能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年4月1日月曜日

イースターはプロヴァンス風ビーフ・シチュー+赤ワイン学び始め



いや…違うのだ。イースターだからこれを作ったわけではない。
イースターだから週末の休みが長い…というわけで旦那Aも休みでのんびりできるし、じゃあ冷凍庫にシチュー用の牛肉があったから週末はそれで何か作ろうかと思った。

調べたらイースターとは「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」だそうで今年は3月31日の日曜日。イースター/復活祭で大切な日は「キリストが復活した日曜日」
それで復活祭に関する習俗として(今どきは厳しくはないらしいが)西方教会と東方教会では、伝統的に四旬節および大斎の期間中禁じられていた肉、乳製品、卵(東方教会では魚肉も)が復活祭の日の日曜日に初めて解禁になるのだそうだ。と言うことは…本当は日曜日までは肉を食べてはいけなかったのかな???😊

というわけでイースター前にお肉を食べてしまったけれど…宗教にあまり関係のないお休みの日ののんびりごはんというわけで今回もまたまたビーフシチューをつくる。



まずは復習。

 ブルゴーニュ風
前回ビーフシチューを作ったのは去年のクリスマス…ブルゴーニュ風ビーフ・シチュー/ブフ・ボギニョン/Boeuf Bourguignon。


ボギニョンは基本的には、ベーコンを炒めて牛肉に焼き目をつけ、炒めた粗みじんの玉ねぎ、人参、にんにくに小麦粉を加えて炒め、赤ワインにトマトペーストとハーブを入れて3時間煮る。後に炒めたマッシュルーム、小玉ねぎを加えて30分煮る。一旦ワインを入れたら煮るだけでできる料理。 …しかしあのクリスマスの日は長時間煮こんだつもりが、ストーブの火が消えていて翌日食べることになったのだけれど笑。


 ブルゴーニュ・ワイン
しかしそれでも収穫もあった。あのシチューを作るのに使ったワインはAlbert Bichot社のBourgogne Vieilles Vignes de Pinot Noir, 2020。旦那Aがラベルのブルゴーニュの名前を見て何も考えずにスーパーで買ってきたお手頃ワイン22ドル。半分以上をシチューに使い残りを飲んでみたけれど「すごく軽い」。十分おいしいけれどこんなに軽いもの?…と無知なワタクシは「安いから軽いのかな?」などととんちんかんな文句を言っていた。


興味を持ったので調べてみた。Albert Bichot/アルベール・ビショーさんというのは1831年に創立したブルゴーニュの銘家なのだそう。私はフランスのワインが長い距離をハワイまでわざわざやってきてくれただけでありがたいと思ったのだけれど、なんと名門のワインだったの?え、22ドルなのに?ちょっと嬉しくなったぞ。

というわけで興味を持ったのでブルゴーニュ・ワインについても少し調べた。ブルゴーニュの赤ワインはこの土地原産のピノ・ノワール種のぶどうを100%を使ったワイン。ブルゴーニュのワインボトルはなで肩(ボトルを交互に向かい合わせて保存すると場所をとらないことからこの形になったらしい)。そしてピノ・ノワールは石灰岩と粘土の土地の丘に育ち、果実の皮が薄く繊細で、そのため赤ワインも比較的タンニン(渋み)が穏やかで豊か、かつマイルドな酸味と香りの高さなのが特徴なのだそう。なるほど、もしかして私が「軽い」と思ったのはそういうことか。

英国にいた頃からワインは何も知らずにつき合いやいただきものを飲んでいたけれど今まで全く無知。どこのどれがどういう味なのかもほとんど知らなかった。わかりもせずにとりあえず飲んでいたのはシャルドネぐらいだ。そんなわけで時に飲みづらいくらい「濃い、重い赤ワイン」にぶつかって…それはどういうものかと疑問に思っていた。例えばある時は、家にあったいただきものの赤ワインでチキンの赤ワイン煮を作ったらチキンが青みがかった紫色になったことがある 笑。たぶんイタリアのワインを間違って使ったのだろうと思う。ワインによって味も色も質感も違うのはどういうことだろうと思っていた。今まで全く知らなかった。

ところが今はネットで調べればいろいろと情報が出てくるのね。面白い。とりあえず今回ブルゴーニュ産のピノ・ノワールはそれほど「重くない」んだね…というのがわかってよかった。

少しアルベール・ビショーさんの赤ワインをシャルドネと一緒に買い足してストックした。


プロヴァンス風
さて今回はプロヴァンス風ビーフ・シチュー/Daube de boeuf à la provençaleを作る。これも赤ワインを入れるシチュー。この南仏風のシチューはブルゴーニュ風とは何が違うのか?

基本的にはベーコンを焼き、固めの牛肉に焼き色をつけ、赤ワインを被るほど入れて煮立たせ、そこに人参と玉ねぎの粗みじん、生のトマトのざく切りとトマトペースト、にんにく、ハーブに胡椒の粒、それからクローブを刺した玉ねぎを入れて3時間。最後にパセリとオレンジの皮、絞ったオレンジジュースを入れて仕上げる。私は黒オリーブを入れないのだが本来は黒オリーブを入れることも多いらしい。美味しいのはオレンジの皮とジュース。爽やかです。


プロヴァンスと言えば南仏だけれど…じゃあワインはどうする。今回色々と調べたら、プロヴァンス産のワインもあるのですね。それを使った方がいいのだろうけれど知らなかった。

● ボルドー・ワイン
というわけで今回使ったのはボルドー産の赤ワイン…Chateau La Freynelle Cabernet Sauvignon, 2020、15ドル。スーパーでオススメされていたので15ドルならお手頃だと買ったワイン。今回もシチュー鍋に半分は消えるのでこれでよし。

ボルドー産のカベルネ・ソーヴィニヨンをブルゴーニュ産のピノ・ノアールと比べようと思った。
 

このワインもはるばるフランスからやってきてくれたワイン。Chateau La Freynelle/シャトー・ラ・フレイネル社についても調べてみた。この会社は1789年にナポレオン指揮下の将軍ジャン・バルト氏が、当時シャトー・ラ・フレネルと呼ばれていた場所に定住して最初のブドウの木を植えたのが始まりだそう。そこから7世代バルト家に代々受け継がれたそうで、現在は1992年より(フランス革命の頃から初めて一家に生まれた娘さんの)Veroniqueさんがオーナーだそう。彼女が大改革をして社のワインの質を上げたのだそう。 女性オーナーさんなのですね。かっこいいな。

ヨーロッパのワインは浪漫だ。太平洋の真ん中にいる今だからこそ遠い距離を旅してきてくれた欧州のワインはありがたいなと思う。欧州の文化を少しもらっている気がする。ボトルを開けた時に「この空気はフランスの空気だね」と旦那Aと笑う。


ボルドー・ワインのボトルは丸いいかり肩。このワインに使われたぶどうはカベルネ・ソーヴィニヨン 100%。ボルドー地方原産の代表的赤ワイン用ぶどう。このぶどうは小粒で果物の皮が厚く、種が大きく果肉の割合が少ないので、ワインは色が濃く渋みも強くなるそうだ。出来立てのワインは「ガシッ」とタンニンが豊富で刺激が強いけれど長期熟成が可能で熟成により複雑で魅力的な香りを得ることができるとのこと。

さっそく飲んでみた。ピノ・ノアールに比べて濃い。重い。濃いフルーツの味がする。酸味。 いかにも赤ワイン味。なるほど、そうか…これがカベルネ・ソーヴィニヨンか。同じ赤ワインなのにずいぶん違うのが面白い。ちょっと硬い感じがしたので乱暴に空気を通したら少し柔らかくなった気がした。ちょっと重いせいかすぐ酔っぱらう。


シチューもおいしくできた。今回は食べる日の前日に1時間ほど煮込んで火を止めそのまま冷まし、食べる日の午後にまた1時間半ほど煮込んで冷まし…食べる時にまた温めて食べた。2日をかけてゆっくりと煮込んだので肉も柔らかくおいしかった。冷めている時間もゆっくりと煮込むことになるのでおそらく3時間以上煮込んだことになると思う。煮込みを2日かけたこのやり方の方が楽なのでこれからもこうしようと思った。

これから煮る クローブを刺した玉ねぎは省略
食べる前にオレンジの皮とジュースを
完成です
デザート

今までうちでは長年マッシュポテトと食べていたけれど、このプロヴァンス風シチューはパスタやお米にあわせることも多いことを今回知った。


以前に少し書いたフランス料理の本はこれ。絶対に失敗しないフランス料理の本…Carole Clements氏とElizabeth Wolf - Cohen氏の『The French Recipe Cookbook』(1995)。アメリカの本。


しかし最近はネット上で本格的なレシピも手に入る。このプロヴァンス風シチューもGoogleの検索で言語をフランス語にしたら本場のレシピが出てきた。後はGoogleで翻訳すればなんとかなる。便利な世の中になったものだと思う。


2024年3月27日水曜日

米ドラマ FX『フュード/確執/Feud: Capote vs. The Swans』(2024) Feud シーズン2:全8話 ニューヨーク上流階級の再現






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『Feud: Capote vs. The Swans』 (2024)
TV Series/米/カラー
/1話45分・全8話/
作:Ryan Murphy, Jaffe Cohen, and Michael Zam
監督:Gus Van Sant, Max Winkler, and Jennifer Lynch
脚本:Jon Robin Baitz』
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なぜカポーティはNYの上流階級の女性達と交流しようとしたのだろう???


ヒットメイカー、ライアン・マーフィーによるドラマ『Feud/確執』のシーズン2「Capote vs. The Swans」。


ドラマ『Feud』シリーズは過去の有名人達の諍いやいがみ合いをとりあげて描くシリーズなのだろう。シーズン2では作家トルーマン・カポーティと彼の女友達…1970年代のニューヨークの上流階級の女性達との争いを描いた。

彼と彼女達の「Feud/確執/争い」のきっかけは、カポーティが1975年にエスクワイア誌に書いた短編小説「La Côte Basque 1965」…彼が上流階級の女友達/彼女達のプライバシーを小説として暴露したことによる。ドラマでは最終の第8話が終わるまで彼と彼女達の仲が元に戻ることはなかった。

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Feud: 確執、不和、宿恨、反目、争い
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最初はどのような「争い」の話なのだろうと思っていたが、実際のドラマはカポーティの『La Côte Basque 1965』後の酒に溺れた晩年の様子と、女性達/スワン達のそれぞれのその後の様子を描いたものだった。一旦エスクワイア誌の暴露記小説が世間に出てからは、女性達とカポーティが接触することはない(クロエ・セヴィニーの演じる C.Z. Guestのみ交流があった)。そのためドラマは「Feud」とは言いながらも劇中で「争い」が起こるわけではない。

カポーティは女性達との友情を失った頃から酒に溺れ、迷い、創作もままならず次第に落ちていく…そのような彼の晩年を描いた伝記的なドラマだった。



★ネタバレ注意



最初に第1話を見て、カポーティと女性達を取り巻く当時の時代の背景を知ることが必要だと感じたので、まずは資料を読んだ。その中で一番良かった記事がエル誌のこれ:

★毒家族に生まれて Vol.10 トルーマン・カポーティ~毒親育ちの少女を救おうとした鬼才作家~

このドラマで描かれたのは(脚色はあるものの)ほぼこの記事と同じ。最初はドラマについていけるのかと心配したが、この記事にはずいぶん助けられた。


(書かれた当時は)ただ有名人のゴシップであっても、長い時間が過ぎればそれは文化的な歴史の記録となる。このドラマのカポーティをめぐる話も、1970年代当時は単なる有名人のゴシップ記事だったのだろうと思う。しかしそれが今でもファッション誌の記事となり、またそれを題材にしたドラマや映画が作られる理由は、カポーティとスワン達の生きた世界が(前時代的に)大変豪奢で別世界的であり、彼らを取り巻くNY社交界の様子は歴史的/文化的にも特別な意味があったからなのだろうと思う。

ドラマは当時のゴシップ記事の再現。しかし主人公は時の人/有名なベストセラー作家トルーマン・カポーティ。そして彼の友人達…超がつくほどの大富豪の奥様方…当時のニューヨークの上流階級の女性達は華やかで豪華で洗練されていたからこそ彼女達のことは今でもファッション史の一幕として語り継がれているのだろう。


ライアン・マーフィー氏がこの時代をドラマにしようとしたのは、カポーティ―の晩年を描こうとしたのと同時に、(今は失われた)華やかな古い時代のニューヨークの上流階級の様子を映像として描きたかったからなのだろうと思った。劇中でも「現代のGilded Age/金箔の時代」の言葉が使われていたが、古い時代の上流階級が存在した時代は1970年代に終わりを告げた。マーフィー氏が描きたかったのはニューヨークの上流階級の「最後」の姿。かつてイタリアの映画監督ヴィスコンティが19世紀から20世紀初頭の貴族の生活を映像化したのと同じように、マーフィー氏も1970年代までニューヨークに存在していた上流階級の様子を描きたかったのだろうと思う。

全編に当時の固有名詞がふんだんに出てくる。モデルやアーティスト、スタジオ、写真家に雑誌、作家、映画などなど、1970年代の固有名詞がこれでもかこれでもかと何の説明もなく出てくる。ドラマを見ていてそれらの固有名詞がどれだけ理解できるのか、ファッション・スノッブ用のテスト問題であるかのようだ。まったく呆れるほどスノッブなドラマ。しかしそれを描かなければカポーティの生きたスノッブな世界を表現することは不可能だったのだろう。


本題の「Feud/争い」の内容はそれほど重要ではない。
カポーティ本人は自分の書いた小説のために女性達との友情が絶たれ、勝手に酒に溺れて弱っていくし、一方女性達は集まって文句を言うばかりで何か行動を起こすわけでもない。だから「争い」が起こるわけでもない。


ドラマの目的は、
あくまでもカポーティの晩年を描くこと。
そしてニューヨークの最後の上流社会の再現なのだろうと見た。


私が一番興味を引かれたのは、カポーティと母親の関係。カポーティの母親リリー/Lillie Mae Faulkを演じるのはジェシカ・ラング/Jessica Lange。

ジェシカ・ラングさんは感情的で業の深い女性を演じたら世界一。女の情念を演じたら天下一品。オンナとは恐ろしい…それを演じる最高の女優。色気も生半可ではない。心をわしづかみにされるよう。彼女は今年74歳だそうだが、今でもねっとりと生々しくオンナオンナでセクシーですごいと思う。彼女は昔からそう。独特。このドラマでも息子のカポーティを誘惑するように身体をくねらせ上ずった声で話しかける様子を見て、まったくこの女優さんは今でもこんなにオンナなんだとくらくらした。好きだ。

余談だが彼女の舞台を昔ロンドンで見た。『欲望と言う名の電車』のブランシュを演じていらした。前から5列目ぐらいの席で見た。


ところで私はゲイの方々の多くは彼らの母親と「何か特別な繋がりがある」のではないかと以前から思っている。様々なインタビューや手記などでゲイの方々と彼らの母親との関係を知るたび、何かよく知られた「パターン」があるのではないかと思うほど。このドラマでもカポーティと母親の強い関係が描かれていた。

カポーティの母リリーは美しい人だった。母親というよりもオンナであることを優先する人だったらしい。カポーティは母に憧れる。しかしリリーは彼がゲイであることも受け入れなかったそうだ。屈折した母親への愛情。彼は常に母に愛されたいと願っていた。

リリーが夫(カポーティの父)と離婚し大富豪カポーティ氏と再婚したのはトルーマンが9歳の時(トルーマンはカポーティ氏の養子となる)。カポーティも母親の再婚と共にニューヨークで暮らし始める。そしてリリーはニューヨークの社交界に出入りするようになった。しかし南部出身のリリーが(階級社会がまだ残っていた)ニューヨークの上流階級に受け入れられることはなかった。その後それを苦にして彼女は命を落としたという。


カポーティはなぜ上流階級の人々の集う社交界に出入りするようになったのか?なぜわざわざ(彼を道化者だとさえ呼ぶような)上流階級の人々に近づこうとしたのか…その理由は彼の母親にあった。ニューヨークの社交界に溶け込めなかった母親を見ていたカポーティは作家として成功し、自らも上流階級の人々と交流するようになる。

知的な作家のグループや出版業界の落ち着いた友人関係もあっただろうと思う。しかしカポーティは彼の母親の叶わなかった夢「社交界に仲間として受け入れられる」ことを望んだ。そして上流階級の美しく華やかな女性達との交流を愛した。彼はおそらく自分がそこに完全には受け入れられないこともわかっていたのだろうと思う。しかしそれでも彼はニューヨークの最後の「Gilded Age/金箔の時代」…その華やかで豪華で美しい人々が集う上流階級の社交界にメンバーとして受け入れられることを願った。


1966年、カポーティは『冷血/In Cold Blood』の大成功の後、各界の著名人を集めて20世紀最大の舞踏会と呼ばれる「Black and White Ball」を主催した。誰かのパーティにゲストとして招かれるのではなく、彼は最大の舞踏会の主催者として社交界に君臨したかったのだろう。その様子を伝える記事…

★20世紀最大の舞踏会「Black and White Ball」を知っている?
https://www.harpersbazaar.com/jp/fashion/celeb-fashion/a32135713/black-and-white-ball-200415-hb/



『冷血』の成功と「Black and White Ball」の後、カポーティは大作を書かなくなる。いくつかの短編を書いた後、1975年に件の「La Côte Basque 1965」がエスクワイア誌に掲載され、その後の彼は1984に亡くなるまでアルコール中毒に苦しみながら過ごしたという。

彼の死後1986年に「La Côte Basque 1965」を含む作品を集めた『叶えられた祈り/Answered Prayers』が出版される。生前カポーティ本人が「私のプルースト的作品になるだろう」と書き進めていた『叶えられた祈り』が完成することはなかった。


第8話はカポーティが亡くなる前に『叶えられた祈り』が完成していたと想定した「完全な創作ドラマ」となっている。「La Côte Basque 1965」で傷つけた友人の女性達とのその後を描いた内容であったが、その作品を書いている間、母親の幻がカポーティを苦しめる。まさに毒親。その後劇中でカポーティは自らその原稿を燃やしている。

ドラマの最後に『叶えられた祈り』の完成した原稿は未だ見つかっていないと記された。


私は第7話まで、このドラマはカポーティの晩年の様子を描いただけのゴシップ再現ドラマだとばかり思っていた。しかし第8話での彼の母親との関係が描かれてもう少しカポーティのことが理解できた気がした。

おそらく『叶えられた祈り』は完成しなかったのだろうと思う。冷血』の後、カポーティは燃え尽きたのだろう。
彼は『冷血』で大成功したノンフィクション・ノベルのスタイルで(彼が愛し親しんだ)ニューヨークの最後の上流社会を描こうとした。母の無念を晴らすかのように上流社会の女性達と交流。洗練され美しい上流社会に深く踏み込み、その明暗をノンフィクション・ノベルとして描きたかった…自ら「プルースト的」だと呼ぶ作品を書きたかったのだろう。

しかしその夢はかなわなかった。酒に溺れた彼に大作を書き終える力は残っていなかった。


第1話の感想で書いた通り、熟年の女優さん達がほぼ同世代なのでそれも楽しかった。昔『アリー my Love/Ally McBeal』で可愛かったキャリスタ・フロックハートさんが、ジャクリーン・ケネディ・オナシスの辛辣な妹を演じていてまるで別人なのに感心した。女優さん達全員が素晴らしかった。そしてカポーティを演じたTom Hollanderさんがすごかった。大きな拍手。


これがドラマとして高い評価となるのかはよくわからない。好みは別れると思う。全4話ぐらいで収まる内容だとも思った。ただ時代の再現映像として好きな人にはとても興味深いドラマだと思う。私は楽しんだ。このドラマで今まで知らなかったカポーティの晩年を知ることが出来てよかった。




2024年3月25日月曜日

Gotye, Kimbra, FISHER, Chris Lake, Sante Sansone - Somebody (2024)



別れの歌



Gotye, Kimbra, FISHER, Chris Lake, Sante Sansone - Somebody (2024)
Somebody (2024) – Single
Release: April 5, 2024
© 2024 Samples 'n' Seconds Records, 
under exclusive licence to Universal Music Operations Limited



今英国のcommercial pop club chart/upfront club chartに入っている曲。アメリカのダンスチャートにも入っていたと思う。

この曲は2011年にリリースされたGotyeさんとKimbraさんのシングル曲「Somebody That I Used to Know」のリミックス。この曲は2011年のBillboard Hot 100をはじめとして全世界18ヶ国で1位を獲得。2012年に一番よく売れた曲。しかし私はその当時この曲を知らなかった。

昔の大ヒット曲のリミックスなので今また売れているということでしょうか。


★Gotye

Wouter André "Wally" De Backerさん。1980年生まれのシンガー・ソングライター。元々はベルギー生まれで、2歳の時にオーストラリアに移住。

★Kimbra
Kimbra Lee Johnsonさん。1990年生まれ。ニュージーランドのシンガー・ソングライター。ポップスの曲にR&Bやjazz、rockの要素を加えた曲を書くことで知られる。ARIA Music Awardsに二つのGrammy Awards、それから7つのNew Zealand Music Awardsを受賞。

★FISHER
リミックス担当。Paul Nicholas Fisherさん。オーストラリア出身のDJ、Music Producer。TechnoやHouseの曲を手がける。現在は米国ロサンゼルス在住。2012年から活動開始。

★Chris Lake
リミックス担当。英国のelectronic dance music producer、そしてDJ。1982年生まれ。Houseやprogressive houseを手がける。

★Sante Sansone
リミックス担当。イタリア人のDJ。1994年生まれ。2010ねんより活動開始。英国のレーベルと契約し曲をリリース。欧州各地で活躍中。



※訳注
よくわからない歌詞があったので旦那Aに聞いてみたらこういう意味だと言う。

● You said that you could let it go

この itとは「彼の昔の恋愛」の意味で
=You said “I can let it (=my old relationship) go”.
あなたは「僕は昔の女との関係を終わりにしてもいい」と言った

● And I wouldn't catch you hung up on somebody that you used to know
そしてこの行の主語も上の行から続いて「あなた」で、
=You said “You won’t catch me hung up on my ex girlfriend
あなたは私に「君は僕の元カノへの未練/執着を見る(捕まえる)ことはないよ」と言った。

…という意味だそうだ。あ~これはわからなかった。確かにこれなら意味が通るので採用。


Somebody
Gotye, Fisher, Chris Lake, Kimbra & Sante Sansone
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[Verse 1: Gotye]
ある種の哀しみの中毒になることもある
終わることを受け入れるように いつも終わることを
だから僕たちの関係に 意味がないとわかった時
Well, 君は言った 僕らは友達でいてもいいと
でも僕は 正直終わってよかったと思ってるよ

[Verse 2: Kimbra]
時々 あなたがいつも私を欺いてたことを考えてる
でもあなたは それが私のせいだとといつも思わせた
でも私はそんな風には生きたくない
あなたが言った全ての言葉を深読みしてみる
あなたは(彼女とのことを)終わりにしてもいいと言ったし 
それに私に(あなたの)以前知ってた人への未練を見ることはないって言ったでしょ 


[Chorus: Gotye]
でも僕を切り捨てなくてもいいだろ
何事もなかったかのように、僕らがなんでもなかったかのように
それに僕は君の愛なんていらない
でも君は僕を他人のように扱う それがすごく辛い
No, 君はそんなに自分を貶めて酷いことをする必要はなかったんだよ
君の友人にレコードを取りに来させて 連絡先の番号まで変えるなんて
でもそんなもの いらないのかもね
今 君は 僕が過去に知っていた誰かでしかない

[Outro: Gotye]
Somebody (I used to know)
Somebody (Now you're just somebody that I used to know)
Somebody (I used to know)
Somebody (Now you're just somebody that I used to know)

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Written By Gotye, Luiz Bonfá, FISHER, Chris Lake, Sante Sansone, Kimbra & Lucas Taranto


2024年3月24日日曜日

MLB★Spring training・ドジャース vs エンゼルス (2024/3/24, 25, 26)これからMLBとどうつきあおうか?



さて、うちが契約しているケーブルテレビのパッケージのチャンネル・リストから、今までエンゼルスの野球の試合を放送してくれていたBally Sports Westが落ちた。もうエンゼルスの番組が見れなくなるらしい。
ぅわあああ~ものすごいストレスよそれ。


ところで今日は、先日の韓国でのシーズン開幕のスペシャル試合の後、初めてのドジャースの(練習)試合。なんと相手はエンゼルスでござる。これは見なければならない。しかしテレビのBally Sports Westが映らない。

ネット上をつついていたらMLBのAppで試合が見られるらしいことに気がついた。早速Appをダウンロードしてみたら今日のドジャース対エンゼルスの試合がライブでやっていた。喜喜喜喜喜喜…


さて久々の大谷さんはドジャースでどうしているだろう。色々と大事件らしいですがそれはおいといて…とりあえず野球が見たい。エンゼルスとドジャースの野球が見たい。

というわけでipadで見始める。

とうとう青いユニフォームの大谷さんを見る不思議。先日の韓国での試合はテレビで見れなかったので、青いユニの大谷さんを見るのは今日が初めて。

…とうとうドジャーズに行ってしまったのだねぇ…。
お元気そうよ💕
青いユニにOHTANIの文字が…

そして9回の表。アデル君で締め。
途中でネト君が頑張ったりしてエンゼルスに3点入ってよかった。


結局最後まで見てしまった。結果は

Angels 3 – 5 Dodgers



おつかれさまです。
大谷さんお元気そうでよかった。


さて海亀はどちらのチームを応援したいのだろう?う~む難しい問題だね。

今のところはまだエンゼルスですね。もうフレッチもウォルシュもいなくなったけれど、モニアックやオホッピがいる、レンドン、トラウトにアデル君にヒーホーにネト、ドルーリーもいる。そうだシャヌエル君もいる!今年は監督が変わったそうだ。まぁ、エンゼルスは色々とGMとオーナーがダメダメのゆるいチームではあるけれど、そこはなおエの弱いチームだからこそ愛着もわいて応援したくなる。


なによりも今日、この小さなipadの画面で見ていて思った。私はさぁ~、試合ももちろんそうなんだけれど、それ以上にエンゼルスの結果を追う習慣が変わってしまうのがイヤなのだね。試合も見たいけれど、もっと見たいのはグービーさんにエリカちゃんの喋り。

シーズン中の全試合を見るわけではないのだけれど、去年までシーズン中は毎日エンゼルスの試合後の解説番組の録画を見るのを習慣にしていた。それがこれから見れなくなるのが何よりも残念残念残念。グービーさんにエリカちゃんにサーモン先輩ギャレット・アンダーソン様、バレンタインさんパトリック・オニールさんの馴染みのお顔が、これから全く見れなくなるかもしれんと思うともう悲しい悲しい悲しい😭。それから『Angels Weekly』で試合以外のチームの様子も見たい。

それにしてもケーブル会社、どこのチームも全く見れないなんておかしいじゃん。ダメじゃんダメダメ。怒怒怒怒怒。せめてエンゼルスは放送してくれよぉ~~~~😭。


大谷さんとドジャースはたぶんポストシーズンまで我慢かな~。
今日の試合はムーキーの捻りジャンプ投げがかっこよかったわ。すごいね。

なかなかね…、ドジャースはナショナル・リーグなので馴染むのが難しいのよ。今までアメリカン・リーグだったからアストロズやレンジャースやマリナーズを身近に感じていた。そうそうそれから地区は違うけれどレッド・ソックスやヤンキースもアメリカン・リーグだし。なかなかナショナル・リーグのチームには馴染みがない。

それにドジャースはこれから勝って勝って勝って勝って勝ち続けるんだろうからさ、それはそれでつまらんと言えばつまらんのよ 😉 ダメな子ほどかわいいもの…

しかしともかくエンゼルスのテレビが映らなければ、全てはポストシーズンまでおあずけということかもしれんね。つまらんな~。それでも時々FOXやMLBのチャンネルで見られる試合は見ようと思う。


追記!
3月25日(月)の試合は…

Angels 6 – 0 Dodgers

やったー!オホッピ君がホームランで3点!トラウト兄さん打ってレンドン爺スコア4点!そしてシャヌエル君が打って6点!すごーい😍


またまた追記!
3月26日(火)の試合は…

Angels 4 – 3 Dodgers

昨日は全く試合を見れなかったのだけれど、今日は ipad で途中から見た。エンゼルスが3点リードしていたのにドジャースが追いついた。9回で同点だったので延長かと思ったが9回裏でエンゼルスのネト君とロペス君の頑張りで4点!!! ヤターッ

それにしてもドジャースはどんどん打者を変えていて、いかにも練習試合の様子だったのに、エンゼルスはほぼ全員がフルラインナップ…本メンバーがそもそも若い選手ばかりだからなのだけれど、それでもドジャース相手に勝ててよかったです。

さて今日でスプリング・トレーニングの練習試合も終わり。レギュラー・シーズンが今週の木曜日からスタート。ドジャースもエンゼルスも頑張ってください!私は時々見れるゲームだけを見るわ。

しかしMLBのAppで見る試合は元々Ballly Sports Westの放送内容で、試合が終わって早速エリカちゃんがネト君にインタビューを…というところでぶちっと切りやがった。チクチョー やっぱりエンゼルスはBallly Sports Westで見たいよね~。


2024年3月21日木曜日

Zara Larsson - You Love Who You Love (2024)



女友達にあの男は駄目よと言っている



Zara Larsson - You Love Who You Love (2024)
Album: VENUS
Released: February 9, 2024
℗ 2023 Sommer House, under exclusive license to 
Epic Records, a division of Sony Music Entertainment



今英国のcommercial pop club chart/upfront club chartに入ってる曲。今までにも何度か取り上げたザラ・ラーソンさん。スウェーデンの出身のアーティストですが、彼女はコンスタントにヒット曲を出してます。この曲は2月にリリースしたアルバム『VENUS』からの曲で、アルバムはスウェーデンで3位、英国では15位。それ以外にもノルウェーやフィンランドでもチャート入り。特に北欧で人気のようです。


★Zara Larsson
Zara Maria Larssonさん。スウェーデン出身のシンガー・ソングライター。1997年生まれ。10歳の頃から才能を見いだされ歌手デビュー。2015年にエピック・レコードから世界デビュー。欧州と米国の両方でダンスチャートの常連。


You Love Who You Love
Zara Larsson
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[Verse 1]
彼にぞっこんなのね 悲劇ね
彼を独り占めしたいのね (Ah)
それにあなたの家族にとっても彼は完璧だものね
でもカーテンの裏で、彼は別人になる (Ah)

[Pre-Chorus]

あなた いつ良識を持てるの?
彼はあなたを貶めるでしょ あなたを褒めるより
彼は天国から遣わされた人じゃない
No, 彼は天国から来なかった 証拠を見てみてよ

[Chorus]
Girl, 彼はやめなさいよ
友人として言ってるの
彼があなたに強いた問題はあんまりよ
私もう十分あなたに言ったよね
でもあなたは聞きたくないのね
あなたは言う「愛する人を愛するだけ」
長くはかからない、時間の問題よね
あなたが私に連絡してくるまで「だって彼に泣かされたから」って
もうたくさん
だってあなたは私の言うことを聞かないもの
あなたは言う「愛する人を愛するだけ」


[Verse 2]
私達 まるでぐるぐる回ってるみたい
彼はわかっててそうしてる あなたを側に置くために (Ah)
この毒のある愛は あなたを狂わせる
彼は約束するのよね「変わるから」って でもいつも同じ

[Pre-Chorus]
あなたいつ良識を持てるのよ? (When will you? Mm)
彼はあなたを貶めるでしょ あなたを褒めるより (Mm)
彼は天国から遣わされた人じゃない (Mm)
No, 彼は天国からは来なかった 証拠を見てよ (No, no, no, no)

[Chorus]

Girl, 彼はやめなさい
友人として言ってるの
彼があなたに課した問題はあんまりよ
私もう十分あなたに言ったでしょ
でもあなたは聞きたくないのよね
あなたは言う「愛する人を愛するだけ」
長くはかからない、時間の問題よね
あなたが私に連絡してくるまで「だって彼に泣かされたから」って
もうたくさん
だってあなたは私の言うことを聞かないんだもの
あなたは言う「愛する人を愛するだけ」


[Bridge]
たぶんいつか、あなたにもきっとわかる
あなたが愛を探しているのなら それは彼じゃない
私 壊れたレコードみたいに繰り返してる
でもあなたもわかったほうがいいわ


[Chorus]
Girl, 彼はやめなさい (Give him up)
友人として言ってるの
彼があなたに課した問題はあんまりよ
私もう十分あなたに言ったよね
でもあなたは聞きたくないのよね
あなたは言う「愛する人を愛するだけ」
長くはかからない、時間の問題よね (Matter of time)
あなたが私に連絡してくるまで「だって彼に泣かされたから」って
もうたくさん (Is enough, is enough)
だってあなたは私の言うことを聞かないんだもの
あなたは言う「愛する人を愛するだけ」

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Written By Zara Larsson, MNEK, Karl Ivert & Kian Sang




米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第5話 Broken to the Fist :按針君が馴染んできたかな



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FXにて。オリジナルの放送は2024年3月19日。


前回と同様、時代はそれほど動かなかったけれど個々のキャラクターの関係性を描いた回。按針君がキャラとしても俳優さんとしてもドラマに馴染んできたのではないか。もう彼も怒鳴ってばかりではなく徐々に環境にも馴染んできた感じかな。普通に喋ってますね。親しみやすさも見えてきた。日本の生活にも慣れてきたということか。

私もドラマの雰囲気に馴染んできた。楽しんで見てます。


※追記(3月24日)
週末23日に旦那Aと再度鑑賞。旦那Aは初めて。旦那Aがこの回を「今までで一番よかった」と言った。上で私は軽く「按針君が日本に馴染んできた」と書いたけれど、この回は確かに二つの文化の「どうしても埋めることのできない溝/違い」が描かれた回でもありましたね。按針が日本に馴染んだと言うよりももっと深くその「違い」に踏み込んだ回でもある。このドラマで描かれた1600年の日本は、今の日本人が見てもとんでもない異文化(人の命が軽い)であるわけで、そこに現代の西洋人そのままの価値観を持った按針がその「違い」を経験する様子が興味深かったそうだ。



★ネタバレ注意 内容を書いてます



なんと三角関係勃発です(もちろん按針と鞠子さんのことは誰にも知られていないことになっているけれど)。

鞠子(アンナ・サワイ)の夫・戸田広勝/文太郎(阿部進之介)が生き残っていた!そして網代にやってきて按針/ジョン・ブラックソーン(コスモ・ジャーヴィス)と藤さま(穂志もえか)の家に泊ることになる。藤様は文太郎の姪。それでおじの文太郎が按針の家にやってきた。

さて視聴者にはわかっている…これは三角関係だと。鞠子さんも文太郎の姿を見て顔を曇らせる。夫が助かったのに鞠子さんは喜ばない。この状況は緊張しますね。 

…歴史上の人物と照らし合わせれば戸田文太郎は細川忠興だそう。この細川忠興は妻のガラシャを溺愛し嫉妬深いことで有名。ガラシャは彼と離婚したかったのだけれどカソリックなので離婚できなかったという話もありますね。ガラシャはなかなか胆の据わった女性だったそう。

このドラマでも文太郎は粗暴。鞠子さんのことも大切にしていない。その様子を按針が見て眉を顰める。按針は文太郎に酒飲み競争を仕掛けて二人ともふらふらになる。

それにしても文太郎はまだ鞠子さんと按針のことも知らないのにあれだけ粗暴だとすると、もし今後彼らのことが知られたらただでは済まないぞ。それから藤さまの表情を見ていて、どうやら彼女は鞠子さんと按針のことを知っているのかなと思った。


前回に続いて按針君の日本を知る旅も続いている。雉をもらって英国式に熟成させようとしたら傷んで周り中で大ヒンシュク。ところでこの話…私英国で実際に友人から聞いたことがある。英国の北部出身の友人が、親戚が雉を仕留めたら小屋で(ウジが沸きそうなくらいまで)熟成すると言っていた。驚いたら「本当だってば」と言っていた。マジか、それは食べたくない。

按針はまたウサギのシチューも料理してヒンシュクを買っていた。カワイソー。「シェリーがないとダメなんだよな」と言っていたけれど何を入れたのだろう? 


そしてもう一つ。命の価値の違い。これは悲劇。そもそも按針君はあのハエのたかったキジをどうするつもりだったのだろう?熟成とは言っても湿気の多い日本と寒い英国では熟成の時間も違うと思う。この悲しい顛末に、按針君が驚き狼狽えて怒って怒鳴り始めるのも無理はないと思った。


前回の息子の暴走を聞いて吉井虎永(真田広之)が軍を率いて江戸からやってくる。真田さんかっこいいわ。ハリウッド・スケールの軍の様子がすごくいい。スケールが大きくて楽しい。

そして天変地異。ずいぶんCGが大げさな気もしますが虎永さんが無事でよかった。しかし虎永は彼の軍の半分以上をこれで失ったのではないか。まずいだろうそれは。


そして最後は二階堂ふみさんの淀殿…落葉の方。いいですね~。怖いわ。二階堂さんが20歳の時のお茶々さんも良かったけれど、いま29歳の二階堂さんのラスボス感はとてつもない。あの高い声が妖怪のように怖い怖い怖い。普段は強面の石堂の平岳大さんが詰め寄られて目が泳いでいた。うまい。ちょっと笑った。平さんも二階堂ふみさんは怖いのだな。いい。強い女が好きだわ。これからも落葉の方が楽しみです。


2024年3月20日水曜日

テレビ東京 ドラマ24『きのう何食べた? 』シーズン2・第12話 最終回 家族の形…ケンジの愛情たっぷり特製弁当



テレビ東京系のドラマ24『テレビ東京ドラマ24』。ここではTV Japanにて。日本での放送は2023年10月7日(6日深夜)から12月23日(22日深夜)まで。この12話は2023年12月23日放送。


最終回が終わってしまった。これはいいドラマ。いまどきのポリコレ的な意味で素晴らしいというのではなく、役者さん達の上手さやドラマとしての心地よさがとにかく素晴らしかった。癒しのレベルMAX。素晴らしい素晴らしい💕


ゲイのカップル、筧史朗/シロさん(西島秀俊)と矢吹賢二/ケンジさん(内野聖陽)の仲の良さが何よりも癒し。微笑ましい。彼らを見ていると楽しくなる。なんだか幸せがこちらにもやってくるよう。仲のいい二人がご飯を作って幸せにおうちごはんを食べることの「幸福感」…いいですね~。30分のドラマでの単純な「フォーマット」なのに最高にいい素材。非の打ちどころがない。大絶賛。


ところで私はBLモノには全く興味がない。一応…もう45年ぐらい前、中学生の時に親友に進められて最初の2、3冊ほど『風と木の詩』は読んだ。意味がわからずあまりいい印象はない。親友はBLモノが好きで雑誌「JUNE」なども見せてもらったけれど残念ながらさっぱり良さがわからなかった。それからもずっとBLモノの良さはわからずじまい。単純に私は自分をストーリーの中に投影できる男女の恋愛モノのほうが楽しいと思った。

でもこのドラマを見ていると(これがBLなのかどうかわからないが)「男×男」の話がいかに微笑ましいのかがよ~くわかった。色恋の話題で女が出てこないドラマって…なんというか、雑音を感じないのですよね。見ていてストレスが全くない。それが自分でも面白いと思った。

普段私は男女の恋愛モノのドラマを見ていると、必ず頭の中の数パーセントで「なにかが変だ」とか「それはやめたほうがいいよ」「それは言わない方がいい」とか、男女の現実的な側面を思い出してなにかと批評的になりがちなのだけれど、「男×男」の話はま~ったく何のストレスもなく見れるのが面白いと思った。(あ、たぶんフィジカルなものはあまり見たくないと思う)

シロさんとケンジさんがスキスキで仲睦まじく楽しそうにやっていると、心から「よかったねぇ」とこちらも笑顔になる。このお二人は50歳ぐらいの設定なので、まさか自分の息子の世代の話というわけでもないのに、なぜか「かわいい」とか「微笑ましい」「ほのぼの」とかポジティブな感想ばかりが頭に浮かぶ。だからストレスフリー。これは私が女だからなのだろうかと思う。


以前のこのドラマの感想にも書いたと思うが、西島秀俊さんと内野聖陽さんが本当に楽しそうなのがいい。食べてるご飯も美味しいのだろうと思う。だから演技なのに楽しくて嬉しくて美味しいのが表情に出ているのが何とも言えず幸せ気分。いいドラマですよ。


さてこの最終回には現実的なLGBTQのお題も出てきた。

日本ではゲイやレズビアンの同性のカップルが家族になれる「結婚」がまだ出来ないらしいのだけれど、結婚できないことによって生じる問題…相続の話などについてこの回ではさらっと触れていた。これはつまり「家族か?家族でないか?」の話でもあって…例えば病院での家族としての扱いなども含まれるのだろう。

信頼し合って一緒に暮らしている同性の二人の人間が「家族」として社会に認識されるためには、今の時点では養子縁組と言う形になるそうだ。なるほど。しかしケンジさんは「一旦養子になったら法が変わって結婚できることになった時に結婚できなくなる」と言っていた。なるほど。「恋人の子供にはなりたくない」というのも確かに理解できる。


私はもう長い間、米国のドラァグ・クイーンの番組を見たり、過去にも英国のミュージシャンの夫婦(エルトン・ジョン氏等)をメディアで見ていたり、英国では実際に同性カップルの知り合いがいたり、この地でも結婚している男性が「My husband」と言うのを聞いたり、知り合いの弟さんが結婚している等々の話に度々触れていて…既にそういうものが当り前だと思うようになっているので、正直今の時代に同性愛者の「結婚」を阻む理由がよく理解できないのですよ。

そのお題について日本でのネット上の情報をさらっと探してみると、やっぱり「同性愛」ということが問題だと言う人が多いらしく、それからまた「結婚」とは「家族になるため…子供を作るため」と言う人もいるみたいでなかなか難しいらしい。

しかし「結婚」を「子供をもつ可能性のある男女が条件」だとするのなら、例えば60歳と63歳で出会った男女が幸せな「結婚」をして夫婦になることも問題なはずで、また(うちのように)男女でも子供のいない夫婦は結婚の条件を満たしていないのか?という疑問が湧かないでもない。


今必要なのは日本でも「今の時代の結婚の定義」を議論することなのだろうと思う。

「結婚」とは何なのか?頭ごなしに「結婚とはこうあるべきで…」と過去の前例や憲法の言葉を捏ねまわして賛成派と反対派が延々と水掛け論を続けるよりも、「今の時代においての結婚/パートナーシップとは何を基準に定義するべきなのか」をあらためて真剣に話し合った方がいいと思う。

「結婚とはなんなのか?」

何も外国を真似する必要はない。外国の前例をただよかれと議論もせずにただ飲み込むのが一番いけないと思う。まず日本人が「結婚とは、家族とはなんだろう?」とその意味を話し合うことが必要だろうと思う。それは何事もそうですよ。どのようなお題でも外国のやり方をただコピーするのではなく、まず日本の中で日本人が徹底的に議論をして結論を出していったほうがいいと思う。

一番大切なのは、誰にでも「幸せに暮らす権利はある」ということ。シロさんとケンジさんが結婚したいと思うのなら…いつまでも家族として幸せに暮らしたいと思うのなら、私は彼らが結婚できればいいと思うなぁ…。皆が幸せでありますように。