能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年6月28日木曜日

日本人はスーパースターになれるのか-13

--西洋におけるアジア人の芸能活動への考察




これからのアジア・将来への可能性 -1-------------------------


13-●変わりつつあるアジア人の位置


実はそんな保守的で排他的なアメリカの大衆の意識がここ数年、ほんの少しずつではあるが、変わってきている。過去10年ほどの間に世の中は確実に変わってきている。西洋がアジアにも目を向け始めたのだ。ここでは、そんな動きを追ってみた。

近年、ビジネスの世界では中国経済の劇的な成長に興味の目が向けられている。例えばアメリカの知識層の間で、子供に中国語の個人レッスンを受けさせるのがここ10年ほど流行っていると聞く。世界的な投資家のジム・ロジャースは2002年に家族をつれてアメリカからシンガポールに移住した。彼の幼い娘は英語と中国語を流暢に話すそうだ。近い将来、ビジネスのチャンスを予想してのことなのだろうが、昔は考えられなかったことだろう。

そんな噂が聞こえるようなった頃から、中国の経済もますます発達し、国民の娯楽として中国国内の映画産業が急速に発達し始めた。現在中国は、国を挙げて映画産業をサポートしているという。その結果、質の高い中国映画も数多く西洋に輸出されるようになってきた。近年一番印象的だったのは『グリーン・デスティニーー/Crouching Tiger, Hidden Dragon』の西洋での爆発的なヒットだろう。チャン・ツィイーは文字通り世界的な大スターになった。その後中国映画産業は、既に世界で有名な香港スター達も取り込んでますます規模を拡大している。現在は西洋でも何ヶ月かごとに大掛かりな中国映画が封切られるようになってきている。

チャン・ツィイーが西洋でも名前を知られるようになった頃、日本を題材にしたハリウッド映画が次々にリリースされたのも記憶に新しい。『ラスト・サムライ』『ロスト・イン・トランスレーション』『サユリ』『バベル』これらの映画に描かれた日本人は、もう短躯で出っ歯で七三分けの分厚い眼鏡をかけた日本人ではない。驚いたことにこれらの映画にはハリウッドからの日本文化への賛辞、憧憬さえ感じられた。


ちょうどその頃日本映画も話題になった。『たそがれ清兵衛』がアカデミー賞の外国語映画賞ににノミネートされ、長編アニメーション部門作品賞を受賞した宮崎駿の名前は誰もが知ることになり、その後『おくりびと』は上記の賞を勝ち取った。


若い世代の間では、インターネット上で人種間の隔たりがなくなりつつある。アジア系アメリカ人の女の子のメーク指南の動画、東京ファッションに関するブログ(東南アジア人女性の個人のブログが世界中で人気らしい)。日本発のファッションや若者文化が少数ではありながらも、ネットなどを通じて世界に広まりつつあるらしい。 Perfumeの動画サイトでの人気もそのひとつになるだろうか。「Manga」「Japanimation」等の言葉も一般にも認識されるようになってきた。

それにここ5年ほどの(もっと前かな)非常にアグレッシブなK-POPの戦略。前述したように、彼らは非常に難しい市場に真正面から挑戦している。まだまだ大きな結果は出ていないらしいが、様々な戦略で大量に送り込まれるアジア人のシンガー達がいずれ何らかの形でマークを残すことになるのは明白だ。以前はアジアのものだからと興味を持たなかったアジア系アメリカ人が、徐々にK-POPを自分のルーツに近い誇れる存在として受け入れ始めている。それは、K-POPがアメリカのチャート曲を聴きなれた彼らの耳にも十分に受け入れられるレベルであること、それにK-POPの質の高い華やかなパッケージが魅力的なためだろう。すでにアメリカでは「K-POP」という言葉が認識されている。


それから西洋のブランドショップの広告にアジア人モデルが使われ始めたのも興味深い。現在、エンポリオ・アルマーニ(最新のキャンペーン映像は東京が舞台)と、ギリシャの宝飾ブランドのフォリフォリは、広告展開にアジア人モデルを使っている。もともとは中国の富裕層をターゲットにした広告展開なのだろうが、これらのイメージが西洋の市場にも使用されている。ブランドイメージの広告にこれほどあからさまにアジア人モデルが使われることは以前はなかったことだ(芸術的として人気だった山口小夜子を除く)。当然西洋のファッション誌にもアジア人モデルをよく見かけるようになった。

こういうアジア人モデル達が西洋の街角で壁面の広告のボード、雑誌に登場することの意味は大きい。こういうイメージは明らかにアジア人モデルを異国風でかっこいい存在として使っているからだ。それらが一般の西洋人に与える影響力を考えれば、世の中が変わってきていると言っても過言ではないだろうと思う。