能登半島地震 ─ 寄付・支援情報
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2022年1月18日火曜日
2022年1月17日月曜日
CBS 『One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga』★Lady GAGA 編
去年のクリスマスから2週間ほど休暇をとったので(家でだらだらしただけだけど)、記録しておかねばならぬものがたまっている。このテレビ番組が放送されたのは去年の11月28日。CBSチャンネルにて。
以前からレディ・ガガさんはジャズの大御所トニー・ベネットさんと何枚かジャズのアルバムを出している。私はつい最近まで知らなかったのだけれどYouTubeにもお二人のMVがいくつか上がってますね。
このライブのショーは、去年の8月3日にニューヨークのRadio City Music Hallでのトニー・ベネットさんの95歳の誕生日に開かれたスペシャルなコンサート。レディ・ガガさんが前座であり、司会であり、トニーさんのエスコートであり、デュエットのパートナーであり…と様々な役を華やかにこなしてます。素晴らしいです。
最初にこのライブのことを知ったのは、去年の10月に放送されたCBSのインタビュー番組『60 minutes』。実はトニーさんは近年アルツハイマー症を患っていらっしゃるというリポート。そしてその症状にもかかわらず、去年の8月3日の彼の誕生日に最後のライブ・コンサートを開いたという…その番組は、この11月28日の番組の紹介番組でもあったのですね。
さっそく拝見。
素晴らしかった
感動しましした。
トニー・ベネットさんの奇跡。そしてレディ・ガガさんの素晴らしさ。
トニーさんの95歳の誕生日に、彼を囲んで会場中が温かさに溢れてます。すごくいい雰囲気。これこそライブでならではの素晴らしさ。最高です。本当にいいショー。涙が出た。
トニーさんもガガさんもそれぞれが素晴らしかったので、それぞれの感想を記録。
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Lady Gaga
彼女のことは長い間よく知らなかった。実は初期に出した『Born This Way』のサビがあまりにもマドンナの『Express Yourself』に似ていて(巷でもそう言われていた)、その印象もあったせいで私はずいぶん長い間彼女に興味を持たなかった。
彼女のことを最初にいいと思ったのは、2017年のスーパーボウルのショー。そこで歌ったバラード『Million Reasons』が素晴らしかった。とにかく歌が上手い。声に力とカリスマがある。そこで彼女がマドンナとは比べ物にならないほど歌が上手いと初めて知った。
チャリティーのショーで歌った時に、個人的にトニーさんに呼ばれて「レディ、君はジャズシンガーだ。」と言われた。それを聞いてガガさんが「トニーさんありがとうございます。でもあなたは私の歌を2曲しか聴いてません」と答えると「それで十分なんだ。君はジャズシンガーだ。僕にはわかる。一緒にアルバムを出さないかい?」とトニーさんに誘われたんだそうです。
すごいですね。大御所中の大御所にたった2曲でデュエットのオファーをもらう。それほどガガさんの歌がすごいということ。それでお二人はコラボのアルバムを数枚出してます。
この、去年の8月に開かれたトニーさんのバースデー・コンサートでのガガさんは、彼女の素晴らしさを全て出し切ってます。トニーさんへのリスペクトと感謝、愛愛愛と思いやりにあふれるまなざし、トニーさんを気遣う仕草と言葉の数々。
そして彼女自身のショー…彼女の歌がこれ以上ないほど楽しい。歌が上手い。そして彼女は歌が上手いだけじゃない。彼女は歌に特別なものを加えてスペシャルなものにするお方。本当にすごいと思った。彼女のカリスマが歌を華やかにする。
ジャズのスタンダートは様々なボーカリストが歌っていてそれぞれ十人十色。みんなが知ってる歌だから、それらの歌はそれぞれ歌手の料理の仕方次第で印象が変わる。並のボーカリストなら(いやプロの歌手でさえ)歌との相性によっては結構つまらないものも多いのですよ。
ところが、ガガさんの歌は面白い。パフォーマンスもユーモアがいっぱいで楽しい。エネルギーに溢れていて、彼女がジャズのスタンダードを歌えば、まるでポップソングのように歌が活き活きと響き始める。それは彼女のカリスマと声の力による。本当に楽しい。そして彼女は常に観客に話しかけ、語りかけ、目配せをし、笑わせ、冗談を言い…。常に客を楽しませる。彼女は最高のエンタテイナー。本当に楽しい。ガガさんの凄さはこれなのですね。ものすごくいいライブ。驚くほど素晴らしい。
すごいですね。大御所中の大御所にたった2曲でデュエットのオファーをもらう。それほどガガさんの歌がすごいということ。それでお二人はコラボのアルバムを数枚出してます。
この、去年の8月に開かれたトニーさんのバースデー・コンサートでのガガさんは、彼女の素晴らしさを全て出し切ってます。トニーさんへのリスペクトと感謝、愛愛愛と思いやりにあふれるまなざし、トニーさんを気遣う仕草と言葉の数々。
そして彼女自身のショー…彼女の歌がこれ以上ないほど楽しい。歌が上手い。そして彼女は歌が上手いだけじゃない。彼女は歌に特別なものを加えてスペシャルなものにするお方。本当にすごいと思った。彼女のカリスマが歌を華やかにする。
ジャズのスタンダートは様々なボーカリストが歌っていてそれぞれ十人十色。みんなが知ってる歌だから、それらの歌はそれぞれ歌手の料理の仕方次第で印象が変わる。並のボーカリストなら(いやプロの歌手でさえ)歌との相性によっては結構つまらないものも多いのですよ。
ところが、ガガさんの歌は面白い。パフォーマンスもユーモアがいっぱいで楽しい。エネルギーに溢れていて、彼女がジャズのスタンダードを歌えば、まるでポップソングのように歌が活き活きと響き始める。それは彼女のカリスマと声の力による。本当に楽しい。そして彼女は常に観客に話しかけ、語りかけ、目配せをし、笑わせ、冗談を言い…。常に客を楽しませる。彼女は最高のエンタテイナー。本当に楽しい。ガガさんの凄さはこれなのですね。ものすごくいいライブ。驚くほど素晴らしい。
彼女は今36歳だそう。今までスーパースターとして活躍し、大きなステージで何百、何千ものショーを成功させてきた力とキャリアの長さもあって、ジャズのスタンダードの歌も堂々とおおらかに楽しそうに歌っている。難しい歌も楽々と余裕で歌いこなす。本当にかっこいいです。声は今がピークかもしれません。最高。
こんなにエキサイティングで楽しいジャズ・シンガーはめったにいないと思う。やんちゃな男の子みたいに元気一杯に飛び跳ねながら、踊りながら、歌う歌う歌う。沢山のユーモアに笑う。ガガさんの歌は楽しい。それがよ~くわかったショーでした。見てよかった。
そして大先輩トニーさんへのリスペクトと愛が素晴らしい。お二人の楽しさが伝わってくる。ガガさんが本当にいい人なのですね。大先輩のトニーさんを立てて支えるのが心から嬉しくて楽しそう。トニーさんも嬉しそう。本当にいいショーです。
彼女はこれが出来る人。ニューヨーク育ちのお嬢さん。トニーさんへのまなざしはリスペクトに溢れていて温かく、そして愛情深く、その上で御本人も爆発的にいいショーをする。すごい女性だと思う。 比べちゃ悪いが…マドンナにはこれは出来ないと思う。マドンナさんは60歳を過ぎた今でも「私が私が」とエゴばかり(昔大ファンだった私がそう思う)。 しかしガガさんはこのショーでエゴを全く出すことなくトニーさんを愛で包み、トニーさんにエネルギーを吹き込みながら支えながらショーをやっている。歌声は最高。ものすごいエンタテイナーだと思った。完全にガガさんに惚れました。
トニーさんの前座としてのガガさんのセットで、最後の「Theme From New York, New York」は絶品。そのMCもいい。まずトニーさんを紹介するように見せかけて、ニューヨークの歌を紹介する
「紹介したい人がいるの。でも彼をただ紹介はできない。彼の事を歌わなければ。その歌は私の心にとって真実で、歌う時に誇りに思う歌です。私がニューヨークのストリートを、ピアノを引き摺って歩いていた頃…「いつか誰かが私に才能があると思ってくれますように。そしていつか、私の祖先たちの努力が報われますように」と祈っていた。その頃にわからなかったことが、今はわかる。それは私の足の下にあったと…。/I have someone to introduce. But I can't just introduce him by talking. I gotta sing him. And that song feels truest to my heart, and the song when i sing it I feel so proud. That I walk these street dragging my piano around New York, praying that someday somebody would think I was talented. That someday all the hard work that the legacy of my ancestors put in would come through. And what I would never knew that I know now, is that it was right under my feet.」 (←ニューヨークのことを言っている)
そして歌い終わると、次のトニーさんのショーへ繋げるためのトーク。目の前のニューヨークのオーディエンスに向かって、トニーさんに声援を送るようガガさんが客を煽る。鳥肌が立つほどかっこいい…
「彼は私の友人。彼は私のミュージカル・コンパニオン。そして彼は世界で一番最高のシンガー。ニューヨークよ、あなたに任せたわよ。…彼を笑顔にさせて、彼に声援を送って、彼に叫んで、そして笑って、そして泣いて、あなたの魂を投げだしてちょうだい。だって…それはあなた次第、ニューヨーク、ニューヨーク! /He's my friend. He's my musical companion. And he's the greatest singer in the whole world,. And I'm counting on you New York, to make him smile. So you better cheer, you better yell, you better laugh. You better cry. You better give your soul. Because it's up to you, New York New York.」
あまりに素晴らしいのでまだこの録画が消せないでいる。しばらくHDに残そうと思う。お二人に大きな拍手。素晴らしい素晴らしい。
One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga
at radio city music hall
CBS
Setlist
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Lady Gaga
Luck Be a Lady (Frank Loesser) (Orchestra)
Orange Colored Sky (Milton Delucc, William Stein) (Orchestra)
Let's Do It (Cole Porter cover)
Theme From New York, New York (John Kander, Fred Ebb) (Big Band/Orchestra)
Luck Be a Lady (Frank Loesser) (Orchestra)
Orange Colored Sky (Milton Delucc, William Stein) (Orchestra)
Let's Do It (Cole Porter cover)
Theme From New York, New York (John Kander, Fred Ebb) (Big Band/Orchestra)
Tony Bennett
Watch What Happens (Michel Legrand, Jaques Demy, Norman Cimbel) (Orchestra)
Steppin' Out With My Baby (Irving Berlin) (Quartet)
Fly Me to the Moon (Bart Howard) (Guitar) (snippet)
Tony Bennett & Lady Gaga
Happy Birthday to You (Lady Gaga & Audience to Tony Bennett)
Lady is the tramp (Richard Rodgers, Lorenz Hart) (Orchestra)
Love for Sale (Cole Porter)
Anything Goes (Cole Porter) (Big Band)
Tony Bennett
I Left My Heart in San Francisco (George Cory, Douglass Cross)
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CBS 『One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga』★Tony Bennett編
以前からレディ・ガガさんはジャズの大御所トニー・ベネットさんと何枚かジャズのアルバムを出している。私はつい最近まで知らなかったのだけれどYouTubeにもお二人のMVがいくつか上がってますね。
この番組のショーは、去年の8月3日にニューヨークのRadio City Music Hallでのトニー・ベネットさんの95歳の誕生日に開かれたコンサート。レディ・ガガさんが前座であり、司会であり、トニーさんのエスコートであり、素晴らしいデュエットのパートナーであり…と様々な役を華やかにこなしてます。素晴らしいです。
最初にこのライブのことを知ったのは、去年の10月に放送されたCBSのインタビュー番組『60 minutes』。実はトニーさんは近年アルツハイマー症を患っていらっしゃるというリポート。そしてその症状にもかかわらず、去年の8月3日の彼の誕生日に最後のライブ・コンサートを開いたという…その番組は、この11月28日の番組の紹介番組でもあったのですね。
10月に放送されてさっそく拝見。
10月に放送されてさっそく拝見。
素晴らしかった
感動しました。
トニー・ベネットさんの奇跡。そしてレディ・ガガさんの素晴らしさ。
トニーさんの95歳の誕生日に彼を囲んで会場中が温かさに溢れてます。すごくいい雰囲気。これこそライブでならではの素晴らしさ。最高です。本当にいいショー。涙が出た。
トニーさんもガガさんもそれぞれが素晴らしかったので、それぞれの感想を記録。
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このトニーさんのラスト・コンサートの事は、前述の『60 Minutes』のレポートで知った。トニーさんは近年アルツハイマー症を患っていらっしゃる。それなのに歌を歌えば歌詞もリズムも一切間違うことなく歌い上げることができる。それが脳科学的に見ても特別だという話だった。
感動しました。
トニー・ベネットさんの奇跡。そしてレディ・ガガさんの素晴らしさ。
トニーさんの95歳の誕生日に彼を囲んで会場中が温かさに溢れてます。すごくいい雰囲気。これこそライブでならではの素晴らしさ。最高です。本当にいいショー。涙が出た。
トニーさんもガガさんもそれぞれが素晴らしかったので、それぞれの感想を記録。
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Tony Bennett
このトニーさんのラスト・コンサートの事は、前述の『60 Minutes』のレポートで知った。トニーさんは近年アルツハイマー症を患っていらっしゃる。それなのに歌を歌えば歌詞もリズムも一切間違うことなく歌い上げることができる。それが脳科学的に見ても特別だという話だった。
60 Minutes
Despite his Alzheimer's, Tony Bennett prepares to perform with Lady Gaga
https://www.youtube.com/watch?v=yNrvXw9juNs
トニーさんはいつもニコニコ笑顔。セントラルパークを見下ろす部屋でトニーさんは穏やかに暮らしていらっしゃる。『60 Minutes』のアンダーソン・クーパー氏が訪ねていってインタビューをしても会話はほぼ成り立たない。物事の記憶もほぼ残らないのだそうだ。それなのにピアノの伴奏を聴けば歌の記憶がよみがえる。今まで会話もできなかったのが嘘のように、まるで時間が遡ったかのようにしっかりとした声で歌詞も間違えることなくトニーさんは歌をお歌いになる。
トニーさんの誕生日は8月3日。レディ・ガガさんと共にトニーさんは8月3日と5日の二日間、 ニューヨークのRadio City Music Hallのステージにお立ちになった。そのことにまず感動する。
テレビで放送されたライブは全45分ほどに編集されたものらしいが、実際のライブではガガさん10曲。トニーさんのソロで11曲。そしてデュエットで3曲。アンコール1曲のずいぶん長いショーだったらしい(Setlist com.で確認)。トニーさん15曲もお歌いになったのですね。驚いた。
トニーさんはいつもニコニコ笑顔。セントラルパークを見下ろす部屋でトニーさんは穏やかに暮らしていらっしゃる。『60 Minutes』のアンダーソン・クーパー氏が訪ねていってインタビューをしても会話はほぼ成り立たない。物事の記憶もほぼ残らないのだそうだ。それなのにピアノの伴奏を聴けば歌の記憶がよみがえる。今まで会話もできなかったのが嘘のように、まるで時間が遡ったかのようにしっかりとした声で歌詞も間違えることなくトニーさんは歌をお歌いになる。
トニーさんの誕生日は8月3日。レディ・ガガさんと共にトニーさんは8月3日と5日の二日間、 ニューヨークのRadio City Music Hallのステージにお立ちになった。そのことにまず感動する。
テレビで放送されたライブは全45分ほどに編集されたものらしいが、実際のライブではガガさん10曲。トニーさんのソロで11曲。そしてデュエットで3曲。アンコール1曲のずいぶん長いショーだったらしい(Setlist com.で確認)。トニーさん15曲もお歌いになったのですね。驚いた。
ガガさんの前座が終わったあと、幕が開いてトニーさんが登場。声がしっかり。まず95歳の方の声だとは思えない。すごいです。しっかりとした声。やっぱり上手い。歌詞もしっかり。彼が歌ったセットは全部で15曲。このお方が普段会話もままならないほどの状態だと誰が想像できるだろう。
トークは少ないけれど、観客のリアクションを見て「Wow!」ととても嬉しそう。観客に向かって親指を何度も上げ満面の笑み。トニーさんは本当に嬉しそう。その彼を包む会場の温かさ。それがいい。テレビなのに感動してしまって涙が出そうになる。本当に素晴らしい素晴らしい。
トニーさんがソロのパートを終えて、ガガさんがステージに出てくる。そして彼が「Wow, Lady GAGA!」と彼女の名前を呼ぶ。その時のガガさんのリアクション。 このことは前述の『60 Minutes』のリポートで知っていた…。このコンサートの準備期間中、トニーさんはガガさんの名前を一度も呼ぶ事がなかったのだそう。彼女の名前を思い出せなかったのだそう。それなのに、8月3日のその日、ショーの真ん中、観客の見守る中、トニーさんが突然「Lady GAGA」の名前を思い出し彼女を呼んだ。だからガガさんがステージ上で泣きそうになってる。私も泣く。
奇跡ですよね。音楽の力。トニーさんは人生の全てで歌を歌ってきた。その歌は彼の脳に深く深く刻まれていて、それらの歌はアルツハイマー症になっても消える事がない。歌の記憶は音楽で呼び起こされる。そして音楽に刺激を受けて、またステージ上で歌を歌っていることの刺激によって脳が覚醒。それまで思い出せなかったガガさんの名前を突然思い出し彼女の名前を呼ぶ。それは医学的に見ても特別なことなのだそう。
芸術の奇跡を見た。すごい話。芸術の力とはそういうものなのかも。一生をかけてやってきた経験は決して脳から消えることはない。認知症であってもトニーさんはステージに立ち、しっかりと歌い、声も歌詞も淀むことなく何曲ものセットをプロとしてショーを成し遂げる。感動感動感動。本当にすごいことが起こったのだと思う。泣。
ステージ上のトニーさんは心の底から幸せそうだ。その笑顔に幸せをもらえる。感謝感謝感謝。この録画は消せませんね。時々見直して幸せを感じたい。
One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga
at radio city music hall
CBS
Setlist
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Lady Gaga
Luck Be a Lady (Frank Loesser) (Orchestra)
Orange Colored Sky (Milton Delucc, William Stein) (Orchestra)
Let's Do It (Cole Porter cover)
Theme From New York, New York (John Kander, Fred Ebb) (Big Band/Orchestra)
Luck Be a Lady (Frank Loesser) (Orchestra)
Orange Colored Sky (Milton Delucc, William Stein) (Orchestra)
Let's Do It (Cole Porter cover)
Theme From New York, New York (John Kander, Fred Ebb) (Big Band/Orchestra)
Tony Bennett
Watch What Happens (Michel Legrand, Jaques Demy, Norman Cimbel) (Orchestra)
Steppin' Out With My Baby (Irving Berlin) (Quartet)
Fly Me to the Moon (Bart Howard) (Guitar) (snippet)
Tony Bennett & Lady Gaga
Happy Birthday to You (Lady Gaga & Audience to Tony Bennett)
Lady is the tramp (Richard Rodgers, Lorenz Hart) (Orchestra)
Love for Sale (Cole Porter)
Anything Goes (Cole Porter) (Big Band)
Tony Bennett
I Left My Heart in San Francisco (George Cory, Douglass Cross)
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2022年1月12日水曜日
Billy Porter – Children (2021)
かっこいいね
Billy Porter – Children (2021)
英語歌詞
Children – Single
Billy Porter
Released: October 15, 2021
An Island Records / Republic Records release;
℗ 2021 Universal Music Operations Limited
ビリー・ポーターさんの曲。UK Commercial Pop Club Chartに入ってます。リリースは10月。
ビリーさんが、若い世代の人々に色々と教えましょう…と歌ってます。「ママは色んな経験をしてきたから皆に教えてあげるわ」という歌。
こういうLGBTQのリーダーの方々というのはメッセージ性の強い歌をお歌いになる。後ろに続く者達…今迷って苦しんでいる若者達を救おうとしているのですね。ビリーさんは以前にもこういうタイプの曲を歌ってました。過去に苦労をされてきた方だからこそ、若い人達を助けたい。世の中を変えていきたい。そんなメッセージが込められてます。
数日前に映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の感想で、西洋には、特にアメリカには同性愛者に寛容ではない伝統がある…と書いたのですけど、そんな環境があるからこそ西洋のLGBTQの方々は強いメッセージを発しているのですね。皆に強くあれと。愛が全てを救うと。年長のものは若者を助けようと。そんなポジティブなメッセージが彼らからは常に聞えてくる。素晴らしいと思います。
ビリーさんはかっこいいのね。なんと今年52歳。それでも超ハイヒールを履いて踊っていらっしゃる。ルポールさんもそうだけれど本当にすごいなと思う。身長178 cmだそうなのでヒートを履けば2 mぐらいかな。かっこいいわ。
ノリのいいダンス曲です。「Show you how to grow…」からのリズムが気持ちいいですねぇ。踊りたくなる。
歌詞について
●I've been there, done that, worn that dress
日常でも「アビンデァ、ダンダー」と言うんですけど直訳「そこにも行ったしそれもやった」というのは「色んな経験をした」ということです。I've been thereには「ある状況にそこにいた」とか「とある状態になった」などの意味もある。worn that dressは語呂合わせでしょうか。ドラァグをなさるから「色んなモノを着たわ=色んな経験をした」という事でしょう。歌詞では直訳してます。
●So you know mama knows it best
「ママはよくわかってるのよ」のママはビリーさんのことです。子供達に対して言ってる。
●Gotta let these children know what time it is
サビのこのtimeは「今何時?」というのもあるし、それ以上に今の現実はこういう時なんだよ。今はこんな時なんだよ、今こそがその時なのだと…色んな意味を重ねているらしいです。It's time to do…の「~するべき時」の意味のtimeですかね。
Children
「ママはよくわかってるのよ」のママはビリーさんのことです。子供達に対して言ってる。
●Gotta let these children know what time it is
サビのこのtimeは「今何時?」というのもあるし、それ以上に今の現実はこういう時なんだよ。今はこんな時なんだよ、今こそがその時なのだと…色んな意味を重ねているらしいです。It's time to do…の「~するべき時」の意味のtimeですかね。
Children
Billy Porter
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今は 辛い時代ね
Yeah 心からそう思うわ
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が解決する なぜなら私は
そこに行ったし それもやったし あのドレスも着た ●
だからママが一番よくわかってる ●
Hey
子ども扱いしてるわけじゃない
Baby 実はあなたと同じ気持ちなの
でもわかって欲しい それじゃないって
変化は今日から始まる さあ涙を拭いて
あなたの生き方を批判する人達もいる
でも謝っちゃだめ 決して負けちゃだめ
Baby 子供達こそが未来のある場所
変化は今日から始まる さあ涙を拭いて
わかってる 今は難しい時代 (あなたは生き抜けるわ baby)
心の底からそう思うわ
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が大丈夫にする だって私は
そこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
子供達に 今がその時だと知らせなければ ●
子供達に 今はその時だと教えなければ
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
色んな人生を 生きてきたわ
私には 初めてのことじゃない
沢山の落ち込みと 沢山の高揚と
真摯に生きている
私の手を取って 一緒に参加して
わかってるでしょ あなたもいずれ理解することになる
わかってる 今は難しい時代 (あなたは生き抜けるわ baby)
心の底から言ってる
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が全てを大丈夫にする だって私は
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
子供達に 今がその時だと知らせなければ
子供達に 今はその時だと教えなければ
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
成長のしかたを教えてあげる
知識の広げ方を教えてあげる
子供達に教えましょう
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今は 辛い時代ね
Yeah 心からそう思うわ
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が解決する なぜなら私は
そこに行ったし それもやったし あのドレスも着た ●
だからママが一番よくわかってる ●
Hey
子ども扱いしてるわけじゃない
Baby 実はあなたと同じ気持ちなの
でもわかって欲しい それじゃないって
変化は今日から始まる さあ涙を拭いて
あなたの生き方を批判する人達もいる
でも謝っちゃだめ 決して負けちゃだめ
Baby 子供達こそが未来のある場所
変化は今日から始まる さあ涙を拭いて
わかってる 今は難しい時代 (あなたは生き抜けるわ baby)
心の底からそう思うわ
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が大丈夫にする だって私は
そこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
子供達に 今がその時だと知らせなければ ●
子供達に 今はその時だと教えなければ
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
色んな人生を 生きてきたわ
私には 初めてのことじゃない
沢山の落ち込みと 沢山の高揚と
真摯に生きている
私の手を取って 一緒に参加して
わかってるでしょ あなたもいずれ理解することになる
わかってる 今は難しい時代 (あなたは生き抜けるわ baby)
心の底から言ってる
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が全てを大丈夫にする だって私は
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
子供達に 今がその時だと知らせなければ
子供達に 今はその時だと教えなければ
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
成長のしかたを教えてあげる
知識の広げ方を教えてあげる
子供達に教えましょう
今がどんな時、どんな時なのかって
成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
子供達に教えましょう
今がその時、その時だって (yeah)
成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
(子供達に育ち方を教えなければ)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
子供達に教えましょう(oh, yeah)
今がその時、その時だって(oh, yeah, yeah, yeah)
成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
(yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
行ったし やったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
子供達に 今がその時だと知らせなければ (what time it is)
子供達に 今はその時だと教えなければ (what time it is)
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
子供達に 今がその時だと知らせなければ (what time it is)
子供達に 今はその時だと教えなければ (今こそ) (what time it is)
子供達に 今がその時だと知らせなければ (yes it is, yes it is)
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
成長のしかたを教えてあげる(oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる(oh, yeah)
子供達に教えましょう
今がどんな時、どんな時なのかって(yeah)
成長のしかたを教えてあげる(oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる(oh, yeah)
行ったし やったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
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Source: LyricFind
Songwriters: Jade Thirwall / Jonathan Shave / Uzoechi Emenike
Children lyrics © Spirit Music Group, Sony/ATV Music Publishing LLC, Warner Chappell Music, Inc
・The Shapeshifters feat. Billy Porter - Finally Ready (2020)
成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
子供達に教えましょう
今がその時、その時だって (yeah)
成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
(子供達に育ち方を教えなければ)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
子供達に教えましょう(oh, yeah)
今がその時、その時だって(oh, yeah, yeah, yeah)
成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
(yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
行ったし やったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
子供達に 今がその時だと知らせなければ (what time it is)
子供達に 今はその時だと教えなければ (what time it is)
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
子供達に 今がその時だと知らせなければ (what time it is)
子供達に 今はその時だと教えなければ (今こそ) (what time it is)
子供達に 今がその時だと知らせなければ (yes it is, yes it is)
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
成長のしかたを教えてあげる(oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる(oh, yeah)
子供達に教えましょう
今がどんな時、どんな時なのかって(yeah)
成長のしかたを教えてあげる(oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる(oh, yeah)
行ったし やったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる
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Source: LyricFind
Songwriters: Jade Thirwall / Jonathan Shave / Uzoechi Emenike
Children lyrics © Spirit Music Group, Sony/ATV Music Publishing LLC, Warner Chappell Music, Inc
・The Shapeshifters feat. Billy Porter - Finally Ready (2020)
2022年1月11日火曜日
映画『ラブ・ハード/Love Hard』(2021):アジアの男よ自信を持て!
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『Love Hard (2021)/米/カラー
/1h 44min/監督:Hernan Jimenez』
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去年のクリスマスの頃に見た映画。ロマンティック・コメディです。かわいかった。いい映画です。これもNetflixオリジナル。
若い人向けのロムコムになぜ興味をもったのか? 男の子がアジア人だったからです。アジア人の小柄な男の子+南寄りの欧州系ミックス(かな?)の女の子…の二人のストーリーらしいのでいったいどんな話だろうと興味を持った。
すごくいい話だった。ほっこり心温まるクリスマス映画。結構おかしい笑。
★ロサンゼルス在住の女の子ナタリー。ランダムにデートアプリで出会った人とデートし、その失敗ストーリーをレポートするライター。今回見つけた相手はニューヨーク州の北レイク・プラシッドの男の子ジョシュ・リン君。何度か電話で話してみたらイイ感じなので、ナタリーはクリスマス・ホリデーにジョシュ君をアポ無しで訪ねて行く事にする。
★ネタバレ注意
それでもかわいいの。このジョシュ君が。かわいい~。それにいい人。いい子。優しい。繊細な心。頭もいい。頼りになる。…私の年齢から見ればすごくいい男の子…と娘にもおすすめ。かわいい息子だ。
しかしね、場所はアメリカ。アメリカの女の子達はみんな「いい男のステレオタイプ」をメディアに刷り込まれてるのですよね。「いい男のステレオタイプ」とは…
大柄。肩幅が広い。腕が太い。筋肉質。背が高い。足が長い。顔は面長か四角。アゴががっしり。大きな口。鼻はまっすぐ。髭が濃い…剃っても青い/伸ばせば熊。眉毛が太い。ほりが深い。表情豊かな温かい眼差し。睫がバシバシ。全身毛深い。ワイルドワイルドワイルド………ってこれ全部白人寄りのルックスだわ。
確かに…ジョシュ君が使った友人タグ君の写真は、アジアンミックスとは言ってもそのようなワイルドなパーツが多いお顔。モテるオトコクサイ系。…ナタリーさんもそのルックスに惹かれたのですね。 そうか…
そしてジョシュ君ご本人も、自分のルックスの世の中での立ち位置というのがよくわかっているのですよね。だからも~~~家族写真までひかえめに…泣…涙なしには語れない……抱き締めてきっと大丈夫、大丈夫やでと言ってあげたい。
ナタリーももちろんジョシュ君を見てびっくりする。しかしはるばる西海岸から東北の果てにやってきたのだからなんとかしたい。というわけでジョシュ君に協力してもらってなんとかプロフィール写真の本人タグと仲良くなろうと試みる。
まぁそんなわけで二人はナタリーとタグを結びつけるために長い間時間を一緒に過ごすうちに…という話なのですが。
いい話だった。ラブリー❤
だってあのロッククライミングでナタリーが降りれなくなった時、助けてくれたジョシュ君はかっこよかったよね。そうなのよ。いろいろと彼の事を知れば知るほどステキに見えてくる。ナタリーのアドバイスで自信を持ち始めるジョシュ君もいい。すごくいい。そうよそうよ。ステキやんジョシュ君。
というわけでいい話でした。ちょっと泣いた笑。クリスマスのハート・ウォーミングなお話でした。ジョシュ君の家族も温かい。いいね。
人を好きになったら正直に。誠実に。
昔、10月頃にドライブ旅行でレイク・プラシッドに一度行った事がある。あそこは寒いぞ。冬は。小さな町ですが昔1980年に冬季オリンピックをやったらしい。スキーのジャンプ台があった。ローカルの体育館に行ったら地元の高校生がアイスホッケーの練習をしてた。空気が澄んで綺麗だった。
ところで小柄なアジア系の男性と白人女性のカップル。実はこの南の島では珍しくないのです。結構見かける。街でも普通に出会います。人種も民族もルックスもそれぞれ違う色んなカップルがいる。知り合いにもアジア系の男性と結婚している(または結婚していた)白人女性が数名いる。いろいろと混ざって平和。いいところ。
2022年1月10日月曜日
映画『ロスト・ドーター/The Lost Daughter』(2021):女であり母であり/悦びと後悔と
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『The Lost Daughter (2021)/ギリシャ・英・イスラエル・米/カラー
/2h 1min/監督:Maggie Gyllenhaal』
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数日前に見た映画。これもNetflixのおすすめに出てきて良さそうなので見た。これも賞取りシーズンでノミネートされている良作らしいし、中年女性の話ならなお良し。
★中年女性レダが主人公。彼女はギリシャの海辺の町にホリデーでやってきた。イギリス人だが、現在は米国のハーバード大で文学の教授をやっている。48歳。一人旅。ビーチで出会った家族…若い母親ニナとその娘の様子が、過去のレダと彼女の娘二人を思い起こさせる。
★中年女性レダが主人公。彼女はギリシャの海辺の町にホリデーでやってきた。イギリス人だが、現在は米国のハーバード大で文学の教授をやっている。48歳。一人旅。ビーチで出会った家族…若い母親ニナとその娘の様子が、過去のレダと彼女の娘二人を思い起こさせる。
中年女性がたった一人、ギリシャのビーチでホリデー。彼女は不機嫌で気難しそうだ。彼女がビーチで和んでいると騒がしい家族がやってきた。彼女はその家族を観察し始める。特に美しい母親と小さな娘に興味を持ったらしい。
映画の最初の20分ほどの彼女の様子を見て、これは女版『ベニスに死す』だろうかと思った。美しい母と娘を見て、中年の女が一人…海辺で哲学をするのかと思った。しかしそのような話ではなかった。
この映画は女の映画でした。
女性の作家(Elena Ferrante)の小説を
女性の監督(Maggie Gyllenhaal)が映画化
女性が女性を描く映画。
女とは…母であることと女であることの間で揺れ動く。
★ネタバレ注意
ギリシャの海辺に休暇にやってきた中年女性レダが過去を思い出す。レダの若い頃のあやまち。レダは過去に不倫をして娘二人と夫を3年間捨てた。彼女に一生付き纏う後悔。
これは母親の恋の話。母親の不倫は罪…だと世間は言う。それは母親本人が一番わかっているはず。それならなぜ彼女達は母親でいながら恋に落ちるのか? いや母親であることと恋は関係ないのか?
母であること、女であることに引き裂かれる女性。
●レダのストーリー
彼女は若くして結婚し子供を持った。子供はかわいい。しかし子供はぐずる。子供は四六時中母親に欲求し続ける。泣き叫ぶ。子供の欲求が満たされることは無い。子供は母親に「休憩」をくれない。それは永遠に続くようにも思える。母は子供の欲求に振り回される。
レダは優秀な女性。勤勉で常に上を目指し努力を続けてきた。自分を磨いて学んでもっともっと上に上る。彼女は博士号を取って教授になるぐらいの女性だ。レダには常に夢と野心があった。その彼女が今、一日中止むことの無い子供の欲求に時間を取られ続けている。
結婚して子供を持つのが早すぎた。
そんな時、大学にスター教授ハーディがやってきた。文学の世界では有名な教授だそうだ。彼女にとって彼は、ロックスターやスポーツのスター選手が身近にやってきたようなもの。そしてハーディーは彼女に個人的な興味を示してくれた。
ハーティはレダに「君の名前。レダとはprovocative(扇情的)な名前だね(=エロい名前だねと同じ意味)」などと言って誘惑する。
……レダはギリシャ神話の女性。全知全能の神ゼウスは美しいレダに惹かれた。ゼウスは自らを白鳥の姿を変えレダの元に舞い降り彼女と交わる……
そのハーディの誘いに若いレダも反応する。彼女はその頃、英国の詩人イェイツの作品『レダと白鳥』をイタリア語に翻訳していた。二人はインテリ同士の言葉で誘い誘われ酒に酔い、結局レダはその教授と関係を持つ。
まさかあの髭面の教授ハーディが白鳥だとは思えないが、それでも、それまで様々な理由で煮詰まっていたレダにとってハーディは白鳥のようにも見えたのかもしれない。全能の神ゼウスにさえ見えたのかも。大きな力のある魅力的な男がやってきて愛を囁いてくれた。
その場面。女として正直な気持ちを言うならあの場面のレダの気持ちは苦しいほどわかる。もちろん彼女は家族を裏切っている。しかし彼女の気持ちはわかる。彼女が頬を紅潮させ興奮するその気持ちの高ぶりはよくわかる。
ぐずる子供が原因ではない。子供がいるのにたまたま外の男性に惹かれた。誘われた。好きになった。そんなつもりはなかったのに。そして彼女は家を出る。子供を夫の元に残し家を出る。そして教授と3年間暮らした。
子供はかわいい。かけがえの無い宝物。家族を去るのは苦しい。決断力を要する。しかしレダは情熱に負けてしまう。そしてその後その事を一生後悔し続ける。
情熱は止められなかった。あやまちを犯す。3年間の夢。娘達に対して一生続く後悔。それでもいい。彼女の恋は止められなかった。
それにしてもレダは酷い女性なのですよね。子供にも夫にもひどい。許されるものではない。しかし彼女は自分を止められなかった。女性はず~っと我慢してある時ぱっと思い切ってしまう。そうしたら彼女を止めることはもうできない。そしてそんな「自分を止められない経験を持った女性」は、きっと結局は女である自分として後悔はしていない。周り中の皆を傷つけて全員に「こめんなさい」を言い続ける一生だったとしても、きっと女としての彼女自身はそのことを後悔していない。
昨今日本ではメディアやSNSで不倫をした者を糾弾する風潮があるようだ。不倫は罪。もちろんそうだ。しかし人にはそれぞれのストーリーがある。
人間は正しく生きるべき。それはまっとうな考え方だ。しかし人は「正しくあること」を指針に/人生の目標にして生きるべきではないのかもしれないとも思う。「正しいことの定義」は時代によって変化する。
しかし人の愛や情熱や喜びはどんな時代であっても変わらないものだ。
人が「正しいことの定義」のみに従って生きるのはむしろ問題だと思う。人間とは不完全なもの。不正確なもの。あやまちも犯す。しかしどんな時代にも、人間はそのあやまちを芸術として昇華してきた。人の人生にはエラーが起こる。バグもある。そんな人間のエラーやバグは、いつの時代にも文学や芸術の糧になってきた。
旦那Aがこの映画の最後に聞いてきた。
「若い母親ニナは、若い頃のレダと同じ間違いを犯そうとしている。レダはなぜニナを止めないのか?なぜ説得しないのか?」 実は正直私も同じ事を思った。しかし男の旦那Aが知りたがったから女の私はこう答えた。
「女にとって婚外の関係は、崖からジャンプするのと同じ。ものすごいリスクを背負う。それでもジャンプしてしまうのは、その瞬間、彼女達が無上の喜びを感じられるからだろう。気持ちの異様な高まり、興奮。熱情。それほどの喜びを感じることは他にないのかも。その喜びは何ものにも変え難いから。
レダが、若い母ニナを説得も止めることもしないのは、その喜びを彼女が一度経験して知っているからだろう。皆を不幸にしようがどうなろうが、情熱に駆られる女を止める事ができないのは、レダが自らの経験から知っている。
どうせ家は借りた誰かのアパート。鍵を渡せばレダに責任は無い。ニナはニナのやり方で勝手にやればいい。女は皆それぞれだから」
いろいろと書きましたけれど…情が薄く堅物な私が想像で書いている。女成分の強い女性とはそのようなものなんだろうね…と憧れとともに眺めたりする。
この…女が描く女の映画の主旨はそのようなものなのだろうと思うけれど、それにしてもサスペンス風味で、時々理解できないシーンがあったのは戸惑った。
●松ぼっくりは木から落ちてきたのか?それとも誰かが投げたのか?
●レダはなぜ人形を盗んだのか?盗んだシーンが無いから、私は誰かが彼女のバッグに人形を勝手に入れたのだろうと思っていた。
●それにレダはなぜ人形を家族に返さなかったのだろう?
●そして最後のシーン。レダが刺された後で何時間も過ぎた朝、海水に漬かった状態のまま目を覚まし、彼女はまだ生きていて、その上で娘と電話で話している。あの最後のエンディングが全くわからなかった。もしかしたらレダは刺された傷で瀕死の状態で幻覚を見ているのではないかと思った。
女とはなんだろう…と色々と考えさせられた。私はレダのような経験をしたことはない。それでも彼女のような女性を非難することはできない。人間のエラーは浪漫でもあると思いたい。子供がいないからそういうことを考えるのだろうと思う。
監督はインテリ・セクシー女優(そんな印象)のマギー・ジレンホールさん。女成分の強そうな女優さん。彼女にはすごく女哲学がありそうだ。初監督だそうです。脚本も担当。すごいね。
女優さん達も素晴らしい。うまい方々。
2時間の長い映画なのに中だるみもなく惹き付けられた。
やっぱり女を描く映画は面白い。
2022年1月9日日曜日
映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ/The Power of the Dog』(2021): 怒りの鎧を纏う男
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『The Power of the Dog (2021)/英・加・豪・新/カラー
/2h 6min/監督:Jane Campion』
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既に巷で話題になっている映画。先週Netflixで鑑賞。
原作の小説は読んでいない。
冬の賞取りシーズンで目立つところに出てくるであろう作品。様々な賞にノミネートされ、おそらく主演のカンバーバッチ氏は何かの賞を受け取ることになるのだろうと予想される。…と思ったら、今日ゴールデン・グローブ賞で作品賞を取ったらしい。
アメリカのインディーズ作品かと思ったら、ニュージーランドの女性監督Jane Campion氏の作品。ああ、それでアメリカ西部の話の主人公を英国人のカンバーバッチ氏が演じているのかと思う。それならアメリカ風味とは少し趣が違うのだろう。
ほぼ前知識の無い状態で見る。あらかじめ目にしたタグはLGBTQモノ?の印象。カンバーバッチが西部劇?…そんな程度の情報。ただ名作らしいと聞いたので見ようと思った。
★ネタバレ注意
すぐにネタバレの話をするので、映画をまだ見ていない方は読まないほうがいいと思います。
ズバリ見所は…、
…「これはこういう話ですよ」…と最初に提示された情報が、映画の最後に向かって反対の方向に変わっていくことだろうか。メインの二人のキャラクターの立ち位置の変化を見て唸る映画。
荒野の荒くれ者フィルと、彼の弟ジョージと結婚したローズの連れ子・繊細なピーターの二人の関係が話の主軸。この(一見)正反対の二人の関わりを描くストーリー。
映画を見終わって少し読んだレビューで、この映画の題名「The Power of the Dog/犬の力」の解説…最後にピーターが開く聖書のページの一節=Psalm 22:20:
Deliver my soul from the sword; my darling from the power of the dog./私の魂を剣から、私の最愛の人を犬の力から救い出してください(←ネット上で拾った訳)
に触れ、ピーターが「犬=邪悪なもの=荒くれ者フィル」から「最愛の人/母ローズ」を守った話…だというのをいくつか読んだのだけれど、しかし私はそれが主題の映画ではないと思う。たぶん。結末の説明だけで全てを納得できるとという映画でもないだろう。
最後にショッキングな結末を持って来たことで、そればかりが印象に残るのかもしれないが、この2時間の映画の主旨は、カンバーバッチ演じる主人公・荒野の荒くれ者のフィルの内面を知る過程…彼の内面の苦悩を知る事だろうと思う。
フィルは苦悩の人。これ以上ないほど孤独な人物。しかし誰も彼の苦悩の本質を知ることはない。なぜなら彼は己を恥じ、彼自身の本質を誰にも知られないように自分の周りに巧妙に壁を築き、そこへ誰も踏み込ませない人生を送っているから。彼の荒野の荒くれ者のキャラは、彼の本質を隠すための鎧。
その彼の本質とは
彼が同性愛者であること。
男性を愛することを指向する男性であること。
そして彼はそのことを誰にも言えない。
1925年のアメリカで…ましてやモンタナ州の荒野+田舎町で、男性が同性愛者であることは大変な問題。口にも出来ないほどのご法度。(この事柄については私も全てを理解しているわけではないのだが)アメリカの本質…神の国、正義の国、正しい国、キリスト教の教えの元に新しく築かれた国のルールとして、同性愛は大変なご法度だったらしい。とある説では(聖書の解釈次第によって)同性愛とは神に反する背徳行為である…罰せられて当然の行いである…そう思う人々もいる。迫害されることも少なくなかった。
今から100年も前の20世紀初頭のアメリカは同性愛者には大変生きづらい国だった。
その同性愛が「大変なタブー」だという感覚は、日本人には理解することも難しい。というのも日本なら歴史のわき道の話をほんの少しでも読めば、信玄や信長や前田利家あたりの衆道の話を目にするし、近代なら三島由紀夫氏が有名…。だから日本人はそのような話を聞いても「神に逆らった罰当たり。罰せられて当然の背徳者である」などと思う者はあまりいないだろう。同性愛者に対して日本人が(アメリカの人々が感じるような)根本的なタブーを感じることはあまりないのではないか。
しかしアメリカには同性愛者にとことん厳しい歴史があった。フィルの苦悩を理解するためにはまずそれを知る必要がある。
フィルのように、19世紀の終わり頃にアメリカで同性愛者として生まれた男性の苦悩は想像も出来ないほど。彼は裕福な牧場経営の家庭に生まれ、優秀で大学にも進学した。大学を出たら街でホワイトカラーの職に就くこともできたはず。牧場は弟に任せるか、または誰かを雇って経営さえすればいい。
その彼がなぜモンタナ州の荒野で自ら荒くれ者のカウボーイをやっているのか?
おそらく彼は大学で欧州の文学やギリシャの歴史などに触れ、自分の性的指向に気付いたのだろう。しかし時代は20世紀初頭。同性愛者への世間の目は厳しい。そして彼自身もまたそんな時代の厳格な環境/考え方の中で育った。だから彼は自分を許せない。己の性的指向が許せない。しかしどうすることもできない。苦しむ。その苦悩を隠すために荒野に出て荒々しく振舞う。いかにも荒くれ者で過剰に男らしく、男の中の男のように。彼は「荒野の荒くれ者」の鎧を纏い自分の本質を隠して長い間暮らしてきた。
その彼の苦悩が玉葱の皮を剥くように次第に明らかになっていく。それがこの映画の主題だろう。この映画はそれだけでOK。それ以外はおまけでもいい。
フィルは孤独。孤独は彼の人生に常に付き纏う。だから弟のジョージが結婚することにも腹を立てる。ジョージは女と幸せになった。ジョージは女に取られてしまった。ジョージの嫁ローズが憎い…。
己の本質に正直に生きれば社会から迫害されることがわかっている男フィル。彼は常に心に不満と怒りを抱えている。そして彼の怒りは、自分よりも弱い者=女性と繊細な若者へと向けられる。
ストーリーは進む…
そんな鎧を被った荒くれ者のフィルの前に、ローズの息子・繊細なピーターが登場。そのピーターをフィルは苛める。紙で造花を作るピーターを女みたいな奴だと笑う。フィルは自分を抑えてきた苦悩から、ピーターの男らしくない繊細さにイライラさせられるのだろう。
しかしピーターはただの繊細な男の子ではなかった。
この映画のレビューをいくつか読むと、ピーターも同性愛者ではないかというものが多い。旦那Aもそうだろうと言う。しかし私は、彼が同性愛者である必要はないと思った。確かにピーターは一見繊細。しかし繊細なヘテロの男性は存在する。それに一見繊細そうに見えても、ピーターは優しい思いやりのある人物には見えない。いやピーターは恐ろしいほど冷酷。
一見女性的でヤワな青年に見えるものの、ピーターはそのような人物ではない。もしかしたら予測不可能な恐ろしいタイプ。実はサイコパスではないか。彼は常に無表情で心が読めない。小動物を顔色一つ変えずに殺せる…のはそれだけでかなりヤバくないか?
ピーターの性的指向がどのようなものかはストーリーにはあまり関係ないだろう。そのように描いているわけでもない(と思う)。
しかしフィルは思い違いをした。ピーターの繊細そうな外見や物腰から、フィルはピーターを彼の性的指向への理解者=同じ同性愛者だと思い、うっかりピーターに心を開いてしまう。
フィルは、彼がなぜ伝説の「ブロンコ・ヘンリー」を崇拝しているのかの理由もピーターに話して聞かせる。ブロンコ・ヘンリーとの思い出はフィルの大切な宝物。
フィルはピーターに隙を見せた。
そしてピーターの計画的行動。フィルの死。そしてその後、劇中の最後に聖書の一節「私の魂を剣から、私の最愛の人を犬の力から救い出してください」が出たことから、ピーターの本音がわからなくなってしまったようにも見えるが、彼の本質はただただ冷酷なサイコパス。彼の意図は「邪魔者は消せ」。 それにもしピーターに同性愛の指向が無いのだとしたら、ピーターはむしろフィルの事を「神へ逆らった背徳者は罰せられるべし」と思ったとも考えられる。
ピーターの心は読めない。冷酷で心が無いようさえ見える。もしかしたら彼は母ローズへの愛が異常に強すぎて、過去には自分の父親も殺したのかもしれない。そして将来もしかしたらジョージも…背筋が寒くなる。ピーターはまともな人間ではないのかも。
そんなわけでこの映画は対照的な二人の人物の立ち位置の逆転
「迫害する者・荒くれ者」から「苦悩を抱える孤独な男 時代の犠牲者」へ
●ピーター
「迫害される者・繊細で物静かな青年」から「冷酷なサイコパス 殺人鬼」へ
…彼らの変化を見て唸る映画です。
カンバーバッチ氏が苦悩の男を熱演。しかし彼は目の色が薄いせいか表情が読み辛い。意図的な配役なのかも。彼は何か賞をとるかも。
そしてピーターのKodi Smit-McPhee氏はこれまた読めない。怖い。ウサギの場面あたりから何かやらかすんじゃないかとヒヤヒヤした。
音楽はRadioheadのJonny Greenwood氏。神経を張り詰めたような雰囲気が2時間。キリキリと緊迫した空気のせいか尺が長過ぎるとも感じなかった。引き込まれた。ロケはニュージーランドだと思うが、広大な荒野が美しい。
…彼らの変化を見て唸る映画です。
カンバーバッチ氏が苦悩の男を熱演。しかし彼は目の色が薄いせいか表情が読み辛い。意図的な配役なのかも。彼は何か賞をとるかも。
そしてピーターのKodi Smit-McPhee氏はこれまた読めない。怖い。ウサギの場面あたりから何かやらかすんじゃないかとヒヤヒヤした。
音楽はRadioheadのJonny Greenwood氏。神経を張り詰めたような雰囲気が2時間。キリキリと緊迫した空気のせいか尺が長過ぎるとも感じなかった。引き込まれた。ロケはニュージーランドだと思うが、広大な荒野が美しい。
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