能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年1月7日日曜日

MEUTE - REJ (Âme Rework) (2016)



それらしく聴こえる



MEUTE - REJ (Âme Rework)(2016)
Rej – Single
MEUTE
Released: January 15, 2016
℗ 2016 TUMULT

MEUTE - Rej (Live in Paris)



米国で放送されているBBCの番組で録画予約をしているものがいくつかある。Stephen Sackur氏による毎日の『HARDtalk』。それから不定期ではあるが、John Wilson氏による『This Cultural Life』。ドキュメンタリーの『Panorama』等々。不定期の放送のものは思いついたようにたまに放送され、それが自動的にHDに録画される。

数日前に放送されたのが『This Cultural Life』でのJeremy Deller氏のインタビュー。Jeremy Deller氏は2004年の英国ターナー・プライズ(モダンアートの賞)の受賞者。英国でのオリジナルの放送は2023年6月12日。


なぜこのブログの音楽ページでJeremy Deller氏の名前が出てくるのか?

Jeremy Deller氏とは英国のコンセプチュアル・アーティスト。1966年生まれの現在57歳。このお方は30歳ぐらいの頃(1995年頃)、よくロンドンのクラブに入り浸ってアシッド・ハウス等で踊っていたらしい。そこで思いついたのが、クラブで流れるダンス・ミュージック…Acid HouseやDetroit technoをブラスバンドで演奏するというアイデア。早速1997年にマンチェスターのストックポートのブラスバンドWilliams Fairey Brass Bandとのコラボを開始。そのプロジェクトはAcid Brassと呼ばれ、評判になった。

ローカルのマーチング・バンドのおじさん達がハウスやテクノを演奏するという面白さ。その様子が上記の番組内で紹介されていて面白いと思った。
 
 
Acid Brass - Jeremy Deller - The Culture Show (24/02/2012)

これは2012年のインタビュー。ちょっと微笑ましい。おじさん達はかなり戸惑ったらしい「繰り返しが多くてこれはだめだろう」などと言っている。しかしライブで演奏したら観客が踊り始めて、おじさん達も楽しくなったらしい。


ブラスバンドでテクノ。面白い。他にも同じようなことをやっているグループはいるだろうか? そこで「ハウス」と「ブラスバンド」のお題でYouTubeを検索。引っかかったのがこのドイツ・ハンブルク市のバンドMEUTE

MEUTEの結成は2015年。ブラスバンドでありながらこのバンドの演目はTechno、house、deep house。ブラスバンドがゴリゴリのクラブ・ミュージックをやるというアイデアは、上記のJeremy Deller氏のAcid Brassと同じ。Acid Brassが一過性のアート・プロジェクトだったのに対し、こちらのバンド・MEUTEは現在活動中のライブバンド。

おそらくこのMEUTEはJeremy Deller氏のAcid Brassとは関係ないのだろうと思われる。しかしもしかしたらDeller氏の1997年の試みにインスパイアされた可能性もありますね。

YouTubeで彼らの曲をひととおり聴いてみて一番好きだったのが、ここに取り上げた曲「Rej」。2016年のリリース。元曲はドイツのhouse/techno duo、Âmeの曲。このMEUTEのカバーver.が動画サイトで評判になったそうだ。

元曲Âme - Rej (2005) もいい。シンプルです。


Âme - Rej (2005)
Album: Rej
Âme
Released: January 1, 2005
℗ 2006 Defected Records Ltd


電気を通さないアナログの楽器で電子音楽をやる面白さ。こういう音楽の実験は英国や欧州圏のミュージシャンが面白い。


★MEUTE
ドイツ・ハンブルグ市出身のブラスバンド。メンバーは11人。自らを「ドイツのtechno marching band」と呼ぶ。主に良く知られたDJのtechno、house、deep houseの曲をカバーすることで知られる。マーチングバンドの楽器で今どきのグルーブを奏でる。違うジャンルを組み合わせることで、新しいジャンルを作ろうとする試み。欧州各地から米国、南アフリカ等の様々なロケーションで演奏している。

★Âme
ドイツのhouse/techno duo。メンバーはKristian BeyerさんとFrank Wiedemannさん。2001年から活動開始。


2024年1月4日木曜日

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この度の能登半島地震で
被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復興をお祈りいたします。


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2023年12月29日金曜日

映画『ゴジラ-1.0/Godzilla Minus One』(2023):最高の怪獣映画+人々の再生の物語







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『ゴジラ-1.0 (2023)/日/カラー
/2h 4m/監督:山崎貴』
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昨日見た。よかった。うん。これは文句なし。傑作。


…私にとってゴジラとは、とにかく破壊破壊破壊しつくしてくれればいい。恐ろしく荒ぶるゴジラがいい。徹底的に大暴れして欲しい。そしてまた人間が負けずにガンガン戦ってくれさえすればそれでいい。

キェォ~と叫び声をあげドドドドドドと大きな音を立て荒ぶるゴジラに人間がドヒューンドヒューンとミサイルを打ち込み、空からはババババッバババババッと弾を打ち込むとゴジラがキィガァーと叫べばまたドヒュンドヒュンドヒューンと人間が頑張る。最後はタメがあってボォオオオオオオオとゴジラが熱線砲を吐く…と派手にやってくれれば、ワタクシは顎がはずれたように口を開けたまま目を見開き鼻息も荒く茫然とスクリーンを見つめる。それこそがゴジラ映画。…それだけでよいと思っていた。


しかしこの映画が描いたのは人のストーリー。少し驚いた。戦争を経験した世代の方々への敬意も感じる。決して薄い話ではない。


時は戦後。登場人物達は皆何らかの傷を負っている。市民は家族を失い、軍人は「十分に役に立てなかった」「仲間と一緒に死ねなかった」と悔やむ。主人公の敷島もPTSDと後悔に日々苛まれている。

そこに襲ってきた巨大怪獣ゴジラ。米国は助けてくれない。政府も何もできない(ソ連を刺激する)。そこで元海軍の軍人達と兵器開発のエンジニア/科学者、(中小)企業の人々がゴジラ打倒のプランを実行する。残っていた戦闘機・震電に乗ってゴジラを誘い出すのは元特攻隊員の敷島。

傷を負った者達、「まだ戦争が終わっていなかった」者達が自らの再生のために戦う。全員が一丸となって巨大怪物に立ち向かう話。


感動しますよ。


私は普段からあまり泣かないのですけどね。いやぼろぼろ大泣きしたわけではないけれど。色んな場面でじわっときた。様々な思いが心をよぎった。いい話です。

ゴジラの映画なのにテーマは「戦争の傷からの人々の再生」。

人物達は、元特攻隊員、整備士、海軍の軍人達と技術班、兵器開発の科学者と中小企業の人々…彼らは全員それぞれがたった数年前まで国を信じ命がけで敵と戦っていた人々。「お国のため」の言葉になんの躊躇もなかった人々。そんな彼らの「生きる理由と目的」は「敗戦」により行き場を失った。

敗戦、失望、無念、後悔、そして彼らの「人の命を大切にしなかった」政府への複雑な気持ちなどなど…まだ「終わっていない」様々な思いを胸に…人々はまた立ち上がる。今度の敵は究極の怪物。


そして見どころはもちろん最高のアクション。ゴジラとの戦闘シーンに燃える。これがもうただただ嬉しい。興奮する。

私はどっぷりと昭和の平和教育の育ちだけれど…しかしなんだろうねこれは。燃えますね。私の中の「男の心」がアクション・シーンに震え立つ。昔からそう。子供の頃にも火を吐く怪獣や戦闘機や馬の絵ばかり描いていた。だから私は燃えるのだこういう映画に。心がメラメラと燃える。心が震える。だからこの映画はもうたまらん。膝の上に置いた手を握り締め興奮に震えながら目を見開き口も開けてスクリーンを見る。

特に怪獣/怪物相手の戦闘シーンに燃える。人間の戦争は全く見たくないのだけれど、架空のモンスター相手は異様に燃える。嬉しくてたまらん。この映画は戦闘の名場面が沢山。やり過ぎないCGが自然でまるでこういう生き物が存在するかのようなリアリティ。すごくいい。



★ネタバレ注意



このゴジラはいいぞ~。海から頭を出して泳ぐ。まるで怒り狂ったカバが水の中を泳いで船を追いかけるようだ。怖いね~。あんな小さいボートはひとたまりもないぜ。

そして機雷をゴジラに送る人間達。ぉおお頑張れ。よしっ口に入った。敷島はコントロールがいい。命中! おっと~ゴジラは平気だ

そして上陸するゴジラ。上陸したゴジラはちょっとゆっくりです。ドスン、ドスンと歩く。大きな足が一歩一歩踏み出す様子がリアルでいい。そして熱線砲はすごいぞ。ためにためて…なんだか興奮しすぎてそのシーンをあまり覚えていない。巨大な雲が出ていたな。そうそう。敷島が浴びた黒い雨は大丈夫なのか。

典子は握力が強い。大人はあれほど長く鉄棒にぶら下がれないものなのですよ。典子はずいぶん長くぶら下がっていましたね。そして海に落下。しかしその後普通に街を歩いていて驚いた。典子は不死身。


今回は(どちらかと言えば)海の中を泳ぐゴジラのほうがいい。泳ぐゴジラが最高にいい。戦いの場が海の中だから戦艦が出てくるわけだな。いいですね~。

昔から「バトルシップ」とか「戦艦」という言葉に私は燃える。「艦隊」の言葉の響きもかっこいい。だからあのバトルシップが並ぶ場面にも超興奮。かっこいい。もうかっこよ過ぎて嬉しや嬉しや。いいですね~。船がゴジラに向かうシーンだったかな… ダダダッダダダッダダダダダダダ…とあのテーマソングが流れる。ぅおおおおお震えるほど興奮した。


作戦名は「海神作戦(わだつみさくせん)」。

作戦は途中まで成功かと思った。深海でゴジラが止まる。おっと息がとまったか。よし、次は東洋バルーンの浮上作戦開始。ものづくり日本の企業の力を見せてやれ。ところがまたゴジラが止まる。どうした。浮き上がる噛み切られた風船の端切れ。ぉおおおおおおお~敵もやりやがる。く~。

というわけでじゃあゴジラを引っ張り上げようぜ。戦艦が両側から引っ張る。うーんパワー不足か。そこでやってくる小型船隊~きたーっ!水島(山田裕貴)がやってきた。またまた興奮興奮大興奮。涙が出そうになる。

そして上がったゴジラ。水圧の変化…全然平気だったっぽい。


そして敷島/神木隆之介くんの大活躍。もう~これが無茶苦茶かっこいいのだ。震電に一人乗り巧みに機体を操ってゴジラを惑わせる。この飛行機の後ろから撮るカメラワークがも~~~燃える。かっこいいぞ。機体は下のゴジラを見下ろしながら降下。ガラスのドームの中の神木さんの頭。その向こうに海の中のゴジラが下で口を開けているひ~。この時の神木さんの戦闘モードの表情がもう素晴らしい素晴らしい素晴らしい。かっこいいぞかっこいいかっこいいかっこいい。

あ~しかし、この後彼が何をするつもりか観客はわかっているのだね涙。しかし敷島の心は変わらない。決死の覚悟でスピードを増す敷島。…もうこの辺りで涙じわじわうるうるが止められない… ヤメテ 涙じわじわ


そしてその衝撃の後…………


あっ ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ…やった~~~~。ぉおおおおおおお満面の笑顔。そうかそうかそうか、よくやった、よくやったよくやった。ありがとうありがとうありがとう。

感動するわ。整備士の橘(青木崇高)のメッセージがいい。ありがとうありがとう。

そう。これはとても大切なメッセージですよ。整備士・橘も彼の後悔「終わらなかった戦争」に決着をつける。



思いつく限りのありとあらゆる様々なOKボタンをことごとく押して押して押しまくった見事なストーリー。

戦争/過去の間違いを否定しながらも過去を侮辱することなく、戦後の時代になお漂う人々の複雑な心を無視することなく取り上げた上で、フィクションの敵「ゴジラ」を登場させることにより、戦後を生きる者達のロストソウルを救い、(彼らの)過去に囚われていたそれぞれの思いに決着をつけさせ、人々が次の時代へ繋がる自信を勝ち取る…人々の再生の物語。

「終われなかった者達」は思いを遂げ過去に決着をつける。彼らは国や誰かに強制されることなく自らの強い意志で立ち上がった(←これ大切)。そして脚本はまた、戦争に行かなかった若者・水島(山田裕貴)の軽口を敷島が諫めるシーンで、無知のために「戦闘に憧れること」への警告も忘れない。…これは世界に胸を張って売れるストーリー。なにもおかしくない。隙がない。本当によく練られた話だと思います。


どの角度から見ても(アクション、戦闘、役者の演技、コンセプト…)この映画は素晴らしい。私はまず怪獣映画としてゴジラの戦闘シーンに無茶苦茶興奮した。倒れ行く高雄の最後の頑張り…壮絶なシーンに泣く。そして戦う男・敷島の決死のシーンに泣いた。そして人々の再生の物語にも、様々なお題のOKボタンの正しさと細やかさに唸りつくす。

役者さんが皆素晴らしい。みんな上手い方々。勇ましい顔が本気の神木隆之介さん、昭和の美人女優風浜辺美波さん、艦長・堀田の田中美央さんの威厳と低音、兵器開発・野田の吉岡秀隆さんの頭脳の科学者ぶり、整備士・橘の青木崇高さんの漢、隣人・澄子の安藤サクラさんのリアリズム、軍人・秋津の佐々木蔵之介さんの動じない笑顔、元気印水島の山田裕貴さん…皆それぞれ心に残るシーンがある。いい役者さん達に拍手。屋上でリポートする記者の様子は1954年オリジナルゴジラへのオマージュですね。沢山の役者さん達皆様に拍手。


ちなみに米国人の旦那Aも最高にいい映画だったと言っている。劇場を出て最初に出た言葉は「これほどいい映画は久しぶりに見た」。ゴジラが最高にかっこよくて最高にクール。大変興奮したそうだ。
今どきのハリウッド映画(ヒーローもの等)は映画全部がノンストップの全力疾走で休む暇もないが、この映画は緩急のバランスがよく(敷島の家の静かなシーンとゴジラのバトルシーンの違い)映画として見やすい。
そして登場人物達が昭和の映画の人物達のようにリアルだと感じたそう。普段は普通のおじさんたちが、戦うシーンになると強い男達に変わって真剣に戦う。彼らの世代こそが戦後の日本を立て直した人達だと納得する。素晴らしい映画。大変満足したそうだ。


この映画は、コロナが終わって初めて劇場で見た映画。やっと映画館に帰ってこれた。いい記念の映画になりました。最高にいい映画を見れてよかったです。


記念にうちのゴジラ猫
  


2023年12月24日日曜日

Season’s Greetings 2023



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🎄🎄🎄 Happy Holidays !!!🎄🎄🎄

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今年は木の下にモノがある


年末のイベント・シーズンでございます。時間の過ぎるのが恐ろしいほど早い。今年も年末がやってきた。旦那Aも年末年始は休暇。しばらくブログを休んでだらだらしたり自転車に乗ったりしようと思います。
それではまた~ 💕 

Have a wonderful holiday season~

🎄🌴🎄🌴🎄🎄🌴🎄🎄🌴🎄🌴🎄

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2023年12月22日金曜日

TBS 日曜劇場『下剋上球児』第10話/最終話



TBS 日曜劇場『下剋上球児』。日本での放送は2023年10月15日から。TV Japanにて。


今見終わった。よかった~。面白かった。なによりも若い俳優さん達の野球の場面がいい。珠玉。本当にいい俳優さん達だ。彼らのことはきっと忘れない。

まずこのドラマで初めて出会った若い俳優さん達の名前をメモしておこう。私が気合を入れて見たのが第9話と10話なので印象に残った2018年の3年生の選手達。

犬塚翔(中沢元紀) エース・ピッチャーの翔くん。
椿谷真倫(伊藤あさひ) 目の大きな細面のキャプテン
久我原篤史(橘 優輝)カールロン毛の俊足
根室知廣(兵頭功海) ハンサムな悩み多いピッチャー
楡伸次郎(生田俊平) がっしり本物の球児っぽい
日沖壮磨(小林虎之介) 坊主頭のキャッチャーかわいい

みんな素晴らしかったです。本物の選手のようだった。本当の野球の試合を見ているようにドキドキした。彼らの輝きが見れたことがこのドラマの一番よかったところ。皆さん表情が素晴らしい。いい役者さん達。瑞々しい。この若者達のこれからのご活躍を楽しみにしてます。

役者さん達の表情や動きが素晴らしいのは、撮影のスタッフの方々にスポーツを印象的に撮る技があったのだろうと思う。臨場感のある野球のシーンに興奮しました。人物達の繊細な表情の変化を捉えるカメラも編集も素晴らしかった。例えば翔君と根室君の繊細な表情の変化。彼らは試合中と普段の表情が全く違う。それを捉えるカメラもすごいし、その一瞬の表情の変化を効果的に使う編集も素晴らしい。



★ネタバレ注意






県大会の決勝での勝利の後、遠征の資金集めの様子を描き、場面が切り替わって2023年の様子。おっと変化球がきた。その後の選手達の様子は同窓会で描かれる。なるほどな~そういう描き方なのか~。いいと思う。皆それぞれの道を歩んでいるのね。感慨深い。

甲子園での試合の内容はドラマでは描いていない。出場した8月11日のその日、選手たちが球場に入場して観客の歓声を聞くシーンに感動する。皆よかったね。よかったよかった。そして次の場面では試合が終わって、スローモーションの映像の中の選手達。後ろに映ったスコアボードの数字は……。あ~…そうか~。そうだったのか~。それでも選手たちに悔いはなさそうだ。みんないい表情。すごくいい場面だと思った。そうだね。人生は色々ある。でも彼らが甲子園に行ったのは事実。な~んてまた感動してしまう。

というわけで最終話もよかった。第9話と第10話ですっかり選手達のファンになってしまった。


全体のことを少し。

このドラマは中心に据える話を間違えたのではないかと思う。私は第9話でやっとスイッチが入った者なのであまり大きなことは言えないが、だからこそその理由を書いておこうと思う。私が第9話でやっとスイッチが入った理由は、選手達の野球の試合の様子が素晴らしかったから。若い俳優さん達の頑張りが素敵だったから。皆の真剣な表情がかっこいいと思ったから。だから彼らのことをもっとしっかりと最初から見ていればよかったと今少し後悔している。

問題はこのドラマのフォーカルポイントが野球選手達ではなかったこと。高校野球の話でありながら、ドラマのフォーカルポイントは南雲先生(鈴木亮平)の偽教員免許の話。実はそのせいで私はドラマの途中で少し興味を失った。それから犬塚おじい(小日向文世)のスポンサーシップ云々の話もあった。高校野球の話なのに先生の話や父兄の話の割合が多くていったいこれはなんの話なのだろうと戸惑った。一時期気持ちが離れてしまい、もしかしたら途中で脱落するかもと思った。

見続けてよかった。

だからもったいないと思ったのよ。もし最初から高校生達一人一人をそれぞれを深く掘り下げて、彼らをメインにして皆それぞれのストーリーがありながらも最後は甲子園に立つ…みたいな話にすればもっと感動したと思う。越山高校の野球部の選手達のことをもっと知りたかった。

おそらく制作的には、そしてテレビ局としては、まず有名な俳優さん達を主に持ってきて「視聴者の興味を引く」という意図があったのだろうと思う。確かに私もそれで興味を持ったのは事実。しかし実際にドラマを見たら、有名な俳優さん達よりも若い俳優さん達の方が魅力的に見えてしまっていた。

もちろん鈴木さんを始めとする全ての俳優さん達も皆素晴らしかったです。問題は話の構成。このドラマが何を描きたいのかが途中でわかり辛くなっていたと思う。


それにしてもあの若い男の子達の輝きはなんだろう。みんないい。もし彼らを話の中心として描いていたら、あの俳優さん達はもっと大人気のスターになったんじゃないかと思わずにはいられない。

彼らに出会えてよかった。これからも期待してます。


2023年12月21日木曜日

TSHA, Ellie Goulding & Gregory Porter – Somebody (2023)



若者の孤独



TSHA, Ellie Goulding & Gregory Porter – Somebody (2023)
Somebody – Single
TSHA, Ellie Goulding, Gregory Porter
Released: September 14, 2023
℗ 2023 Ninja Tune



先週からかな?英国のcommercial pop club chartに入っていた。

この歌のテーマは孤独。コロナがあってから辛い思いをしている若い人が多いのだろうと思う。近年孤独や生きづらさをテーマにした曲、それから辛い思いをしている人に寄り添う歌詞の歌が多いと思う。この歌も若者から共感を得ているのだろう。

少し前に取り上げた Jorja Smith - Falling or flying (2023) と同様、音の雰囲気は大人なのだけれど、作曲のメインのTSHAさんはまだかなり若いお方ではないかと思う。


★TSHA
ロンドンの女性Music Producer。このビデオの真ん中の若い女性。2019年にEP『Moonlight』をリリース。それが様々なメディアで高く評価された。2022にはアルバム『Capricorn Sun』、今年10月にはEP 『Flowers』をリリース。今大変期待されている若いアーティストだそう。

★Ellie Goulding
Elena Jane Goulding さん。英国のシンガーソングライター。1986年生まれ。デビューは2009年。今までに出したアルバムは5枚。ほとんどが英国で1位を取ったよく売れているアーティスト。ダンスチャートでもよく名前を見かけるお方。

★Gregory Porter
米国のシンガーソングライター。1971年生まれ。ジャンルはJazz、blues、soul、gospel。カリフォルニア出身でニューヨークに移住。2010年にデビューアルバム『Water』をリリース。今までにグラミー賞のBest Jazz Vocal Albumを2度受賞。


歌詞の…Silly bones、Singing wings…は旦那Aによると一人で浮かれている様子だそうだけれど訳が難しい。Singing wingsは私は鳥かと思った。City's been getting to me は bothered byと同じ…のようなもの



Somebody
TSHA, Ellie Goulding, Gregory Porter
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[Intro]
切実に 誰か 誰かが 必要
私には 誰か 切実に 誰かが 必要


[Verse 1: Ellie Goulding]
自分の年齢よりも 年を取ったように感じる
でもそうじゃない? 家にずっと籠っていると 
身体が 周り中にバラバラになって
立ち上がって 眩暈がしそう
正気さと 純粋さと
おかしくなって たった一人で踊っている 
街が ずっと私を捉えてきた
私を悩ませている 

[Pre-Chorus: Ellie Goulding]
もう何も隠すものはない 
努力すれば私の外見もまだ大丈夫
以前私が誰だったのかもわからない 
それでも問題の火を消そうとしている
このごろは世界がどうなのかもわからない, yeah
でも私には 切実に 誰か 誰かが必要

[Chorus: Gregory Porter & Ellie Goulding]
切実に 誰か 誰かが 必要
私には 誰か 誰かが 必要
誰か 誰かが 必要
私には 切実に 誰か 誰かが 必要


[Verse 2: Ellie Goulding]
私に必要なのは 物事の明確さ
歌う翼 全てを思い起こさせる 
私は自分の殻の中に 貼り付けられていた
暫くの間
あなたの呼吸の仕方に 嫉妬する
上機嫌で 悪びれない様子に
あなたの不在が ずっと私を捉えてきた
私を悩ませている

[Pre-Chorus: Ellie Goulding, Ellie Goulding & Gregory Porter]
もう何も隠すものはない 
努力すれば私の外見もまだ大丈夫
以前私が誰だったのかもわからない 
それでも問題の火を消そうとしている
このごろは世界がどうなのかもわからない, yeah
でも私には 切実に 誰か 誰かが必要

[Chorus: Gregory Porter & Ellie Goulding]
切実に 誰か 誰かが 必要
私には 誰か 誰かが 必要
誰か 誰かが 必要
私には 切実に 誰か 誰かが 必要

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Written By TSHA, Ellie Goulding & MAFRO





2023年12月19日火曜日

映画『アダムス・ファミリー2/Addams family Values』(1993):はみ出し者の幸せ そしてはみ出し者の逆襲!いいぞもっとやれ






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『 Addams family Values (1993)/米/カラー
/1h 34m/監督:Barry Sonnenfeld』
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この映画はたぶんもう5、6回は見ている。最初に見たのは90年代にビデオ屋でレンタルした時。私は20代で独身の東京住まい。笑った笑った。なんだろうこの面白さ。何度も大声で笑った。

それから後はテレビで放送になったものを何度か見た。そして数日前、またテレビをつけたらやっていたので録画。途中からだけれど旦那Aと再度鑑賞。また笑う。わかっているのにゲラゲラ笑う笑う。

やっぱりこの映画が好きだ。なんだこの愛着は。なぜこんなにおかしいのだろうこの映画。何度見ても笑う。(今まで考えたこともなかったけれど)この映画、間違いなく私のフェイバリット映画リストに入る…とあらためて思った。


キャラクター達が愛しくて愛しくてたまらん。アダムスさんちの家族がみんな好きだ。

ウェンズデーちゃん。クリスティーナ・リッチさんの女優魂。撮影時には12歳ぐらいだったのだろうか。それほど若い年齢であのブラックユーモアの中身を完璧に理解して演じていることに舌を巻く。いや…もう本当にすごいと思うぞ。あのウェンズデーちゃんは見事。本当にお見事。

ダンディーなゴメスさんは色男。モーティシアさんはエレガント。フェスタ叔父さんはかわいい。地味なウェンズデーちゃんの弟パグズリー君。髭の映えた赤ちゃん。みんなみんないい。そして彼らは幸せなんだよな。みんな変だけど幸せな家族なのね。

そしてファミリーへの侵入者・悪女のデビーが最高。おもしろいわ~ジョーン・キューザック。全力投球の力技。デビーを見て笑えない人はいないと思う。彼女はこのデビー役でアカデミー賞を取るべきだった!最高、最高やで!綺麗でかっこいいしセクシー…なのに毎回彼女が出てくるたびに爆笑。なんだなんだなんだ…これは。デビーのキャラは脳の知覚リミットを超える面白さだと思います。



これ「はみ出し者」の映画なのですよね。全員がはみ出し者。変な人々。だからなのだろうな、私がこの映画が好きなのは。きっとそうだ。

人間の生きづらさは、環境の中での自分の位置が定まらないこと、または自分で自分のアイデンティティの把握が難しいと感じる時だろう。私は誰?どうすれば居心地よくこの場に属することができるのか?…それに悩む時、人は生きづらさを感じる。


はみ出し者とはなんらかの理由で世の中の「まっとう」からはずれた人

そしてまたはみ出し者とは、他人の自分に対する妙な反応を見て「自分ははみ出し者に違いない」と自意識を持った人

なんらかの理由で、本人が自分をまっとうだと思えない、まっとうになりたいけれどなれない、それとも本来まっとうなはずの自分の中に「異なるもの」を見つけてそれを否定できない者。

…そんな風に考えれば「世の中の多くの人々はなんらかの理由で皆はみ出し者だと考えることもできる」


重要なのは当事者がそのような自意識のために苦しんでいるのかどうか。もし本人が「人と違うこと」に苦しまないのであれば、はみ出し者にはなんの問題もなし。「変わり者」や「はみ出し者」が周りにあたたかく受け入れられ、その場に居心地よくいられるのなら、はみ出し者であっても幸せになれる。

アダムス・ファミリーとは、そのような少し「普通じゃない人々」が幸せに暮らしている話なのだろう。だから彼らを見ていると私もなんだか嬉しくなる。


世の中の多くの人々は皆なんらかの理由ではみ出し者だと考えることもできる」

しかし人の歴史は、常に「正しい者」「正統な者」「まっとうな者」を世の中の「正義」だとしてきた。個人が、人生のある時期に「もしかしたら自分はまっとうではないのかもしれない」と思う時、それが苦しみを生み出すこともある。


この映画が面白いのはこの映画の真ん中あたり…子供たちのサマーキャンプのシーンで、この映画がいかにも「アメリカのスタンダードで保守的なまっとうな正義の人々」を、もう身も蓋もないほどとことんバカにしつくして悪者に仕立て上げ笑いものにしていること。驚くほどに辛辣に 笑。

ルーザー達の大逆襲!…それがあのウェンズデーとパグズリーの送られたサマーキャンプでの出来事。


私がアメリカの「まっとうな人」と結婚してもう25年以上が過ぎた。まっとうな男・旦那Aを通してアメリカの「スタンダードで保守的な正義の人々」にも触れた。今の私は「まっとうなアメリカの人々」を十分知っているので、この映画の捻くれ具合に…もうこらえ切れず大爆笑。笑いがとまらん。だって私は間違いなくルーザーの側だものへっへへへへ。

いいと思いますよ。まっとうな人々。彼らは常に正しいし実際彼らからは学ぶことも多い。だけどま~なんというか…彼らはつまんない人々なのよ。常に「正しく」あろうとして型にはまっているから、彼らに関することは全てが凡庸。あまりそこは非難しちゃいけないんだろうな。それはいいんだけれど…。 

しかし………人によるけれど………アメリカの正義な人の中には超排他的な人々がいる。正義を振りかざす人々。自分たちが世界で一番優れていて、何も間違っていないと自信満々、胸を張って正義を振りかざす高身長にブロンドで青い目の人々。そのようなアメリカの正義の人々は、きっとアジア人で外国人で見るからにはみ出し者の私の存在が気に入らないのだろうと思う。…上等じゃねえか ですね。そのような方々はいつまでも一生トウモロコシ畑で芋を焼いていればよろしい。

そのような人々と不幸にも交流があったものだから、私は己のはみ出し具合をますます意識せざるをえなかった…本当にアンラッキーなめぐりあわせ。だからこの『アダムス・ファミリー2』をもう一度見て、その内容の「アメリカの正義」への辛辣な非難にあらためて驚き、そして嬉しくて嬉しくて嬉しくてたまらんたまらんたまらんうひゃひゃひゃひゃ…。いいぞ!もっとやれ!もう楽しくてしょうがない。溜飲を下げるとはこういうことだろうね。 旦那Aも笑っているのですけど。あなた元々あちら側の人じゃん 笑。 ちなみに旦那Aは私が「正義の人々」に文句ブーブーなことをよく理解している。

サマーキャンプでのウェンズデー姉弟の矯正洗脳の場面で『サウンド・オブ・ミュージック』の曲が流れて私は膝を叩いて大喜び。ワタクシあの映画があまり好きではない。一方的な正義礼賛の映画。旦那Aに出会った頃「私あの映画見たことないよ」と言ったらものすごく驚かれた。そんなあなたたちのスタンダード、しらんがな。…そんなことも思い出して今回二人で大笑い。


少し個人的な思いで、サマーキャンプの事ばかり書いたけれど、映画全体もとても面白いです。ジョーン・キューザックには毎回爆笑する。いい映画です。

実はこの映画の後で1991年リリースの『アダムス・ファミリー』も見たけれどほとんど記憶がない。『2』の方が面白いです。


はみ出し者の映画には心惹かれる。『アダムス・ファミリー』シリーズも、『ロッキー・ホラー・ショー』も『シザーハンズ』も『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』その他ティム・バートンの映画もみんな好きだわ。『グレーテスト・ショーマン』にも泣いたな。


それにしてもこれだけ「正義のアメリカ」を嘲笑している映画なのに、アメリカでそのことに文句を言っている感想をあまり見かけないのは不思議。もっと文句が出そうなのにね。昔の映画だから知らないのかな。