日本代表
YOASOBI – Idol (2023)
Idol – Single
YOASOBI
Released: April 12, 2023
℗ 2023 YOASOBI
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Album: THE BOOK 3
Released: October 4, 2023
℗ 2023 YOASOBI
Live
YOASOBI「アイドル」(Idol)
from 『YOASOBI ARENA TOUR 2023 "電光石火"』
2023.6.4@さいたまスーパーアリーナ
凄まじい。聴くたびに毎回感動する。すごい曲だ。世界的な大ヒット曲なのですけど自分用に考えを書き留めておきたい。
この曲はもちろん紅白の前から知ってはいたけれど、あらためて紅白でその凄さを認識した。紅白のアイドルぞろぞろの演出にも感動した。よかった。まちがいなく2023年紅白一番のハイライト。凄かった。
もっと興味を持ったので動画サイトできちんと曲を聴き、歌詞を調べて読んでみた。これすごいね。歌詞もすごい。韻の踏み方も巧み。音楽的にも様々なパーツがあって複雑な上に、歌詞がしっかりとストーリーを語ってることにも驚く。普通の曲じゃない。日本のボカロ文化がこういう特殊な曲を生み出したのだろう。もうボカロの歴史も長いですもんね。
そしてライブではこの曲をバンドが演奏している!そして人が歌っている!人の声なのにボカロに聞こえる。声の質が似ているのだろう。歌うのはものすごく難しい曲だろうに楽々と歌ういくらさんはは本当にすごいと思う。スタジオ ver.ではパートによっていくらさんの声が変化する。それぞれ違うキャラクターを演じて声が変わっていくのがすごいと思う。
こういう歌は世界にはない。日本/アジアのアイドル信仰文化も独特なものだと思うし、それを象徴した歌詞も素晴らしい。いかにも日本/アジアの歌…独特の文化が進化して生まれた曲なのだろう。
このブログを始めた2011年の年末、「Perfumeが面白いから海外にも行ってくれ」という内容で私はここに文を書いた。当時はKpopが世界に向けて様々な試みをやっていた頃で、それを横目に見ながら「じゃあ日本だってPerfumeみたいに面白いものがあるのだから、日本は日本独自のものを日本のやり方で発信していけばいい。昔、日本が車やカメラを輸出していた時代から移行して、未来には日本独自のソフトが海外に売れるようになればいい。日本も世界に挑戦すればいい」と書いたのだけれど、あれから12年過ぎてまさにそれが実現しつつあるのだろうと思います。今は世界中に日本の音楽やアニメ、映画がじわじわと広がりつつある。
この曲はそのような日本発のソフトとして究極の作品なのだろうと思います。本当にいい歌。何度聞いても飽きない。
アイドルを様々な角度から歌った歌詞が素晴らしい。
1番では、金輪際現れない完璧で究極のアイドルを紹介。「メディア、ミステリアス、エリア、…淡々と、燦燦と、ないないない、ないないない…」韻も踏むから音としても面白い。バックに拍手の音やゴリゴリのベースの音が聞こえる。Wikiによるとこの1番の歌詞はファンの目線だそうだ。
そして2番。引き立て役Bの恨み節。嫉妬心渦巻く…あ~わかるわそうだろうなぁ…業界にはこういう風に思っている1番になれない人も沢山いるのだろう。「…特別です、おまけです、Bです、お陰なわけない、洒落臭い、わけがない、ネタじゃない、許せない、許せない、許せない、認めない」バックの音もボーカルもダークなアレンジ。いくらさんの籠った声音…質感の違う声が被っているのも(匿名性のために)音声を変更しているようで少し怖い。ぞわぞわする。
3番。ゆっくりと王者のマーチ。これはアイドル本人の言葉…「メディア、だけは、キャリア、愛だ、アクア、瞼、マリア、愛だ」しっかりと韻踏むリズムもいい。そしてピアノをバックに独白のようなパート「…そんな私の嘘がいつか本当になること」。そして再度元気を出して「等身大でみんなのことちゃんと愛したいから今日も嘘をつくの…」と開き直る。この歌詞に私はもうたまらず拍手。最後はファンの「君」に向かって本音を言えた「嘘じゃない」と笑顔。したたかですね。ただ曲を聞き流すのではなく歌詞を調べて見ながら聞くと感動する。
詳しく調べたわけではないけれど、日本/アジアのアイドル信仰は独特だと思う。今のところ私は日本と韓国しか知らないけれど、韓国はBTSがすごかったらしいし、日本は「〇〇坂」関連がその傾向をエスカレートさせたのだろうと思う。「信仰」と書いたのは、私にはあの「握手券入りCD」に多くのファンが大枚をはたく様子がまるで宗教に見えたから。この歌はそのような独特の日本の文化的背景もあって出てきた歌詞/ストーリーなのだろう。本当に秀逸。素晴らしい。まさに日本代表。
日本のアイドルといえば…昔は今ほどアイドルアイドル…とは言っていなかったと思うのよ。ジュリーや百恵ちゃん、ピンク・レディーや聖子ちゃん、キャンディーズ…それらのアイドルのファンが熱狂的な時間はせいぜい2、3年…しばらくすればファンの興味も他に移っていたものだったと思う。しかし今の時代はそのアイドル信心の期間も長くなっているのだろう。
またあらためて考えれば、今の時代の人気商売はどのようなジャンルであれ…アイドル・ビジネス/スター・ビジネス的になりやすいのは世界でも同様。ビヨンセもそう。テイラー・スウィフトもそう。MLBの大谷翔平さんもそう。先日のSuper Bowlのアメフトでは今パトリック・マホームズさんという方がスーパー・スターなのだそうだ。どのようなジャンルでも一旦スーパースター/アイドルになってしまえば、後は何をやってもいい。何をやってもチケットが売れる。グッズが売れる。どのジャンルでも「アイドル」になれば巨額のお金が動く。アイドルはどこの国でも巨大産業。すごいものです。
この曲は今の時代を象徴する曲なのだろう。傑作。