アジア人のショービジネス界での現状 -3 --------------
5-●西洋世界でのアジア人映画スター達(外国人編)
それでは、アメリカで名前を知られるアジア人スター。外国人枠ではどうか。彼らは中国、それに香港、マレーシアなどを含む中国語圏、それから日本などの外国人のスター達だ。
チャン・ツィイー、ゴン・リー、ミシェル・ヨー、ジャッキー・チェン、ジェット・リー、チョウ・ユンファ、渡辺謙、菊地凛子
ジャッキー・チェンは一番よく知られているだろうが、カンフー枠の特殊なスター扱いとしたい。彼以外の他のアジア人スター達は、大抵の場合彼らの出身国の文化を背負って認識されることが多い。「○○国のスターだからエキゾチック(異国風)でかっこいい」という扱いだ。
香港映画からハリウッド入りした『アンナと王様/Anna and the King』のチョウ・ユンファ、『ラストサムライ』の渡辺謙。 チャン・ツィイーやゴン・リーも、近年西洋に多く輸出されるようになった中国映画で有名になり、「ミステリアスなアジアの美女」という枠で知られるようになった。当然彼らが認識されるようになったきっかけの映画は、彼らの国で作られた映画、または彼らの国を舞台とした映画だ。言語もその国の言葉。映画がヒットすると、俳優それぞれが彼らの出身国やその文化を代表しているかのような扱いで、かっこいいエキゾチックな異国人スターと認識される。
しかしながら、彼らの西洋世界での人気の寿命は短い。映画がヒットすれば、一時的には大変な人気だが、その後も同じような立ち位置を保ち続けるのは非常に難しい。唯一『グリーン・デスティニー/Crouching Tiger, Hidden
Dragon』のチャン・ツィイーが、映画の爆発的な人気、それに続いてリリースされた『LOVERS/House of Flying Daggers』、ハリウッド映画の『SAYURI/Memoirs of a Geisha』の話題性で大スターになった。外国籍のアジア人でセレブリティの位置に最も近いのが彼女だろう。しかし彼女もその後ハリウッドでの作品には恵まれていない。時計のオメガやメイベリンの広告に顔を出しているが、明らかにアジアの市場向けのものだ。顔や名前は知られていても欧米でトップクラスのセレブリティとは考えづらい位置にいるのではないか。また質のいい中国映画での成功が待たれるところだろう。