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『ラスト・レター(2020年)/日/カラー
/120分/監督:岩井俊二』
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随分前にTV Japanでの放送を録画したもの。そのままになっていた。
全く情報を調べずに見始めた。いい雰囲気。綺麗です。
ストーリーはファンタジーかな。思慕。すれ違い。悲劇。邂逅…。
雰囲気がとても美しく上品で、最後はいい話としてエンディング…のタイプの映画だと思うのだけれどストーリーの結末は甘い。そこがファンタジーだと思った。
★ネタバレ注意
一番気になったのは、乙坂鏡史郎(福山雅治/神木隆之介)は本当に大丈夫なのか?…ということ。
彼は44歳。彼は高校の初恋の相手・遠野未咲(広瀬すず)が忘れられずに想い続けて20年も過ごした人。大学時代に一度は未咲と付き合ったのだから、片思いの淡い記憶だけではない…未咲との関係、未咲の人となりにも彼自身の想いにもかなり実感があったはず。大好きだった彼女…その彼女を他の男・阿藤(豊川悦司)に奪われた。未咲は自分で選択して鏡史郎から離れたのだろうか。
色々とあって未咲は苦労した。なぜ阿藤みたいなダメ男と結婚したのか。その未咲の間違った選択が彼女を不幸にした。
鏡史郎は未咲のことを想い続けた。彼女のことを小説にまで書いた。
未咲と別れてから20年ほど過ぎた後に出席した同窓会で、鏡史郎は三咲の妹・岸辺野裕里(松たか子)と会い、未咲のその後を知ることになる。
鏡史郎は今まで未咲がどうなったのかを全く知ることなく、未咲への想いと思い出を温めて20年間も過ごしてきた。鏡史郎はそんな一途過ぎる男。そんな重い男が、自分の人生を賭けて想い続けてきた女性の不幸を初めて知る。
鏡史郎が同窓会から未咲の全てを知るまでどれくらいの時間が過ぎたのだろう。数ヶ月のことだろうか。20年間、たった一人の女性を思い続けてきた男がたった数週間や数ヶ月で、そのなによりも大切だった女性の不幸な人生を知る…。かなりキツイと思う。
鏡史郎は後悔すると思う。
鏡史郎は思いつめるタイプなのだろう。20年間も一人の女性を想い続けたのなら、もしかしたら彼はまた20年間、後悔し続けるのではないか?
もし未咲が病気で亡くなったのならまだしも、未咲は大変苦しんで亡くなったわけで。おまけに鏡史郎は未咲の不幸の元・阿藤にも会ってしまう。そして阿藤が悔い改めるどころかとんでもなく酷い男のまま。あんな男グーで殴ればいいのに。
未咲の苦しみを知り、彼女の苦しみが長かったことを知り、彼女がその苦しみから立ち直ることなく亡くなったことを知り、その上阿藤が下衆のまま全く反省もしていないことを知る。辛いですよ。鏡史郎は立ち直れないほど後悔すると思う。
「自分はなぜ彼女を救えなかったのか…?」
そして畳み掛けるように未咲の妹・岸辺野裕里(松たか子)には「あなたが(姉と)結婚してくれてたら」、娘の鮎美(広瀬すず)には「早く会いに来て欲しかった」と言われる。ダメージが大きすぎる。何度も何度も殴られるようだ。かなりキツイぞ。
鏡史郎の大きな後悔は、未咲が実は長い間鏡史郎の小説や手紙を宝物として彼との思い出を温めていた…だけでOKになるものではないと思う。そんなに簡単じゃない。
最後は鏡史郎が、裕里や娘の颯香(森七菜)そして鮎美と和んで、それでなんとなくOKになってしまう。本当にそれでいいのか?この鏡史郎は本当に大丈夫なのだろうかと思いながら映画を見終わった。
ホルゾイがいいね。ホルゾイの成犬を買えるところなんてあるのか?
裕里の義母の英語の先生の波止場正三(小室等)が上品なオジサマで素敵。
裕里の父・幸吉が鈴木慶一さんでニヤニヤする。
いい俳優さん達。特に颯香の森七菜さんが自然な演技で上手いと思った。