キタ! LAのメジャー紙『LA Times』。大手新聞です。とにかくメジャー。上等上等。メタルや音楽の業界紙ではなく、このような大手のメディアに採り上げられたのは素晴らしい。Entertainment項目のブログ『Pop & Hiss』でのライブ・レビュー。
さて内容はライブそのもののレビューというよりも、この日本からはるばるやってきたカワイイメタルバンド=BABYMETALが、いかに停滞したメタル界に風穴を開けてくれるような面白いバンドであるのか…を力説してくれてます。
今の米のメタル界はオトコオトコ臭くドロドロ暗くてそれを皆が大真面目にやってるような状態で、全体に行き詰ってるんだそうです。もううるさい轟音も早弾きも出尽くしたし、死体だのなんだの怖いイメージも出尽くしたし、もう出るネタが何も無い状態でマッチョな男たちがぐだぐだやってる…。そこに日本のカワイイ女の子たちがやってきて、クスクス笑いながら無邪気にチョコレートだのおねだりだのカワイイJ-POPだのスターウォーズ風キツネ様神話など…いろんな面白びっくり仰天なものを持って来てくれた。彼女達は行き詰ったメタル界=音楽業界に、ユーモアでガーンと風穴を開けてくれてる…などという内容。バンドも最高だし一緒に楽しもうよ…と言ってくれてます。最後は「おい俺たちこんなことでいいのか…?」と自ら問いかけてます。
なんと大絶賛じゃないですか…。口調こそ理屈っぽいですが、実はかなりユーモラスでオープンに褒めてくれてます。そもそもこの新聞はメタル誌ではないですからね。一般紙がこのような記事を書いてくれるのもかなり嬉しい。
それではまたいいかげんな意訳。いや…大変真面目に訳しているんですがあまり上手くない。内容は間違ってないと思いますが読みにくいと思います。申し訳ない。翻訳とは英語の言葉をいかになめらかな日本語に置き換えていくかの日本語のセンスを問われるなぁとつくづく思う。原文の複雑な構成のセンテンスや普段使わない単語など真面目な記事であればあるほど難しい。むしろ誰かが話してるビデオを聞いて訳した方が楽。…なーんていい訳はやめて早速訳にいこう。
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元記事はこれ
http://www.latimes.com/entertainment/music/posts/la-et-ms-babymetal-fonda-20140728-story.html
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Review
Babymetal shreds heavy-metal's seriousness at the Fonda (BabymetalがFonda Theaterでヘビーメタルの真面目さをずたずたに切り裂く)
By August Brown
July 29, 2014, 8:38 AM
最も破壊的で怒りを招きそうなヘビーメタルのアクトが、(去る)日曜日The Fonda Theaterで演奏した。そのグループは3人のピグテイル(お下げ)の日本人の女の子達に率いられ、彼女達はステージ上で手のハートマークを作り、チョコレートをどんなに好きかと歌う。
Babymetalは日本のコンセプト・グループであり、現在ヘビー・ミュージック界で最も不和を生じさせているものである。その3人=シンガーSu-metal、Yuimetal とMoametal、それにプロデューサーのKobametalと、死体のメイクをした楽器の名手達によるバックバンド――は、アジアの作られたポップグループの「アイドル」フォーマットから出てきたものなのだが、彼らの歌は、ヘビーメタルをあらゆる形に変形させたスラッシュ・ギターと爆発的なドラムのビートでアレンジされているのである。
こういう大層な表現は、いかにも大袈裟な(メタルの)ジャンルの冗談のようだが、このグループはメジャーなツアーをするアクトに成長し、スレイヤーやアンスラックス等のクラシック(ロック)バンドのカルト的な人気者になり、レディ・ガガのツアー仲間にもなり、それに新しい音楽の討論全体でのセンターピース(話題の中心)となったのである。
最高に不快で腐ったような音とイメージを追及するのが常な(メタルの)ジャンルの中、さて、その忌まわしさはメタルファンの期待に対しても向けられていいのだろうか?“シリアスな”メタルが、その野蛮さと技で破壊的な速度に達した時、また人食いと大量虐殺がありきたりな歌詞のお題になった時、この悪辣なカワイイ日本のティーンの女の子達は、今現在のヘビーバンドとして最も確実に悪魔的な恐ろしいアイデアなのか?(←笑)
Babymetalはその由来を隠そうともしない:シンガー達はこのグループに入るまでメタルを一度も聴いたことがなかったと自ら言うし、それに彼女達は元々中学生のJ-POPアクト・さくら学院の派生的なものであることもよく知られていることだ。グループの策略に対するオープンさは彼女達の魅力のひとつでもあるし、それはまた良心的にもなされている。これはメタルの超純正な男臭さに向けられた冗談=いたずらであり、若い女性がヘビーメタルを演奏できることに対する冗談ではないのだ。
彼女達の歌は熱に浮かされたような…スラッシュとデス、パワーメタルの暴力の上に、キャンディーピンクJ-POPメロディの砂糖をまぶしたよう。それでもたとえ最も熱心なブラック・メタルの純粋主義者でも、Babymetalの曲が彼らのジャンルの同期生と同じ技術と狂暴さで演奏されている事は否定できないだろう。Church of Miseryなどの伝説的な日本のメタルアクトは、このBabymetalの突然の人気沸騰にいらいらするかもしれないが、メタルシーンは既に大方この悪ふざけに乗っかって楽しもうと決めてしまったのである。
The Fonda Theaterのショーは、メタルのショーとして求める限り最高に楽しいものだった。観客は、60%の真面目なメタルファン(ビンテージのスレイヤーのツアーTシャツも多い)、20%のRedditの住人(後でmaximum trollingうだうだ言う(?)楽しみの為に来た輩)、そして20%のJ-POPファン(Babymetalそのものをよく知っている層)だった。これはメタルが最初に自らをパロディにしたものではもちろんないのだが…それでもBabymetalはおそらくこのジャンルで一番見事に素晴らしい、また歓迎された“仕掛け”なのである。
(ライブでは)カーテンが落とされるまで(観客の)全員がステージに向かってデビルホーン(キツネサイン?)を突き出し、バンドの名前を叫んで騒ぐ。Babymetalのライブショーはその妙な組み合わせで大いに楽しませてくれた…シンガー達はその可愛らしさを強調し、目が眩むような振り付けとメジャーなキーのハーモニーでステージ中を飛び跳ね、その間にローブを纏ったバックバンドは、シンセとあらかじめ録音されたオーケストラで繋ぎ合わされた狂暴な生の楽器の一斉射撃を打ち出す。
近年西洋のファンが、その真剣さと陽気な奇妙さから興味を持ったK-POPの波とは違って、Babymetalはその策謀を完全にわかった上でやってきた。そのショーは非常に巧妙で荒唐無稽(←笑)な“スターウォーズ”風スタイルの(バンドの)由来の神話のビデオで始まり、バックバンドは明らかに才能のある経験豊富なメタルの実践者達から雇われた人達(=ついでながら彼らはステージ上でニコニコ笑顔を止める事ができず“Babymetalのリードギタリスト”でいることはそりゃー素晴らしい仕事なのだろう)(←笑)(^o^)
日曜日のショーは、メタルが自らのルールやシステムに対してセンス・オブ・ユーモアを持てる事を再確認させた。Babymetalはインターネット…(ジャンルを打ち付けるようなマッシュアップと、何でも真面目に捉える誰かの犠牲の上に成る妙な人達のバイラル・ビデオを含むエコシステム)…無しでは存在できなかっただろう…。Liturgyのような自己に向けられた真面目さは、3人の日本人の高校生の女の子達が悪魔のようにステキにメタルで彼らを超えた後は、ちょっと情けなく萎んで見える。
2014年にロックバンドが本当に人騒がせ…などというアイデアなんてもうばかばかしいものなのだから、ヘビーで暴力的な音楽のファンも彼ら(Babymetal)と一緒に笑えばいい。Babymetalはメタルのジャンルの中で、唯一その使命=人々をびっくりさせてとんでもない見世物をやること…を守っているグループなのである。蛍光色のJ-POPだけが、殺人や教会燃やしを超えていける唯一のものなのだろうか…?