能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年7月29日月曜日

米ドラマHBO 『The Gilded Age』(2023) Season 2・全8話:ハイソのソープ・オペラ







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『The Gilded Age』 (2023) Season 2
TV Series/米/カラー
/約50分・全8話/
原案/脚本:Julian Fellowes』
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HBOのドラマ 『The Gilded Age』のシーズン2。去年2023年10月の放送は見逃したのだけれど、今年の春に再放送をやっていたので録画。先日やっと見終わった。

オリジナルの放送は2023年10月29日~12月17日。全8話。

製作・脚本は、英国 ITV のヒット作 『ダウントン・アビー/Downton Abbey』 のジュリアン・フェロウズ/Julian Fellowes氏。彼が今回はアメリカ・ニューヨーク市の1880年代の物語を手がける。


時代の背景などの情報はシーズン1で書いたので省略。1880年代の米国ニューヨークの上流階級を描いたドラマ。登場人物はほぼ同じ。主役は新興成金のラッセル家の夫婦。通りの向かいにはオランダ系旧家のヴァン・ライン家の人々。彼らを中心に1880年代のニューヨークのハイ・ソサエティーの様子を描く。

既にシーズン1でドラマの基本の枠組みはわかっているので、シーズン2からは馴染みのキャラクター達がどのような日常を送っていくのかを追うことになる。


2話まで見たところで少し気付いたことがある。この閉塞感は何だろう?

このドラマの世界は狭い。どの国でもそうだと思うが(昔の)上流階級の人々は狭い世界に生きていた。並外れた資産を守るために彼らは危険を回避する…誰とでも付き合ってどこにでも出かけるわけにはいかない。友人関係も選択が必要。彼らに必要なのは信頼できる馴染みの顔ばかりの社交界の中での平和な生活。そして彼らは新参者を好まないから(そのこともシーズン1の感想に書いた)その世界は(安全だが)いつまでも小さく閉じている。広がらない。

まるで幽閉されているように…降りることのできない豪華クルーズ船での生活のように、彼ら上流社会の人々は自らの作り上げた小さな世界に生きるしかない。彼らは皆、都市の裕福な一画に豪邸を構え、夏にはロードアイランドのニューポートの豪邸に移動。メンバーは皆同じ顔ぶれ。ニューヨークの友人たちがほぼ全員ニューポートに移動してまた同じメンバーで夏を過ごす。どこに行っても同じ顔。すごい閉塞感。自由がない。

それからこのドラマは女性達のドラマでもある。シーズン1では鉄道王ジョージ・ラッセルの成り上がりストーリーも描かれていたと思うが、シーズン2のメインはバーサ・ラッセル夫人の社交界での成り上がり話。

そのせいなのか…旦那Aは第2話で見るのをやめてしまった。歴史の再現としては「ちょっと嘘っぽいよね」とも言っている。確かにわからないでもない。女の私にはラッセル夫人の成り上がり話が面白いのだけれど、男の旦那Aにはあまり面白くないらしい。

つまりは、このドラマは(シーズン1で)一旦話の枠組み…設定がわかってしまったら、後はだらだらと昼の奥様向けソープ・オペラとそれほど変わらないということだろう。あまり正確な歴史の再現でもなさそうだし。私には十分楽しめたけれど。


今回も様々なスパイスがあった。特に優秀なアフリカ系の女性ペギー・スコットの話は大きなスパイス。ニューヨークのハイソな女性達が小さな世界に閉じこもっている間に、ペギーちゃんは取材でアラバマ州まで遠征。彼女は上流階級の女性達にはできないことをやっている。

それからヴァン・ライン家の女主人アグネスの姪・マリアン・ブルック。彼女は(旧家の伯母にとってはルール破りの)「女性が自分の意志で物事を選択して生きること」の手探りをしている。彼女は鳥籠の中から出ようとしている。彼女のルール破りもこのドラマにはスパイス。


馴染みの顔…ラッセル家の夫婦ジョージとバーサ、彼女の息子ラリーと娘グラディス、またヴァン・ライン家の女主人アグネスと息子のオスカー、そしてアグネスの妹エイダ、姪のマリアン、そしてアグネスの秘書のペギー・スコットと彼女の両親。 また彼らと並行して、それぞれの家のバトラーや使用人や料理人達。彼らレギュラーのキャラクター達を中心に、社交界の人々…実在のアスター夫人や、マカリスター氏等々…と、すっかり見慣れた馴染みの顔を見てまったりと彼らのゆるい話を楽しむドラマになった。熟成したと言うべきか。このまま小さな閉じた世界でだらだらと話が続きそうだ。

相変わらずラッセル夫人はセクシーで魅力的。彼女の負けず嫌いの気の強さがいい。彼女が「勝つ」ととても嬉しい。夫のジョージと仲がいいのもいい。この夫婦は最初は悪役かと思っていたけれど、一番生々しく人間臭くてこのドラマでは一番魅力的だと思う。あ、お堅いヴァン・ライン家の人々も好き。


最後は綺麗に気持ちよくまとまった。いい話。いい気分でシーズンが終わる。それもまたよし。

次のシーズンも楽しみに待ちましょう。


ところで現在もロード・アイランド州/Rhode Island のニューポート/Newport には、当時の豪邸が残っていて観光地になっているのだそう。いつか訪ねてみたい。