能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年9月16日月曜日

アメリカの政治:私はどのような情報を見ているのか…米CBS『60 Minutes』Jan. 6 Capitol riot prosecutions explained(2021年1月6日連邦議会襲撃事件について)



先日9月10日に大統領選に向けての討論会が行われた後、様々な「意見」がネット上をまわっているのを見かける。私はハリス氏が圧勝だったと書いたが、もちろんそのように思わない人々もいる。

トランプ氏の犬猫話を執拗に掘り下げてそれが本当かどうかを調べ上げ、結果「ABCの司会者はフェアではなかった、トランプ氏は3人を相手に討論をしなけらばならなかった」と嘆く人々もいるようだ。

同じものを見ているのにこれだけ意見が分かれてしまう…これが今のアメリカの政治を取り囲む国民感情の現実なのだろうと思う。右と左に完全に分かれてお互い歩み寄ることがない。それがこの国の一番の問題なのだろうと思う。


「陰謀論者」と言われる人々のご意見。
一応は読んでみる。なるほどと思う。

彼らのbelief/信念とは…

「世界は巨大な「悪い奴ら」に操られている、メジャーのTVのニュース・メディアは(FOXを除いて)ABCもCBSもNBCもCNNもBBCも…全てが「悪い奴ら」の手先であり、彼らは一日中「FAKE NEWS」を放送している。全ては仕組まれたもので、イノセントな国民を日々洗脳している」

そしてどうやら陰謀論の支持者達 は、その「悪い奴ら」のことを「ディープ・ステイト」などと呼ぶらしい。その「悪い奴ら」にたった一人で立ち向かうのが我らがミスター・トランプである…と彼らは信じているようだ。


OK。とりあえず彼らの言い分は理解した。彼らがどの情報源を見てそのような信念を持ったのかはわからない。もしかしたら世間でも言われているようにSNSなどで情報が回ってくるのかもしれない。

…少なくともそれら陰謀を信じる人々は、FOXニュースを見て、何らかの情報を探り、それらの陰謀を信じられる証拠を見つけてその信念に至ったのだろうと想像する。そして彼らは「自ら発見した貴重な情報=誰も知らない真実」を誇らしげにSNSやブログ、掲示板、ヤフコメなどに書き連ねる。そして情報は広がっていく。



それなら、それらの「陰謀論」を一切信じていない私はどのような情報を見て、聞いて、読んで判断のガイドにしているのか…その一例をここに紹介したいと思う。

米国CBSの日曜の報道番組『60 Minutes』から。昨日日曜日に放送された番組が大変興味深かったのでここに記録しておこうと思った。
 


Jan. 6 Capitol riot prosecutions explained | 60 Minutes


ほぼ13分の映像。番組は英語だが、YouTubeの右下の…Settings⚙️を押して Subtitles/CC(1) を開き Auto-translate の言語リストの中から Japanese を選べば日本語に訳された字幕が出る。和訳は完璧に正確ではないが(democratic/民主的な~ が民主党の~と訳されたりする)おおよそどのような内容かはわかると思う。



まず最初に「事実」を書いておく。
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「連邦議会襲撃事件」とは、2020年11月の大統領選挙の選挙結果に不満を持ったトランプ氏が、2021年1月6日、選挙結果を覆そうと民衆を扇動し、暴徒が国議会議事堂を襲撃した事件である。
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番組の内容は2021年1月6日の「連邦議会襲撃事件」を振り返ったもの。CBSが様々な角度から事件に関わった人々にインタビューを行っている。

インタビューされた人物達は…

米国の連邦検事/U.S. Attorney:マシュー・グレイブス
● 襲撃した暴徒の一人:ジャレッド・ヒューズ
● 警視庁・国防警察官:ダニエル・ハジェス
● 保守派の元連邦判事:トーマス・グリフィス


内容は、

連邦検事グレイブズ氏が襲撃事件に関わった人々をどのような基準で起訴したのか。

● 暴徒の一人ヒューズ氏はどのような理由で暴徒に加わったのか。

● 1月6日の現場でどのような事が起こったのか

● 現場にいた国防警察官ハジェス氏が何を見たのか

● 検察側の決定基準…どの基準で、いつ決められた基準で犯人は起訴されたのか

● 犯人が起訴されるガイドラインはどのようなものか(公正であるのか)

● 起訴された人々の中の80%の900人以上が有罪を認めた

● 今年の3月のトランプ候補のラリーの様子
 
…トランプ候補は、刑務所内の被告たちを(今の政府に捕らえられた)人質で愛国者だと呼び、敬礼を捧げ、彼が再選されたら被告たちを罷免するつもりであることを述べる。そのラリーの映像とトランプ氏の言葉。事実に対するトランプ氏の認識の甘さ。

● トランプ氏本人も「選挙を覆そうと共謀した」と起訴された。

● 暴徒の一人ヒューズ氏は「盗まれた選挙」の情報をどこで知ったのか…FOXニュース、ネット上、トランプ氏からの情報による

● FOXニュースが選挙に関しての嘘の情報を繰り返し放送した事を認め和解に7億8700万ドルを支払った事実

● 保守派の元連邦判事グリフィス氏による2020年選挙の調査書について

● グリフィス氏が1年間調査しても選挙が不正だった証拠は見つからなかった事実…全ての証拠はバイデン氏が選挙に勝ったことを示すものだった

● DC裁判所に任命された29人の判事達は政治的に偏っていない…被告たちには弁護のチャンスが与えられたが、彼らは潔白を証明することができなかった

● 暴徒の一人ヒューズ氏は、今でも選挙結果は間違いでトランプ氏が勝ったと思っている。愛国心のためにやったと言う(修正しました)

● 国防警察官のハジェス氏は、もし襲撃事件の被告たちが(トランプ氏が再選されることで)罷免されたら、暴徒は何をやっても守られると思うだろうし、国にとって破壊的なことだと言う

● 今年の大統領選挙の結果により、被告たちが犯罪者となるのか、それとも無罪になるのかが決められるだろう

● 連邦検事グレイブス氏によれば、連邦検事はホワイトハウスとの繋がりはないと言う。司法省とホワイトハウスは繋がっていない。判断は公正に行われている

● 襲撃事件の犯人たちは、それぞれ彼らの「行為」により起訴されている。


かなり掘り下げたレポートだと思った。様々な角度から襲撃事件についてのインタビューを行い、できるかぎり事実を伝えようとしているように見える。

私には、このレポートを…(多くの陰謀論者が言うように、これもFAKE NEWSの一つであり)トランプ氏にとってフェアではなく、一方的に彼を貶めようとしているレポートだと見ることはできない。

インタビューされているのは、襲撃事件に直接関わっていた暴徒の一人、それから連邦検事、現場にいて議会を守った警察官、そして選挙結果の正当性を調査した元連邦判事(修正しました)。…私には、彼らの言葉を聞いて、彼らの一人一人が意図的に嘘をついているとは思えないからだ。


陰謀論の支持者が、ありとあらゆるソースから様々な情報を集めて「私が信じたい真実はここにあるのだ」と思いたいのは理解する。しかし陰謀論を信じない者には、それらの陰謀論を信じられないそれなりの理由もあるのだということを記しておきたい。

私個人的には(右も左も含めて…様々な情報を手当たり次第に見て)両サイドの情報をニュートラルな立場から見てみようとはしてはいたのだけれど、結果的には大手メディアのこのようなレポートの方が信憑性がありそうだと思わずにはいられなかった。FOXニュースを見ても(常に)ヒステリックに叫ぶプレゼンター達の言葉が私の心に響くことはなかった。


そしてなによりも、実際にメディアで見てきた(過去から今に至るまでの)トランプ氏の言動、彼の気性、気質、そして彼の言葉の不正確さ、彼の政治家としての見識、資質、彼の人としてのモラルは、国のリーダーとして十分なのか…等を合わせて考えた結果、私はトランプ氏が大統領になるのは大きな問題だと思っている。どのような理由であれ暴徒を扇動するような人物が国のリーダーになってはならないと心から思う。

私がなぜ巷の陰謀論が信じられないのか、そして私がなぜトランプ氏が大統領になることを憂いているのか…この番組はいい例だと思ったのでここに記録しようと思った。