●歌詞が大人
しばらく曲を聴いてからこれを書くために歌詞カードを見たんだけど、曲の内容もずいぶん変わったみたいですね。「JPN」と比べてみるとよくわかる。
・JPN
「虹色のラブビーム」「キラキラの夢の中」「このまま手をつないで」「キミからのメール待つ」「幸せなこの瞬間」「今日はどこに行こうかな」「ケイタイ握り締めて寝る」「ヒミツの恋」「でも好きな人」「一瞬の恋」「星がきらめいて」「キミに渡すプレゼント」「もう遅いのかな」
…可愛いですね。22歳の女の子が日頃考えてるようなことなんでしょう。当時のPerfumeの等身大の言葉なんですね。曲の雰囲気もそう。とても明るい。ところがその2年後の今回、
・LEVEL 3
「思い出は空白のままで」「こぼれる涙」「結局は自分次第」「震えるほどに心躍らせたい」「淡々と生きたくてもそうはいかない」「現実はずっと想像の上を行く」「覚悟がまだまだ足りない」「このまま遠くへ行きたくて」「希望を胸に扉開けて」「やなことは早く忘れたい」「ここに戻ろう」「わくわくが行方不明」「気持ちのない優しい言葉の毒」「失うのこわいから」
…などなどちょっと重めのいい言葉が結構出てくるんですよこのアルバム。決して後ろ向きじゃないけれど、ただただ若さに任せてキャピキャピ言ってる時代はもう終わりました。人生逃げたくなることもあるし、なかなか上手くいかないこともある。でも結局は自分次第…そんなずいぶん大人な心情がうっすらと見えてくる。
もともと中田さんの曲は、音が面白いんであまり歌詞を気にしないんだけど、あらためて見てみると前回の「JPN」に比べて内容もずいぶん成長したなと思う。彼女達ももう25歳。可愛いかったアイドルも、もう男の子の話をするだけじゃなく、人生を考えたり悩んだりする大人になった。そんな感じがすごくいい。
音も重低音が多用されてますが、内容も落ち着いて大人。「1mm」の歌詞「最終電車に揺られてこのまま遠くへ行きたい」なんてほんとにいい。年齢を超えていろんな人の心に染みる歌詞だと思う。そんないい歌をダンスの曲調にのせて綺麗な女の子達が囁くように歌うのがたまらなくいい。そういうタイプの曲が今回多いです。「フワフワの布団」なんて最高。
こういう成長は本当に素晴らしい。同じメンバーが10年間も一緒にやっているからこそ、こういう変化も感慨深い。「JPN」が、可愛いアイドルの女の子の恋物語を遠くから眺めて愛でるものであったとしたら、「LEVEL 3」では、ファンも彼女達も同じ大人として、共に心情を共感できるような内容になってきてると思う。
こういう曲の内容について、Perfumeさん達は中田さんとは直接には話してないと思うんですよね。中田さんが勝手にその時期のPerfumeの周りの空気を読んで書いてるんだと想像しますが、ほんとにすごいことだと思う。シングルでバラバラに出した曲が一定のトーンを保っているなんて、そういうことが自然にさらっと出来ちゃうところが彼の天才たる所以でしょう。