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2024年10月1日火曜日

2024年米大統領選 ウォッチ-その2: 副大統領候補 ヴァンス氏 vs ウォルズ氏 TV討論バトル



さきほど副大統領候補の討論会を見た。
ざっと印象を書いておこう


共和党 副大統領候補


ドナルド・トランプ元大統領サイドの J・D・ヴァンス氏
2023年からオハイオ州を代表して上院議員を務める。現在40歳。1984年生まれ。

民主党 副大統領候補


カマラ・ハリス副大統領サイドの ティム・ウォルズ氏
2007年から2019年まで12年間ミネソタ州を代表して下院議員を務め、2019年からミネソタ州の州知事を務める。現在60歳。1964年生まれ


今回討論会に望んだのはこのお二人。

まず私の見た今日の討論は100点満点で


ヴァンス候補 45

ウォルズ候補 55




これは、二つの観点から見た討論の結果の平均点です。私の個人的に見た印象。ウォルズ氏が勝ちましたね。だいたいこのような数字だろうと思った。それではその二つの観点でどのように採点したのかを思ったことを書いていこうと思う。


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★まず外見、カリスマ、印象のみ
(これ大切)

ヴァンス候補 65

ウォルズ候補 35




若いヴァンス候補カリスマに溢れ、印象的な青い目で、ルックスも良く、弁舌もしっかりと、いかにも頼りになりそうなまっとうな政治家に見える。少なくともそう見える。それはカリスマというものでしょう。生まれ持ったカリスマ。言葉もしっかりとしていて、この喋りのうまさはたぶん天才的。うまいよね。とにかくうまい。立て板に水を流すような滑らかさ。力強さ。そして相手のウォルズ候補が話している間に相手の言葉に耳を傾ける様子さえカリスマに溢れている。真っ直ぐ立って微動だにしない。特に最初の休憩前の第一戦はロボットかと思うほどのカリスマと威厳と落ち着き。

そうです。私は今外見のことばかり書いている。そのとおり。中身のことは書いていない。しかしこれ、テレビの討論会では本当に大切なこと。候補がカメラの前に立っていかに自信に溢れて頼りになりそうに見えるのか…強そうにみえるのかは、アメリカの国民にとって本当に大きなものです。はっきり言ってヴァンス氏のカリスマだけで(中身は全く関係なく)大勢の人が彼に投票するのではないかと思ったほど。それほどヴァンス氏のカリスマは尋常じゃない。喋りも上手い。いや~以前からテレビのインタビューなどでヴァンス氏よく喋ると思っていたけれど、こんなに舞台映えがするとは…。

一方、ウォルズ候補。カリスマは…ない。あまりないですね。確かに彼は温かい実務的な…彼の喋る言葉の中身と彼の政治家としての経験から、彼はおそらくいい政治をやってくれそうだと思える。しかしここでは外見と印象のみの話。ヴァンス氏が、ウォルズ氏の方を見ながらも、相手の言葉にほぼ影響を受けていないように見えたのに対し、ウォルズ氏は大きな目を開き、驚いたような表情でヴァンス氏を見ている。それがすでに負けているように見えてしまった。20歳も年下のヴァンス氏の言葉にいちいち驚く様子はあまり見栄えのいいものではない。

しかしこの二人の討論のことは、昨日までにこちらのメディアでも予想されていて、私も聞いていたのは「ウォルズ氏はあまり喋りが上手くない」…いや、うまくないわけではないと私は思ったけれど、ただただ政治家らしいカリスマに欠ける。それが少し心配かなと思った。カリスマではヴァンス氏の圧勝でしょう。要するに、討論を聞いても中身がさっぱりわからないタイプの選挙民には、ヴァンス氏は大変魅力的に映っただろうね…という印象。



さて中身は

★具体的な内容、内政のみ
(もちろんこちらの方がもっと大切)

まず外交政策に関してはお二人ともどちらがいいかは私には判断できない。お二人ともあまりきちんと答えていたようにも見えなかったが、今のイスラエルやウクライナの状況で、今までホワイトハウスに入ったことのない候補のお二人がそれを語ることには無理がある。だから判断できるのは内政のみ。


ヴァンス候補 25

ウォルズ候補 75




この数字の一番の理由はウォルズ氏が今までに12年間ミネソタ州を代表して下院議員を務め、それから現在はミネソタ州の州知事を6年間務めている実績による。どうやら今回の討論を聞く限り、ミネソタ州の内政はかなり成功しているらしい。ウォルズ氏が長年、下院議員として国の政治に関り、また州知事として民を治める実務をやっていることに、私は希望を見た。彼が言うように、それほどミネソタ州での内政が成功しているのなら、それを国のレベルでも見てみたいと思った。

その判断は、あくまでも(ミネソタ州の住人ではなく)外から見た私の個人的な判断。ただこの経験豊かな60歳の政治家のお方…普通の家庭に育ち(富裕家庭出身でもなければ貧困家庭出身でもなく)、兵役に就いて国外での経験もあり、また下院議員として国の政治を経験し、また知事として民に寄り添った政治の経験もある。これだけのバックグラウンドを持つ人なら、きちんと国の政治を任せられるだろうと考えた。

特に討論の中でウォルズ氏が輝いたと思ったのは、中絶に関する考え方、ヘルスケア、銃、子供のケア、気候変動、トランプ氏の「関税」に対する具体的な反論などは、さすが今まで長年現実を見てきたウォルズ氏の話は具体的で信頼できる。内政の具体的な内容に関しての話は、ヴァンス氏は経験も実務も取るに足りない、ウォルズ氏の足元にも及ばない。


ヴァンス氏の一番の問題は、元々民主党支持の家庭で育ち、彼本人が今の(ウォルズ氏の語る)民主党の考え方にもかなり賛同しているのにも関わらず、…ヴァンス氏が最初に上院議員に選ばれた経過が「トランプ氏に推された」ことから、今更トランプ氏を否定するわけにもいかず…トランプ氏を持ち上げないわけにもいかず…。
実際には、ヴァンス氏の中でも、トランプ氏の言動に対しての葛藤があるのではないかと思ってしまった。要は、ヴァンス氏御本人がトランプ氏の人気に乗っかって副大統領の候補になっていることに葛藤があるのではないか。

彼も幼少時代に苦労をなさった方らしく、現実を見れば、例えばオバマケア/Affordable Care Act が多くの社会の弱者を救っているのが見えているはずなのに、(トランプ氏と共和党を選んだがために)トランプ氏の言うところの「プランのコンセプト」を推すしかない。そこをウォルズ氏につっこまれて困っていた…と私は思った。実際にそうだろうと思う。

そのあたり…、ウォルズ氏の言葉が彼の政治の経験から発せられていることに比べて、ヴァンス氏の言葉は次第に(共和党とトランプ氏支持者を喜ばせるだけの)薄ぺっらいものに聞こえてしまったのは問題だと思う。結局はヴァンス氏は外見だけはいいけれど、政治の経験が少なく、具体的な案が何も出せないように見えてしまった。そして口から出るのは、トランプ氏サイド(共和党サイド)を喜ばせるだけの事前に準備した台本通りの内容。言っている言葉は抽象的で大雑把(違法移民が全部悪い…等々)。トランプ氏と同じ。

トランプ氏の1月6日の国会議事堂襲撃に関しても、ウォルズ氏から「トランプ氏は負けた思うか」と詰め寄られてきちんと答えられず「未来のことに集中してます」などとはぐらかしてしまったのは残念。そのようなところ、国民はきっと見ていると思う。見ていて欲しいと思う。


なんだか正直もったいない気もした。あれだけカリスマに溢れ弁の立つヴァンス氏が、トランプ氏などという「政治家とさえ呼べないような人物」の下に付かなければいけないのも悲劇だと思う。残念ですね。しかしトランプ氏がいなければ彼も政治家になれなかったわけなら、しょうがないかとしか言いようがない。

さてこれからどうなるか。