能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年2月8日水曜日

NHK大河ドラマ「秀吉」-3 -配役2


おね=沢口靖子
このドラマ以前のことを殆ど知らないのだけれど、こんなにいい女優さんだったとは知らなかった。笑うと子猫のように可愛いが、可愛いだけではない。気丈で賢く、あの型破りな夫を支え、つらいことにも耐え、それでも決して暗くならない、みんなに愛される健気な良妻を好演している。もともと美少女コンテストで選ばれた顔ありきの女優さんだとばっかり思っていた。昨今の若い女優さん達より格段に上手い。びっくりした。ほんとに素晴らしい女優さんだ。このおねはほんとに可愛い。

なか=市原悦子
この方、この秀吉の母ちゃんにぴたっとはまった。こんなにあたたかな、何があっても息子を支える母そのもののような人はそういるものではない。とことん息子を信じて何があっても応援する母親。どこまでもユーモラスであたたかい。比叡山焼き討ちの前、落ち込んで帰ってきた秀吉に「秀吉よ、母ちゃんがおみゃあの代わりに地獄う行ってやるで。(中略)おみゃあさんを信じとるよ…。」で思わず涙が出た。その一言で秀吉は立ち直って辛い仕事に帰っていく。こういう母親、昔の日本にはたくさんいたんだろうなと思う。今の日本にこんな母親いるんだろうか。秀吉があれだけ大きくなれたのもこの母の大きな愛があったからなのだろうと信じたくなってくる。

美(明智光秀の母)=野際陽子
母親つながりで、明智光秀の母、美。秀吉の田舎の母ちゃんと対照的なキャラ設定。彼女は武家の出の上品な母上様なのだが、気がハンパなく強い。昭和の教育ママゴンだろうか。光秀を出世しろ働けと常に叱り飛ばす。それまで光秀が仕えていた将軍足利義昭が落ちれば「なぜ首を取らなかったのだ」と息子をなじる。義昭からの密使が来れば刀を持って自ら斬りつける。怖い怖い。もちろん嫁も叱り飛ばす。嫁姑のだんらんなどこの女性にはありえない。こんな怖い母親も今どきいないだろうなと思う。信長に対して最後にぶち切れる光秀。もしかしたらあんなコトを起こしたのも、この厳しすぎる母親の育てかたのせいではないかと心理学的に考えてみたくなるほどだ。(もちろんこのドラマの中での話)
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これ以外にも脇を固める役者さん達が大変素晴らしい。脇役を見ているだけでも十分に楽しめてしまうほどだ。このドラマの強さは配役の素晴らしさにある。



2012年2月7日火曜日

NHK大河ドラマ「秀吉」-2 -配役1


織田信長=渡哲也
信長が怖い。おそらく史実の信長とは全然違うのだろうと思う。年齢のせいもあるのだろうが(渡さん当時55歳)実際の信長はあんなに重々しく落ち着いていないだろうと思う。が、あの存在感。キレたときのあの怖さは尋常ではない。あの信長は渡信長という特別なキャラクターなのだと思う。声が凄まじい。怒鳴られるとほんとに怖い。この人が怒ると急に場の空気が凍りつく。予想不可能な狂気、威厳、父性、それにとてつもない魅力を全て併せ持ち尚且つ「こういう人もいるかもしれない」と信じられる存在感は渡信長以外に考えられない。

秀吉が場面上臭いせりふを言ったりするのだが、カメラがこの人に移った途端、そんな臭いせりふも吹っ飛んでしまうほどの迫力。この渡信長と竹中秀吉のコンビは最強だと思う。渡哲也さんのような特別な存在感のある俳優さんは、もう日本には出てこないかもしれない。石原軍団を長年率いてきたリーダーの貫禄なのだろうか。すごいな。


秀吉=竹中直人
この竹中直人という人、私には彼のコメディアンとしての顔の強さのほうが強烈に頭にあって、どんな配役も同じに見えてしまっていた。ところが、この役はピタリとはまった。史実の秀吉、「人たらし」と言われるほど、天才的に話術の上手い人。あれだけ猿だ醜いなどと言われながら、実際に戦国の武将達を魔法のように説き伏せてしまう不思議。頭が非常に良かったというのがまず第一だろうが、変顔の、出自もルックスも良くない人間があそこまで上り詰めるのは歴史上の奇跡としか言いようが無い。それがこの竹中さん、ぴたっとはまった。

そもそも役柄のためのオーバーアクションとメイクのせいだろうが、まぁーそれはそれは変な顔。日焼けして真っ黒。大きな眼はいつも四白眼。米粒を口から吹き出し、まあ大いに変な顔だ。おまけにすぐに裸になる。それなのに、どこか惹かれてしまう。面白いし、とてもイイ奴なのだ。この人情味溢れる竹中秀吉は何をやってもどこか憎めない。その一生懸命な姿を応援したくなるのだ。可愛い奴なのだ。

最初の頃は先輩にもいやがられて足蹴にされていたのに、いつの間にか上位の武将達にも同僚として受け入れられている。まさか史実の秀吉がこんなに善人だとは思わないが、ドラマとして十分に納得できる設定だ。そもそも農民の倅が関白の位にまで上り詰めるこの人の人生そのものが奇跡なのだが、この竹中秀吉を見ていると「もしかしたらこういうふうだったのかな」などと思えてくる。史実の秀吉もこの竹中秀吉のように、人を魔法のように惹きつけて出世の階段を駆け上ったのだろうと思う。ともかく渡信長とともにこの竹中秀吉、すばらしい。


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何よりもこの二人の関係がこのドラマをひっぱっていく。絶対的な上司と部下の信頼関係。これに心を動かされる。これは秀吉の立身出世物語なのだが、同時にこの二人の信頼関係の話でもあると思う。この二人の場面はどれをとっても言葉に出来ないほど素晴らしい。



2012年2月6日月曜日

NHK大河ドラマ「秀吉」-1


去年の終わり頃、ネットで1996年の大河ドラマ「秀吉」のDVDが発売になるとの情報を入手。待ってましたっ! 早速、ネットで予約。完全版第壱集が、発売日から二日後に届いた。やったっ!

この大河、長い間待っていた。96年当時、イギリスから年末に里帰りした折、たまたまこの大河の総集編を見ることが出来た。ビデオにも撮ってその後何度か見た。この信長に惚れた。

その後ラストサムライを見て、時代劇マイブームが始まり、いろいろとNHK大河の総集編のDVDを買ったりし始めた。この「秀吉」のことも思い出した。録画していたビデオを取り出して見たが画像が荒れていたので、どうせDVDが出ているだろうと廃棄した。ネットで調べてみるとこの「秀吉」、DVD化されていない。えっ、なんでっ?

記憶の中にある、怖い信長。その姿を捜し求めて、映画の「影武者」、大河の「黄金の日日」「国盗り物語」「おんな太閤記」、大昔の「太閤記(1965年)の本能寺」にも手を出した。…が、渡信長の怖さを超えるものは無かった。

定期的に、ネットを探る。やっぱりその月もDVDは出ていない。そんなふうに時は10年近くも過ぎた。長かった。


さて、さっそく見始めた。やっぱり面白い。大昔に総集編を見ただけなのだが全編心から楽しんでいる。戦国時代の大河は近年「功名が辻」「天地人」「江」などテレビで見たが、比べてみてずいぶん違うのだなと思う。男臭いドラマだ。ずいぶん荒っぽい。たかが16年前。だが、たった16年で世間の求めるものはこんなにも違うものだろうかと驚く。そういう時代の変化を見る意味でもこのドラマは面白い。これは良い買い物をした。

2012年2月5日日曜日

マドンナのスーパーボウル(2012)ハーフタイムショー!


見ました、マドンナのスーパーボウル、ハーフタイムショー。たった今、終わったばかり。

すごいなー。派手派手。これが出来る限りのことをやった、たぶん世界で一番お金のかかった12分のステージショー。すごいなー。これから、Youtube などでいくらでも見れると思うので、内容はあまり書きませんが、とにかく派手です。

とにかくとにかく派手派手ですごすぎる。LMFAOParty Rock Anthemで1分ぐらい出てきたり(笑)、そのほかにも(私は知らないのだけど)出てきたソウルシンガーや女性ラッパーはたぶん有名な人たちなんでしょうけど、それぞれの出演時間は30秒に満たない。なんとぜいたくすぎる使い方。

マドンナも50代半ば。もう、かつてのようなダンスのキレは無いし、おそらくほとんど口パクだと思うけれど、あの女王さまぶりは今でも健在で、ほんとにすごいもんだなと思う。これが、アメリカのショービジネスの力かと改めて驚き。

実は、一ヶ月ほど前にマドンナ本人がニュースショーの独占インタビューに出て、このスーパーボウルのハーフタイムショーのことを語っていました。「緊張するし、心配もするわよ。8分でステージを組んで12分の最高のショーをやり、また7分でかたずけるの。どうすりゃいいのよ。出来るかしら。」などと笑っていたけれど、大成功でしたね。

マドンナ健在。大昔のファンとしてはちょっとうれしい。

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スーパーボウル(Super Bowl)とは

アメリカのプロフットボールの王座決定戦。
前半戦と後半戦の間に行われるハーフタイムショーには1993年のマイケル・ジャクソン以来、毎回有名歌手等によるミニコンサートが開催される。
スーパーボウル中継は、毎年非常に多くの視聴者を集めるキラーコンテンツであり、視聴率は1991年以降21年連続で40%を超えている。2011年の第45回大会では、米国内の視聴者数が約11100万人と米国のテレビ史上最多を記録した

このため、テレビ中継に流されるコマーシャル枠の価格は世界で最も高価で、大手企業の大金を惜しみなくつぎ込んだコマーシャルが見られることでも知られている。アップルコンピュータが1984年のスーパーボウルでマッキントッシュの発売告知のコマーシャル「1984」を放映したことにより、一躍名を知られるようになったことが契機とされている。2011年現在、CM枠の価格は30秒枠で平均290万ドル(ほぼ2億円)といわれる(←今年はもっと高いらしい)。(Wikipedia)

少女時代がLate Show with David Letterman に!



少女時代がアメリカのテレビに出るということは、何日か前にネットで知っていたのだけれど…。なんと、デビッド・レターマンの番組だとは知らなかった…!!!あーびっくりした!

これはすごい。ほんとにすごいぞ。

どこかのケーブルかと思ったら、バリバリの3大ネットワークCBSじゃないですか。それもレターマンなんて、日本で言えば、誰だろう……出てこない…。とにかく「アメリカで30年に渡り司会(トークショー・ホスト)として自身の番組を持ち続けている全米屈指のトップ・コメディアンの1人(Wikipedia)…とにかく夜の1011時台になったらみんな見てるトークショー。
その人気は、バラエティ・リポート誌の発表によると視聴者数は410万人。「アメリカで最も好きなTV司会者」ランキングでは2位に入っており(Wikipedia)、例えば、前回の大統領選挙前にオバマ候補とマッケイン候補が出たと言ったらその大きさが分かってもらえるだろうか。とにかくすごい番組なのだ。
こんなのに出ちゃうなんて…。これは参りました。

さっきYoutube で映像を見たら、ビル・マーレイがトークのゲストで、彼女達は最後の歌のコーナーだけだったらしいけれど、このレターマンおじさんがまぁ嬉しそうなこと嬉しそうなこと…。

やっぱりとても華やか。綺麗。アメリカでは脚が長くて背が高いとほぼ無条件に「いいおんな」枠なのだろうけど、カメラが長身のスヨンさんを何度も大写しにしていて納得。

またまたネットで調べると、この番組の音楽プロデューサーが「少女時代は非常に興味深く、また特徴のあるグループと考えたので、出演交渉を決めた。」そうなので、なんと、あちらからお声がかかったんでしょうか。これはすごいな。

彼女達、本気でいけるのだろうか。

Perfumeの方が好きだけど、この少女時代のアメリカでのがんばりは心から応援したいと思う。同じアジア人として白人と黒人とラテン系しかいない業界にどーんと風穴を開けてほしい。ほんとに。



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Perfume を海外へ-9 海外進出の難しさ


2012年1月30日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第4回「殿上の闇討ち」


毎週感想を書くつもりはないのだけれど、やっぱり今週も面白かった。中井貴一パパはかっこいい。ほんとにいい。今日は見せ場があった。『王家の犬になるつもりはない』そうだ。清盛君もとても嬉しそう。
よかったね

この中井貴一パパ、昔「ふぞろいの林檎たち」で若いのかトシなのか微妙な大学生を演じていらしたのだけれど今ほんとにかっこいい。あれから30年近くたった。彼が出てくると画面がピシっと引き締まる。声がいい。所作が美しい。清盛との親子関係も素晴らしい。やんちゃ坊主な息子を、言葉少なくも暖かく見つめる懐の大きな親父の姿がとてもいい。これからも、もっとビシビシ清盛を叱り飛ばしてほしい。

画面も相変わらすゴージャスでとてもいい。贅沢な画面だ。NHKさんの公式のサイトを見たら、今年は製作の方々、とても気合が入ってるらしい。「坂の上の雲」も終わったので予算が多く使えるんだろうか。ますます楽しみだ。

それにしても、男のドラマはやっぱり面白い。日本の歴史、ほとんどは男が作ってきた歴史だ(世界中そうだけど)。そのせいだと思うが、やっぱり男主役の歴史ドラマの方が断然面白いと思う。儒教などで世の中がそうだったのだからしょうがない。これは女性がどうがんばってもどうにもならないことだ。これからも質の高い歴史ドラマをやるのなら、きちんと男らしい男を演じられる若い俳優さんを育てていくしかないと思う。

NHKさんこの調子で迷わずがんばってください。オネガイ。もっともっと平安の時代にタイムスリップしたい。この調子ならDVDも購入するワ。

2012年1月29日日曜日

いまさらの『ラストサムライ』論 - 4


この映画の監督エド・ズウィックは過去に黒澤明に傾倒し、日本の歴史を学び、その中でとりわけ西郷隆盛に感銘を受けたと言っている。ドラマの脚本、監督、プロデュース等を手がけた後、映画監督として活躍するようになるのだが、その頃から、この西郷隆盛と西南戦争を題材にした作品を作りたいとずっと企画を暖めてきたのだという。
 
要は、このラストサムライ、監督本人自ら過去に日本史を学び、そこから武士道の哲学も学び、それに感銘してくれたからこそできた映画なのだ。一般の西洋人が日本人や日本の歴史に興味を持つことはほとんどない。トムクルーズが単なる話し手として登場するのも、ズウィック本人が、アメリカをはじめとする世界の観客に、彼の大好きな日本の侍文化を紹介したかったからなのだ。ズウィックがたまたま日本史好きで、たまたま優秀な映画監督だったから140億円もかけてこんな大作を、ありえないくらいの愛情をこめて作ってくれたわけで、このような偶然はなかなかあるものではない。いやむしろ奇跡だと言ってもいい。もうこんな映画は二度と作られないだろうと思う。そんな稀有な偶然の結果から生まれたこの映画に私はまず感謝したいと思う。

西洋でもおおむね高く評価されている。封切からもう10年近くたっているのに、IMDB(映画データベースサイト)では、10点評価で7.7点。なかなかの高得点だ。同じジャンルの歴史大河でグラディエーターが8.4点、ラストエンペラーが7.8点、キングダムオブヘブンが7.1点などを見ても、このジャンルのものとして大変高く評価されているのが分かる。トムクルーズの人気に負うところも多いだろうが、何よりも魅力的な悲劇のラストサムライ達への賞賛が高得点の理由だろうと思う。

イギリスでの評判もよく、映画館の客席は何度行ってもよく埋まっていた。とくにマイノリティと言われるアジア人や黒人、中近東人をよく見かけた。しばらくたってから郊外でタクシーに乗ったら、運転手さんが、ラストサムライに感銘して日本史の本を読んでいると話してくれたこともあった。いい思い出だ。封切られた週には、イギリスで一番の新聞 Times誌の日曜版にも長文のレビューが載っていた。ただ評価は中ぐらいだったのだが、批評家が「19世紀の日本を現在のアフガニスタン、明治政府を彼の地の新政府、勝元の一族をタリバン、トムクルーズを当時タリバンに入隊して捕まったアメリカ出身の白人の男性」だと例えたときには、さすがに頭を抱えてしまった。

ともかく話は長くなったが、この映画のおかげでで私の娯楽の幅もずいぶん広がった。それまで、時代劇など見向きもしなかったのに、この映画の後から、憑かれたように時代劇を捜し求め、日本史の資料、小説なども読み漁った。2005年から2年間一時帰国をしたときにも出来る限り歴史物を見るようにした。そして日本では歴史物は映画よりもやっぱり大河ドラマが一番かなとも思うようになった。過去の大河ドラマのDVDまで買って見たりした。まだまだ見ていないものも多い。これからも楽しみは無限にある。それにしてもイギリスに10年住んでまさかこんなに日本史ファン時代劇ファンになるとは思わなかった。人生は分からないものである。■


いまさらの『ラストサムライ』論 - 1
いまさらの『ラストサムライ』論 - 2
いまさらの『ラストサムライ』論 - 3
いまさらの『ラストサムライ』論 - 4