能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年9月17日火曜日

映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日/Civil War』(2024):リアル?まさか本当には起こるまい







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『Civil War (2024)/米・英/カラー
/1h 49m/監督/脚本:Alex Garland』
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米国のTV・HBOチャンネルの広告でこの映画の放送を知り録画した。この映画の米国での封切は今年の4月12日だったそうだ。劇場公開された映画だったのですね。全く知らなかった。

それにしてもなんとタイムリーな…笑 と言っちゃいけないのかしら。今米国は分断されていますからね。 Civil Warとは内戦という意味ですが、昨日のエントリーで取り上げた…「2021年1月6日の連邦議会襲撃事件」のことを思い出せば、アメリカ国内で内戦が起こるかもしれない…と考える人もいないわけではないだろう。今のアメリカとは、そのようなことを考えさせられるぐらい分断されている…。

今年は11月に大統領選挙がある。その選挙でもしトランプ氏が負けたとしたら…また彼は暴徒を扇動して暴動を起こすのではないか…と心配する人もいるだろう。私もその一人。


この映画もそのような背景があって立ち上がった企画なのだろうと思います。タイトルはズバリ

Civil War


…私は単純に「面白そうだ」とテレビ放送を録画したのだけれど、旦那Aに「見る?」と聞いたら「見たくない」とのこと。そうかもしれませんね。彼にとっては大切な国だもの。自分の国の内戦の映画なんて見たくないのかも。


というわけで一人で鑑賞。

正直少し拍子抜け。というのもこの映画、お題の「アメリカの内戦」がどのような理由でどのようなカタチで始まったのか?の説明がほとんどない。

戦争は既に始まっていて、その戦時下を3人のジャーナリスト+1人の見習いカメラマンが車でニューヨークから首都ワシントンDCまで走る…という話。


冒頭に、白人の大統領がスピーチの練習をしている
「Some are already calling it the greatest victory in the history of mankind.」

…って、笑 これ、トランプさんの言葉づかいそのまんまじゃん。ウヒャヒャ…

やっぱりそうよなぁ。そうよ。今のアメリカを内戦に向かわせるのは、過去にも未来にもトランプ氏しかいないだろう。それぐらい彼は特殊。とんでもなく特殊。そもそも彼は大統領になるべき人ではない。この映画はそのような批判も込めて作られたのかもしれませんね。


映画の内容は…

「PRESS」の文字を車体に書いた車に乗って、4人の主人公達が戦争地帯を走り抜けるロード・ムービー。アメリカを車で旅すればわかるのだけれど、アメリカは何もない広大な土地を延々と移動してしばらくすると都市や町や家がぽつんぽつんと現れるもので、この映画も主人公達が車で移動する様子が多く描かれる。

長いドライブの途中の様々な場所で、4人はそれぞれの土地の個々の戦いのシーンを目撃することになる。道の途中に現れるガソリン・スタンド、広大な土地の豪邸、市民同士で銃を打ち合う現場、戦争中だとみじんも感じさせない平和な町、それから多くの人々が避難して助け合う場所、広大な土地の真ん中で銃を構えた二人組…などなど、様々なアメリカの内戦中の風景が描かれる。その様子は結構リアルなのだろうと思った。


私は聞き逃してしまったのだが、どうやら戦争の発端は、大統領がFBIを解散し、反旗を翻したカリフォルニア州とテキサス州の「西軍」に対して大統領が軍隊を送ったとかなんとか(違うかも)。

それにしても反大統領の勢力・西軍の設定が、テキサス州とカリフォルニア州の連合軍とは…あまりリアリティがない笑。カリフォルニア州は現実には左寄りのリベラルな州で、現実のテキサス州は保守派のコンサバな州ですから、現実にはありえない連合軍でしょう。

ともかく。独裁者になった大統領に対して、西軍が武力で戦いを挑む。
…しかし西軍の軍隊はどこから来たのだろう?大統領には大統領が指令する国の軍があるはずだけれど、西軍の州の軍隊が大統領軍に反旗を翻したのか????…そのあたりもよくわからなかった。


映画としての印象は…

少しアート系の映画っぽい。トレイラー/予告で描かれているよりも、この映画はず~っと静かな映画です

戦時映画とはいいながら、カメラワークはどうもアート系の雰囲気で戸惑う音楽も突然場違いな歌が流れたり…それは意図的なのだろうけれど…、どうやら監督は戦争映画をアート系のイメージで見せたかったのではないかと時々戸惑った。

いかにも戦争アクション映画らしくなるのは、4人がワシントンDCに着いてから。街に戦車が走り、ヘリコプターがビルの間に浮かびながらレーザーを打ち込んだり爆撃したりする様子はなかなか本格的。

…そのような場面は、私にとっては『ゴジラ』映画のようなもので、まぁ派手にドンパチやってくれればよろしい。なかなかいい場面が多くてすごいなと思った。緊張の走る戦争映画のシーンでドキドキ。戦争映画は長い間見ていなかったけれど、今どきの戦争の描写はすごいねと感心。

不謹慎ですが、私は個人的にはまさか内戦が起こるとは思っていないので、戦争のドンパチの様子もただ面白いねと見た。



★ネタバレ注意



最後は『忠臣蔵』だな。吉良さんが追い詰められる様子と同じ。そしてそれが終わったら映画も終わってしまった。


戦争の政治的な背景だとか状況の説明もあまりないまま、悪者も捉まえることなくストンと戦争が終わってしまうのは、どうにも野蛮で鼻白む。…え~それで終わり? カダフィとと同じじゃん。野蛮じゃないですか。ダメですよ。

…しかし綺麗ごとを描かず、何の説明もせず、その後国がどうなったのかなどの事後報告も無く、ストンと話が終わってしまうのも、実はリアルなのかもしれませんね。この映画、ただただ4人の主人公達が、内戦中の国内をドライブして走り抜け、様々な戦争の様子を目撃し、最後も結末を目撃してそれだけで終わり。

なんだかな~。ちょっと拍子抜けといういうか…。う~ん。


まさか現実に内戦が起こることはないでしょう…と私は思うのであまり深刻にならずに見た。しかし過去に何度かワシントンDCのあたりを車で移動したこともあるので、結構リアルだよな…とも思いながら見た。

制作は「もしアメリカに内戦が起こったら」と仮説を立て、それをリアルに描くために様々なアイデアを出したのだろうと思う。主人公達が車で移動して様々な土地に立ち寄り、突然戦いの場面に出くわしてびっくりする様子は、実はかなりリアルなのだろうとも思った。いかにも広大なアメリカならではの内戦の風景を描いているのだろう。

おそらく意図的なものだと思うが、大統領サイドは皆白人ばかり。そして西軍には様々な人種の顔が見える。これも今の過激な保守派の様子などを描いたのだろう。はっきりと言うならば「保守派の白人至上主義軍」と「有色人種とリベラル白人連合軍」の戦いの設定なのだろう。まぁそうですよね。

1回だけ見て、なんだかうだうだ印象だけ書いた。これからプロの批評を読んでみよう。



ところで余談だけれど…

見習いカメラマンのJessieちゃん。彼女はパパのカメラNIKONのFE2で写真を撮っている。この映画は彼女の成長物語でもあるのだけれど。

あのNIKONのFE2…私持ってますよ(自慢!)。だからちょっと嬉しくなった。デジカメが出てきてからもうず~っと触ってないけれど、今も箱に入れて持っている。買ったのは1984年。FE2は一眼レフのフィルムのカメラです。

しかしこのFE2は、マニュアル・フォーカスのカメラです。いちいち自分でレンズを回してピントを合わせなければならない。だからあのカメラは緊張する状況ではなかなか使いにくいだろうと思った。人が撃たれて死ぬ様子を初めて見た若い女の子が、震えもせずにマニュアルでピントを合わせるなんてプロでも大変だろうに…。ちょっと設定に無理があると思ったわ笑。

オートフォーカスが一般的になったのは、たぶん1990年ぐらいではなかったか。1990年年頃までにはCanonのオートフォーカスのカメラをプロのカメラマンも使っていたと思う。1984年頃はまだオートフォーカスのカメラは一般的ではなかったと思う。友人が同じころにFE2よりも上位機種のF3を買ったのだけれど、F3は当時プロも使っていたと記憶している。

マニュアルのカメラは、小さなボタン電池を入れれば自動でシャッタースピードを決めてくれた。その電池は数年間はもつのでバッテリーの心配をしなくてもいい。そういうのも戦時下にはいいということだろうか。

昔はよく使った FE2。ちょっと箱から出してみようかな。
なんだかカメラの話が長くなった