夫がいない家に帰りたくないかのように。寂しいね。そしてベランダに出て、鉢植えの中に夫の残したらくだの折り紙を見つけて泣く。ああ…ほんとうにこういう感じだと思う。すごく悲しい。

1ヵ月後に友人のロクちゃん(小松政夫)から電話。ロクちゃんが優しい。「一人でいて喋らないから言葉が出てこない、生きてるのも億劫」 夫の折り紙グループ展を思い出し、翌日ロクちゃんと会う約束をする。

翌日夫のグループ展に出かける。実は夫が創立した折り紙グループのメンバーは夫のことを慕っていなかったと知る。また悲しい。ロクちゃんに会って、夫は「要らない人だった」と告げる。「折り紙だけが趣味の人」 ロクちゃんが優しい。彼のアイデアで夫の折り紙の個展をやることを思いつく。ハナさん、すぐに元気になる。やる気。ロクちゃんいい人です。

息子・雪男の家へ。個展の計画。落ち込みやすい嫁・由美(安藤玉恵)に絵を依頼。肖像画は?折り紙の絵? 嫁もやる気。

家で遺品整理。娘・苺(松下由樹)と孫・いづみ(中田青渚)。 葬儀の名簿に連絡先のない「森薫」の名前。いづみが葬儀で会った「森薫」はイケメン青年。その「森薫」の写真を岩造の財布から発見。写真の日付は2003年のハナが骨折した日。皆で岩造の折り紙の生徒さんだろうかと話す。また国分寺の整形外科の診察カードも出てくる。夫はそこで8月に診察されていた。その日夫は新橋に行っていたはず。秘密? 気になる。

ハナが国分寺の整形外科を訪ねる。ハナさんはずいぶん元気がいい。おしゃれなのね。医師に夫の事を尋ねる。夫は転んで頭を打ったとのこと。

息子・雪男が岩造の遺言書を発見。驚き。雪男と苺と共に家庭裁判所に出向く。
遺言で遺言執行人と指定された雪男が一瞬うろたえるが、「まかされた」と言われ嬉しそう
そして…
「第5条 森岩太郎は遺言者忍岩造と森薫との子である
弁護士が一旦咳をして「えーと…」と言いにくそうだ。3人とも無言。
森薫?
淡々と遺言書を読み上げる弁護士。

ここから急にコミカルに…

しっかり者の苺「森薫さんはイケメンですか?
弁護士「え…と…女性ですね…。忍岩造さんとの間に息子さんをもうけて…認知はされていませんが…」
3人の表情がバラバラ。口をOに開けたまま驚くハナ。思わず自分の手を見る苺。目が泳ぐ。女性二人をすがるように見る雪男。
ハナ「その女性は掛け軸を?」驚くハナ
そこに被さる岩造の映像「俺、ハナと結婚して本当よかった」←秀逸編集

苺「付言?…感謝?…」 画面の左、画面で半分切られたハナさんの驚く表情。

付言には「自分にもう一つの家庭があったこと、本当に申し訳なく、どれほど驚かせ悲しませているかと思います。心から謝ると同時に、どうかみんな手を携えて仲良く暮らしてくれる事を願っています。…自分は許されない事をしました。しかしハナとの人生は嘘偽りなく楽しく幸せなものでした」 

裁判所の廊下でハナさん「うそつきめ~!」


すごいな~。すごい話ですよこれ。こんな話普通はないと思う。しかしずいぶんドラマチックな…。優しい夫にもう成人した子供がいた。びっくりびっくりびっくりですよ~。それなのに、演出が…台詞が…コミカルなのがいい。もうしっかり心つかまれた。

最初のハナさんの寂しさがリアル。ロクちゃんの優しさもいい。家族がいて…これ家族の話なんですよね。個展のアイデアでハナさんの気持ちが上がる。そして森薫…遺言書…と気持ちが休まらないですね。



2020年9月21日月曜日

NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・第2話の印象



日本での放送は2020年8月23日から9月20日まで。


こちらでは現在放送中。第1話を見逃してしまった。それで第2話から拝見。早速面白い。 

まず三田佳子さんがやっぱりすごい女優さんだと思います。三田さんは先日見た『凪のお暇』であらためてすごい女優さんだと再確認。作品によって全く印象の変わる女優さん。私は彼女の作品をあまり拝見していないのですけど、機会があったら過去の作品も沢山見たい。そんな女優さん。 

だから彼女を拝見できるだけでも嬉しいのですよ。このドラマも最初から見ようと思っていたのに~。 


それにしてもこのお話は第1話が鍵ですね。いかに旦那さんと仲が良かったか…というのを第1話で見たからこそ、2話からの話の展開が面白くなる。この2話の最後はびっくりです。現実にはありそうでなかなかないと思うけれどドラマなら面白い。これはしっかり心を摑まれますね。 

昭和の向田邦子×久世光彦のドラマ的なやつかな。お父さんの秘密…というやつですか。面白いです。びっくり。さすがだわ。これは楽しみ。 

どこかで第1話見れないかなぁ。


NHK 土曜ドラマ『天使にリクエストを』全5話・第1話感想



日本での放送は9月19日スタート。

今録画を見た。早速簡単な感想を書いておこう。 

江口さんは喧嘩が上手い。



まずそこだな。金属バットを振り回して怒鳴るシーンに痺れた。パンチもよく決まるね。素敵。やっぱ怒る中年オヤジはいい。江口洋介さんはほぼ同世代。彼は30年ぐらい前の20代も大変エエ男でしたけど、今もいい男。大柄で怖いもんね。怒鳴りながらバット振り回すのもさまになる。いいと思いますよ。後でやられてたけど。

男性の暴力性は普通の日常生活には全く必要ないと思うのですけど、エンタメの世界ではあってもいいと思います。それは…ワタクシが昭和の女だからだと思います。グダグダ言わずに喧嘩の強そうな男はやっぱりかっこいいいわ。最近は男性が大声でヒステリックに怒鳴るドラマが多いじゃないですか。全然いいと思わないのよ。ギャーギャーうるさいもの。(あくまでもエンタメとしてなら)男は声の大きさよりも腕力の方がいい。 

まー江口さんは喧嘩が強そーだ。面白い。ニヤニヤして見た。思わず巻き戻して数回見直した。説得力のある腕力。ふふふ。ちょっと枯れてるのもいい。なかなかいい。さすが奥さんが「私がオバさんになっても」だもんね。江口さんもオジさんになってもいいと思いますよ。ウンウン。 

さてグレた息子さんとお母さんのお話はどうなる?人情ものかな。



2020年7月16日木曜日

TBS 金曜ドラマ『凪のお暇』全10話・最終話感想




今最終話を見終わった。
むむむ…面白かった…けど…煮え切らないわ。


★ネタバレ注意


イマドキの若者のドラマは結局、人と人がくっつかないのね…と思いました。まーたカップルが出来なかったわ。まーた女が一人。自由。独立。一人の足で立つ。自由。一人で生きる。自由。最近見た日本のドラマってそういうのが本当に多い。なぜだ?


凪ちゃん(黒木華)、ゴーヤ君/ゴンちゃん(中村倫也)となぜくっつかないの?なぜなぜなぜなぜなぜ?そこは一歩踏み出して下さいよ。ゴンちゃんも全てを改めて凪ちゃんと一緒になりたいと言っているし。あのゴンちゃんの引っ越したアパートはいいぞぉぉ。あそこでとりあえず一緒に暮らし始めてはどうかね? ダメ?ゴンちゃんはいい人よ。癒し系ですよね。

確かに昔の時代(30年前)ならゴンちゃんに経済力が無いのは女性にとっては問題だったと思う。しかし今の女性は経済的に自立している。だからとりあえず始めてもいいではないか。ダメなら別れればいい。ゴンちゃんはあんなにスキスキと言ってくれているんだから、とりあえず鍵を受け取って新しい生活始めればいいのに。ね。

どうしてイマドキの女性は一人にこだわらなければならないのか。なんだかもったいないのだわ。せっかく幸せになれそうなのに。なんでかなー…あーそうか…そもそもゴンちゃんがタイプじゃないのかな…。そうかそうか。


近年、日本のこの手の若者向けドラマって…本当に主人公の女性が誰ともくっつかないんですよ。それが不思議でしょうがないのよオバチャンは。なぜだ? ガールズはなぜとりあえず一歩踏み出さないのだろう?


ちょっと振り返ってみようか。『知らなくていいコト』これは文句を言いました。ちょっと前に放送された『結婚しない男』も結局誰もくっつかなかったっけ?『東京タラレバ娘』あ~これは私ずいぶんガミガミ怒った記憶。『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』はどうだったかな? 随分前に見た天海祐希さんのAround40〜注文の多いオンナたち〜』も結局一人を選んだんだっけ?

今はそういう話が多いのかな?
決めないこと、選ばないことが
今の女性の共感を得ているのか?


まぁ結婚はともかく…。結婚も何も…とりあえず始めてみないと始まらないぞ28。このままお一人ですか? それを考えれば、最後の坂本さん(市川実日子)の思い切りのほうがずーっと納得できる。そうなのよ。とりあえず一歩踏み出したほうがいい。それで開く扉もあると思うぞ。

だって完璧な次の男を待っていても誰も現れないかもしれない。
とりあえず始めたらなにか始まるかもしれないじゃない?

というわけで、最後はあらららららら…まーた独り者の女性主人公がストーリーを締めくくったなと思ったのだ。うーん…くっついてくださいよ。上手くいく関係もあると思うぞ。


ドラマとしてとても面白かったです。エレガンスパレスの住人の皆さんが本当に魅力的でした。キャラクターが全員いい。特に三田佳子さんの緑さんは素晴らしかった。三田さんすごい。背中も曲がっていていかにもお婆ちゃんなのに、やっぱりお綺麗で上品。本当にお綺麗。女優さんて本当にすごいと思う。オネエの武田真治さんとか、皆さんもチャーミングでした。
                                                                                                                                
それにしても、変わっていく凪ちゃんに付きまとう慎二くん(高橋一生)も複雑な人物ですね。このお方とは腐れ縁でまたくっつくんじゃないかとヒヤヒヤしましたね。いやだめです。彼は忘れた方がいい。彼と凪ちゃんは似すぎていて一緒にいたら苦しくなりますよね。煮詰まると思う。だから別れて正解。彼にも幸せを見つけて欲しいものだわ。

それにしても高橋一生さんの役者魂。本当に色んな表情をなさっていて驚いた。会社での引きつった顔。凪ちゃんをモラハラ時の氷のような目線。ぐしゃぐしゃの泣き顔。強がり。焦り。最終話でカラオケを歌う凪ちゃんを見る目線はとても優しかった。本当に色んな表情。見ていて辛くなるほど。役者やのぉ。すごいわ。

1話から9話まで、心理描写がなかなか巧みで面白かったです。色んないい言葉、すごいな…と思った言葉がかなりありました。途中から録画が録ってあるのでちょっと見直そうかな。一見軽くて楽しい若者向けのファンタジー風なのに、実は人物達の心理描写がなかなかリアルなドラマ。特に親からのプレッシャーの話は深い。親の期待。同僚との関係。社会の中での立ち位置。思い込みで作り出す自分自身へのプレッシャーなどなど…を悩みながらも振り切って全てをリセット、再生する女性の話。いいドラマ。面白かったです。

凪ちゃんの黒木華さん、素晴らしかったです。
くるくるくせ毛の頭がかわいい。