能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年5月29日火曜日

ノエル・ギャラガー vs AKB48 騒動に物申す


日本にいないので、どの程度大きくなってるのか知らないけど、なんだかネット上のニュース欄にもとり上げられているみたいなので、結構な騒動だったんでしょうか。

ノエルさん、英国で10年間同じ空気を吸った人間として、ちょっと擁護したい。

早速、ノエルさんのサイトに行って読んできたんだけど、これ、爆笑ニッポン珍道中小話ですよ。まぁ多少のF言葉も使われてますが、この人はこういうキャラ。もともと北部マンチェスター出身の労働者階級の悪ガキがロックスターになったというキャラで、もっとおいたな弟リアム君といっしょに子供がそのまんま大きくなったようなキャラなの。それでも、ふたりとも根は優しいおやじ達で、英国の国民にもかなり好かれている人達です。口は悪いけど、中身は真面目で常識的な人達(とくにお兄ちゃんのノエルさん)で、オアシスの歌詞を見てもインタビューを見てもすごくいい人っぽい。ファンではないけどノエル君は結構好き。

このノエル日記も、いつもの調子で不思議の国ニッポン珍道中を英語圏のファン(基本的には英国人にでしょう)に向けて面白おかしく報告しているもの。

そもそも、一般の英国人にとって日本は不思議の国ニッポン以外のなにものでもないわけです。昔から有名な精密機械とか、日本の列車が時間に正確であるとか、そんなことは既によく知られていることで、今回の彼のTV出演中の時間割りの正確さもそんな良く知られた「正確さ」を多少大げさに書いているだけ。

ただMステの番組そのものが、きらびやかなセットに、ひな壇に並んで座らされた若いポップスター達、サングラスにオールバックの小さなタモリさん、隣には綺麗なお姉さんの女子アナさんと、ノエル君のような英国のオヤジには、とてつもなく妙で変で場違いに感じるのも事実なのでしょう。

問題のAKB48さんに関しても、彼女達のパッケージそのものが、海外の人にはほぼ理解され難いものであることも事実。実際には20歳を超えているメンバーも多いと聞きますが、彼女達の衣装や、見せかた、歌も、声の質も、いかにも若い(幼い)女の子らしいもので、実際に西洋人から見たら、13歳から15歳に見えても不思議ではないんですよ。そんな、寄せ集められた小さな女の子達が、(海外では当たり前の)個々の個性を主張するのではなく、なんだかわらわらと40人以上もの団体で存在しているのも、大変異様に感じられるものなんでしょう。
あちらは16歳の女の子を連れてきて、27歳のマダムのように化粧をさせ着飾らせてモデルをやらせる国なんです。全く正反対。

AKB48さん達がいつもの彼女達らしく、きゃらきゃら笑って(英国人には)意味不明の言葉をしゃべりながら絶え間なくクスクス笑いをしているのも、非常にみょーなものなんでしょう。「急にジジイになった気がしたぜ…」というのも、すごくおかしい。

一見子供のような、きゃらきゃら笑うたくさんの可愛いの女の子達に囲まれて、苦戦したんだろうな…。これ、状況として爆笑ものですよ。「なんでオレがあそこにいたんだか…神のみぞ知る…」なんて、途方に暮れているノエル君が想像できて超おかしい。でもその後で「でもなんだか面白かったぜ」と終わっているので、決してAKB48さんやMステさんを貶しているのではないです。結構楽しんだんだろうと思います(爆笑)。

誤訳だと認識されて、騒ぎも収まったらしいですが、異文化の交流というものはいろんなことがあるものですね。日本の文化が、ここ最近ガラパゴス化などと言われているようですが、実際に海外の人達には、かなり異質に見えるのも事実です。それを、面白いと思う人もいれば、受け付けない人もいるだろうし、「なんだか妙だけど面白れぇぜ…」とわざわざ自国民に報告してくれるノエル君みたいな人もいるんでしょう。それに噛み付いて騒ぐ人々。ノエル君のサイトに文句を書き込んだ人もいたらしい…。彼もびっくりしてると思います。

なんだかそんな騒ぎの全体が、不思議ニッポン的だなとつくづく思う…。




映画『バーニー みんなが愛した殺人者/Bernie』:田舎を笑うべからず


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Bernie2011年)/米/カラー
104分/監督; Richard Linklater
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旦那Aの選択で鑑賞。うはー…これは…なんといったらいいか…よくわからん映画。こんなに妙な映画も珍しい。監督はR・リンクレイター。ジャック・ブラックは全然好きな俳優ではないけれど、シャーリー・マクレーンが出ている…。マシュー・マコノヒーも出ている。ん? ま、いいか…と見に行くことにした。正直に言うと「金返せ」うひゃー。

テキサス州の田舎の中の田舎。コテコテの田舎訛り。ご近所さんはみんな知り合いで、人の噂話も絶えない小さな町。何かが起これば翌日にはみんな知るところとなる。週末にはみんな教会にいく。個々の家の壁は重厚な木製のパネル。そこに狩猟でしとめた鹿の剥製の首が何個も突き出している。壁紙は赤と緑の縞模様。家具も重厚なオーバーサイズ。いかにも古きよき時代のアメリカ…なんとも重苦しくて古臭い装飾。そうこの町、たぶん60年、70年代ぐらいから住人も生活も習慣もなーんにも変わっていない。


ともかく、ジャック・ブラック演じる葬儀屋の男。この人がいい人過ぎるいい人。みんなに優しくて親切。話術も巧み。教会ではチャリティーやコーラスを仕切る。地元の劇団でも活躍。町中の人気者だ。そんな彼が、シャーリー・マクレーン演じる嫌われ者の未亡人のばあさんと仲良くなる。彼の親切心から始まった友情がいつしか家族以上の信頼関係に変わる。そのばあさんがある日姿を消す。半年後、冷凍庫の中で死体で見つかる。この葬儀屋の男が殺したのだ。その後、地元の検事のマシュー・マコノヒーが彼を終身刑にするというお話。

これが実話の再現映画なのだ。ドキュメンタリー風コメディ。主要な人物以外は、地元の実在の人に本人を演じさせている。彼らの台詞は事実を元に書かれた脚本なのだが、この素人の役者達が、いかにも実話らしく葬儀屋と未亡人の噂話をカメラに語るという構成。実験的な構成から芸術映画枠なのだろう。


とりあえず、いいところから。ジャック・ブラックが役者をしているのを初めて見た…(とはいってもどうでもいいのだけど…とにかく苦手なのだこの人)。この役では、いつものようにうるさい顔芸もなくおとなしく役を演じている。はまってると思う。それにマシュー・マコノヒー。この人が、びっくりするぐらいかっこわるい田舎の熱血検事をやっている。珍しい。旦那によると珍しく上手いらしい。普段は役者としてまあまあなこの二人が、結構役者として仕事をしている。

ネタバレ注意


さて、辛口…というより、私個人にとって、なんで分からない映画なのか…金返せ映画になってしまったのかを考えてみたい。

1. 私は個人的に、アメリカの保守的な田舎が苦手である。保守的過ぎて実は大嫌いだ。なんというか理解不可能なのだ。アメリカにはダーウィンの進化論を未だに信じない人も結構いる。うひゃー頭が痛い。なのでこういうアメリカの田舎の話はどうでもいい。興味なし。これは私個人の嗜好なのでゴメンナサイとしか言えない。(うーん言葉がきついので誤解されるかもしれないので追加するけど、いい田舎のイメージならいいんです。ドリー・パートンは大好き。嫌なのはあくまでも頭の固い人々。)

2. いくら田舎の話とはいっても、この映画で描かれた町、実際にはあそこまで田舎臭くはないだろうと思う。監督の趣味だかなんだか知らないが、実際にはイノセントな田舎の方々をあそこまで笑いものにしていいものか…。全員が洗練されてなくて、住んでる環境も、3040年変わらないように描かれているのも疑問。みんなテレビだって見るし、雑誌だって買うのだから、あそこまで時間が止まったようには生活していないだろうと思う。田舎を馬鹿にしてるんだろうか。

3. 小さな田舎町の殺人事件。どこにでもありそうな話だが、三文記事仕立てのこの映画、決しての品のいい話ではない。人が亡くなっているのにゴシップ調なのだ。不快である。

4. 別に田舎町の殺人事件を映画の題材にしてもいいのだけど、妙なコメディ仕立てなので深みは一切無い。心理描写も無い。未亡人がなぜそこまで嫌われるのか、葬儀屋がなぜそんなにイイ奴なのか、独身で彼女もいないのはどうしてなのか(実はゲイらしい)、未亡人と葬儀屋がなぜ仲良くなったのか…そんな踏み込んだ人物描写や心理劇なんて一切描かれない。結局、近所の人達のゴシップレベルなのだ。これは見ていて辛い。

5. 殺人事件のあった地元の実際の近所の人達を集めて、その事件の再現映画を作る。それはいいのだけど、しかしなぜ脚色までして、コメディ調にするのかが解らない。なによりも亡くなった未亡人が、(殺されているのに)未だに嫌われ者なのが理解不可能。人が亡くなっているのに、近所の人がそれをあざ笑うようにカメラに向かって話すのもどうかと思う。彼女の事を語る地元の人々は、そんなモラルさえ持たないほど馬鹿なのかも疑問。こんな脚本を実在の方々に語らせて、無理やり意地悪な田舎町の住人に仕立てあげるのも非常に理解不可能。不快である。

とかなんとか…。映画として十分にありえる設定だとは思うのだけれど、どうもこの映画の意図がわからない。何が言いたいのかさっぱり解らない。終身刑を食らった殺人犯を可哀想だと言いたいのか、それとも、殺されたお年寄りをあざ笑い殺人犯をイイ奴だと言う田舎者を笑いものにしたいのか…監督の意図が全く解らない。いずれにしても不快である。

この映画の登場人物を誰も好きになれないのも辛い。彼らの全員が実在の人達なのだから困ってしまう。会った事もないどこかの町の普通のおじさんおばさん達を嫌うために映画を見る必要もなかろう。ほんとうに困ってしまう。しかしそんな普通のおじさんおばさん達がくだらないゴシップをカメラに向かって話すのを延々と1時間半も聞いていると、げんなりしてしまう。うわぁ頭が痛い。困った困った。これはもう金返せである。いやになるぜ。


ちなみにこの映画、評価は決して低くない。芸術映画枠だからだろうか。私は何が理解できなかったのだろう? ブラックユーモアのセンスだろうか? 私の英語力の問題もあると思う。結局外人の私には解らないということか。誰か教えて欲しい。

ちなみに旦那Aは自分が選んだ映画だったので、なんとか良い所を探していたようだが「どうも居心地の悪い映画」だと言った。
うむ、私もそう思う。

ジャック・ブラックのファンの方は、彼の役者ぶりを楽しめると思います。歌も上手。しかし映画が地味過ぎて、日本公開はないような気がする。



2012年5月27日日曜日

最近のPerfume:氷結CM 「Triple Screen」篇


しばらく忙しくてチェックしていなかったのだけど、またいろいろとPerfume関連も忙しいらしい。

動画サイトにもあがってましたキリンの新CM。またまた可愛いです。

ところでこのCMで、以前気付かなかったことをひとつ…。

ズバリこのCMPerfumeはとてもHです。セクシーとは違うけど、なぜか全編から漂うとてつもない色気。写真で見ると特にそう。なんなんでしょうか…。いいですね。

アイドルとはいっても、彼女達ももう23歳の大人の女性。胸もお尻も全く出さないのに、これだけの品を保って色気が出せるのは本当に貴重。世の中、国内も海外も「出してナンボ」の人達が多いなかで、この感じは非常に珍しい。これは大切にしたほうがいいと思います。

衣装も明るくて楽しいのに、この色気。かしゆかはアンナミラーズの制服風だし、のっちは学校の先生風、あ~ちゃんはきれいなお姉さん。これだけ表情も明るくていつものPerfumeなのに、なぜかHだ(笑 私は決して中年オヤジではない)。

セクシーさも売り方次第。あからさまな色気を封印した戦略でも、これだけの色気が出てきたというのは、素晴らしいことです。色気は健康である証拠。あれだけアスリート並みに体を動かしてる人達なので、セクシーさも健康なのも自然に溢れ出てくるのでしょう。まっすぐにのびのびと幸せに育った娘さん達はほんとうにいいものです。素材としても非常に面白い。

彼女達は本当に美しいと思います。素晴らしいです。これから45年、ますます出てくるだろう自然な色気を、彼女達のキャラクターの中でどう料理していくのかも課題になるかもしれません。




2012年5月18日金曜日

PerfumeがJAPAN TIMESの記事に!


リンク

http://www.japantimes.co.jp/culture/2012/05/18/music/will-the-world-soon-wake-up-to-the-scent-of-perfume/#.UbmUS1VZwqI

The Japan Times OnlineEntertainment Spotlightのコーナー、518日付でタイトル“Will the world soon wake up to the scent of Perfume? (世界はPerfumeのカオリにもうすぐ目を覚ますのか?)”

ざっと読んだのですが、大変好意をもって応援してくれてます。511日の武道館のライブの前に、ジャパン・タイムズの方がPerfume3人にインタビューをしたらしい。英語の報道関連で初めての直インタビューだそうだ。この記者さんは、Perfumeファンになっちゃったのかもしれない(笑)。

そのインタビューで、のっちをアイス・クールと言ってる。氷のような美女? 外国でライブがしたい。それにファンに会いたいそうだ。あ~ちゃんはマスクをしていたらしい。『CARS2』でロスに言ったとき、現地のファンがいてびっくりしたこと。かしゆかは、(海外にもファンがいることが)不思議だそう。「鳥肌がたつ」とあ~ちゃん。それに「ダンスがすごくなってきてるけど、もっと難しいものにも挑戦したい。限界に挑戦したい。」おお、すごいですね。

そんなインタビューを軸に、当日のライブの様子。それにPerfumeの簡単な歴史、中田ヤスタカさんとの関係、アルバム「GAME」がいかに大きな影響を及ぼしたのか、それから、J-POPの海外への展開は、業界でも前例が少ないこと、ユニバーサル・ジャパンのディレクター加藤氏の以前のインタビューにもふれ、海外戦略の先輩であるK-POPを例に、これからどうしていくのかのアイデアを挙げている。加藤氏は(何か機械だろうか)同時通訳が可能ではないかと考えているらしいし、それとはまた別に、前述の『CARS2』でのポリリズムの採用では、言葉は全く関係なかったこと…等など、様々な角度からPerfumeの可能性について語っている。
ともかく「本当のPerfumeを知るためには、CDを聴くよりも、本人達と話しをするよりも、とにかくライブを見なくっちゃ。」と力説しています。すばらしい。


この記事はとても好意的だと思います。この記者さんも、武道館ライブを楽しんだんだろうな。いいな。ともかく英語の記事でこれだけ情報量も多く、好意的な記事が出るのは大変ありがたい。

以前『JPN』がリリースされたときに、同じジャパン・タイムスが、英国人評論家に書かせたそれは辛辣なレビューを載せていて呆れたのだけれど(英国の音楽評論家には何でもかんでも批判すればいいと思ってるような輩が多いので、記事の内容を気にする必要は全く無い)、今回はとても好意的です。日本に関する情報で最大の英語メディアであるJAPAN TIMESに、こういう好意的な記事が載ることは、世界にも大きな影響力があるのではないかと思うのでとても嬉しい。

内容は、おそらくどなたかが全訳をネットに投稿してくださるでしょう。もし時間が経っても出てこなかったら考えよう。とりあえず嬉しかったのでご報告。





2012年5月13日日曜日

映画『ハンガー・ゲーム/The Hunger Games 』:"Big Brother is watching you"


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The Hunger Games 2012年)/米/カラー
142分/監督;Gary Ross
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『ハンガーゲーム』を見てきた。女優さんが上手い。


日本ではとにかく『バトルロワイヤル』との比較になってしまうと思うが、話としても映画としても全く違うと思う。『バトルロワイヤル』が演技も設定も終わり方もあまりリアルに感じられなかったのに対して、これは話も演出も演技もかなりリアル。心理劇としてもよく出来ていると思う。主役の女優ジェニファー・ローレンスさんが抜群に上手い。この女優さんを見るだけでも価値があると思う。
この手のものでありがちな意図的な残酷描写は一切ない。アメリカでは13歳以上の指定になっているが、話の設定がまず「子供が殺しあう話」なので、そのことに対する配慮かと思われる。痛い描写や気持ち悪くなるような場面はほとんどなく、内容上暴力的な場面もことごとく早送りやぼやけた画面で分かりずらくしてある。残酷描写を避けたことで、ショッキングなシーンのみが話を引っ張るのではなく、登場人物の心理劇として非常に質の高いものになっていると思う。…ので、残酷描写が苦手な人でも大丈夫 
もともと非常に売れているティーン向けの小説の映画化らしいのだが、「子供が殺しあう」のキーワードだけで私も『バトルロワイヤル』のリメイクまたはパクリだと思っていた。前知識の全くない状態で鑑賞。面白かった。個人的に100%満足だと言いきれないのは、原作がそもそもティーン向けの小説のせいだからではないかと思う(後述)。それでも映画として十分に成功していると思う。



ネタバレ注意


設定は未来(これも近未来だろうか)。舞台は独裁国家パネム。富裕層の住む大都市キャピトルとそれを支える下層階級の住む12の地区。年に一度、12地区それぞれから、12歳~18歳の男女のペアが選ばれ、集められた計24人が野に放たれ最後の1人になるまで殺し合いをする。そもそもは、過去にあった下層階級の富裕層に対する反乱への見せしめとして始まった。そんな悪しき習慣がもう74年も続いている。
12の地区はそれぞれ20世紀初頭の労働者階級のような厳しい生活を強いられている。選ばれた男女のペアはキャピトルに集められるのだが、そこに住む人々の生活は豊か。18世紀の貴族を思わせるような、いかにも西洋風近未来のイメージの人々が集う。ちょっと前のエントリーで書いたSwedish House Mafia GreyhoundPVAbsolute VodkaとのタイアップCM)とほぼ同じ系統の服装の人々。ああいうのが西洋の近未来の定番のイメージとしてあるのだろうか。
この子供の殺し合いは、そのままTVで生中継され(首都の富裕層も各地区の下層階級も)国民全員が見守る中で繰り広げられる。ローマのグラディエイター(奴隷の殺し合い)まがいのスポーツ観戦として、それから西洋では盛んなリアリティーTVまがいの娯楽として消費される。勝ち残った者は国民的英雄になる。まぁとにかく野蛮な話なのだ。


英国に住んでいた頃『ビッグブラザー』というリアリティーTV番組が大変な人気だった。元々は1999年のオランダの番組だったらしいのだが、その内容は「完全に外部から隔離され 全ての場所にカメラとマイクが仕掛けられた家で、十数人の男女を3ヶ月生活させ、彼らの生活を 喧嘩・セックス・互いの脱落させ合いに至るまでの全てを放送するリアリティ番組である。(Wikipedia)」というもの。

タイトルの「ビッグブラザー」とは、ジョージ・オーウェルの小説『1984』からのもので、参加者を24時間撮影し続ける監視カメラ(視聴者)を小説の「ビッグブラザー」に例えたもの。一般の応募者から選ばれた参加者で行われるのだが、たまに有名人でやることもあり、興味本位で一度見たことがあった。
参加者は、毎回視聴者からの人気投票によって最下位だったものが一人ずつ落とされていく。最後に勝ち残った者は文字通りスターになった(おそらく長続きはしなかったと思うが)。この映画の『ハンガーゲーム』のフォーマットも全く同じ。勝ち残ったものが殺し合いで勝った結果ということが違うだけ。その為こういう番組を見たことのある者には非常にリアルな設定に思える。(そういえば、参加者をジャングルに住まわせて、同じように監視カメラで追い、同じように視聴者の投票で落としていくサバイバルものの番組もあった。それなんて、殺し合い以外はほぼ映画と同じ設定だ)

追記:この番組、現在2012年にもアメリカで放送してました。知らなかった。

 
リアリティーTVの説明が長くなってしまった。ともかく内容は主人公の心理劇。カメラはただひたすら主人公の表情を追い続ける。観客も全体の状況を見渡すのではなく、彼女と一緒にこのサバイバルゲームに参加しているような気になる。どこで何が起こっているのか、誰がどこで殺し合いをしているのかは、彼女が実際に経験し見ているものしか描かれない。そのため彼女の視点で非常にリアルだ。
なによりも主演の女優ジェニファー・ローレンスさんが上手い。顔のパーツが小さくて目の色も鈍い灰色の非常に感情の分かりにくい顔つきなのだが、その一見無表情な顔つきが、主人公の抑えた感情の下の強靭な精神力を上手く現しているように思えた。妹に対する責任感、友情、怒り、恐怖、緊張、あせり、安堵、悲しみ…等など様々な感情がめまぐるしく表情に表れる。
この女優さんの顔はあまり記憶に残らない。目鼻立ちも小さい地味な顔だ。…が、こういう顔だからこそ、どんな役もこなせる万能の職業女優になる可能性も大きい。上手いと思っていたら、去年、まだ20歳そこそこなのに映画『ウィンターズ・ボーン』で、他の大女優達とともに各賞にノミネートされたそうだ。楽しみな女優さんだ。(…と思ってネットで調べたら、元々の女優さんはかなり華やかなブロンド美人。すでにスター然とした佇まい。映画の役柄とまったく印象が違うので驚いた。髪の色だけでこんなに違うものだろうか。すごいですね。)



「個人的に100%満足だと言いきれない」と書いたのは、最後の終わり方のせいだ。話として違う展開もあったと思うのだが、原作に忠実に描かれているらしいので変えようが無かったのだろう。個人的には、彼女1人だけが生き残ってもよかったのではないかと思った。あれだけ極限の状況を経験したのだから、2人とも助かったことでまとめてしまうのではなく、1人だけ生き残って苦悩する方がよかったのではないか(当然あまり気持ちのいい終わり方ではない)。いずれにしても、あのような残酷な殺し合いの結果勝ち抜いた勝利者なのだ。もう普通の生活には戻れないだろう。そのあたりをもう少し踏み込んで見てみたい気もした。原作はシリーズが続いているらしいのでそのあたりも理由なのだろうと思う。
ところで、ミュージシャンのレニー・クラビッツが出ていたぞ。映画なんかに出て何をしているのだろう? 暫く見なかったがいつまでも若いなと思う…。






2012年5月12日土曜日

Heatwave - The Groove Line (1978)



これも好き。



Heatwave - The Groove Line (1978)

Album:  Central Heating
Released: Mar 31, 1978
℗ 1978 Sony Music Entertainment UK Limited


 
この曲、78年当時は知りませんでした。知ったきっかけは、90年代初期に聞いていたファンク・メタル(?)のギタリスト、Stevie Salas(スティービー・サラス)のカバー曲アルバム『Electric Pow Wow(1993)。非常にセンスのいい選曲で、その中に入ってました。ゴリゴリのヘビーなギター曲に編曲されていたけど、曲が好きで元曲に遡って聴いたら元曲も良かった。20年も経って(アドレナリンが少なくなってきた)今は元曲のほうがいいかな。これも踊りやすい。このバンドHeatwave(ヒートウェイブ)、もう一つのヒット曲Boogie Nightsも有名。(Stevie Salas The Groove Lineもあまり良くない音質でYoutubeにあがってます)

終始チャカチャカいってる軽いリズムギターに重いベースライン、たまに入るホーンセクションに掛け声。いいです。名曲だと思う。メロディーはなんだか切ない感じ。この手のダンス曲にしては、かなり情緒的なメロディーたと思う。


TV出演時 Heatwave - The Groove Line



さて画質は悪いですが、TV出演時の映像でしょうか。まぁびっくりするほど軽いフットワークはたまりません。膝が鞭のようにしなって踊るこの時代の方々はほんとうにかっこいい。エレガントです。前列2人のボーカルだけでなく、バックの楽器隊も同じ足捌きなのね。きゃーかっこいい…。

ところで今回のこれを書くのに調べていたら、このバンドのキーボード担当Rod Tempertonが後に、マイケル・ジャクソンの『Thriller』その他『Rock With You』『Off The Wall 等を作曲したそうだ。知らなかった。それ以外にも、James Ingram & Michael McDonaldの『Yah Mo B There』、George Bensonの『Give Me the Night』などもそうらしい。うわー名曲。もちろんこの曲もこの人の作曲。


 

2012年5月10日木曜日

Chic - Good Times (1979)




CHIC 2弾。

 
Chic - Good Times (1979)

Album:  Risqué
Released: Jul 30, 1979
℗ 1979 Atlantic Recording Corporation for the United States and

WEA International Inc. for the world outside of the United States.


Le Freakを出したら、これGood Timesも出さなくちゃ。これもベタだけど名曲。同じリズムギターとベースの繰り返しで、まったりと延々踊り続けるのに最高。曲としてのメロディーもあるけれど、とりあえずこの鳴り止まぬギターとベースだけの曲と言ってもいいでしょう。手拍子もいれてみよう…。 ちなみにこの曲の入っているアルバムは『RISQUE / 危険な関係』です。

これもリリース当時から延々と聴いている曲。一度も色褪せたことがないです。名曲中の名曲。最初から最後まで一切リズムが変わらずシンプルな曲なのに、ここまで延々と飽きることなく聞かせてくれるのもすごいです。音楽の理論が一切分からなくても、この曲なら老若男女、どんな国の人も、どんな宗教でも、どんな民族でもついつい立ち上がってノッてしまうと思う。踊ればみんな幸せ。往年のDisco曲はすごいですね。



The Sugar Hill Gang - Rapper's Delight (1979)

Released: 1980 ℗ 2005 Warner Strategic Marketing
(やたらと長いです)
 
 さてChicGood Timesとのかかわりで知っている方々には非常に有名らしいThe Sugar Hill Gang - Rapper's Delight。私は最近までこれを全く知らなかったです。米人の旦那Aは当時から知っていたそうだ。ラップの初期のものなんでしょうか。ノリがいいな。後にいろいろとオイタな歌詞が出てくるラップ界ですが、この曲は歌詞もなんだか非常に楽しげ。
歌詞を意識しないとこう聞こえる…

ァセダヒッ・ホッ・ァヒビッ・ァビビトゥダヒッ・ヒップホッ・ユドンストッ・ダロキトゥダバーンバーンブギセ・アッ・ジャンダブギトゥダリドゥモダブギダビー… (*´_`*)


追記:
なんと1ヶ月前の4月にCHIC、来日していたんですね。たった今情報を入手。まだやってるんだ…。ぎゃーっうらやましいっ、それもブルーノートなんて狭いところで。贅沢だなぁ…。昔は大きなホールでしか見れなかったのに…。