以前のエントリー「Perfumeを海外へ」を書いてから早7ヶ月。あれからPerfumeの周りにはいろんなことがあった。エントリーを書いたのは去年の12月。それから3ヵ月後に突然のレコード会社の移籍。それに伴って新しい作品の海外での配信の開始。まずはアルバム『JPN』。それから春にはシングル『Spring of Life』も配信された。もうすぐ出る新曲『Spending
All My Time』の配信も決まっている。
そもそもこのエントリーは西洋の市場を考えたものだったのだが、アジアの市場ではもっと大きな動きがあった。春にアジア向け現地バージョン『JPN』のCDの発売。今年の秋にはアジア各地でのライブハウスツアーも決まっている。古巣徳間ジャパンからは過去の作品をまとめたアルバムも発売される。もともと手ごたえの予想できたアジア市場とはいえこれは非常に嬉しい。
それでは西洋ではどうなのか。配信が始まった直後『JPN』がどこかのダンスチャートで8位までいったとか、そんな嬉しい噂も聞こえてきていた。『Spring of Life』が配信になった直後には、Perfumeの曲別の人気チャートで、『JPN』のどの曲も抜いて1番人気になったこともあった。やっぱりPerfumeにはそれなりのファンがついているらしい。
アジア人が西洋の市場で勝負をするのは、元々非常に難しいということは以前のエントリー「日本人はスーパースターになれるのか」で書いた。西洋では売れなくても当たり前。だからこそ、現地でのマーケティングなど一切やっていない極東のグループPerfumeが、一時的であれダンスチャートに食い込むことが出来たのは特筆に値するだろうと思う。
ではどこでどのように売れたのだろうか。世界に配信が始まってからほぼ5ヶ月。元々私はPerfumeはダンスミュージックの盛んなヨーロッパでいけるだろう。R & Bのアメリカではダメだろう…とかなり大雑把に予想していた。そこでPerfume曲のiTunesでの動向を探ってみようと思い各国のページを覗いて見ることにした。
各国のiTunesのページに行くと、それぞれの曲やアルバムを採点した客の人数が出ている(Customer
Ratings)。これはアマゾンなどでの評価数と同じで、iTunesで曲を買った客の中からほんの一部の人たちがボタンを押してくれているのだろうと思う。売れれば大きな数だし、売れなければ少ない数だろう。国別のネットへの親しみ度などいろんなことが数に影響するだろうと思うが、それでもPerfumeの各国での売れ方を見るのに、ある程度の目安にはなるかもしれないと思った。そんな各国のPerfume作品に対する評価数は現時点で以下の通り。
国 JPN Spring of Life Rihanna
US 337 203 11186
France 39 (0) 107
Australia 32 (9) 854
Canada 30 13 761
UK 29 (14) 2814
Mexico 21 19 536
Brazil 13 (0) 172
Sweden 8 (0) 56
Spain 7 (0) 156
Germany 7 (0) 1117
Italy 5 (0) 481
まず断っておきたいのは、この数字がかなり大雑把なおおよその目安であろうこと。曲を買ってもわざわざ評価のボタンを押してくれる人は少ない。評価数が少なくても実際にダウンロードされた数は何十倍と予想してもいいと思う(公式のダウンロード数は見つけられなかった)。
評価数が確認できたのは上記の国々。それ以外のオランダ、ニュージーランド、ベルギー、デンマーク、アイルランド、オーストリア、ポーランド、ポルトガルには十分な評価数が上がっていない(これらの国々にもファンがいることはYoutubeのコメント欄で確認済み)。上記のいくつかの国で『Spring of Life』の数字が( )内なのは、これらの国で現在この曲が既にiTunesストアから消えている事を示している(もう売られていない)。( )内の数字は発売後1ヶ月後あたりのものだったと思う。
結果は、なんとアメリカでぶっちぎりでダントツ1番人気なのだ。『JPN』が337人。次点はフランスだが桁が違う。なんとPerfumeはアメリカで売れているのだ。フランスが次点であることを見ても、やはりどうやらPerfumeはJ-POP好きに売れているらしいと見た。アメリカでの人気はカリフォルニアを中心とした「不思議ニッポン文化好き」の若い子達によるものだろう(現地在住の日本人も多い)。フランスでの人気は言わずもがな。明らかにJapan
Expo.にやってくるような「不思議ニッポン文化好き」のファンだろうと思う。これを見る限り、ダンス曲の盛んなヨーロッパで、特にクラブ系の音楽ファン(あちらの大学生はほとんどこれ)がPerfumeを買ってくれているようには見えない。なんと予想以上の「J-POP枠売れ」である。『JPN』のJ-POP寄りの内容を考えても、さもありなんということか。
市場での大きさを見るため、目安としてリアーナのアルバム『Talk That Talk』の数字を横に並べてみた。リアーナのようなスーパースタークラスと比べるとその規模の違いが分かると思う。それでも西洋で一切のマーケティングをやってないアジア人グループとしては素晴らしい結果だと思う。これから過去の作品が配信で西洋にも出されるのか、それに今後の度重なる新曲の配信で徐々にファン層を拡大していけるのか、結果が出るのはまだまだこれからだろうと思う。
「Perfumeを海外へ」を書いてから半年間投げっぱなしにしていたが、海外展開も本格的に始まったことだし、一度途中経過を見てみるのもいいかと思った。いろんな意味で興味深い結果だと思う。
★ところで予約した『JPN Tour』のDVDが暫く前からうちに届いているのだけど、オリンピックで忙しくて見る暇が無い…。