★完全ネタバレおおいに注意
日本では去年の12月10日に放送されたもの。こちらでの放送はお正月明けだったと思うが、昨日もう一度録画を見直した。
夏目漱石が悶々とするドラマ…ふふふ。
夏目漱石さんが亡くなったのは49歳だったそうだ…おお。彼の『吾輩は猫である』が出たのが39歳だったそうなので、彼の作家人生はわずか10年。ほぉーなんと短い…。そんなことも今まで知りませんでした。ちょっとびっくり。
漱石さんは作家になる前、ロンドン滞在中に神経症にかかったらしい…そのあたりの気持ちがわからないわけではないので親しみを覚えたこともある。漱石さんの本にはそのロンドンにいた時にハマって、ワタクシも彼の有名な本を何冊か読んだ。
このドラマはそんな夏目さんの48歳の時の恋だそうだ。片思いですね。漱石先生が美女への妄想で悶々とするお話。妄想が膨らみすぎてほとんど独り相撲。オジサン不器用だわ。ほほほ。
お相手は宮沢りえちゃん…京の祇園のお茶屋「大友」の女将・磯田多佳さん。綺麗です。宮沢りえさんはいい女。本当にいい。小さな口の上にすっと通った細い人中が色っぽくていい。皮膚が薄くて大人顔。いい女。
その綺麗なお多佳さんに豊川悦司/漱石先生がデレデレする。最初から最後までお多佳さんを想って悶々とする。
最初の出会いから夏目先生の緊張がおかしい。コチコチに緊張してる。不器用なのね。お多佳さんが「吾輩は下戸である」と言えば、漱石先生が早速ニヤニヤし始める。スケベオヤジの顔だ。
2日後、漱石先生は自ら多佳さんに電話をかける。「お多佳さんかい?夏目です。どうも先日は。その…。よかったら今夜、遊びに来てくれませんか?では待っています。」ふふふふふ漱石ウキウキ。「咲かぬなら咲かせてみましょう紫陽花の花…」とつぶやく。
お多佳さんがやってきた。一緒に食事。漱石ニヤニヤ。うん。うん。嬉しそう。ところがお多佳さんは邪魔者(加賀正太郎を)を呼びたいと言う。そこで漱石先生は目を伏せる…「お多佳さん、…しかし今日は、私は誰に催促されるでもなく自らの意志で電話をかけた。なぜだと思います。…話したかったから。」おおっ。「もっとあなたと話したかったからです」いいぞっ先生GO!「二人っきりで、あなたと話しをし、もっとあなたを知りたいと思ったからです」おおっいいぞっ勇気あるな…お多佳さんが怯えている。…お多佳さんの「先生?」で現実に引き戻される。笑
邪魔者の登場に先生は大変機嫌が悪い。加賀君は胃も丈夫。その加賀君が先生にお願いごとを言い出す。それに答えて不機嫌な先生「チンチラデンキ 皿持てこ 汁のましょ」(←笑)イジメ、パワハラだ…これも妄想…漱石先生の悪い顔。
その帰り際、多佳さんからデートのお誘い「先生、晴れて暖かかったら、うちと北野さんへ梅見に行っておくれやすやろか?」漱石嬉しい。漱石ウキウキ。
「晴れたらお多佳さんと梅、晴れたらお多佳さんと梅、晴れたらお多佳さんと梅…」と呟きながら梅の絵を大量に描く。←爆笑
当日は快晴。お多佳さんを待つ先生。来ない。なぜだ…なぜだ…なぜだ? 人力車で京都観光に一人出かけ、オムライスを食べて「まずいっ!」
…東京に帰ると言う。
「春の川を 隔てて おとこ おんなかな」
面白かったのはここまで。妄想がおかしくて、漱石先生がおかしくて何度も膝を叩いて笑った。ははははははは。豊川さんも楽しんで演じていらっしゃいますね。おかしい。
胃痛で苦しんでいる時に訪ねてきたお多佳さんに,(妄想で文句を言ったように)実際に文句を言えればよかったのよね。でも漱石さんは言えないのだね。まぁ不器用「あなたのせいですよ。あなたが二日も訪ねてくれないから寂しくてこんなに悪くなってしまった。」おお、それが言えるなら文句だって言えるじゃないか…。
先生、若いきんちゃんにキャア… ステキヤワァ…と言われてまんざらでもないのも面白い。漱石デレデレ。嬉しそう。
その後の、多佳さんのお店や、岡本橘仙さんあたりの話で中だるみ。漱石先生から話がそれると面白くなくなる。お多佳さんの「黒髪」は漱石先生への想いなのか。橘仙さんとお多佳さんが親しいのはわかるけれど、橘仙さんは嫉妬してるの? それに漱石先生が病気のためにお多佳さんの「大友」で一晩過ごす場面も、まさか襖一枚を挟んで男女が隣同士で眠ることはないだろう。襖一枚で分けた隣の部屋ってほとんど同じ部屋にいるのと同じですからね。ものすごく無防備。あの場面は不自然なのではないのかなぁ。もっと遠くの部屋が空いてなかったんだろうか。
お多佳さんの「風流ぬす人」を読む場面では、内容から漱石先生がお多佳さんと橘仙さんの仲を知るということなんだろうけれど、なんだか残念だわ。橘仙さんが全然魅力的じゃないのも困りましたね。邪魔者。漱石先生もかわいそうだけれど、やってきた奥さんに八つ当たりはいかがなものか(笑)。
漱石先生が東京に帰ってきた後で、お多佳さんにうだうだくどくどくどと説教手紙を書くのもいただけない。口で言えなかった本音を、文章にしてくどくどと文句+説教。なんだなんだなんだなんだなんだ? んまーしちめんどくさい男やね。んまー本当にめんどくさいわ。この手紙って実話なのかしら? 知りたいですねぇ。漱石先生はめんどくさい男ですわ。そんなきつい手紙を書くぐらいなら、直接文句を言った方がいいのになぁ。しかし文豪ならそれも愛嬌。お多佳さんも涙涙で説教手紙を受け入れているんだろうけど、もともと先生が嫌いじゃなかったのね。だってこのお手紙、とてもまわりくどいけれど、
愛の告白
だもの。しかしこのタイプは私はダメだわ。先生くどいわ。(^_^;)\
漱石先生は困った男ですねまったく。この説教手紙を書いた頃の漱石先生は、もう今の私より年下ですもん。びっくりです。このお方は色々と最後までこだわりを捨てられなかったのかな。面白い本も書いているからユーモアのセンスはあるんだろうに。55歳ぐらいまでお元気なら達観して(生きることも)もう少し楽になったかもしれないのに。
それにしても真面目不器用な消極的堅物中年オヤジの、女性への妄想デレデレは見ていてとても面白いのだはははは。このドラマも前半がとても面白かった。豊川さんのニヤニヤデレデレだけでドラマ全編やってほしい。
漱石先生が黒猫を飼っていたことを最近知ったので私は嬉しい。やっぱり親しみがわく。
ところで若い頃の漱石先生のドラマ『夏目漱石の妻』は見逃してしまった。見たいですねぇ。
…つい思いついて岩波文庫の夏目漱石作品集のセットをアマゾンで購入! 以前から未読分の文庫を買い足そうと思っていたところ。これでコンプリートできる。ひゃ~~~っ!\(^o^)/