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『Coco (2017)/米・メキシコ/カラー
/1h 45min/監督:Lee Unkrich, Adrian Molina』
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まだ見ていなかったピクサー映画鑑賞シリーズ。
見始めて最初の5分でこれはよくできた映画だとわかった。
冒頭にメキシコの男の子=主人公のミゲル君の
家族の歴史 が短く描かれるのだが上手い。多くの情報が詰まった家族のストーリーが街の切り絵で表現される。一秒も飽きさせることなくさらさらと描かれるのを見て、ああこれは力のある人達が作っているのだろうと思った。
ストーリーは主人公ミゲル君の「死者の国」への冒険。
これは冒険映画です。 私は
見る前の印象 だけで、この映画はもっと宗教的なものだろうと思っていた。メキシコの人々の死生観、死後の世界の意味だとか…もっと宗教も含めて哲学的なものが描かれているのだろうと思っていた。しかしこの映画は
ほぼ冒険もの でした。
この映画の
「死者の国」は誰にとっても…ただあたりまえに存在する場所 として描かれる。メキシコならカトリックのキリスト教だろうけれど、(詳しくは知らないが)それらしい宗教的なものもそれほど描かれていない。「死者の国」はただそこにある。人間の住む現世と同じように存在しているものらしい。「お盆」や「祖先」「あの世」の考え方を持つ日本人にはすぐに馴染めるものだろう。
実は私は事前に、この映画のガイコツのキャラクターのイメージにどうも馴染めず(あまり可愛くない)先入観だけで映画館にも足を運ばなかったのだけれど、全く問題なし。ドクロのキャラクター=ご先祖様もユーモラスですぐに馴染む。(いや…あれはガイコツじゃなくてもよかったのではないか)
ガイコツキャラに慣れてしまえば、あとは「死者の国」をそれらしく死後の世界だと印象付けるものもほとんどなく、この映画は単純に…
ミゲル君の別世界への冒険物語 になる。まるでミゲル君がどこか外国に行って冒険してきたような感じ。
そのあたりがピクサー+ディズニーの上手いところなのかもしれない。キリスト教の宗教色を強くすれば信者以外にはわかりづらい話になるかもしれない。それよりも、世界中の誰もが楽しめる冒険ストーリーと設定した方が、多くの観客に受け入れられやすい。そういうことも考えられているのだろうと思った。
ミゲル君が迷い込んだ「死者の世界」。その住人達は外見こそ少し違うけれど、皆(過去に存在した)家族。ミゲル君は会った事のない過去の家族に出会い、家族の謎、過去の誤解、現世の家族と亡くなった家族の繋がりを解き明かす。そして冒険を終えて家族の元に帰ってくる。
いい話です。特にミゲル君の曽祖母ママ・ココがいい。しわしわのお婆ちゃんがすごくかわいい。あれほど繊細な表情の変化をCGで描き込むのもすごいものだと思う。彼女は100歳ぐらいの高齢で、彼女の消えかけた記憶と過去の家族の話が…いい話。内容は
いい話 …とだけ書いておこう。
しかしそれ以上にこの映画がすごいと思ったのは
映像の美しさ 。本当に凄かった。
「死者の世界」の描写がとにかく美しい。 これは大きな映画館のスクリーンで見るべきだったと思った。まさに夢のような美しさ。
紫とオレンジ色を基調にしたとてつもなく美しい世界。画面の隅から隅までキラキラ輝いている。三次元の空間をみっちりと埋めたイメージに圧倒される。幾重にも聳え立つ建物。その間の空間を走る電車。マリーゴールドの花びらを敷き詰めた大きな橋に見とれる。
そして不思議な動物達。ジャガーのアレブリヘ・ピペータにもドキドキする。なんとカラフルでかっこいい…。ピペータ以外にもウサギやネズミや鳥などのカラフルな生き物が出てくるたびに心踊る。心奪われる。本当に美しい。
あのカラフルな動物達というのは
「アレブリヘ」 と呼ばれるものらしい。
メキシコの工芸品 だそうだ。「死者の日」には直接関係ないらしいのだけれど、メキシコらしいということでデザインが採用されたらしい。「アレブリヘ」で画像検索すると沢山のカラフルな工芸品の写真が出てくる。ま~これは…好き。なんと綺麗な工芸品。
過剰なくらいカラフル で楽しいデザイン。知らなかったです。
そうなの。この映画は、ストーリーももちろん素晴らしいのですけど、
それ以上に私は映像の綺麗さに感動した。 本当に美しい。こんなに綺麗な映像は…mesmerized…魅了される/心奪われる。特に「アレブリヘ」達が出てくるたびに嬉しくなる。アレブリヘのデザインは不思議なくらい心に響いた。本当に好き。お土産が欲しい。子供用のおもちゃの色ですよねこれは。
というわけで、
イメージがとにかくすごい映画。 密な建物の重なりや空中を抜ける電車の描写は、ジブリの「千と千尋の神隠し」も少し思い出した。色使いはこの映画の方が10倍くらい好き。
美しさが心に響く。 この映画はもう一回録画を見ようと思う。あの綺麗な景色を堪能したい。
フリーダ・カーロが出てくる。
ところでまたまた余談だけれど…共に鑑賞した後旦那Aが言った。
現世の家族が亡くなった人の写真を飾って思い出すことで、過去の家族があの世で存在出来る …設定を、「じゃあ写真が無かった20世紀以前はどうだったんだ?」。う~ん…確かに。 それにしても…うち子供がいないからなぁ。忘れられますね。