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2020年9月22日火曜日

映画『シー・ラヴズ・ミー/She Loves Me: Musical』(2016):ブロードウェイの底力が恐ろしい



Zachary Levi, Michael McGrath "Tonight At Eight"
Laura Benanti  "Will He Like Me?"


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『She Loves Me: Musical(2016年)/USA/カラー
/133分/監督:David Horn』 
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米のPBSチャンネルのGreat Performanceシリーズで、9月12日に放送されたものを鑑賞。


「ブロードウェイってバケモノが集まるところなんだね」とあらためて思い知りました。すごいですよこのミュージカル。たまたま先日の週末にTVをつけたらやっていたので、そのまま録画しながら見たブロードウェイのミュージカル。 


古典です。ブロードウェイでの初演は1963年。そしてTV放送用にライブ撮影されたこの作品は2016年のリバイバル作品。様々なカテゴリーでトニー賞にノミネートされ、舞台セットのカテゴリーで受賞。 

このミュージカルの事は全く知らなかったのですけど、いや~これは…参りました。

ものすごいハイクオリティー


びっくりした。色んなもの…様々なものが本当にハイクオリティー。


以前『キンキーブーツ・ミュージカル』の感想を書いたときには、舞台はライブで見なきゃだめだわ…などと書いていたのですが、

いや…これは…ライブ撮影された舞台でも
これだけすごければやっぱりすごい
米のブロードウェイってやっぱりすごいのね


と思い直した。本当にびっくりした。


元々のストーリーは30年代のハンガリーの香水店/化粧品店が舞台。そのお店で喧嘩ばかりしていたり、くっ付いたり離れたりの同僚達が繰り広げる恋愛もの。1998年の映画『ユー・ガット・メール』のアイデアの元なのだそうだ。


まず舞台上の役者さん達が上手い。上手い上手い上手い上手い。そしてそれぞれがものすごいカリスマ。最初のシーンからハイクオリティ。彼等はほとんどウォーミングアップがいらないのね。最初から上手い。まずその歌の上手さにひき付けられる。そして役者さん達の質の高さ。カリスマ。全員のルックスのレベルの高さ。ステージの上が美男美女ばかり。これはこれは華やか。


中心のメンバー4人を記録しておこうか…

Georg Nowack:主役のZachary Leviさん。大柄。派手な顔。表情が豊か。すべてが大きい。とんでもないカリスマ。身長は191cmだそうだ。大男。歌えば上手い。口も目も鼻も大きい。口が大きいからなのか歌を歌えば発音もくっきりはっきり。言葉がよく聞える。…ああこういう方は舞台で生きるために生まれてきたのだろうね…と思う。本当に全身が派手。とにかくものすごいカリスマ。

Amalia Balash:女性主演のLaura Benantiさん。美女。古典的な美人。おっと…このお方は見覚えがあるぞ。夜のトークショー『The Late Show with Stephen Colbert』で時々、ファーストレディのメラニアさんの物真似をする人よね。ええええ?彼女ってミュージカルスターだったの??ものすごい実力のお方なのね。彼女も上手い。高校を卒業して大学生をしながらすぐにプロになったそうだ。トニー賞も受賞なさったブロードウェイの大スター。ひゃ~知らなかった。コメディアンかと思ってた。 

Ilona Ritter:セクシーな売り子はJane Krakowskiさん。彼女は有名。TVでもよく見かけるお方。いつもセクシーブロンドのキャラです。ユーモラスな可愛い女。彼女も上手い。彼女も有名なブロードウェイ・スターだったのですね。知らなかった。

Steven Kodaly:プレイボーイのGavin Creelさん。上手い。最高。私は彼が一番上手いと思った。同僚のIlonaを誘うセクシーな「Ilona」は傑作。とにかく優雅。ダンスも上手いし芝居も上手い。エレガント。滑らかな美しい声。彼の声は40~50年代のハリウッド・ミュージカルの俳優さんのようだ。ジーン・ケリーとか思い出した。最高。彼が一番良かったです。 


Gavin Creel & Jane Krakowski Sing "Ilona"
これはすごい  上手すぎてライブだと思えない
Gavin Creel - Ilona (2016)
She Loves Me (2016 Broadway Cast Recording)
Released:  June 10, 2016
℗ 2016 Roundabout Theatre Company.


…なんか…要するに、ブロードウェイってバケモノばかりが集まって舞台をつくってるのね…と思った。全員がすごい。歌もダンスも上手いし、全員が本気で歌を歌いながら本気で芝居をやっている。中心に美男美女を据えて、周りのキャストも適材適所。全員がものすごい方々…というのがわかる。お店にやってくる女性客達、香水店の上品なオーナーのマラチェク氏に、コミカルな中年のおじさん店員。赤毛のラズロ君。ロマンティックなカフェのユーモラスな店長、上手いダンサーのウェイター、ルックスも歌も全員が素晴らしい。 

…この作品を見て、ミュージカルのライブ撮影の作品に対しての考えが少し変わりましたね。すごい舞台はやっぱり映像でもすごい。もちろん舞台はライブで見るべし…というのは基本なんですけど、それでもハイレベルの舞台は撮影された映像でもかなりすごい…というのがわかった。目から鱗。もちろんライブはもっとすごいのも想像できる。 


トニー賞を取った舞台セットも美しい。セットがぐるぐる回転して、からくり仕掛けのようにシーンがどんどん変わるのも見事です。冒頭はお店の外。それがぐるっと回れば香水店の店内…キラキラして宝石のよう。お店の中の控え室やアマリアの部屋、オーナーの病室…と素早く変わるセットの数々。そしてアマリアとジョージが会う「ロマンティックなカフェ:インペリアル」も素晴らしい。 

ちょっと…やられたな。これは。やっぱりブロードウェイは尋常じゃないな。

(このブログには書かなかったけれど)今までにも機会があれば、ブロードウェイ・ミュージカルのライブ撮影の映像はいくつか見ていたんですけど、この作品はそのクオリティーの高さにぶっ飛びました。ほんと。ブロードウェイって本当にすごいんだわ。 


すごいと思った理由は、このミュージカルが1940年代50年代の米国ハリウッドのミュージカル映画の黄金期を、ほぼ同じレベルのクオリティーで再現していると私には思えたからです。俳優さん達が美男美女なのもそう。全員が歌が上手いのもそう。その上(もちろん)この作品は(何度も撮り直しの出来る映画ではなくて)お客さんのいるライブの舞台。それでこれだけのものが出来るって…どれだけすごい演者たちが揃っているのか…と思った。 

ライブの舞台なのに、ジーンケリーとか、リタ・ヘイワースの映画みたい。驚きますよ。ブロードウェイにはそんなレベルの歌の上手い人々がまだまだうようよいるんだろう。本当にすごいと思う。ブロードウェイの底力。 

R & Bもラップもヒップホップも70年代80年代のロックもやらず、大袈裟でゴージャスなアンドルー・ロイド・ウェバーでもない。古典的なミュージカル歌謡だけの音楽。ただただ黄金ハリウッド・ミュージカルの再現のような歌の数々を完璧に再現。だからすごいのね。歌の上手さがよくわかる。 ほー…。ほー…。と何度も何度も溜息をつきながら見た。驚いた。 

一つ難点を言うのなら…、まず原作が30年代。そしてミュージカルver.も初演が1963年の古典なので、ストーリーが無難でシンプル…だということぐらいか。危険な魅力や捻りはあまりない直球の明るいミュージカルです。でもそれがまたチャーミングなのですね。

う~ん…久しぶりに唸ったわ。