能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2017年11月29日水曜日

映画『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択/Certain Women』(2016):モンタナの冬・冷たい空気




 
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Certain Women2016年)/米/カラー
107分/監督:Kelly Reichardt
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原題の訳は『ある女』。日本のタイトルが『『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』とはまたずいぶん意味をもたせたものです。こういう邦題はマーケティングをやりやすいように考えられたものなのかな。

短編のオムニバス映画です。アメリカ北西部モンタナ州の田舎町に暮らす3人の女性達のそれぞれの日々を描く。原作はマイリー・メロイの短編小説。それぞれのストーリーに関連性はほとんど無い。3つの短編小説を見るような映画。

短編オムニバスの映画は、それぞれの話が短くて長編映画のようには強く心に残らないことが多い。34つのストーリーを連続で見ることになるので印象が薄まってしまう。

ところがこの映画、かなり心に沁みた。私は3話目の牧場守の女の子の話に特に引き込まれた。

孤独です。

こんなにも寂しさをリアルに描いた映画も珍しいかもしれない。彼女の孤独が心に突き刺さるようだ。1年前に見た映画なのに今でも強い印象に残ってます。
 
 
旦那Aと結婚をしてからもう20年以上も過ぎているので、お一人様で寂しいとか孤独…などというものを今の私は多く語れるわけではない。しかし20代に東京でシングルの一人暮らしをしていた頃はかなり寂しかった。いや当時は寂しいとは思わなかったけれど、実際あれはかなり寂しかったのだろうと思う(仕事が忙しかったから気付かなかっただけ)。そのせいか孤独や寂しさの描写には今でも敏感に反応してしまう。あの頃の不安な気持ちをよく覚えているからなのだろう。
 
孤独や寂しさとは本人がそう思わなければ感じないもの。一人が好きな人間は、一人でも充実できる時間の過ごし方をよく知っている。この映画の3話目に登場する牧場守の女の子ジェイミーも、おそらく普段は孤独な人ではないのだろうと思う。短いからあらすじを書いておこう。


★ネタバレ注意

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●あらすじ・3話目のみ

主人公ジェイミー(リリ・グラッドストーン)は20代後半だろうか。彼女は冬の間だけ牧場のオーナーから雇われて住み込みで馬の世話をする牧場守の女性。牧場には何頭かの馬と犬と彼女一人。毎日早朝に起きて馬の世話をし、夜はTVで宇宙のドキュメンタリー(だったと思う)などを見て過ごす。彼女の日々の生活はそれなりに充実しているのだろう。
 
ある日近くの町に出かける。夜間の学校に迷い込んで「教育関連の法律?」のクラスに出席してしまう。クラスを教えるのは若い先生ベス(クリステン・スチュアート)。綺麗な若い女性。ジェイミーと同世代だろうか。
 
「法律」なんて全く興味もないのに、ジェイミーはクラスに毎週通うようになる。ベス先生に会いたいから。クラスが終わると先生とダイナーによって少し話す。ジェイミーにはそれが嬉しい。ある日ジェイミーは学校に馬をつれてやってきた。学校からいつものダイナーまでベスを馬の後ろに乗せていく。
 
ところが翌週先生は学校に来なかった。片道4時間の学校に通うのは大変だからと辞めてしまったらしい。ジェイミーは学校を飛び出すとそのまま衝動的に車を運転し4時間かけてベスの住む町を訪ねる。ベスの働く弁護士事務所の外に車を止め夜を明かし、朝出勤してきたベスをつかまえる「もう会えないかと思って…」。驚き戸惑うベス…それで全てを察しジェイミーはその場を離れる。振り返らない。そしてまた一人牧場の静かなに生活にもどる。

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●感想・3話目のみ

ジェイミーちゃんはやっぱり寂しかったのね。切ないな。
 
西洋のメディアではジェイミーのベスに対する執着を同性愛だととらえたものもあったけれど、必ずしもそうではないでしょう(どちらでもいい)。ジェイミーは牧場でひと冬をほとんど人と接触せずに暮らしているわけで(その仕事が嫌いではないとはいえ)やっぱり人恋しくなったんだろうと思う。彼女は単純に同世代のお友達が欲しかっただけ。
 
ひと冬の間、人との接触のない牧場守の仕事をひきうけるぐらいだからジェイミーはもともと一人が嫌いなわけではないのだろう。一人で静かに豊かな時間を持てる人。どちらかといえば人付き合いが苦手なのかもしれない。
 
それでも冬は寒くて長い。話しかけるのは犬と馬だけ。さすがに人恋しくなってきた。そこで町に出かけて、たまたまベスのクラスを受講してしまう。ベスは同世代。綺麗な女の子。お友達になりたい。
 
ところがジェイミーはもともと内気で普段から人づきあいに慣れていないことから、ベスと友達になりたくても自然な会話さえ出来ないのね。牧場で修行僧のような生活をしているから、ゴシップのような20代の女性の普通の会話さえも出来ない。お友達になりたいのに会話もままならず、目の前のベスを無言で見つめるだけ。
 
馬を学校に連れてきたのは、大好きなベスに自慢の馬を見せたかったから。これも不器用ですよね。うまくお話しは出来ないけれど自分の大切な物を見て欲しい。子供がお友達に一番好きなおもちゃを見せるのと同じ。
 
大好きなベスを自分の後ろに乗せてジェイミーは嬉しい。上手な馬の扱いもベスに見てもらえる。ベスも喜んでくれているかな?
 
ところがベスにとってはびっくりなんですよ。ちょっと迷惑。普通の先生の格好で学校にきているのにいきなり「馬に乗って」と言われても困る。すごく変。だから戸惑うベスの気持ちもよくわかる。そのベスの戸惑いもジェイミーには通じていない。人に慣れていないから、自分の好意が相手に負担になっていることにも気付けない。ジェイミーのぎこちないコミュニケーションにベスは戸惑うばかり。
 
もう可哀想なのね。ジェイミーの孤独な心、ベスと親しくなりたい切ない気持ち…しかしどうやって友達になっていいのかわからないぎこちなさ…見ていて辛い。
 
急に来なくなったベスを探してベスの住む町まで4時間も車を飛ばすジェイミーの気持ちも痛いほどよくわかる。「さよなら」も言ってないのに…。そしてつかまえたベスは明らかにひいている。そのまま踵を返してジェイミーはまた一人の牧場に帰っていく…。
 
辛いわ。
 
この女の子はどうなんでしょうね。ネイティブ・アメリカンの女の子だと思うんだけれど、冬が終わったら家族の元に帰るんだろうか。彼女はきっと子供の頃から馬が好きで、毎日馬の世話をする生活が好きなんですよね。仕事は辛くない。だけどさすがにひと冬たった一人は寂しい。そんな彼女の心に触れたようですごく苦しかったです。心に残った。

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1話目と2話目も静かな話です。
 
1話目はトラブルを起こしたクライアントの男性を救う女性弁護士(ローラ・ダーン)
2話目は老人から家の建築材の石を買おうとする女性(ミシェル・ウィリアムス)とその家族。

3話目が一番心に残ったのはジェイミーの暮らす牧場での生活に少しだけ憧れるからというのもある。あれほどの孤独は私には無理だろうけれど、馬の世話をする自然に近い暮らしには少し憧れる。

空気が綺麗だろうな。

この映画はモンタナが舞台だそうですが、3話ともそれぞれ空気がとても冷たい様子が印象的。映像だけなのに気温が低くて寒いのがよくわかる。ツーンと鼻が痛くなるような寒さ。

あの牧場の静かで綺麗な空気にはちょっと憧れる。


2017年11月28日火曜日

BABYMETAL:2018年フェス決定!米Rock On The Range&英Download Festival



決定だそうです。

😃🍉🍬🍭🍮🐥🍹🐸😎🎉 🎊🍑✌🌸🌷🐙🐼🍡😍🐢
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米国は
Rock On The Range
One Black & Gold Boulevard,  Columbus, Ohio 43211‏
518日/19日/20
 
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英国は
Download Festival
Donington Park, Castle Donington, Derby DE74 2RP, UK
68日/9日/10
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BABYMETALを取り上げるメディアの記事も多いみたいですね。すごいな。
 
 
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518 - 20(-)  Columbus, オハイオ州@One Black & Gold Boulevard
 ●ROCK ON THE RANGE 2018
68 - 10(-)  Castle Donington, 英国@Donington Park
 ●Download Festival 2018
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2017年11月27日月曜日

映画『サウスサイドであなたと/Southside with You』(2016):大統領夫妻の初デート






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Southside with You2016年)/米/カラー
84分/監督:Richard Tanne
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これも1年ぐらい前に見た映画。記憶がはっきりしていない部分もあったので、Netflixでもう一回見た。
 
すごく微笑ましい映画です。登場人物が去年までの米国の大統領とファーストレディという超有名人なわけですが、それを抜きにしても妙にリアルな若いカップルの初デート物語。
 
実はストーリー内のほとんどのエピソードが実話らしいです。なるほどリアルなわけです。それにしても、誰もが知るあの仲のいい大統領夫妻が、最初はこんなにギクシャクしたカップルだったとは…笑。今は有名なおしどり夫婦ですからね。面白いですね。
 
 
★ネタバレ注意
 
最初はミシェルさんがオバマさんに全く惹かれていないのね。よくある話。男の子の方が先に好きになってなんとか女の子との距離を縮めようとがんばる。
 
しかしデートの相手の車に乗ったら床に穴が開いてるなんて…女の子はちょっとひくと思います。この男の人は28歳なのにまだ学生で、おまけに穴の開いた車に乗っている…怪しい。だから25歳の優秀な弁護士ミシェルさんの戸惑いもよーく理解できる。
 
ミシェルさんにその気はゼロ。彼女は最初からずーっと「これはデートじゃないわ」といい続ける。彼女から見た当時のオバマさんは…自分が働いている弁護士事務所のオフィスに(学校の夏休みの間だけ)見習いで来ている学生(Summer associates)。そんな自分よりも下の男と付き合う気など彼女には更々ない。彼女にも自負がある。
 
それに(世間的にも)自分の部下と簡単に親しくなるような軽い女とは見られたくない。今まで努力して勝ち取ってきた信用を帳消しにするような軽はずみな行動はしたくないわけです。そもそもミシェルさんは仕事に一生懸命で恋愛どころじゃないと思っているらしい。
 
どう見てもオバマさんが彼女を落とせる可能性は無いに等しい。
 
今までも彼女を普通のデートに誘ったけれどOKしてくれなかった…だからオバマさんも作戦を考えた…自らの関わるサウスサイドのコミュニティーのミーティングを口実にやっと彼女を誘い出すことができたわけで
 
なんとかミシェルちゃんにこちらを向いて欲しい。いいぞ頑張れ。応援したくなるぞ。頑張れオバマ選手。でもパイを買ってきたら「パイは嫌い」と言われてしまう 😭 悲しいな。
 
 
結局、美術館に行ったり映画を見たりしてそれなりに普通のデートをするわけですが、このお二人…よく喋る。お二人とも頭のいい方々なせいか、戸惑いとかはにかみとか恥じらいとかロマンチックとか…若い男女の初デートらしいふわふわした感じはほとんど無い。いかにも会社の同僚のようにただただ喋って…喋り続けていたら…少しずつ距離が近づいていった感じ。ロマンチックに惹かれ合うというよりも言葉と行動でお互いを理解し合った様子ですよね(実は結婚にはそれがいい)。
 
もちろんお互いに強く惹かれた決め手の場面もあって、
…オバマさんにとっては、ミシェルさんが公園でドラムの音にあわせてダンスを踊る場面。それを見てオバマさんが「いい女だぜ」という顔をする。
…ミシェルさんにとっては、オバマさんの地域コミュニティーのミーティングでのトークの場面。彼は流石に人を惹き付けるのが上手い。「この人は人々に希望を信じさせることが出来るのかも」とミシェルさんもちょっと彼をリスペクトしてしまう。好きメーターがちょっと右に動く。
 
二人ともすっかり打ち解けてパーソナルな話を始める。
んいい感じいい感じ。
 
バーに移動して…オバマさんの元カノの話が出る。白人の女の子だったそうだ。どうだったの?…と聞くミシェルさんの問いにオバマさんが答える「(彼女の家族の家に行った時に)…アウトサイダーではいられないと思った」うわうわーうわーうわーよくわかるわ…うわー重い重い重い…ずっしり。そうなのよ。私もありますあります。そんな話の本筋とは関係ない小さな台詞にぐっときた。いやーその言葉、身に沁みるわね…。
 
さて二人が一緒に映画を見終わったら、たまたま色々と鈍感で失礼な会社の上司にばったり出会う。また少しギクシャク…それでも最後はアイスクリームで仲直り。好きメーターが右にぐっと動いた瞬間。初デートはひとまず成功。オバマさんよかったですね。

 
それにしても、二人が出会った頃のミシェルさんはかなり厳しい雰囲気だったんですね。ガチガチの優等生。一生懸命頑張りすぎて余裕が無い感じにも見える。そんな時に、それまで色々な苦労をしてきたのにどこか達観しているオバマさんと出会ったことはミシェルさんにとっても幸運だったのかもしれません。彼のおかげで彼女も肩の力を少し抜いてリラックスすることができるようになったのかもしれない…と思った。
 
以前は、孤独なオバマさんがミシェルさんの明るさや安定感に助けられた…とばかり思っていたけれど、オバマさんもそのリラックスした人柄でミシェルさんの緊張をほぐして精神的に楽にさせてあげたのかもしれませんね。いいカップルだ。
 
すごくいい映画でした。少しずつ二人の距離が縮まっていくのがいい。未来の大統領夫妻じゃなくて普通のカップルの話としても十分楽しめるいい映画です。友情と信頼から入った恋愛と結婚は上手くいく。オバマさんご夫妻は今でもとても仲がいい。納得です。
 
映画館では、最初にオバマさんが画面に現れた瞬間クスクスと笑い声が起こったぞ。愛されてますね。


2017年11月26日日曜日

映画『Don't Think Twice』(2016):劇団あるある物語




 
 
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Don't Think Twice2016年)/米/カラー
92分/監督:Mike Birbiglia
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去年の秋に映画館で見た映画。1年前です。完全に忘れる前に書いておかなければ。そんな映画があと5本ほど残っているぞ。なんとかせねば。
 
感想は…割と普通の話かなと思ったんですけど、世間では大変評判がいい。批評家の間ではRotten Tomatoes98点。ええええこれも評価高いなー。
 
内容は…即興パフォーマンス劇団の群像劇というものか。NYの小さな劇場で即行のパフォーマンスをする6人の仲間。それぞれなんとか成功しようと頑張っている。
 
ある日、新人コメディアンの登竜門TV番組Weekend Live(実際の番組はSNLSaturday Night Live)に、劇団からたった一人・ジャック(キーガン-マイケル・キー)だけがチャンスを与えられる。もちろん残りの5人とギクシャクする…。そのあたりが業界リアルな話なんだろうと思います。
 
劇団に限らないですよね。数人の仲間で一緒に頑張ってきたのに一人だけポーンと高みに上がる。皆で選ばれた一人を心から応援するし、応援したい…しかし心のどこかに「どうして俺じゃないんだ」と感じるジレンマ。そんなわけでちょっと揉める。
 
しかし最後はまたみんなで一緒になって仲良く円満。そんなお話。割と普通の話だと思うんだけどな。
 
この6人の俳優さんたちも、おそらくエンタメの世界で同じような状況を経験なさっている(いた)んだろうと思います。それぞれが成功を夢見て頑張ってきて…その中で現時点ではGillian Jacobs/ジリアン・ジェイコブスさんとKeegan-Michael Key/キーガン-マイケル・キーさんが一番今売れているのかな。このお二人はよくメディアでも見かけますね。彼等はもうスターの領域に上ったんだろうと思う。
 
私は即興パフォーマンスの面白さがわからなくて、また仲間と一緒に何かを作り上げる面白さもよくわからなくて、あまり心に響かなかった。