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『A Christmas Carol』(1984)
/英・米/カラー
/1h 40m/監督:Clive Donner』
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クリスマスの頃に煮詰まっていて…いや Thanksgiving の頃から煮詰まっていて…、じゃあなぜ煮詰まっているのかと言えば、それは私達夫婦に家族がいないから。
クリスマスは西洋では家族の日。日本のお正月と同じようなもの。決して恋人同士のロマンティックなディナーの日ではない。家族や親戚、友人などが一緒に休暇を過ごす…そのようなほのぼのとした「家族の日」。
その家族の日に「うちには家族がないじゃないか」と文句を言いながら、カタチばかりを整えてそれらしくクリスマス・ホリデーが通り過ぎるのを待つ夫婦。特にコロナの頃からか…この地で以前は多かった年末のライブやイベントも減ってしまって…毎年夫婦にとっての年末年始は、どうにもやりきれない退屈な日々になってしまっている。
そんなわけで1月の半ばの今日になってもまだクリスマスの文句を言っている。なんだなんだなんだ…
11月末に書いたこのブログの文で、私にはディケンズの『クリスマスキャロル』のスクルージ(意地悪爺さん)の気持ちがわかるかも…と書いた。『クリスマスキャロル』の本は読んでいないのだが、この爺さんのキャラのことはなんとなく知っている。小学校ぐらいに子供用に書き直された『クリスマスキャロル』風の絵本を見たような気がする。それ以外にもスクルージと言えば「意地悪頑固ジジイ」の代表としてメディアなどで何度か見ることがあったかもしれぬ。
ともかくスクルージについて私が知っているのは…クリスマスに文句を言う意地悪頑固ジジイ。今年のThanksgivingに私はこのキャラを思い出して「私はスクルージと同じかもね…」などと思った。もちろん私は人に意地悪はしないけれど、家族のホリデーに文句を言って機嫌が悪くなるのは彼と同じ。
それならば今年のクリスマスはあらためて夫婦二人、スクルージに真正面から対峙しようと思ったわけです。もしかしたら私はよく知りもしないのに「スクルージスクルージ」と知った気になっていたのかもしれぬ。きちんと映画でも見て知識をまっとうなものにしようと試みた(本を読みなさい)。
というわけでAmazon Primeで一番評判のいい1984年版をレンタルした。この1984年の作品は数多く存在する『クリスマス・キャロル』映画の中で一番の高評価。それなら間違いないだろうと思った。
事前に予想していた内容は…、このスクルージ氏という人は、人生の途中でなにか不幸があったとか、傷ついた過去があったとか…なんらかの(理解できる)理由で、意地悪頑固ジジイになったのだろう…その彼の過去の話を知れば、彼の人となりや心情を察することもできるかもしれぬ。そのようなものを期待した。
★ネタバレ注意
ありましたね。彼が頑固ジジイになった理由。しかし思ったほど大きな…人生観を変えるほどのトラウマとか、苦しかった過去とか…の話ではなかったです。
単純に、彼がひねくれてしまった理由は
ケチだった。
これです。スクルージ氏は仕事に熱を入れ過ぎて、ある日ガールフレンドとのデートに遅刻してしまった。それでガールフレンドに振られてしまった。そしてガールフレンドは他の人と結婚して温かい家庭を築いた。それでスクルージ氏は家族のいない不機嫌な老人になってしまった。
基本的にはこれだと思います。それ以前にも理由はある。彼の厳しすぎる父親。唯一の味方だった妹が亡くなってしまったこと…などなど。もちろん亡くなった(彼の会社の)共同経営者のマーレイ氏の話もある。
しかし彼がこうなってしまった一番の理由は彼がケチだったこと。お金です。元々貧しくて、父親が厳しすぎて、不安だから、仕事を何よりも優先する…お金に執着するようになる…そのような性格だから人が離れていき、スクルージはますます意固地になっていった。それがスクルージ氏が「頑固ジジイ」になってしまった理由のようです。
このストーリー『クリスマスキャロル』とは、そんな頑固ジジイのスクルージ氏に、亡くなった友人…(彼の会社の)共同経営者のマーレイ氏が幽霊になって現れて、スクルージ氏に、彼の生き方を改めるようにと説得してくれる話でした。
この映画を見て
「ゴルフボールと瓶と人生」
の話を思い出した。内容は検索していただきたい。とてもいい話です。若い人には特に大切なことを言っている話です。
『クリスマスキャロル』とは「ゴルフボールを瓶に入れそこなった男の話」なのだろうと思った。ああ…まさにそれそれ。それですね。うちの夫婦もそうなの。うちも瓶にゴルフボールを入れなかったから年を取って家族のホリデーに文句を言っている。そのまんまです。
スクルージは人生の優先順位を間違った人。彼がこだわったものは小石や砂だったわけだ。それで人生の瓶にゴルフボールが入らなくなってしまった。後悔しても後の祭り。だから皆が楽しむホリデーシーズンに不機嫌になっている。
うちもこれだ。この「ゴルフボールと瓶と人生」の話は、うちの夫婦が煮詰まるたびに毎回話に出る。実に上手い例え話。この話を知ったのは5年ぐらい前ではなかったかと思うが、なるほど確かにそうだそうだと何度もうなずいた。
しかしもう年をとったからね。もううちの瓶にゴルフボールは入らない。だから後悔している。旦那Aのせいだと思う。あいつは軽薄に目先のことばかり考えて人生の瓶にゴルフボールを入れ忘れた。ものすごく迷惑。だから今も私から度々文句が出る。しかしこれからも人生は続いていくことも納得済み。しょうがない。
すでにわかっていたことを確認するような映画だった。いい話です。年寄りはともかく、若い人は知っておいたほうがいい話だと思う。この本は1843年が初版だそう。182年も前に書かれた話なのに、今の時代にも通じる「人生の大切なこと」を描いている話。人間とは時代が変わってもあまり変わらないものなのだろうね。
