能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年5月28日火曜日

謎の発疹⑤…漢方の医師を訪ねてみた



現在療養中。なんとか治ってきた。その記録。


5月14日火曜日に発症した腕と脚の謎の皮膚炎。かかりつけの総合病院は診てくれない。担当医も電話での会話のみ。日曜真夜中の緊急ビデオ診察でステロイドの薬を処方されたが具合が悪くなったので飲まないことにする。同病院の皮膚科で診てもらうことも怪しくなってきた。藁をもつかむ思いで他の方法を探った。


5月24日金曜日
腕と脚の新しい発疹はないようだが、湿疹は肌全体に広がって丘のように腫れている。触れば不思議にすべすべしているが少し熱を持っている。少し痒いが我慢できないほどではない。食事をした後に痒みが増すような気がする。総合病院からの「皮膚科に予約が入った」との連絡は午後になってもまだない。これは何とかしなければ…。

先日ステロイドの錠剤で具合が悪くなったので、西洋の医療は諦めたほうがいいのかもしれぬと思い始めた。そこでこの地の口コミサイトで他の病院を探すことにした。どこかに皮膚炎やアトピーの治療に評判のいい医師はいないのか…?

口コミサイトYelpで出てきたのは漢方医だった。その漢方医の評判は1位。評価は4.8/5点。2位は別の大型病院内の皮膚科専門医。漢方医が大手の病院の皮膚科の上?? 興味を持ち始めた。そこで旦那Aと相談して、午後2時頃に飛び込みで薬局を訪ねてみることにした。閉まっていた。それなら明日訪ねてみよう。


5月25日土曜日 漢方医を訪ねる
午前中しか開いていない小さな薬局の漢方医を訪ねた。薬局に踏み込むと壁一面に漢方薬の入った瓶が並んでいる。誰もいない。すぐに年配の男性が出てきた。穏やかな声で「予約ですか」と聞かれるので「いいえ」と答える。「じゃあ少し待ってて」と言われるので待つ。しばらくして鍼の治療を終えた患者さんが出てきた。先ほどの男性が医師らしい。ここの医師は評判のいい鍼灸師でもある。その後私は小さな診察室に通された。



私が受診票に書き込んだのは「Unknown skin rash. Eczema. It started on 14th Tuesday and spread all over my arms and legs.」だったと思う。すぐに問診が始まった。アクセントの強い英語。穏やかな声。

上着を脱ぎ腕を見せ、幅広のズボンをたくし上げて赤くなった脚を見せた。そして今まで発症から皮膚の状態を撮った写真をiPadで見てもらった。熱がないこと、胴体には発疹が無いこと、発疹した時ストレスが多かったこと。過去にもストレスで発疹があったことがあること。今回ステロイドのプレドニゾンを病院の医師に処方されたが具合が悪くなったこと…等々さまざまな情報を伝える。先生はうんうんと頷きメモを取りながら話を聞いて下さる。

ところでアメリカでは Eczema とは一般的にアトピー性皮膚炎のことだということを私はネットで調べて知っていた。先生は私が受診票に書いた Eczema の文字を見て「Eczema…これは皮膚科に診断されたの?」と仰るので病院で診断されたわけではないと答えた。「疲れていますか」の問いに Yes と答える。先生はうんうんと頷く。私の話す症状を聞きながら、先生は漢字…中国語で全ての情報を書き込んでいる。全て漢字ばかり。沢山の沢山の文字。ああ本当に漢方の先生に診てもらってるんだなと嬉しくなる。「このような漢方薬は飲んだことあるの?」と聞かれたので「私は日本人で漢方の生薬の入った商品は飲んだことはあるけれど、こういうのは初めてです」と答えた。先生は私の腕をとって脈を測り、血圧計で血圧を測り、その後「わかりました、外で待っていてください」と仰った。診察の時間は10分もなかったと思う。

診察室の外に出ると、次の患者さんが二組。私が予約も無しにこの薬局に飛び込んですぐに見てもらえたのはラッキーだったのだろう。今度は予約を入れよう。

すぐに先生が出ていらした。漢方薬の入った小さな袋が4つ。飲み方を教えて下さる。薬は7日分。値段は100ドルに届かない値段。安くはないが藁にもすがる思いなら高いとは思わない。「10日経ったらまたいらっしゃい」と仰った。「Thank you Doctor」と何度も伝えて店を出た。私はなんだか嬉しくなっていた。

西洋の医師が私を診てくれないのなら、アジアの先生に診てもらおう。漢方医に診てもらうのは初めてだ。勇気をもって薬局に飛び込んだことに嬉しくなった。小さな冒険にわくわくした。

家に帰ってきてから先生のことを調べた。Dr. Aはハワイに来て今年で39年。それ以前は中国の総合病院で内科の医師をなさっていたことを知った。ハワイでは鍼灸師と漢方医を長年なさっている評判の医師だった。元々内科の医師ならますます安心。中国の病院では漢方薬や鍼灸も治療に使っているのだろうかと想像した。


小さな丸薬と生薬を砕いた粉薬
1回分
小さな粒
小さな粒を取り分ける


漢方薬
小さな丸薬が小さな袋にみっちりとつまっている。黒い小粒の丸薬10粒、黒い中粒の丸薬5粒、茶色の錠剤を4錠、朝昼夜の食前に白湯で飲む。一度に19粒の薬を飲むことになる。薬局から帰ってきて最初の昼食では、19粒をひとつひとつ飲んでいたら白湯でお腹いっぱいになった。それで一飲み3錠ずつ飲むことにした。 それから毎晩寝る前に漢方の生薬を砕いた粉薬を白湯に溶かして飲む。これを7日間続ける。


旦那Aはそんな私の様子を面白そうに見ている。西洋人の旦那Aに、漢方薬は日本人にとってそれほど珍しいものではないと説明する。養命酒とか正露丸、それに葛根湯、お正月のお屠蘇…日本の健康医療には昔から漢方薬が自然に馴染んでいる。だから今回の薬も私には少しも違和感がないことを話した。そして西洋の薬がピンポイントで症状を抑える(Fix it)のであれば、漢方薬は人の身体全体を調整するもの(Condition it)とか健康な状態に戻す(Restore)のだと思うと伝えるとなるほど「Cool」と納得していた。


5月26、27、28日
それから連日、毎食毎に薬を飲み続けている。既に湿疹は治まっている。熱が引いて腫れもなくなった。痒みもない。一度は発疹が繋がって全体に広がり真っ赤になっていた皮膚は、少し色素沈着してベージュの濃い色に変わりつつある。今は皮膚の表面が乾燥してカサカサになりところどころで皮が剥けているが、もう炎症を起こしているわけではない。見かけ上はまだ皮膚炎の痕が残っているけれど、もう治りつつあるのはわかる。完全に治るのはこの表面の乾燥した皮膚が全て自然に剥がれ落ちた時なのだろう。

それ以外に興味深いのは、今まで更年期の頃からすっと継続してぽつぽつと手や足の甲に出ていた痒い湿疹…私はそれをもう8年ほどドラッグストアのステロイド軟膏を毎日塗って抑えてきた。それらの湿疹が漢方薬のおかげなのだろうか、今治まっている。そしてその痕もカサカサに乾燥して皮が剥け始めているが炎症をおこしているわけではない。もしかして…今まで長い間諦めていた原因不明の手足の皮膚炎も治りつつあるのではないか?

漢方薬を飲み始めてからまだ4日しか経っていないのに結果が見えてきている。もしかしたらすごくいい治療法に出会ったのではないか?嬉しさと面白さとワクワクと先生に対する感謝の気持ちと共に今の私はとても嬉しくなっている。漢方の医師を訪ねてよかった。



その後、総合病院の皮膚科からは未だ連絡がない。担当医に(念のためと)入れていた31日の診察の予約はキャンセルした。もしこれから「皮膚科の予約が入った」と連絡があったらそれもキャンセルするつもりだ。もう皮膚のことで総合病院を訪ねることはないと思う。

保険会社が経営するこの総合病院の皮膚科で優先して診てもらえるのは、皮膚癌などの命にかかわる疾患なのだろうと思う。この病院は大病の治療では決して評判の悪い病院ではない。ただこの総合病院のシステムでは、免疫不全の皮膚疾患を治せる専門医はいないのだろうと思った。たとえこれから私が同病院の皮膚科に診てもらったとしても、またステロイド薬を出されるだけだろう。同じように私はまた具合が悪くなって「どこに連絡をすればいいのだ」と怒りを爆発させることになる。今回この総合病院では原因不明の皮膚炎は治せないことがわかっただけでも収穫だった。

それよりもステロイド錠プレドニゾンの後、ぼんやりと視界がぼやける左目をどうしようかと悩み中。網膜剥離だか緑内障の初期だか知らないが、これもいずれ専門医に診てもらわなければならないだろう。医師に会うまでにまた複雑なプロセスを踏まなければならない。本当にめんどくさいと思う。