能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年4月24日水曜日

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第10話 A Dream of a Dream :曖昧な最終話



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FX/Huluにて。オリジナルの放送は2024年4月23日。



★ネタバレ注意



え~これで終わり?というのが正直な感想。こう思うのは私だけではないと思うぞ。

やっぱり関ヶ原も冬も夏の陣もなかった。そうか~そうかそうかやっぱりそうか。前回第9話の感想で全体の印象(文句)を書いたのだけれど、この最終回も同じような流れで静かに終わってしまった。このドラマは1600年頃の日本の戦国時代の様子をかっこよく映像化して見せてくれて、あとは日本の不思議な哲学とか美学、死生観を海外の観客に紹介するような話だった。


前回も書いたけれどドラマの画面は最高にかっこいい。彼らを取り巻くセット、衣装、風景…CGも全てが素晴らしかった。ドラマが進んでいくのと同時に、目に入ってくる風景や景色、光を抑えた室内の様子や、美しい 衣装…などなど、画面を見ていて毎回楽しかった。沢山の日本の美しいものが見れた。これが外国で作られていることに驚く。真田さんのおかげ。感謝してます。

それから日本の俳優さん達も本当にかっこよかった。個々の台詞に違和感も感じなかった。そしてカメラが捉える俳優さん達の表情が素晴らしくて…これ、どうして日本のドラマはこういう撮り方ができないのだろうかと不思議に思ったほど。日本と海外では俳優さんをどのように見せるのか、どのように撮るのか…の意図が根本から違うのではないかと思わされた。(日本…親しみやすさ、かわいらしさを撮ろうとする、ハリウッド…俳優を役に沿っていかにリアルにかっこよく見せるのか等々)。様々なシーンの緊迫感も最高にドキドキした。ワクワクした。

日本の俳優さん達のキャスティングも素晴らしい。皆全員かっこよかった。どちらかと言えば日本では端役だった俳優さんが大役をなさっていて輝いている…これも(ハリウッドは)俳優さん達の見せ方が違うからではないか。鞠子様、藤様、長門、文太郎、央海、佐伯、桐の方、菊、吟、村治、そして石堂の周りの大老達も皆さん素晴らしかった。そして日本でも有名な俳優さん達はますます存在感がすごい。虎永や石堂、広松、落ち葉の方、藪重…全員輝いていた。彼らの存在感、彼らの芝居を捉えるカメラの撮り方に映像の編集も素晴らしい。私にとってこのドラマは…日本の俳優さん達が素晴らしかったからこそ面白かったと言ってもいい。かっこいい彼らが見られたのがなによりもよかった。


さて問題は前回も書いたけれど中身。理由は原作だろうと思う。

虎永の策
最終話が終わった時点で虎永が将軍になる説得力はなし。鞠子さんを大坂に送り込んで彼女の死で落ち葉の方の心が動いた…という話だったと見たが、それは虎永の策と言うよりも偶然の結果で…鞠子さんが大坂に止められる、自害の中断、藪重の裏切り、忍者、爆発…どれをとっても虎永が自ら計画できたことではない。そして仮に鞠子の死がこれから落ち葉の方や大老達を動かすとしても、戦場では誰がどう動くかは予想できない。既に虎永は軍をかなり失っているし指揮官も減っているわけで、関ヶ原で戦になっても虎永の勝利はまだ確実だとは言えないだろう。だからあいまいな状態で終わってしまった印象。虎永が将軍になれるかどうかもわからない。 しかし真田さんはかっこよかったけど。

● 虎永の意図
按針君の船の意図は?全く不明。村人には災難。

● 按針君は?
このキャラは問題ですね。最後まで心を寄せられる場面が一度もなかった。例えば映画『ラストサムライ』…トム・クルーズは勝元に囚われて最初は激しく抵抗していたけれど、村で暮らすうちに次第に日本の生活に馴染み日本の文化や哲学に感化されていく様子が描かれていた(たった2時間半で)。しかしこのジョン・ブラックソーンは10話もあったのに日本の文化に馴染む様子は一度も感じられなかった。彼のシーンは脚本も薄い。彼が日本で生活して何を考えているのか、武将達を見て何を思うのかがほとんど描かれていない。いつも無表情。役者さんも大概大根だとは思うが、それにしても彼が役者の技を見せられる場面も少なかったと思う。キャラとして全く魅力的でなかったのは役者さんだけの問題ではないだろう。役が合わなかったか。彼は体育会系の肉体派でアクションをやらなければ魅力が見えづらいタイプの役者さんかも。


ドラマというのは2時間完結ではなく50分を× 10話見て流れを楽しむものなので、このドラマの初回から2話、3話~9話まで毎回毎回すごく楽しかった。毎週の放送が楽しみだった。10話で戦もなく不完全燃焼で終わってしまった(個人的な感想)のは少し物足りなかったけれど、それでも全体にとても楽しめたドラマだった。面白かったです。


しかしやっぱ私は関ヶ原が見たいのよ。騎馬戦が見たい。強い男が見たい。ハリウッドのお金をかけて数万の軍がぶつかり合うアクションが見たい。小早川の裏切りで逆転してうわああああと大騒ぎして泣きたい。グロはいらないから。そして出来れば冬も夏の陣も大砲をドンドン撃ってひゃ~怖い怖いと叫びたい。グロはいらないけど。淀君と秀頼の最後を見て泣きたい。海亀は戦国に感情を揺さぶられたいのです。


2024年4月22日月曜日

DHT Musical★『キス・ミー・ケイト/Kiss Me, Kate』





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Kiss Me, Kate
Music & Lyrics by Cole Porter
Book Bella and Samuel Spewack
Basis The Taming of the Shrew
   by William Shakespeare
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DHTとはDiamond Head Theater。ハワイ・ホノルルのコミュニティー・シアター。週末にこの劇場でミュージカル『キス・ミー・ケイト』を見てきた。

DHTでのショーは以前はほぼ毎回見に行っていたのだけれど(ここではレポートしていなかった)、コロナになってからしばらく行かなくなっていた。シアターもライブもコンサートも…人が集まるイベントをほぼ4年間避けてきた。去年の年末にコロナ後に初めて映画館に『ゴジラ-1.0』を見に行ったが、人が密になる劇場はまだ勇気が出なかった。今回コロナ後に初めて劇場に出かけたので記録しておこう。


まずDHTは、コロナの間に建物が新しく建て替えられていた!すごく立派なシアターに変わっていてびっくりした。以前は古い古いシアターだった…元々は米軍の映画館だったその古いシアターが建てられたのは1933年!掘っ立て小屋とまではいかないが、かなり小さなボロボロの古い小さな劇場だった。舞台も小さくバンドの入る場所は観客と同じレベルの脇に小さくしつらえられていた。その古いシアターが壊されて、2023年に新しい劇場がオープンした。新しくなった劇場のキャパは482席。なんと(小さいけれど)オーケストラピットも舞台と観客の間に掘られていた…なんと本格的な。舞台上の天井も高い。電動で幕も上下する。なんと素晴らしい。DHTはモダンなシアターに変わっていた!


『キス・ミー・ケイト/Kiss Me, Kate』とは、1948年が初演のブロードウェイ・ミュージカル。ストーリーは…とある劇団によるシェイクスピアの戯曲『じゃじゃ馬ならし』の上演中の話。舞台に立つ役者が離婚した夫婦で、それぞれに恋人がいて…と男女の関係が混乱していくドタバタ劇…そのミュージカル。

音楽はコール・ポーター。『Why Can't You Behave』『Always True to You In My Fashion』『Too Darn Hot』等々キャッチーないい曲が多い。これらの曲はジャズのスタンダードにもなっているので、メロディを聴けば知っている方も多いのではないかと思う。


楽しかったです。久しぶりのシアターはやっぱり楽しい。いつもDHTのミュージカルはクオリティーが高いのに驚く。本当ですよ。

基本的にコミュニティー・シアターとは、素人が集まって演じる舞台なのだが、このDHTの舞台はかなり楽しい。私はこのシアターに通い始めて(コロナ期を除けば)もう10年以上、今までに50ショー以上見てきているけれど毎回必ず楽しませてもらっている。(もちろんローカル劇場だから身びいきというものもあるけれど)正直な話、私が舞台芸術の楽しさを実感したのは本場のロンドンではなくこのハワイのDHTだと断言してもいいほどだ。

この劇場では芝居もミュージカルも見るたびに演者たちの情熱を強く感じる。舞台芸術の基本の基本…いい芝居とは観客も演者も皆幸せな時を過ごす…そのことを毎回感じる本当に素晴らしい劇場。それはこのシアターに集う…演者も観客も皆それぞれが舞台の芸術を愛しているからで、その温かい雰囲気を毎回私が肌に感じるからなのだろうと思う。

そして舞台の質の高さには具体的な理由もある。ほとんどのショーにはいつも何人か本場ニューヨークのブロードウェイでの経験のある人々が関わっている。舞台が毎回成功しているのは監督や主役、それから演出の方々等々、毎回必ずプロレベルの人がどこかに関わっているからなのだろう。そして長い間このDHTでArtistic DirectorをなさっているJohn Rampagesさん…このお方の長年の豊かな経験と舞台芸術への愛がこのシアターの質の高さの一番の理由だろうと思う。感謝してます。



今回の『キス・ミー・ケイト』の主役リリー/ケイトを演じるのは元々オペラをなさっていた方。力強い歌声。DHTではおなじみのお方で彼女は今までにも何度も主演をなさっている。そして彼女の夫フレッド/ペトルーキオを演じるのは、この地の総合病院 The Queen's Medical Center の喉の専門のお医者さん!お二人ともカリスマに溢れてノリノリ。リリーがとにかく気の強いキャラで、途中怒りちらす場面があるのだけれど、それがユーモラスですごく面白かった。フレッドの役者さんは、昼間はお医者さんをなさっていて夜は練習にリハーサルにと大変なスケジュールだったと思うがすばらしい歌声と存在感。

また今回もエネルギーに溢れた楽しく素晴らしい舞台だった。


DHTでミュージカルを見るのは4年ぶりだったのだけれど、何人か馴染みのお顔も見えた。このシアターの役者さん達は皆オーディションで決まると聞いているが、ほぼ毎回選ばれている人々もいる。彼らは違う演目にも何度も登場なさっているので自然にお顔を覚えてしまう。その他にも地元の大学で音楽や演劇を専門に学ぶ大学生(米国本土の大学で学んでいて夏休み中に帰郷してこの地の舞台に立つ人もいる)、また彼らを教える大学の先生が同じ舞台に立つこともある。高校生や中学生、小学生も舞台に上がる。今までに見た演者の方々の中には米軍で働いている方、看護師さん、弁護士さんなどもいたのを覚えている。


● シアターの醍醐味はコミュニティーシアターにあるのかも

プロではないこの地のコミュニティー・シアターの演者の方々。しかし舞台の質は高い。このシアターに関わる全ての人々が情熱をもって舞台に臨んでいる。その様子を見ていて、私は舞台の本当の楽しさはこのDHTのような小さなコミュニティー・シアターにあるのではないかとも思い始めた。

以前ロンドンでは本場のよく知られたミュージカルをいくつか見た。しかし大都会の芝居はチケット代が高い。だから大きな劇場では3階の席で舞台を遠くから眺めることも多かった。舞台の演者は主役から末端の端役に至るまで皆全国から集まった中のトップクラスの人々でルックスも声も最高。オーケストラもバンドも最高レベル。しかし舞台は遠い。

舞台上で繰り広げられる華やかな世界を、階上の暗闇から見下ろし、小さく光り輝く箱庭を眺めるように舞台を鑑賞する。しかし私はそのように見たロンドンでのミュージカル体験にあまり感動しなかった。「あ、あれを見た、とりあえずあの有名なやつを見た」というようなよそよそしく軽い感想を持つことが多かった。そして財布は軽くなる。


ところがハワイのコミュニティー・シアターDHTに通うようになってからミュージカルへの考えが変わった。まず財布の中身が減らない(今は32ドル~62ドル)。だから何度見ても苦しくならない…そしてミュージカルは何度も経験して慣れてきてこそ面白さがわかってくることも知った。そしてショーは、シアターが小さいから舞台が近い。後ろの席でも舞台が近い。演者の顔がはっきりと見える。演者の一生懸命な熱が生で伝わってくる。観客が笑ったり泣いたりなんらかの反応をすれば、それが直接舞台の演者たちにも影響する様子を何度も目にした。観客と舞台が一緒になる瞬間も何度もあった。 もしかしたら舞台芸術の楽しさとはそういうことなのじゃないか。

全体のクオリティーはもちろん都会の大舞台とは比べ物にならない。このコミュニティー・シアターの演者はルックスもスタイルもダンスも声も皆それぞれさまざま。皆バラバラな外見や声の質、上手い人もいればそこそこやまあまあの人も確かにいる。舞台上のセットは全て手作り。スタッフさんがペンキを塗ってトンカン釘を打ってセットを作っている。お金をかけた豪華なものではない。

それでもこのシアターの舞台は楽しい。それは舞台上のショーが情熱と愛で作られ演じられているからなのだろうと思う。この劇場で沢山のショーを見てそれがわかった気がする。小さなシアターならではの醍醐味なのだろう。


2024年4月21日日曜日

コーチェラ YouTube Livestream Weekend 2 : レイ/Raye at the Mojave



昨日まで行われていたカリフォルニアのIndioで行われていたCoachella Valley Music and Arts Festival

今年英国のシンガー・レイ/Rayeさんが出演することを私は先週の週末の彼女の出演の後に知った。それでフェスの第2週目の昨日・20日の土曜日のショーはライブで見ようとテレビをYouTubeにセットして構えた。

開始時間はカリフォルニアの現地時間の午後4時10分。ハワイでの時間は午後1時過ぎ。キチンにいたところで映像が流れ始めた。

彼女はフルのバンドを揃え弦楽器に数名のコーラスの大所帯。なんとRayeちゃんすごいじゃん。


セットリストは…

The Thrill Is Gone.
 Five Star Hotels.

(Improvised intro; cut short… more )
 Mary Jane.
(extended outro while Raye… more )
 Ice Cream Man.
 Worth It.
 Let There Be Light
 Black Mascara.
 Prada

(cassö, RAYE, D-Block Europe cover)
 Escapism.

セットは全9曲。途中でギュウギュウ詰めの会場で具合の悪くなった観客を気遣い、また4:20 p.mにはこの日・4月20日「マリワナの日」をMary Janeを歌ってお祝い(どうやら米国では4月20日はマリワナの日だそうだ)…カメラが会場を映せば沢山の場所で煙が吹きあがっていた。彼女はいつものように饒舌で笑顔でショーを楽しんでいる様子で堂々とカリスマに溢れた力強いショーだった。あっぱれ。彼女は自信に溢れますます輝いている。すでに大物の貫禄。Mojaveテントには人人人のぎゅうぎゅう詰め。 

彼女がカリスマに溢れた上手いアーティストであることはもちろんのこと。しかしそれ以上に特筆すべきなのは、彼女の表現のスタイルが一つのジャンルに留まらないことだろう。彼女の才能は人になんと説明すればいいのかと迷うほど。彼女のパフォーマンスは…、エラ・フィッツジェラルドとアレサ・フランクリン、キャロル・キングにバーバラ・ストライザンド、それにチャカ・カーンとドナ・サマーとビヨンセにカーディ・B、イギー・アゼリアにミッシー・エリオット(このリストに誰を加えてもいい)…が全部ひとりの中に入っているようなもの。彼女は何をやらせても上手い。今はブロードウェイのミュージカル調、ジャズ・シンガー風が好みらしいけれど、彼女は激しいラップをやらせても超一流。ジャズとブロードウェイとストリートのヒップホップにEDMが全てできる人。リズムの取り方が最高にかっこいい人。まだお若いのにこれだけ才能に溢れる人もなかなかいないと思う。最近は英国での大きな成功でますますディーバの貫禄が出てきた。そんな彼女はまだ26歳。


彼女のことを私はここのところしばらく追っていなかった。それで少し調べたら今年の3月2日、彼女は Brit Awards 2024 で様々な賞を受賞していた。

Brit Awards 2024
 Rayeちゃんの受賞したのは
 British Album of the Year/英国最優秀アルバム賞
 『My 21st Century Blues』
 Song of the Year/最優秀楽曲賞
 「Escapism」
 British Artist of the Year/英国最優秀アーティスト賞
 Best R&B Act/最優秀R&Bアクト賞
 Best New Artist/最優秀新人賞
 Songwriter of the Year/年間最優秀ソングライター賞


なんと彼女は Brit Awardsの6つの賞を受賞していた。なんと史上最多の受賞だそうだ。すごいな。もうビッグスターじゃん。本当にすごいね。あらためてびっくり。Rayeちゃん本当によかった。おめでとうございます。


それにしても彼女はどこまで米国で知られているのだろう?

先日4月6日、彼女が米国NBC『サタデー・ナイト・ライブ/SNL』の歌のコーナーで3曲歌っていたことも後から知った。コーチェラ前のちょうどいいタイミングで出演したのはプロモーションだったのだろう。私はそれを後からYouTubeで見た。いい。やっぱりうまい。またバージョンの違う「Escapism」を歌っていた。

それから米国のトークショーのいくつかにも出ていたのを後から知った。今現在、彼女は英国での成功をバックに米国に売り込んでいるのだろう。それで今回のコーチェラのショーも人がいっぱいになったのだろう。

彼女はこれからまた今年の夏までいくつかのフェスに出演するらしい。8月2日には米国シカゴのロラパルーザにも出演。さあこれから彼女はどこまで大きくなるのか。

楽しみです。これからも期待してる。


RAYE - Oscar Winning Tears. (2023)(Live at the Royal Albert Hall)

2024年4月18日木曜日

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第9話 Crimson Sky :史実のほうが面白いけれど戦国再現映像は素晴らしい



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FX/Huluにて。オリジナルの放送は2024年4月16日。


第9話まで見てわかった。まずそれを書いておこう。このドラマは異様なほど製作全体の質が高い…演出もディレクションも脚本の台詞の一つ一つも、俳優さん達の芝居も質も、セットや衣装やその他諸々のドラマを取り巻く全てがとにかく質が高い。だからそれだけでかなり楽しめる。まずそれが一番大きな印象。大きな拍手。

しかし問題は話があまり面白くない。おそらくジェームス・クラベル氏の書いた原作があまり面白くないのだろうと思った。

なぜそう思ったのか…。というのもこの話の元になっている史実の関ケ原に至るまでの経過というのは、このドラマに描かれたものよりも倍、いや10倍くらいもっと面白いから。私は原作『将軍』の中身を全く覚えていなかったので今回ドラマを見て初めて内容を知ることになったのだけれど、この物語はあまり面白くない…史実に比べてペースがゆっくりで、史実ほど興奮するような話がほとんどない…史実の方がずっと面白い…というのが一番の理由。ハリウッドの予算で「関ケ原」の再現を期待していたら、中身は外国人が「不思議の国・日本のmysticismを紹介するゆるい話」で、史実の「関ケ原」に比べたら全然スケールの小さい話だった…という印象。

しかしそれは私が勝手に期待して、期待しすぎて、勝手にがっかりしているというだけの話で、このドラマ・シリーズがダメだと言う話ではない。与えられた素材(原作)をここまで作りこんで、これだけエンタメ性のある面白いドラマにしたハリウッドの力には恐れ入る。真田さんのおかげでこれだけかっこいい日本の戦国が描けたことはものすごいachievementだと思います。かっこいい演出と俳優さん達の芝居を見るだけでもかなり興奮したし十分楽しんだ。10点満点で7.5~8点はいく。




★ネタバレ注意



それでは話として気になった点を書いておこう。ごねます。
(史実を元にしたドラマ…とは言っても原作が外国人作なので日本人がその内容に違和感を述べるのはフェアではないと思うがとりあえずその理由を書いておく。私の個人的な意見)

今回の第9話で私が違和感を感じたのは(8話同様)「死」に対する扱い。これはジェームス・クラベル氏がそのように描いているからだろうと思うのだが、あまりにも「死」の扱いが軽すぎ。それを「日本独特の神秘性」だとして描いているのだろうと思った。それにものすごい違和感を感じる。

戸田鞠子(アンナ・サワイ)が大坂に来た理由と使命は「虎永の正室と側室を虎永のもとに送り届けること」。 それに対し石堂(平岳大)は「彼女達を人質として捉えているわけではない」と言う。しかし許可証がない限り誰も城を出ることは許されない。鞠子が吉井虎永(真田広之)の家族を伴って大坂城の門を強行突破しようとするが、護衛の武将達は石堂の家臣達に全員殺されてしまう(その様子を大勢の人々が塀の上から黙って眺めているシーンもすごい違和感…誰か止めろよ)。そしてその様子を見ていた五大老のメンバー・木山氏(井田裕基)と大野氏(黒川武)を証人として鞠子は「石堂が人質を捉えている」と証言。その抗議として、それから虎永の命を遂行できなかったとして自害すると言う。????…これがもう、まわりくどすぎて1回見ただけでは意味が解らなかった。鞠子さんはまた「死ぬ死ぬ」ばかり言っている。

それから鞠子さんが皆の前で「あの明智仁斎の娘」だと啖呵を切る場面も、そもそも明智氏は主君に対する謀反人なわけであまり威張れることでもなかろう。そしてまた明智氏は(城の権力者)落ち葉の方(二階堂ふみ)の父の仇。鞠子さんの台詞に石堂や落ち葉の方が動じるとも思えない。

そんなわけで第9回の鞠子さんの見せ場もなんだかごねてるな…という印象。

鞠子さんの抗議の自害のその瞬間に石堂がやってきてそれを止める。とりあえず彼女の命は助かったが、石堂は忍者を忍び込ませて鞠子さんを始末しようとする。


2回目に見たらなんとか意味はわかった。この鞠子さんのごねる顛末というのは、虎永が仕込んだものなのだろう。鞠子は「石堂による大名の家族の人質拘束」を非難し、鞠子の自害で石堂は(大名の間でも) 面目を失う。…しかしそれだけで大名達は虎永に寝返るのか????? スケールが小さくないか。

このあたりが、史実の関ヶ原に比べると話が小さすぎて細々とした話に見えてしまった理由。
史実の関ヶ原は…、そもそも大坂城の主は家康。あいさつを拒否する上杉にプレッシャーを掛けたら直江状が送られてきた。カンカンに怒った家康が上杉成敗に向かう。その後ろで石田三成が立つ。家康は引き返して関ヶ原で両者がぶつかる。それ以前から家康は各大名を説き伏せて自分の回りに集め、関ヶ原に大軍で向かう途中で山内一豊などが「俺も俺も」と家康の味方に付き、大戦に向けて軍が大きくなっていく…その様子が面白いのに、このドラマではそのような動きは一切描かれない。 全く別の話と見たほうがいいのだとやっと理解した。←遅すぎ


もしこのクラベル氏の話に穴があるとすれば…、石堂が今の状態のように強力であるのなら、今伊豆で燻っている虎永を討つのは簡単なはずなのよ。大坂城の石堂には落ち葉の方も世継ぎの八重千代(セン・マーズ)もいて権力も既に手に入れている。虎永を謀反人として4大老の大野氏や木山氏(新しく加わった)伊藤氏(篠井英介)や佐伯氏(奥野瑛太)の軍(その他にも他の大名が沢山彼らの側につくだろう)を全部合わせて何十万の大軍で虎永を攻めれば一気に落とせるだろう。石堂は何をぐずぐずしているのだろうと思う。

この状況は虎永にはどう見ても分が悪い。今までに重臣の戸田広松(西岡徳馬)をはじめ息子の長門(倉悠貴)を失い、樫木藪重(浅野忠信)はすでに裏切っているし彼の甥の央海(金井浩人)には迷いがある、戸田文太郎(阿部進之介)は虎永が降伏すると言うだけで既にやる気を無くしている…。虎永は地震の被害で既に多くの兵を失っている状態で、今石堂が何十万の大軍をよこしたら虎永の軍が勝てるとは思えない。

だから来週の第10話でどのような話になるのか…虎永には勝てる見込みが全くないように思える。勝ったら奇跡でしょう。


…というわけでワタクシもごねてますけど、ストーリーの穴に文句を言っているだけでドラマそのものはとても楽しんでます。戦国の殺伐とした雰囲気はすごくいい。アクションもすごくいい。さすがハリウッドだと思う。本当にかっこいい戦国の様子は心から楽しんでいる。

だから話がもっと面白ければと思った。これでも十分面白いですけど。


それにしてもここまで(9話)くるのは早かった。だから鞠子さんの話はびっくり。驚いた。え、これで…。え~もっと按針(コスモ・ジャーヴィス)君とケミストリーを感じる場面はないの?なんだか名残惜しい。しかしあの按針君の俳優さんは大根だな。情緒的な場面がへたくそだ笑。彼は男らしく肉体派で力強いアクションシーンは悪くない(この第9話の忍者襲撃場面の彼はよかった)と思うけれど、しかしあまり深みのある表情は出来ない人だろう。日本人の俳優さん達が全員素晴らしいので余計に目立つ。彼と鞠子さんとの化学反応はもっとあってよかったのにと思う。むしろマルティン・アルヴィト司祭(トミー・バストウ)の方が鞠子さんと理解し合えていたように見えた。

鞠子さんのアンナ・サワイさんはこれからハリウッドで大スターになると思う。芝居も上手いし声もいい。アクションもできる。これだけの大役を堂々と演じて本当に素晴らしい女優さんだと思います。


2024年4月17日水曜日

Tile Match 3D, 2000面クリア!



とうとうやったのだ。
今日さきほど、Tile Match 3D: Triple Match 2000面をクリア!やりました。記録しよう。

画面は2001面の開始画面
ゲーム中

このゲームの1面をクリアするのにかかる時間はたったの3分間。家事の合間にちょこっと遊ぶのにちょうどいい。洗濯機を回して3分、掃除機をかける前にちょっと3分、パスタを茹でる間に3分…と毎日遊び続けてとうとう2000面達成!やった 😄 ワタクシハ ウレシイ


2024年4月16日火曜日

お猫様H:楽園



ただただお猫様の美麗フォトを並べる
君がいれば そこが楽園




またまた2月頃の写真。そろそろ撮りためた写真のストックが無くなってきた。そろそろカメラの箱を開けなければ。今週開けよう。

今年はやるべきことが山のように積み重なっているのにだらだらとしていてまだ何も始めていない。常にプレッシャーが頭の上にある。ため息をつく。


2024年4月14日日曜日

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第8話 The Abyss of Life :死ぬ死ぬばかり言うのは間違っている



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FX/Huluにて。オリジナルの放送は2024年4月9日。


4月5日・金曜日、うちのケーブルテレビの契約が突然切れた。テレビが映らなくなった。理由はプロバイダーの手違い。それまで5年間録画していた映像も全て消えた。ケーブルの契約をし直してセットアップしたのは翌週水曜日の10日。それで米国で9日に放送された『将軍』の第8話も録画できなかった。

さてどうする。もうテレビでの再放送はないみたいだし…。

それでHuluのサブスクを始めることにした!最初の1カ月はフリー・トライアルだそうで、とりあえず契約して継続するかどうかはまた考えよう。基本のパッケージは8ドルだし。

スマートテレビのGoogle TVをセットして早速Huluを視聴開始。…Google TVも初めてセットアップしたのだけれど、なんだか家のテレビの画面にYouTubeもNetflixもAmazon PrimeもHuluも全てGoogle TVのHOME画面に出てくるようになったぞ。なんだかすごいねこれ。感動してる。



というわけでテレビで映像を見る環境が整ったところで早速Huluの『将軍』第8話を拝見。

この第8話を見て思った
「私の頭は随分西洋化されているのかもしれない」と。

正直「いい話」だと思うには私には難しかった。私にはまたまたフィラー。第7話は面白かったと前回の感想では書いたのだけれど、7話がドラマとして面白いなら8話は少し息抜きかと思った。不思議日本のエキゾティズム満載で…あまり話も進んでいない。しかしネット上を探ったらこの第8話は日本のメディアでは名エピソードになっているらしい。


★ネタバレ注意


あらすじ
吉井虎永(真田広之)の息子・長門(倉悠貴)が亡くなって虎永軍は喪中。虎永は全軍で江戸に向かい、息子の葬儀を済ませる。その間、虎永は「大坂に降伏する」の一点張り。頑なに考えを変えないので家臣達も迷っている。


上に「不思議日本のエキゾティズム」と書いたけれど、この第8話はとにかく皆が「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」ばかり言っているように感じた。ちょっと多いと思った。その文句を書く。

戸田文太郎(阿部進之介)は鞠子さん(アンナ・サワイ)となんとかわかり合いたい。それで茶室で二人きりになって「今夜わしも死ぬから君も一緒に死のう」と言う。そして鞠子さんは毎回「死にたい死にたい」と言っているのに、文太郎が「一緒に死のう」と言えば「あなたと死ぬくらいなら1000年生きたほうがましだわ」と言う(?????)文太郎はかわいそうだ。文太郎の何がそんなに嫌なのだろう。

それから最後の武将達の会議の場面。虎永の一番の家臣だった戸田広松(西岡徳馬)が「私が腹を切って」と…。どういうことよ?

それでネットを調べてみたら、元々の脚本では「虎永の大坂への降伏に抗議して、会議の席で5人の武将達が切腹するところを、戸田広松が一人で抗議する場面に変えた」とあった。なるほど。それなら理解できる。ドラマとしてなぜあのような話になったのかも理解した


しかしそれでもやっぱり元々の脚本の意図に私は納得できない。

というのも元々の脚本の…会議の場所で武将5人が抗議の切腹をする設定そのものがおかしい。なぜなら、あの武将達は(もちろん戸田広松も)、皆それぞれの軍隊を抱えた軍のリーダー達で、一人一人に100人や200、300人の侍達が下についているのだろう。だから5人が切腹すれば、千人以上(何千人?)の歩兵達が指揮官を失うわけだ。ケオスでしょう。

戸田広松は、このドラマでは大坂から命からがら脱出してきたことになっているので、直属の部下はいないのかもしれないが、彼ほどの重要人物だったらかなりの数の侍が下についているはず。…ということは、彼の家臣達は大坂に置いてきたのか?という疑問も出てきた。


ともかく「私の死を持って殿の降伏に抗議する」という話は無駄。合理的ではない。広松の死は私には完全に無駄死にに思えてしまった。 ←そこが私の頭が西洋化したのではないかと思ったところ。

最後に虎永が「息子も広松も時間稼ぎをしてくれた」と言っているので、考えはありそうだけれど…それにしても今の段階でもし虎永に立ち上がる意志があるのなら軍のリーダー格の武将達を失うのはなんとしてでも避けなければならぬ。だから今回の顛末には私は納得がいかない。


それから家臣が主君への忠誠心から(抗議も含めて)自害して命を落とすのは…なんだろう…もっと江戸時代の後の方の話ではないか? 

戦国と言えば史実で…織田信長の傅役(もりやく/身の回りの世話を行う家臣)の平手政秀が信長の振舞いを咎めるために自害した話があるけれど、あれは世話役の平手が責任を感じて、まだ若かった信長への戒めとしてやったこと。今回の戸田広松と虎永の関係は違う。虎永は広松の力を頼りにしているはず。広松は無謀に自害することで虎永の軍を乱していることになる。

それに(作戦があるのだろうとはいえ)…「降伏する」と頑なに言い続ける虎永も無責任。今回の広松の結末であれ、元々の脚本にあった5人の抗議であれ…ともかく軍は乱れる。武将達は全部で何万人だろうか…既に地震でかなりの数を失ったと言うから、全体の兵力もかなり落ちているはず。この状況では誰が切腹をしても指揮官を失ったら兵は乱れるし、結果虎永全体の軍の力が落ちる。合理的ではない。


前回第7話では、虎永の弟・佐伯信辰が兄弟の絆を無視して石堂の側に着いたことを、私は「いかにも戦国らしく実利主義でいい」と言った。信辰のように合理的、実利的な考え方の武将ほうがずっと私には納得できる。


もしかしたらこの広松のエピソードは、(史実で)関ケ原の前夜に負けると分かっていながら家康のために盾になって伏見城で命を落とした鳥居元忠の話を参考に盛り込んだものかもしれないが、鳥居元忠は敵と戦って相手にダメージを与えながら時間稼ぎをして壮絶な討死をしているわけで、今回の広松の死とは違う。

何が何でも誰かに切腹をさせて「不思議日本のエキゾティズム」を見せる製作の意図にも見えてしまって、私は多少鼻白んだ。

武将なら最後まで戦って死のうぜ。

しかし戸田広松の西岡徳馬さんはかっこよかったのよ。シーンの緊張感も場面としてはよかった。もったいないな~涙。


その他のメモ

・江戸は湿地であった。お吟さん(宮本裕子)の江戸の土地(吉原の辺りか)の下見の場面があったけれど、大きく広がる湿地の描写になるほどと思う。

・ポルトガル人アルヴィト司祭(トミー・バストウ)が虎永に「落ち葉の方を味方につけて石堂に立ち向かえ」と言っている。

・大坂では石堂和成(平岳大)が落ち葉の方(二階堂ふみ)にプロポーズ。平さんがちょっと照れているのが面白い。石堂は落ち葉の方の息子(世継ぎ)八重千代(セン・マーズ)も取り込み権力を確かなものにしようとしている。

・(太閤の正妻の)大蓉院(AKO)が死去。彼女は落ち葉の方に「大坂城に捉えられた人質を解放するよう」伝える。

・ブラックソーン/按針(コスモ・ジャーヴィス)は江戸で船員の仲間に会いに行くが彼らの様子に(帰国の)望みはないことを悟る。そこで樫木藪重(浅野忠信)と共に働こうとする。按針も虎永が降伏することに納得していない。ともかく彼は役に立ちたいと思っている。彼は藪重と鞠子と共に大坂へ向かう。

・戸田文太郎や樫木央海(金井浩人)など、脇役の俳優さん達の細やかな表情を捉えるカメラが秀逸。彼らの一瞬の表情を捉えるだけで彼らの人となりが見えるようになってきている。ドラマに深みが加わってうまいと思う。