さてその曲から思い出したのは2000年頃の英国のアシッド・ジャズで聴いた音。例えばDown To The Boneの曲…一番雰囲気が似ているのが To The Bone (1999)(アルバムは『The Urban Grooves: Album II』…YouTubeには公式であがっているのだけれどなぜか日本からは聴けないらしい)。1970年代のR&Bと、1990年頃のサンプリング多様のヒップホップを足して洗練させてお洒落な2000年風にした音。
それでは最後に、1989年のSchoolly Dさんがサンプリングとして使った元ネタに遡ろう。これが今回のMaceo & The Macks - Soul Power 74 (Part. 2)(1974)。
これなぜ 「Part. 2」となっているのか?それは、このインスト曲の元曲が「Soul Power Pt. 1」…あのJames Brown氏の1971年にリリースされたシングルだから。
今回とりあげるこのインスト曲「Soul Power 74 - Part 2」もジェームス・ブラウンがプロデュースしたもので…元曲「Soul Power Pt. 1」のボーカルを抜いてオリジナルのリズム・パートに、新たに Maceo Parker(トランペット}とFred Wesley(トロンボーン)のホーンを重ねて録音したもの。
この新しいバージョンは1973年10月、Maceo and the Macksの作品として2パートのシングルとしてリリースされた。それが当時のR&Bチャートで20位を記録し、翌年1974年には Maceo and the Macksのアルバム『Us』にも納められた。
アーティストはSchoolly Dさん。映画はChristopher Walken主演、Abel Ferrara監督の『キング・オブ・ニューヨーク/King of New York』。ニューヨークのマフィアの映画でかなり暴力的な映画なのだけれどお洒落。とにかくクリストファー・ウォーケンがかっこいい💕 彼がニューヨークのギャングの親分をやっている。その映画のパーティーのシーンでこの曲の速度を速めたver.が流れた。
昨日のDynamicduoさんの曲「PITAPA 」を聴いて、その音の質感ですぐに浮かんだのが、2000年頃に私が英国で聴いていたアシッド・ジャズのプロジェクト Down to the Bone 。そのプロジェクトのことは以前ここに書いたのでここでは割愛するけれど、このプロジェクトの曲の元ネタの多くは1970年後期R&Bから1990年代のアメリカのヒップホップ。特に1980年代後期から1990年頃のサンプリングを多用した音にインスパイアされた曲が多い。1990年頃のヒップホップの音を2000年当時らしくもっと洗練させて新規にリリースした曲がとてもかっこよかった。
昨日の「PITAPA 」はその Down to the Bone の曲「To The Bone」にとても似ている。レコード盤の雑音を曲にも取り込んでレトロな雰囲気を出す。それがかっこいい。センスがよくてお洒落な音。
じゃあその 2000年頃のアシッドジャズの作曲家がインスパイアされた1990年頃ヒップホップの音とはどのようなものか?それで頭に浮かんだのがこの曲。Schoolly D「Am I Black Enough For You?」
全部の音がサンプリング。昔のレコードのプチプチ言う雑音も入っている。サンプリングの元曲は3曲。
● Mandrill - Fat City Strut (1973) …冒頭のみ ●Billy Paul - Am I Black Enough for You? (1972)…サビのボーカル ●Maceo & The Macks - Soul Power 74 (Pt. 2)(1974)…サックス全て
★Schoolly D Jesse Bonds Weaver Jr. さん。米国ペンシルバニア州フィラデルフィア出身のラッパー。1962年生まれ。1980年代半ば頃からDJ Code Moneyと共に大都会のリアリズムを歌い始める。彼の曲は映画監督Abel Ferrara氏の映画に何度も使われていて、特に『King of New York』のこの曲は有名。Gangsta rapを生み出した人物として尊敬されている大御所。
訳注…違ってるかも ● I don't need no isis esoterica esoterica/エソテリカはシミ取り美白クリームの名前かな
isis はわからない esotericaは秘儀や奥義 isisの秘儀?
(旦那Aはリズムを合わせているだけだろうと言う)
ここでは前のアメリカとエソテリカで韻を踏んでいる ● I'm just, rough and tough, and takin' no stuff(←修正しました) 俺は「何も受け取らない」
俺は強くてタフで、周りのネガティブな影響は決して受けない
強気で譲らない…=言葉は悪いが take no sh*t と同じ意味
● Pullin my cape, is a very bad habit 「ケープ/マントをひっぱる」のは「英雄的なペルソナを取る」
=引き摺り下ろす
● My fat chain I am chokin'
首の金のチェーンが太過ぎて重くて首が締まりそう ● All through the school, you should be votin' 名前がSchoollyなので学校が出てくるのだろうけどvotingは俺をサポートしろかな
Am I Black Enough For You? Schoolly D ---------------------------------------------------------------------