能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2011年12月20日火曜日

Perfume を海外へ-9 海外進出の難しさ

ただ、実際に海外、特にアジア人が西洋に出て行くのは簡単なことではありません。

正直な話、現状で、アジア発の音楽が、アメリカ発の音楽のように西洋世界ですんなり受け入れられることは、まずありえません。それは、音楽であれ、なんであれ、日本から出て行くものには、全て日本製というラベルがついているからです。日本から(アジアから)の音楽というだけで興味をなくしてしまう人もまだ大勢います。人種の問題もあるでしょう。言葉の問題も大きいです。そもそも日本製のJ-POPが面白いなどと言う前に、「日本てどこだっけ?」程度の興味も無い人が殆どです。殆どの西洋人にとっては、日本も韓国も中国も全て極東の変な言葉をしゃべるちょっと変な顔の「私には関係ない別世界のどこかの国」です。彼ら西洋人の生活は、意識上で「極東」の国にいっさいかかわることなく日々過ぎていくわけです(極論ですが)。ぶっちゃけた話、普通のアジア人アイドルをそのまま商品として西洋に持っていったところで、よほど特殊性が無ければ、苦戦を強いられるのではないか。日本発の音楽が、西洋社会に受け入れられるためには、まずそんな基本の問題をクリアしなければならないのです。

きゃりーぱみゅぱみゅが売れたのも、彼女のPVでの特異性があまりにも突き抜けていたからです。最初は彼女が日本人かどうかというよりも、「なんなんだこれは…???」とびっくりしたんだと思います。それに癖になる良曲で大成功です。結果的には欧州の日本文化の人気が それを後押ししたのだろうと思います。初音ミクの特異性は言わずもがな…。

ところで話がそれますが、アジアつながりで少し。韓国の少女時代が、西洋でコンサートをやって人気だそうですが、彼女達の戦略と努力には正直頭が下がります。世界征服の方法を真剣に考えて、迷いの無い全力投球でしょう。押しの強いアグレッシブな戦略はもとより、彼女達の魅せる為のパッケージが明確なんですね。「足の長いモデルみたいな綺麗な若いアジア人の女の子が9人、全員が歌って踊る。歌も踊りも適度に上手いし、英語もしゃべれる」。彼女達を見たとき、あ…やられたな…と正直思いました。これはかなわない。正攻法ですもん。中国の市場獲得はあたりまえ。3人は中国語が話せるらしいし、日本語や英語を話せるメンバーもいる。西洋市場に対してさえも、アジア人であることを逆手にとって、普通の西洋人の女の子より圧倒的にスタイルのいい綺麗なアジア人の女の子達9人が歌って踊ってドヤ顔。パッケージとして、問答無用で客を圧倒してしまうような華やかさを感じます。西洋にあまり無い大所帯のガールグループ(特異性)の形態を極めたパッケージなんでしょうか(もともと大所帯のガールグループは日本発だと思うのですが)。戦略としてはあまりに正攻法すぎて、ちょっと古いやりかたではないかと思うのですが、彼女達がアジア人であることが新鮮で逆に武器になっている。アメリカの女性シンガー達のように、これみよがしなセクシーフェロモン系でないのもいい。よくがんばってます。それでも、彼女達がビヨンセやガガと同格で勝負することは難しいでしょう。それが、アジア勢の西洋社会での現実です。もし、そんなアジア人の限界もわかった上での、当たって砕けろ戦略ならたいしたものです。

そんなわけで、ハードルは高いです。だからこそ西洋で、既存のファンを超えた外の世界に打って出るには戦略が必要なんです。いまのPerfumeのアイドルパッケージをそのまま海外に持っていくのは無理でしょう。Perfumeの日本でのアイドルとしての戦略は、日本のファンが彼女達本人を大好きだから成り立っているものです。どんなに可愛くても、言葉もしゃべれないアジア人の女の子達に一般の西洋人が入れ込む可能性は少ないです。だからこその海外仕様です。お友達としてだめなら、リスペクトを勝ち取ればいい。

ただその戦略は、ライブをしに海外にいく場合のものです。その前にまずやらなければいけないことがあります。