年末から新年にかけて録画していたTV番組の一つ。今年はクリスマスからお正月にかけて旦那Aが長い休みを取ったので、毎日二人で外出などをしていて、どの録画もまだほとんど見ていない。HDにたまった録画をこれから見ていく。
まずは又吉さんの脚本のNHKのドラマ『許さない暴力について考えろ』。日本での放送は12月26日。
『許さない暴力…』とは上手いもんだ。なるほどなぁ。渋谷のあの居心地の悪さは、人が他人に厳しい街だから…それに自分も他人に厳しい…ということなのかな。一言で答えを出しちゃったのかな。頭いいですね。さすがやね。
渋谷は35年前の学生の頃からよく行ってたし、25年ほど前の20代には仕事で通ったこともありますが、私にとってあの街は決して居心地のいい街ではなかったです。
いつも人が多いし、ゴミゴミしていて、渋谷の駅から伸びるいくつもの道も方角がわからない。どの方向に歩く時も、あの街は理屈で理解して歩けないんですよ。いつも感覚で歩く。そのせいなのかとても違和感がある。とても不安になる。あの街は本当に歩きにくい。
…と思っていた。渋谷は道が整理整頓されていないから不安になるのだろうと思っていた。
しかしたぶんそれだけじゃないんだろうな。あの街は地方から東京に出てきた若者達が集まる場所。若者が闊歩する街。たぶん私にとってのあの街の居心地の悪さは、若者の人口が多いことからくるものだったのかも。
若者は前を向いている生き物。皆前しか向いていないから他人を思いやる暇がない。若者は他人に寛容ではない。皆で前を向いて走っているような街だから、決してゆっくり和める街ではないのだろう。それを無意識にも感じているから自分も他人に寛容ではなくなる。だからあの街は居心地が悪いんだろう。なるほどそれが「許さない暴力」なのだろう。
又吉さんはあの街の居心地の悪さを言葉に出来る人なんですね。言葉にして脚本を書いた。さすがですね。あらためて(私にとっての)渋谷の居心地の悪さの理由を考えさせられたドラマ。
宮本信子さんがいい感じです。老婆は話す…「なんで許せないんだろうね」…「こっちで勝手に誰かを理解できないものとして排除してしまうようなことが、この街にも起こってて。どっちが怪物なのか、わからないよねぇ」…「この街はあらゆるものを呑み込んでしまうから優しいの」「自分を傷つける誰かを許しながら生きることは、苦しいんだけどね」
このドラマはちょっとホラーっぽいんですよ。でんでんさんが走ってくる時はドキッとした。リアルに怖い。…他人が何を考えているかわからないから怖い。どんな人がいるかわからないから怖い。人が他人に寛容じゃないから怖い。そう、なんだか得体が知れないのが不安なんだわ。
デザイナーの卵の女の子やカメラマン志望の男の子のふわふわした感じも上手いものだなと思った。創造するよりも他を追うことに必死で自分のものを作れなくなってしまう…うわー鋭いですね。こういう若者はきっと沢山いますね。
いろいろと上手いもんだなと思った。変なドラマだけどなかなか鋭い。