TV Japanにて。日本での放送は2023年2月4日から3月4日まで。全5話。
山から下りてきて街で暮らしている雪男・山川ユキオ(磯村勇斗)と、千代田区役所の獣害対策課に務める女性・馬場翠(北香那)。その二人が恋に落ちる。異人種間の恋?
ほのぼのとしたファンタジー系ドラマだと思ったら、様々な問題提起のドラマだったようだ。最初からそのつもりで見ていなかったので、その「お題」が全部でいくつあったのかわからないのだけれど、私が気づいたのは…外国人の人権、環境問題(温暖化)、同性カップルの結婚。
最後の方で出てきた同性カップルの(または様々なケースでの)結婚について(=ドラマ内では雪男・ユキオと人間・翠の結婚となっていた)の話は、なぜ「法律上の結婚」が当事者たちにとって必要なのか…その具体的な内容(理由)が台詞の中に出てきた。いいことです。こういうことはもっと説明が必要。
ああそうなのか…と回が進むごとに、このドラマが問題提起ドラマだと少しずつ気付いていったのだが、ドラマそのものが全体にスローペースでほのぼのとしていい雰囲気で、キャラクター達もそれぞれかわいかったり微笑ましくそれが楽しかった。演じる役者さん達も皆自然な演技のうまい方々でそれが心地いい。
さてその問題提起の内容は心に残ったのか…どうだろう。私は個人的には、雪男と翠ちゃんを見ていて「この二人はうまくいけばいいねぇ」などとのほほんと見ていたので、最後の回で「結婚」の真面目な話が出てきて少し驚いたほど。
外国人の人権や同性愛者の結婚に関して、それを具体的に外国人や同性愛者の登場するドラマにするのではなく、「雪男」というフィクションの存在を登場させてオブラートに包む表現をしていたのだと思うが、実はそのせいで(私個人的には)焦点が少しぼやけたかなという気もした。
始めはゆるいSF的な(人ではない)雪男と女の子のファンタジーの恋を見ていたつもりだったので、問題提起型のドラマだったと後から気付き、それなら最初からそのつもりで見ていればよかったと少し思った。 まぁそうでもないのかな。全体にいい雰囲気のドラマなのですよね。摩訶不思議で面白かった。
雪男の磯村勇斗さんはお顔は童顔なのに身体ががっちり大きくてかっこいい俳優さん。気負わない自然な演技。いい雰囲気。そして馬場翠の北香那さんは「鎌倉殿の13人」で公暁の母親つつじを演じていらした…彼女の公暁を止めようと説得する様子が印象に残っていた。うまい女優さん。そして周りを固める俳優さん達も皆達者な方々。普通の町の普通の日常の雰囲気がとても自然。ほのぼの。
それにしても雪男とはどういう存在なのだろう。動物と話しができるのはちょっと羨ましいが「息を吹きかけるとうどんが凍る」ということはやっぱり人間ではないのか。彼とちゅーをしたら唇が凍るの?危ない笑。肌も冷たいのかな。寒いね。