全てはここから始まった
Maceo & The Macks - Soul Power 74 (Pt. 2)(1974)
Album: Us
Maceo & The Macks
Released: February 19, 1974
℗ 1974 UMG Recordings, Inc.
勝手にHip Hop談義をやっておりますが…。現在のダンスミュージックにも絡んでくる…R&Bやヒップホップが1970年代からどのように進化したのかを考える。海亀が個人的に感じた音楽の進化を少し書き留めておこうと思う。
きっかけになったのは数日前に取り上げたDynamicduo – PITAPA (2024)。ともかくかっこいいアーバン系のダンスミュージックとして英国のクラブチャートに入ってきたのを見て驚いた。なんとセンスのいい。そして最後に入ってくる優しいメロディがとてもK-pop風で、それも曲に新しさを加えている(進歩した形なのだろう)と思い感心した。
さてその曲から思い出したのは2000年頃の英国のアシッド・ジャズで聴いた音。例えば Down To The Bone の曲…一番雰囲気が似ているのが To The Bone (1999)(アルバムは『The Urban Grooves: Album II』…YouTubeには公式であがっているのだけれどなぜか日本からは聴けないらしい)。1970年代のR&Bと、1990年頃のサンプリング多様のヒップホップを足して洗練させてお洒落な2000年風にした音。
じゃあそのDown To The Boneがインスパイアされた1990年頃のサウンドは? それで思い出したのが昨日のSchoolly D - Am I Black Enough For You? (1989)。過去のR&Bのサンプリングが多様された1990年頃のヒップホップ曲。
それでは最後に、1989年のSchoolly Dさんがサンプリングとして使った元ネタに遡ろう。これが今回のMaceo & The Macks - Soul Power 74 (Part. 2)(1974)。
これなぜ 「Part. 2」となっているのか?それは、このインスト曲の元曲が「Soul Power Pt. 1」…あのJames Brown氏の1971年にリリースされたシングルだから。
今回とりあげるこのインスト曲「Soul Power 74 - Part 2」もジェームス・ブラウンがプロデュースしたもので…元曲「Soul Power Pt. 1」のボーカルを抜いてオリジナルのリズム・パートに、新たに Maceo Parker(トランペット}とFred Wesley(トロンボーン)のホーンを重ねて録音したもの。
この新しいバージョンは1973年10月、Maceo and the Macksの作品として2パートのシングルとしてリリースされた。それが当時のR&Bチャートで20位を記録し、翌年1974年には Maceo and the Macksのアルバム『Us』にも納められた。
なんと元々はジェームス・ブラウンの曲だったのですね。このインスト ver. がもう最高。サックスが最高にかっこいい。ダンス・ミュージックとして最高最高。無茶苦茶かっこいい。これ1974年の曲なんて思えないくらい今でもイケる。かっこよすぎ。
それにしてもやっぱりジェームス・ブラウンなのだな。やっぱりこのお方がファンク系の元祖ですね。踊れるリズムの元祖。私は彼の曲は1曲(ゲロッパ)ぐらいしか知らないと思うけれど、やっぱりすごいんだなと思った。かっこよすぎ。
というわけでまとめ
● 1974年のジェームス・ブラウンのプロデュースのインスト曲が
● 1990年頃のラップ曲にサンプルで使われ、
● その音の質感が2000年頃のアシッド・ジャズに受け継がれ、
● そして2024年には韓国のグループが温故知新してリリース
進歩してますね。面白いな~と思った。
実は今どきの英国アーバンだとか米国のヒップホップは全然違う雰囲気の曲が多いです。ラップはともかく、バックのリズムや質感がまったりゆっくりの曲が多い。あまり踊れない曲も多い。
それにしてもダンス系の音楽はこれからどのようになっていくのか。実はここのところ英国のクラブ・チャートを聴いていてもあまり面白い曲がなくてつまらないのですよ。もしかしてEDMもそろそろネタ切れなのではないかと思ったりしている。
チャートに上がってくる多くの曲がリズムもメロディーも単調。リピートが多すぎ。尺も短い。それを言うのなら今どきのヒップホップ系の曲も単調なものが多いのですけどね。
ここで取り上げたような昔のヒップホップやR&Bの曲を聴くと、昔の曲がいかに音楽的に豊かであったのかを思わずにはいられない。
EDMやヒップホップ系界隈、これから大丈夫かなと少し心配になりますね。