能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年6月3日日曜日

最近のperfume:またまたPerfumeがJAPAN TIMES の記事に




リンク
http://www.japantimes.co.jp/culture/2012/05/31/culture/perfume-needs-to-walk-a-fine-line-on-its-path-overseas/#.UmnLGVVZwqI

Perfume needs to walk a fine line on its path overseas.
全和訳はネット上に既にあがっているようです。


先日530日付けで、なんとまたまたPerfumeの記事がJapan Timesに掲載されたようです。このお方イアンさん、以前アルバム『JPN』をかなり辛辣にこき下ろしていたんですが、今回はPerfumeUniversal  Japanへの移籍に関して、かなり本気でPerfumeの海外での可能性について分析してくれてるみたいです。とにかく、この人はいろいろと詳しいですね。相変わらずなんだかエラソーな口調なんだけど、今回の内容には私もほぼ同感です。分析をした上で「これから楽しみだ。」と書いてくれているので、Perfumeに喧嘩を売っているわけではなさそう(冗談です)。



「まず日本の音楽を海外に売るのなら、あほらしい“クールジャパン”をまず忘れろ。」と言ってます。鋭いですね。確かにPerfumeを売るのに“クールジャパン”などというラベルはあほらしいです。「そもそもあんなものは日本人をいい気持ちにさせるだけのもので、広告業界に公金が回るためのこけおどしにすぎない」とアート界の村上隆さんの言葉に言及している。その後にいろいろと言っていることはPerfumeとはあまり関係ないです。日本文化がいろんなものの寄せ集めだというのは鋭い。

そういえばこの言葉で思い出したけど、このイアンさんの国、英国でも15年ぐらい前に“COOL BRITAIN”というのが流行ったんですね。流行ったという以上に、当時新しく政権をとった労働党のブレア首相がこの言葉を使って実際に国家ブランド戦略と言うものを大々的にやったんです。これは英国国内の景気付けから始まったと思うのですが、国内経済の活性化という意味でそれなりの結果も出したんですね。なによりも英国の国民がいい気持ちになった。当時英国は、大変景気がよくて、ほんとにほんっとに皆元気だったんですよ。ばかみたいに希望に溢れた空気感があった。ところが45年もしないうち言葉自体が旬な時期を過ぎて、なんだかかっこ悪いものになってしまって…。そんなあたりからの警告かもしれません。気をつけたほうがいい…。私には、国が関わることが良いのかどうかは解らないけど、感覚としては国が関わった時点でかっこいいのピントがずれるような気がするのも事実。


そんな十把一絡げの“クール・ジャパン”なんて無視してPerfumeがどうやったら売れるのかを独自に考えるべきだと言っている。正論。「隙間(市場)」がキーワード。YMOとコーネリアスを挙げ、どちらもそれぞれ独自の個性と(天才的にすばらしい)音楽性、それに(日本から来たという)異国風の味付けが海外でも面白くてうけたのだと言っている。Perfumeも同じように考えるべきだということでしょう。私も同感。

Perfumeの面白さも、彼女達独自のスタイルとともに、彼女達を支える強力なスタッフの力が大きいこと。Puffyがアメリカでアニメになってうけたことに言及し、同じような客に受けるかもしれないこと。中田ヤスタカさんがべったりくっついてサポートしてくれたらもっといいと言っている。私も中田さんとセットはいいと思う。

彼によると、ヨーロッパは国によってそれぞれ違うのでそれぞれのマーケティングが必要ではないか…。

そんなこんなで、Universal Japanも(iTunesなんかの)売り上げの様子を見守っているらしいこと。それにあちらで大きく出るのなら、大きなプロモーターを雇った方がいい(これはほんとにそうです)。そうすれば、アニメエキスポよりも市場を拡大することが出来るだろう。ともかく、楽しみだと締めくくっている。


ほんと楽しみです。…しかし、こういう海外出身の方がこんな風に日本の音楽を分析して、それらが過去に海外でどんな位置にいたのかを把握し、その上で今後のPerfumeの海外での可能性も探ってくれているのを見るにつけ、さてそれでは、日本の国内のメディアや、国内の音楽業界の方々で、これぐらい冷静に、同じような分析のできる人がどれくらいいるのかということにも興味が湧いてきます。今までの宇多田さんや聖子ちゃんの海外でのぱっとしなかった結果は、こういう日本のJ-POPを海外へ売ろうとした業界の方々に、いまひとつ海外市場の知識や事前調査が欠けていたからではないか…という気がしないでもない。海外に打って出るのなら、まず敵を知ること。これがほんとうに出来ているのかということです。


それと同時に、自己(の作品)に対しての冷静な自己分析・批判(Self-Criticism)が出来るかどうかも大切。Perfumeを海外に売る場合もそう。日本製品を海外に売る場合もそう。自己批判が出来るからこそ目的に向かって最善を尽くすための努力、改善ができるわけです。「とりあえずYoutubeで人気みたいだから…、音楽もいいと思うし…、Perfume可愛いし…、とりあえずiTunes出してみようかな…」みたいにのんびりやっていたら売れないです。マジで(特に西洋)。


このイアンさんの分析、それに先日の、同じくJapan TimesPefumeの記事を読んで、そういえばこんな記事、日本語のメディアではあまり見かけないなと思ったんですね。Perfume陣営の内部からも今のところあまりこういうものは見えてこないし…。もしPerfumeであれ誰であれ、日本からのJ-POPを海外に売って出るのなら、西洋の音楽市場に詳しい人材(例えば外国人)を、レーベルやレコード会社の内部に入れて、徹底的に現地のリサーチをするとかやったほうがいいんじゃないかと思えてきます。実際の状況はどうなんでしょうか…。