能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2020年2月2日日曜日

Shakira & J. Loのスーパーボウル(2020)ハーフタイム・ショー!



スーパーボウルのハーフタームショーでございます。今年もやってまいりました。えー…もうMaroon 5  から1年も過ぎたの?早いわー…

今年は派手派手でした。シャキーラちゃんが出演することは知っていたけれど、ジェニファー・ロペス姐さんも出るとは知らなかった。びっくり。まーこのラティーナのお姉ちゃんお二人が出るならそりゃー派手だわ。いいですねぇ。去年は地味だったもんね。(そういえば去年誰が出る出ないで揉めてた問題はもうなくなった?)


さて始まりました。いきなり口パクかな?しかしよく踊るなー。たくさんのダンサーもよく揃ってます。楽しいね。

丸いステージは遠くからみて映えるかどうかをよく考えられていて演出がうまい。このハーフタイムショーはスクリーンが使えないので、スタンドから見る演者は米粒にしか見えない。だからショーはステージのフロアの映像や構成で魅せるしかない。大勢のダンサーが揃って踊るのも遠くから見てよく見えるように。

シャキーラちゃんは、Led Zeppelinのカシミール、中近東のベリーダンス、ラインでダンス、口パクでダンス、サルサでダンス、ラップで休憩。しかしよく動くな。さすがコロンビア人はダンスがうまい。管楽器もダンサーかな。吹いていないな。丸いステージの映像が上から見て効果的。おしりフリフリダンスがすごいぞ。体幹が鍛えられてますね。


そしてジェニファー・ロペス姐さん登場。観客が湧く。彼女は歌ってるかな。これも群集ダンスのパワー。ダンサーが上手い。チアリーディングもうまい。ダンサーがうまい。とにかくうまい。群集ダンサーとステージの使い方も上手い。ステージの映像が音楽と共に動く。

ポールダンスの時は歌っていないだろう。しかしすごい筋力50歳。すごいねぇ。床の丸く落ちる滝…映像が上手い。ラップで休憩。ダンサーも全員衣装を変えるのがまたすごい。姐さんほぼハダカ。すごいぞ。床の奥行きのある映像がいい。またオシリふりふりダンス。おっと姐さんの娘さんが歌ってます。シャキーラちゃんもちょっと歌ってる?踊る時は歌っていないか。シャキーラちゃんのゴールド軍団と姐さんの白軍団の入れ替わりも見事。最後に二人で一緒にオシリを振って感無量。

とにかく派手派手派手派手…で決して嫌いではない。スタジアムの上から見ていかに効果的に見えるかがよーく考えられてますね。


しかしね…🤔

今回のショーは、いかにも巨大スター/アイドル/超大物女性達のアイドルショーという感じでしたよね。歌は二の次。ほとんど歌っていないかも。お二人のラテン系…コロンビア人とプエルトリコ系の巨大女性スターが、一緒にステージに立って、とにかくオシリを振って振って振って振って振って振って振って振って振って振りつくした14分。すごいね。シャキーラちゃんは43歳。姐さんは50歳ですよ。
 
J姐さんは少し歌ってたかと思ったけれど、シャキーラちゃんはほぼ口パクかな。
しかしこのハーフタイムショーは特殊かもしれませんよね。このショーは世界中の人が見ていて超巨大なお祭り。とにかく莫大なお金が動いていて全て記録にも残るから、

絶対に失敗は許されない。

それにそもそもこのショーはアメフトのゲームの途中の余興なわけで、限られた時間内にステージセットを組んで、ショーをやって、セットを片付けて…というのを完璧にこなさなければならないわけで…ものすごく大変なんですよ。 それでも準備にバタバタするからといって音響に問題が出たりマイクの音が出なかったり…なんていう失敗は絶対に許されない。だから音で失敗がないように、カラオケ+事前録音音声はしかたがないのかも。(…それでも生にこだわるアーティストはいると思うけれど)
 
というわけで、近年のこのショーは録音した音源を流してスター本人が出てきてショーを演じるのが多いみたいですね。数年前にレッチリが出た時も、バンドなのにカラオケだったと聞いてびっくりしたのですが、バンドでもそうなら歌謡ダンススターの口パクはもうしょうがないのかも。エンタメの形が変わってきてますよね。
 
 
今年は歌手が歌っていないだけでなく、バンドがいるようにさえ見えなかった(バンドがいたかどうかわからない)。そのかわり超上手いダンサー達を沢山集めて、視覚的にかっこよく驚くほど派手なステージで見せるショーをやった。ハーフタイムショーはこれからも毎年こういう感じなのかも。特にアイドル系(バンドではなくて歌謡+ダンスのスーパースター系)は、もう歌わないのが当たり前になるのかも。
 
そんな事をちょっと思った。
 
 
派手で完璧に演出されて、確かに見た目は楽しいのだけれど…なんだろう…、歌手が歌っていないとやっぱり心を揺さぶられるようなエネルギーは感じないですよね。特に今日のお二人は普段「歌っている人」だと思っていたので、ちょっと残念な感じはしたかな。あのアイドルの実物とダンスを見ましょう的なアイドル・エンタメショーでした
 
それにしてもよくオシリを振りますね。すごいね。若い時にSEXYで売れた女性というのは、延々こういう感じでいくのでしょうかね。60歳になってもできるのか?…もうマドンナはダメみたいですもんね。もともと歌の上手い人達だろうに素直に歌を歌う方向には行かないのだろうか?
 
 
ともかく今回お二人が見れてよかったです。お二人ともライブがどんな様子なのか全く知らなかった。J姐さんはとにかくスターオーラの迫力がすごいし、シャキーラちゃんはダンスで売ったラテンの女王様という感じで、お二人ともスーパースターの凄みを感じました。すごいなと思った。派手なのはいいね。

 
 

2020年1月31日金曜日

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第2回「道三の罠」1月26日放送



2回目! 今回もよかったですね~~~~!

いやー…もうNHKさんの本気が見えましたね。すごいっすよ~。よくぞよくぞ…こんなに頑張ってくださいました。いや~今年は名作かもよ。すでに。面白かったわ。


★あらすじ
1547年。光秀が京から帰ってきたら、もう戦。尾張の織田信秀(高橋克典)の大軍が美濃に攻め込んできた…加納口の戦い/井ノ口の戦い。光秀、敵の首をとり悩む。斉藤道三(本木雅弘)は娘婿の土岐頼純(矢野聖人)と会う。


構成は単純。これがいい。うだうだと引っ張らない。要点だけ抑えて、後は視聴者が見たいところをしっかりと見せてくれる。

今回の戦の場面は連続ほぼ

20分ですぞ!すごいーっ!
(おっと30じゃなかったわ)

かつて…過去12年ほどの間、これほど長いバトルシーンを流してくれた大河ドラマがあったか?ないっ!なかった! 今回の20分の戦闘シーンは本当に素晴らしい!!

セットもお金をかけてますよね。今年はお金の使い方を間違っていないぞ。障子をタタミイワシにして喜んでいない。ちゃんと野外にセットを組んで城攻めのバトルを見せる。ドローンを使って上から撮れば、そのシーンはまるでゲームようだ。先週も書いたが、昔遊んだ洋ゲーの「Age of Empire」。それからなぜか洋ゲーなのに侍バトルゲームの「Total War」。そして西洋の中世の「Stronghold」というのも遊んだ。そんなゲームを思いだす。楽しいね。
 
それからエキストラも多い!馬も多い! 昔ワタクシは『真田丸』のショボイバトルシーンを見て「今の人達は喧嘩のやり方を知らんのだろうね。戦場なのに人の声も馬の蹄の音も法螺貝も聞こえん!戦場なのに静か過ぎる!」と文句を書いたのですが、今回はやってくれました!太鼓。法螺貝。えいえいえいえいえいっと皆のかけ声。わーわーざわざわまーうるさくて大変素晴らしい素晴らしい素晴らしい。いいですねぇ。ちゃんと戦場だもの。拍手拍手拍手!


長谷川さんの光秀は…殺陣はあまりリアリティがないけれど(ひょいひょい刀を振り回して重心が高いネ)、でも若い人が必死で頑張る様子はいい!一生懸命。なりふり構わず攻撃的でいい!なんだか長谷川さん生き生きしてますよね。水を得た魚だ。あっそんなに一人で群集に斬り込んでいってはいけないっ!あぶないよっ。光秀君は毎日スクワットをして四股を踏め。練習練習!

光秀が敵と対峙して首を落とすシーンも素晴らしかった。かっと目を見開いた真剣な表情。恐怖と興奮が同時に見えた。編集もスローになる様子もいい。怖いですもん。


ともかくものすごく楽しいバトルエンタメ。太鼓とか走る足軽達とか、落とし穴とか、燃える俵とか、弓矢、槍、刀、投石機、馬馬馬、走る足軽転げる足軽燃える足軽足軽足軽…ひゃ~興奮する。そして大親分は双方どっかり構えて山のように動かず。よーし。


今回の構成はシンプルです
・道三が光秀に「おかえり」鉄砲献上。
・バトルが始まって20
・短い光秀の反省+哲学タイム
・そして道三と土岐氏の対峙

それだけ。ものすごくわかりやすい。脚本家の池端さんも意図的にシンプルな構成になさっているのかもしれませんね。ストーリーがシンプルだから、あらすじも三行で書ける。これはもしかしたら、歴史エンタメとしていい見せ方なのかもしれません。


光秀君もいい。戦の後の夜の哲学タイムの台詞はよかった。

「これが武士の本懐か。武士の誉れか。こんなことか。しかし戦は戦だ。勝たなければ自分が討たれる。戦がある限り勝つしかない

そうだ。そうそうそうそうそのとおりそのとおり。戦国はこれですよ。「戦は嫌じゃ」とか言ってられないって。勝たなきゃやられるんだもの。勝って勝って勝ち抜くんだよ戦国は。この光秀君はまだ若いから迷いがあるわけですよね。しかし「やらなきゃやられる」と自分で結論づけている。いいですねぇ。頑張れよぉ!期待してるわ。

光秀の哲学タイムの後のマチャアキのお顔が優しい。最高に優しい。


一方、織田のお父さんはバトルフィールドでヨレヨレです。沢山の武将を失って…兵達の死体の転がる河原を見回し「城に帰って…寝るか」って…声が裏返ってましたよ。これでワタクシ一気に織田パパのファンになりました。好き。かっこいいですよね。お父さん頑張れ


そしてもっくん道三と土岐氏の一騎打ち。もっくんはもっと腹から声を出して …イヤ昔の俳優さん達はなぜあんなに深い声が出ていたのか…。昔はね、皆タバコを吸っていたからなのですよ。今の俳優さん達はタバコを吸わないから全体に声が高いですよね。それはしょうがない。声が聞こえにくい以外は、この道三は雰囲気もルックスもいい。かっこいいな。

そして土岐君。頑張った。いいぞ。
 

斉藤さんちの娘・帰蝶の川口春奈さんもいいですね。気が強く真面目で潔癖そうなお嬢さんの雰囲気が素晴らしいと思います。

斉藤さんちの城の内装が無骨でいい。階段もあったし、本当のお城みたい。あれは全部セットを作ったのだろうか?だとしたらお金をかけてますよね。斉藤さんちの家紋もかっこいいな。

ますます楽しい日曜8時!期待しましょう!


2020年1月30日木曜日

NHK 『おしん』 (1983) -2 ・役者さん達について



昨日このドラマは脚本がすごいと書いた。ドラマ全体の感想を書いて俳優さん達の名演のことを書いていなかった。役者さん達、そして人物達のことを書いておこう。


名作は脚本から。そしてその脚本が名優を生み出す。

まず主演の田中裕子さんは怪物。彼女でなければ『おしん』はこれほどの名作にはならなかったと思う。細くたおやかでどんなにボロを纏っていても常に美しく優雅。本当に美しい人。匂いたつ色気。どんなにやつれていても「おしん」は美しかった。そしておしんは強い。決して負けない。必ず立ち上がる。

田中さんがあまりにも自然に役に馴染んでいて…いや「おしん」が田中裕子さんそのものに見えてしまって、ここに昨日この文を書いたときには彼女のことを書くことさえ忘れていた。このドラマを見た者は田中裕子さんはおしんだと思い込んでしまう。役が俳優さんと同化する。本当にすごいことです。また彼女のおしんが見たくなる。


他の役者さん達も素晴らしい。全員がその役の人物だと思ってしまう。おしんの母の泉ピン子さん。おしんの中年以降の乙羽信子さん(小林綾子さんの回は見ていない)。佐賀の姑・清の高森和子さんは恐ろしいほどの名演だと思う。加賀屋のお加代さんの東てる美さん。養女初っちゃんの田中好子さん。常にふてくされた嫁を演じた田中美佐子さん。その他、渡辺美佐子さんも、赤木春恵さんも、渡辺えりさんも、とにかく全ての女優さん達が素晴らしかった

橋田壽賀子さんの脚本は女性が輝きますね。橋田さんの脚本は、ありとあらゆる様々なタイプの女性達の心が、小さな役に至るまで丁寧に描かれていることにあらためて驚かされる。強さも弱さも、優しさも意地悪さも、正しさも愚かさも、全ての女性達がリアルな生の女性そのもの。例えば佐賀の義理の姉のつねこさん。あの家に嫁いだ彼女の辛い人生を想像し、彼女が最後に見せてくれた親切さに心動かされる。あの後彼女はどうなったのだろうと思わずにはいられない。全ての女性達にそれぞれの人生がある。このドラマは出てくる女性達全員のことを考えてしまう。

鬼姑の清だけは理解できなかった。しかしあの理不尽な意地悪さが、日本の昔の嫁いびりの恐ろしさなのだと想像する。説明不可能な闇。あの人物だけは特殊でしたね。

名作は脚本から。そして名優も優れた脚本から作られる。
この作品は女優さん達が本当にすごいです。


女優さんに比べると俳優さん達の扱いはまた興味深い。実は『おしん』で強い印象を残した男達はダメな人が多い。

おしんの夫・田倉 竜三の並木史朗さん。おしんを佐賀に連れて行く夫。母親に言いなりの夫。飲んだくれる夫。簡単に調子にのる夫。勝手な夫。どちらかといえばダメな男。それなのにこの竜三は不思議に魅力的。「おとこってダメよねぇ」などと言いながら「でもやっぱり好き」…そんな夫。おしんが最後まで竜三が好きなのも理解出来る。それもとてもリアル。

息子の仁もそう。優等生の雄やのぞみは消え、残るのは自分勝手で独りよがりの仁。ダメな息子、それでもかわいい息子。最後まで仁にはハラハラさせられる。それでも仁はやはりおしんの大切な息子。

このドラマはダメな男の方が印象に残る。お父さんの伊東四朗さんもお兄さんも酷かった。むしろ「いい人」の浩太/渡瀬恒彦さんの印象が薄いのが不思議。


『おしん』はやっぱり女性のドラマなのだと思う。健さんのガッツ石松さんは本当に素敵なんですよ。だけどやっぱり結婚するのは並木史朗さん。リアルですよね。おしんと竜三が見つめ合って愛情を確認しあう場面は本当に素晴らしかった。橋田壽賀子さんは本当にすごいと思います。

田中裕子さんのことを書いていたら、また彼女のおしんが見たくなった。

NHK 『おしん』 (1983) -1 ・感想



数週間前に見終わった。TV Japanではなく、この地の日本人+日系人向けのローカル放送局で英語の字幕付きで放送されているものを視聴。去年から放送されていて、今年1月の半ばに全エピソードが完了した。私が放送に気付いたのは途中から。おしんはもう田中裕子さんになっていた。竜三と結婚したあたりから視聴を開始。そして今年完走。長かった。

この有名なドラマシリーズは今回初めて拝見。このドラマが放送時に高視聴率だったことは聞いていたし、それに世界各地で絶賛されたということも聞いていたので機会があったら見てみたいと思っていた。


感無量。すごいドラマ。


今の時代に見るこのドラマは、過去を振り返って見る女性の20世紀史。おしんの生まれは1901年だそう。オリジナルの放送時は1983年なので、その年でおしんは82歳。だからこれは1901年から1983年までの女性の人生のドラマ。

NHKの日曜の大河ドラマは、(大抵は)歴史上の実在の人物の一生を描いたものだけれど、この「おしん」さんのドラマも(フィクションだとはいえ)明治~昭和の女性の(ほぼ)一生を描いた大河ドラマにも見えますね。


なぜすごいドラマなのか?


それは日本という国が、1901年から1983年までの間に、戦争の時代を経て世界でも類を見ないほど短期間で大きく成長、発展して、人々の生活も常識も80年の間にすっかり変わってしまったから。「昭和は激動の時代」とはよく言われるけれど、まさにそのとおり。『おしん』とは、その激動の時代に日本の女性達がどう生きたのか…を描いたドラマなのだろうと思う。


もうこのようなドラマは現代の日本人には絶対に作れないだろう。


脚本家の橋田壽賀子さんは1925年のお生まれ。大正14年生まれの橋田さんは、おしんと同じ時代(戦前~戦中~戦後~高度経済成長期)…彼女が実際に生きて見た時代を脚本にお書きになった。また橋田さんが、ご家族や先輩の女性の方々から聞いた過去の女性達の話は、1900年から1940年頃までのストーリーの基盤ともなった…彼女が実際に聞いた女性達の苦しみもこのドラマには多く描かれている。

このドラマのような明治・大正・昭和のリアリティは今の脚本家には書けない。このドラマの人物達の心情やそれに伴う台詞は、今の日本人とはあまりにも違いすぎるのだ。


★ネタバレ注意
 
田中裕子さんの演じるおしんの若い頃の回から見たのだけれど、彼女の人生はとにかく波乱万丈。地方出身のハンサムなお坊ちゃんと結婚。東京で事業を成功させるが、地震で全てを失い夫の実家へ移住。その佐賀での鬼姑からの壮絶な嫁いびりは放送史上最悪のものではないか。
 
放送当時、あれだけ史上最悪の意地悪な姑を演じられた高森和子さんのご心労をお察しする。放送当時のことは全く知らないのだけれど、高森さんは本当にお辛かっただろうと思う。もちろん「おしん」の田中さんも大変なのだけれど、しかし脚本に書かれた姑・清のキャラクターはあまりにも酷く、演じた女優さんにとって当時の世間はどんな様子だったのだろうと心配になるほど。
 
あの佐賀編のストーリーの流れは辛く辛く、もう途中で視聴をやめようかと思ったほど。優しい旦那様の筈だった竜三は、絵に書いたようなアホぼん…妻が苦しんでいるのに母親に何も言えないろくでなし。本当に役立たずの馬鹿野郎。「もうおしんちゃん、もう逃げ出しちゃえ、もう行っちゃえ、こんな男も家族も捨てちまえ」と思わずTVに呼びかける。彼女も一度決心をするのに、裏切りにあって計画は頓挫。ああああああ…そして手を負傷…髪結いの希望もなくなる。本当にあのあたりの話は辛かった。
 
だから、彼女が佐賀を出る決心をして姑に対峙した時は思わず大きな声が出た。拍手拍手拍手拍手拍手「そうっ。そうだっ。よしっ。よく言った。よく決心した。もう出て行こうっ。よく決心したっ!」
 
 
その後も延々といろんな事が起こりますが…、加賀屋のお加代さんの話は辛かった。彼女が亡くなったのは1931年だそう。あの時代は、裕福な家のお嬢さんでも家が潰れたらあんなことになるのかと絶句。橋田さん…それはないだろう…あんまりだ…。 お加代さんは以前おしんちゃんの飯屋を手伝ってるときは楽しそうだったのにね。泣
 
それから戦争。アホぼん竜三がまた調子にのる。そして…息子・雄、それから竜三の最後。ぁぁぁぁどうして? 橋田先生どうしてよ?こんな人生ある?あんまりだ。
…訪ねて来た姑・清に、おしんが竜三の意志を庇って対峙する場面にも驚いた。あの場面では清も老い丸くなっていて、おしんを労わり息子の勝手な決断を非難する。それなのにおしんは「旦那さんは立派だった」と言う。いや竜三は無責任なひとでなしでしょう。びっくりした。こういう台詞こそ…今の脚本家には絶対に書けないと思う。すごいなと思う。奥さんはどんなに苦労をしてもとことん旦那さんの味方
 
確かに竜三さんは、時代が穏やかなときはいい旦那さんで、子供好きのいいお父さんだったけれど。泣
 
 
おしんが本当に辛かったのは終戦まで。しかしこの辛い時代がこのドラマの見どころ。このドラマが海外でも受けたのは、この「終戦までのおしんの苦しみ」に共感した女性達が世界中に数多くいたからなのだろう。苦労に苦労に苦労に苦労を重ね、何度も何度も立ち上がるおしんに励まされた女性も多かったのだろう。
 
 
辛い人生だからこそ人々の思いやりは心に沁みる。東京で味方になってくれた源じい。お師匠さんの渡辺美佐子さん。頼りになる健さんのガッツ石松さん。佐賀の舅・北村和夫さん。最後は味方になってくれた義理の姉のつね子さん。伊勢の赤木春恵さん。そして浩太さんの渡瀬恒彦さん…もっといたかもしれない。戦前の苦しい時代に、おしんが出会ったこれらの人々の親切は忘れられない。人の優しさは心に残る。
 
 
戦後の話はまた別の人の人生のよう。おしんも乙羽信子さんに代わって、昭和の時代の家族の話になった。子供が大きく成長し、結婚して家族が増え、事業を拡大し、成功し、おしんが姑になり…。
 
人生は続く。昭和の時代に日本の経済が発展したように、おしんも一歩一歩階段をのぼる。悩みは日常の小さな心配事のレベルになる。確かに独りよがりな息子仁と扱いにくい嫁道子の問題などなど…いろいろとあるけれど、もう戦前のような苦しみはない。のぞみ君は独立し、養女の初ちゃん(キャンディーズのスーちゃん)は常にそばにいて力になってくれる。時代も徐々に私の知る昭和の時代に変わっていく。馴染みのある(1983年当時の)現代の人物達のドラマになる。
 
 
Wikipediaを読んでみた。「おしんの幼年期の苦労を描いただけではなく、義理や周りを見ることなく他人を押しのけてまで銭儲けをしてもいずれ自分を追いやってしまう、人として本当に大切な物は何かというメッセージが、おしんが人生の歩みの中で出会ってきたたくさんの恩人の言葉を通して散りばめられている。」とあった。ああそうだ。乙羽信子さんの時代になって、そういうメッセージはよく息子・仁への言葉としても告げられていた。
 
おしんというネーミングの由来は「信じる、信念、心、辛抱、芯、新、真」などの「しん」とされており、「日本人は豊かになったが、それと引き換えに様々な『しん』を忘れてしまったのではないかと思って名付けた」とのこと。考えさせられますね。
 
橋田さんは、おしんのモデルを「苦難の時代を生き抜いてきた全ての日本人女性です」とおっしゃっているそう。そして「明治世代の人の苦労を伝えるのは、自分達の世代の義務だと感じた」とお考えになったそうだ。だからこのドラマが存在する。橋田さんが描こうと思い立ってくださったからこそ、私達の世代も、またこれから後の世代の人々も、20世紀に生きた名もない日本の女性達の人生に心を寄せることが出来る。


橋田壽賀子さんに心から感謝いたします。


最初の放送時にこのドラマが高視聴率だった理由は、1983年当時にはまだこのドラマに描かれた時代を覚えている年配の方々が日本に沢山いらっしゃったからなのだろう。その頃からもう37年が過ぎた。時代は流れていく。おしんの子供時代はもう今から100年も前の話なのだと気付いて驚いた。