2012年6月9日土曜日

Madonna - Lucky Star (1984)




マドンナはこの曲で大きくなったんです。

 

Madonna - Lucky Star (1984)

Released: Jan 01, 1983 ℗ 1982, 1983 Warner Bros. Records Inc.

Like a Virginでドッカーンと大売れする直前に「あの娘、誰?」とみんなに思わせたのがこの曲。Like a Virginの直前に大衆の目を彼女に向けさせたのがこの曲。私も見ていた。

当時始まったばかりのMTV(日本では深夜にどこかのチャンネルでやっていた)で見たBurning UpPVとラジオでかかった何曲かで興味を持ち、早速貸しレコード屋へ。ファーストアルバム『Madonna』は全曲が踊れるかなりいいダンスアルバムで早速気に入ってよく聴いていた。それから少したって、このLucky StarPVTVで流れて「あっ」と思った。これはいい…。


曲はまったりして踊りやすい曲ではない。だけど何よりもこのダンスにクギづけ。真っ白なバックを背に踊る3人。2人のバックダンサーは普通に上手いんだけど、あっと思ったのはマドンナのダンス。空気の少し抜けたゴムが分厚い(ちょっと反応の鈍い)ボールのようなダンス。ちゃんと音にあわせて跳ねてるのに、なんだか重い感じのするリズム感。膝の関節が柔らかいんだろうか、ふわふわしてるのに粘り気があるリズム? なんかもってりしてるの。世間はこれをセクシーと呼んでいた。それまでマイケル・ジャクソンのカチっとしたダンスを見ていた目には新鮮だった。このステップを振りコピした。

それにビデオの半分はカメラ目線で「どうよ、どうよ」と言わんばかりにおへそを見せながら床をのた打ち回る映像。全身の筋肉がうっすらと脂肪につつまれたマシュマロのような白い肌。目の大きな童顔のかわいい顔、なのにこちらを睨みつける目線。赤い口の右上のほくろ。鼻息の荒い気の強そうな顔。強烈だった。私もこのビデオで大ファンになった。

「いったいこの娘は誰だろう…?」とみんな思ったんだろうと思う。

当時、毎週雑誌でBillboard Hot 100のチャートをチェックしていたのだけど、この曲がトップ100に入ってからなかなか圏外に落ちなかったのをよく覚えている。この曲の前のシングルHolidayといっしょになってチャートに延々と居座り続けた。さっき調べたらBillboard Hot 10018週間(4ヶ月以上)も残ったそうだ。

この曲で世間にも知られるようになり(米国中の女の子が彼女の格好を真似し始めた)その後時間をおいて十分に期待させた後「Like a Virgin(処女のように)」を発売。まるで時限爆弾です。こんなビデオの後にそんなタイトルの曲がうけないわけがない。その後発売した同名のアルバムは、当時泣く子も黙るナイル・ロジャースのプロデュース。これで彼女は大スターになった。メディアは彼女を「現象」だと呼び、文字通り時代が動いているような感覚があった。すごかった。

その後も休むことなく、マリリン・モンローそっくりのPV、映画の挿入歌、映画にも自ら出演、全米ツアー、ハリウッド・スターとの結婚…等など一切とどまることなく大スターの道を駆け上っていったマドンナ。その成り上がりぶりは前例の無い桁外れなスケール。成功につぐ成功。何から何まで(スキャンダルでさえ)全て自分の味方に変えてしまうカリスマと頭脳、意志の強さ。小柄なこの人がこれだけ大きくなるとは誰も思わなかった…。

そんなマドンナの大ブレイクのきっかけになったこの曲。私はこの曲がなかったらその後のマドンナもなかったかもしれないと思う。

この曲の入ったファーストアルバム『Madonna』は捨て曲無しのダンスアルバム。今でも聴ける。ダンスアルバムとしては『Like a Virgin』よりずっと上。傑作です。