能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2013年12月4日水曜日

男大河の提案!大友VS島津~豊臣VS島津・九州大合戦


 
…う…ここのところ…ちと血圧が上がりに候…。
反省してます。
ずいぶん大きな声を出した。
頭がいたい…。
 
 
 
 
 
 
 
しかーし…
やはりあきらめきれん!
 
極骨太男大河・希望!(←やっぱり言ってる…)

 


 
大友VS島津~豊臣VS島津・九州大合戦なんてどうよ!
大友VS島津の九州内乱から、
豊臣軍の九州侵攻、
最後は根白坂の戦いにて島津軍の豊臣秀長軍への徹底抗戦! 
バトル・KYUSHU! いいぞ男大河っ!
 
…あ、また血圧が…。
 
 
 

2013年12月3日火曜日

女大河はなぜ難しいのか…「篤姫」のうけた理由



昨日、「篤姫」をうっかり褒めてしまったもんだから、モヤモヤが残ってしまった。…う…身から出た錆…これはなんとしてでも言い訳しなくては…。

今のNHKさんが、女大河にこだわるのは2008年の「篤姫」の大ヒットのせいでしょう。その考えは理解出来ます。しかし…。

もう女大河はうけません。

…たぶん。だってね「篤姫」がうけたのには理由があるのだ。


はっきりと言いましょう。今の日本は何をやっても歴史物はうけません。もうしょうがない。鎧兜で斬り合いをして男ががなりあってる話なんて、誰も見たくないんでしょう。そこに持ってきた江戸のプリンセス「篤姫」。これがウケた。

「単純に同じような女大河を作ればうけるのでは…」という考えが出てくるのも理解できる。そこで持ってきた戦国のプリンセス「江」。これがまあ見事に大ハズレ。そりゃそうでしょう。全然面白くなかったもの。


じゃあなんで「篤姫」だけがうけたのか…。

それは「篤姫」の大奥話がすでに一般視聴者に馴染みのある素材だったからです。「篤姫」が放送される前、2003年から2005年のフジテレビ「大奥」TVドラマシリーズで、「大奥もの」には皆馴染みがあった。普段、歴史物に全く興味の無い女性視聴者も「大奥」はドラマとして見ていた。「…大奥の話なら「篤姫」も面白いかも…」と見始めた視聴者は多かったと思う。そもそも「篤姫」の成功は、視聴者が素材に慣れ親しんでいたことによる…。

それにお金をかけた衣装やセット。いい配役。最初の半年は島津の田舎姫が玉の輿にのって大奥入り、馴染みの痴話言・色恋話をやったあとで、最後は実家が攻撃してきて日本のマリー・アントワネット話(イヤ…チト違うケド)…等々、とりあえず視聴者の興味を引く話の盛り上がりも確かにあった。

前年2004年の男大河「風林火山」で離れた女性視聴者が、馴染みのある大奥ものに興味を持ち、内容もそれなりに面白かった…というのがヒットの理由。うけたのにはそれなりの理由があったわけで、

ただ闇雲に女を主役にすればウケるわけではないんです。

今の日本では歴史時代劇はうけない。これはもうしょうがないと思う。NHKさんの(伝統的なブランド)大河ドラマでさえ、(2008年の「篤姫」以外は)そういう流れで10年以上も続いているわけで、女を持ってきたからって急にウケるなんてたぶんないだろうと思う。今でも大河ドラマを見続けているのは、長年大河を習慣で見てきた層と、もともと歴史物の好きな視聴者だけ。

そういう事実を思えば、現実的に大河ドラマの枠を仕切り直すしかないと思うんだけど、それはまたいずれ…。


私の個人的な「篤姫」の評価は佳作です。確かに戦国、幕末で泥臭い男大河ばかりを見続けていれば、大奥の姫物語は楽しかった。個人的には「風林火山」のほうが面白かったけど、大奥も確かに歴史の一場面であるのなら、大河ドラマがああいう女性の話をたまにやるのはいいと思った。ただしそれは「篤姫」という大物であればこそ。女なら誰でもいい…という話ではない。

…しかし、夫の・徳川家定を(実は)聡明な人物にしてヒロインが恋をするステキな旦那様に描き、故郷の家臣・小松帯刀をナヨナヨナヨナヨ尚五郎サン にしてヒロインのお花畑・恋話を無理やりねじ込んだストーリーばかりは許すまじ! ほんとにアホかと思う……親戚の年寄りにはうけていたけど(笑)。


そんなわけで「篤姫」がうけたのにはそれなりの理由があった。作品そのものというよりも、まず一般視聴者が「大奥もの」に馴染みがあったのが一番の理由。普段は時代劇に全く興味の無い層が、始まる前から「大奥もの」に興味を持ってくれたのが大きな理由。決して女主人公=うけるなどという単純な図式ではなかったと思う。

もう決まってしまった松陰さんの妹さんの大河はともかく(もう全力で頑張るしかない)、今後もこういう「女性主人公=女性にうける」などという単純思考で1年も続く大河ドラマの主題を選択するのは、NHKさん…ちょっと考えたほうがいいと思います。




2013年11月17日日曜日

悲報・吉田松陰のい・も・う・と!



ああああああああああ
なんでなんでなんでなんで…?
もう今度ばかりは我慢できん!
怒り心頭!
何かがおかしい。なんでなんだ、
なんで男の歴史劇を作ってくれない?

2015年の大河は松陰ご本人じゃなくて「い・も・う・と」だそうだが、

誰?だれそれ?

もうがっかり過ぎ…。
いったいNHKはなにを考えているんだろう。

またおんなかよ。また幕末かよ。また無名の人物かよ。
こんなんで1年ももつの? 
今回ばかりはあきれてものも言えない。
無名の女主人公は今年八重ちゃんで苦戦してるのに
何も学ばなかったんだろうか?
それとも全く反省してないの?
もうさすがに見ないかも。


だいたい女性視聴者を呼びこむためには女の主人公じゃなきゃいけないなんてアイデアが馬鹿すぎる。だいたい日本の歴史で何人の女が名前を残したのよ?北条政子も春日局もやってネタ切れならもう誰をやってもいいのかよ?○○の奥さん?○○の妹?○○の娘? ○○のなかに有名人の名前入れれば誰だっていいのか?

もうやってられねー!

もう女の大河なんてやめてくれ!
だいたい八重ちゃんだって会津戦争以外は○○の妻で○○の妹だもんな。今年の八重ちゃんの大河も前編の会津編は素晴らしかったですよ、八重ちゃんの出ていない場面は…。しかしそのせいで「主役の八重をもっと出せ」という意見があったらしい。

…で結果、京都編は覚馬や新島襄の偉業を全てすっとばして、八重ちゃんがすぐ首をつっこむ家族の不倫と駆け落ち学園ドラマ腕相撲決着話。あーつまらん実につまらん!せっかくの大河が昼ドラ風味で散々じゃねえか…。おまけに八重ちゃんは10年前の敵の娘に土下座しちゃうしさ…。

今度の松陰さんの「い・も・う・と」さんの大河も、お兄ちゃんの人生を横で見て時々出しゃばって、後はガールトークとか家族の問題とかそんなのばっかりで1年間もやるわけ?

もううんざりだ!


吉田松陰はウルトラマンタロウ篠田三郎さんで十分!

もう大河は終わっていいと思う。


2013年4月10日水曜日

フジテレビ『女信長』;見所は戦闘シーン


録画を見ました。

さて感想。これは苦しい企画。一番の問題はズバリ信長が女であるといういうことでしょう。

無理絶対無理。浅井長政と…光秀と…なんてナイナイナイ無理無理無理無理。冗談にしか思えない。話の流れも最後に向けてトンデモない方向へ飛翔。どう考えても無理。

日本全国、全国民にとってアノ信長はやっぱり伝説の信長でして…。聡明、型破り、直情型、激情型、残酷、冷酷、傲慢、無慈悲、切れ者、短気、うつけ者、面白がり、知りたがり、新しい物好き、日本一の戦国武将、公正、柔軟な発想、鉄の意志、高貴、美男…等々、この歴史上の人物はやっぱり特別なんですよ。まったく得体が知れない。

秀吉が頭のいい人たらし。家康が忍耐の人であれば、信長はその死も含めて非常にミステリアス。どうしてあの戦乱の時代を勝ち抜けたのか。どうしてあそこまで上り詰めたのか。いくら資料を漁っても本当の信長は見えてこない。この人の弱みは何なのか。いったい何を考えていたのか。ドラマ化してもいつもだいたい同じ型にはまった人物であることが多いのは、むしろ彼の本当の姿が分からないからだろう。だからこそ戦国ファンというものは男織田信長にロマンを感じ憧れるわけで…。

おそらくこの企画もそんなところから出たものだとは思うのだけど、いかんせん女だけはいけない。まず誰もあの信長を女としては見たくないと思う(ソレを言ったらおしまいだけど…)。それに女として納得できる程知られていないわけでもない。そもそも側室が何人もいて子供もゴロゴロいるのだからこればかりはどうにもならない。そんなわけで企画に無理がある。

それに伴って脚本も(そもそも信長が女という企画が無理なので)台詞や設定に当然無理がありすぎる。大問題。


…しかしこのドラマ、それだけで斬って捨てるにはあまりにも惜しい。ものすごくお金がかかってるんですコレ。美術や演出、衣装が豪華。野外ロケシーンもいいし、CGもいい。絵が綺麗。俳優さん達もいい。あーなんともったいない…。普通に男性俳優で信長のドラマにすればよかったのに。

時代劇ファンとしては、これはなんとしてもこのドラマのいいところを取り上げてリストアップしなければ。

1.       戦のシーンを真面目に再現

戦国時代のファンなら、定番の見たい絵、見たい場面ってあるじゃないですか。様々な有名な戦の再現シーン。

桶狭間の戦い(桶狭間をめざす織田軍、林を進む馬、幕をを降ろした向こうに突如現れる織田軍)、織田6万の大軍での上洛。雪の夜の光秀。日本海に攻め上る織田軍。敦賀湾での大軍。姉川の戦い。燃える比叡山。燃える寺。三方が原での武田vs徳川の大軍。本願寺、長島一向一揆。小谷城攻めの大軍(山の斜面での戦闘シーン)。燃える小谷城。長篠の戦い(織田鉄砲隊VS武田騎馬軍)、本能寺をめざす明智軍1万。竹薮を行く秀吉軍。燃える安土城。

このドラマ、こんな定番の見たい場面をお金をかけてかなり真剣に再現してくれてます。馬も多数。かなりの数のエキストラを揃え、衣装を着せて、足軽には旗指物を背負わせ野外を走らせて真面目に戦闘シーンを撮ってます。まずそれが非常に嬉しい。大軍を見せるのにCGも効果的に使用。5万の大軍といったら東京ドーム一杯分ですからね。かなりの迫力。全部で4時間のドラマなので、それぞれの場面は数秒なのに、ものすごく贅沢。戦国ものは戦闘シーンさえキチンと再現してくれれば、それだけでもかなり満足できるのがよく分かる。これもったいないなー。NHKの大河ドラマでもこれくらいお金をかけてくれればなぁ。来年黒田官兵衛でやってくれないかな。

2.       CGも効果的

やっぱりこれも見たい絵。例えば安土城と城下の昼間の全景。夜灯りのともる安土城。燃える小谷城。燃える比叡山の遠景。大軍を俯瞰(織田軍6万の上洛、姉川の戦い、三方が原の戦い、敦賀港)等々、かなりいい感じです。CGの違和感が無い。これもかなり嬉しい。

3.       天海祐希さんが信長に似ている?

これはどう言っても無駄話になってしまうけど、とにかく天海さんが綺麗。もしかして信長に似ている? 黙っていると(ちょっと線の細い)男に見える。ほんとに不思議。そう思い込んで見ればひげも違和感がない。実は天海さんが若い頃の信長に見えてしまった。声さえ出さなければ。

元々信長という人、若い頃はとちらかといえば線の細い青年だったのではないかと思う。美男だという言い伝えもありますね。昔の美形は能面が基本。体毛も薄くて色も白い。ひげもあまり生えないようなつるんとした顔だったんじゃないか。若いうつけ者の頃には女物の着物を好んで着たりしていたらしくて、中性的な外見だったんじゃないかと思う。

そう思えば天海さんの顔は若い頃の信長としてならいけるかも。十代ならたぶんいける。肌の綺麗な面長のつるんとした顔にまっすぐな高い鼻。大きすぎない日本的な目。小さな口。皺も殆ど無い。彼女の顔は、十代の若い男の子だとしたらそれはもう…文句なしに綺麗。むさい男ばかりの軍の中心で指揮をとる天海さんは驚くほど美しい。20代の前半までなら男信長としてもいけるんじゃないか(声を変えれば)。

ただしご本人が女性なんでやっぱり25歳を過ぎた男としては無理。線が細すぎる。首が細い。肩の厚みも薄すぎる。男は30歳を過ぎたらどんなに中世的な外見の人でも繊細さが消えて厚みが出てくるから結局女性が男を演じるのは無理。声も当然無理。(もちろんこのドラマは信長が女性なのでいいのですが)

だから惜しい。天海さんの顔が若い信長に似ているのであれば、なんとかして中年期を演じる天海さんみたいな顔の男性がいないかと…(笑)。もし天海さんに双子の兄か弟がいて、25歳以降を演じてくれるのであれば最高…などと思ってしまった。(←ほとんど無駄話)

それにしても天海さんは不思議な女優さん。女装より男装のほうがずーっとハマるのが不思議。光源氏は全然いいと思わなかったけど、あれはたぶんナヨナヨし過ぎてるから。こういう本当に男みたいなキャラは怖いぐらいハマる。あらためて驚いた。

 
 

2012年9月26日水曜日

NHK BS時代劇『薄桜記』最終回 雪の墓

 
最後まで本当にいい小作品にまとまりましたね。
 
 
忠臣蔵の結末は誰でも分かっているし、原作は知らなくても典膳が亡くなるというのはネット界隈で分かっていたけれど、オチが分かっていても料理が上手ければいい作品になりますね。
 
 
あ~泣いたわ。
 
 
最後はただただ悲しい。千春さんが倒れた典膳を見つけて傘をぼとっと落とし、駆け寄って、状況を分かりながらも「目を開けてくださいませ」と言った後は声にならない。ただ寄り添って顔を寄せる様子で泣けました。悲しい悲しい…。
 
そこに被さるように吉良家の門を写し、1215日未明…の文字。中からは騒ぎが聞こえてくる。とうとう始まった…。一瞬安兵衛が暴れている様子が写る。これも悲しい。
 
暫く時間がたったのだろう、もう一度カメラが雪の上に横たわる2人を捉える。そこは二人が出会った谷中の七面社。静かな場面。おそらく討ち入りも成功して、吉良の殿様も亡くなった頃。
 
この話は悲しい。今まで慣れ親しんだ登場人物のほぼ全員が亡くなっているんですね。吉良の殿様も小林平八郎さんも、多くの家臣も、助けに来ていた上杉家の家臣もそうなのかな。みんなあの日あの時に亡くなってる。典膳さんも千春さんも雪の中。それに後日、浅野の四十七士も切腹。これまで楽しんで会話を聞いていた方々がほぼ全員亡くなることになる。そんな事を考えたらまた涙。
 
 
 
最終回の吉良様がよかった。典膳との会話での言葉はそれだけで哲学。ちょっと長いけどまた記録したい。
 
 
茶会は遊びではない。心と心を通い合わせる場じゃ。思いやりの場じゃ。月を見たい見せたいと思う心が尊いのじゃ…。
 
(もし討ち入りがあったらという典膳の問いに)…飛び入りの座興とでも思えばよかろう。やるかやられるかで怯えて暮らすのは愚の骨頂じゃ。そこもとはどうじゃ、敵と味方の探りあい、我慢比べだけで生涯を終えるつもりか…。
 
一つぐらいは優雅な嗜みを持ったらどうじゃ。嗜みは楽しみにすぎず。心の中に楽しみの種を植えるのじゃ。水をやって育てれば、やがて花も咲こう。楽しみさえあれば、人はあくせくすることもなく、ゆとりを持って生きていける。
 
 
こういうのは脚本家ジェームス三木さんの人生観なんだろうなと思う。いい言葉です。長塚さんも素晴らしい。ステキです。
 
 
大きなドラマではない。忠臣蔵という歴史的にも有名な事件をめぐって、その時代に生きた人々の話。あくまでもその時代にたまたま居合わせた人物達の話。だから大石内蔵助も出てこなかった。吉良の殿様も歴史の事件の駒ではなく、あくまでも一個人。典膳と千春、安兵衛のパーソナルな話がメインで、有名な事件は後ろに流れる川(その川が最後に氾濫して全員飲み込まれてしまった)。だからこそ人物達に寄り添ってあの時代を見てきたような気持ちになれた。時代がうねるような話ではないけれど、心にいつまでも残るようないいドラマだった。
 
たった11回の中で、夫婦愛、理不尽な状況にも義を見て生きる男達、捨てきれない友情、静かに状況を受け入れて達観する殿様…など、それぞれの人物達が非常に魅力的で心に染みるドラマだった。吉良の殿様の言葉はしばらく心に残りそうだ。
 
 
1日過ぎて追記:男が男らしい時代劇。男が不器用に真面目に生きた時代の時代劇。典膳さんは優美な剣豪でステキだけど実はすごい頑固者。安兵衛の無骨な男っぽい感じもとても良かった。皆心が男らしいの。虫一匹殺せないような草食現代男子が、右に左にヨロヨロしてメソメソ泣くような時代劇はもうたくさん!そんなのは現代劇でやればよい。嘘でもいいから時代劇では強い男を見せて欲しい。それにそんな男性に従う控えめな女性が見たい。女がピーピー出しゃばる時代劇ももうたくさん!私は女だけど時代劇の女性達には一歩下がった古風な美、出しゃばらない芯の強さを見せて欲しい。千春さんもお三さんもステキだった。もう強い男や一歩下がった女なんて現実には存在しないんだから、せめてドラマの映像の中だけでも残して欲しい。本気でお願いしたい。
 
 
 
 

2012年9月20日木曜日

脚本について考える:『平清盛』と『薄桜記』


 
NHK大河ドラマ『平清盛』が相変わらず苦戦しているそうだ。たまたまなのだがNHK BSでの時代劇『薄桜記』にすっかりはまっている。面白いのだ。何が違うのだろうと脚本について考えてみることにした。

 
まず一番に思うのは『平清盛』に比べて『薄桜記』の人物達が圧倒的に魅力的であること。たった10回しか見ていないのに人物達が人として理解できる。堅物で真面目、律儀で友情に厚く男らしい丹下典膳。その典膳を一途に慕う健気な千春。言葉は荒くても非常に知的、昭和の頑固親父風吉良の殿様、熱い堀部安兵衛。控えめに典膳を慕うお三。計算高いがいざと言う時には力になってくれそうな白竿屋…etc. 話の本筋とは関係の無い小さな場面の積み重ねで、人物の描写に深みが出るということは『薄桜記』第9回の感想にも書いた。

一方『平清盛』。回数を重ねて既に36回も見ているのに、主役の清盛はもちろん、○盛○盛の家族、時子さんさえどういう人物なのか未だ正直よく分からない。俳優さん達は皆大変よく頑張っていると思う。それなのに未だそれぞれの人物像がはっきりと見えてこない。理解が出来ないから魅力的に見えない。当然話は進んでいる。だけど人となりの見えない人物達が、歴史上のぶつ切りにされた時の中で個々の場面だけを表面的に泳いで話が進んでいくような印象。このことは以前、同番組の感想にも書いた。

 
この二つのドラマを見て考えたのは、『平清盛』は『薄桜記』に比べて人物描写のための細かい場面の積み重ねが足りないんじゃないかということ。要は、事件の積み重ねはあっても、人物を知るための場面の積み重ねが少ないのではないか。もっと酷い事を言うのなら、この大河ドラマは脚本で人物を構築する事をせず、俳優の方々の魅力(顔がいいとか、可愛いとか、背が高いとか)と演技だけに頼って人物を作ろうとしていないか…。そうだとしたら、ドラマ作りとしてはとんでもないぞ…。

 


そんな事を考えていてあらためて思ったのは、もしかしたら近年のドラマや映画の脚本は漫画っぽくなってきているのではないかということ。一般的に漫画は限られたページ数で話を進めるため、一見無駄に見えるような場面は好まれない。話が間延びしないように事件に事件を重ねて話を紡ぐものが多いのではないかと思う。結果、そのような表現の方法では、話は劇的に回っていっても、細やかな人物像を構築することは難しいのではないか。もしそうだとしたら大変なことだ。

私達が普段から実生活で出会う人々を知っていくのは、その個人のふとした仕草だったり、色んな場面での細やかな表情、普段は見せない意外な一面だったりする。人を表現するのはそれぐらい繊細なものなのだろう。だからこそ人物の人となりを表現するための場面は、むしろ本筋とは関係ないもののほうがよかったりする。近年の脚本にはそのような一見無駄な場面が少なくなってきているのではないか。

古典的に丁寧な人物描写をする『薄桜記』の人物達を理解できて、漫画の筋のように事件を箇条書きで追い続ける『平清盛』の人物達につかみどころが無いと感じるのもそのような理由によるものではないか…。

 

私は古いタイプの人間なのだろうと思うが、映画やドラマは人物に惹かれて話に引き込まれる。人物描写が十分に出来ていなければ話にも興味が持てない。『平清盛』の問題は脚本のスタイル。近年余りにも世間に広がりつくしてしまった漫画スタイルの脚本のせいではないのか。もしかしたら若い世代の脚本家の方々は『薄桜記』のような丁寧な人物描写が出来なくなってきているのではないか。

おそらく漫画のように事件を重ねるスタイルの脚本は、単発のドラマや映画には向いている。しかし50回も回を重ねるような連続ドラマではかなり辛い。登場人物に惹かれ、自分の家族のように応援したくなってこそ毎週連続で見続けようと思うからだ。まず人に惹かれてこその連続ドラマ。『薄桜記』を見ているとづくづくそう思う。

日本では漫画は限りなくポピュラーな大衆文化だ。誰でも読む。絵と台詞で構築された漫画は、一見ドラマや映画の脚本と同じだと思われることも多いのだろう。しかし実は全く違うものかもしれないのだ。個人的な極論だろうと思うが、『平清盛』と『薄桜記』の二つのドラマを見ていてちょっとそんなことを考えた。
 
 
 
 
 

2012年9月19日水曜日

NHK BS時代劇『薄桜記』第10回 遠い春



今週のありがたいお言葉:肝胆相照らす仲/くわばらくわばら/合点承知之助…

今回は、Xデーに向かって話がぐんぐん進みます。何時なのか、どうなのか…もう討ち入りがあるのは決まっているかのようです。もちろん視聴者には分かっているけど、劇中の人物達も全員ドキドキで身構えてます。

そこで困るのが、典膳と安兵衛。お互いに斬り合いはしたくない。なんとか避けたい。しかし江戸の男というもの、どちらも一度関わった事をやめるわけにもいかない。安兵衛が典膳に聞く「何のために?」確かにそのとおり…。江戸の時代、刀を持ってはいても実際には滅多に抜かないような時代なのに、なんとも大変なことに巻き込まれたものです。典膳さんはそもそもお旗本…。

吉良の元殿様は覚悟をなさったらしい。遺言状も書かれたそうだ。みっともない真似をして逃げ回るより潔く…とおっしゃるのですが、それは哀しい。殿、あきらめないでくださいよ。

ところで今年の大河『平清盛』で上品な藤原教長をなさっていた矢島健一さんは、このドラマで吉良家家老小林平八郎をなさっているのだけど、今回はビシビシ強い口調で部下をまとめていてちょっとステキだった。

浅野の側も密かに準備を整えてます。安兵衛もたまたま婿養子になったばかりでこんな事が起こるなんてなんと運の悪い。しかし本人は乗り気らしい。彼も何のために?ついこの間まで浪人だったじゃないの…。誉れ高きことは何よりも大切。昔とはそういう時代…。ともかく討ち入りは決まっている。そんななかで情に厚い安兵衛は必死になって典膳を止めようとする。

皆守るべきものを守ろうとしている。お家だったり名誉だったり自分の責任だったり。現代から見れば非常に理不尽であったりすることも、理屈ではない。そのような時代。そんな空気感が感じられる。脚本に書かれた会話の内容だけで緊張感が伝わる。

ところで出る人出る人が皆びしっと背筋を伸ばして、動作もぴしっとして時代劇言葉を話すせいか、みんなイイ男…男性の着物姿はいいですね。

千春さんはほんとに綺麗。着物姿がとても綺麗です。

来週はいよいよ最終回。早いな…。このドラマが終わるのはすごく寂しい。